JP4091217B2 - X-ray tube - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線を発生させるX線管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
X線管においては、高真空の管内でカソードを加熱して電子を放出させる電子銃を用い、電子銃から出射された電子を、高電圧を印加した陽極ターゲットのX線発生面に入射することによってX線を発生させる。
【0003】
このようなX線管としては、例えば特開平7−296751号公報に示されたものがある。このX線管では、電子銃及び電子銃が収納されている第1の筒状部材の中心軸と、ターゲット及びターゲットが収納されている第2の筒状部材の中心軸とが略直交するように各部が構成されている。これによって、電子銃からターゲットへの電子入射軸とターゲットから外部へのX線出射軸とが略直交し、また、ターゲット及びターゲットの先端部分に電子の加速・軌道制御のために取り付けられるフード電極の中心軸がX線出射軸と略平行とされたX線管が構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
X線は、多くの物質・物体に対して透過性の良い電磁波であり、物体の内部構造の非破壊・非接触検査等に多く用いられる。そのような検査対象の1つである半導体電子部品は近年小型化と高密度化が進んでおり、それに伴って検査に用いるマイクロフォーカスX線管(MFX)に対しても、X線透視画像の高解像度化が可能なX線管が望まれている。
【0005】
このような用途においてX線透視画像を鮮明にするには、(1)高拡大、(2)小焦点、及び(3)高コントラストの3つの条件を満たす必要がある。すなわち、(1)高拡大によってより細かい構造を観測することができ、(2)小焦点によって輪郭が明確な画像を得ることができ、また、(3)高コントラストによって明暗がはっきりした画像を得ることができる。
【0006】
上記したようなX線管においては、X線発生面における電子の入射点がX線の発生点となるが、電子銃から入射された電子のX線発生面上の入射点・集束点での電子ビーム径が充分に小さくならないため、高解像度化に必要な上記した条件のうち(2)の小焦点、及び(3)の高コントラストが充分に得られないという問題があった。すなわち、電子の集束点でのビーム径の大きさに対応してX線の発生位置の広がりが増大してしまうことによって、焦点が大きくされて画像の輪郭が不明確になり、また、周辺に広がった電子の入射点からのX線のノイズ成分が増大してコントラストが低下するという問題を生じる。
【0007】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、X線発生面に入射される電子の集束ビーム径が小さくされて、得られるX線ビームの広がりが低減されたX線管を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明によるX線管は、カソードから電子入射軸の方向に電子を放出する電子銃と、電子をそのX線発生面に入射させることによってX線を発生させてX線出射軸の方向に出射するターゲットと、を有し、ターゲットの中心軸がX線出射軸に対して略平行となるように構成されたX線管において、電子銃のカソードと、ターゲットのX線発生面と、の間に、(1)カソードからの電子による電流を制限する第1グリッド電極と、(2)第1グリッド電極を通過した電子を加速する第2グリッド電極と、(3)第2グリッド電極を通過した電子の軌道の広がりを制御する補助集束電極系と、(4)電子をX線発生面上の所定の電子入射点へと集束させるフォーカスグリッド電極と、を順次備えるとともに、(5)カソードから放出された電子がカソードの近傍において一度集束される仮想物点からフォーカスグリッド電極までの距離が、フォーカスグリッド電極から電子入射点までの距離よりも大きいことを特徴とする。
【0009】
X線発生面における電子の集束ビーム径は、カソードからターゲットへの電子レンズ系による拡大率に大きく依存し、その拡大率はカソード近傍に形成される仮想物点からフォーカスグリッド電極までの距離aと、フォーカスグリッド電極から電子入射点までの距離bとの比によって決まる。従来のX線管においてはこの距離がa<bとなるように形成されており、この場合、拡大率は大きくなる。
【0010】
そして、拡大率が大きいと、仮想物点がX線発生面上に再び結像される電子入射点の集束ビーム径を充分に小さくすることができない。それによって、得られるX線のビーム径(軌道ばらつき)及びノイズ成分(すそ広がり)が増大して、X線透視画像における小焦点及び高コントラストの条件が達成できない。
【0011】
これに対して上記したX線管は、距離a及びbが条件a>bを満たすように構成されている。これによって、電子レンズ系の拡大率を小さくしてビーム径を小さくすることができる。
【0012】
しかしながら、このような構成としたことによって、カソードからフォーカスグリッド電極までの距離が大きくなってしまうため、その間での電子軌道広がりが大きくなる。このとき、電子軌道の広がりによって主レンズであるフォーカスグリッド電極で作られる電子レンズの収差の影響等を受けやすくなるという問題を生じてしまう。したがって、a>bとすることによってビーム径は小さくなり小焦点となるが、ノイズ成分を低減することができず、X線画像を高コントラスト化することができない。
【0013】
これに対して上記したX線管においては、さらに、カソードからフォーカスグリッド電極までの電子軌道の広がりを抑制するように電子軌道の制御を行うために、少なくとも1つの補助集束電極を有する補助集束電極系を設置している。これによって、上記した収差の影響によるノイズ成分の増大についても抑制することが可能となり、したがって、X線のビーム径を小さくすることによる小焦点化と、ノイズ成分を低減することによる高コントラスト化とをともに達成することができる。
【0014】
また、補助集束電極系は、第1補助集束電極を少なくとも有し、カソードに設定される電位V0、第1グリッド電極に設定される電位V1、第2グリッド電極に設定される電位V2、第1補助集束電極に設定される電位V3が、
V1≦V0≦V3<V2
の関係を満たすことを特徴とする。
【0015】
このように各電位を設定することによって、第1グリッド電極の電流制限機能、第2グリッド電極の電子加速機能、及び補助集束電極系による軌道広がり抑制の機能を効率的に実現することができる。
【0016】
さらに、補助集束電極系は、第1補助集束電極及びフォーカスグリッド電極の間に設けられた第2補助集束電極をさらに有し、第2補助集束電極に設定される電位V4が、
V2=V4
の関係を満たすことを特徴としても良い。
【0017】
これによって、補助集束電極系での制御用の電子レンズを好適に形成することができる。なお、補助集束電極系を構成する電極の設置個数や設定電圧等については、上記以外にも様々に設定することができる。
【0018】
また、フォーカスグリッド電極は、電子銃の外囲容器からターゲットの方向に突出して形成されていることを特徴としても良い。
【0019】
これによって、フォーカスグリッド電極からカソード近傍の仮想物点までの距離を遠くして、容易に距離に対する条件a>bを実現することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明によるX線管の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0021】
図1は、本発明によるX線管の第1の実施形態の構成を示す断面図であり、図1(a)はX線管1の横断面図、図1(b)は縦断面図を示す。これらは、いずれも後述する電子入射軸・電子入射軌道leを含む平面での断面を示している。図1(a)及び(b)に示すように、X線管1は、電子を発生・放出させる電子銃部2と、電子銃部2からの電子を受けてX線を発生させるX線発生部3と、を備えて構成されている。
