ところで、通常、スクリーン装置においては、流路の形状や構造によりスクリーンの長さや形状が異なり、このスクリーンの長さや形状に対応させてチェーンを循環させる必要がある。すなわち、スクリーン装置を幅が広い流路に設置する場合には、スクリーン及びチェーンが長くなり、よって、チェーンのレーキユニット間の長さも長くなる。このようにチェーンのレーキユニット間が長くなった場合に、前記特許文献1では、レーキユニット及びその近傍の摺動部材をガイドしていることにより、チェーンのレーキユニット近傍は弛むことなく循環するが、チェーンのレーキユニット間は大きく弛んでスクリーン装置の構成部材等に接触する虞れがある。
また、流路の構造に対応させてスクリーンを流路下流側へ向けて湾曲させる場合がある。このとき、スクリーンの流路下流側に位置する駆動側スプロケット及び従動側スプロケット間のチェーンには張力が作用していることから、該チェーンは両スプロケット間において略直線的な軌跡を描いて循環しようとしており、従って、チェーンの外周側がスクリーンに接触するようになる。このようにスクリーンを湾曲させた場合に、特許文献1では、ガイド板によりチェーンがその内周側へずれないようになっているだけなので、前記したチェーン外周側のスクリーンへの接触を防止できない。
つまり、前記特許文献1のスクリーン装置では、流路の形状や構造によりチェーンがスクリーン装置の構成部材に接触してレーキユニットがスムーズに移動しなくなることがある。
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、レーキユニットが取り付けられたチェーン等の動力伝達帯状体を循環させてスクリーンの夾雑物を掻き取る場合に、流路の形状や構造により、動力伝達帯状体が大きく弛まないようにし、また、動力伝達帯状体をスクリーンの形状に対応させて循環できるようにして、レーキユニットをスムーズに移動させることにある。
前記目的を達成するために、請求項1の発明では、動力伝達帯状体を下方から支持するようにした。
具体的には、略水平に延びる複数のスクリーンバーが上下方向に間隔をあけて並設され、流路に設置されるスクリーンと、複数のレーキが前記スクリーンの隣り合うスクリーンバー間を移動可能なように上下方向に間隔をあけて並設された複数のレーキユニットと、レーキユニット駆動手段とを備え、該レーキユニット駆動手段を、スクリーンバーの長手方向両端側に配置された駆動側回転体及び従動側回転体と、該両回転体に巻き掛けられて循環駆動する環状の動力伝達帯状体とからなるものとし、該動力伝達帯状体には、前記各レーキユニットが間隔をあけて取り付けられ、動力伝達帯状体の循環駆動により前記レーキを隣り合うスクリーンバー間に長手方向一端側から導入して他端側から導出させることにより夾雑物を掻き取るように構成し、前記動力伝達帯状体を前記両回転体間で下側案内部材により下方から支持する構成とした。
この発明によれば、動力伝達帯状体を循環駆動してレーキユニットが移動する際、動力伝達帯状体が下側案内部材により案内されて大きく弛むのが防止される。このため、スクリーン装置を幅の広い流路に設置する場合のように、スクリーンバーが長くなり、これに対応して動力伝達帯状体におけるレーキユニット取付部位の間が長くなっても、該動力伝達帯状体がスクリーン装置の構成部材に接触することはない。また、そのように下側案内部材により動力伝達帯状体の弛みが防止されるので、動力伝達帯状体の張力を低くすることが可能となる。これにより、駆動側回転体及び従動側回転体を支持する軸受の長寿命化が図られるとともに、動力伝達帯状体を循環させるのに要する動力が小さくてもよくなる。
請求項2の発明では、請求項1の発明において、下側案内部材は、動力伝達帯状体の下方に近接配置された固定側受け部材に取り付けられて前記動力伝達帯状体を下方から支持する転動自在なガイドローラである構成とする。
この発明によれば、固定側受け部材に取り付けられたガイドローラが動力伝達帯状体の下面に転がり接触して該動力伝達帯状体が支持されるので、動力伝達帯状体を支持する際の動力の損失が抑えられる。また、ガイドローラは固定側受け部材に固定されていて、動力伝達帯状体とは別体であるため、下側案内部材を設ける際して、動力伝達帯状体の構造を変更する必要がなく、従来の動力伝達帯状体が使用可能となる。
