JP4071499B2 - Fluid coupling with baffle plate - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
入力軸に連結した,コアリング付きのポンプ羽根車と,出力軸に連結した,コアリング付きのタービン羽根車とを互いに対向させて,これらの間に作動オイルの循環回路を形成し,両羽根車の少なくとも一方に,循環回路に突出するバッフルプレートを付設し,このバッフルプレートにより循環回路内での作動オイルの流れに抵抗を与えてドラッグトルクを小さくするようにした,バッフルプレート付き流体継手の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
かゝるバッフルプレート付き流体継手は,例えば,オーム出版に係る「流体伝動装置の設計」の第24,25頁に開示されているように,既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来,かゝる流体継手では,ポンプ羽根車及びタービン羽根車の両コア間には,両羽根車の軸方向の寸法誤差や熱膨張を吸収するに充分な軸方向間隙を設けている。しかしながら,その軸方向間隙が大きいと,常用回転域で循環回路を流れる作動オイルがバッフルプレートの,タービン羽根車側の外周縁に衝突することにより生ずる乱流が前記間隙に影響して,作動オイルをコアリング内に流出させ,これにより作動オイルの速度エネルギが減少して伝動効率を低下させることになる。したがって前記軸方向間隙は,小さく設定することが望まれるが,その設定にも限界がある。
【0004】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,両羽根車の軸方向の寸法誤差や熱膨張に対する吸収能を高めながら,作動オイルのコアリング内への流出を効果的に抑えて,伝動効率の低下を防止し得るようにした,バッフルプレート付き流体継手を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明は,入力軸に連結した,コアリング付きのポンプ羽根車と,出力軸に連結した,コアリング付きのタービン羽根車とを互いに対向させて,これらの間に両羽根車のコアリングを囲む作動オイルの循環回路を形成し,両羽根車の少なくとも一方に,循環回路に突出するバッフルプレートを付設した,バッフルプレート付き流体継手において,ポンプ羽根車及びタービン羽根車の両コアリングの内径側の部分をそれぞれ入,出力軸に平行な円筒状に形成し,後者の内周壁の外周面が前者の内周壁の内周面と微小間隙を存してラップするように配置する一方,バッフルプレートを,それのタービン羽根車側の側面がタービン羽根車のコアリングの内周壁端縁より軸方向に沿ってタービン羽根車側にオフセットするように配置したことを第1の特徴とする。
【0006】
尚,前記入力軸及び出力軸は,後述する本発明の実施例中のエンジンのクランク軸1及び変速機の主軸2にそれぞれ対応する。
【0007】
この第1の特徴によれば,作動オイルの循環流量が少なくなる常用回転域では,バッフルプレートの,作動オイルの循環に対する抵抗は比較的小さいので,作動オイルが循環回路を比較的スムーズに循環することにより,伝動効率は向上する。特に,ポンプ羽根車のコアリングの内周壁の内周側に配置されるタービン羽根車のコアリングの内周壁が作動オイルの流れをポンプ羽根車側に誘導し,しかも,互いに平行にラップする両コアリングの内周壁がそのラップ部の間隙に大なる流路抵抗を付与しているため,作動オイルの両コアリング内への流出を効果的に抑えることになる。
【0008】
またタービン羽根車からポンプ羽根車へ戻る作動オイルがバッフルプレートの外周縁に衝突することにより,その作動オイルに多少とも乱流が生じても,バッフルプレートの上記外周縁と,内周側に位置するタービン羽根車のコアリングの内周壁端縁とが所定距離軸方向にオフセットしていることで,その乱流が両コアリングの内周壁のラップ部の間隙内部まで波及することはなく,該間隙の流路抵抗が大であることゝ相俟って,作動オイルの両コアリング内への流出を効果的に抑えることができ,作動オイルの速度エネルギの減少は極めて少なく,伝動効率の低下を効果的に防ぐことができる。
【0009】
しかも,両コアリングの内周壁の互いに平行なラップ部においては,両羽根車の軸方向の大なる寸法誤差や熱膨張を吸収することができ,循環回路から両コアリング内への作動オイルの流出を常に防いで,伝動効率の安定化に寄与し得る。
【0010】
また本発明は,第1の特徴に加えて,バッフルプレートの,タービン羽根車側の外周縁に,作動オイルのタービン羽根車側からポンプ羽根車側への流れを誘導する誘導部を形成したことを第2の特徴とする。
【0011】
尚,前記誘導部は,後述する本発明の第2〜4実施例中の面取り部,斜面及び円弧面に対応する。
【0012】
