JP4093085B2 - 運動負荷強度評価装置及び運動機器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被験者の運動負荷強度を評価する運動負荷強度評価装置及び運動機器に関する。特に、現在の運動強度が安全でかつ効果的な運動であるかを評価し、あるいは運動負荷強度自体を評価することができる運動負荷強度評価装置及び運動機器に関する。
【0002】
【背景技術及び発明が解決しようとする課題】
血中乳酸濃度が増加し始める閾値(有酸素運動から無酸素運動へ切り換わる閾値ともいわれている)を運動負荷強度または酸素摂取量の数値として表現した、無酸素性作業閾値(AT:anaerobic threshold)は、呼吸器系や循環器系の機能に対する運動効果の評価や、スポーツのトレーニングにおける適切な運動負荷強度の選択などを行うために有用な指標であることが知られている。この閾値の検出は、血液中の乳酸濃度が急激に増加し始める運動負荷強度または酸素摂取量の数値である乳酸閾値(LT:lactate threshold)の検出、または、運動負荷強度の増加に伴う呼気中の二酸化炭素の増加率が一段と高くなる運動負荷強度または酸素摂取量の数値である換気閾値(VT:ventilatory threshold)の検出によって行うことができる。また、この閾値は、交感神経活動が亢進する閾値(CT:Catecholamine Threshold)と近似する。
【0003】
しかしながら、血液中の乳酸値の測定は、血液の採取が必要となるため侵襲的に行わねばならず、運動の実施とともに手軽に行うということは困難である。
【0004】
また、換気閾値を検出するために行われる、酸素摂取量や二酸化炭素発生量の監視は、装置から伸びる管路に接続されたマウスピースを通して呼吸を行い、吸気や呼気の量と成分を計測する必要があるため、大掛かりな装置を必要とする。
【0005】
本発明の目的は、非侵襲的に検出される駆出時間に基づいて、安全で効果的な運動負荷強度を評価することができる運動負荷強度評価装置及び運動機器を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、運動負荷強度を評価することで、安全でかつ効果的な運動を体得することができる運動負荷強度評価装置及び運動機器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様に係る運動負荷強度評価装置は、
運動中の被験者の心臓の駆出時間を非侵襲的に測定する駆出時間測定部と、
時間経過毎に前記駆出時間測定部にて測定される前記駆出時間が入力され、各駆出時間の変化を検出する駆出時間変化検出部と、
を有する。
【0008】
ここで、駆出時間は、非侵襲的に測定される心電波形、心音図または脈波波形の特徴より推定することができる。また、駆出時間測定部は、脈波波形検出部からの出力に基づいて心臓の駆出時間補正する駆出時間補正部をさらに有しても良い。
【0009】
心臓の駆出時間は、運動負荷強度の増加に伴い不変またはわずかに短縮する程度であるが、乳酸閾値(LT)に対応する運動負荷強度を超えると、駆出時間の短縮が顕著であり、乳酸閾値付近で明瞭な屈曲点が認められる。よって、例えば運動負荷強度を高めながら運動する際に、駆出時間変化検出部にて駆出時間の変化を検出すれば、現在の運動が乳酸閾値に達しない運動の運動負荷強度であるのか、あるいは乳酸閾値に達した運動の運動負荷強度であるかを評価できる。例えば一つの指標として、乳酸閾値の付近を安全でかつ効果的な運動と定義することができ、この運動範囲を駆出時間変化検出部からの出力に基づいて判断できる。本発明の運動負荷強度評価装置は、この時の運動強度を心拍数と仕事率(watt)で告知することができる。
【0010】
ここで、前記被験者の運動負荷強度を測定する運動負荷強度測定部をさらに有することができる。この場合、前記駆出時間変化検出部は、前記運動負荷強度測定部の出力に基づいて、異なる運動負荷強度に対応する駆出時間の変化を検出することができる。よって、異なる運動負荷強度に対応する駆出時間が実質的に異なれば、乳酸閾値を超えた運動であると認識できる。
【0011】
本発明の一態様では、前記駆出時間測定部は、前記被験者の運動による体動に起因した、体動波形を検出する体動波形検出部と、前記脈波検出部からの脈波より、前記体動波形検出部からの体動波形を除去する体動波形除去部とをさらに有することができる。運動中の体動が脈波に悪影響を及ぼすので、この悪影響を除去することが望ましいからである。この場合、駆出時間測定部には、体動波形が除去された脈波が入力されるので、より精度高く運動負荷強度を評価できる。
【0012】
前記駆出時間測定部は、前記脈波の立ち上がりからディクロティクノッチに至るまでの時間間隔を測定することができる。詳細を後述するように、脈波の立ち上がりからディクロティクノッチに至るまでの時間間隔が、駆出時間を反映しているからである。
【0013】
心臓での駆出時間は、心音図によって求めることができる。そこで、予め心音図によって求めた大動脈弁解放時間S1から大動脈弁閉鎖時間S2に求めた時間間隔を測定した収縮時間と、前記脈波の立ち上がりからディクロティクノッチに至るまでの時間間隔との関係を求めた相関式で、前記脈波の立ち上がりからディクロティクノッチに至るまでの時間間隔を補正して駆出時間とすることができる。
【0014】
前記駆出時間測定部は、前記脈波を一次微分する一次微分部と、一次微分波形を二次微分する二次微分部とを有することができる。一次微分波形、さらに二次微分波形では、上述した脈波の特徴がより顕在化するので、それに基づいて駆出時間を測定することができるからである。
【0015】
