JP4085586B2 - 画像処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原稿上の画像を光学的に読み取って得た画像データに対して画像処理を施す画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、複写機やスキャナ装置等においては、原稿上に描かれた画像を光学的に読み取って、その原稿からビットマップ状の画像データを得ることが広く知られている。また、近年では、その光学的な画像読み取りを、いわゆるCVT(Constant Velocity Transfer)方式にて行うものがある。CVT方式とは、原稿を一定速度で移動させながら、その原稿から画像データの流し読みを行う方式をいう。
【0003】
CVT方式の画像読み取りでは、プラテンガラス上に載置された原稿から画像を読み取る場合に比べて、読み取り効率の向上が非常に容易である。しかも、CVT方式では、原稿を移動させながら読み取るため、通常、原稿とその背面板(バックプラテン)との間が離れている。そのため、プラテンガラス上に原稿を載置する場合、すなわち原稿とその背面板とが接触している場合に比べて、背面板が汚れ難く、光の透過率が高い透過原稿(例えばレーシングペーパ)が読み取り対象であっても、その汚れが画像の読み取り結果に重なってしまうといったことがない。
【0004】
ところが、CVT方式の画像読み取りでは、原稿とその背面板との間が離れているため、例えば透過原稿が読み取り対象であると、特に高濃度の画像の周辺に「にじみ」が発生してしまう可能性がある。ここで、にじみとは、高濃度領域の周辺に、あたかもにじんだ如く発生する影のような像のことをいい、光学的読み取りを行う際の光源からの光の回折作用により、原稿とその背面板との間の距離に起因して発生する。そして、画像のにじみは、原稿と背面板との距離が離れているほど発生しやすくなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような画像のにじみは、光学的読み取りによって得た画像データを、ディスプレイ上に表示出力したり、用紙上に印刷出力したりする際に、出力画像の鮮鋭度の低下等を招いてしまうため、極力除去すべきである。ただし、CVT方式の画像読み取りを行う場合には、その構造上、にじみ発生の要因となる原稿と背面板との間隔を無くすことが困難である。このことから、画像のにじみ除去は、光学的読み取りによって画像データを得た後、これを表示出力または印刷出力するまでの間に、その画像データに対して画像処理を施す段階で行うことが考えられる。
【0006】
しかしながら、一般的な画像処理装置では、上述したような画像のにじみを除去することが困難である。例えば、特開平5−219370号公報には、濃度の高低に拘わらずに適切な地肌除去を行うことのできる画像処理装置が開示されている。ところが、このような画像処理装置であっても、例えば原稿上に手書きされた淡い鉛筆文字自体と高濃度文字周辺に存在するにじみとの階調レベルやその変動等は略同程度であると考えられ、しかも高濃度文字周辺に存在するにじみはその高濃度文字の太さや密度等によって生じる幅や濃度等が異なることから、地肌除去を行っても確実ににじみを除去できるとは限らない。また、例えば、特開2000−125132号公報には、画像の連続性に着目してガンマ変換を行うことで画像のノイズ成分を除去することのできる画像処理装置が開示されている。ところが、このような画像処理装置であっても、高濃度文字周辺に存在するにじみは連続しているため淡い文字と分離することができないので、ノイズ成分を除去してもにじみが残ってしまうと考えられる。その他にも、エッジ量や線分検知等に関する様々な画像処理技術は存在するが、いずれも画像のにじみを除去することが困難である。
【0007】