この第2の特徴によれば,常用回転域において,作動オイルが循環回路をタービン羽根車側からポンプ羽根車側に戻る際,バッフルプレートのタービン羽根車側の外周縁に衝突しようとしても,そこには前記誘導部が待機していて,作動オイルをポンプ羽根車側へスムーズに誘導するので,乱流が生じ難く,乱流による作動オイルの速度エネルギの減少を少なくして,伝動効率の低下を効果的に防止することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の実施例に基づいて以下に説明する。
【0014】
図1は本発明の第1実施例に係るバッフルプレート付き流体継手をロックアップクラッチの非接続状態で示す縦断面図,図2は同流体継手のロックアップクラッチの接続状態を示す作用説明図,図3は本発明の第2実施例を示すバッフルプレート部の縦断面図,図4は本発明の第3実施例を示すバッフルプレート部の縦断面図,図5は本発明の第4実施例を示すバッフルプレート部の縦断面図である。
【0015】
先ず,図1及び図2に示す本発明の第1実施例について説明する。
【0016】
自動車用エンジンのクランク軸1と,多段変速機の主軸2とが同軸上に配置され,これらは流体継手Fを介して連結される。
【0017】
流体継手Fは,ポンプ羽根車3と,それに対向してそれとの間に作動オイルの循環回路5を画成するタービン羽根車4とを備えている。
【0018】
ポンプ羽根車3は,椀状且つ環状のシェル3と,このシェル3の内側面に結合されて循環回路5に配置される多数のブレード3b,3b…と,これらブレード3b,3b…の中間部相互を連結するコアリング3cと,シェル3の内周端に結合されるハブ3hとから構成される。またタービン羽根車4も,椀状且つ環状のシェル4sと,このシェル4sの内側面に結合されて循環回路5に配置される多数のブレード4b,4b…と,これらブレード4b,4b…の中間部相互を連結するコアリング4cと,シェル4sの内周端に結合されるハブ4hとから構成される。
【0019】
ポンプ羽根車3及びタービン羽根車4の両コアリング3c,4cの,それぞれ平行な円筒状に形成された内周壁3c1 ,4c1 は,後者の内周壁4c1 を前者の内周壁3c1 の半径方向内方に配置して,互いに半径方向に微小間隙gを存してラップされる。前記循環回路5は,これらコアリング3c,4cを囲むように形成されるものである。
【0020】
ポンプ羽根車3には,タービン羽根車4の背面を覆うサイドカバー6が連設され,このサイドカバー6に,クランク軸1の端部に固着されたフライホイール7が連結される。
【0021】
またサイドカバー6の中心部にはハブ6hが形成され,タービン羽根車4のハブ4hにスプライン結合した主軸2の端部がこのハブ6hにブッシュ8を介して回転自在に支承される。
【0022】
ポンプ羽根車3のハブ3hは,循環回路5の内周側でタービン羽根車4のハブ4hを囲繞するように配置され,これらハブ3h,4h間にボールベアリング9が介裝される。その際,ボールベアリング9のインナレース9aはハブ4hの外周面に嵌合されると共に,ハブ4hの環状肩部10と,ハブ4hに係止される止環11とで軸方向に挟持される。また同ボールベアリング9のアウタレース9bはハブ3hの内周面に嵌合されると共に,ハブ3hの環状肩部12と,ハブ3hに係止される止環13とで軸方向に挟持される。こうしてポンプ羽根車3及びタービン羽根車4の両ハブ3h,4hは,ボールベアリング9を介して軸方向に連結される。このボールベアリング9は,インナ及びアウタレース9a,9b間を作動オイルが流通し得るシール無しとされる。
【0023】
ポンプ羽根車3のハブ3hの外周面には,外周端を循環回路5に突出させる環状のバッフルプレート15が嵌合されると共に,溶接により固着される。
【0024】
その際,このバッフルプレート15は,それのタービン羽根車4側の側面がタービン羽根車4のコアリング4cの内周壁4c1 端縁より軸方向に沿ってタービン羽根車4側に一定距離sオフセットするように配置される。
【0025】
バッフルプレート15とタービン羽根車4との間には,ボールベアリング9の,タービン羽根車4側端面と連通する環状油路16が画成される。
【0026】
タービン羽根車4とサイドカバー6との間には,それらを直結し得るロックアップクラッチLが設けられる。このロックアップクラッチLは,タービン羽根車4の背面とサイドカバー6の内側壁との間に画成されると共に,循環回路5に連通する油室としてのクラッチ室17と,このクラッチ室17をタービン羽根車4側の内側室17aとサイドカバー6側の外側室17bとに区画するようにクラッチ室17に配設されるクラッチピストン18とから構成され,クラッチピストン18は,サイドカバー6の内側壁に対向する端面に摩擦ライニング18aを備えている。
【0027】
クラッチピストン18は,タービン羽根車4の背面に突設された複数の伝動爪21にトルクダンパ20を介して連結されると共に,摩擦ライニング18aをサイドカバー6の内壁に圧接させる接続位置と,その内壁から離間する非接続位置との間を軸方向に移動し得るように,タービン羽根車4のハブ4hの外周面にシール部材22を介して摺動可能に支承される。
【0028】