【0022】
電子銃部2は、各構成要素を収容するとともにその中心軸が電子入射軸と略平行に設置された外囲容器21を備え、容器21内には外部からの電力供給により発熱するヒータ22が設けられている。また、電子銃部2には、ヒータ22によって熱せられ電子を放出するカソード23、カソード23から放出された電子を所定の条件で引き出すための第1グリッド電極26、第2グリッド電極27、電子軌道を制御・設定するための第1補助集束電極61と第2補助集束電極62とからなる補助集束電極系6、及び電子を集束させるフォーカスグリッド電極24が設けられている。
【0023】
さらに、容器21には、カソード23から放出されフォーカスグリッド電極24により集束された電子を出射するための電子通過口25が形成されている。なお、本実施形態においては、電子通過口25の縁部分をフォーカスグリッド電極24として機能させている。この電子銃部2から、電子入射軸方向の電子入射軌道leによって電子が放出され、X線発生部3へと入射される。
【0024】
一方、X線発生部3は、各構成要素を収容するとともにその中心軸がX線出射軸と略平行に設置された外囲容器31を備えている。容器31は、電子銃部2の容器21と電子通過口25を介して連通されており、したがって、カソード23から放出される電子を入射できる構造になっている。これらの容器21及び31は密封されており、その内部がほぼ真空状態に保たれている。
【0025】
容器31の内部には、電子銃部2からの電子を受けてX線を発生させるターゲット4が設置されている。このターゲット4は金属製の棒状体であって、その中心軸をX線出射軸方向とし、電子銃部2からの電子入射軸に対して略直交する向きとして配置されている。ターゲット4の先端部分40に形成されている先端面は電子銃部2からの電子を受けてX線を発生させるX線発生面41である。X線発生面41は、電子が入射される電子入射軌道le前方の位置に、ターゲット4の中心軸に対して、したがって電子入射軸及びX線出射軸に対してそれぞれ所定の角度で斜め(直交せず、かつ平行でない)となる平面状に形成されて配置されている。このX線発生部3に電子銃部2からの電子が入射して、X線発生面41の電子入射点PiからX線出射軸方向のX線出射軌道lxによってX線が発生・出射される。
【0026】
ここで、本実施形態においては、後述する仮想物点Pcからフォーカスグリッド電極24の開口部である電子通過口25の通過点Pfまでの距離aが、通過点Pfから電子入射点Piまでの距離bよりも大きくなる(a>b)ように設定されている。
【0027】
なお、互いに略直交する電子入射軌道le及びX線出射軌道lxは、それぞれ実際には所定の広がりを有する範囲の軌道であるが、図1においては、簡単のためそれぞれ電子入射軸及びX線出射軸と一致させて示してある。
【0028】
容器31には、所定の位置に形成された開口部分にX線出射窓32が設けられている。X線出射窓32は、ターゲット4のX線発生面41から発せられたX線を容器31の外部へと出射させるための窓であり、例えば、X線透過材であるBe材からなる板材などにより構成される。このX線照射窓32は、ターゲット4の先端面であるX線発生面41に面するX線出射軌道lx前方の位置に設けられている。また、X線出射窓32は、その中心がターゲット4の中心軸の延長上に略一致するように配置され、X線出射軸がその内側を通過するように形成されている。
【0029】
ターゲット4の先端部分40には、フード電極5が取り付けられている。フード電極5は、X線発生面41へと進入するカソード23からの電子を加速するとともにその軌道を制御する機能を有し、ターゲット4の中心軸・X線出射軸とほぼ平行な金属製の筒状体として形成されている。フード電極5の筒状の形状については、その内径がターゲット4の先端部分40の外径とほぼ同一径とされ、また、その軸方向の長さ寸法が先端部分40の長さとほぼ同一寸法とされている。これらのターゲット4及びフード電極5には、電子銃部2の電子通過口25の縁部分であるフォーカスグリッド電極24の電位に対して、正の高電圧が印加されている。
【0030】
このフード電極5は、X線発生面41の周囲を覆うように設置されており、筒状の一端側のX線出射窓32と対向している開口部分が、ターゲット4のX線発生面41からのX線がX線出射軌道lxに沿って通過するX線出射口51となるように配置されている。また、周面の電子通過口25と対向している所定の部位には、電子銃部2のカソード23からの電子が電子入射軌道leに沿って通過する電子入射口52が形成されている。本実施形態においては、電子入射口52はターゲット4の軸方向について、電子入射軸に対してほぼ対称な開口範囲となる形状に形成されている。
【0031】
図2は、図1に示したX線管1について、電子銃部2の容器21内に設置されたカソード23及び電極26、27、61、62の構成を拡大して示す断面図である。また図中には、これらの電極によって制御・形成された電子軌道leについても、中心軌道及び両端側の軌道を例として示してある。
【0032】
図2に示した電極構成において、電位V0に設定されたカソード23から放出された電子は、電位V1に設定された第1グリッド電極26の開口部26a内、及び電位V2に設定された第2グリッド電極27の開口部27a内を順次通過する。
【0033】
第1グリッド電極電位V1は、好ましくはカソード電位V0に対してV1≦V0を満たすように設定されている。これによって、第1グリッド電極26はカソード23からの電子に対して電流制御用電極として機能する。この第1グリッド電極26の開口部26a近傍、またはそこから第2グリッド電極27の開口部27aまでの領域など、カソード23の近傍における所定の位置に、電子が一度集束される仮想物点(クロスオーバーポイント)Pcが形成される。
【0034】
また、第2グリッド電極電位V2は、好ましくはカソード電位V0に対してV0<V2を満たすように設定されている。これによって、第2グリッド電極27は電子に対して電子加速用電極として機能する。第1グリッド電極26の開口部26a内を通過した電子は、仮想物点Pcにおいて一度集束された後、この第2グリッド電極27によってX線発生部3の方向へと加速されて引き出される。
【0035】
加速された電子は、電位V3に設定された第1補助集束電極61の開口部61a内、及び電位V4に設定された第2補助集束電極62の開口部62a内を順次通過する。これらの第1補助集束電極61及び第2補助集束電極62によって、本実施形態の電子銃部2において電子の軌道広がりの制御・調整を行う補助集束電極系6が構成されている。
【0036】
第1補助集束電極電位V3は、好ましくはV0≦V3<V2を満たすように設定され、また、第2補助集束電極電位V4は、好ましくはV2=V4を満たすように設定されている。これによって、第1補助集束電極61の周囲に電子レンズとなる電界を形成させて、補助集束電極系6通過後の電子軌道の広がりが低減されるように電子の軌道調整(プリフォーカス)が行われる。
【0037】
ここで、以上の電位設定をまとめると、
V1≦V0≦V3<V2=V4
となる。ただし、各電極の電位設定についてはこの条件を満たす設定に必ずしも限られるものではなく、電子軌道を好適に制御可能であれば、この条件を満たさない電位に設定しても良い。
【0038】
以上のように形成・設定された電子銃部2を含むX線管1全体の動作は以下のようになる。
【0039】
ターゲット4及びフード電極5に正の高電圧が印加されると、ターゲット4及びフード電極5は、電子銃部2の電子通過口25の縁部であるフォーカスグリッド電極24に対して正の高電位となるため、電子銃部2と、ターゲット4及びフード電極5との間の空間に所定の電界が形成される。