そこで、本発明は、原稿とその背面板との距離に起因して発生する画像のにじみを適切に除去することを可能にし、出力画像の画質向上を図ることのできる画像処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために案出された画像処理装置で、原稿上に描かれた画像を当該原稿から光学的に読み取る画像読取手段と、前記画像読取手段が画像を読み取る際の原稿とその背面板との距離に起因して発生する当該画像のにじみ量を、前記画像読取手段が原稿から読み取った各画素値に応じて予測するにじみ量予測手段と、前記画像読取手段による読み取り結果から前記にじみ量予測手段が予測したにじみ量を除去するにじみ除去手段とを備え、前記にじみ量予測手段は、注目画素とその周辺の所定範囲内に存在する各周辺画素との濃度値、距離間隔および濃度の大小関係に基づいて、各周辺画素が前記注目画素をにじませている量を各周辺画素毎に決定し、周辺画素毎の決定量を前記所定範囲内の全ての周辺画素について加算して所定の上限値でクリップした値を、前記注目画素についてのにじみ量の予測値とすることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明は、上記目的を達成するために案出された画像処理装置で、ビットマップ状の画像データに対し、注目画素とその周辺の所定範囲内に存在する各周辺画素との濃度値、距離間隔および濃度の大小関係に基づいて、各周辺画素が前記注目画素をにじませている量を各周辺画素毎に決定し、周辺画素毎の決定量を前記所定範囲内の全ての周辺画素について加算して所定の上限値でクリップした値を、前記注目画素についてのにじみ量の予測値とするにじみ量予測手段と、前記ビットマップ状の画像データから前記にじみ量予測手段が予測したにじみ量を除去するにじみ除去手段とを備えることを特徴とするものである。
【0011】
上記構成の画像処理装置によれば、例えば注目画素と近い位置の周辺画素の濃度が注目画素の濃度よりも大きく、しかもその差が大であれば、にじみ量予測手段は、その周辺画素が注目画素をにじませている量が大きいと判断する。そして、このような判断を所定範囲内の全ての周辺画素について行い、その結果を加算してクリップした値を、注目画素についてのにじみ量の予測値とする。したがって、画像のにじみが発生しても、その予測値によってそのにじみの発生量が推測できるので、これを基ににじみの除去を行い得るようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明に係る画像処理装置について説明する。図1は、本発明に係る画像処理装置の一例の概略構成を示すブロック図である。
【0013】
本実施形態で説明する画像処理装置は、複写機やスキャナ装置等に搭載されて用いられるもので、図1に示すように、画像入力部1と、低解像度変換部2と、地肌検知部3と、にじみ量予測部4と、高解像度変換部5と、除去量算出部6と、平滑化部7と、強調部8と、除去部9a,9bと、背景/非背景検知部10と、セレクト部11と、孤立点除去部12と、ユーザインタフェース(以下「U/I」と略す)部13と、CPU(Central Processing Unit)14と、を備えて構成されている。
【0014】
画像入力部1は、原稿上に描かれた画像を光学的に読み取って、その原稿からビットマップ状の画像データを得るものである。ただし、画像入力部1では、CVT方式により、読み取り対象となる原稿を一定速度で移動させながら、その原稿から画像データの流し読みを行うようになっている。そのため、画像入力部1では、原稿移動を円滑に行うべく、原稿とその背面板との間にある一定の間隔を有している。なお、画像入力部1は、CVT方式に加えて、プラテンガラス上に載置された原稿からの画像読み取りに対応したものであってもよい。
【0015】
低解像度変換部2は、画像入力部1で得た画像データを低解像度化するものである。具体的には、画像入力部1で得た例えば400dpi(dot per inch)の画像データを、例えば100dpiに解像度変換するようになっている。
【0016】
地肌検知部3は、画像入力部1で得た画像データから、読み取り対象となった原稿の地肌濃度を検知するものである。
【0017】
にじみ量予測部4は、画像入力部1で得た画像データを構成する各画素値に応じて、画像入力部1での読み取り結果に生じている画像のにじみ量を予測するものである。ここで、にじみ量とは、光の回折作用により画像入力部1における原稿とその背面板との間の距離に起因して発生し得るもので、画像の高濃度領域の周辺にあたかもにじんだ如く発生する影のような像の濃度値量のことをいう。
【0018】
高解像度変換部5は、低解像度変換部2が低解像度化した画像データに対し、これを元の解像度に戻す解像度変換を行うものである。
【0019】