請求項3の発明では、請求項1の発明において、下側案内部材を、動力伝達帯状体に取り付け、動力伝達帯状体の下方に近接配置された固定側受け部材に接触する転動自在なガイドローラである構成とする。
この構成によれば、動力伝達帯状体に取り付けられたガイドローラが固定側受け部材に転がり接触して動力伝達帯状体が支持されるので、請求項2の発明と同様に動力の損失が抑えられる。
請求項4の発明では、請求項1の発明において、レーキユニット駆動手段の駆動側回転体及び従動側回転体は駆動側スプロケット及び従動側スプロケットであり、動力伝達帯状体はチェーンであり、下側案内部材は、前記駆動側スプロケット及び従動側スプロケット間に配置されて前記チェーンに噛み合うガイドスプロケットである構成とする。
この構成によれば、チェーンが循環するとチェーンにおける駆動側及び従動側スプロケットの間の部分がガイドスプロケットに噛み合い、このチェーンにおけるガイドスプロケットに噛み合った部分が該ガイドスプロケットにより支持されて大きく弛むのが防止される。
請求項5の発明では、平面視で湾曲したスクリーンバーによりスクリーンを構成し、レーキユニットをスクリーンに沿わせて移動させ、動力伝達帯状体をスクリーンに沿うように支持した。
具体的には、平面視で湾曲しかつ略水平に延びる複数のスクリーンバーが上下方向に間隔をあけて並設され、流路に設置されるスクリーンと、複数のレーキが前記スクリーンの隣り合うスクリーンバー間を移動可能なように上下方向に間隔をあけて並設された複数のレーキユニットと、レーキユニット駆動手段とを備え、該レーキユニット駆動手段を、スクリーンバーの長手方向両端側に配置された駆動側回転体及び従動側回転体と、該両回転体に巻き掛けられて循環駆動する環状の動力伝達帯状体とからなるものとし、該動力伝達帯状体には、前記各レーキユニットが間隔をあけて取り付けられ、動力伝達帯状体の循環駆動により前記レーキユニットをスクリーンに沿わせて移動させて前記レーキを隣り合うスクリーンバー間に長手方向一端側から導入して他端側から導出させることにより夾雑物を掻き取るように構成し、前記動力伝達帯状体を、前記両回転体間で、スクリーンに沿うように側方案内部材により側方から支持するとともに、下側案内部材により下方から支持する構成とする。
この発明によれば、スクリーンが流路の上流側又は下流側に湾曲するので、スクリーン装置の幅を拡大することなく、スクリーンの面積を広くすることが可能となり、単位時間当たりのろ過量が増える。この場合に、動力伝達帯状体が循環してレーキユニットが移動する際、動力伝達帯状体が側方案内部材により案内され、動力伝達帯状体がスクリーンバーの形状に対応する循環軌跡を描きながら循環するようになり、動力伝達帯状体がスクリーン装置の構成部材に接触することはない。
また、動力伝達帯状体におけるレーキユニット取付部位の間が長くなっても、動力伝達帯状体がスクリーン装置の構成部材に接触することはなく、また、駆動側回転体及び従動側回転体を支持する軸受の長寿命化が図られるとともに、動力伝達帯状体を循環させるのに要する動力が小さくてもよくなる。
請求項6の発明では、請求項5の発明において、側方案内部材は、動力伝達帯状体のスクリーン側を移動している部分を支持する構成とする。
この構成によれば、動力伝達帯状体がスクリーンに接触するのが確実に防止される。
請求項7の発明では、請求項6の発明において、動力伝達帯状体はローラチェーンであり、側方案内部材を前記ローラチェーンのローラに接触するように形成する構成とする。
この構成によれば、ローラチェーンが有するローラを利用して側方案内部材とチェーンとを転がり接触させながら該チェーンを支持することが可能となる。このため、側方案内部材にローラ等の接触時の抵抗を抑えるための構造を設けることなく、チェーンを支持する際の動力の損失が抑えられる。
請求項1の発明によれば、複数のレーキユニットを動力伝達帯状体に取り付けて、該動力伝達帯状体を循環させてレーキユニットを駆動し、下側案内部材により動力伝達帯状体を下方から支持するようにしたので、例えば、スクリーン装置を幅の広い流路に設置する場合のように、動力伝達帯状体におけるレーキユニット取付部位の間が長い場合においても動力伝達帯状体が大きく弛まない。これにより、動力伝達帯状体がスクリーン装置の構成部材に接触するようになることはなく、レーキユニットをスムーズに移動させることができる。また、下側案内部材により動力伝達帯状体の弛みを防止しているので、動力伝達帯状体の張力を低くすることができて、駆動側及び従動側回転体を支持する軸受の長寿命化を図ることができるとともに、動力伝達帯状体を循環させるのに要する動力を小さくできる。