【0040】
これにより、電子銃部2のカソード23から放出された電子は、上記した第1、第2グリッド電極26、27によって引き出され、第1、第2補助集束電極61、62からなる補助集束電極系6によって軌道広がりが小さくなるように軌道調整された後、フォーカスグリッド電極24によって集束されて電子通過口25を通過する。さらに、電子銃部2と、ターゲット4及びフード電極5との間の電界によって加速されて、フード電極5の電子入射口52を通過してターゲット4のX線発生面41上に形成された電子の集束点である所定の電子入射点Piへと進入・入射される。
【0041】
そして、電子がX線発生面41に入射することによって、その電子入射点PiにおいてX線が発生する。発生したX線は、フード電極5のX線出射口51、及びBe製のX線出射窓32を通過してX線出射軌道lxの方向に出射される。ここで、X線発生面41における電子入射点(X線発生点)Piは、ほぼターゲット4の中心軸上となるように構成されている。したがって、X線出射軸はターゲット4の中心軸と略一致している。また、X線発生面41で発生されたX線については、このX線出射軸を含み、X線出射窓32等によって制限・決定される所定の軌道範囲で放出された成分がシグナル成分として外部へと出射される。
【0042】
次に、本実施形態によるX線管1の効果について説明する。
【0043】
X線管に適用される電子銃部においては、カソードからの電子の軌道がカソード近傍でいったん交差・集束されて、仮想物点(クロスオーバーポイント)が形成される。そして、この仮想物点から再び軌道が広がった電子ビームが、フォーカスグリッド電極の開口部で形成される電子レンズによってターゲットのX線発生面上に微小焦点で集束される。
【0044】
このとき、X線発生面上の集束点・電子入射点での電子ビーム径は、フォーカスグリッド電極等からなる電子銃の電子レンズ系の拡大率に大きく依存する。すなわち、カソード近傍の仮想物点をターゲットのX線発生面上に結像する拡大率を小さくすることによって電子ビーム径を小さくすることができ、反対に、拡大率を大きくすることによって電子ビーム径は大きくなる。
【0045】
この拡大率は、幾何学的には物点から主レンズまでの距離aと、主レンズから集束点までの距離bの比b/aで決定される。上記のX線管1においては、距離aはカソード23近傍の仮想物点Pcからフォーカスグリッド電極24の開口部(本実施形態においては電子通過口25)の通過点Pfまでの距離に、また、距離bは通過点Pfから電子入射点Piまでの距離にそれぞれ対応している(図1参照)。
【0046】
従来のX線管においては、例えば特開平7−296751号に示されているX線管のように、仮想物点からフォーカスグリッド電極までの距離aは、フォーカスグリッド電極から電子入射点までの距離bに比べて小さく設定されている(a<b)。そのため、仮想物点をターゲットのX線発生面上に結像する拡大率が充分小さくならず、電子入射点における電子ビーム径を小さくすることが困難である。
【0047】
このような従来のX線管における電子軌道、及び得られるX線出力分布を図3(a)及び(b)に示す。図3(a)は、a<bとされている従来型のX線管の構成を一部拡大して示す端面図であり、図中、矢印付き実線はカソード(図示していない)からターゲット4のX線発生面41への電子軌道leを、破線は各電極等によって形成される電界の等電位面を示している。また、各電極等に設定されている電位はそれぞれ、
カソード23 :V0=−600V
第1グリッド電極26 :V1=−650V
第2グリッド電極27 :V2=0V
フォーカスグリッド電極24:Vf=0V
ターゲット4 :Vt=60kV
である。
【0048】
カソードから放出された電子は、第1グリッド電極(図示していない)によって仮想物点Pcを形成した後、第2グリッド電極27を通過し、フォーカスグリッド電極24によって集束される。さらに、ターゲット4及びフード電極5への電界によって加速されて、X線発生面41上の集束点である電子入射点Piに入射される。このとき、仮想物点Pcから通過点Pfまでの距離aが通過点Pfから電子入射点Piまでの距離bよりも小さいので、電子レンズ系の拡大率が大きくなり、したがって、電子入射点Pi上に集束された電子ビーム径が大きくなってしまう。
【0049】
ターゲット上の集束点における電子ビーム径の広がりが大きくなると、X線発生点の範囲が広くなるために、得られるX線の発生位置及び発生後の軌道にばらつきを生じる。また、ターゲット上の集束点における電子ビーム広がりのうち、すそ広がりはX線のノイズ成分増大の原因ともなる。すなわち、電子入射点Pi上での電子ビーム径が大きくなることによって、得られるX線においても、図3(b)にX線の2次元出力分布(右側のグラフ)、及びこの2次元出力分布をx軸方向について投影した1次元出力分布(左側のグラフ)によって示すように、出力分布範囲が大きくなってしまう。ここで、2次元出力分布における実線の範囲は得られるX線ビームのビーム径(軌道ばらつき)を、また、破線の範囲はX線ビームのノイズ成分(すそ広がり)を主に示しているが、このX線管においては、そのいずれも大きくなっている。
【0050】
このようなX線管からのX線を非破壊検査によるX線透視画像の取得に適用した場合、マイクロフォーカスが充分でないため、X線のビーム径が大きくなることによって画像の輪郭が不明確となるとともに、X線のノイズ成分が多くなることによってコントラストが低下してしまう。したがって、X線画像の高解像度化に必要な(1)高拡大、(2)小焦点、及び(3)高コントラストのうち、(2)の小焦点、及び(3)の高コントラストが充分に得られないという問題がある。
【0051】
これに対して、本実施形態におけるX線管では、図1に示したように、上記した距離a及びbが条件a>bを満たすように電子銃部2及びX線発生部3の各部を構成している。具体的には、aを大きくするか、またはbを小さくすることによって、拡大率を小さくしてX線発生面41上の電子入射点Piでの電子ビーム径を小さくすることができるが、距離bを小さくしてしまうと、フォーカスグリッド電極24と、ターゲット4及びフード電極5との距離が小さくなってしまうため、その間の高電圧によって放電を生じてしまう。このため、本実施形態においては、カソード23から電子通過口25までの距離を大きくすることによって、仮想物点Pcからフォーカスグリッド電極24の通過点Pfまでの距離aを大きくして、上記した条件a>bを実現している。
【0052】
上記のように構成されたX線管における電子軌道、及び得られるX線出力分布を図4(a)及び(b)に示す。このX線管の構成は図3に示したものとほぼ同様であるが、カソード、第1グリッド電極、及び第2グリッド電極27がフォーカスグリッド電極24から離れた位置に設置されており、これによって上記した条件a>bが満たされている。また、各電極等に設定されている電位はいずれも図3に示した例と同じである。
【0053】
このとき、仮想物点Pcから通過点Pfまでの距離aが通過点Pfから電子入射点Piまでの距離bよりも大きいので、電子レンズ系の拡大率が小さくなり、したがって、電子入射点Pi上での電子ビーム径は小さくなる。しかしながら、この場合には図4(a)に示されているように第2グリッド電極27からフォーカスグリッド電極24までの距離が大きいために、仮想物点(クロスオーバーポイント)での電子ビームの発散角によって主レンズであるフォーカスグリッド電極24までの間で電子ビーム軌道が大きく広がってしまう。
【0054】
