JP4087730B2 - 応力異方性検出方法および応力診断方法 - Google Patents

応力異方性検出方法および応力診断方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、音弾性測定の原理に基づいて構造部材等の応力の状態を調べるための方法である。
【0002】
【従来の技術】
従来から、固体中の弾性波の伝搬特性が固体の応力状態によって変化する現象(音弾性効果)を利用してその応力状態を測定する音弾性測定の技術が知られている。この音弾性測定の具体的な方法としては各種知られているが、その一つである複屈折音弾性法は比較的簡単で、また圧延鋼板等の板厚平均の応力状態(鋼板内部の主応力差に関する応力状態)を測定可能なことから高い注目を集めている。
【0003】
この複屈折音弾性法は、平面応力状態にある被測定物の一点で板厚方向に伝わり、かつ互いに直交する主軸方向に偏向する2つの横波の音速差が主応力差に比例するという現象を利用し、その複屈折の大きさを無次元化された音響複屈折(音響異方性という)として数値化して検出する方法で(非特許文献1)、この音響異方性に基づいて被測定物に作用する応力を診断することにより、例えば構造物の耐久性等を非破壊検査することが可能になる。
【0004】
【非特許文献1】
「超音波TECHNO(5月号)」、日本工業出版株式会、1994年(平成6年)5月15日、P42−49
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この複屈折音弾性法は、その手法として上記のように注目されながらも次のような課題が残されている結果、実用性に乏しかった。
【0006】
すなわち、複屈折音弾性法により求められる音響異方性は、応力に依存する音響異方性(応力異方性という)と被測定物の組織による音響異方性(組織異方性という)とが重畳しているため、例えば残留応力等、既に応力が生じている被測定物の応力を正確に診断するには、求められた音響異方性(実測値)から組織異方性を分離して応力異方性のみを検出することが必要となる。つまり、無応力状態において被測定物の組織異方性を予め求めおくことが不可欠となる。しかしながら、実際の構造物の応力状態を診断することを考えたときに、構造物を構成する全ての構成部材の全域に亘って予め無応力状態で組織異方性を求めておくことは事実上不可能である。そのため、複屈折音弾性法が適用できるのは、予め無応力状態で組織異方性が求められている特定の場所(特定の部材の特定部分)に限られることとなる。これが、複屈折音弾性法が実用性に乏しい最大の原因であった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、残留応力等、既に応力が生じた状態であっても被測定物に作用する応力の診断を正確に行うことができる応力状態測定方法および応力診断方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本願出願人は、鋭意研究を重ねた結果、周知の表面SH波法、すなわち測定対象物の表面に沿って表面SH波を伝搬させて被測定物の音響異方性を求める方法に基づき求めることが可能な音響異方性のうち応力に依存しない音響異方性である表面異方性と、複屈折音弾性法により無応力状態の被測定物から求められる組織異方性との間に相関関係があることを突き止めた。
【0009】
そこで、本願出願人は、この研究結果を構造物等の応力状態の診断に適用することを考え、以下のような応力異方性検出方法を発明した。
【0010】
すなわち、測定対象物の厚さ方向に横波超音波を伝搬させて測定対象物の音響異方性を求める複屈折音弾性法、および測定対象物の表面に沿って表面SH波を伝搬させて測定対象物の音響異方性を求める表面SH波法を、被測定物と同質材料からなり、かつ無応力状態の厚さの異なる複数種類の試料に対しそれぞれ実施することにより、前記複屈折音弾性法に基づき各試料の組織に依存する組織異方性を求めるとともに前記表面SH波法に基づき前記音響異方性のうち応力に依存しない表面異方性を求め、さらにこれら組織異方性と表面異方性との相関関係を求める相関検知工程と、前記表面SH波法により被測定物の表面異方性を求める工程と、この工程で求められた被測定物の表面異方性に基づいて前記相関検知工程で求められた相関関係から被測定物の組織異方性を求める工程と、前記複屈折音弾性法により被測定物の音響異方性を求める工程と、この工程で求められた音響異方性から前記相関関係に基づいて求められる組織異方性を減算することにより、被測定物の応力に依存する音響異方性である応力異方性を求める工程とを有するというものである。
