JP4075962B2 - 分析チップ - Google Patents

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本発明は、微小流路内において流体の送液、混合、反応、合成、分析、分離、抽出、検出などの化学的物理的操作を行なうに好適な微小流路構造体とその製造方法及びその用途に関する。
近年、数cm角のガラス基板上に長さが数cm程度で、幅と深さがサブμmから数百μmの微小流路をを有する微小流路構造体を用い、この微小流路内で流体の送液、混合、反応、合成、分析、分離、抽出、検出などの化学的物理的操作を行なう、いわゆる集積化化学実験室が注目されている。このような集積化化学実験室は、微小空間の短い分子拡散距離および大きな比界面積の効果により効率のよい化学反応を行なう事ができ、また、反応から分離、抽出、検出までを一貫して行なう事や、各種研究開発の迅速化、省力化、省資源化、省エネルギー化、省スペース化、さらには実験廃液や廃棄物の削減、繰り返し実験の合理化等が可能になる等のメリットが期待されている。なお、ここでいう微小流路とは、幅500μm以下、深さ300μm以下の大きさの微小流路であるが、微小空間の短い分子拡散距離および大きな比界面積の効果を有効に引き出すには、幅300μm以下、深さ150μm以下の微小流路とすることが好ましく、微小流路の幅と深さが前記のものを超えて大きい場合には、微小空間の短い分子拡散距離および大きな比界面積の効果を有効に引き出すことが難しい。
また、前記微小流路構造体の微小空間の特性を生かしたまま、微小流路内での化学合成を工業製品の生産に適用しようとする試みも行われている。この場合、微小空間の小ささ故に、単一の微小流路構造体では、単位時間当たりの収量が少なくならざるを得ないが、多数の微小流路構造体が並列に機能するようなシステムを構築する事ができれば、前記微小空間の特性を生かしたまま、単位時間当りの収量を増加させる事ができる。例えば、同一の微小流路構造体を複数用意しておいて、それぞれに反応溶液が分配されるようにすることや、複数の微小流路構造体を、反応溶液の入口や反応生成物の出口などの共通部分を貫通した縦穴でつないで積層することなどが試みられている。また、上記のような複数の微小流路構造体を並列に機能させるシステムは、化学合成だけでなく、分析、分離、抽出、検出なども同時に並列して行なう事が可能である。
図1に微小流路構造体の一例を示した。従来、微小流路内で流体の送液、混合、反応、合成、分析、分離、抽出、検出などの化学的物理的操作を目的に製作された微小流路構造体は、図1の例に示すように、微小流路基板の多くとも一方の面にのみに凹凸パターンが形成されており、この凹凸パターンを微小流路として使用していた。このため、単一の微小流路基板に、例えば微小流路内での化学反応の温度条件を制御する加熱機能や冷却機能などを持った機能構造体を立体的に配置することが難しかった。ここで機能構造体とは、前記、微小流路内での化学反応の温度条件を制御する加熱機能や冷却機能の他に、圧電素子や電磁石、または電気電子部品やそれを配置する配線パターンからなる回路基板、情報記録層及びその複合体などといった、電気的、磁気的、物理的、化学的等の機能を有する構造体を示す。
一方、収量や分析数を増加させるため微小流路構造体を並列化や積層化する場合にも、片面のみに微小流路が形成されているため、効率のよい並列化や積層化が十分にできなかった。例えば、図2に従来の微小流路構造体を積層化した一例を示すが、図に示されるように、微小流路が基板の片側にしか形成されていないため、各基板を重ねあわせて構造体を形成しても、得られる微小流路の数は基板の枚数を超えることがなく、このため十分な量の流体を流すには基板数を多く用いる必要があり、その結果として構造体の大きさを十分小さくすることは困難となっていた。
一方、特定の物質を分析することを目的とした微小流路構造体の一つとして、膨大な種類のDNA、RNA、タンパク質等の生体分子をプレートに固定化した分析器具(以下、分析チップと称する。)が使用されてきた。ここで、本発明における「結合性を有する認識分子」における「結合性」とは、水素結合、配位結合、ファンデルワールス力、化学吸着、物理吸着等の様式により、他の物質と結合状況を作り得る性質を意味する。また、「認識」とは、前記結合性により、複数種類の物質の中から選択的に結合する性質を意味する。そのような「結合性を有する認識分子」としては、例えば、DNA断片、RNA、酵素、抗原、抗体、タンパク質等を挙げることができるが、当然のことながらこれらに限定されるものではない。図3は、前記分析チップを用いた、分析対象となる物質と認識分子の結合を説明する図である。図3(a)に示すように、認識分子が結合剤でスライドガラスにスポットされている分析チップを図3(b)に示すように、分析対象となる物質の入った分析用液体試薬に浸し結合させる。ここで、分析対象となる物質は検出可能な信号を生じる標識物質で修飾されていることが好ましい。ここでは、標識物質として蛍光物質を用いた場合について説明する。認識分子と結合性のある分析対象となる物質が分析用液体試薬中にあれば両者は結合する。その後、図3(c)に示すように分析チップを洗浄液で洗浄し認識分子と結合していない分析対象となる物質を洗い流す。その後、図3(d)に示すように認識分子と結合している分析対象となる物質に標識している蛍光物質を励起光で励起させ、蛍光物質が発光する光をCCDなどの光センサーで検出することで認識分子と結合した分析対象となる物質の検出を行う。このように、従来の分析チップを用いた分析対象となる物質と認識分子の結合反応では、分析チップを1種類の分析用液体試薬に浸し一度に結合させ、その後洗浄液で洗浄して結合しなかった分析対象となる物質を洗い流し蛍光検出を行なっていた。
しかしながら、平らな分析チップの全面に結合剤をコーティングしているため、この分析チップを一度に分析用液体試薬に浸すことにより、認識分子がスポットされていない結合剤部分に物質が付着し、それが検出ノイズになって現れ検出感度を低くする原因になっていた。更に、分析チップ全体を一度に分析用液体試薬に浸すため、一度に1種類の分析しかできなかった。また、大量の分析用液体試薬が使い捨てになるという問題もあった。
また前記分析チップを用いた実験では、認識分子や分析対象となる物質の種類を変え実験を繰り返すことにより、膨大な量の認識分子と分析対象となる物質の結合性の違いを検出する。この認識分子と分析対象となる物質の結合の有無は、個々の情報では1つの分析情報にしかならないが、この個々の情報を組み合わせることで、例えばDNA塩基配列等のより有益な情報を得ることができる。つまり、分析チップを用いた実験では、個々の分析情報を一端記録し、次の分析情報と組み合わせる必要があるため、分析情報の記録・再生することが可能な記録媒体が必要である。情報の種類としては、認識分子と分析対象となる物質の結合性の他にも、結合サンプル情報(認識分子の種類、分析対象となる物質の種類、分析チップ上への認識分子の固定場所等)、分析チップ情報(作製条件、結合条件、検査条件)の他に、管理者情報(メーカー名、ユーザー名、管理者名等)がある。これらのサンプル情報、分析チップ情報、管理者情報は、追加された情報を以前の情報とリンク・解析することにより、目的とした分析情報を得ることができる。よって、分析チップには、第一の情報として、個々の分析チップを識別し複数の分析チップの情報とリンクさせるための、個々の分析チップ識別情報と、第二の情報として、分析チップの分析結果の情報の二種類が必要である。通常の分析チップでは、分析チップ作製装置、結合実験装置、結合性検査装置等のそれぞれ別の装置に移す必要があるが、分析チップ自体の形態はどれも同じであるため外観から分析チップの識別をすることはできない。このため、分析チップの管理上の面から個々の分析チップの識別が重要である。そのため、例えば、文字やバーコード等を使用し分析チップの識別を行う方法や、特公2000−338110号公報に開示されているように、分析チップ上に配置される複数のスポットの一部を、サンプル情報管理用のインデックスとして利用することにより分析チップを特定する方法が提案されている。この方法ではサンプル作製前に、認識分子形態と同様の蛍光物質等のマーカーを予め形成しておくことで、検体分析用の光源1つで検体検査と蛍光マーカーの評価ができる。このように実験前に個々の分析チップを認識できるようにインデックスを付けている方法が提案されており、前記分析チップへの文字、バーコード、インデックス等の記載により、個々の分析チップを識別することが可能である。