これによって、電子軌道がフォーカスグリッド電極24で作られる電子レンズの収差などの影響を受けやすくなり、入射電子分布のすそ広がりが大きくなってしまう。また、得られるX線においても、図4(b)にX線の2次元・1次元出力分布を示すように、ビーム径(実線)は小さいがノイズ成分(破線)が多いX線ビームとなる。この場合、X線透視画像においてはX線ビーム径が小さくされたことによって画像の輪郭が明確となる一方、X線のノイズ成分が多いためにコントラストが低下してしまい、X線画像の高解像度化を充分に達成することができない。
【0055】
これに対して、本実施形態におけるX線管ではさらに、図1及び図2のX線管1に示したように、カソード23及び第1、第2グリッド電極26、27と、フォーカスグリッド電極24との間の所定の位置に、第1、第2補助集束電極61、62からなる補助集束電極系6を設置し、これによって電子軌道を制御して上記した電子軌道の広がりを抑制している。
【0056】
条件a>bを満たすとともに、補助集束電極系6が設置されたX線管における電子軌道、及び得られるX線出力分布を図5(a)及び(b)に示す。このX線管の構成は図4に示したものとほぼ同様であるが、第2グリッド電極27及びフォーカスグリッド電極24の間に第1、第2補助集束電極61、62からなる補助集束電極系6が設置されている。また、各電極等に設定されている電位はそれぞれ、
カソード23 :V0=−600V
第1グリッド電極26 :V1=−650V
第2グリッド電極27 :V2=0V
第1補助集束電極61 :V3=−300V
第2補助集束電極62 :V4=0V
フォーカスグリッド電極24:Vf=0V
ターゲット4 :Vt=60kV
である。これらの電位は、条件V1≦V0≦V3<V2=V4を満たしている。
【0057】
V2=V4に設定された第2グリッド電極27及び第2補助集束電極62の間に位置してV3<V2=V4に設定された第1補助集束電極61によって、図中に破線で第1補助集束電極61を囲むように形成された電界を示すように電子レンズが形成されて、電子軌道が集束する方向、すなわち第2グリッド電極27からフォーカスグリッド電極24の間での電子軌道の広がりを低減する方向に、電子軌道が調整・制御される。
【0058】
このとき、仮想物点Pcから通過点Pfまでの距離aが通過点Pfから電子入射点Piまでの距離bよりも大きいので、電子レンズ系の拡大率が小さくなり、したがって、電子入射点Pi上での電子ビーム径は小さくなる。さらに、上記のように電子軌道の広がりが低減されることによって、主レンズとして機能するフォーカスグリッド電極24で作られる電子レンズの収差の影響を受けにくくなるので、電子分布のすそ広がりも低減される。したがって、得られるX線においても、図5(b)にX線の2次元・1次元出力分布を示すように、ビーム径(実線)及びノイズ成分(破線)の両者が小さくされたX線出力分布を実現することができる。この場合、X線透視画像においてはX線ビーム径が小さくされたことによって画像の輪郭が明確となるとともに、X線のノイズ成分が少なくされたことによってコントラストが向上されて、X線画像の大幅な高解像度化が達成される。
【0059】
図6は、マイクロフォーカスX線管を用いたワイヤボンディングの観測・検査を例として、X線ビームのビーム広がり(ビーム径及びノイズ成分)を小さくすることによる上記したX線透視画像の鮮明化の効果を説明する模式図である。図6(a)及び(b)は、それぞれ(a)正常なワイヤボンディングと、(b)断線したワイヤを示し、これらのワイヤボンディング部分を図3に示したa<bのX線管を用いて観測したときに得られる画像を図6(c)及び(d)に、図4に示したa>bのX線管を用いて得られる画像を図6(e)及び(f)に、また、図1、図2及び図5に示した本実施形態によるa>bかつ補助集束電極系を有するX線管を用いて得られる画像を図6(g)及び(h)にそれぞれ示す。
【0060】
a<bのX線管による図6(c)及び(d)に示した画像においては、焦点・ビーム径が大きいために輪郭が不明確であり、かつX線のノイズ成分が多くS/N比が悪いために明暗のコントラストが充分でなく、図6(d)においてもワイヤの断線を把握することができない。
【0061】
また、a>bのX線管による図6(e)及び(f)に示した画像においては、小焦点によって輪郭はほぼ明確であるが、X線のノイズ成分が多いために明暗のコントラストが充分でなく、図6(f)においてもなおワイヤの断線の把握が困難である。
【0062】
これに対して、図6(g)及び(h)に示した本実施形態のX線管による画像においては、輪郭が明確であることに加え、X線のノイズ成分が少なくされてS/N比が向上されていることによって明暗のコントラストが高くなり、したがって、図6(h)に示されているように、ワイヤの断線を明確に確認することができる。
【0063】
本発明によるX線管は、上記した実施形態に限らず、各電極の構成等を様々に変更することが可能である。
【0064】
図7は、本発明によるX線管の第2の実施形態の構成を示す断面図であり、図7(a)はX線管1の横断面図、図7(b)は縦断面図を示す。本実施形態によるX線管1の構成は第1の実施形態とほぼ同様であるが、補助集束電極系6が第1補助集束電極61のみによって構成されている。このような構成によっても、第1補助集束電極61の電位V3を、条件V0≦V3<V2を満たすように設定することによって、同様に電子軌道の広がりを低減する軌道調整が可能である。
【0065】
このように、補助集束電極系6を構成する補助集束電極については、個々のX線管における他の電極等の配置関係や電子軌道等に応じて、その設置個数及び設定電圧を適宜設定することが可能である。例えば、設置個数については、3個以上の電極からなる構成としても良く、また、設定電圧についても、電極個数やそれらの配置間隔・開口部形状等に応じて、好適な設定を選択することができる。
【0066】
図8は、本発明によるX線管の第3の実施形態の構成を示す断面図であり、図8(a)はX線管1の横断面図、図8(b)は縦断面図を示す。本実施形態によるX線管1の構成は第2の実施形態とほぼ同様であるが、フォーカスグリッド電極24及び電子通過口25が電子銃部2の外囲容器21のターゲット4側の面から突出するように形成されている。このような構造とすることによっても、距離についての条件a>bを実現することができる。
【0067】
【発明の効果】
本発明によるX線管は、以上詳細に説明したように、次のような効果を得る。すなわち、(1)カソード近傍に形成される仮想物点からフォーカスグリッド電極の通過点までの距離aを、通過点からX線発生面上の電子入射点までの距離bよりも大きく設定する(a>b)ことによって、X線発生面上に集束される電子ビーム、及び得られるX線ビームにおけるビーム径(軌道ばらつき)が低減される。さらに、(2)カソード及び第1、第2グリッド電極と、フォーカスグリッド電極との間に補助集束電極系を設けて、その間での電子軌道の広がりが低減されるように電子軌道を制御・調整することによって、フォーカスグリッド電極の収差の影響等が抑制されて、電子ビーム及びX線ビームにおけるノイズ成分(すそ広がり)が低減される。
【0068】
このような構成を有するマイクロフォーカスX線管によってX線透視画像を取得した場合、ビーム径の低減によって小焦点化が、また、ノイズ成分の低減によって高コントラスト化が達成されるので、X線画像の高解像度化が実現される。これによって、例えばX線を用いた非破壊検査による検査対象の1つである小型化・高密度化が進んだ半導体電子部品に対しても、その構造を効率的に観測することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】X線管の第1の実施形態の構成を示す(a)横断面図、及び(b)縦断面図である。
【図2】図1に示したX線管の電子銃部を一部拡大して示す端面図である。
【図3】従来のa<bであるX線管における(a)電子軌道を示す端面図、及び(b)X線出力分布を示すグラフである。
【図4】a>bであるX線管における(a)電子軌道を示す端面図、及び(b)X線出力分布を示すグラフである。