請求項2の発明によれば、ガイドローラにより動力伝達帯状体を支持するようにしたので、動力伝達帯状体を支持する際の動力の損失を抑えることができる。また、このガイドローラを固定側受け部材に取り付けるようにしたので、下側案内部材を設けるに際して、従来の動力伝達帯状体が使用可能となり、コストを低減できる。
請求項3の発明によれば、請求項2の発明と同様に、ガイドローラにより動力伝達帯状体を支持するようにしたので、動力伝達帯状体を支持する際の動力の損失を抑えることができる。
請求項4の発明によれば、駆動側スプロケット及び従動側スプロケットにチェーンを巻き掛けてレーキユニット駆動手段を構成し、これら駆動側スプロケット及び従動側スプロケット間にチェーンに噛み合うガイドスプロケットを配置したので、チェーンにおける駆動側スプロケット及び従動側スプロケット間がガイドスプロケットにより支持され、よって、動力伝達帯状体が大きく弛むのを防止できる。
請求項5の発明によれば、平面視で湾曲したスクリーンバーによりスクリーンを構成したので、スクリーン装置の幅を拡大することなく、処理能力を高めることができる。そして、複数のレーキユニットを動力伝達帯状体に取り付けて、該動力伝達帯状体を循環させてレーキユニットを駆動し、側方案内部材により動力伝達帯状体をスクリーンに沿うように支持したので、動力伝達帯状体がスクリーンに接触するようになることはなく、レーキユニットをスムーズに移動させることができる。
また、動力伝達帯状体が下側案内部材により下方から支持されるため、動力伝達帯状体におけるレーキユニット取付部位の間が大きく弛まなくなる。従って、請求項1の発明と同様に、動力伝達帯状体におけるレーキユニット取付部位の間が長くなっても、レーキユニットをスムーズに移動させることができる。また、動力伝達帯状体の張力を低くすることができて、駆動側及び従動側回転体を支持する軸受の長寿命化を図ることができるとともに、動力伝達帯状体を循環させるのに要する動力を小さくできる。
請求項6の発明によれば、動力伝達帯状体のスクリーン側を移動している部分を支持するようにしたので、動力伝達帯状体がスクリーンに接触することはなく、スクリーンの損傷を確実に防止できる。
請求項7の発明によれば、動力伝達帯状体をローラチェーンとし、側方案内部材をローラチェーンのローラに接触するように形成したので、側方案内部材を簡単な構造としながら、チェーンを支持する際の動力の損失を抑えることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
図2は、本発明の実施形態1に係るスクリーン装置1が設置された合流式下水道施設の雨水吐き室Rを示す。該雨水吐き室Rは概ね立方体状をなしていて、例えば道路の下に埋設されている。この雨水吐き室Rの側面には、同様に埋設された合流管Gの下流端が開口している。該合流管Gの上流側には、汚水としての家庭排水及び雨水が流入するようになっており、この汚水が雨水吐き室Rに流れ込む。また、雨水吐き室Rにおける合流管Gの開口に対向する側面には、遮集管Sの上流端が開口している。また、雨水吐き室Rにおける合流管Gが開口する側面と直交する側面には、河川等に通じる放流管Hの上流端が開口している。
前記雨水吐き室Rの底面には、合流管Gからの汚水が流入する領域と放流管H側の領域とを区切るように所定高さの越流堰Tが設けられている。この越流堰Tは、雨水吐き室Rの合流管Gが開口する側面と、遮集管Sが開口する側面とに連続するように直線状に延びていて、その上面に前記スクリーン装置1が設置されている。
前記雨水吐き室Rでは、雨量が少ないときには、合流管Gから流れ込んだ汚水は越流堰Tを超えることなく、ほとんど全部が遮集管Sから汚水処理場へ送られる。一方、雨量が多いときには、汚水処理場の処理能力に限界あるため、合流管Gから雨水吐き室Rに流れ込んだ汚水が越流堰Tを超えて放流管H側へ流れるようになっている。この越流堰Tを超えた汚水が、図1に矢印イで示すようにスクリーン装置1へ向けて流れて該スクリーン装置1によりろ過された後、放流管Hから河川等に放流される。
