JP4085252B2 - 樹脂被覆金属板及びそれを用いた絞り缶 - Google Patents

樹脂被覆金属板及びそれを用いた絞り缶 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は樹脂被覆金属板及びそれを用いた絞り缶に関し、さらに詳しくは特定の被膜樹脂層が積層されてなる樹脂被膜金属板およびこの樹脂被覆金属板を用いた絞り缶に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ブリキ板などの鋼板あるいはアルミニウム板を絞り加工して得られる絞り缶(以下DR缶という)が広く用いられている。
このようなDR缶などには、金属板からの金属溶出による味の低下、フレーバーの低下、内容物の変質およびピンホールの発生などを防止するために、缶内面側に被膜樹脂層が形成されている。
【0003】
前記の被膜樹脂には、絞り加工に追従しうる優れた成形性が要求されると共に、鋼板から剥離しないような優れた密着性が要求される。さらにこの被膜樹脂には、打缶時、缶詰工程および運搬時の衝撃に耐え得るような優れた耐衝撃性が要求される。
成形性・密着性の向上を図るためには、被膜樹脂はあまり高硬度であってはならない。あまりに高硬度であると、成形性・密着性に欠け、また脆くなるため衝撃性にも欠ける。
【0004】
一方、缶外面側となる面には塗装や印刷を施すが、塗装・印刷後、乾燥用オーブン等の工程を経ることにより、塗装・印刷が施されない缶内面側となる被膜樹脂面には、板を保持する際の傷つき(ウィケット傷)が発生することがある。
このウィケット傷が生じた樹脂被覆金属板を用いて成形した缶は、内容物保存時に腐食の発生起点となるため缶体の耐食性に悪影響を及ぼす。また、内容物である飲料等の味にも影響を及ぼす(フレーバー性の低下)。
このような缶体の耐食性、フレーバー性等を低下させるウィケット傷は、被膜樹脂が柔らかい程発生しやすいという問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、塗装・印刷・乾燥工程においてウィケット傷が発生しにくい樹脂被覆金属板を提供することを目的とし、更に、成形性、耐食性、樹脂密着性、耐衝撃性等に優れるなどの特性を有する被膜樹脂層が積層された樹脂被覆金属板の提供を目的とする。更に、このような樹脂被覆金属板を用いた絞り缶を提供することをも目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の絞り缶用樹脂被覆金属板は、
金属板と、該金属板片面または両面上に設けられた被膜樹脂とからなり、この被膜樹脂は、[A]ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物とから誘導され、ジカルボン酸成分は、テレフタル酸とイソフタル酸、或いはテレフタル酸のみからなる結晶性飽和ポリエステル樹脂層と、
[B](i)飽和ポリエステル樹脂及び(ii)アイオノマー樹脂からなる樹脂組成物層と、
の2層からなり、
樹脂被覆金属板を加熱処理することにより、
前記[B]樹脂組成物層が前記金属板に接するように積層されるとともに、
前記[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層の極表面に、[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層の厚みの少なくとも2%以上の高結晶化層(X)が形成されてなることを特徴とする。
【0007】
このような絞り缶用樹脂被覆金属板は、前記高結晶化層(X)が、10〜60%であることが望ましい。
【0008】
本発明の絞り缶は、前記高結晶化層(X)が缶の内面側になるように、前記樹脂被覆金属板を絞り加工あるいは再絞り加工して成形してなることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る樹脂被覆金属板及びそれを用いた絞り缶(再絞り缶を含む)について説明する。
【0010】
本発明に係る樹脂被覆金属板は、金属板と、金属板の少なくとも缶内面となる片面上に設けられた被膜樹脂とからなる。
【0011】
本発明では、金属板として、一般的に缶用途に用いられている従来公知の金属が広く用いられる。具体的には、表面が公知の方法でSn(錫)メッキされた鋼板(ブリキ)、錫無し鋼板(ティンフリースチール(TFS))、Niメッキ、Znメッキあるいはアルミニウム板などが用いられる。
【0012】
この金属板は、厚さが、通常0.01〜0.5mm、好ましくは0.1〜0.2mmであることが望ましい。
【0013】
この金属板の少なくとも缶内面となる片面上、または両面上には、[A]結晶性飽和ポリエステル層と、[B](i)飽和ポリエステル樹脂及び(ii)アイオノマー樹脂からなる樹脂組成物層と、の2層からなる被膜樹脂が被覆形成されている。