しかしながら、文字では目視や入力時の間違いが発生する可能性がある。また、バーコードでは、バーコード読みとり装置など検査装置とは別の読みとり方法が必要である。またこれらのインデックスでは、ハンドリングにインデックス情報を破壊する可能性があり、情報の長期記録安定性がない。よって、目視や入力時の間違いがなく、別の読みとり装置を必要とせず、情報を長期保存できる記録形態が必要である。また、実験前に分析チップに与えられる情報は、前記サンプル情報、分析チップ情報、管理者情報等の分析チップに必要な情報のうち限られたものしかなく、更に、予め記載された情報以外の分析実験には使用できないため、用意する分析チップの種類が膨大な量になる等の弊害がある。また、前記第二の情報である分析チップの分析結果情報を記載できない等の問題もある。更に、インデックスにより分析チップ情報を記載する方法で、情報源に蛍光物質を使用している場合は、蛍光物質の劣化や分析チップをハンドリングする時にインデックス用蛍光物質表面に接触し情報が破壊され、分析チップ自身の情報を長期保存できなかった問題もある。また、通常、分析情報は、ハードディスク等の外部記録媒体に記録・保存され、個々の分析情報がリンクされるが、外部記録媒体のクラッシュや記録容量オーバーなどにより、重要な分析情報が失われる可能性もあった。
また従来、上記微小流路構造体の微小流路が形成された基板の凹凸形状のパターンは、フォトマスクを用いたフォトリソグラフィーとエッチングによってガラスやシリコン、金属、樹脂等の基板上に形成していた。図4は、従来の微小流路構造体の製造工程の一例を説明する図である。まずはじめに、ガラス基板上に金やCrなどの金属膜を成膜し、その上にフォトレジストをコートして露光用レジスト原盤を作製する。この露光用レジスト原盤の上に微小流路の形状を描いたパターンを有するフォトマスクを置き、その上から露光し現像を行なう。次に、酸などで金属膜をエッチングした後、レジストとガラスをフッ酸などでエッチングし、さらに金属膜を溶かして微小流路が形成された基板を得る。
しかしながら、従来のこの方法では、微小流路が形成された基板を1枚づつフォトマスクで現像しエッチングして製作する必要があるため、1枚の基板の製作に数十分から数時間を要していた。また、フォトリソグラフィー用のフォトマスクを製作するため、異なったパターンごとにフォトマスクを製作する必要があり、わずかなパターンの変更でもフォトマスクから製作しなければならず、このフォトマスクの製作に数時間から数日間にわたる時間と多大な費用がかかっていた。
本発明は、かかる従来の実状に鑑みて提案されたものであり、その目的は、特定の物質を分析する事を目的とした微小流路構造体において、複数の異なる分析用液体試薬を使用することで複数の異なる分析を同時に行なうことを可能とし、使用する分析用液体試薬の量を少量化でき、分析のための測定感度の向上を特徴とした分析チップを提供することにある。
本発明は上記課題を解決するためになされたものである。
本発明の第1の微小流路構造体は、微小流路を有する基板の表面と裏面に、同じあるいは異なる凹凸パターンが形成されている微小流路基板からなる。すなわち、本発明の微小流路構造体は、基板の表面と裏面に、同じあるいは異なる凹凸パターンが形成され、その表面と裏面の少なくとも1つは微小流路を構成する微小流路基板から構成されており、流体を導入するための1つ以上の導入口と、導入された流体を流す1つ以上の微小流路と、該流体を排出する1つ以上の排出口を有し、前記微小流路が前記導入口及び前記排出口に連通してなることを特徴とする微小流路構造体である。
また本発明における第2の微小流路構造体は、微小流路を有した構造体であって、微小流路基板に貫通孔を有するあるいは有しない基板を重ねあわせて形成されてなることを特徴とする微小流路構造体である。
また本発明における第3の微小流路構造体は、微小流路構造体を構成する微小流路基板に、合成情報または分析情報を記録・再生することが可能な光記録媒体を有する事を特徴とする微小流路構造体である。更に、特定物質の分析を行う分析光や情報記録・再生を行う情報記録・再生光がNear Field光であることが、分析対象となる物質や情報記録の高密度化を可能とし、より高容量の情報量を処理することができ効果的である。
また本発明における第4の微小流路構造体は、特定の物質を分析することを目的とし、分析対象となる物質と結合性を有する認識分子が、前記微小流路に任意に配置された事を特徴とする分析チップである。更に、前記認識分子を固定した部位の微小流路内壁の凹凸形状が、その部位以外の微小流路内壁の凹凸形状と異なっていることがより好ましい。
また、本発明における微小流路構造体の製造方法は、前記微小流路構造体を構成する微小流路が形成された微小流路基板を、微小流路に対応する凹凸形状のパターンを有する型を用いて樹脂を射出成形する事により、微小流路の凹凸形状のパターンを転写した樹脂の射出成形体として得る事を特徴とする微小流路構造体の製造方法である。
また、本発明の他の微小流路構造体の製造方法は、前記微小流路が形成された微小流路基板を、微小流路に対応する凹凸形状のパターンを有する1対の型を用いて、微小流路の凹凸形状のパターンを樹脂の射出成形体の表面と裏面とに同時に転写した両面射出成形体として得る事を特徴とする微小流路構造体の製造方法である。この場合、樹脂の射出成形体の表面と裏面に転写される微小流路の凹凸形状のパターンは同じものであっても良いし、互いに異なるものであっても良い。
さらに、前記本発明によって製造された微小流露構造体は、微小流路が形成された微小流路基板の少なくとも一方の面が、基板側に曲率中心を有する形状に湾曲しており、かつ曲率半径が5m以上100m以下であるものであり、また、微小流路が形成された微小流路基板の表面の粗さ(Ra)が0.5nm以下であるものである。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の微小流路構造体は、微小流路を有する基板の表面と裏面に、同じあるいは異なる凹凸パターンが形成されている微小流路基板からなり、流体を導入するための1つ以上の導入口と、導入された流体を流す1つ以上の微小流路と、該流体を排出する1つ以上の排出口を有し、前記微小流路が前記導入口及び前記排出口に連通してなることを特徴とする微小流路構造体である。このような構造にすることで、微小流路を有する基板に後述する電気的、磁気的、物理的、化学的等の機能を有する機能構造体を基板表面の微小流路に対して立体的に形成することができ、なおかつ構造体中の微小流路を、流体の送液、混合、化学反応、化学合成、分析、分離、抽出、検出などの化学的物理的操作に用いることができる。例えば、1種又は2種以上のガス、液体などの流体を導入口より流し込み、これらを混合あるいは加熱等の処理により効率的に反応させ、反応物を排出口より排出するといった様々な実施態様をなすことができる。尚、貫通孔を有するあるいは有しない基板を、本明細書においては「カバー体」ということがある。
また本発明の微小流路構造体は、この基板と、貫通孔を有するあるいは有しない基板とを重ねあわせて構造体を形成しても良い。構造体の両側に貫通孔を有したものとする場合には1以上の微小流路基板及び該微小流路基板の両側に貫通孔を有した基板を重ねあわせて形成させることができる。あるいは構造体の片側を貫通孔を有しないものとする場合には、1以上の微小流路基板及び該微小流路基板の片側に貫通孔を有した基板を、もう一方の側に貫通孔を有しない基板を重ねあわせて形成されてなるものとすればよい。また、微小流路基板を2以上を用いた構造体を得るためには、各々の微小流路基板の間に貫通孔を有した基板を重ねあわせて形成させればよい。
また、本発明の微小流路構造体は、その片側に導入口及び排出口を備え、かつ、もう一方の側には、ニッケル、クロムのような金属、ニッケル−クロム合金のような合金、あるいはセラミックスといった所定の材質を配置させたものとしてもよい。この場合、微小流路構造体の片側にある金属、合金あるいはセラミックスを微小流路基板の片側に埋め込み、もう一方の側には導入口及び排出口となる貫通孔を有する基板を重ねて積層一体化するなどの手法により得られる。もちろん、微小流路基板を2以上積層させてもよいことは言うまでもない。さらに、微小流路構造体に配置される材質として金属や合金を用いれば、例えば、化学反応に用いる場合の加熱源として用いることができる。
微小流路基板に形成される凹凸パターンは、実施例にも記載の方法などにより目的に応じた形状を適宜形成させればよい。また、基板の裏面の凹凸パターンには、例えば微小流路内での化学反応の条件を制御する加熱機能や冷却機能などの電気的、磁気的、物理的、化学的等の機能を有する機能構造体を基板表面の微小流路に対して立体的に形成することができる。また、収量や分析数を増加させるため微小流路構造体を並列化や積層化する場合にも、基板の裏面の凹凸パターンを基板の表面と同じように微小流路として用い、基板の裏面もカバー体と積層一体化させる事により、基板の両面に微小流路を形成することができるので、微小流路が基板の片面にのみ形成された微小流路基板に比べて、効率のよい並列化や積層化ができるようになる。なお、基板の裏面を微小流路構造体として用いる場合、微小流路の形状は、表面の微小流路の形状と同じであっても良いし、異なっていても良い。このように、微小流路基板の表面と裏面に、同じあるいは異なる凹凸パターンを形成させることで、上記の化学的物理的操作を効果的に行なわしめることができる。