前記駆出時間測定部は、脈波の波高値と基準値とを比較するコンパレータを含むことができる。このコンパレータからの矩形波の波幅に基づいて駆出時間を測定することができる。このとき、帰還抵抗が正の入力端子に接続されたヒステリシス付コンパレータを用いることができる。ヒステリシス付コンパレータは、例えばディクロティクノッチ付近で矩形波が立ち下がった直後に、脈波の波高値が基準値を再度上回ったとしても、矩形波の立ち上がりを遅らせることができるからである。これにより、駆出時間を反映した矩形波を確保することができる。
【0016】
前記駆出時間測定部は、前記脈波検出部からの脈波をフーリエ変換するフーリエ変換部をさらに有することができる。この場合、前記駆出時間測定部は、フーリエ変換された周波数スペクトルの中から、心臓の駆出時間を反映する前記脈波の特徴に基づく周波数スペクトルを抽出する。前記駆出時間変化検出部は、時間経過毎に前記駆出時間測定部より抽出された周波数スペクトルの周波数の変化を検出する。こうして、周波数スペクトルに基づいて、駆出時間の変化を検出できる。
【0017】
前記駆出時間測定部は、前記脈波検出部からの脈波をフーリエ変換する第1のフーリエ変換部と、前記体動波形検出部からの体動波形をフーリエ変換する第2のフーリエ変換部とをさらに有することができる。この場合、前記体動波形除去部は、前記第1,第2のフーリエ変換部からの各周波数帯域の周波数スペクトルのうち、同一周波数の周波数スペクトル同士を減算する。こうして、周波数スペクトルの段階で体動を除去することができる。これ以降の駆出時間検出と駆出時間変化検出も、上記と同様に周波数スペクトルに基づいて実施できる。
【0018】
あるいは、前記駆出時間測定部は、前記体動波形除去部からの出力を逆フーリエ変換する逆フーリエ変換部と、逆フーリエ変換された脈波の立ち上がりからディクロティクノッチに至るまでの時間間隔を測定しても良い。あるいは、一次微分する一次微分部と、一次微分波形を二次微分する二次微分部とを有し、一次微分波形あるいは、二次微分波形に基づいて前記駆出時間を測定しても良い。
【0019】
本発明では、前記駆出時間変化検出部の出力に基づいて、乳酸閾値を越えた無酸素運動であることを告知する告知部をさらに有することができる。これにより、被験者は乳酸閾値付近での運動強度で運動を継続することができ、告知があった場合に運動負荷強度を一定に保てば良い。
【0020】
この場合、告知部では、駆出時間変化検出部から出力される心拍の一周期の時間から心拍数を告知しても良い。
【0021】
本発明の他の態様では、上述した駆出時間変化検出部に代えて、あるいはそれに追加して、前記駆出時間測定部にて測定される前記駆出時間に基づいて、記憶部より対応する運動負荷強度を検出する運動負荷強度検出部を設けることができる。記憶部には予め、被験者の心臓の駆出時間と運動負荷強度との相関データが記憶されている。こうすると、運動中の負荷強度を認識することができる。
【0022】
この場合、前記運動負荷強度検出部は、前記駆出時間変化検出部にて前記駆出時間が変化した時に、前記運動負荷強度を検出するようにしてもよい。
【0023】
本発明では、駆出時間に代えて、心拍の一周期に対する駆出時間の割合(正規化された駆出時間という)を用いることもできる。ここで、心拍の一周期は運動負荷強度が大きくなるに従い、乳酸閾値LTの前後に拘らずほぼ一定の比率で短くなる。これに対して、駆出時間は後述する図2の通り乳酸閾値LTの前後で変化率が異なる。よって、正規化された駆出時間は、乳酸閾値LTに達するまでは、運動負荷強度が大きくなるに従い心拍の一周期の減少率とほぼ比例して小さくなるのに対し、乳酸閾値LTに達した以降の減少率は顕著に小さくなる。このことを利用して、上述の各種態様にて正規化された駆出時間から乳酸閾値LTに達したことを告知し、あるいは運動中の負荷強度と運動の安全性を告知することが可能となる。
【0024】
さらに、告知部はあらかじめ安全な運動範囲を超える駆出時間を記憶部にセットしておき、測定された駆出時間が記憶部に記憶された駆出時間よりも短くなったときには、安全域を外れたことを知らせることもできる。
【0025】
また、本発明のさらに他の態様は、運動負荷評価装置を含んで運動機器を構成したものである。この運動機器は、例えば運動負荷強度の異なる運動メニューを表示部等に出力するか、あるいはその運動メニューに従って被験者が体得する運動負荷強度を負荷出力部によって変化させることができる。例えば走行マシーンのベルト速度やペダルマシンーンのペダル負荷を変化させても良い。この運動メニューとしては、各個人について運動負荷強度と心臓の駆出時間とを予め測定しておき、各個人について安全でかつ効果的な運動メニューを運動機器にセットできるようにしても良い。安全でかつ効果的な運動メニューは、被験者について運動負荷強度と駆出時間との相関より予め求められる乳酸閾値に基づいた所定の運動負荷範囲に設定される。この運動負荷範囲は、例えば心臓疾患者あるいは一般健常者などに対しては乳酸閾値付近に設定するとよい。しかし、駆出時間がわずかに減少しているか、さらに減少する範囲で有れば、一時的に乳酸閾値を超える範囲に運動負荷範囲を設定してもよい。これに限らず、例えば競技者の場合には乳酸閾値を超える範囲に設定してもよい。また、前記駆出時間変化検出部にて出力された心拍の1周期に基づいて運動負荷強度の範囲を心拍数の範囲で設定しても良い。さらに、被験者固有の運動メニューを記憶する記憶媒体を運動機器に対して着脱自在とすれば、被験者に合った運動メニューを容易に設定できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0027】
(駆出時間の説明)