除去量算出部6は、地肌検知部3が検知した原稿の地肌濃度と、にじみ量予測部4が予測した画像のにじみ量とを基に、画像入力部1での読み取り結果から除去すべきにじみ量を特定するものである。
【0020】
平滑化部7は、画像入力部1で得た画像データに対し、ノイズ成分を除去するための平滑化処理を行うものである。
【0021】
強調部8は、画像入力部1で得た画像データに対し、線分要素等を構成する画素群の濃度値を高める強調処理を行うものである。
【0022】
除去部9a,9bは、画像入力部1での読み取り結果から除去量算出部6が特定したにじみ量を除去するものである。ただし、除去部9a,9bでは、平滑化部7による平滑化処理または強調部8による強調処理を経た後の画像データに対して、にじみ量の除去を行うようになっている。
【0023】
背景/非背景検知部10は、画像入力部1で得た画像データの各画素について、それが背景部分に相当するものか、あるいは文字等の非背景部分に相当するものかを、検知するものである。
【0024】
セレクト部11は、背景/非背景検知部10での検知結果を基に、除去部9a,9bがにじみ量を除去した後の画像データを出力するか、あるいは除去部9a,9bでのにじみ量除去を経ていない画像データを出力するかを、各画素毎に選択するものである。
【0025】
孤立点除去部12は、例えば背景部分に残ったざらつき(ノイズ成分)等のように、画像データ中に残存する孤立点を検知し、これを除去するものである。
【0026】
U/I部13は、オペレータの操作により、にじみ量除去の有無とその度合いとの両方またはいずれか一方を指示するためのものである。例えば、U/I部13では、透過原稿モードと通常原稿モードとを選択し得るようになっており、透過原稿モードが選択された場合には、にじみ量の除去を行うように指示を与える。また、透過原稿モード時の透過率を選択し得るようになっており、選択された透過率に応じてにじみ量除去の度合い(パラメータの特定)を指示するようになっている。
【0027】
CPU14は、上述した各部の動作制御を行うものである。動作制御の一例としては、例えばU/I部13で透過原稿モードが選択された場合に、画像入力部1での画像読み取り方式(CVT方式であるか否か)を認識し、CVT方式であれば地肌検知部3およびにじみ量予測部4に対して処理パラメータを設定する、といったことが挙げられる。
【0028】
次に、以上のように構成された画像処理装置における処理動作例について詳しく説明する。
【0029】
画像処理装置では、画像入力部1による原稿からの画像読み取りに先立ち、U/I部13にてモード選択等が行われる。このとき、通常原稿モードが選択されると、画像処理装置では、画像入力部1が光学的な画像読み取りによって得た画像データに対し、後述するようなにじみ量除去を行わずにその出力を行う。これは、通常原稿モード、すなわち光を透過しない原稿であれば、にじみの発生が少ないと考えられるので、処理の迅速化を図るためである。
【0030】
一方、透過原稿モードが選択された場合には、CPU14が透過原稿モード時の透過率の選択結果や画像入力部1での画像読み取り方式等を認識し、処理パラメータの設定を行う。例えば、透過原稿モード時であっても、画像読み取り方式がCVT方式でなければにじみの発生が少ないと考えられるので、にじみ量除去の度合いを小さく設定するが、CVT方式の場合にはにじみの発生が多いと考えられるため、にじみ量除去の度合いを大きく設定する、といった具合である。なお、CVT方式でなければ、にじみ量を「0」と設定することも考えられる。
【0031】
このようなCPU14による設定処理の後、U/I部13でのスタートボタンの押下があると、画像処理装置では、読み取り対象となる原稿からの画像読み取り等を開始する。
【0032】
以下、画像入力部1が透過原稿をCVT方式で読み取る場合の処理動作を例に挙げて説明する。画像入力部1がCVT方式により透過原稿からビットマップ状の画像データを得ると、画像処理装置では、先ず、低解像度変換部2がその画像データを低解像度化する。
【0033】
図2は、画像データに対する低解像度化処理の一例の概要を示す説明図である。図例のように、低解像度変換部2では、所定単位の画素ブロック(例えば、4×4画素)の中で、互いに隣接する2画素の平均値((a+b)/2,(e+f)/2…;計24個)を求めるとともに、そのうちの最大値(max(a+b)/2,(e+f)/2…)を求め、画素ブロック中の各画素値をその最大値で置き換えることで、解像度変換を行う。これにより、例えば400dpiの画像データが100dpiに解像度変換される。ただし、低解像度変換部2は、他の周知技術を用いて低解像度化を行うようにしてもよい。