主軸2にはロックアップクラッチLの外側室17bに連通する第1油路24が設けられる。またポンプ羽根車3のハブ3hには,主軸2を囲繞するように配置されてオイルポンプ27を駆動する筒状のオイルポンプ駆動軸26が一体に形成され,このオイルポンプ駆動軸26と主軸2との間に,ボールベアリング9の他端面に連通する第2油路25が画成される。こうして,第2油路25及び循環回路5間は,ボールベアリング9及び環状油路16を介して互いに連通される。
【0029】
第1油路24及び第2油路25は,切換弁29により,オイルポンプ27の吐出側とオイル溜め28とに交互に接続されるようになっている。
【0030】
次に,この第1実施例の作用について説明する。
【0031】
エンジンのアイドリングないし低速運転域では,切換弁29は,図1に示すように,第1油路24をオイルポンプ27の吐出側に接続する一方,第2油路25をオイル溜め28に接続するように,図示しない電子制御ユニットにより制御される。したがって,エンジンのクランク軸1の回転トルクは,フライホイール7,サイドカバー6,ポンプ羽根車3へと伝達して,それを回転駆動し,更にオイルポンプ27をも駆動すると,オイルポンプ27から吐出された作動オイルは切換弁29から第1油路24,クラッチ室17の外側室17b,内側室17aを経て循環回路5に流入し,該回路5を満たした後,環状油路16,ボールベアリング9を順次経て第2油路25に移り,切換弁29からオイル溜め28に還流する。
【0032】
而して,クラッチ室17では,上記のような作動オイルの流れにより外側室17bの方が内側室17aよりも高圧となり,その圧力差によりクラッチピストン18がサイドカバー6の内壁から引き離される方向へ押圧されるので,ロックアップクラッチLは非接続状態となっており,ポンプ羽根車3及びタービン羽根車4間に相対回転を許容している。
【0033】
したがって,クランク軸1からポンプ羽根車3が回転駆動されると,ポンプ羽根車3の回転により循環回路5内の作動オイルに遠心力が作用するため,作動オイルは,図1の矢印のように,循環回路5の外周部ではポンプ羽根車3からタービン羽根車4に流入してトルクを伝達し,循環回路5の内周部では作動オイルがタービン羽根車4からポンプ羽根車3へと戻り,このような循環を繰り返す。
【0034】
ところで,作動オイルの循環流量が多い失速点付近では,循環回路5に突出したバッフルプレート15が作動オイルの循環を邪魔することにより,ドラッグトルクを小さくすることができる。
【0035】
作動オイルの循環流量が少なくなる常用回転域では,バッフルプレート15の,作動オイルの循環に対する抵抗は比較的小さいので,作動オイルが循環回路5を比較的スムーズに循環することにより,伝動効率は向上する。
【0036】
特に,この場合,ポンプ羽根車3及びタービン羽根車4の両コアリング3c,4cは,後者の内周壁4c1 の外周面が前者の内周壁3c1 の内周面と微小間隙gを存してラップするように配置されているから,半径方向内方の内周壁4c1が循環回路5の内周部側で作動オイルの流れをポンプ羽根車3側に誘導し,しかも,互いに平行にラップする両内周壁3c1 ,4c1 がそのラップ部の間隙gに大なる流路抵抗を付与しているため,作動オイルの両コアリング3c,4c内への流出を効果的に抑えることになる。
【0037】
またタービン羽根車4からポンプ羽根車3へ戻る作動オイルがバッフルプレート15の外周縁に衝突することにより,その作動オイルに多少とも乱流が生じても,バッフルプレート15の上記外周縁と,内周側に位置するコアリング4cの内周壁4c1 の端縁とが軸方向に沿って所定距離sオフセットしているから,その乱流が両コアリング3c,4cの内周壁3c1 ,4c1 のラップ部の間隙g内部まで波及することはなく,該間隙gの流路抵抗が大であることゝ相俟って,作動オイルの両コアリング3c,4c内への流出を効果的に抑えることができ,その結果,作動オイルの速度エネルギの減少は極めて少なく,伝動効率の低下を効果的に防ぐことができる。しかも,両コアリング3c,4cの内周壁3c1 ,4c1 の互いに平行なラップ部においては,両羽根車3,4の軸方向の大なる寸法誤差や熱膨張を吸収することができ,循環回路5から両コアリング3c,4c内への作動オイルの流出を常に防いで,伝動効率の安定化に寄与し得る。
【0038】
ポンプ羽根車3及びタービン羽根車4間の速度比が1に近づくと,電子制御ユニット(図示せず)による切換弁29の切換えにより,図2に示すように,第2油路25をオイルポンプ27の吐出側に接続すると共に,第1油路24をオイル溜め28に接続する。その結果,オイルポンプ27の吐出作動オイルは,先刻とは反対に,切換弁29から第2油路25を通過し,ボールベアリング9,環状油路16を順次経て循環回路5に流入して,該回路5を満たした後,クラッチ室17の内側室17aに移って,該室17aをも満たす。一方,クラッチ室17の外側室17bは,第1油路24及び切換弁29を介してオイル溜め28に開放されるので,クラッチ室17では,内側室17aの方が外側室17bよりも高圧となり,クラッチピストン18は,その圧力差によりサイドカバー6側に押圧され,摩擦ライニング18aをサイドカバー6の内側壁に圧接させ,ロックアップクラッチLは接続状態となる。
【0039】