【0011】
この方法によれば、構造物の柱、梁等、被測定物と同質材料からなる試料を使って予め組織異方性と表面異方性との相関関係さえ求めておけば、あとは現場で複屈折音弾性法および表面SH波法に基づき被測定物の音響異方性を求めることによって、被測定物の応力異方性のみを求めることが可能となる。つまり、残留応力等が既に生じた被測定物についてもその音響異方性を求めれば、その値と上記相関関係から直接応力異方性を求めることができるようになる。従って、従来のように、構造物の柱等、被測定物そのもの(現物)の無応力状態での音響異方性(組織異方性)を予め調べておく必要がなくなり、複屈折音弾性法の実用性を高めることが可能になる。
【0012】
一方、本発明に係る応力診断方法は、被測定物に作用する応力を診断する方法であって、請求項1に記載の応力異方性検出方法により検出した被測定物の応力異方性に基づいて該被測定物に作用する応力を診断するようにしたものである。
【0013】
この診断方法によれば、被測定物のより内部の応力をより正確に診断することが可能となる。従って、構造物の耐久性等をより正確に評価することができるようになる。
【0014】
なお、請求項の記載において「異方性を求める」とは、複屈折の大きさを無次元化された音響複屈折(音響異方性)として数値化して求めることを意味するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る応力異方性検出方法を説明するフローチャートである。この応力異方性検出方法は、複屈折音弾性法により求められる音響異方性(つまり複屈折を無次元した値である音響複屈折)のうち被測定物の応力にのみ依存する音響複屈折(応力異方性)を求める方法であって、同図に示すステップS1〜S7の工程からなる。
【0017】
この方法は、測定の準備工程(ステップS1〜S3)と、測定データの処理を含めた実際の測定工程(ステップS4〜S7)とに大別される
準備工程では、まず、被測定物である圧延鋼板と同鋼種で、かつ厚さの異なる複数の供試体、例えば10数枚の供試体について表面SH波法を用いて音響異方性の測定を行う(ステップS1)。ここで測定する音響異方性は表面SH波法により求めることができる音響異方性のうち、応力に依存しない表面異方性である。 表面SH波法による音響異方性の測定は、図2に示す測定装置を用いて行う。この測定装置は、同図に示すように表面SH波センサ10、シングアラウンド音速測定装置18、およびデータ処理装置20等から構成されている。
【0018】
表面SH波センサ10はいわゆる超音波センサであって、超音波として伝搬方向に対して垂直方向に振動する横波を送信する圧電素子14a(例えばPZT圧電素子)を具備する送信子14と、この送信子14から送信される横波を受信する圧電素子16aを具備する受信子16とを有している。送信子14及び受信子16は保持部材12を介して所定間隔で一体に保持されており、同図および図3に示すように、供試体1の表面に送信子14及び受信子16を押し付けた状態で前記送信子14から送信される横波を受信子16で受信するように構成されている。各圧電素子14a,16aと表面SH波センサ10の送受信面(供試体1に対する送信子14及び受信子16の接触面)は、供試体1に入射する横波が供試体1の表面に沿って伝搬するように傾き角度が設定されている。
【0019】
シングアラウンド音速測定装置18は、表面SH波センサ10における横波(超音波)の送受信を所定回数繰り返しその伝搬時間を積算するシングアラウンド法を用いて横波の伝搬時間(伝搬速度)を測定する装置で、例えば横波の送受信を1万回繰り返すことにより精度の高い伝搬時間を測定するものである。
【0020】
データ処理装置20は、例えばパソコン等からなり、シングアラウンド音速測定装置18の測定結果に基づき、伝搬時間のデータをサイン関数で近似して横波の最大伝搬速度と最小伝搬速度を演算するとともに、その結果に基づき以下の演算式に基づいて供試体1の表面異方性を演算するものである。