図1は、心臓の周期を示したものである。図1において、波形SWは心電波形、波形MH1は心臓から流出する直後の大動脈血圧波形、波形MH2は末梢部(橈骨動脈)の一般的な脈波波形である。図1において、血液の流動に伴う時間遅れは無視してある。駆出時間ED(Ejection Duration)は、厳密な意味においては、大動脈血圧波形MH1における大動脈弁開放時刻t1と大動脈弁閉鎖時刻t2の時間間隔となり、安静時において、280ms程度である。大動脈弁の解放は心室の収縮によって起こるので、この時間間隔は、心室収縮期の時間(Systolic Time)とほぼ一致する(図1の心電波形SW中のQ−T時間に相当)。心室収縮時間は、等容収縮と駆出時間があり、等容収縮は電気的な収縮の開始と大動脈弁の解放との時間間隔である。
【0028】
ところで、末梢部の脈波波形MH2におけるノッチN2は、大動脈弁閉鎖によって生じるものである。このため、脈波波形MH2における最小ピークP0から最大ピークP1の直後に生じるピークP4までの時間間隔は、見積の収縮時間(Estimated Systolic Time)と呼ばれ、駆出時間EDを推定できる。
【0029】
ところで、脈波波形には個人差があり、また同一個人においても波形形状が体調などによって変化することが知られている。このため、末梢部の脈波波形MH2に代えて、波形MH3に示すように、ピークP2とピークP3が重なり、ノッチN1が生じない場合がある。本実施形態では、図1の脈波MH2,MH3の種類に拘らず、点P0からディクロティクノッチ(Dictrotic Notch)P4までの時間間隔を駆出時間EDとして取り扱うものとする。
【0030】
このことから、駆出時間EDは、厳密な意味のみならず、心室収縮期の時間(Systolic Time)及び推定の収縮時間(Estimated Systolic Time)を含むものとして、以下の説明を進める。
【0031】
以上の説明から、心臓の駆出時間は心電波形または脈波の特徴から推定することができる。なお、以下の説明では、脈波から駆出時間を推定する実施形態について述べるが、心電図測定部を用いて、心電波形から駆出時間を推定してももちろん良い。図1の心電波形SWでは、Q波を基準としてQ点及びT点の各変極点を求めることができ、Q−T時間=収縮時間として推定できる。この収縮時間は、厳密には等容収縮時間+駆出時間であるが、収縮時間=駆出時間として推定しても良い。
【0032】
(駆出時間と乳酸量との相関)
図2は、ある被験者の運動強度に対する駆出時間と乳酸値との相関を示す特性図である。図2の横軸は運動の負荷強度(Watt)であり、左縦軸は駆出時間(msec)、右縦軸は血液中に発生する乳酸値(m mol/l)である。
【0033】
ここで、血液中の乳酸値と運動負荷強度に応じた疲労との相関は公知であり、図2においても、血液中の乳酸値は運動の負荷強度が大きくなると増大する。
【0034】
また、運動の負荷強度が小さければ、疲労も少なく血液中の乳酸量はさほど上昇しないことも知られている。
【0035】
人体に最適な運動とは、乳酸閾値LTまたは交感神経活動が亢進する閾値CTの強度で運動を続けることであり、非侵襲的に検出される駆出時間に基づいて閾値LTまたは閾値CTに相当する運動強度を知ることは極めて有用である。
【0036】
図2に示すように、運動負荷強度が100[Watt]付近までは、駆出時間EDはほぼ変化がなく、血液中の乳酸値の変化も少ない。しかし、運動負荷強度が100[Watt]を超えると、駆出時間EDが短くなり、血液中の乳酸値の増加率が高くなる。この被験者の場合、運動負荷強度が100[Watt]付近の点が、乳酸閾値LT(Lactate Threshold)となる。
【0037】
このように、運動負荷中に駆出時間EDを監視し、それが実質的に一定であれば乳酸閾値LT以下の運動強度であり、駆出時間EDが実質一定値を超えて変化したときに乳酸閾値LT付近の運動強度に至ったことが分かるので、この運動強度を保つなどの指導ができる。
【0038】
図3は、6名の被験者の橈骨駆出時間と心音収縮時間との関係を示す特性図である。橈骨駆出時間は、橈骨動脈波の立ち上がりからディクロティクノッチに至る時間間隔であり、心音収縮時間は、心音図の1音から2音までの時間間隔で収縮時間を測定している。図3の横軸は橈骨駆出時間(msec)であり、縦軸は心音収縮時間(msec)である。図3に示すように橈骨駆出時間と心音収縮時間の相関は、相関係数をRとすると、R=0.7044(決定計数)で、一次式y=1.2456x−87.18で近似される。これより、末梢の脈波から求めた駆出時間を中枢に補正することができる。この補正部は、後述する駆出時間測定部90に設けることができる。上記一次式は、一般式を用いるものに限らず、個々の被験者について予め心音図等から係数を求めておくこともできる。
【0039】
(運動負荷強度評価装置の概要)
本実施形態の運動負荷強度評価装置は、上述した原理に基づいて、被験者の運動負荷強度を評価するものであり、図4のブロック図に示す構成を有する。図4において、運動負荷強度評価装置10は、脈波検出部60、体動波形検出部70、体動波形除去部80、駆出時間算出部90、駆出時間変化検出部100及び告知部110を有する。ここで、本実施形態では、脈波検出部60、体動波形検出部70、体動波形除去部80及び駆出時間算出部90にて駆出時間測定部11が構成されている。
【0040】
脈波検出部60は、被験者の末梢部の脈波を非侵襲的に検出するものである。体動波形検出部70は、運動中の被験者の体動に起因した体動波形を検出するものであり、例えば加速度センサにて構成できる。体動波形除去部80は、脈波検出部60からの脈波より、体動波形検出部70からの体動波形を除去するものである。駆出時間算出部90は、体動波形が除去された脈波(例えば図1の橈骨脈波MH2またはMH3)より、ピークP0からピークP4に至る時間間隔(駆出時間ED)を算出するものである。駆出時間変化検出部100は、時間経過毎に駆出時間算出部90にて測定される脈波の一周期の時間間隔と駆出時間EDが入力され、各駆出時間EDの変化を検出するものであり、駆出時間EDの変化したときの心拍数を出力することもできる。もし、図2の乳酸閾値LTを越える運度負荷強度にて被験者が運動していれば、駆出時間EDが変化するので、これを検出できる。告知部110は、駆出時間変化検出部100にて駆出時間の変化が検出された時に、乳酸閾値LT付近の心拍数を知ることができ、被験者に駆出時間の変化に加えてその時の心拍数を告知することもできるものである。この告知により、被験者は乳酸閾値LT付近の運動負荷強度に入ったことを検知できる。よって、その告知後に運動負荷強度を保てば、乳酸閾値LT付近の強度で運動を継続実施することが可能となる。この場合、駆出時間が実質一定値を越えて変化したときの心拍数を告知することがすることが有用である。例えばこの心拍数を上限値とし、上限値の90%を下限値の範囲に設定して、安全で効果的な運動を継続実施することができる。