【0034】
低解像度変換部2が画像データの低解像度化を行った後は、続いて、地肌検知部3が、その低解像度化後の画像データから、読み取り対象となった原稿の地肌濃度を検知する。図3は、原稿の地肌濃度検知処理の一例の概要を示す説明図である。図例のように、地肌検知部3では、例えば100dpiの画像データにおける所定単位の画素ブロック(例えば、25×13画素)を4象限に分け、各象限の最小画素値(min1,min2,min3,min4)を求め、これらの最大値を上限リミットしたもの、すなわち最大値の中で所定の閾値(th)を超えないもの(limit{max(min1,min2,min3,min4),th})を地肌量とする。ただし、地肌検知部3は、他の周知技術を用いて地肌濃度検知を行うものであってもよい。
【0035】
また、低解像度変換部2が画像データの低解像度化を行った後は、にじみ量予測部4が、その低解像度化後の画像データを構成する各画素値に応じて、画像のにじみ量を予測する。具体的には、例えば100dpiの画像データにおける所定単位の画素ブロック(例えば、13×13画素)の中で、注目画素とその周辺画素との濃度値、距離間隔および濃度の大小関係に基づいて、各周辺画素が注目画素をにじませている量を、各周辺画素毎に決定する。そして、周辺画素毎の決定量を所定の画素ブロック内の全ての周辺画素について加算し、これを所定の上限値でクリップした値を、当該画素ブロック内の注目画素についてのにじみ量の予測値とする。
【0036】
ここで、このにじみ量の予測について、さらに詳しく説明する。図4は、にじみ量の予測に用いる算出ウインドウの一具体例を示す説明図である。にじみ量予測部4では、予め設定された複数(例えば5個)の閾値(th0,th1,th2,th3,th4)と、その閾値に対応した数の算出ウインドウ(例えば5種)とを有している。算出ウインドウは、注目画素とその周辺画素との距離間隔と、各周辺画素が注目画素をにじませている量との対応関係を特定するためのものである。そのため、算出ウインドウには、図4に示すように、例えば13×13画素ブロックにおける画素配置に対応して、注目画素をにじませている量(値)がマトリクス状に設定されている。なお、各算出ウインドウでは、それぞれ異なる値が設定されている。
【0037】
そして、にじみ量予測部4では、例えば13×13画素ブロックの中で、注目画素(center)と、ある周辺画素(in(x,y))との濃度を比較し、その周辺画素の濃度が注目画素よりも一定値以上大きいとき、すなわちin(x,y)−off≧centerを満たすとき、その周辺画素の濃度値を閾値(th0,th1,th2,th3,th4)と比較して、対応する算出ウインドウを選択する。例えば、ある周辺画素の濃度値がth0≦in(x,y)≦th1のとき、その周辺画素については、その閾値(th0,th1)の間に対応する算出ウインドウを選択する。そして、その周辺画素の位置と算出ウインドウの値とを基に、その周辺画素(in(x,y))が注目画素(center)をにじませる量n(x,y)を求める。具体的には、例えば13×13画素ブロックの中の右上隅の周辺画素について、図4に示す算出ウインドウが選択された場合には、その周辺画素が注目画素をにじませる量n(x,y)は「0」となる。また、注目画素に隣接する周辺画素について、図4に示す算出ウインドウが選択された場合には、その周辺画素が注目画素をにじませる量n(x,y)は「2」となる。これを、画素ブロック中の全ての周辺画素について行う。
【0038】
画素ブロック中の全ての周辺画素について注目画素をにじませる量n(x,y)を求めると、次いで、にじみ量予測部4は、これらの量n(x,y)を全て加算する。そして、その加算量(Σn(x,y))を所定の上限値(th)でクリップした値、すなわち上限値(th)を超えない加算量(limit{Σn(x,y),th})を、当該画素ブロック内の注目画素についてのにじみ量の予測値(nijimi)とする。
【0039】
このようなアルゴリズムのにじみ量予測によって、にじみ量予測部4では、例えば高濃度で、かつ、太い線分によって構成された文字等の周囲はにじみ量が大きく、低濃度で、かつ、細い線分によって構成された文字等の周囲はにじみ量が小さい、といった予想を行い得るようになる。