基板およびカバー体としては、微小流路の形成加工が可能であって、耐薬品性に優れ、適度な剛性を備えたものが望ましい。例えば、ガラス、石英、セラミック、シリコン、あるいは金属や樹脂等であっても良い。基板やカバー体の大きさや形状については特に制限はないが、微小流路構造体を構成するという観点からは、例えば基板およびカバー体は、ともに外形寸法としての幅が50mm以下、長さが80mm以下程度の長方形、または直径150mm以下の円盤状などが例としてあげられ、厚みはそれぞれ数mm以下程度とすることが考慮される。カバー体には小穴が配置されており、微小流路と微小流路構造体外部とを連通し、流体の導入口または排出口として用いる場合には、その径が例えば数mm以下である事が望ましい。カバー体の小穴の加工には、化学的に、機械的に、あるいはレーザー照射やイオンエッチングなどの各種の手段によって可能とされる。
また本発明の微小流路構造体は、微小流路基板において、基板の所定の位置が貫通していても良いし、微小流路構造体あるいは微小流路基板は、単一あるいは多層積層体であっても良い要件を備えている。この場合、基板とカバー体あるいは、基板と基板は、加圧による密着や熱処理接合あるいは光硬化樹脂や熱硬化樹脂などの接着剤を用いた接着等の手段により積層一体化することができる。また基板を多層化する場合、基板に形成された微小流路の所定の位置に貫通孔を形成する事で、積層した上下の基板の微小流路と微小流路をつなげる事が可能となる。
微小流路の大きさは、一般的に幅500μm以下、深さ300μm以下であるが、幅300μm以下、深さ150μm以下とする事が、微小空間の短い分子拡散距離および大きな比界面積の効果により効率のよい化学反応を行なう上でより適当である。一方、微小流路以外の機能を持たせる場合の凹凸形状のパターンの大きさは特に制限はない。
また本発明の微小流路構造体は、図5に示すように微小流路構造体を構成する微小流路基板に、合成情報または分析情報を記録・再生することが可能な光記録媒体を有していても良い。前記光記録媒体は、微小流路を有する微小流路基板と情報記録層を二次元的に配置した基板とを積層しても良いし、表面に微小流路を有する微小流路基板の裏面に情報記録層を形成しても良く、また微小流路基板の同一面に微小流路と情報記録層を形成しても良い。このように、微小流路構造体に光記録媒体を備えることで、個々の微小流路構造体を識別する第一の情報と、微小流路構造体を用いた合成情報または分析情報である第二の情報、つまり合成原料情報、合成条件情報、合成物質情報、分析物質情報、分析条件情報、分析結果情報、管理者情報等を微小流路構造体に記録し、記録された情報を再生することで、個々の微小流路構造体からの情報を間違いなく読み取りが可能で、別の読みとり装置を必要とせず、微小流路構造体を用いた合成または分析前後に合成結果や分析結果を記録でき、情報破壊を防ぎ、記録情報の長期間保存を可能とする微小流路構造体を提供できる。
また本発明における前記光記録媒体を有する微小流路構造体に用いられる情報記録層は、光ディスク等に使用されている情報記録層を応用することが可能で、例えは、(1)再生専用タイプ(CD、LD、CD−ROM、photo−CD、DVD―ROM等)(2)一度だけ記録可能なライトワンスタイプ(CD−R、DVD−R等)(3)記録と消去が何度でもできる書き換え可能なリライタブルタイプ(光磁気、相変化、MD、CD−RW、DVD−RAM、DVD−RW等)があり、それぞれの目的に応じて使い分けることができる。
また、前記形態において特定物質の分析を行う手段が蛍光分析であり、光記録媒体における情報記録の記録または再生を行なう光源からの光を、蛍光分析のための励起光として使用しても良い。この場合、分析用の光源と情報記録・再生用の光源を共通に使用する事ができるので、分析装置の構成を簡略化する事が可能となる。
更に、特定物質の分析を行う分析光や情報記録・再生を行う情報記録・再生光が、Solid Immersion Lensヘッドを使用したNear Field光であれば、分析する特定物質や情報記録の高密度化が可能であり、分析を目的とする微小流路構造体としてより高容量の情報量を処理することができ効果的である。この場合、微小流路構造体の表面や裏面を、光学ヘッドが浮上して移動しながら検出や情報の記録再生を行なうため、光学ヘッドを基板表面から100nm以下に近づける必要がある。従って、光学ヘッドが浮上して移動する際、基板表面にぶつからないように安定した浮上特性を付与するためには、微小流路が形成された基板の少なくとも一方の面が、基板方向に曲率中心を有する形状に湾曲しており、かつ曲率半径が5m以上100m以下でり、微小流路が形成された基板の表面の粗さ(Ra)が0.5nm以下である事が好ましく、基板の曲率半径や表面粗さ(Ra)が上記の値の範囲を超えた場合には、光学ヘッドを基板表面から100nm以下に近づけた状態で光学ヘッドを浮上させて移動させる際に、光学ヘッドが微小流路が形成された基板表面にぶつからないように安定した浮上特性を付与することが難しくなる。
図5に、本発明における光記録媒体を有する微小流路構造体の幾つかの形態の例を示した。図5(a)は微小流路構造体が円盤形状であり、中心に微小流路構造体回転支持用のハブを有しており、分析対象となる物質がスポットされた位置を含む全面に情報記録層を有している。図5(b)は微小流路構造体が円盤形状であり、中心に微小流路構造体回転支持用のハブを有しており、分析対象となる物質がスポットされた位置以外の領域に情報記録層を有している。図5(c)は微小流路構造体が円盤形状であり、中心に微小流路構造体回転支持用のハブを有しており、分析対象となる物質がスポットされた位置の内周に情報記録層を有している。図5(d)は微小流路構造体が四角形状であり、分析対象となる物質がスポットされた位置以外の領域に情報記録層を有している。図5(e)は微小流路構造体が四角形状であり、反応経路となる微小流路を有しており、前記微小流路以外の領域に情報記録層を有している。以上のように、本発明における光記録媒体を有する微小流路構造体の幾つかの形態の例を示したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、本発明における特定の物質を分析する事を目的とした微小流路構造体の例を図6に示した。この場合、微小流路構造体を構成する微小流路基板の微小流路が配置された面は、カバー体と積層一体化されていても良いし、カバー体が無くても良い。図6(a)に示すように、微小流路構造体に1つ以上の液体導入口と1つ以上の微小流路と微小流路上の任意の位置に配置された1つ以上の認識分子固定部と1つ以上の液体排出口を備える事で、分析用液体試薬を微小流路構造体の決められた位置に流すことが可能である。このようにすることで、微小流路構造体全体を分析用液体試薬に浸すのではなく、各微小流路ごとに分析用液体試薬を流す事ができる。従って、各微小流路毎に複数の異なる分析用液体試薬を流すことができ、同時に複数の異なる分析が可能となる。また使用する分析用液体試薬の量は、各微小流路に流す量だけですむため、微小流路構造体全体を分析用液体試薬に浸すことに比べて、使用する分析用液体試薬の量を少量化する事ができる。
更に、認識分子を固定した部位の微小流路内壁の凹凸形状を、その部位以外の微小流路内壁の凹凸形状と異ならせ、微小流路内壁の荒さあるいは微小流路内壁の表面積を増大することにより、認識分子の脱離を防止することができ、多くの認識分子を微小流路内壁の認識分子固定部位に固定する事ができるので、蛍光測定感度の向上が図れる。
また、粘度、表面張力、微小流路内壁との親和性等の異なる複数の分析用液体試薬に対応できるように、流路幅、深さ等の形状を1本の流路の開始と終わりで変化させても良い。また、一つの微小流路構造体の中で各流路を複数種類設計しておくことで、より多くの分析用液体試薬を実験溶液として使用可能である。表面張力が非常に高い等の原因で分析用液体試薬の移動に支障がある場合は、図6(b)の様に微小流路を扇形形状にすると分析用液体試薬が流れやすくなる。また微小流路構造体を構成する微小流路基板の形態は、図6(a)に示すように円盤形状で中心から放射状に直線流路を有するもの、図6(b)に示すように円盤状で中心から扇形状に流路を有するもの、図6(g)に示すように円盤形状で中心から曲がっている曲線流路を有するもの、図6(e)に示すように四角状で平行に流路を有するもの、図6(f)に示すように四角状で液体導入口が互い違いの位置にあるもの等を例として挙げたが、本発明は以上のパターンに限ったものではない。
図6(c)および図6(d)のように微小流路基板の形状が円盤状で、微小流路が中心から放射状に形成された微小流路構造体の利点としては、分析用液体試薬を全流路共通に流す場合に、液体導入口を全流路共通とする事ができる。また円盤形状であれば中心部にハブを装備することで、微小流路構造体を回転することが可能になり、液体導入口から各微小流路への送液に遠心力を利用する事ができる。また、互い違いに配列する図6(f)は、認識分子固定部を有する微小流路を高密度に配列できる効果がある。
以上のような微小流路と微小流路以外の機能を持たせるための凹凸形状のパターンを両面に持つ基板は、例えばガラスや石英、セラミック、シリコン、あるいは金属や樹脂等の基板材料を、レーザー加工やエッチングにより直接両面を加工することによって製作する事ができる。また、基板材料がセラミックや樹脂の場合は、基板の表面と裏面に形成する凹凸パターンと逆の凹凸パターンを持った表面用と裏面用の型を用いて、両面同時に射出成形することで製作する事もできる。