【0041】
ここで、図4に示すように、被験者の運動負荷強度を測定する運動負荷強度測定部102をさらに有することができる。この測定部102からの出力は駆出時間変化検出部100に入力される。
よって、駆出時間変化検出部100は、異なる運動負荷強度に対応する駆出時間の変化を検出し、運動負荷強度が変化しない場合には駆出時間の変化を検出しないように構成できる。よって、駆出時間変化検出部100は、異なる運動負荷強度に対応する駆出時間の変化を検出することができる。
【0042】
(運動負荷強度評価装置の外観構成)
本実施形態の運動負荷強度評価装置は、例えば図5(A)、図5(B)および図5(C)に示すような外観的構成とすることができるが、これに限定されない。運動負荷強度評価装置10は、腕時計状の構造を有する装置本体12と、この装置本体12のコネクタ部20にコネクタピース57を介して接続されるケーブル58と、このケーブル58の先端側に設けられた脈波検出部60とを含んで構成されている。装置本体12にはリストバンド56が取り付けられ、リストバンド56によって装置本体12が被験者の手首に装着される。
【0043】
装置本体12はコネクタ部20を備えており、コネクタ部20にはケーブル58の端部となっているコネクタピース57が着脱自在に取り付けられている。
【0044】
図5(C)は、このコネクタピース57を取り外したコネクタ部20を示しており、例えば、ケーブル58との接続ピン21や、データ転送を行うためのLED22、フォトトランジスタ23を備えている。
【0045】
また、装置本体12の表面側には、告知部110の一例として例えば液晶パネルからなる表示部54が設けられている。表示部54は、セグメント表示領域や、ドット表示領域などを有し、運動負荷強度の評価結果など表示する。なお、表示部54には液晶パネルではなく他の表示装置を用いてもよい。
【0046】
装置本体12の内部には、各種演算や変換などを制御するCPU(central processing unit)、CPUを動作させるプログラムその他を記憶するメモリを備え(図示省略)、装置本体12の外周部には各種操作や入力を行うためのボタンスイッチ14がそれぞれ設けられている。
【0047】
一方、脈波検出部60は、図5(B)に示すように、センサ固定用バンド62によって遮光されながら、被験者の人差し指の根本付近に装着される。このように、脈波検出部60を指の根本付近に装着すると、ケーブル58が短くて済むので、装着しても邪魔にならない。また、指の根元付近は指先に比べると気温による血流量の変化が少ないため、検出した脈波波形に対する気温などの影響が比較的少ない。
【0048】
(脈波検出部)
脈波検出部60は、例えば図6に示すように、LED64、フォトトランジスタ65などを含み、非侵襲的すなわち皮膚を破ることなく末梢における脈波を検出できるように構成されている。この脈波検出部60は、脈波波形が血流量の変動波形(容積脈波波形)とほぼ同様の波形となることを利用し、毛細血管網に対する光照射と、毛細血管内の血液による反射光量の変動または透過光量の変動の検出とを行うように形成された光センサを用いて脈波(容積脈波)を検出する。
【0049】
さらに具体的には、脈波検出部60は、スイッチSWがオン状態となり、電源電圧が印加されると、LED64から光が照射される。この照射光は、被験者の血管や組織によって反射した後に、フォトトランジスタ65によって受光される。したがって、フォトトランジスタ65の光電流を電圧に変換したものが、脈波検出部60の信号MHとして出力される。この場合、LED64に変えてLDを用いても良い。
【0050】
ここで、LED64の発光波長は、血液中のヘモグロビンの吸収波長帯域内で選ばれ、本実施形態では、ヘモグロビンの吸収波長ピーク付近に選ばれる。このため、受光レベルは血流量に応じて変化する。したがって、受光レベルを検出することによって、脈波波形が検出されることとなる。例えば、LED64としては、InGaN系(インジウム−ガリウム−窒素系)の青色LEDが好適である。このLEDの発光スペクトルは、450nm付近を発光ピークとし、その発光波長域は、350nmから600nmまでの範囲とすることができるが、近赤外線の波長帯域としても良い。
【0051】
このような発光特性を有するLEDに対応するフォトトランジスタ65として、本実施形態においては、例えばGaAsP系(ガリウム−砒素−リン系)のものを用いることができる。このフォトトランジスタ65の受光波長領域は、主要感度領域が300nmから600nmまでの範囲とし、300nm以下にも感度領域があるものとすることができる。
【0052】
このような青色LED64とフォトトランジスタ65とを組み合わせると、その重なり領域である300nmから600nmまでの波長領域において、脈波を検出することができ、以下のような利点がある。
【0053】