【図5】図1に示したX線管における(a)電子軌道を示す端面図、及び(b)X線出力分布を示すグラフである。
【図6】図1に示したX線管を用いて得られるX線透視画像を従来のX線管等を用いた場合と比較するための模式図である。
【図7】X線管の第2の実施形態の構成を示す(a)横断面図、及び(b)縦断面図である。
【図8】X線管の第3の実施形態の構成を示す(a)横断面図、及び(b)縦断面図である。
【符号の説明】
1…X線管、
2…電子銃部、21…容器、22…ヒータ、23…カソード、24…フォーカスグリッド電極、25…電子通過口、26…第1グリッド電極、27…第2グリッド電極、
3…X線発生部、31…容器、32…X線出射窓、4…ターゲット、40…先端部分、41…X線発生面、5…フード電極、51…X線出射口、52…電子入射口、
6…補助集束電極系、61…第1補助集束電極、62…第2補助集束電極。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an X-ray tube that generates X-rays.
[0002]
[Prior art]
In an X-ray tube, an electron gun that emits electrons by heating a cathode in a high vacuum tube is used, and electrons emitted from the electron gun are incident on an X-ray generation surface of an anode target to which a high voltage is applied. To generate X-rays.
[0003]
An example of such an X-ray tube is disclosed in Japanese Patent Laid-Open No. 7-296751. In this X-ray tube, the central axis of the first cylindrical member in which the electron gun and the electron gun are accommodated is substantially orthogonal to the central axis of the second cylindrical member in which the target and the target are accommodated. Each part is configured. As a result, the electron incident axis from the electron gun to the target and the X-ray emission axis from the target to the outside are substantially orthogonal, and the hood electrode is attached to the target and the tip of the target for electron acceleration and trajectory control. An X-ray tube having a central axis substantially parallel to the X-ray emission axis is configured.
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
X-rays are electromagnetic waves that are highly permeable to many substances and objects, and are often used for non-destructive and non-contact inspection of the internal structure of objects. In recent years, semiconductor electronic components, which are one of such inspection objects, have been reduced in size and increased in density, and accordingly, a microfocus X-ray tube (MFX) used for inspection is also capable of X-ray fluoroscopic images. An X-ray tube capable of increasing the resolution is desired.
[0005]
In order to make a fluoroscopic image clear in such applications, it is necessary to satisfy three conditions: (1) high magnification, (2) small focus, and (3) high contrast. That is, (1) a finer structure can be observed with high magnification, (2) an image with a clear outline can be obtained with a small focal point, and (3) an image with clear contrast can be obtained with high contrast. be able to.
[0006]
In the X-ray tube as described above, an electron incident point on the X-ray generation surface is an X-ray generation point. However, an electron incident from an electron gun is incident at an incident point / focusing point on the X-ray generation surface. Since the electron beam diameter is not sufficiently reduced, there has been a problem that (2) the small focal point and (3) the high contrast cannot be obtained sufficiently among the above-mentioned conditions necessary for high resolution. That is, the spread of the X-ray generation position increases corresponding to the size of the beam diameter at the focal point of electrons, so that the focal point is enlarged and the outline of the image becomes unclear. There is a problem that the noise component of the X-ray from the incident point of the spread electrons increases and the contrast decreases.