図7は、本発明の微小流路が形成された基板の製造工程の第1の例を説明する図である。製造工程はマスタリング工程と成形工程からなる。マスタリング工程では、円盤状のガラス原盤上に金やCrの金属膜を成膜し、その上にフォトレジストをコートして露光用レジスト原盤を作製する。ここで、フォトレジストは液状のフォトレジストを塗布しても良いし、シート状のフォトレジストを貼り付けても良い。次に、回転させた露光用レジスト原盤に、対物レンズで微小スポットに絞ったレーザー光を、所望の凹凸形状のパターンに従ってON・OFFしながら照射することにより、露光用レジスト原盤を露光し、現像を行なう。ここで、露光用レジスト原盤を回転させながら、対物レンズで微小スポットに絞ったレーザー光を、所望の凹凸形状のパターンに従ってON・OFFしながら照射する装置を以下ではレーザー露光装置と称する。所望の凹凸形状のパターンに従ってレーザー光をON・OFFする制御信号は、レーザー露光装置に接続されたパターンジェネレータにより生成する。次に、酸などで金属膜をエッチングした後、レジストとガラスをフッ酸などでエッチングし、さらに金属膜を溶かして、表面に所望の凹凸形状のパターンが刻まれたガラス原盤を得る。この凹凸形状のパターンが刻まれたガラス原盤にNi等の金属をスパッタし、さらに前記金属を板状に電鋳して電鋳層を形成し、前記板状の金属(電鋳層)を剥離して所望の凹凸形状と逆の凹凸形状のパターンを持った金属性のスタンパを製造する。次の成形工程では、マスタリング工程で作製した金属スタンパを用いて、樹脂等の材質からなる成形体を複製して微小流路が形成された基板を製造する。ここで、樹脂は熱硬化性樹脂でも良いし、光硬化性樹脂であっても良い。また、マスタリング工程で製作した金属スタンパを表面用と裏面用に2枚用意し、この2枚のスタンパを1組にして、樹脂の両面に微小流路やその他の凹凸パターンを一度に両面射出成形しても良い。
また、この第1の例で、ガラス原盤に凹凸形状のパターンを形成する別の方法として、エキシマレーザー等を用いて、ガラス原盤を直接切削することで加工しても良い。
図8は、本発明の微小流路が形成された基板の製造工程の第2の例を説明する図である。第1の例と同様に製造工程はマスタリング工程と成形工程からなる。マスタリング工程では、円盤状のガラス原盤上にフォトレジストを直接コートする。ここで、フォトレジストは液状のフォトレジストを塗布しても良いし、シート状のフォトレジストを貼り付けても良い。次に、レーザー露光装置を用いて、回転させたこの露光用レジスト原盤に、対物レンズで微小スポットに絞ったレーザー光を、所望の凹凸形状のパターンに従ってON・OFFしながら照射することにより、露光用レジスト原盤を露光する。露光用レジスト原盤を露光したあとフォトレジストを現像し、所望の凹凸形状のパターンが刻まれたレジスト表面を得る。この所望の凹凸形状のパターンが刻まれたレジスト表面に、Ni等の金属をスパッタしたあとさらに前記金属を板状に電鋳し、前記板状の金属を剥離して所望の凹凸形状と逆の凹凸形状のパターンを持った金属性のスタンパを製造する。次の成形工程では第1の例と同じように、マスタリング工程で作製した金属スタンパを用いて、樹脂等の材質からなる成形体を複製して微小流路が形成された基板を製造する。ここで、樹脂は熱硬化性樹脂でも良いし、光硬化性樹脂であっても良い。また、マスタリング工程で製作した金属スタンパを表面用と裏面用に2枚用意し、この2枚のスタンパを1組にして、樹脂の両面に微小流路やその他の凹凸パターンを一度に両面射出成形しても良い。
ここで、第1の例、第2の例ともに、露光用レジスト原盤は回転させて露光する以外にも、X−Yステージなどに固定してX軸方向またはY軸方向に直線的に移動させながらレーザー光の照射による露光用レジスト原盤の露光を行ない、所望の凹凸形状のパターンを形成しても良い。
このように、微小流路が形成された基板を、樹脂の射出成形により製作する事で、基板1枚当りの成形時間は数十秒で行なう事ができるので、従来の微小流路を形成する基板を1枚づつフォトマスクで現像しエッチングして製作するする場合の1枚の基板の製作に要していた数十分から数時間に比べて大幅に製作時間を短縮できるようになり、短時間で大量の微小流路が形成された基板を製作する事ができるようになる。また本発明では、微小流路が形成された基板を、樹脂を射出成形して製作するためのスタンパを製作する際、微小流路の凹凸形状のパターン情報をパターンジェネレータで電気信号の情報に変換してレーザー露光装置に送り、その電気信号に従ってレーザー露光装置のレーザー光をON・OFFすることで凹凸形状のパターンを形成する。これにより、パターン形成のためのフォトマスクを使用する必要がなくなり、フォトマスクの製作を省略することができる。
以下では、レーザー露光装置を用いて、微小流路の凹凸形状のパターンを、フォトレジストを塗布した露光用レジスト原盤を回転させて露光する方法を例にさらに詳しく説明する。図9は、微小流路が形成された基板を、樹脂を射出成形して製作するためのスタンパを製造するために用いるレーザー露光装置システムの構成の一例の概略図である。図9の例では、レーザー露光装置システムは、レーザー露光装置、パターンジェネレータ、パーソナルコンピュータからなる。なお、本発明のレーザー露光装置システムの構成は、パターンジェネレータの中にパーソナルコンピュータの機能を含んでいてもよいし、レーザー露光装置の中に、パターンジェネレータとパーソナルコンピュータの機能を含んでいてもよいなど、図9に示すレーザー露光装置システムの形態に限定されるものではない。
微小流路を形成する基板上に形成したい凹凸形状のパターンは、パターンジェネレータに接続されたパーソナルコンピュータから入力する。入力するパターンデータは1と0のデジタル信号で入力し、例えば凹形状であれば1、凸形状であれば0で指定する。また、パターンの位置を示すデータとして、円盤状の露光用レジスト原盤の位置を径方向と周方向の座標で指定する。径方向の座標は、円盤状の露光用レジスト原盤を径方向に同心円状のトラックで分割し、内周側あるいは外周側からのトラック番号で指定する。周方向の座標は、1トラックをあらかじめ規定した分割数で分割し、あらかじめ規定した周方向の基準位置を分割番号0とし、基準位置から数えた分割数を分割番号で指定する。以下では、この分割した一つ一つを分割単位と称することとする。パーソナルコンピュータから入力するパターンデータの位置を示す座標データの一例を図10に示す。図10では、トラック番号を外周側で0とした。また、周方向の分割数は32とし、時計回りに分割番号を指定した。
パーソナルコンピュータから入力されたパターンデータは、パターンジェネレータに転送される。パターンジェネレータは、レーザー露光装置で露光するフォトレジストを塗布した露光用レジスト原盤をある一定の周期で回転させる。この回転周期を、パターンデータの座標のうち周方向の座標を指定する時に規定した1トラックあたりの分割数で分割して、露光用レジスト原盤を一回転させる間にレーザー露光装置のレーザーを分割単位毎にON・OFFする周期の基準信号を生成する。以下では、この基準信号を分割単位クロックと称する。この分割単位クロックの周期で、パターンデータの座標のうち周方向の座標を示した分割番号と凹凸形状を示す1と0の数値に従って、レーザー露光装置のレーザーを、例えば凹形状であればON、凸形状であればOFFするタイミングの制御を行なう。なお、パターンジェネレータからレーザー露光装置に出力されるレーザーをON・OFFする制御信号は、1と0のデジタル信号に限定されるものではなく、この制御信号の大きさに比例してレーザーパワーを制御できるようなアナログ信号であってもよい。図11に、パターンジェネレータから出力されるレーザー露光装置のレーザーをON・OFFする制御信号の一例を示す。
レーザー露光装置は、対物レンズで微小スポットに絞ったレーザー光を、フォトレジストを塗布した円盤状の露光用レジスト原盤が一回転するごとに1トラック移動するように、露光用レジスト原盤の外周側あるいは内周側から直線的に一定の速度で移動させていく。
このようにして、1トラック毎に分割単位クロックの周期で、パターンデータの周方向の座標から指定された分割番号に従ってレーザー光をON・OFFしながら、円盤状の露光用レジスト原盤が一回転するごとに1トラック移動するように、露光用レジスト原盤の外周側あるいは内周側から直線的に一定の速度で対物レンズで微小スポットに絞ったレーザー光を移動させることによって、微小流路を形成する基板上に形成したい凹凸形状のパターンをフォトレジストを塗布した円盤状の露光用レジスト原盤に露光することができる。また、パターンデータを入力する時の1トラックの分割数と凹凸の構成の設定や、レーザー露光装置でレーザー光の移動速度を変えることによるトラック間隔の設定およびレーザーパワーとレーザービーム径の設定を調整する事で、凹凸パターンの分割単位をトラック方向、径方向に分散させたり、トラック方向、径方向に連続してつなげたりすることにより、様々な凹凸形状のパターンを形成する事ができる。
なお、本発明の微小流路構造体は、例えば、上記のようにして製造した微小流路が形成された基板に、カバー体や別の微小流路基板を積層一体化した微小流路構造体も含んでいる。前記微小流路が形成された基板とカバー体や別の微小流路基板の接合には、熱融着による接合や、UV硬化樹脂あるいは光硬化樹脂などを用いて接合する。