前記スクリーン装置1は、汚水の夾雑物をろ過するためのスクリーン2を備え、このスクリーン2は越流堰Tの上面に固定されたフレーム3に取り付けられている。また、このフレーム3には、スクリーン2に捕捉された夾雑物を掻き取る複数のレーキユニット4と、該レーキユニット4を駆動するレーキユニット駆動手段5とが取り付けられている。
前記フレーム3は、越流堰Tの幅方向両端に亘る横長の箱状に形成されている。図3及び図5に示すように、このフレーム3の汚水流れ上流側の壁部には、該フレーム3の長手方向一側(図1及び図3の左側)近傍から他側(同図の右側)近傍に亘る開口部3aが形成されている。また、フレーム3の汚水流れ下流側の壁部には、上流側の開口部3aと同形状の開口部3bが形成されている。
前記スクリーン2は、略水平に延びるスクリーンバー20を上下方向に等間隔に並設して構成されている。各スクリーンバー20は、フレーム3の長手方向両端に亘って真っ直ぐに延びる細長い板状のものであり、その長手方向両端側が前記フレーム3に固定されている。
前記フレーム3の長手方向他側には、該フレーム3の上壁から上方へ突出するように電動機29が配設されている。この電動機29は減速機を内蔵した周知のものであり、図示しない制御装置に接続されている。該制御装置には、雨水吐き室Rの越流堰Tよりも合流管G側の領域の水位を検出するセンサ(図示せず)が接続されている。この制御装置は、前記センサにより汚水の水位が越流堰Tを超える水位となったことが検出されると電動機29を起動させるように構成されている。
電動機29は、その出力軸が上下方向に向くように配置されてフレーム3の上壁に固定されている。図4に示すように、前記電動機29の下方におけるフレーム3の内部には、電動機29の出力軸と回転一体に連結された駆動軸30が前記出力軸と同軸上に配置されている。この駆動軸30の上端及び下端はフレーム3に取り付けられた軸受部材32により回転可能に支持されている。前記駆動軸30には、駆動側回転体としての駆動側スプロケット31が上下方向に間隔をあけて2つ固定されている。
一方、フレーム3の長手方向一側の内部には、駆動軸30と平行に延びる従動軸33が配置され、この従動軸33の上端及び下端が前記駆動軸30と同様に軸受部材(図示せず)により支持されている。従動軸33には、前記駆動軸30の2つの駆動側スプロケット31と同じ高さ位置にそれぞれ、従動側回転体としての従動側スプロケット35が固定されている。従って、これら駆動側スプロケット31及び従動側スプロケット35は、上下方向の回転軸周りに回転するようになっている。尚、前記駆動側スプロケット31及び従動側スプロケット35の歯数は同じである。
前記上側の駆動側スプロケット31及び従動側スプロケット35には、動力伝達帯状体としてのチェーン37が巻き掛けられている。このチェーン37は複数のリンク37aをピン37bにより連結してなる周知のローラチェーンである。また、下側の駆動側スプロケット31及び従動側スプロケット35にも同様のチェーン37が巻き掛けられていて、電動機29が起動すると、各駆動側スプロケット31の回転力がチェーン37を介して従動側スプロケット35に伝達され、このときに上下2本のチェーン37が同じ速度で一定の軌跡を描きながら、図1の矢印ロの方向に循環する。
また、このスクリーン装置1には、上側チェーン37を下方から支持する下側案内部材としてのガイドローラ44が設けられている。該ガイドローラ44は、図5に示すように、チェーン37の下方に近接配置された固定側受け部材41に取り付けられている。該固定側受け部材41は矩形板状のもので、図1に示すように、フレーム3内部の長手方向両側に1枚ずつ設けられている。各固定側受け部材41は、チェーン37の循環軌跡に沿ってスクリーンバー20の長手方向に延びる矩形状に形成されていて、フレーム3の上壁内面から垂下するステー43の下端に取り付けられている。
前記ガイドローラ44は、固定側受け部材41のスクリーンバー20側である汚水流れ上流側に、チェーン37の軌跡に対応して略等間隔に複数配置されている。また、固定側受け部材41の汚水流れ下流側にも、同様に複数のガイドローラ44が配置されている。