2層にする理由は、金属板との密着性確保と缶内部に収容する内容物に対する耐腐食性を併せ持たせるためである。すなわち、金属板に接する被膜樹脂は、非晶質の[B]樹脂組成物層として缶加工時における加工密着性を確保し、内容物に接する被膜樹脂は結晶性を有する[A]結晶性飽和ポリエステル層として缶内容物に対する耐食性を確保する。
【0014】
本発明で用いられる[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物とから誘導される構成単位から形成される。
【0015】
[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂を形成しているジカルボン酸成分は、特定の2種、或いは1種のジカルボン酸から誘導される。すなわち、前記ジカルボン酸成分は、テレフタル酸とイソフタル酸、或いはイソフタル酸のみからなる。
【0016】
また、[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂を形成しているジヒドロキシ成分としては、具体的には、エチレングリコール、トリメチレングリコール(プロピレングリコール)、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、などの脂肪族ジヒドロキシ化合物が挙げられる。
【0017】
上記のような[A]結晶性飽和ポリエステルは、発明の目的を損なわない範囲で、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールなどの多官能化合物から誘導される構成単位を少量含んでいてもよい。
【0018】
[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層の極表面の高結晶化層(X)は、具体的には、45°KRS−5クリスタルを用いたATR法によって得られたIRスペクトルの973cm−1 と795cm−1 の強度比より求められた結晶化度が、10〜60%、好ましくは10〜40%の範囲となるようにすることが望ましい。結晶化度が10%未満では、腐食性の高い内容物に対して優れた耐食性を有することが困難である。一方、結晶化度が60%を超えると、加工性に欠けることとなるので好ましくない。
【0019】
なお、高結晶化層(X)が形成されている極表面の厚みは、本発明で特定するものではないが、[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層の厚みの少なくとも2%以上形成されていることが望ましい。厚みが2%未満では、腐食性の高い内容物に対して優れた耐食性を有することが困難である。
本発明において、[B]樹脂組成物層を形成する際に用いられる(i)飽和ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物とから誘導される構成単位から形成される。
【0020】
前記(i)飽和ポリエステル樹脂においては、ジカルボン酸成分が、テレフタル酸またはそのエステル誘導体(たとえば低級アルキルエステル、フェニルエステルなど)からなり、ジヒドロキシ成分が、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体(たとえばモノカルボン酸エステルエチレンオキサイドなど)からなる。
【0021】
この(i)飽和ポリエステルは、他のジカルボン酸および/または他のジヒドロキシ化合物から誘導される構成単位を40モル%以下の量で含有してもよい。テレフタル酸以外のジカルボン酸としては、具体的には、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;
アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、などが挙げられる。これらのテレフタル酸以外のジカルボン酸は、そのエステル誘導体として用いてもよい。
【0022】
またエチレングリコール以外のジヒドロキシ化合物としては、具体的には、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの脂肪族グリコール;シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール;ビスフェノール類、ハイドロキノン、2,2-ビス(4-β-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどの芳香族ジオール類、などが挙げられる。これらのジヒドロキシ化合物は、そのエステル誘導体として用いてもよい。
【0023】
また、本発明で用いられる(i)飽和ポリエステルは、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールなどの多官能化合物から誘導される構成単位を少量、たとえば2モル%以下の量で含んでいてもよい。
【0024】