本発明の微小流路構造体は、微小流路基板の表面と裏面に、同じあるいは異なる凹凸パターンを形成する事で、微小流路が形成された基板に、立体的に、電気的、機械的、磁気的、物理的、化学的機能構造体を配置した微小流路構造体を提供することができ、これにより微小流路構造体に、例えば、加熱機能、冷却機能を付与したり、またそれらの機能を制御する電気電子部品を実装する電気電子回路基板としての機能を付与することができる。また、微小流路が形成された基板の両面に、同一のあるいは異なる微小流路を形成し、多層積層化する事で、微小流路構造体を効率よく積層化でき、微小流路構造体で化学合成された反応生成物の収量を上げる事ができる。
また本発明により、微小流路構造体の製造情報や、微小流路構造体を使用した合成や分析を行なった時の合成情報、分析情報、個人情報等を記録・再生することができ、記録情報の長期間保存が可能な光記録媒体の機能を付与した微小流路構造体を得る事ができる。
更に本発明により、一般に分析チップと称せられている特定の物質を分析することを目的とした微小流路構造体において、従来の分析チップに対して複数の異なる分析用液体試薬の使用が可能となり、複数の異なる分析を同時に行なうことが可能となる分析チップが得られる。また、使用サンプル量の少量化、蛍光測定感度の向上を特徴とした分析チップが得られる。
また、本発明による微小流路構造体の製造方法において、微小流路が形成された基板が、微小流路の凹凸形状のパターンを転写するスタンパから複製される樹脂からなる射出成形体として作製することにより、基板1枚当りの成形時間は数十秒で行なう事ができ、従来の微小流路を形成する基板を1枚づつフォトマスクで現像しエッチングして製作する場合の1枚の基板の製作に要していた数十分から数時間に比べて大幅に製作時間を短縮できるようになり、短時間で大量の微小流路が形成された基板を製作する事ができるようになる。また、微小流路の凹凸形状のパターンを転写するスタンパを製造する際、凹凸形状のパターン情報をパターンジェネレータで電気信号の制御情報に変換してレーザー露光装置に送り、その電気信号に従ってレーザー露光装置のレーザー光をON・OFFすることで凹凸形状のパターンを形成することにより、パターン形成のためのフォトマスクを必要とせずに、様々な凹凸形状のパターンを持った微小流路の凹凸形状のパターンや、微小流路の凹凸形状のわずかなパターンの変更を容易に行なう事ができ、フォトマスクの製作が不要となり、フォトマスクの製造に要する時間およびコストを低減できる。従って、より安価な微小流路構造体を大量に製造・供給する事ができる。
以下では、本発明の実施例を示し、さらに詳しく発明の実施の形態について説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更および組合わせが可能であることは言うまでもない。また、本発明で示す微小流路基板の表面と裏面は、微小流路基板の一方の面を表面とした場合の逆の面を裏面としており、微小流路基板のどちらの面を表面としても良い。
実施例1
図12に本発明の第1の実施例を示した。微小流路の形状は幅200μm、深さ50μmのY字形状とし、基板の両面に形成した。本実施例の微小流路は図13に示す製作手順のフローに従って以下のように作製した。
厚さ1mm、縦80mm、横40mmのガラス基板の両面に金などの金属膜を後述する露光光が透過しない程度の厚さに成膜し、その上にフォトレジストを両面コートした。この上に前記微小流路の形状を描いたパターンを有するフォトマスクを置き、その上から片面ずつ露光し現像を行なった。次に、酸などで表面と裏面の金属膜をエッチングした後、レジストとガラスをフッ酸などで表面と裏面をエッチングし、さらに表面と裏面に残った金属膜を酸などで溶かして微小流路が形成されたガラス基板を得た。流体導入口と流体排出口は、機械的加工手段を用いて、ガラス基板に直径1mmの貫通孔を設けた。
この微小流路を形成した基板の表面には、微小流路の流体導入口と流体排出口にあたる位置にあらかじめ直径1mmの小穴を機械的加工手段を用いて設けた厚さ1mm、縦80mm、横40mmのガラスカバー体を、裏面には、特に小穴を設けない厚さ1mm、縦80mm、横40mmの平坦なガラスカバー体をそれぞれ熱接合し、図12に示すような基板両面に微小流路を持った微小流路構造体を作製した。
この微小流路構造体の2個所の流体導入口から、2種類の化学物質を流入して、所定の化学反応を起こさせ、反応生成物を流体排出口から得る事ができる。この場合、微小空間の短い分子拡散距離および大きな比界面積の効果により効率のよい化学反応を行なう事ができる微小空間の特性を生かしたまま、反応生成物の収量を、片面のみ流路が形成されている微小流路構造体に比べて約2倍にすることができる。
またさらに、微小流路の流体導入口と流体排出口にあたる位置にあらかじめ直径1mmの小穴を機械的加工手段を用いて設けたガラスカバー体と、両面に微小流路を有する微小流路基板を、カバー体−微小流路基板−カバー体−微小流路基板−カバー体の順に交互に積層し、最下層に表面のみ凹凸形状を有した微小流路基板を積層して全体を熱接合することにより多層積層した微小流路構造体を製作した。この微小流路構造体の外略図を図14に示した。図14に示したような微小流路構造体を用いれば、前記化学反応による反応生成物は、片面のみ微小流路が形成されている単一の微小流路構造体に比べて約5倍の収量を得る事ができる。なお本実施例の多層構造体において、積層する枚数は、ここに示した枚数に限定されるものではない。
実施例2
図15に本発明の第2の実施例を示した。微小流路が形成された基板は、厚さ1mm、縦80mm、横40mmの樹脂製の基板とし、微小流路の形状は幅200μm、深さ30μmのI字形状とし、基板の表面に形成した。また基板の裏面には、裏面から見て表面のI字形状の微小流路と重なる位置に幅500μm、深さ30μm凹パターンを形成した。本実施例の微小流路は図16に示す製作手順のフローに従って以下のように作製した。
はじめに、ガラス原盤上にフォトレジストを30μmの厚さでコートし、露光用レジスト原盤を作製した。次に、この露光用レジスト原盤に、基板の表面に形成する前記I字形状の微小流路を描いたパターンを有するフォトマスクを置き、その上から露光し現像を行ない、レジスト表面に所望の凹凸形状のパターンを形成した。次に、この凹凸形状のパターンが形成されたレジスト表面にNi等の金属をスパッタしたあとさらに前記金属を板状に電鋳し、前記板状の金属を剥離して所望の凹凸形状と逆の凹凸形状のパターンを持った金属性の表面用スタンパを製作した。また同様の方法で、基板の裏面に形成する前記凹パターンの形状を描いたパターンを有するフォトマスクを用いて、裏面用スタンパを製作した。次に、作製した2枚の金属スタンパからなる一対のスタンパを用いて、樹脂を射出成形することで基板の表面と裏面にそれぞれ所望の微小流路の形状と凹パターンの形状を持った微小流路基板を作製した。
この微小流路を形成した基板の表面と裏面には、微小流路の流体導入口と流体排出口にあたる位置にあらかじめ直径1mmの小穴を設けた厚さ100μm、縦80mm、横40mmの樹脂カバー体を熱接合し、図15に示すような基板両面に形状の異なったそれぞれ独立した微小流路を持った微小流路構造体を作製する事ができた。
この微小流路構造体の表面の流体導入口から、室温では反応せずに80℃以上で反応する2種類の化学物質をあらかじめ混合した液体を流入する。またこの微小流路構造体の裏面の流体導入口から、80℃以上に加熱した加熱用液体を流入する。微小流路構造体の表面の微小流路に流入された2種類の化学物質をあらかじめ混合した液体は、微小流路構造体の裏面の微小流路に流入された加熱用液体によって80℃以上に加熱され、微小流路構造体の表面の微小流路内で2種類の化学物質が反応し、微小流路構造体の表面の排出口から反応生成物を得る事ができる。また、外部に設けた送液切り換え用のバルブ等を用いて、本微小流路構造体の裏面の微小流路に流した加熱用液体を冷却用液体に切り換える事で温度制御を行ない、反応の制御を行なう事ができる。このようにして、微小流路構造体の表面の微小流路の反応を制御するような機能構造体を、表面の微小流路に対して立体的に配置することができる。
実施例3
図17に本発明の第3の実施例を示した。微小流路が形成された基板は、厚さ1mm、縦80mm、横40mmの樹脂製の基板とし、微小流路の形状は幅200μm、深さ30μmのI字形状とし、基板の表面に形成した。また基板の裏面には、裏面からみて表面のI字形状の微小流路と重なる位置に幅500μm、深さ30μm凹パターンを形成し、そこにニッケルとクロムの合金を埋め込んだ。なお、本実施例の微小流路基板は実施例2と同様に射出成形にて製作した。
前記微小流路基板の裏面の凹パターンにニッケルとクロムの合金を埋め込む方法は、図18に示すような製作手順のフローに従って行なった。まず、前記微小流路基板の裏面の凹部を含めた裏面全面にスパッタ法、CVD法等にてニッケルとクロムの合金の金属導電膜を形成した。次に、凹部を埋めるように前記合金による金属電鋳を前記微小流路基板の裏面全面に行ない金属電鋳層を形成した。次に、前記金属電鋳層の全面を一律に研磨することによって、凹部以外の部分に相当する金属電鋳層を取り除き、前記微小流路基板の裏面の凹部のみにニッケルとクロムの合金を埋め込んだ。この方法により作製した微小流路基板の裏面は、凹部にニッケルとクロムの合金を埋め込んだ状態で、段差のない極めて平坦な面を持つ事ができた。