【0021】
【数1】
Figure 0004087730
【0022】
ここで、
Φ0 ;音響異方性(表面異方性)
S1 ;最大伝搬速度
S2 ;最小伝搬速度
である。
【0023】
ステップS1での測定手順について具体的に説明すると次の通りである。まず、図2に示した表面SH波センサ10を任意の供試体1の表面に所定の圧力で押し付け、この状態で横波の伝搬時間を測定する(図3参照)。なお、供試体1は、例えば数センチ四方の大きさとし、測定面は予め高精度の平面に仕上げ、粘性のある接触媒質(音響結合剤)を塗布しておく。
【0024】
次いで、表面SH波センサ10を供試体1の測定面に直交する軸回りに10°だけ回転させて同様に横波の伝搬時間を測定し、以後、10°間隔で0°から180°まで表面SH波センサ10の方向、つまり横波の伝搬方向を変えながら1つの供試体1から19個の伝搬時間データを採取する。
【0025】
そして、データ処理装置20において、これら19個のデータをサイン関数Asin(4θ+α)で近似して最大伝搬速度VS1と最小伝搬速度VS2を求めるとともに、この速度VS1,VS2と上記数1とから当該供試体1の音響異方性(表面異方性)を求める。なお、サイン関数Asin(4θ+α)において、4θは90°周期を意味し、αは任意の基準方向(例えば最初の測定方向0°)に対する位相角を意味し、振幅Aは最大伝搬速度VS1と最小伝搬速度VS2との速度差の半分を意味する。
【0026】
こうして最初の供試体1の表面異方性Φ01を求めた後、同様にして、他の供試体1の表面異方性Φ02〜Φ0nを求める。これによりステップS1を終了する。
【0027】
次いで、無負荷状態の前記各供試体1の音響異方性を複屈折音弾性法によって測定することにより、各供試体1の組織異方性を測定する(ステップS2)。
【0028】
複屈折音弾性法による音響異方性の測定は、図4に示す測定装置を用いて行う。この測定装置は、同図に示すように超音波センサ22、シングアラウンド音速測定装置24、およびデータ処理装置26等から構成されている。
【0029】
超音波センサ22は、伝搬方向に対して垂直方向に振動する横波(超音波)を送信するとともに、その反射波を受診する圧電素子22a(例えばPZT圧電素子)を備えたセンサで、供試体1に入射する横波が供試体1の表面に直交する方向、つまり供試体1の厚み方向に伝搬するように前記圧電素子22aが超音波センサ22の送受信面に対して設けられている。
【0030】
シングアラウンド音速測定装置24は、表面SH波法の測定装置に適用されるシングアラウンド音速測定装置18と同様に、超音波センサ22における横波(超音波)の送受信を所定回数繰り返してその伝搬時間を積算するシングアラウンド法を用いて横波の伝搬時間(伝搬速度)を測定する装置である。
【0031】
データ処理装置26は、パソコン等からなり、シングアラウンド音速測定装置24の測定結果に基づき以下の演算式(数2)に基づいて供試体1の音響異方性(組織異方性)を演算するものである。
【0032】
【数2】
Figure 0004087730
【0033】
ここで、
0 ;音響異方性(組織異方性)
01,V02 ;互いに直交する方向に偏向する2つの横波の伝搬速度
である。
【0034】
ステップS2での測定手順について具体的に説明すると次の通りである。まず、図4に示した超音波センサ22を任意の供試体1の表面に対して振動方向が圧延方向に一致する方向に向けて所定の圧力で押し付け、この状態で横波の伝搬時間を測定する。すなわち、図5に示すように、超音波センサ22から送信されて供試体1の厚み方向に伝搬する横波が供試体1の底面で反射して超音波センサ22に受診されるまでの時間、あるいは供試体1の底面からの1回目の反射の横波と2回目の反射の横波の時間差を測定する。
【0035】
次いで、超音波センサ22を供試体1の測定面に直交する軸回りに90°回転させて同様に横波の伝搬時間を測定する。そして、超音波センサ22において、これらのデータに基づき上記数1から当該供試体1の音響異方性(組織異方性)を求める。つまり、無負荷状態では、応力に依存する異方性が存在しないため、複屈折音弾性法により測定した供試体1の音響異方性がそのまま供試体1の集合組織に依存する組織異方性として求められることとなる。
【0036】