[0007]
The present invention has been made in view of the above problems. An X-ray tube in which the focused beam diameter of electrons incident on the X-ray generation surface is reduced and the spread of the obtained X-ray beam is reduced. The purpose is to provide.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve such an object, the X-ray tube according to the present invention generates an X-ray by causing an electron gun to emit electrons from the cathode in the direction of the electron incident axis and causing the electrons to enter the X-ray generation surface. A target that emits in the direction of the X-ray emission axis, and an X-ray tube configured so that the center axis of the target is substantially parallel to the X-ray emission axis; Between the X-ray generation surface of the target, (1) a first grid electrode that limits a current due to electrons from the cathode, and (2) a second grid electrode that accelerates electrons that have passed through the first grid electrode, (3) an auxiliary focusing electrode system that controls the spread of the trajectory of electrons that have passed through the second grid electrode; and (4) a focus grid electrode that focuses the electrons to a predetermined electron incident point on the X-ray generation surface. We prepare sequentially and ( ) Electrons emitted from the cathode the distance from the virtual object point that once focused in the vicinity of the cathode to focus grid electrode, and greater than the distance from the focus grid electrode to the electron incident points.
[0009]
The focused beam diameter of electrons on the X-ray generation surface greatly depends on the enlargement ratio by the electron lens system from the cathode to the target, and the enlargement ratio depends on the distance a from the virtual object point formed near the cathode to the focus grid electrode. , Which is determined by the ratio to the distance b from the focus grid electrode to the electron incident point. The conventional X-ray tube is formed such that this distance is a <b. In this case, the enlargement ratio is increased.
[0010]
If the enlargement ratio is large, the focused beam diameter at the electron incident point where the virtual object point is imaged again on the X-ray generation surface cannot be made sufficiently small. As a result, the beam diameter (orbit variation) and noise component (straight spread) of the obtained X-ray are increased, and the conditions of small focus and high contrast in the X-ray fluoroscopic image cannot be achieved.
[0011]
On the other hand, the above-described X-ray tube is configured such that the distances a and b satisfy the condition a> b. As a result, the magnification of the electron lens system can be reduced and the beam diameter can be reduced.
[0012]
However, with such a configuration, the distance from the cathode to the focus grid electrode increases, and the electron trajectory spreads between them increases. At this time, there arises a problem that the spread of the electron trajectory tends to be affected by the aberration of the electron lens made of the focus grid electrode as the main lens. Therefore, by setting a> b, the beam diameter becomes smaller and the focal point becomes smaller, but the noise component cannot be reduced and the X-ray image cannot be made high in contrast.
[0013]
On the other hand, in the X-ray tube described above, an auxiliary focusing electrode having at least one auxiliary focusing electrode is further used to control the electron trajectory so as to suppress the spread of the electron trajectory from the cathode to the focus grid electrode. A system is in place. As a result, it is possible to suppress an increase in noise components due to the influence of the aberrations described above. Therefore, a small focus by reducing the beam diameter of the X-ray and a high contrast by reducing the noise components. Can be achieved together.
[0014]
The auxiliary focusing electrode system has at least a first auxiliary focusing electrode, and includes a potential V0 set for the cathode, a potential V1 set for the first grid electrode, a potential V2 set for the second grid electrode, The potential V3 set on the auxiliary focusing electrode is
V1 ≦ V0 ≦ V3 <V2
It is characterized by satisfying the relationship.
[0015]
By setting each potential in this manner, the current limiting function of the first grid electrode, the electron acceleration function of the second grid electrode, and the function of suppressing the orbital spread by the auxiliary focusing electrode system can be efficiently realized.
[0016]
Further, the auxiliary focusing electrode system further includes a second auxiliary focusing electrode provided between the first auxiliary focusing electrode and the focus grid electrode, and the potential V4 set for the second auxiliary focusing electrode is:
V2 = V4
It may be characterized by satisfying this relationship.
[0017]
As a result, an electron lens for control in the auxiliary focusing electrode system can be suitably formed. In addition to the above, the number of electrodes and the set voltage that constitute the auxiliary focusing electrode system can be variously set.
[0018]
Further, the focus grid electrode may be formed so as to protrude from the envelope of the electron gun toward the target.
[0019]
As a result, the distance from the focus grid electrode to the virtual object point near the cathode can be increased, and the condition a> b for the distance can be easily realized.
[0020]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, preferred embodiments of an X-ray tube according to the present invention will be described in detail with reference to the drawings. In the description of the drawings, the same elements are denoted by the same reference numerals, and redundant description is omitted. Further, the dimensional ratios in the drawings do not necessarily match those described.
[0021]
FIG. 1 is a cross-sectional view showing a configuration of a first embodiment of an X-ray tube according to the present invention. FIG. 1 (a) is a cross-sectional view of the
[0022]
The
[0023]
Further, the
[0024]
On the other hand, the
[0025]
Inside the
[0026]
Here, in the present embodiment, the distance a from a virtual object point Pc, which will be described later, to the passing point Pf of the
[0027]
Note that the electron incident trajectory le and the X-ray emission trajectory lx, which are substantially orthogonal to each other, are actually trajectories in a range having a predetermined spread, but in FIG. It is shown in line with the axis.
[0028]
The
[0029]
A
[0030]
The
[0031]
FIG. 2 is an enlarged cross-sectional view of the
[0032]
In the electrode configuration shown in FIG. 2, electrons emitted from the
[0033]
The first grid electrode potential V1 is preferably set to satisfy V1 ≦ V0 with respect to the cathode potential V0. Accordingly, the
[0034]
The second grid electrode potential V2 is preferably set to satisfy V0 <V2 with respect to the cathode potential V0. Thus, the
[0035]
The accelerated electrons sequentially pass through the
[0036]
The first auxiliary focusing electrode potential V3 is preferably set to satisfy V0 ≦ V3 <V2, and the second auxiliary focusing electrode potential V4 is preferably set to satisfy V2 = V4. As a result, an electric field serving as an electron lens is formed around the first
[0037]
Here, the above potential settings are summarized as follows:
V1 ≦ V0 ≦ V3 <V2 = V4
It becomes. However, the potential setting of each electrode is not necessarily limited to the setting that satisfies this condition, and may be set to a potential that does not satisfy this condition as long as the electron trajectory can be suitably controlled.
