JP4080656B2 - オルソプタ水車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オルソプタ水車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
風力を利用して回転させるための翼車としてオルソプタ構造は、20年以上も前にヨーロッパで発明されていた。しかし、水車用としては考えておらず、また使うとしても流体の性質が異なるために、そのままの構造では効率が悪く実用化できない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者等は、オルソプタ風車の基本構造を利用しながら、水車としての効率を向上できるオルソプタ水車について鋭意、研究を進めた結果、水車としても十分な効率を得ることができるオルソプタ水車の開発に成功した。
本発明によるオルソプタ水車を利用することで、水深の浅い中小河川、農業水路等において小規模発電を可能とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明が採用した技術解決手段は、
水流の方向とオルソプタ水車の回転方向が同じ側の水路の壁面がブレード側に突出するように形成されている水路内にオルソプタ水車を配置し、前記水車は、前記水路の自由表面に対して、オルソプタ水車のシャフトを垂直に配置してあり、前記シャフトに固定された2枚のブレード保持板と、この保持板間に軸支され自転可能な2〜4枚のブレードと、前記シャフトの回転により前記ブレードに回転力を付与する伝動機構を備えており、前記ブレードは所定のアスペクト比を備え、また前記シャフトは発電機の入力軸に結合され、さらに前記シャフトとブレードとの回転比はブレードの枚数によって一義的に規定されるべく構成されていることを特徴とするオルソプタ水車である。
また、前記ブレードのアスペクト比ARは2.44であることを特徴とするオルソプタ水車である。
また、前記オルソプタ水車のブレードは平板または楕円型であることを特徴とするオルソプタ水車である。
また、前記伝動機構はチェーン伝動機構であり、前記チェーン伝動機構にはチェーンの張りを得るためにスプリング付きアジャストローラを配置したことを特徴とするオルソプタ水車である。
【0005】
【実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明すると、図1は本実施形態に係るオルソプタ水車の平面図、図2は正面図、図3は側面図であり、図3のみが水路内に本オルソプタ水車配置し、さらにこのオルソプタ水車に発電機を取り付けた状態の図となっている。
【0006】
図1〜図3において、1はオルソプタ水車のシャフトであり、このオルソプタ水車はシャフト1に固定された2枚のブレード保持板2A、2Bと、この保持板2A、2B間に軸支されている2枚のブレード3、4と、このブレード3、4に回転力を付与する伝動機構5を備えており、ブレード3、4の軸6、7がブレード保持板2A、2Bに回転自在に軸支され、ブレード保持板2A、2Bに対してブレード3、4が自転できる構成となっている。また2枚のブレード3、4は図1に示すようにシャフト1に対して点対称の位置においてブレード保持板2A、2Bに取り付けられている。
【0007】
図2において、2枚のブレード3、4(説明の都合上、ブレード3を第1ブレード、ブレード4を第2ブレードとする)の内、第1ブレード3の回転軸6には第1スプロケット8が、さらに第2ブレード4の回転軸7には第2スプロケット9および第3スプロケット10が設けられており、さらにシャフト1には前記第3スプロケット10に対応する位置に伝動スプロケット13が設けられている。
図1に示すように伝動スプロケット13と、第3スプロケット10、および保持板等の適宜箇所に設けた張力維持用のアジャストローラ16との周囲にはそれらを巻回するようにチェーン12が取り付けられ、また、第1スプロケット8、第2スプロケット9、および保持板等の適宜位置に設けたアジャストローラ14、15の周囲にはそれらを巻回するようにチェーン11が取り付けられている。なお、上記各アジャストローラ14、15、16は水車の場合には大きな力が作用するため、チェーンの伸びを考慮してスプリング付調整ギヤ備えたものとし、複数個(たとえば3個以上)配置することによって正確で耐久性のある水車とすることが望ましい。
【0008】