各ガイドローラ44は、互いに同じ円筒状に形成されたものであり、図5に示すように、その回転軸方向両端が一対のL字状部材45により支持され、転動自在に構成されている。前記ガイドローラ44の外周面には、チェーン37のピン37bが係合するように窪み44aが形成されている。そして、ガイドローラ44は、その回転軸が略水平かつチェーン37の移動方向に略直交する方向に向くように配置され、L字状部材45の下面が固定側受け部材41の上面に固定されることにより取り付けられている。各ガイドローラ44は、チェーン37の循環軌跡が水平面上に形成されるように高さ位置が設定されている。
また、下側チェーン37も前記上側チェーン37と同様にガイドローラ44により下方から支持されている。この下側のガイドローラ44が取り付けられる固定側受け部材41は、フレーム3の下壁内面に立設されたステー47の上端に取り付けられている。
前記チェーン37には、図1に示すように、略等間隔に4つのレーキユニット4が取り付けられるようになっている。チェーン37の周方向に隣り合うレーキユニット4の間隔は、前記スクリーン2のスクリーンバー20の長さよりも短く設定されている。
4つのレーキユニット4は同様に構成されていて、図5に示すように、スクリーンバー20間を移動して夾雑物を掻き取るように構成された複数のレーキ50と、概ね上下方向に延びる板状のレーキ支持部材51とを備えている。前記レーキ50は板状のものであり、その肉厚は隣り合うスクリーンバー20の離間寸法よりも若干薄く設定されている。このレーキ50は、スクリーンバー20間の隙間に対応して上下方向に間隔をあけて配置され、その基端側が前記レーキ支持部材51に固定されている。このレーキ50の先端側は、スクリーンバー20よりも汚水流れ上流側へ突出するように形成されている。
また、前記レーキ支持部材51の上端側は、レーキ50固定側と反対側へ略直角に折り曲げられ、上側チェーン37への取付部51aとされている。また、レーキ支持部材51の下端側には、前記取付部51aと同方向に延びる取付部材52が固定されている。これら取付部51a及び取付部材52は、各レーキ50が対応するスクリーンバー20間の隙間に配置された状態で、上側チェーン37の上面及び下側チェーン37の上面にそれぞれ接触するように位置付けられている。前記取付部51a及び取付部材52には、貫通孔(図示せず)が形成され、この貫通孔にチェーン37のリンク37a連結用のピン37bを嵌入してレーキユニット4がチェーン37に取り付けられている。
前記チェーン37に取り付けられた各レーキユニット4は、電動機29が起動してチェーン37が循環すると、チェーン37の循環軌跡に対応して移動する。すなわち、レーキユニット4のレーキ50は、その先端の移動軌跡を図1に二点鎖線で示すように、スクリーンバー20間に該スクリーンバー20の長手方向一端側から導入されて他端側から導出された後、枠状フレーム3の汚水流れ下流側へ向かって円弧状の軌跡を描きながら移動する。この枠状フレーム3の汚水流れ下流側へ移動したレーキ50は、フレーム3の長手方向一側端部まで直線移動した後、スクリーンバー20側へ向かって円弧状の軌跡を描きながら移動し、再びスクリーンバー20間に導入される。
このレーキユニット4が移動するときには、チェーン37の周方向に隣り合うレーキユニット4の間隔がスクリーンバー20の長さよりも短く設定されているので、少なくとも1つのレーキユニット4のレーキ50がスクリーンバー20間に位置するようになる。このことで、レーキユニット4によりスクリーンバー20が支持されるため、該スクリーンバー20が自重により撓むことはなくスクリーンバー20間の間隔が所期の寸法に保たれる。また、そのように複数のレーキユニット4を設けることで、電動機29の回転速度を速くせずにスクリーン2に捕捉された夾雑物の掻き取り頻度が十分に得られ、よって、レーキユニット駆動手段5の長寿命化が図られる。
前記のように構成されたスクリーン装置1の動作を説明すると、越流堰Tを超えた汚水がスクリーン2を通過することで、汚水の夾雑物がスクリーン2に捕捉される。この汚水が越流堰Tを超えたときには、電動機29が起動していて、レーキユニット4のレーキ50がスクリーンバー20間を長手方向一側から他側へ移動する。このレーキ50により掻き取られた夾雑物は、スクリーンバー20の長手方向他側、即ち図2の雨水吐き室Rにおける遮集管S側へ送られ、該遮集管Sを通って汚水処理場へ運ばれる。