このようなロックアップクラッチLの接続によれば,ポンプ羽根車3及びタービン羽根車4を相互に直結するので,バッフルプレート15による流体伝動効率の低下に関係なく,クランク軸1の回転トルクを主軸2に効率良く伝達することができ,即ち高伝動効率の状態にして,燃費の低減を図ることができる。
【0040】
かくして,ドラッグトルクの低減と,エンジンの常用運転時での両羽根車3,4間の伝動効率の向上の両方を満足させることができる。
【0041】
また循環回路5と第2油路25との間では,ボールベアリング9及び環状油路16を介して作動オイルの流通が行われるので,流体継手Fの冷却と共に該ベアリング9の潤滑を効果的に促進することができる。特に,環状油路16は,循環回路5中,比較的低圧の内周部に開口するので,図2の場合のように,第2油路からボールベアリング9及び環状油路16を通して循環回路5へ作動オイルをスムーズに供給することができ,ロックアップクラッチLの接続状態への応答性を高めることができる。
【0042】
またボールベアリング9が循環回路及び第2油路25間の連通路を兼ねることから,油路構成が簡素化され,したがって加工工数,延いてはコストの低減を図ることができる。
【0043】
さらにタービン羽根車4のハブ4hと,それを囲繞するポンプ羽根車3のハブ3hとの間にボールベアリング9を介裝すると共に,このボールベアリング9を介して両羽根車3,4のハブ間を軸方向に連結したので,ポンプ羽根車3,タービン羽根車4及びサイドカバー6の三者のハブ3,4,6に高い同心精度を与えつゝ,流体継手組立体を構成することができる。したがって,タービン羽根車4及びサイドカバー6の両ハブ4h,6hへの主軸2の嵌合作業を容易に行うことができ,主軸2の取り付け作業性を著しく向上させることができる。
【0044】
しかもポンプ羽根車3及びタービン羽根車4は,ボールベアリング9によって高い同心精度が付与されることから,スムーズな相対回転が保障され,安定したカップリング機能を発揮することができる。
【0045】
次に,図3〜図5により本発明の別の実施例について説明する。
【0046】
図3に示す本発明の第2実施例は,バッフルプレート15の,タービン羽根車4側の外周縁に環状の面取り部33を形成した点を除けば,上記第1実施例と同様の構成であり,図3中,第1実施例との対応部分には,同一の参照符号を付して,その説明を省略する。
【0047】
この第2実施例によれば,ロックアップクラッチLが非接続状態にある常用回転域において,作動オイルが循環回路5をタービン羽根車4側からポンプ羽根車3側に戻る際,バッフルプレート15のタービン羽根車4側の外周縁に衝突しようとしても,そこには面取り部33が待機していて,作動オイルをポンプ羽根車3側へスムーズに誘導するので,乱流が生じ難く,乱流による作動オイルの速度エネルギの減少を少なくして,伝動効率の低下を効果的に防止することができる。
【0048】
図4に示す本発明の第3実施例は,バッフルプレート15の,タービン羽根車4側の外周縁部に,第2実施例の面取り部33に代えて,テーパ面34を形成したものであり,その他の構成は前記第1実施例のそれと同様であり,図4中,第1実施例との対応部分には同一の参照符号を付す。
【0049】
この第3実施例によれば,ロックアップクラッチLが非接続状態にある常用回転域において,作動オイルが循環回路5をタービン羽根車4側からポンプ羽根車3側に戻る際,バッフルプレート15のタービン羽根車4側の外周縁に衝突しようとしても,そこに待機しているテーパ面34が作動オイルをポンプ羽根車3側へよりスムーズに誘導するので,乱流が一層生じ難くなり,乱流による作動オイルの速度エネルギの減少をより少なくして,伝動効率の低下をより効果的に防止することができる。
【0050】
図5に示す本発明の第4実施例は,バッフルプレート15の,タービン羽根車4側の外周縁部に,第3実施例のテーパ面34に代えて,環状に円弧面35を形成したものであり,その他の構成は前記第1実施例のそれと同様であり,図5中,第1実施例との対応部分には同一の参照符号を付す。
【0051】
この第4実施例によれば,第3実施例と同様に,ロックアップクラッチLが非接続状態にある常用回転域において,作動オイルが循環回路5をタービン羽根車4側からポンプ羽根車3側に戻る際,バッフルプレート15のタービン羽根車4側の外周縁に衝突しようとしても,そこに待機している円弧面35が作動オイルをポンプ羽根車3側へよりスムーズに誘導するので,乱流が一層生じ難くなり,乱流による作動オイルの速度エネルギの減少をより少なくして,伝動効率の低下をより効果的に防止することができる。
【0052】
尚,この第4実施例においては,バッフルプレート15のポンプ羽根車3側の外周縁にも環状の円弧面が形成され,バッフルプレート15の取り付け時,その両側面の何れがタービン羽根車4側に配置されても,乱流防止を図ることができるようにしてある。
【0053】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,バッフルプレート15をタービン羽根車4のハブ4hに固着して,バッフルプレート15とポンプ羽根車3のハブ3hとの間に,ボールベアリング9及び循環回路5間を連通する環状通路を形成することができる。またボールベアリング9に代えて,作動オイルの流通を許容する他の形式のベアリングを用いることもできる。