[0038]
The overall operation of the
[0039]
When a positive high voltage is applied to the
[0040]
As a result, the electrons emitted from the
[0041]
Then, when electrons enter the
[0042]
Next, effects of the
[0043]
In the electron gun section applied to the X-ray tube, the trajectories of electrons from the cathode are once crossed and focused in the vicinity of the cathode to form a virtual object point (crossover point). Then, the electron beam whose trajectory has spread again from this virtual object point is focused on the X-ray generation surface of the target with a micro focus by the electron lens formed by the opening of the focus grid electrode.
[0044]
At this time, the diameter of the electron beam at the focal point / electron incident point on the X-ray generation surface greatly depends on the magnification of the electron lens system of the electron gun including the focus grid electrode and the like. In other words, the electron beam diameter can be reduced by reducing the enlargement factor for imaging the virtual object point near the cathode on the X-ray generation surface of the target, and conversely, the electron beam diameter can be reduced by increasing the enlargement factor. Will grow.
[0045]
This magnification is geometrically determined by the ratio b / a of the distance a from the object point to the main lens and the distance b from the main lens to the focusing point. In the
[0046]
In a conventional X-ray tube, the distance a from the virtual object point to the focus grid electrode is the distance from the focus grid electrode to the electron incident point, for example, as in the X-ray tube disclosed in JP-A-7-296751. It is set smaller than b (a <b). For this reason, the magnification for imaging the virtual object point on the X-ray generation surface of the target is not sufficiently small, and it is difficult to reduce the electron beam diameter at the electron incident point.
[0047]
FIG. 3A and FIG. 3B show the electron trajectory in the conventional X-ray tube and the obtained X-ray output distribution. FIG. 3A is an end view showing a partially enlarged configuration of a conventional X-ray tube in which a <b. In the drawing, a solid line with an arrow indicates a target from a cathode (not shown). 4, the electron trajectory le to the
Cathode 23: V0 = −600V
First grid electrode 26: V1 = −650V
Second grid electrode 27: V2 = 0V
Focus grid electrode 24: Vf = 0V
Target 4: Vt = 60 kV
It is.
[0048]
The electrons emitted from the cathode form a virtual object point Pc by a first grid electrode (not shown), then pass through the
[0049]
When the spread of the electron beam diameter at the focusing point on the target is increased, the range of the X-ray generation point is widened, resulting in variations in the X-ray generation position and the trajectory after the generation. In addition, of the electron beam spread at the focal point on the target, the skirt spread causes an increase in the noise component of the X-ray. That is, the X-ray two-dimensional output distribution (right graph) in FIG. 3B and the two-dimensional output distribution are also shown in FIG. As shown by a one-dimensional output distribution (graph on the left) projected in the x-axis direction, the output distribution range becomes large. Here, the range of the solid line in the two-dimensional output distribution mainly indicates the beam diameter (orbit variation) of the obtained X-ray beam, and the range of the broken line mainly indicates the noise component (side spread) of the X-ray beam. All of these X-ray tubes are large.
[0050]
When such X-rays from the X-ray tube are applied to the acquisition of an X-ray fluoroscopic image by nondestructive inspection, since the microfocus is not sufficient, the contour of the image is unclear due to an increase in the X-ray beam diameter. At the same time, the contrast decreases due to an increase in the X-ray noise component. Therefore, among (1) high magnification, (2) small focus, and (3) high contrast necessary for high resolution of the X-ray image, (2) small focus and (3) high contrast are sufficient. There is a problem that it cannot be obtained.
[0051]
On the other hand, in the X-ray tube according to the present embodiment, as shown in FIG. 1, each part of the
[0052]
4A and 4B show the electron trajectory in the X-ray tube configured as described above and the X-ray output distribution obtained. The configuration of this X-ray tube is almost the same as that shown in FIG. 3, except that the cathode, the first grid electrode, and the
[0053]
At this time, since the distance a from the virtual object point Pc to the passing point Pf is larger than the distance b from the passing point Pf to the electron incident point Pi, the enlargement ratio of the electron lens system is reduced, and therefore, on the electron incident point Pi. The electron beam diameter at is small. However, in this case, since the distance from the
[0054]
As a result, the electron trajectory is easily affected by the aberration of the electron lens formed by the
[0055]
On the other hand, in the X-ray tube according to the present embodiment, as shown in the
[0056]
FIG. 5A and FIG. 5B show the electron trajectory and the obtained X-ray output distribution in the X-ray tube in which the condition a> b is satisfied and the auxiliary focusing
Cathode 23: V0 = −600V
First grid electrode 26: V1 = −650V
Second grid electrode 27: V2 = 0V
First auxiliary focusing electrode 61: V3 = −300V
Second auxiliary focusing electrode 62: V4 = 0V
Focus grid electrode 24: Vf = 0V
Target 4: Vt = 60 kV
It is. These potentials satisfy the condition V1 ≦ V0 ≦ V3 <V2 = V4.
[0057]
The first
[0058]
At this time, since the distance a from the virtual object point Pc to the passing point Pf is larger than the distance b from the passing point Pf to the electron incident point Pi, the enlargement ratio of the electron lens system is reduced, and therefore, on the electron incident point Pi. The electron beam diameter at is small. Furthermore, since the spread of the electron trajectory is reduced as described above, it becomes difficult to be affected by the aberration of the electron lens formed by the
[0059]
FIG. 6 shows an example of wire bonding observation / inspection using a microfocus X-ray tube, and the above-described X-ray fluoroscopic image is sharpened by reducing the beam spread (beam diameter and noise component) of the X-ray beam. It is a schematic diagram explaining an effect. 6 (a) and 6 (b) show (a) normal wire bonding and (b) broken wires, respectively, and these wire bonding portions are made using the X-ray tube of a <b shown in FIG. 6 (c) and (d) show images obtained when observed in FIG. 6, and FIG. 6 (e) and (f) show images obtained using the a> b X-ray tube shown in FIG. FIGS. 6 (g) and 6 (h) show images obtained by using an X-ray tube having a> b and an auxiliary focusing electrode system according to the present embodiment shown in FIGS. 1, 2, and 5, respectively.
[0060]
In the images shown in FIGS. 6C and 6D by the X-ray tube of a <b, the outline is unclear because the focal point and the beam diameter are large, and there are many noise components of the X-rays. Since the ratio is poor, the contrast between light and dark is not sufficient, and the disconnection of the wire cannot be grasped also in FIG.