まず、外光に含まれる光のうち、波長領域が700nm以下の光は、指の組織を透過しにくい傾向があるため、外光がセンサ固定用バンドで覆われていない指の部分に照射されても、指の組織を介してフォトトランジスタ65まで到達せず、検出に影響を与えない波長領域の光のみがフォトトランジスタ65に達する。一方、300nmより長い波長領域の光は、皮膚表面でほとんど吸収されるので、受光波長領域を700nm以下としても、実質的な受光波長領域は、300nm〜700nmとなる。したがって、指を大掛かりに覆わなくとも、外光の影響を抑圧することができる。また、血液中のヘモグロビンは、波長が300nmから700nmまでの光に対する吸光係数が大きく、波長が880nmの光に対する吸光係数に比して数倍〜約100倍以上大きい。したがって、この例のように、ヘモグロビンの吸光特性に合わせて、吸光特性が大きい波長領域(300nmから700nm)の光を検出光として用いると、その検出値は、血量変化に応じて感度よく変化するので、血量変化に基づく脈波波形のSN比を高めることができる。
【0054】
このように、脈波検出部60は、血流量に対応して変化する脈波すなわち容積脈波を、皮膚付近に存在する毛細血管網における赤血球量の変動としてとらえ、皮膚に照射した光の透過量または反射量の変動として検出することができるため、センサを末梢動脈例えば橈骨動脈や側指動脈の位置に合わせることなく検出することができる。したがって、脈波検出部60は、皮膚付近に存在する毛細血管における赤血球量の変動を、末梢動脈における脈波(容積脈波)として安定して検出することが可能である。なお、脈波検出部60は、脈圧に基づいて脈波を検出するものであっても良い。また、脈波検出部60は、指先以外の箇所に装着されてもよく、例えば耳から脈波を検出しても良い。
【0055】
(駆出時間測定部の構成例1)
駆出時間EDは、図1にて説明した通り、図1の脈波波形MH2またはMH3において、脈波の立ち上がり点P0から、ディクロティクノッチP4までの時間間隔である。
【0056】
ここで、点P0及び点P4は脈波波形MHから直接求めても良いが、脈波波形を二回微分した加速度波形を求めると、脈波波形における変極点P0,P4の位置がより顕在化する。そこで、図7に示すように、駆出時間算出部90は、体動波形除去部80からの脈波PTGを一次微分する一次微分部92と、一次微分波形FDPTGを二次微分する二次微分部94とを有する。この場合、駆出時間算出部90は、脈波PTGを一次微分する一次微分部92のみを有することもできる。
【0057】
図8(A)は体動波形が除去された脈波の原波形PTG、図8(B)は一次微分波形FDPTG(速度波形)、図8(C)は二次微分波形SDPTG(加速度波形)をそれぞれ示している。図8(B)に示す一次微分波形FDPTGから駆出時間EDを測定することもできる。図8(C)に示すように、二次微分波形SDPTGには、図1の変極点P0〜P4に相当する、より明確な変極点a〜eが現われる。この二次微分波形SDPTGにおいて、変極点a−e間の時間間隔が、脈波の立ち上がりからディクロティクノッチまでの駆出時間EDに相当している。よって、駆出時間算出部90は、二次微分波形SDPTGから駆出時間EDを測定することができる。
【0058】
(駆出時間測定部の構成例2)
駆出時間算出部90は、図9に示すように、体動波形が除去された脈波PTGに対して、ディクロティクノッチP4の波高付近に設定され比較値COが設定されたコンパレータにて構成できる。このコンパレータの出力は図9に示す矩形波REPとなる。なお、図9には説明の便宜上脈波PTG中に矩形波REPを記載したが、矩形波のハイレベルはコンパレータの第1の電源電位Vddとなり、ローレベルは第2の電源電位Vssとなる。
【0059】
ここで、矩形波の波幅Wは、点P0からディクロティクノッチP4までの駆出時間EDと相関がある。よって、矩形波Wのパルス幅Wに対応する時間幅を駆出時間EDとみなすことができる。駆出時間変化検出部100は、その駆出時間EDの変化を検出することで、運動負荷強度が図2に示す乳酸閾値LTを超えたか否かを検出することができる。
【0060】
特に、このコンパレータを図10に示すようなヒステリシス付コンパレータ96とすると良い。このヒステリシス付コンパレータ96は、帰還抵抗R2が+入力端子に接続されて、正帰還がかかるようになっている。
【0061】
+入力端子に入力される電圧は、(V−V)×R/(R+R)+Vとなる。ここで、出力電圧Vは、コンパレータ96を駆動する第1,第2の電源電位Vdd,Vssの一方に常に飽和している。
【0062】
このため、(V−V)は常に0より大きい値となり、+入力端子に入力される電圧は常に、脈波PTGの電圧レベルVより常に大きくなる。このように正帰還の効果によって見かけ上の+入力電圧が増やされることになる。よって、出力電圧VがVddまたはVssのどちらかに飽和すると、入力が変化しても出力電圧は容易に反転しない特性を有する。出力電圧V0がVddに飽和している時には、脈波PTGの電圧Vが基準値COの電圧Vを下回っても、直ちに出力が反転しない。よって、図9において、ディクロティクノッチP4付近で矩形波REが一旦立ち下がった後には、容易に立ち上がらないので、矩形波REPを確実に生成できる。
【0063】
(運動負荷強度評価装置の変形例)
図1の脈波波形MH2またはMH3のディクロティクノッチP4は、図2に示す乳酸閾値LTに達しない運動負荷強度の負荷中であれば、駆出時間EDがほぼ一定であることから、ほぼ一定の周波数帯域に現われる。よって、予めディクロティクノッチP4を反映する周波数帯域に関心周波数を設定しておき、その関心周波数帯域の周波数スペクトラムが周波数軸上で許容値を超えてずれたら、駆出時間EDが変化したものと判定できる。乳酸閾値LTを超える運動負荷強度であれば、駆出時間EDが短くなるので、ディクロティクノッチP4を反映する周波数スペクトルは高周波側に移動するはずであるので、それを検出すれば駆出時間EDの変化を検出できる。
【0064】