【0054】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば,バッフルプレート付き流体継手において,ポンプ羽根車及びタービン羽根車の軸方向の寸法誤差や熱膨張に対する吸収能を高めながら,作動オイルのコアリング内への流出を抑えて,伝動効率の低下を効果的に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係るバッフルプレート付き流体継手をロックアップクラッチの非接続状態で示す縦断面図。
【図2】 同流体継手のロックアップクラッチの接続状態を示す作用説明図。
【図3】 本発明の第2実施例を示すバッフルプレート部の縦断面図。
【図4】 本発明の第3実施例を示すバッフルプレート部の縦断面図。
【図5】 本発明の第4実施例を示すバッフルプレート部の縦断面図。
【符号の説明】
F・・・・・流体継手
g・・・・・微小間隙
s・・・・・軸方向オフセット距離
1・・・・・入力軸(エンジンのクランク軸)
2・・・・・出力軸(変速機の主軸)
3・・・・・ポンプ羽根車
3c・・・・ポンプ羽根車のコアリング
3c1 ・・・コアリング3cの内周壁
4・・・・・タービン羽根車
4c・・・・タービン羽根車のコアリング
4c1 ・・・コアリング4cの内周壁
5・・・・・循環回路
15・・・・バッフルプレート
33・・・・誘導部(面取り部)
34・・・・誘導部(テーパ面)
35・・・・誘導部(円弧面)[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
A pump impeller with a coring connected to the input shaft and a turbine impeller with a coring connected to the output shaft are made to face each other, and a circulation circuit for the working oil is formed between them. A baffle plate with a baffle plate that attaches a baffle plate that protrudes to the circulation circuit to at least one of the cars, and that resists the flow of hydraulic oil in the circulation circuit to reduce drag torque. Regarding improvement.
[0002]
[Prior art]
Such a fluid coupling with a baffle plate is already known, for example, as disclosed in
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
Conventionally, in such fluid couplings, an axial gap sufficient to absorb axial dimensional errors and thermal expansion of both impellers is provided between the pump impeller and turbine impeller cores. However, if the axial gap is large, the turbulent flow generated when the working oil flowing in the circulation circuit in the normal rotation region collides with the outer peripheral edge of the baffle plate on the turbine impeller side affects the gap, and the working oil Is caused to flow out into the coring, thereby reducing the speed energy of the working oil and lowering the transmission efficiency. Therefore, it is desirable to set the axial gap small, but there is a limit to the setting.
[0004]