【0040】
なお、各算出ウインドウにマトリクス状に設定されている値は、画像入力部1の光源や背面板の位置等を考慮して適宜決定すればよい。また、にじみ量予測部4が有している算出ウインドウの数、およびいずれかの算出ウインドウを選択するための閾値の数についても、上述したような5個に限られるものではなく、画像入力部1の特性等に応じて適宜決定すればよい。
【0041】
さらには、上述したような算出ウインドウを用いることなく、注目画素とその周辺画素との濃度値、距離間隔および濃度の大小関係を基に、各周辺画素毎に演算処理を行い、これにより各周辺画素が注目画素をにじませている量n(x,y)を求めるようにすることも考えられる。ただし、その場合には、周辺画素毎に行う演算により、処理付加が多大になるおそれがある。そのため、処理負荷軽減の観点から、上述したような算出ウインドウを用いることが好ましい。
【0042】
また、にじみ量の予測は、例えば原稿とその背面板との距離をモニタすることによって行うようにすることも考えられる。
【0043】
ところで、地肌検知部3による原稿の地肌量検知およびにじみ量予測部4による画像のにじみ量予測は、いずれも、低解像度変換部2による低解像度化後の画像データに対して行われている。これは、地肌量検知およびにじみ量予測は、注目画素を中心とする広域(例えば、25×13画素ブロックや13×13画素ブロック等)を参照するので、その処理に用いるメモリ容量の削減やその処理自体の迅速化を図るためである。したがって、地肌検知部3による地肌量検知およびにじみ量予測部4によるにじみ量予測の後は、高解像度変換部5が、低解像度変換部2が低解像度化した画像データに対し、これを元の解像度(例えば400dpi)に戻す解像度変換を行う。なお、高解像度変換部5による解像度変換処理自体については、周知技術を用いて行えばよいため、ここではその説明を省略する。
【0044】
高解像度変換部5が画像データの高解像度化を行った後は、続いて、除去量算出部6が、地肌検知部3による地肌量の検知結果およびにじみ量予測部4によるにじみ量の予測結果を基に、高解像度化後の画像データに対するにじみ除去量を特定する。具体的には、地肌量の検知値とにじみ量の予測値とを加算し、その加算値を所定の上限値でクリップした値を画像除去濃度レベルとして決める。この画像除去レベルが基準となり、後述するにじみ除去が行われることになる。
【0045】
さらに、高解像度変換部5が画像データの高解像度化を行った後は、背景/非背景検知部10が、その高解像度化後の画像データの各画素について、それが背景部分に相当するものか、あるいは文字等の非背景部分に相当するものかを検知する。図5は、背景/非背景の検知処理の一例の概要を示す説明図である。図例のように、背景/非背景検知部10では、この検知を、注目画素(またはそれを含む近傍画素)の濃度値を地肌量と比較することによって検知する。具体的には、所定単位の画素ブロック(例えば、3×3画素)の各画素の平均値(hei=Σ/9)を求め、これを地肌量(bkg)と比較し、平均値が地肌量よりも所定の閾値以上大きければ(hei−bkg≧th)、その画素ブロックにおける注目画素が高濃度文字部分、すなわち非背景に相当すると判断する。なお、この判断に用いる閾値(th)は、通常の濃さの鉛筆文字等は抽出するが、原稿の汚れの濃度程度の極低濃度文字は抽出しないように設定しておくものとする。
【0046】
また、画像入力部1で得られた画像データに対しては、平滑化部7がノイズ成分を除去するための平滑化処理を行い、強調部8が線分要素等を構成する画素群の濃度値を高める強調処理を行う。なお、これら平滑化処理および強調処理自体については、周知技術を用いて行えばよいため、ここではその説明を省略する。
【0047】
そして、平滑化処理後の画像データおよび強調処理後の画像データのそれぞれに対して、除去部9a,9bは、除去量算出部6が特定したにじみ量の除去を行う。このとき、除去部9a,9bでは、例えば、除去量算出部6が決定した画像除去濃度レベルを基準にして、レベル以下の濃度は0とし、レベル以上の濃度はそのまま出力する、といった具合ににじみ量の除去を行う。
【0048】