したがって、この実施形態に係るスクリーン装置1では、運転中に循環しているチェーン37が、その下面に接触するガイドローラ44により支持されるので、チェーン37におけるレーキユニット4取付部位の間が大きく弛まない。このため、スクリーン装置1を幅の広い越流堰Tの上面に設置する場合のように、チェーン37におけるレーキユニット4取付部位の間が長くなる場合においても、チェーン37の全周が所期の軌跡を描きながら循環する。これにより、チェーン37がフレーム3等に接触するのを未然に防止できて、レーキユニット4をスムーズに移動させることができる。
また、チェーン37の弛みがガイドローラ44により防止されるので、チェーン37の張力を低くすることができる。これにより、駆動軸30や従動軸33の軸受部材32の長寿命化を図ることができるとともに、チェーン37を循環させるのに要する動力が小さくてもよくなり、電動機29を小型化できる。
また、ガイドローラ44はチェーン37に転がり接触するので、チェーン37を案内することによる動力の損失を抑えることができる。さらに、ガイドローラ44を固定側受け部材41に固定しているので、従来のチェーン37の構造を変更する必要がなくそのまま使用することができて、コストを低減できる。
尚、この実施形態では、ガイドローラ44を固定側受け部材41に固定した場合について説明したが、ガイドローラ44は、図6及び図7に示す変形例1のように、チェーン37に固定するようにしてもよい。すなわち、チェーン37を構成するピン37bの下端には、ガイドローラ44を回転可能に支持するコ字状部材60が一体的に設けられており、このガイドローラ44及びコ字状部材60は、チェーン37の周方向に離れて適宜配設されている。そして、チェーン37が循環すると、ガイドローラ44が固定側受け部材41に転がり接触し、このことで、チェーン37が大きく弛むのを防止できる。
また、この実施形態1では、チェーン37や固定側受け部材41に転がり接触するガイドローラ44により下側案内部材を構成したが、これに代えて、チェーン37や固定側受け部材41に摺接する部材により下側案内部材を構成するようにしてもよい。また、図8に示す変形例2のように、チェーン37に噛み合うように配置されたガイドスプロケット63により下側案内部材を構成してもよい。このガイドスプロケット63は、前記駆動側及び従動側スプロケット31,35と同じものであり、これら駆動側スプロケット31と従動側スプロケット35との間に略等間隔に4つ設けられている。各ガイドスプロケット63は、上下方向に延びる軸64に支持され、この軸64周りに回転するようになっている。この変形例では、チェーン37における駆動側スプロケット31及び従動側スプロケット35の間がガイドスプロケット64に噛み合う。このチェーン37におけるガイドスプロケット64に噛み合った部分が該スプロケット64により支持された状態となり、チェーン37が大きく弛むのを防止できる。この場合、ガイドスプロケット64の数は4つより少なくてもよいし、多くてもよい。
《発明の実施形態2》
図9は、本発明の実施形態2に係るスクリーン装置1が設置された合流式下水道施設の雨水吐き室Rを示す。この実施形態2の雨水吐き室Rは、実施形態1のものに対して合流管Gの下流端が開口する位置が異なっており、これに伴って越流堰T及びスクリーン装置1の形状が湾曲している。
具体的には、合流管Gの下流端は、雨水吐き室Rの側面における放流管Hの開口に対向する箇所に開口している。また、越流堰Tは、合流管G側の領域と放流管H側の領域とを区切るように、かつ放流管H側へ向けて湾曲形成されていて、この越流堰Tの上面に、図10に示すようにスクリーン装置1が設置されている。このように、越流堰Tを湾曲させることで、合流管Gからの汚水が遮集管H側へ導かれるようになるとともに、この越流堰Tに設置されるスクリーン装置1の幅を抑えながらスクリーン2の面積が確保される。このスクリーン表面積が大きくなることによって汚水のろ過量が増え、汚水の処理能力が高まる。
この実施形態のスクリーン装置1のフレーム3は、越流堰Tの幅方向に両端に亘って湾曲して延びる箱状に形成され、また、各スクリーンバー20は、フレーム3の汚水流れ上流側の壁部に沿うように湾曲しており、これに対応してスクリーン2も湾曲している。