このためには、図11に示すように、脈波検出部60からの脈波をフーリエ変換する第1のフーリエ変換部120と、体動波形検出部70からの体動波形をフーリエ変換する第2のフーリエ変換部130とが設けられる。体動波形除去部80は、第1,第2のフーリエ変換部120,130の出力である周波数スペクトルを、同一周波数同士で引き算して、体動波形を除去する。駆出時間算出部90は、関心周波数帯域抽出部にて構成される。この関心周波数帯域抽出部90は、体動波形除去部80からの各種の周波数スペクトルの中から、被験者の駆出時間EDを反映する関心周波数帯域の周波数スペクトルを抽出する。以上の構成により、駆出時間測定部11が構成される。駆出時間変化検出部100は、周波数比較部にて形成され、今回抽出された関心周波数帯域内の周波数スペクトルの周波数を、例えば前回に抽出された基準周波数と比較する。もし、今回抽出の周波数スペクトルが基準周波数よりも周波数軸上で高周波側に許容値を超えて移動していれば、駆出時間EDが変化したと判定できる。この場合、図1の脈波波形MH2またはMH3のディクロティクノッチP4を反映する関心周波数帯域に周波数スペクトルを設定すると共に、脈波の一周期を反映する関心周波数帯域の周波数スペクトルを抽出することで、心拍数を求めることができる。
【0065】
図12は、さらに他の運動強度評価装置を示している。図11に示す体動波形除去部80までの構成は同じである。図12では、体動波形除去部80からの出力を逆フーリエ変換してアナログ波形に戻す逆フーリエ変換部140を有する。
【0066】
逆フーリエ変換部140以降の構成は、図4と同じであり、かつ図4中の駆出時間算出部90として、図7の一次、二次微分部92,94を採用している。この駆出時間算出部90までの構成要素にて駆動時間測定部11が構成される。
【0067】
図12に示す構成によれば、脈波に含まれる体動波形は周波数帯域で区別されて脈波中から除去され、駆出時間EDは脈波を一次微分あるいは二次微分した後の特徴から測定される。
【0068】
図13は、運動強度評価装置のさらに他の変形例を示している。
【0069】
例えば、被験者について、図2に示すような運動負荷強度と駆出時間、あるいは駆出時間に対応する心拍数の相関データを予め求めておくことができる。すなわち、被験者に歩行や走行などをさせながら運動負荷強度を変化させる運動負荷試験を実施し、各運動負荷時の駆出時間、あるいは駆出時間に対応する心拍数を求めておく。その相関データは、図13に示すように、例えば入力部200を介して記憶部210に記憶される。図13では、図4の駆出時間変化検出部100に加えてさらに、運動負荷強度検出部220が設けられている。この運動負荷強度検出部220は、駆出時間算出部90からの駆出時間EDと対応する運動負荷強度、あるいは駆出時間に対応する心拍数と対応する運動負荷強度を、記憶部210から読み出して告知部110に出力するものである。これにより、被験者は現在行っている運動負荷強度を仕事率(watt)あるいは心拍数(beet/min)で認識することができる。
【0070】
ここで、図2に示すように、運動負荷強度が乳酸閾値LTと対応する強度を越えるまでは、駆出時間は一定であるかもしくはわずかに短縮する程度である。よって、駆出時間の変化の少ない有酸素運動域では、運動負荷強度の検出が困難であるし、その運動負荷強度を知るニーズも少ない。よって、本実施形態では、駆出時間変化検出部100にて駆出時間が実質的に変化した時、つまり乳酸閾値LTを越えた運動域に入ったときに、運動負荷強度検出部220にて運動負荷強度を検出するように構成しても良い。このためには、図13に示すように、駆出時間変化検出部100からの信号が運動負荷強度検出部220に入力されている。本実施形態では、駆出時間変化検出部100にて駆出時間EDが実質的に変化した時に、心拍数を算出する心拍の一周期の時間間隔を出力する。
【0071】
(運動機器)
上述した運動強度評価装置を組み込んで運動機器を構成することができる。本実施形態では、駆出時間変化検出部100にて駆出時間EDが実質的に変化した時、つまり乳酸閾値LT付近の運動強度に至ったときに、駆出時間変化検出部100から出力されることが可能な心拍数に基づいて、運動強度の上限と下限の範囲を心拍数で設定することができる。図5(A)〜図5(C)は運動負荷強度評価装置として腕時計型のものを示したが、本発明を運動機器に適用する場合には、被験者の脈波または心電図を検出する検出部のみを被験者に装着し、その他の構成は運動機器本体に装着してもよい。
【0072】
図14は走行マシーン300を示し、被験者の耳から脈波を検出する脈波検出部310が装置本体部320に接続されている。もちろん、耳以外の部分から脈波を検出してもよく、上述の実施形態のように指先の他、手首などでも良い。
【0073】
図14に示す走行マシーン300では負荷出力部としての走行ベルト330の速度が本体320での制御に基づき可変である。装置本体部320には記憶媒体挿入口322に対して記憶媒体324が挿脱可能となっている。この記憶媒体324に被験者に固有の運動メニューが記録され、その運動メニューは装置本体部320に設けた出力部例えば表示部326に表示可能となっている。この表示部326は、運動負荷強度が乳酸閾値を超えた運動領域に入ったことを告知する告知部として兼用できる。
【0074】
運動メニューとしては、上述した運動負荷強度評価装置を用いて、各個人について運動負荷強度と心臓の駆出時間とを予め測定しておき、各個人について安全でかつ効果的な運動メニューを設定できる。安全でかつ効果的な運動メニューは、被験者について運動負荷強度と駆出時間との相関より予め求められる乳酸閾値LTに基づいた所定の運動負荷強度範囲に設定される。この運動負荷強度範囲は、例えば心臓疾患者あるいは一般健常者などに対しては乳酸閾値LT付近に設定するとよい。これに限らず、例えば競技者の場合には乳酸閾値LTを超える範囲に設定してもよい。こうすると、例えば実際の競技でのラストスパートなどの極限の運動状況を運動機器にて再現でき、効果的な訓練となる。
【0075】