また、オルソプタ水車のシャフト1には図3に示すように、ギヤ17を介して発電機18の回転軸に連結されている。なお、発電機構は従来と同様であり、本発明の特徴ではないので詳細な説明は省略する。
【0009】
オルソプタ水車は、図3に示すように流路9内に垂直方向に配置された場合、水路内の水流がブレード3、4に当たり、その作用によってブレード3、4を保持している保持板2A、2Bをシャフトと一体に回転する。この保持板2A、2Bとシャフト1の回転により上述したギヤ17、トルク計20等の機構を介して発電機18を作動させることができる。また、このとき、シャフト1の回転によりシャフト1と第2ブレード4との間に巻回したチェーン12によって第2ブレード4が保持板に対して自転し、さらにこの第2ブレードにチェーン11で連結されている第1ブレードも自転し、各ブレードの水流に対する角度がシャフトの回転によって時々刻々、変化してゆく。このブレードの角度の変化によって、水流のエネルギを水車のトルクとして効率的に取り込むことができる。
【0010】
また、本例では、第1、第2ブレード3、4の回転角は第1、第2スプロケット8、9とチェーン11、第3スプロケット、伝動スプロケット13、チェーン12により連動して制御されており、本例では、シャフト1と第2ブレード4の回転軸に設けた第3スプロケット10との比は1:2、また第1スプロケット8と第2スプロケット9との比は1:1で構成されており、これにより、水車のシャフトが1回転すると、各ブレードは1/2回転するように回転角が制御される。また、第1ブレード3と第2ブレード4とは本例では初期位置において図4に示すように互いに直角になるように配置され、シャフト1が一回転すると、第1、第2ブレードは各々ブレードの軸6、7回りに180°回転することになる。上記回転に伴う、ブレードの回転軌跡を図4に示す。水流方向にブレードが垂直になる位置を初期位置(水車回転角φ=0)とする。
【0011】
上記実施形態ではブレードが2枚のオルソプタ水車について説明したが、ブレードを図5に示すように2枚〜4枚とすることもでき、さらにブレードの枚数を増やすことも可能である。そして図5に示すように、ブレードが3枚の場合には120°間隔でブレードを配置し、また4枚の場合には90°間隔でブレードを配置する。ブレードが3枚、または4枚の場合には、前述した各ブレードの初期位置は、図5に示す状態となり、2枚のブレードの場合と同様に回転角はチェーンとスプロケットとによって制御することができる。
【0012】
以上の構成からなるオルソプタ水車を水路に取り付けた状態を説明する。
図6は水路に対して3枚のブレードを有する水車を取り付けた状態の平面図、図7は同側面図である。水車は回転軸1が流れの自由表面に対して垂直に取り付けられ、水流の作用によって水車が回転する構成となっている。また、水路側は、オルソプタ水車のブレード部分において図6に示すように水流の方向と水車の回転方向が同じ側の壁面がブレード側に突出20するように形成する。図6、7のようにシャフト1を自由表面に対して垂直に取り付けた場合には水路の水流の自由表面が低下した場合でも、十分な回転トルクを得ることができ、流量変化を伴う低流量、極低落差でも十分に使用が可能である。また、壁面を前述のように突出20させることで高い効率を得ることができる。
また、上記例ではオルソプタ水車を水路に対して垂直に取り付けた場合であるが、流れに対して横軸(流れの自由表面と平行)に取り付けても水車として同様に機能させることが可能である。
【0013】
次に、オルソプタ水車の性能について説明すると、
図8はオルソプタ水車の水車効率Cpと周速比λとの関係およびトルク係数CT と周速比λの関係を示す。最高効率Cpは0.6(60%)を示す。
図9、図10、図11はブレード枚数が2枚、3枚および4枚における最高効率と流速および最適周速比の関係を示す。各図において、ブレードのアスペクト比は3種類に変化させた。効率が最も大きくなるのはアスペクト比AR=2.44、ブレード枚数3枚あるいは4枚で0.58〜0.6、58%から60%に達する。
【0014】
図12はブレード枚数を変化させた場合の最高効率と流速および最適周速比の関係を示す。
図13、図14は開放型水路にオルソプタ水車を用いた場合、ブレード枚数が3枚および4枚に於ける水車効率Cpと周速比λの関係を示す。開放型水路に用いた場合においても最高0.65(65%)にも達し、水深が変わっても、極端に効率が悪くならない。
【0015】