[0061]
Further, in the images shown in FIGS. 6 (e) and 6 (f) using the X-ray tube of a> b, the outline is almost clear due to the small focal point, but the contrast between light and dark is high due to a large amount of X-ray noise components. It is not sufficient, and it is still difficult to grasp the disconnection of the wire in FIG.
[0062]
On the other hand, in the image by the X-ray tube of this embodiment shown in FIGS. 6G and 6H, in addition to the clear outline, the X-ray noise component is reduced and the S / N is reduced. As the ratio is improved, the contrast between light and dark becomes high. Therefore, as shown in FIG. 6 (h), the disconnection of the wire can be clearly confirmed.
[0063]
The X-ray tube according to the present invention is not limited to the above-described embodiment, and the configuration of each electrode can be variously changed.
[0064]
7A and 7B are cross-sectional views showing the configuration of the second embodiment of the X-ray tube according to the present invention. FIG. 7A is a cross-sectional view of the
[0065]
As described above, regarding the auxiliary focusing electrodes constituting the auxiliary focusing
[0066]
8A and 8B are cross-sectional views showing the configuration of the third embodiment of the X-ray tube according to the present invention. FIG. 8A is a cross-sectional view of the
[0067]
【The invention's effect】
As described in detail above, the X-ray tube according to the present invention has the following effects. That is, (1) The distance a from the virtual object point formed near the cathode to the passing point of the focus grid electrode is set larger than the distance b from the passing point to the electron incident point on the X-ray generation surface (a > B) This reduces the electron beam focused on the X-ray generation surface and the beam diameter (orbital variation) in the obtained X-ray beam. Further, (2) an auxiliary focusing electrode system is provided between the cathode and the first and second grid electrodes and the focus grid electrode, and the electron trajectory is controlled and adjusted so that the spread of the electron trajectory between them is reduced. By doing so, the influence of the aberration of the focus grid electrode and the like are suppressed, and the noise component (the spread) in the electron beam and the X-ray beam is reduced.
[0068]
When an X-ray fluoroscopic image is acquired with a microfocus X-ray tube having such a configuration, a small focus is achieved by reducing the beam diameter, and a high contrast is achieved by reducing noise components. High resolution is realized. As a result, it is possible to efficiently observe the structure of a semiconductor electronic component that has been reduced in size and increased in density, which is one of inspection targets by non-destructive inspection using, for example, X-rays. .
[Brief description of the drawings]
FIG. 1A is a cross-sectional view showing the configuration of a first embodiment of an X-ray tube, and FIG.
FIG. 2 is an end view showing a partially enlarged electron gun portion of the X-ray tube shown in FIG. 1;
3A is an end view showing an electron trajectory in an X-ray tube where a <b, and FIG. 3B is a graph showing an X-ray output distribution.
4A is an end view showing an electron trajectory in an X-ray tube where a> b, and FIG. 4B is a graph showing an X-ray output distribution.
5A is an end view showing an electron trajectory in the X-ray tube shown in FIG. 1, and FIG. 5B is a graph showing an X-ray output distribution.
6 is a schematic diagram for comparing an X-ray fluoroscopic image obtained using the X-ray tube shown in FIG. 1 with a case where a conventional X-ray tube or the like is used. FIG.
FIGS. 7A and 7B are a cross-sectional view and a vertical cross-sectional view, respectively, showing the configuration of the second embodiment of the X-ray tube. FIGS.
FIGS. 8A and 8B are a cross-sectional view and a vertical cross-sectional view, respectively, showing the configuration of a third embodiment of the X-ray tube. FIGS.
[Explanation of symbols]
1 ... X-ray tube,
DESCRIPTION OF
DESCRIPTION OF
6 ... auxiliary focusing electrode system, 61 ... first auxiliary focusing electrode, 62 ... second auxiliary focusing electrode.
Claims (4)
前記電子銃の前記カソードと、前記ターゲットの前記X線発生面と、の間に、
前記カソードからの前記電子による電流を制限する第1グリッド電極と、
前記第1グリッド電極を通過した前記電子を加速する第2グリッド電極と、
前記第2グリッド電極を通過した前記電子の軌道の広がりを制御する補助集束電極系と、
前記電子を前記X線発生面上の所定の電子入射点へと集束させるフォーカスグリッド電極と、を順次備えるとともに、
前記カソードから放出された前記電子が前記カソードの近傍において一度集束される仮想物点から前記フォーカスグリッド電極までの距離が、前記フォーカスグリッド電極から前記電子入射点までの距離よりも大きいことを特徴とするX線管。An electron gun that emits electrons in the direction of the electron incident axis from the cathode; and a target that emits X-rays by causing the electrons to enter the X-ray generation surface and emits the X-rays in the direction of the X-ray emission axis. In the X-ray tube configured so that the center axis of the target is substantially parallel to the X-ray emission axis,
Between the cathode of the electron gun and the X-ray generation surface of the target,
A first grid electrode for limiting current due to the electrons from the cathode;
A second grid electrode for accelerating the electrons that have passed through the first grid electrode;
An auxiliary focusing electrode system for controlling the spread of the trajectory of the electrons that have passed through the second grid electrode;
A focus grid electrode for sequentially focusing the electrons to a predetermined electron incident point on the X-ray generation surface;
The distance from the virtual object point where the electrons emitted from the cathode are once focused in the vicinity of the cathode to the focus grid electrode is larger than the distance from the focus grid electrode to the electron incident point. X-ray tube.
前記カソードに設定される電位V0、前記第1グリッド電極に設定される電位V1、前記第2グリッド電極に設定される電位V2、前記第1補助集束電極に設定される電位V3が、
V1≦V0≦V3<V2
の関係を満たすことを特徴とする請求項1記載のX線管。The auxiliary focusing electrode system has at least a first auxiliary focusing electrode;
A potential V0 set for the cathode, a potential V1 set for the first grid electrode, a potential V2 set for the second grid electrode, and a potential V3 set for the first auxiliary focusing electrode are:
V1 ≦ V0 ≦ V3 <V2
The X-ray tube according to claim 1, wherein the relationship is satisfied.
前記第2補助集束電極に設定される電位V4が、
V2=V4
の関係を満たすことを特徴とする請求項2記載のX線管。The auxiliary focusing electrode system further includes a second auxiliary focusing electrode provided between the first auxiliary focusing electrode and the focus grid electrode,
The potential V4 set on the second auxiliary focusing electrode is
V2 = V4
The X-ray tube according to claim 2, wherein the relationship is satisfied.
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