このスクリーン装置1には、上側チェーン37を駆動側スプロケット31及び従動側スプロケット35の間で側方から支持する第1側方案内部材72と第2側方案内部材75とが設けられている。図12に示すように、各側方案内部材72,75は、固定側受け部材41に固定されている。
前記固定側受け部材41のスクリーンバー20側である汚水流れ上流側は、上方へ略直角に折り曲げれられて第1側方案内部材72の固定部41aを構成している。該固定部41aの上端は、チェーン37のローラ37cと略同じ高さに位置付けられ、この上端部のチェーン37側に前記第1側方案内部材72が固定されている。該第1側方案内部材72は、図11に示すように、固定部41aの長手方向両端に連続して延びかつスクリーンバー20の形状に対応して湾曲した棒状のものであり、そのチェーン37側の面がチェーン37のローラ37cに接触するように形成されている。この第1側方案内部材72により、チェーン37のスクリーン2側、即ち汚水流れ上流側を移動している部分がスクリーン2に沿うように支持される。
一方、前記第2側方案内部材75は、チェーン37の汚水流れ下流側を移動している部分を支持するためのものである。該第2下側案内部材75は、前記該1下側案内部材72と同様に構成されている。前記固定側受け部材41の汚水流れ下流側の部位には、前記固定部41aと略同形状の固定部材76が立設され、この固定部材76の汚水流れ下流側に前記第2下側案内部材75が固定されている。また、この実施形態では、前記実施形態1と同様に構成されたガイドローラ44が設けられていて、チェーン37が下方から支持されている。
また、図12に示すように、下側チェーン37も、前記上側チェーン37と同様に、スクリーン2に沿うように第1及び第2案内部材72,75により側方が支持されている。下側の固定側受け部材41は、フレーム3の下壁内面に立設されたステー78の上端に取り付けられ、この固定側受け部材41にはガイドローラ44が設けられている。
したがって、この実施形態に係るスクリーン装置1では、運転中に循環しているチェーン37がその側面をなすローラ37cに接触する第1及び第2側方案内部材72,75により案内されるので、チェーン37におけるレーキユニット4取付部位の間がスクリーンバー20の形状に対応する湾曲した循環軌跡を描くようになる。加えて、ガイドローラ44により、前記実施形態1と同様にチェーン37が大きく弛むのが防止される。これらのことにより、チェーン37が所期の軌跡を描きながら循環し、よって、チェーン37がスクリーンバー20等に接触するのを未然に防止できて、スクリーン2等の損傷を防止できるとともに、レーキユニット4をスムーズに移動させることができる。
また、第1及び第2側方案内部材72,75をチェーン37が有するローラ37cに接触させているので、両者は転がり接触している。このため、第1及び第2側方案内部材72,75にローラ等の接触時の抵抗を抑えるための構造を設けなくても、チェーン37を案内する際の動力の損失を抑えることができ、よって、第1及び第2側方案内部材72,75の構造を簡単にすることができる。
尚、この実施形態では、第1及び第2側方案内部材72,75を固定側受け部材41の長手方向両端に連続するように形成したが、断続させてもよい。
また、チェーン37における開口部13b側の循環軌跡はスクリーン2の形状に合わせる必要はないので、第2側方案内部材75を省略して、前記チェーン37の開口部13b側を移動している部分を、前記実施形態1の変形例2と同様のガイドスプロケットを用いて案内するようにしてもよい。
また、前記実施形態1、2では、レーキユニット駆動手段5をスプロケット31,35及びチェーン37により構成したが、これに限らず、例えば、駆動軸30及び従動軸33にそれぞ駆動側プーリ及び従動側プーリを固定し、これら駆動側プーリ及び従動側プーリに動力伝達帯状体としてのベルトを巻き掛けて構成してもよい。
さらに、前記各実施形態では、合流式下水道施設の雨水吐き室Rに設置されるスクリーン装置に本発明を適用したものを示したが、本発明の適用対象となるスクリーン装置は、下水道施設以外の例えば河川の取水路等の水路に適用することができる。