The present invention has been made in view of such circumstances, and effectively suppresses the outflow of hydraulic oil into the coring while enhancing the absorption capacity against axial dimensional errors and thermal expansion of both impellers. , It is an object to provide a fluid coupling with a baffle plate that can prevent a decrease in transmission efficiency.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, the present invention provides a pump impeller with a coring connected to an input shaft and a turbine impeller with a coring connected to an output shaft facing each other. In a fluid coupling with a baffle plate , a hydraulic oil circulation circuit surrounding the core ring of both impellers is formed, and a baffle plate protruding from the circulation circuit is attached to at least one of the two impellers. The inner part of the car 's inner ring is inserted and formed into a cylindrical shape parallel to the output shaft. The outer peripheral surface of the latter inner wall wraps with the inner peripheral surface of the former inner peripheral wall with a small gap. While the baffle plate is disposed so that the side surface on the turbine impeller side of the baffle plate is offset toward the turbine impeller side along the axial direction from the edge of the inner peripheral wall of the core ring of the turbine impeller The first, characterized in that the sea urchin arranged.
[0006]
The input shaft and the output shaft respectively correspond to a
[0007]
According to this first feature, in the normal rotation region where the circulating flow rate of the working oil is reduced, the resistance of the baffle plate to the circulating operation oil is relatively small, so that the working oil circulates in the circulation circuit relatively smoothly. As a result, transmission efficiency is improved. In particular, the inner peripheral wall of the core ring of the turbine impeller disposed on the inner peripheral side of the inner peripheral wall of the pump impeller core guides the flow of working oil to the pump impeller side, and wraps in parallel with each other. Since the inner peripheral wall of the coring provides a large flow resistance to the gap between the wrap portions, the outflow of the working oil into both the coring is effectively suppressed.