本発明において、[B]樹脂組成物層を形成する際に用いられる(ii)アイオノマー樹脂としては、従来公知のアイオノマー樹脂が広く用いられ、エチレンとα,β-不飽和カルボン酸との共重合体中のカルボキシル基の一部または全部が金属陽イオンで中和されたイオン性塩である。
【0025】
このα,β-不飽和カルボン酸としては、炭素数3〜8の不飽和カルボン酸、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノメチルエステルなどが挙げられる。
【0026】
このようなエチレンと不飽和カルボン酸との共重合体中のカルボキシル基を中和する金属陽イオンとしては、具体的に、Na+ 、K+ 、Li+ 、Zn+ 、Zn++、Mg++、Ca++、Co++、Ni++、Mn++、Pb++、Cu++ などの1〜2価の金属陽イオンが挙げられる。また、金属陽イオンで中和されてない残余のカルボキシル基の一部は、低級アルコールでエステル化されていてもよい。
【0027】
このような(ii)アイオノマー樹脂としては、上述のように、エチレンとアクリル酸、メタクリル酸などの不飽和モノカルボン酸との共重合体あるいはエチレンとマレイン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸との共重合体中のカルボキシル基の一部または全部がナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウムなどの金属イオンで中和されたアイオノマー樹脂が挙げられる。
【0028】
これらのうち、エチレンとアクリル酸またはメタクリル酸の共重合体(カルボキシル基を有する構成単位が2〜15モル%)中のカルボキシル基の30〜70%が、Naなどの金属で中和されたものが好ましい。また、Naなどの金属で中和されたものと、中和されていないものとをブレンドして用いることもできる。これらアイオノマー樹脂としては、“ハイミラン”(商品名:三井デュポンポリケミカル社製)などの市販品を使用することができる。
【0029】
本発明において、金属板上に積層される被膜樹脂は、上記のような[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層と、[B]樹脂組成物層との2層からなるとともに、[B]樹脂組成物層が上記金属板に接するように積層されている。このように積層された樹脂層の厚さは、2層の合計で、通常5〜500μm、好ましくは10〜100μm、特に好ましくは20〜60μmである。
【0030】
また、これら[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層と、[B]樹脂組成物層との2層の膜厚比は、[A]層:[B]層=2:1〜1:9であることが好ましい。
【0031】
[A]層/[B]層が2を超えていると、耐衝撃強度に劣ることがあるため好ましくない。一方、[A]層/[B]層が1/9未満であると、金属板上へ均一な膜厚で連続的にラミネートすることが困難なことがあり、また得られる缶にはピンホールが発生することがあるので好ましくない。
【0032】
上記のような本発明に係る樹脂被覆金属板は、たとえば以下の(1)〜(3)のいずれかのような方法によって製造される。
【0033】
(1)[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂と上記のように調製された[B]樹脂組成物とを、2層押出Tダイにより金属板上に[B]樹脂層が金属板に接するように同時に押し出す。
(2)一旦[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層と[B]樹脂組成物層とからなるフィルムを形成し、このフィルムと金属板とを[B]樹脂組成物層が金属板に接するように貼り合わせる。
(3)金属板上に[B]樹脂組成物層を形成し、次いでこの[B]樹脂組成物層上に[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層を形成する。
【0034】
上記のように金属板上に樹脂層を被覆するに際しては、押出機から溶融状態で押し出されて金属板上に被覆された被膜樹脂は、急冷することが好ましい。このように押出機から溶融状態で押し出されて金属板上に設けられた被膜樹脂は、実質的に未配向であり、かつ非晶状態であることが好ましい。
【0035】
通常は必要ないが、上述のように金属板状に被覆樹脂層を形成する際に、金属板と[B]樹脂組成物層、さらに[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層と[B]樹脂組成物層との間に、任意に、強固に固着するための接着剤を用いてもよい。
【0036】
前記接着剤としては、熱硬化型接着剤が適している。具体的には、主剤としてフェノキシ樹脂を含むエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル樹脂等を挙げることができる。エポキシ樹脂としてはポリエステル変成エポキシ樹脂等の変成エポキシ樹脂を使用することができ、ポリエステル樹脂としても変成ポリエステル樹脂を使用することができる。