この微小流路基板の表面には、微小流路の流体導入口と流体排出口にあたる位置にあらかじめ直径1mmの小穴を設けた厚さ100μm、縦80mm、横40mmの樹脂カバー体を熱接合し、図17に示すような微小流路構造体を製作した。
この微小流路構造体の表面の流体導入口から、室温では反応せずに80℃以上で反応する2種類の化学物質をあらかじめ混合した液体を流入する。また、この微小流路構造体の裏面の凹部に埋め込んだニッケルとクロムの合金には電流を流す事でヒーターとして機能させる。微小流路構造体の表面の微小流路に流入された2種類の化学物質を混合した液体は、微小流路構造体の裏面に設けられたヒーターによって、80℃以上に加熱され、微小流路構造体の表面の微小流路内で2種類の化学物質が反応し、微小流路構造体の表面の排出口から反応生成物を得る事ができる。また、微小流路構造体の裏面の凹部に埋め込まれたニッケルとクロムの合金に流す電流を制御することで、ヒーターの温度制御が可能となり、反応の制御を行なう事ができる。このようにして、微小流路構造体の表面の微小流路の反応を制御するような機能構造体を、表面の微小流路に対して立体的に配置することができる。
また、本実施例をさらに発展させた形態として、ヒーターや圧電素子、電磁石などの電気的、磁気的、物理的機能を有する機能構造体を微小流路基板の裏面に設置または埋め込み、前記機能構造体を抵抗やコンデンサー、IC、LSI、CPUといった電気電子部品を使用して電気的に操作するのに必要な配線パターンを、微小流路基板の裏面の凹部のパターンに前記本実施例の方法によって導電性金属を埋め込むことで形成し、微小流路基板の裏面に配線基板としての機能を持たせても良い。この場合、前記機能構造体や抵抗、コンデンサー、IC、LSI、CPU等の電気電子部品を、微小流路基板の裏面に形成した配線基板上に実装してもよい。また、本実施例で形成した微小流路基板の裏面は、凹部に金属を埋め込んでおり、段差のない極めて平坦な面を持っているので、この面に別の配線基板や、微小流路基板を積層一体化しても良い。
実施例4
図19に本発明の第4の実施例を示した。微小流路構造体は厚さ1.2mm、直径130mmの樹脂製の円盤状とし、微小流路の形状は幅200μm、深さ30μmのY字形状とし、微小流路基板の表面に放射状に4本形成した。また微小流路基板の裏面には、記録検出用のレーザー等を用いて情報の記録、検出を行なういわゆる光記録媒体の基板に形成する凹凸パターンを形成した。本実施例における微小流路基板の表面の微小流路および裏面の凹凸パターンは、後述する実施例6の製造方法により製作した。光記録媒体の基板に形成する凹凸パターンは、例えば光磁気ディスクなどは、円盤の外周から内周に向けて幅500nm程度、深さ80nm程度のスパイラル状の溝が約0.8〜1μmピッチで形成されており、前記スパイラル状の溝の1周ごとに一定の間隔を有した数箇所に、アドレス情報等からなる、幅500nm程度、深さ80nm程度、長さ500nm〜2μm程度の凹部が形成されている。図20には、微小流路基板の裏面に形成した光記録媒体の凹凸パターンの概略を示す一例を示した。
また、この円盤状の微小流路構造体の中心には、微小流路構造体を回転させる時の回転支持用の直径15mmハブを設置した。本実施例では、微小流路と光記録媒体用の凹凸パターンをそれぞれ表面と裏面に形成した基板を両面射出成形する時に、前記回転支持用のハブを埋め込んで製作した。
前記微小流路基板の表面には、4本の微小流路の流体導入口と流体排出口にあたる位置にあらかじめ直径1mmの小穴を設けた厚さ100μm、直径130mmで、中心に直径30mmの穴のあいたドーナツ状の樹脂カバー体を熱接合した。
微小流路基板の裏面には、光記録媒体に使用する情報記録層を形成した。情報記録層は、微小流路基板の裏面に記録層、保護層、反射層などの順に形成されており、記録層は、例えば記録検出用のレーザー等の熱により、物質の結晶状態の変化、分子形態の変化等を生じさせて情報を記録し、記録検出用のレーザーの反射光の光量変化、屈折率変化、偏光面変化等の変化により記録した情報を検出する記録膜からなる。
次に図21を用いて、本発明における微小流路構造体での情報記録・再生方式を更に詳しく説明する。
図21(a)は、実施例4における微小流路構造体の断面図を示している。本実施例の微小流路基板上に分析対象となる蛍光標識された物質が配置されており、微小流路基板の裏面に情報記録層が形成されている。本実施例では樹脂製の微小流路基板を使用したが、微小流路基板の材質は、検査用レーザの波長に対して光学的に透明であり、かつ、サンプル溶液等に対して犯されないガラスや樹脂などの素材からなる。また、情報記録層は、情報記録層の形状変化、結晶状態変化、分子形態変化等により、検査用レーザの反射光の光量変化、屈折率変化、偏光面変化等の変化をもたらす記録膜からなる記録層を有する。また、情報記録層は前記記録層、保護層からなり、その下に反射層を有している。また、本実施例では微小流路基板の裏面には特にカバー体を設けてはいないが、情報記録層を保護する等の目的で、微小流路基板の裏面のカバー体を必要に応じて設けても良い。このカバー体も、微小流路基板と同様にガラスや樹脂などの素材からなり、裏面から検査用レーザー光を当てて情報を記録再生する場合には、検査用レーザの波長に対して透明である必要があるが、情報記録層を保護するだけの目的である場合は、レーザの波長に対して透明である必要はない。また、レンズと情報記録層の距離は、レンズの焦点距離と微小流路基板との屈折率を考慮した距離fであることが理想である。この距離は、非点収差等のフォーカスサーボ方式により常に一定に保つことができ、レーザビームスポットを一定の大きさで情報の記録・再生を可能にするため、記録情報感度を一定にすることができる。また、図21(a)のように分析対象となる蛍光標識された物質の直径と集光レーザが分析対象となる蛍光標識された物質を通過する大きさが等しくなるように、レンズの集光角と分析対象となる蛍光標識された物質との距離dを設計していれば、検出感度の向上にも有利である。分析対象となる蛍光標識された物質からの蛍光は、レーザの波長と異なる波長に蛍光するように、蛍光物質を選択することで、同一光学系を使用し、蛍光波長を選択的に透過する波長フィルターを用いて、分析対象となる蛍光標識された物質の蛍光を検出することができる。つまり、図21(a)のように、分析対象となる蛍光標識された物質の位置にレーザがある箇所では、分析対象となる蛍光標識された物質の蛍光状態を検出し、図21(b)のように、分析対象となる蛍光標識された物質がない箇所では情報の記録・再生が可能となり、蛍光分析と情報の記録再生とが同一光学系で可能になる。更に、前記構造は光ディスクの構造に等しいため、微小流路構造体のハンドリング等で上部基材表面に多少の異物が付着しても、情報の記録・再生情報のS/Nに有利である特徴も維持されている。また、反射層があることで分析対象となる蛍光標識された物質にダブルパスでレーザ光が照射されるため、検出感度の向上にも繋がる。更に、レーザパワーを変更することにより、蛍光検出、記録情報の再生、記録情報の消去に対応することが可能である。また、分析対象となる蛍光標識された物質からの蛍光が、情報記録感度の悪化につながる場合は、図5(b)〜(e)のように、分析対象となる蛍光標識された物質が存在する微小流路の領域と情報記録領域とを分離することで、より正確な情報検出が可能になる。
また、情報記録膜は、微小流路構造体の使用前後に情報を記録することが可能であるため、あらかじめ微小流路構造体の形状情報、製造情報、出荷情報等の微小流路構造体を識別するための第一の情報と、微小流路構造体を使用して、流体の送液や混合、化学反応、合成、分析、分離、抽出、検出などの化学的物理的操作を行なった時の、使用条件、使用流体の種類、合成条件、分析条件や、合成結果、分析結果などの第二の情報を、微小流路構造体に1対1で記録する事ができる。更に、前記光記録媒体への記録方法は、蛍光物質をインデックスに用いた蛍光検出方法よりも記録状態の安定性が良いため、長期保存することが可能である。
また本実施例では、微小流路内の特定の物質の分析を行なう分析光や情報の記録再生を行なう情報記録・再生光が、Solid Immersion Lensヘッドを使用したNear Field光であっても良い。この場合、微小流路構造体の表面や裏面を、光学ヘッドが浮上して移動しながら検出や情報の記録再生を行ない、光学ヘッドを基板表面から100nm以下に近づける必要がある。このため、光学ヘッドが浮上して移動する際、基板表面にぶつからないように安定した浮上特性を付与するためには、微小流路が形成された基板の少なくとも一方の面が、基板方向に曲率中心を有する形状に湾曲しており、かつ曲率半径が5m以上100m以下でり、微小流路が形成された基板の表面の粗さ(Ra)が0.5nm以下である事が好ましく、基板の曲率半径や表面粗さ(Ra)が上記の値の範囲を超えた場合には、光学ヘッドを基板表面から100nm以下に近づけた状態で光学ヘッドを浮上させて移動させる際に、光学ヘッドが微小流路が形成された基板表面にぶつからないように安定した浮上特性を付与することが難しくなる。