[0008]
Even if the hydraulic oil returning from the turbine impeller to the pump impeller collides with the outer peripheral edge of the baffle plate, even if there is some turbulence in the hydraulic oil, it is located on the outer peripheral edge and the inner peripheral side of the baffle plate. Since the edge of the inner peripheral wall of the core ring of the turbine impeller is offset in the axial direction by a predetermined distance, the turbulent flow does not reach the inside of the gap between the wrap portions of the inner peripheral walls of both core rings. Combined with the large flow path resistance of the gap, it is possible to effectively suppress the outflow of the working oil into both core rings, and the reduction in the speed energy of the working oil is extremely small, resulting in a decrease in transmission efficiency. Can be effectively prevented.
[0009]
Moreover, the parallel laps of the inner peripheral walls of both core rings can absorb large dimensional errors and thermal expansion in the axial direction of both impellers, and the working oil from the circulation circuit into both core rings can be absorbed. It can always prevent outflow and contribute to stabilization of transmission efficiency.
[0010]
According to the present invention, in addition to the first feature, a guide portion for guiding the flow of the working oil from the turbine impeller side to the pump impeller side is formed on the outer peripheral edge of the baffle plate on the turbine impeller side. Is the second feature.
[0011]
In addition, the said guidance | induction part respond | corresponds to the chamfering part, slope, and circular arc surface in the 2nd-4th Example of this invention mentioned later.
[0012]
According to the second feature, when the working oil returns from the turbine impeller side to the pump impeller side in the normal rotation range, even if the hydraulic oil tries to collide with the outer peripheral edge of the baffle plate on the turbine impeller side, In this case, the guiding unit is waiting and smoothly guides the working oil to the pump impeller, so that turbulent flow is unlikely to occur, reducing the reduction in the speed energy of the working oil due to turbulent flow, and reducing transmission efficiency. Can be effectively prevented.
[0013]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Embodiments of the present invention will be described below based on examples of the present invention shown in the accompanying drawings.
[0014]
FIG. 1 is a longitudinal sectional view showing a fluid coupling with a baffle plate according to a first embodiment of the present invention in a non-connected state of a lock-up clutch, and FIG. 2 is an operation explanatory view showing a connected state of the lock-up clutch of the fluid coupling. FIG. 3 is a longitudinal sectional view of a baffle plate portion showing a second embodiment of the present invention, FIG. 4 is a longitudinal sectional view of a baffle plate portion showing a third embodiment of the present invention, and FIG. 5 is a fourth embodiment of the present invention. It is a longitudinal cross-sectional view of the baffle plate part which shows this.
[0015]
First, a first embodiment of the present invention shown in FIGS. 1 and 2 will be described.
[0016]
A
[0017]
The fluid coupling F includes a
[0018]
The
[0019]
The inner
[0020]
A
[0021]
A
[0022]
The
[0023]
An
[0024]
At this time, the
[0025]
Between the
[0026]
Between the
[0027]
The
[0028]
The
[0029]
The
[0030]
Next, the operation of the first embodiment will be described.
[0031]
In the engine idling or low speed operation region, the switching
[0032]
Thus, in the
[0033]
Therefore, when the
[0034]
By the way, in the vicinity of the stall point where the circulating flow rate of the working oil is large, the drag torque can be reduced because the
[0035]
In the normal rotation range where the circulating flow rate of the working oil is reduced, the resistance of the
[0036]
In particular, in this case, both the core rings 3c and 4c of the
[0037]
Even if the working oil returning from the
[0038]
When the speed ratio between the
[0039]
According to such a connection of the lockup clutch L, the
[0040]
Thus, both the reduction of the drag torque and the improvement of the transmission efficiency between the two
[0041]
Further, since the working oil is circulated between the
[0042]
Further, since the
[0043]
Further, a
[0044]
In addition, since the
[0045]
Next, another embodiment of the present invention will be described with reference to FIGS.