また、除去部9a,9bでは、例えば、画像除去濃度レベル+オフセット値をx切片とし傾きαの直線のガンマ変換カーブと線形カーブとで出力の小さいほうを選択する、といった具合ににじみ量の除去を行ってもよい。図6は、にじみ量の除去処理の一例の概要を示す説明図である。この場合には、図例のように、レベル+オフセット(off)をx切片とする傾きαの直線と線形直線の小さいほうを出力するので、その出力は、out=min{in,α*(in−bkg−off)}となる。
【0049】
さらに、除去部9a,9bでは、上述した以外にも、例えば周知技術を利用したフィルタ処理によって、除去量算出部6が決定した画像除去濃度レベルを基準にしたにじみ量の除去を行うことが考えられる。また、除去部9aと除去部9bとで、異なる手法を用いるようにしてもよい。この場合、平滑化処理後の画像データに対して除去処理を行う除去部9aは画像の背景部に適した手法を用い、強調処理後の画像データに対して除去処理を行う除去部9bは画像の非背景部に適した手法を用いる、といったことが考えられる。
【0050】
このようにして除去部9a,9bによってにじみ量が除去された画像データは、それぞれセレクタ部11に送出される。セレクタ部11では、背景/非背景検知部10による背景部分か非背景部分かの検知結果を基に、除去部9a,9bから送出された各画像データのうちのいずれかを各画素毎に選択する。例えば、セレクタ部11では、背景部分については除去部9aからの画像データを選択し、非背景部分については除去部9bからの画像データを選択する。
【0051】
そして、最後に必要であれば、セレクタ部11から選択出力される画像データに対して、孤立点除去部12がその画像データ中に残存する孤立点を検知して、これを除去する。図7は、孤立点の除去処理の一例の概要を示す説明図である。具体的には、図例のように、孤立点除去部12では、注目画素(i)の周囲8近傍の画素の最大値(smax=max(a,b,c,d,e,f,g,h))を求め、i−smax≧th1、かつ、smax−bkg≦th2、かつ、i≦th3のとき、注目画素(i)を孤立点とする。なお、th1〜th3は予め設定されている閾値、bkgは地肌量である。そして、孤立点については、除去を行う。これにより、例えば背景部分に残ったざらつき(ノイズ成分)等のように、画像データ中に残存する孤立点が除去されることになる。
【0052】
以上のように、本実施形態で説明した画像処理装置によれば、原稿とその背面板との距離に起因して画像のにじみが発生しても、そのにじみを適切に除去することが可能である。したがって、画像入力部にて得た画像データを、ディスプレイ上に表示出力したり、用紙上に印刷出力したりする場合であっても、画像読み取り時のにじみによる出力画像の鮮鋭度の低下等を招くことがない。
【0053】
しかも、本実施形態の画像処理装置では、画像データを構成する各画素値に応じてにじみ量を予測するようになっている。さらに詳しくは、注目画素とその周辺画素との距離および注目画素と周辺濃度との濃度の大小関係に基づいてにじみ量を予測し、これに地肌量を加算してにじみ除去量を決める。したがって、その予測結果を基ににじみを除去することで、にじみ以外の文字や線画、特に淡い鉛筆文字等を除去してしまうことがなく、その除去を適切に行うことができる。
【0054】
その上、本実施形態で説明したアルゴリズムを用いてにじみ量予測を行えば、例えば高濃度で、かつ、太い線分によって構成された文字等の周囲はにじみ量が大きく、低濃度で、かつ、細い線分によって構成された文字等の周囲はにじみ量が小さいといった予想を行うことができるので、光の回折作用によって生じ得るにじみを有効に除去することが可能になる。
【0055】
これらのことから、本実施形態の画像処理装置は、特に透過原稿をCVT方式で読み取る場合に用いて非常に好適なものであるといえる。ただし、それ以外であってもにじみが発生する可能性はあるので、その場合のために用いても有効であることは勿論である。
【0056】
また、本実施形態の画像処理装置は、にじみ除去の有無等をU/I部13から設定し得るようになっているので、例えばにじみが発生しない原稿に対しては余分な処理を行わなくすることができ、より一層のにじみ除去の適切化が可能になるとともに、オペレータにとっても非常に利便性が高いものとなる。
【0057】
また、本実施形態の画像処理装置では、低解像度化後の画像データに対して地肌量検知およびにじみ量予測を行っているので、その処理に用いるメモリ容量の削減やその処理自体の迅速化が図れるようになる。