なお本実施例では、微小流路構造体の裏面に光記録媒体としての機能を持たせたが、本発明は、これに限定されるものではなく、当然の事ながら、光学的に記録検出する光記録媒体以外の情報記録媒体であっても良い。
実施例5
図22に本発明の第5の実施例を示した。図22(a)に示すように、本発明の円盤状の分析チップにおいて、認識分子固定部に認識分子の結合剤を注入する。その後、毛細管現象あるいはディスクの回転による遠心力等の力により、微小流路、認識分子固定部を通り外へと流れる。このようにすることで液体導入口、認識分子固定部、微小流路の全体を結合剤でコートすることができる。液体導入口、認識分子固定部、微小流路は結合剤がはみ出さずに流れていくように、カバー体を接合しても良い。本発明の実施例は、液体導入口、認識分子固定部、微小流路それぞれが矩形溝の場合について説明するが、例えば、半球状等であっても構わずその形状については特に制限はない。以上のようにして製作した分析チップの利用法を説明する。図22(e)〜(g)のように、分析用液体試薬を液体導入口に注入し、前期手法により流路に沿って外側へ分析用液体試薬を流す。この時、回転による遠心力を使った場合には、図6(g)のように、微小流路は、回転方向に対して遅れる方向で外周に向けて曲がっていると、分析用液体試薬が流路からはみ出しにくい。流された分析用液体試薬中に認識分子と選択的に結合する分析対象となる物質が含まれていれば、認識分子固定部において結合することになる。次に図22(h)、図22(i)に示すように、洗浄液を流路に流して流路に付着した分析用液体試薬や分析用液体試薬中の分析対象となる物質を洗い流す。こうして、分析用液体試薬中の分析対象となる物質を選択的に結合することが可能となる。
分離した特定物質を検出する方法には、いくつかの方法が考えられるが、ここでは、分析用液体試薬を分析チップの流路に流す前に、認識分子と選択的に結合する分析対象となる物質を事前に蛍光物質で蛍光標識しておく方法について記述する。この場合、図22(e)〜(g)の操作によって、蛍光標識された分析対象となる物質も一緒に認識分子固定部に結合することになるため、図22(j)のように、励起光を認識分子固定部に照射し、蛍光を検出すれば良い。
その他、図22(h)、図22(i)の操作のあと、分析対象となる物質と選択的に結合する蛍光物質を含む溶液を用いて、図22(e)〜(g)の操作をもう一度繰り返し、蛍光物質と認識分子固定部で選択的に結合された分析対象となる物質と結合させることも考えられる。その後、図22(h)、図22(i)の操作で洗浄し、図22(j)の操作で蛍光を検出すれば良い。さらに、認識分子固定部に固定する認識分子に、認識分子と分析対象となる物質が結合した場合に蛍光強度が強くなる性質をもった蛍光物質を結合させておけば、図22(h)、図22(i)の操作によって分析対象となる物質が結合したときにのみ蛍光強度が強くなり、結合した分析対象となる物質を検出することができる。以上、結合した分析対象となる物質を検出する方法として、蛍光信号を利用する方法について説明したが、その他、化学発光や生物発光など化学反応の結果生じる発光現象を検出する方法、微小電極からの電気信号を検出する方法、表面プラズモン共鳴を利用する方法などが考えられる。このように、結合した分析対象となる物質を検出する方法には多くの方法があり、目的と用途によって使い分ければ良い。このように本発明は分析チップ上に所定の微小流路を形成する事により、認識分子の拡散防止ができるため、蛍光測定感度を向上できる。更に、流路を確保することで認識分子、結合剤、分析用液体試薬等の液量を大幅に削減することができる。更に、液体導入口を一枚の分析チップ状に複数配置することにより、複数の分析用液体試薬と結合させることが可能になり、多数の分析を同時に行なう事が可能となる。また、粘度、表面張力、分析チップ支持体との親和性等の異なる複数の分析用液体試薬に対応できるように、流路幅、深さ等の形状を1本の流路の開始と終わりで変化させることや、1枚の分析チップの中で各流路を複数種類設計しておくことで、より多くの種類の分析用液体試薬が実験溶液として使用可能となる。表面張力が高い等の原因で毛細管現象による分析用液体試薬の移動に支障がある場合は、図6(b)、図6(d)の様な微小流路を扇形形状にすると分析用液体試薬が流れやすくなる。また、ここでは複数の分析用液体試薬を使用する場合について説明したが、1つの分析用液体試薬を用いる図6(c)、(d)の場合も蛍光測定感度の向上、分析用液体試薬の少量化等の優位性は確保される。また、図23(a)〜(d)のように、認識分子固定部の底の形状に凹凸パターンを付与することで微小流路内壁の粗さあるい微小流路内壁の表面積を増大することにより、認識分子3の脱離を防止することができ、多くの認識分子を表面積が増大した微小流路内壁の認識分子固定部位に固定する事ができるので、蛍光測定感度の向上が図れる。
実施例6
図24は、第6の実施例として本発明における微小流路基板の製造方法の実施形態を示す図である。図24(a)〜(c)は、本発明による、フォトレジストを塗布した露光用レジスト原盤を回転させて露光するレーザー露光装置により製作したスタンパを使用して、樹脂を成形して得た微小流路が形成された基板の凹凸パターンの例である。なお、本実施例に用いたレーザー露光装置のレーザー光源は、波長458nmのアルゴンレーザーを用いた。また、露光用レジストの回転数は450rpm、1トラックの分割数は1000000分割とし、露光用レジスト原盤の回転数と1トラックの分割数から得られるパターンジェネレータで生成する分割単位クロックの周波数は、7.5MHzとした。また1トラックを1000000分割した。実際には、1000000分割したトラックを5000分割毎の200のグループに区分し、1グループの凹凸形状のパターンのデータをパーソナルコンピュータ上で作成し、そのパターンを1トラックつき200個繰り返した凹凸形状のパターンを有する微小流路が形成された基板を製作した。なお、本実施例ではポジ型のレジストを用いたので、レーザーで露光されたところが凹パターンとなり、レーザーで露光されない部分が凸パターンとなるが、本発明はこれに限定したものではなく、ネガ型のレジストを用いれば、レーザーを露光した部分が凸パターンとなり、レーザーで露光されない部分が凹パターンとなる。
図24(a)の例は、トラック方向に分割単位を分散させ、トラックの間隔を広くし、レーザーパワーとレーザービーム径を調整する事で、径方向の凹パターンが分散した凹凸形状のパターンを有する微小流路が形成された基板の例である。このときのトラックの間隔は約1.6μmとなるように、レーザー光はガラス露光用レジスト原盤の外周側から内周側に向けて直線的に12μm/秒の速度で動かした。また、露光した凹パターンの径方向の幅が、約0.45μmになるようにレーザーパワーとレーザービーム径を調整した。
図24(b)の例は、トラック間隔とレーザーパワー及びレーザービーム径は図24(a)の例と同じにし、トラック方向に分割単位を2つ連続させてつなげた凹パターンとなる凹凸形状のパターンを有する微小流路が形成された基板の例である。
図24(c)の例は、図24(b)の例において、トラック間隔を0.85μmとなるように、レーザー光は露光用レジスト原盤の外周側から内周側に向けて直線的に6.375μm/秒の速度で動かした。また、露光した凹パターンの径方向の幅が約1.0μmになるようにレーザーパワーとレーザービーム径を調整し、凹パターンが径方向に連続してつながるような凹凸形状のパターンを有する微小流路が形成された基板の例である。
なお、本発明による微小流路が形成された基板上の凹凸形状のパターンは、図24(a)〜(c)の実施例に限定されたものではなく、パターンデータを入力する時の1トラックの分割数と凹凸の構成の設定や、レーザー露光装置でレーザー光の移動速度を変えることによるトラック間隔の設定およびレーザーパワーとレーザービーム径の設定を調整する事で、凹凸パターンの分割単位をトラック方向、径方向に分散させたり、トラック方向、径方向に連続してつなげたりすることにより、様々な凹凸形状のパターンを有する微小流路が形成された基板を製作する事ができる。
図25に本実施例で作製した微小流路構造体の一例の概略図を示す。微小流路構造体を構成する微小流路の凹凸パターンが形成された基板は、直径130mm、厚さ1.2mmで中心に直径10mmの穴のあいたドーナツ状のポリカーボネート製の基板であり、この基板上に長さ30mm、深さ10μmのI字型の形状で、外周側15mmの流路の幅が100μm、内周側15mmの流路の幅が200μmである微小流路を、円盤状の基板に中心から放射状に4本形成した。カバー体は、厚さ100μm、直径130mmで中心に直径10mmの穴のあいたドーナツ状のポリカーボネート製のシートに、あらかじめ微小流路の導入口と排出口に相当する位置に直径1mmの小穴を設け、熱接合により、微小流路の凹凸パターンが形成された基板と積層一体化させた。
(両面)