以上本発明に係わる実施形態について説明したが、ブレードを自転させる伝動方式はチェーンに限定することはなく、他の伝動機構、ベルト、歯車など滑りのない種々の方法を採用することができる。また、ブレードの枚数は使用条件に合わせて増減することができる。さらに、オルソプタ水車を水路に対して適宜調整機構等により必要に応じて上方、下方に位置を替えることができるようにすることも可能である。
さらに本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいかなる形でも実施できる。そのため、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず限定的に解釈してはならない。
【0016】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように本発明によれば、オルソプタ水車を利用することで、水深の浅い中小河川、農業水路等において小規模発電を可能とすることができる、等の優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るオルソプタ水車の平面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】水路内に本オルソプタ水車配置した状態の側面図である。
【図4】オルソプタ水車のブレードの回転軌跡図である。
【図5】オルソプタ水車のブレードが2枚〜4枚の平面図である。
【図6】水路に対して3枚のブレードを有する水車を取り付けた状態の平面図である。
【図7】図6の側面図である。
【図8】オルソプタ水車の水車効率Cpと周速比λとの関係およびトルク係数CT と周速比λの関係を示す図である。
【図9】ブレードのアスペクト比を変えた場合のブレード枚数が2枚における最高効率と流速および最適周速比の関係を示す図である。
【図10】ブレードのアスペクト比を変えた場合のブレード枚数が3枚における最高効率と流速および最適周速比の関係を示す図である。
【図11】ブレードのアスペクト比を変えた場合のブレード枚数が4枚における最高効率と流速および最適周速比の関係を示す図である。
【図12】ブレード枚数を変化させた場合の最高効率と流速および最適周速比の関係を示す図である。
【図13】開放型水路にオルソプタ水車を用いた場合、水路水深が変化した場合のブレード枚数が3枚に於ける水車効率Cpと周速比λの関係およびトルク係数CT と周速比λの関係を示す図である。
【図14】開放型水路にオルソプタ水車を用いた場合、水路水深が変化した場合のブレード枚数が4枚に於ける水車効率Cpと周速比λの関係およびトルク係数CT と周速比λとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 シャフト
2A、2B ブレード保持板
3、4 ブレード
5 伝動機構
6、7 回転軸
8、9 スプロケット
10 スプロケット
11、12 チェーン
13 伝動スプロケット
14、15、16 アジャストローラ
17 ギヤ
18 発電機
Claims (4)
- 水流の方向とオルソプタ水車の回転方向が同じ側の水路の壁面がブレード側に突出するように形成されている水路内にオルソプタ水車を配置し、前記水車は、前記水路の自由表面に対して、オルソプタ水車のシャフトを垂直に配置してあり、前記シャフトに固定された2枚のブレード保持板と、この保持板間に軸支され自転可能な2〜4枚のブレードと、前記シャフトの回転により前記ブレードに回転力を付与する伝動機構を備えており、前記ブレードは所定のアスペクト比を備え、また前記シャフトは発電機の入力軸に結合され、さらに前記シャフトとブレードとの回転比はブレードの枚数によって一義的に規定されるべく構成されていることを特徴とするオルソプタ水車。
- 前記ブレードのアスペクト比ARは2.44であることを特徴とする請求項1に記載のオルソプタ水車。
- 前記オルソプタ水車のブレードは平板または楕円型であることを特徴とする請求項1または2に記載のオルソプタ水車。
- 前記伝動機構はチェーン伝動機構であり、前記チェーン伝動機構にはチェーンの張りを得るためにスプリング付きアジャストローラを配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオルソプタ水車。
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