【0037】
前記主剤とされる樹脂は、単独あるいは併用で使用することができる。また、これら主剤とブレンドして使用する硬化剤としては、好適例として、酸無水物、アミノプラスト、フェノール樹脂、ウレタン系硬化剤のいずれか1種以上を挙げることができる。
【0038】
前記主剤及び硬化剤を用いた熱硬化型樹脂組成物としては、具体的には、例えば、エポキシ樹脂と酸無水物とからなる樹脂組成物またはフェノール樹脂もしくはポリエステル樹脂とアミノプラストもしくはウレタン系硬化剤とからなる樹脂組成物を挙げることができる。
【0039】
本発明においては上記[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層の極表面に高結晶化層が形成される。[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層の極表面に高結晶化層が形成されることにより、[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層の表面に機械的強度が付与され、塗装・印刷装置、乾燥用オーブン等の工程を経ることによる、缶内面側となる樹脂被覆面への傷つき(ウィケット傷)の発生を抑えることができる。
【0040】
前記高結晶化層(X)は、上記(1)〜(3)のいずれかの方法で樹脂被覆金属板を製造した後、前記樹脂被覆金属板を所定温度に所定時間保持することにより形成される。すなわち、例えば前記樹脂被覆金属板を所定のサイズにカットし、被膜樹脂面上に印刷を施し、オーブンで所定温度に所定時間保持することにより、[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層の極表面に高結晶化層(X)を形成する。このような加熱処理をすることにより、結果的に、極表面に高い機械的強度を持ち、かつ金属板との密着性にも優れた樹脂被覆金属板を得ることができる。
【0041】
高結晶化層(X)を形成するための処理温度は、前記[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層のTg+30℃以上、Tm−10℃以下の温度、具体的には、150℃〜200℃であることが好ましい。150℃未満では、結晶化度が10%以上の高結晶化層(X)を所定の厚みで得ることが困難であり、また、200℃を超える温度だと、[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層が熱劣化する可能性があるので好ましくない。
【0042】
また、前記高結晶化層(X)を形成するためのオーブンでの保持時間は、10秒〜30分程度が好ましい。より好ましくは、1分〜30分程度が望ましい。10秒未満では結晶化度10%以上の高結晶化層(X)を十分得られず、30分を超える時間だと、[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層が熱劣化する可能性があるので好ましくない。
【0043】
本発明に係る樹脂被覆金属板は、上記のように、金属板と、少なくともその片面上に、[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層と[B]樹脂組成物層とが上記のような膜厚比で、かつ[B]樹脂組成物層が金属板に接するように積層された被膜とからなり、[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層の極表面には高結晶化層(X)が形成されている。
そのため本発明に係る樹脂被覆金属板は、優れた耐衝撃性を有するとともに成形性特に絞り成形性に優れ、成形時に被膜中にピンホールを生じることなく均一加工される。さらにこの被膜樹脂は、金属板との密着性にも優れ、成形時の加工追従性に優れるため、外観に優れた缶が得られる。
【0044】
本発明に係る絞り缶10は、図1にその断面図を示すように、上記のような樹脂被覆金属板11を絞り加工、あるいは再絞り加工されてなる。この際、金属板11の片面のみに被膜樹脂12が設けられた樹脂被覆金属板が用いられる場合には、樹脂被覆面が缶内面側になるように絞り加工される。
そして、被膜樹脂12は、金属板11に接して[B]樹脂組成物層が形成され、その上層に[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層が形成されている。さらに、[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層の極表層に(X)高結晶化層が形成されている。
【0045】
なお、上記の樹脂被覆金属板から絞り缶を製造する際に、被膜樹脂が両面に設けられた樹脂被覆金属板を用いると、缶内面だけでなく缶外面も樹脂で被覆された絞り缶が得られる。これは、通常製缶後に行われる缶外面の塗装工程を省くことができ、溶媒が飛散するなどの塗装時の問題点もないとともに、製缶設備を大幅に縮小することもできる点で好ましい。