そして、最初の供試体1の組織異方性B01を求めた後、同様にして、他の供試体1の組織異方性B01〜B0nを測定する。これによりステップS2を終了する。
【0037】
次いで、ステップS1,S2において測定した各供試体1の表面異方性Φ01〜Φ0nおよび組織異方性B01〜B0nに基づき、これらの関係を多項式B0=f(Φ0)で近似してそれらの相関を求める(ステップS3)。例えば、図6は、供試体1として一般構造圧延板SS400を用いてその表面異方性と組織異方性との相関を求めたグラフを示している。
【0038】
このようにして表面異方性と組織異方性との相関(以下、単に相関関係という)を求める準備作業が終了した後、実際の測定工程に移る。
【0039】
この測定工程では、被測定物である圧延鋼板の表面異方性Φを表面SH波法により測定し、その値と、ステップS3で求めた相関関係とに基づいて圧延鋼板の組織異方性B0を求める(ステップS4,S5)。なお、ステップS4の測定で使用する測定装置はステップS1で使用した測定装置(図2)と基本的に同一のものでよく、また、その測定方法も一の供試体1に対してその表面異方性を測定する方法と同一である。このステップS4での表面異方性の測定は、残留応力等が既に生じた状態の被測定物であっても、応力に依存せずに実施可能である。
【0040】
次いで、被測定物である圧延鋼板の音響異方性Bを複屈折音弾性法により測定する(ステップS6)。この測定で使用する測定装置はステップS2の測定装置(図4)と同一のものでよく、また、基本的な測定方法も供試体1に対してその組織異方性を測定する方法と同一である。但し、ステップS6の測定では、超音波センサ22を供試体1に対して適宜動かし、互いに直交する方向に偏向する2つの横波の伝搬速度差が最大となる位置での各横波の伝搬速度に基づいて音響異方性Bを求める。
【0041】
このようにして圧延鋼板の音響異方性Bを測定した後、この音響異方性BからステップS5で求めた組織異方性B0を減算して、圧延鋼板の応力にのみに依存する音響異方性B(応力異方性)を求める。
【0042】
すなわち、複屈折音弾性法では、圧延鋼板の圧延方向と主応力方向が一致する場合には、平面応力状態にある圧延鋼板の音響異方性について次式が成立つ。
【0043】
【数3】
Figure 0004087730
【0044】
ここで、
B ;音響異方性
0 ;組織異方性(無応力状態の音響異方性:[数2]参照)
1,V2 ;主応力方向に偏向する2つの横波の伝搬速度
A ;音弾性定数
σ1,σ2 ;主応力
である。
【0045】
従って、ステップS6で測定した圧延鋼板の音響異方性Bから当該圧延鋼板の組織にのみ依存する音響異方性B0を減算することにより、主応力差(σ1−σ2)に対応する音響異方性B、つまり応力異方性が求められることとなる。
【0046】
なお、圧延方向が主応力方向と一致しない場合には、数3は圧延方向と主応力方向の角度ずれに関係する項が加わる関係式(記載省略)に替わるが、この場合も音響異方性B0が求められると、音響異方性Bから応力異方性を求めることができる。
【0047】
以上のような方法によると、被測定物である圧延鋼板と同鋼種の供試体1を使ってその組織異方性と表面異方性との相関関係を事前に求めておけば(ステップS1〜S3の処理)、被測定物の音響異方性(表面異方性Φ0、音響異方性B)を表面SH波法および複屈折音弾性法により求めることにより、その結果と前記相関関係とに基づいて被測定物の応力にのみ依存する応力異方性を求めることができるので、従来のように、構造物の柱等、被測定物そのもの(現物)の無応力状態での音響異方性(組織異方性)を予め測定していない場合でも、被測定物の音響異方性を現場測定するだけで、その結果と上記の相関関係とから被測定物の応力異方性を求めることができるようになる。特に、組織異方性と表面異方性との相関関係は、一度求めておけば同質の材料を使った構造物に対してもそのまま適用することができるため、その後の測定では、被測定物の音響異方性を現場測定しさえすればその結果と上記相関関係とから容易に被測定物の応力異方性を求めることができる。
【0048】
従って、上記実施形態の応力異方性検出方法を適用することにより複屈折音弾性法を用いた応力状態の測定をより実用的なものとすることができる。
【0049】