図15はペダルマシーン340に本発明を適用したものである。この例では、被験者の胸部に装着される心電図検出部350が装置本体部360に接続されている。ペダルマシーン340の負荷出力部はペダル370であり、装置本体部370での制御に基づきペダル370を回転するのに要する負荷が可変である。なお、心電図検出部350は、図1に示す心電波形SWを検出する。装置本体部360内には、その心電波形SWの中から図1に示すQ−T時間を駆出時間EDとして測定する駆出時間測定部が設けられる。また、図15では省略してあるが、図14に示す記録媒体挿入部322、記録媒体324及び表示部326が同様にして設けられている。
【0076】
なお、本発明は上述した各種の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0077】
なお、上述した実施形態での駆出時間に代えて、心拍の一周期(図1に示す心電波形SW中のR−R時間または脈波波形MH2,MH3中のP0−P0時間)に対する駆出時間EDの割合(正規化された駆出時間という)を指標とし、それに基づいて乳酸閾値LTに達したか否かなどを検出しても良い。ここで、心拍の一周期は運動負荷強度が大きくなるに従い、乳酸閾値LTの前後に拘らずほぼ一定の比率で短くなる。これに対して、駆出時間EDは図2の通り乳酸閾値LTの前後で変化率が異なる。よって、正規化された駆出時間は、乳酸閾値LTに達するまでは、運動負荷強度が大きくなるに従い心拍の一周期の減少率とほぼ比例して小さくなるのに対し、乳酸閾値LTに達した以降の減少率は顕著に小さくなる。なぜなら、乳酸閾値LTに達した以降は心拍の一周期と駆出時間との双方が減少するからである。このことを利用して、上述の各種実施形態にて正規化された駆出時間から乳酸閾値LTに達したことを告知し、あるいは運動中の負荷強度を告知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 心臓から流出する直後の脈波波形と末梢部の脈波波形との関係を示す図である。
【図2】 運動負荷強度、血液中の乳酸量及び駆出時間の関係を示す特性図である。
【図3】 橈骨駆出時間と心音収縮時間との関係を示す特性図である。
【図4】 本発明の実施形態に係る運動負荷強度評価装置のブロック図である。
【図5】 図5(A)、図5(B)及び図5(C)は、本発明の実施形態に係る運動負荷強度評価装置の外観図である。
【図6】 図5(B)に示す脈波検出部の回路構成の一例を示す回路図である。
【図7】 一次・二次微分回路を有する駆出時間測定部のブロック図である。
【図8】 図8(A)は体動波形が除去された脈波の原波形PTG、図8(B)は一次微分波形FDPTG(速度波形)、図8(C)は二次微分波形SDPTG(加速度波形)をそれぞれ示す波形図である。
【図9】 コンパレータにて脈波を比較値と比較することで生成される、駆出時間と相関のある矩形波を示す特性図である。
【図10】 脈波から図9に示す矩形波を生成するヒステリシス付コンパレータの回路図である。
【図11】 駆出時間に相当する周波数スペクトルを監視する運動負荷強度評価装置の変形例を示すブロック図である。
【図12】 体動除去は周波数スペクトルに基づいて除去し、駆出時間は脈波の二次微分波形の特徴から測定する運動負荷強度評価装置の変形例を示すブロック図である。
【図13】 予め測定した駆出時間と運動負荷強度との相関データに基づき、運動時に測定した駆出時間からその運動負荷強度を検出できる変形例のブロック図である。
【図14】 本発明の運動機器の一例である走行マシーンの概略説明図である。
【図15】 本発明の運動機器の他の一例であるペダルマシーンの概略説明図である。
【符号の説明】
10 運動負荷強度評価装置、 11 駆出時間測定部、 60 脈波検出部、70 体動波形検出部、 80 体動波形除去部、 90 駆出時間算出部、92 一次微分部、 94 二次微分部、 96 ヒステリシス付コンパレータ、 100 駆出時間変化検出部、 110 告知部、 120 第1のフーリエ変換部、 130 第2のフーリエ変換部、 140 逆フーリエ変換部、 200 入力部、 210 記憶部、 220 運動負荷強度検出部、 300,340 運動機器、 310 脈波検出部、 320,360 装置本体、 322 記録媒体挿入口、 324 記録媒体、 326 出力部(表示部)、330,370 負荷出力部、 350 心電図検出部

Claims (27)

  1. 運動中の被験者の心臓の駆出時間を非侵襲的に測定する駆出時間測定部と、
    時間経過毎に前記駆出時間測定部にて測定される前記駆出時間が入力され、各駆出時間の変化を検出する駆出時間変化検出部と、
    を有する運動負荷強度評価装置。
  2. 請求項1において、
    前記被験者の運動負荷強度を測定する運動負荷強度測定部をさらに有し、
    前記駆出時間変化検出部は、前記運動負荷強度測定部の出力に基づいて、異なる運動負荷強度に対応する駆出時間の変化を検出する運動負荷強度評価装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記駆出時間測定部は、運動中の被験者の心電図を計測する心電図計測部を含み、心臓の駆出時間を反映する前記心電図の特徴より前記駆出時間を測定する運動負荷強度評価装置。
  4. 請求項1または2において、
    前記駆出時間測定部は、運動中の被験者に装着され、非侵襲的に末梢における脈波を検出する脈波検出部を含み、心臓の駆出時間を反映する前記脈波の特徴より前記駆出時間を測定する運動負荷強度評価装置。
  5. 請求項1または2において、
    前記駆出時間測定部は、
    運動中の被験者に装着され、非侵襲的に末梢における脈波を検出する脈波検出部と、
    前記脈波検出部からの出力に基づいて、前記心臓の駆出時間補正する駆出時間補正部と、
    を有する運動負荷強度評価装置。