【0046】
絞り缶(DR缶)を製造する方法は、公知の各種の方法が採用できる。すなわち、最も一般的な方法として、樹脂被覆金属板を円板状に打ち抜き、ポンチとダイスとで絞り加工を行って有底筒状体を形成し、次いで該有底筒状体にトリミング、フランジ加工、胴部にネック部、ビード部等を形成する加工、底部に対するドーミング加工等が施される方法により製造することができる。
【0047】
【実施例】
以下に、本発明における実施例及び比較例を示すが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
表1に示す[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂と、表1に示すような組成を有する[B](i)飽和ポリエステル樹脂および(ii)アイオノマー樹脂(商品名“ハイミラン”:三井デュポンポリケミカル社製)とからなる樹脂組成物とを、TFS(板厚み0.18mm)の片面に、2種2層押出Tダイを用いて、表1に示す膜厚比で[B]層がTFS鋼板と接するようにして25μmの合計膜厚で被覆した。被覆時のTFS鋼板は、加熱したものを用い、Tダイで樹脂を被覆した後、10秒以内に100℃以下まで急冷した。この樹脂被覆金属板を所定長さに裁断したものを、759mm×871mmに裁断して、缶外面になる面に印刷を施し、表2に示すように、150〜200℃のオーブンで1〜30分間加熱処理し、缶内面側になる面に高結晶化層(X)を形成させた。
【0048】
【表1】
Figure 0004085252
【0049】
【表2】
Figure 0004085252
【0050】
このようにして得られた樹脂被覆鋼板を、高結晶化層を有する樹脂被覆面が缶内面となるようにして、絞り加工を行って絞り缶を製造した。また、他の端部には内側面がポリエチレンテレフタレートフィルムでラミネートされた缶蓋を二重巻き締めにより取り付け、飲料缶を完成させた。
【0051】
樹脂被覆金属板をオーブン通過させ、目視で金属板表面のウィケット傷の有り無しを観察した。また、実施例の樹脂被覆金属板を用いて製缶し内容物を充填し、1ヶ月保存した後の、フレーバー性及び缶内面の腐食の程度(腐食されると樹脂の白化が観察される)を目視で観察した。その結果を表3に示す。
【0052】
【表3】
Figure 0004085252
【0053】
表3の実施例1〜8に示すように、本発明に係る樹脂被覆金属板は、ウィケット傷の発生が見られず、また、内容物フレーバー性、耐食性も優れていた。これに対し、比較例1,2は、ウィケット傷の発生が見られたため、内容物フレーバー、耐食性に劣っていた。
【0054】
【発明の効果】
本発明に係る樹脂被覆金属板は、ウィケット傷の発生がなく、塗装・印刷・乾燥工程における缶内面側となる樹脂被覆面への傷つきが少なく、耐食性、加工性に優れるなどの特性を有し、優れた絞り缶を形成しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る絞り缶の断面図である。
【符号の説明】
10: 絞り缶
11: 樹脂被覆金属板
12: 被膜樹脂
[A]: 結晶性飽和ポリエステル樹脂層
[B]: 樹脂組成物層
(X): 高結晶化層

Claims (3)

  1. 絞り缶用樹脂被覆金属板であって、
    金属板と、該金属板片面または両面上に設けられた被膜樹脂とからなり、前記被膜樹脂は、
    [A]ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物とから誘導され、ジカルボン酸成分は、テレフタル酸とイソフタル酸、或いはテレフタル酸のみからなる結晶性飽和ポリエステル樹脂層と、
    [B](i)飽和ポリエステル樹脂及び(ii)アイオノマー樹脂からなる樹脂組成物層と、
    の2層からなり、
    樹脂被覆金属板を加熱処理することにより、
    前記[B]樹脂組成物層が前記金属板に接するように積層されるとともに、
    前記[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層の極表面に、[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層の厚みの少なくとも2%以上の高結晶化層(X)が形成されてなることを特徴とする、絞り缶用樹脂被覆金属板。
  2. 前記高結晶化層(X)が、結晶化度10〜60%であることを特徴とする、請求項1に記載の絞り缶用樹脂被覆金属板。
  3. 請求項1又は2に記載の樹脂被覆金属板を用い、前記高結晶化層(X)が缶の内面側になるように絞り加工あるいは再絞り加工して成形してなる絞り缶。
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