【0058】
さらに、本実施形態の画像処理装置では、平滑化処理および強調処理を経ることで、背景部分と非背景部分とを適応的にフィルタ処理することが可能となるので、背景部分については余計なノイズを発生させず、さらに非背景部分については誤った除去処理を行ってしまうことがなく、非背景部分の欠落や低濃度化を防止することができる。例えば、高濃度文字の上に低濃度の鉛筆による手書き線分が重なっている場合を考えると、にじみ除去を行うと、それぞれの濃度差に起因して低濃度部分が除去されてしまうことも考えられるが、非背景部分についての強調処理を経ることで、これを回避して適切なにじみ除去を実現することができるようになる。
【0059】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係る画像処理装置は、画像読取手段が原稿から画像を読み取ると、その読み取り結果から注目画素のにじみ量を予測して、その予測したにじみ量を除去するようになっているので、原稿とその背面板との距離が開いている場合であっても、出力画像の画質低下を招いてしまうことがない。すなわち、画像のにじみの適切な除去を可能にすることで、例えば透過原稿が読み取り対象となる場合であっても、出力画像の画質向上を図りつつ、読み取り効率の向上をも容易に実現し得るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る画像処理装置の一例の概略構成を示すブロック図である。
【図2】 画像データに対する低解像度化処理の一例の概要を示す説明図である。
【図3】 原稿の地肌濃度検知処理の一例の概要を示す説明図である。
【図4】 にじみ量の予測に用いる算出ウインドウの一具体例を示す説明図である。
【図5】 背景/非背景の検知処理の一例の概要を示す説明図である。
【図6】 にじみ量の除去処理の一例の概要を示す説明図である。
【図7】 孤立点の除去処理の一例の概要を示す説明図である。
【符号の説明】
1…画像入力部、2…低解像度変換部、3…地肌検知部、4…にじみ量予測部、5…高解像度変換部、6…除去量算出部、7…平滑化部、8…強調部、9a,9b…除去部、10…背景/非背景検知部、11…セレクト部、12…孤立点除去部、13…U/I部、14…CPU
Claims (6)
- 原稿上に描かれた画像を当該原稿から光学的に読み取る画像読取手段と、
前記画像読取手段が画像を読み取る際の原稿とその背面板との距離に起因して発生する当該画像のにじみ量を、前記画像読取手段が原稿から読み取った各画素値に応じて予測するにじみ量予測手段と、
前記画像読取手段による読み取り結果から前記にじみ量予測手段が予測したにじみ量を除去するにじみ除去手段とを備え、
前記にじみ量予測手段は、注目画素とその周辺の所定範囲内に存在する各周辺画素との濃度値、距離間隔および濃度の大小関係に基づいて、各周辺画素が前記注目画素をにじませている量を各周辺画素毎に決定し、周辺画素毎の決定量を前記所定範囲内の全ての周辺画素について加算して所定の上限値でクリップした値を、前記注目画素についてのにじみ量の予測値とする
ことを特徴とする画像処理装置。 - 前記画像読取手段は、原稿を移動させながら当該原稿から画像を読み取ることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 前記にじみ除去手段に対して、にじみ量除去の有無とその度合いとの両方またはいずれか一方を指示する指示手段を備えることを特徴とする請求項1または2記載の画像処理装置。
- 前記画像読取手段による読み取り結果に対して解像度変換を行い、当該解像度変換後の各画素値により前記にじみ量予測手段ににじみ量の予測を行わせる解像度変換手段を備えることを特徴とする請求項1,2または3記載の画像処理装置。
- 前記画像読取手段が読み取った画像うちの背景部分に平滑化処理を行う平滑化手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
- 前記画像読取手段が読み取った画像うちの非背景部分に強調処理を行う強調手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
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