[0046]
The second embodiment of the present invention shown in FIG. 3 has the same configuration as that of the first embodiment except that an
[0047]
According to the second embodiment, when the working oil returns from the
[0048]
In the third embodiment of the present invention shown in FIG. 4, a
[0049]
According to the third embodiment, when the working oil returns from the
[0050]
In the fourth embodiment of the present invention shown in FIG. 5, a
[0051]
According to the fourth embodiment, as in the third embodiment, in the normal rotation region where the lock-up clutch L is not connected, the working oil moves the
[0052]
In the fourth embodiment, an annular arc surface is also formed on the outer peripheral edge of the
[0053]
The present invention is not limited to the above embodiment, and various design changes can be made without departing from the scope of the invention. For example, the
[0054]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, in the fluid coupling with a baffle plate, the hydraulic oil is allowed to flow into the core ring while improving the axial dimensional error of the pump impeller and the turbine impeller and the ability to absorb thermal expansion. It is possible to suppress the decrease in transmission efficiency effectively.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a longitudinal sectional view showing a fluid coupling with a baffle plate according to a first embodiment of the present invention in a non-connected state of a lock-up clutch.
FIG. 2 is an operation explanatory view showing a connection state of a lock-up clutch of the fluid coupling.
FIG. 3 is a longitudinal sectional view of a baffle plate portion showing a second embodiment of the present invention.
FIG. 4 is a longitudinal sectional view of a baffle plate portion showing a third embodiment of the present invention.
FIG. 5 is a longitudinal sectional view of a baffle plate portion showing a fourth embodiment of the present invention.
[Explanation of symbols]
F: Fluid coupling g: Fine gap s: Axial offset distance 1: Input shaft (engine crankshaft)
2. Output shaft (transmission main shaft)
3 ... pump
34... Guide part (tapered surface)
35... Guide part (arc surface)
Claims (2)
ポンプ羽根車(3)及びタービン羽根車(4)の両コアリング(3c,4c)の内径側の部分をそれぞれ入,出力軸(1,2)に平行な円筒状に形成し,後者の内周壁(4c1 )の外周面が前者の内周壁(3c1 )の内周面と微小間隙(g)を存してラップするように配置する一方,バッフルプレート(15)を,それのタービン羽根車(4)側の側面がタービン羽根車(4)のコアリング(4c)の内周壁(4c1 )端縁より軸方向に沿ってタービン羽根車(4)側にオフセットするように配置したことを特徴とする,バッフルプレート付き流体継手。A pump impeller (3) with a coring (3c) connected to the input shaft (1) and a turbine impeller (4) with a coring (4c) connected to the output shaft (2) face each other. Then , a hydraulic oil circulation circuit (5) surrounding the core rings (3c, 4c) of the two impellers (3, 4) is formed between them, and at least one of the two impellers (3, 4), In the fluid coupling with baffle plate with baffle plate (15) protruding to the circulation circuit (5),
The inner diameter portions of both the core rings (3c, 4c) of the pump impeller (3) and the turbine impeller (4) are respectively formed into a cylindrical shape parallel to the output shaft (1, 2) . The outer peripheral surface of the peripheral wall (4c 1 ) is arranged so as to wrap with the inner peripheral surface of the former inner peripheral wall (3c 1 ) with a minute gap (g), while the baffle plate (15) is disposed on its turbine blade. The side of the vehicle (4) side is arranged so as to be offset toward the turbine impeller (4) side along the axial direction from the edge of the inner peripheral wall (4c 1 ) of the core ring (4c) of the turbine impeller (4). A fluid coupling with a baffle plate.
バッフルプレート(15)の,タービン羽根車(4)側の外周縁に,作動オイルのタービン羽根車(4)側からポンプ羽根車(3)側への流れを誘導する誘導部(33,34,35)を形成したことを特徴とする,バッフルプレート付き流体継手。The fluid coupling with a baffle plate according to claim 1,
Guide portions (33, 34,...) For guiding the flow of hydraulic oil from the turbine impeller (4) side to the pump impeller (3) side on the outer peripheral edge of the baffle plate (15) on the turbine impeller (4) side. 35) A fluid coupling with a baffle plate characterized by forming.
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