  6. 請求項4または5において、
    前記駆出時間測定部は、
    前記被験者の運動による体動に起因した、体動波形を検出する体動波形検出部と、
    前記脈波検出部からの脈波より、前記体動波形検出部からの体動波形を除去する体動波形除去部と、
    をさらに有し、
    前記駆出時間測定部は、前記体動波形が除去された脈波に基づいて駆出時間を測定する運動負荷強度評価装置。
  7. 請求項4乃至6のいずれかにおいて、
    前記駆出時間測定部は、前記脈波の立ち上がりからディクロティクノッチに至るまでの時間間隔を測定する運動負荷強度評価装置。
  8. 請求項4乃至7のいずれかにおいて、
    前記駆出時間測定部は、前記脈波を一次微分する一次微分部と、一次微分波形を二次微分する二次微分部とを有し、二次微分波形に基づいて前記駆出時間を測定する運動負荷強度評価装置。
  9. 請求項4乃至8のいずれかにおいて、
    前記駆出時間測定部は、前記脈波の波高値と基準値とを比較するコンパレータを含み、前記コンパレータからの矩形波の波幅に基づいて前記駆出時間を測定する運動負荷強度評価装置。
  10. 請求項9において、
    前記コンパレータは、帰還抵抗が正の入力端子に接続されたヒステリシス付コンパレータである運動負荷強度評価装置。
  11. 請求項4または5において、
    前記駆出時間測定部は、前記脈波検出部からの脈波をフーリエ変換するフーリエ変換部をさらに有し、
    前記駆出時間測定部は、フーリエ変換された周波数スペクトルの中から、心臓の駆出時間を反映する前記脈波の特徴に基づく周波数スペクトルを抽出し、
    前記駆出時間変化検出部は、時間経過毎に前記駆出時間測定部より抽出された周波数スペクトルの周波数の変化を検出する運動負荷強度評価装置。
  12. 請求項6において、
    前記駆出時間測定部は、
    前記脈波検出部からの脈波をフーリエ変換する第1のフーリエ変換部と、
    前記体動波形検出部からの体動波形をフーリエ変換する第2のフーリエ変換部と、
    をさらに有し、
    前記体動波形除去部は、前記第1,第2のフーリエ変換部からの各周波数帯域の周波数スペクトルのうち、同一周波数の周波数スペクトル同士を減算する運動負荷強度評価装置。
  13. 請求項12において、
    前記駆出時間測定部は、前記体動波形除去部からの周波数スペクトルの中から、心臓の駆出時間を反映する前記脈波の特徴に基づく周波数スペクトルを抽出し、
    前記駆出時間変化検出部は、時間経過毎に前記駆出時間測定部より抽出された周波数スペクトルの周波数の変化を検出する運動負荷強度評価装置。
  14. 請求項12において、
    前記駆出時間測定部は、前記体動波形除去部からの出力を逆フーリエ変換する逆フーリエ変換部と、逆フーリエ変換された脈波を一次微分する一次微分部と、一次微分波形を二次微分する二次微分部とを有し、二次微分波形に基づいて前記駆出時間を測定する運動負荷強度評価装置。
  15. 請求項1乃至14のいずれかにおいて、
    前記駆出時間変化検出部の出力に基づいて、乳酸閾値を超えたことを告知する告知部をさらに有する運動負荷強度評価装置。
  16. 請求項1乃至14のいずれかにおいて、
    前記駆出時間変化検出部の出力に基づいて、無酸素運動に入ったことを告知する告知部をさらに有する運動負荷強度評価装置。
  17. 運動中の被験者の心臓の駆出時間を非侵襲的に測定する駆出時間測定部と、
    前記駆出時間あるいは、前記駆出時間での心拍の1周期に相応する心拍数と、運動負荷強度との相関データを記憶する記憶部と、
    前記駆出時間測定部にて測定される前記駆出時間に基づいて、前記記憶部より対応する運動負荷強度を検出する運動負荷強度検出部と、
    を有する運動負荷強度評価装置。
  18. 請求項17において、
    時間経過毎に前記駆出時間測定部にて測定される前記駆出時間が入力され、各駆出時間の変化を検出する駆出時間変化検出部がさらに設けられ、
    前記運動負荷強度検出部は、前記駆出時間変化検出部にて前記駆出時間が変化した時に、前記運動負荷強度を検出する運動負荷強度評価装置。
  19. 請求項1乃至18のいずれかにおいて、
    前記駆出時間に代えて、心拍の一周期に対する駆出時間の割合を指標として用いる運動負荷強度評価装置。
  20. 請求項1乃至18のいずれかにおいて、
    前記駆出時間変化検出部は、前記駆出時間が変化した時に心拍の1周期を出力する運動負荷強度評価装置。
  21. 請求項15または16において、
    前記告知部は、安全な運動範囲を超える駆出時間を記憶する記憶部を有し、策定された駆出時間が前記記憶部に記憶された駆出時間よりも短くなったときに、安全域を外れたことを告知する運動負荷強度評価装置。
  22. 請求項1乃至21のいずれかに記載の運動負荷強度評価装置を含む運動機器。
  23. 請求項22において、
    前記駆出時間変化検出部にて出力された心拍の1周期に基づいて運動負荷強度の範囲を心拍数の範囲で設定する運動機器。
  24. 請求項22または23において、
    運動負荷強度が異なる運動メニューを出力する出力部をさらに有する運動機器。
  25. 請求項22または23において、
    運動負荷強度が異なる運動メニューに従って、前記被験者が体得する運動負荷を出力する負荷出力部をさらに有する運動機器。
  26. 請求項24または25において、
    前記運動メニューは、前記被験者について運動負荷と駆出時間との相関より求められる乳酸閾値に基づいた所定の運動負荷強度範囲に設定されている運動機器。
  27. 請求項26において、
    前記運動メニューを記憶する記憶媒体が着脱自在である運動機器。
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