特に、上記実施形態の応力異方性検出方法により被測定物の応力異方性を求め、その異方性に基づいて被測定物の応力診断を行うようにすれば、被測定物のより内部の応力状態を正確に診断することが可能となるため、これにより構造物の耐久性等をより正確に評価することができるようになるという利点がある。
【0050】
なお、上記実施形態における方法は、本発明に係る応力異方性検出方法の一の実施形態であって、その具体的な方法(内容)は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0051】
例えば、上記実施形態では、供試体1の表面異方性を測定する工程(ステップS1)と供試体1の組織異方性を測定する工程(ステップS2)とを分けているが、表面異方性と組織異方性とは、供試体1のほぼ同一箇所で測定するのが好ましい。従って、一つの供試体1に対してこれら各工程の処理を連続して行うようにしてもよい。これによれば表面異方性と組織異方性との相関関係をより信頼性の高いものにすることが可能となる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の応力異方性検出方法によると、構造物の柱、梁等、被測定物と同質材料からなる試料を使って予め組織異方性と表面異方性との相関関係を求めておくことにより、現場で被測定物の音響異方性を測定することにより、その値と上記相関関係から直接応力異方性を求めることができる。従って、従来のように柱等、被測定物そのもの(現物)の無応力状態での音響異方性(組織異方性)を予め調べておく必要が無くなり、その結果、複屈折音弾性法の実用性を著しく高めることが可能になる。
【0053】
一方、本発明に係る応力診断方法によると、上記方法により検出された被測定物の応力異方性に基づいて該被測定物に作用する応力を診断するようにしたので、被測定物内部の応力状態を、より正確に診断することが可能となる。従って、構造物の耐久性等をより正確に評価することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の応力異方性検出方法を説明するフローチャートである。
【図2】表面SH波法により音響異方性を測定する測定装置の構成を示す概略図である。
【図3】表面SH波法による音響異方性の測定方法を説明する斜視図である。
【図4】複屈折音弾性法により音響異方性を測定する測定装置の構成を示す概略図である。
【図5】複屈折音弾性法による音響異方性の測定方法を説明する斜視図である。
【図6】表面異方性と音響異方性との相関関係の一例を示す図(グラフ)である。
【符号の説明】
1 供試体
10 表面SH波センサ
14 送信子
16 受信子
18,24 シングアラウンド音速測定装置
20,26 データ処理装置
22 超音波センサ

Claims (2)

  1. 測定対象物の厚さ方向に横波超音波を伝搬させて測定対象物の音響異方性を求める複屈折音弾性法、および測定対象物の表面に沿って表面SH波を伝搬させて測定対象物の音響異方性を求める表面SH波法を、被測定物と同質材料からなり、かつ無応力状態の厚さの異なる複数種類の試料に対しそれぞれ実施することにより、前記複屈折音弾性法に基づき各試料の組織に依存する組織異方性を求めるとともに前記表面SH波法に基づき前記音響異方性のうち応力に依存しない表面異方性を求め、さらにこれら組織異方性と表面異方性との相関関係を求める相関検知工程と、
    前記表面SH波法により被測定物の表面異方性を求める工程と、
    この工程で求められた被測定物の表面異方性に基づいて前記相関検知工程で求められた相関関係から被測定物の組織異方性を求める工程と、
    前記複屈折音弾性法により被測定物の音響異方性を求める工程と、
    この工程で求められた音響異方性から前記相関関係に基づいて求められる組織異方性を減算することにより、被測定物の応力に依存する音響異方性である応力異方性を求める工程とを有する
    ことを特徴とする応力異方性検出方法。
  2. 被測定物に作用する応力を診断する方法であって、
    請求項1に記載の応力異方性検出方法により検出された被測定物の応力異方性に基づいて該被測定物に作用する応力を診断することを特徴とする応力診断方法。
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