一般的な微小流路構造体を示す概略図である。 一般的な微小流路構造体を多層に積層一体化した微小流路構造体を示す概略図である。 従来の分析チップを用いた、分析対象となる物質と認識分子との結合を説明する図である。 従来の方法による微小流路が形成された基板を製造する方法を説明する図である。 情報を記録再生する事が可能な光記録媒体を有する微小流路構造体の幾つかの形態を示す図である。 本発明における特定の物質を分析する事を目的とした微小流路構造体の幾つかの形態を示す図である。 本発明の方法による微小流路が形成された基板を製造する第1方法を説明する図である。 本発明の方法による微小流路が形成された基板を製造する第2方法を説明する図である。 微小流路が形成された基板を製造するために用いるレーザー露光装置システムの構成の一例の概略図である。 パーソナルコンピュータから入力するパターンデータの位置を示す座標データの一例を示す図である。 パターンジェネレータから出力されるレーザー露光装置のレーザーのON・OFFを制御する信号の一例を示す図である。 実施例1に示した、微小流路基板の両面が微小流路である微小流路構造体を示す概略図である。 基板の両面に凹凸形状のパターンを有する微小流路基板を、ガラス基板のエッチングによって製作する場合の作業フローの一例を示す図である。 実施例1に示した、微小流路基板の両面が微小流路である微小流路構造体を、多層に積層一体化した微小流路構造体を示す概略図である。 実施例2に示した、微小流路基板の両面が微小流路であり、表面の微小流路の形状と、裏面の微小流路の形状が異なった凹凸パターンの形状を有する微小流路基板で構成された、微小流路構造体を示す概略図である。 基板の両面に凹凸形状のパターンを有する微小流路基板を、射出成形によって製作する場合の作業フローの一例を示す図である。 実施例3に示した、微小流路基板の表面が微小流路であり、裏面の凹凸形状のパターンに、ニッケルクロム合金を埋め込み、加熱冷却機能を有した微小流路基板で構成された、微小流路構造体を示す概略図である。 基板の凹凸形状のパターンに、金属を埋め込む時の作業フローの一例を示す図である。 実施例4に示した、微小流路基板の表面が微小流路であり、裏面に光記録媒体を形成した微小流路基板で構成された、微小流路構造体を示す概略図である。 一般的な光記録媒体の凹凸パターンの一例を示す概略図である。 実施例4における微小流路構造体の断面図と、本発明における光情報記録媒体を有する微小流路構造体を用いた、分析対象となる物質の検出方法と情報の記録再生方式を説明する図である。 実施例5に示した、分析対象となる物質と認識分子を結合させ検出するまでの手順を示すフローチャートである。 実施例5における、認識分子固定部の形状の幾つかの形態を示す図である。 実施例6の微小流路が形成された基板の凹凸パターンの形状を示す図である。 実施例6で作製した微小流路構造体を示す概略図である。
符号の説明
1:微小流路
1a:微小流路(表面)
1b:微小流路(裏面)
2:カバー体
3:微小流路基板
4:導入口
5:排出口
6:貫通孔
7:ガラス基板
8:金属膜
9:フォトレジスト
10:表面用フォトマスク
11:裏面用フォトマスク
12:両面に凹凸パターンが形成された基板
13:凹パターン
13b:凹パターン(裏面)
14:ガラス原盤
15:Ni
16:表面用スタンパ
17:裏面用スタンパ
18:樹脂
19:ニッケルクロム合金
20:裏面
21:貫通孔(φ1mm)
22:情報記録エリア
22b:情報記録エリア(裏面)
23:ハブ
23a:ハブ(φ15mm)
24:情報記録層
25:溝
26:凹部(ピット)
27:アドレス情報
28:スライドガラス
29:結合剤
30:認識分子
31:蛍光物質
32:分析対象となる物質
33:分析用液体試薬
34:洗浄液
35:励起光
36:光センサー
37:Cr
38:微小流路構造体
39:認識分子固定部
40:液体導入口
41:液体排出口
42:レーザー露光用レンズ
43:微小流路が形成されたガラス原盤
44:反射層
45:検出及び情報記録再生用レンズ
46:レーザー

Claims (23)

  1. 特定の物質と結合性を有する認識分子が任意に配置された分析チップにおいて、液体注入口、液体流路、認識分子固定部を有し、前記液体流路が微小流路であり、分析対象となる前記特定の物質と結合性を有する認識分子が前記微小流路に任意に配置されており、前記微小流路を有する基板の表面と裏面に、同じあるいは異なる凹凸パターンが形成されている微小流路基板からなり、前記微小流路基板に基板を重ねあわせて形成されてなる微小流路構造体である分析チップであって、当該分析チップは、前記特定の物質の分析情報を前記微小流路構造体に記録または再生することが可能な光記録媒体を有するとともに、前記特定の物質を分析する手段が蛍光分析であり、前記光記録媒体における情報記録の記録または再生を行う光源からの光を、蛍光分析のための励起光として使用することを特徴とする分析チップ。
  2. 流体を導入するための1つ以上の導入口と、導入された流体を流す1つ以上の前記微小流路と、該流体を排出する1つ以上の排出口を有し、前記微小流路が前記導入口及び前記排出口に連通してなることを特徴とする請求項1に記載の分析チップ。
  3. 前記微小流路基板において、前記各微小流路の溝形状及び/または大きさがそれぞれ異なることを特徴とする請求項2に記載の分析チップ。
  4. 前記微小流路基板上のある特定の前記微小流路において、その微小流路の開始から終わりまでの溝形状及び/または大きさが異なることを特徴とする請求項3に記載の分析チップ。
  5. 前記微小流路基板において、ある特定の前記微小流路の形状が、扇形形状の溝であることを特徴とする請求項4に記載の分析チップ。
  6. 前記微小流路基板の形状が円盤形状であることを特徴とする請求項5に記載の分析チップ。
  7. 前記円盤形状をした微小流路構基板の中心から放射状にかつ直線的に、あるいは放射状にかつ曲線的に微小流路を有することを特徴とする請求項6に記載の分析チップ。
  8. 前記円盤形状をした微小流路基板の中心に回転用モーターとの接続を可能にする前記微小流路構造体回転用のハブを有することを特徴とする請求項6又は請求項7記載の分析チップ。
  9. 前記微小流路基板の両側に、貫通孔を有した基板を重ねあわせて形成されてなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の分析チップ。
  10. 2以上の前記微小流路基板に基板を重ねあわせて形成される構造体であって、該微小流路基板の両側及び各々の微小流路基板の間に貫通孔を有した基板を重ねあわせて形成されてなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の分析チップ。
  11. 前記微小流路基板の片側に貫通孔を有した基板を、もう一方の側に貫通孔を有しない基板を重ねあわせて形成されてなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の分析チップ。
  12. 2以上の微小流路基板に基板を重ねあわせて形成される構造体であって、該微小流路基板の片側及び各々の微小流路基板の間に貫通孔を有した基板を、もう一方の側に貫通孔を有しない基板を重ねあわせて形成されてなることを特徴とする請求項11記載の分析チップ。
  13. 前記微小流路構造体の片側に導入口及び排出口を備え、かつ、もう一方の側には所定の材質が配置されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の分析チップ。
  14. 前記所定の材質がセラミックス、金属又は合金であることを特徴とする請求項13に記載の分析チップ。
  15. 前記微小流路基板の片側に金属あるいは合金が埋め込まれていることを特徴とする請求項14に記載の分析チップ。
  16. 微小流路の途中と末端の両方又は一方に、前記認識分子を固定した部位が存在することを特徴とする請求項1に記載の分析チップ。
  17. 前記認識分子を固定した部位の微小流路内壁の凹凸形状が、その部位以外の微小流路内壁の凹凸形状と異なっていることを特徴とする請求項16記載の分析チップ。
  18. 前記微小流路を形成した微小流路基板の表面あるいは裏面に前記光記録媒体を形成する情報記録層が配置された基板を積層し形成したことを特徴とする請求項1〜17記載の分析チップ。
  19. 前記分析情報が、分析物質情報、分析条件情報、分析結果情報、メーカー情報及びユーザー情報からなる群より選ばれる1あるいは任意の2以上の組み合わせを含むことを特徴とする請求項18記載の分析チップ。
  20. 前記光記録媒体が情報再生専用の光記録媒体であることを特徴とする請求項18または請求項19に記載の分析チップ。
  21. 前記光記録媒体が一度だけ情報記録可能な光記録媒体であることを特徴とする請求項18または請求項19に記載の分析チップ。
  22. 前記光記録媒体が情報を書き換え可能な光記録媒体であることを特徴とする請求項18または請求項19に記載の分析チップ。
  23. 前記特定の物質を分析する手段が蛍光分析であり、蛍光分析のための励起光がNear Field光であることを特徴とする請求項18〜22のいずれかに記載の分析チップ。
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