JP4070175B2 - Droplet ejection head, inkjet recording apparatus, image forming apparatus, and apparatus for ejecting droplets - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は液滴吐出ヘッド、インクジェット記録装置、画像形成装置、液滴を吐出する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ等の画像記録装置(画像形成装置を含む。)に用いられるインクジェット記録装置における液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドとして、インク滴を吐出するノズルと、ノズルが連通する吐出室(インク流路、インク室、液室、圧力室、加圧室、加圧液室などとも称される。)と、吐出室の壁面を形成する第一電極を兼ねる振動板と、これに対向する電極(第二電極)とを備え、振動板を静電力で変形変位させてノズルからインク滴を吐出させる静電型インクジェットヘッドが知られている。
【0003】
従来の静電型インクジェットヘッドとしては、例えば特開平6−71882号公報や特開平5−50601号公報に開示されているように、吐出室及び振動板を形成する基板にシリコン基板(これを「振動板基板」という。)を用い、電極を設ける基板(これを「電極基板」という。)に硼珪酸ガラス(パイレックスガラス)やシリコン基板を用いている。
【0004】
このようなインクジェットヘッドの製造方法としては、▲1▼特開平9−286101号公報に記載されているように電極基板と振動板基板の接合に水ガラス(珪酸ナトリウム溶液)を用いるもの、▲2▼特開平10−286954号公報に記載されているように、電極基板と振動板基板とをポリシラザンを介して接合するもの、▲3▼特開平9−286101号公報に記載されているように電極基板と振動板基板とを陽極接合するもの、▲4▼特開平6−8449号公報に記載されているように電極基板と振動板基板とを直接接合するものなどが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記▲1▼の電極基板と振動板基板の接合に水ガラス(珪酸ナトリウム溶液)を用いたものにあっては、この材料は低温で良好な接合性を示すが、水分の含有量が多いため膜中からの出ガス(水蒸気など)の影響が避けられず、また、高濃度にアルカリ金属を含んでいるため、アルカリ金属による汚染の問題を内在している。また、上記▲2▼の電極基板と振動板基板の接合にポリシラザンを利用したものにあっては、信頼性に優れるが、やはり出ガスの問題を内在している。
【0006】
さらに、上記▲3▼の陽極接合を利用するものあっては、条件によってはアルカリ金属による汚染の問題が発生したり、400℃程度の温度下で、100〜20000Vという高電圧を印加することによる振動板へのストレス蓄積などの問題を有している。また、上記▲4▼の直接接合を用いたものにあっては、原子、分子レベルで制御された接合面(鏡面、Ra<0.2nm以下)が必要とされ、しかも、接合には溶融温度に近い加熱(例えば1100℃)が必要など、製造コストが高くなり、利用できる範囲も限られているうえ、直接接合は接合材を使わない接合技術であるため、液体のシール性などには問題が出ることもある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、低コストで信頼性の高い液滴吐出ヘッド、この液滴吐出ヘッドを備えるインクジェット記録装置、画像形成装置、液滴を吐出する装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板を設けた第1基板及び電極を設けた第2基板の各接合面の少なくとも一方に、燐及びホウ素を含まないシリコン酸化膜と、燐及びホウ素を含むシリコン酸化膜と、燐を含まず、ホウ素を含むシリコン酸化膜との3層構造を有し、接合面側が燐を含まず、ホウ素を含むシリコン酸化膜であるシリコン酸化膜層を積層し、シリコン酸化膜層を介して第1、第2基板が直接接合されている構成としたものである。
【0009】
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板を設けた第1基板及びノズルを形成した第3基板の各接合面の少なくとも一方に、燐及びホウ素を含まないシリコン酸化膜と、燐及びホウ素を含むシリコン酸化膜と、燐を含まず、ホウ素を含むシリコン酸化膜との3層構造を有し、接合面側が燐を含まず、ホウ素を含むシリコン酸化膜であるシリコン酸化膜層を積層し、シリコン酸化膜層を介して第1、第3基板が直接接合されている構成としたものである。
【0010】
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板を設けた第1基板及び蓋部材となる第4基板の各接合面の少なくとも一方に、燐及びホウ素を含まないシリコン酸化膜と、燐及びホウ素を含むシリコン酸化膜と、燐を含まず、ホウ素を含むシリコン酸化膜との3層構造を有し、接合面側が燐を含まず、ホウ素を含むシリコン酸化膜であるシリコン酸化膜層を積層し、シリコン酸化膜層を介して第1、第4基板が直接接合されている構成としたものである。
【0011】
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板を設けた第1基板及び電極を設けた第2基板の各接合面の少なくとも一方に、燐及びホウ素を含まないシリコン酸化膜と、燐及びホウ素を含むシリコン酸化膜と、ホウ素を含まず、燐を含むシリコン酸化膜との3層構造を有し、接合面側がホウ素を含まず、燐を含むシリコン酸化膜であるシリコン酸化膜層を積層し、シリコン酸化膜層を介して第1、第2基板が直接接合されている構成としたものである。
【0012】
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板を設けた第1基板及びノズルを形成した第3基板の各接合面の少なくとも一方に、燐及びホウ素を含まないシリコン酸化膜と、燐及びホウ素を含むシリコン酸化膜と、ホウ素を含まず、燐を含むシリコン酸化膜との3層構造を有し、接合面側がホウ素を含まず、燐を含むシリコン酸化膜であるシリコン酸化膜層を積層し、シリコン酸化膜層を介して第1、第3基板が直接接合されている構成としたものである。
【0013】
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板を設けた第1基板及び蓋部材となる第4基板の各接合面の少なくとも一方に、燐及びホウ素を含まないシリコン酸化膜と、燐及びホウ素を含むシリコン酸化膜と、ホウ素を含まず、燐を含むシリコン酸化膜との3層構造を有し、接合面側がホウ素を含まず、燐を含むシリコン酸化膜であるシリコン酸化膜層を積層し、シリコン酸化膜層を介して第1、第4基板が直接接合されている構成としたものである。
【0017】
本発明に係るインクジェット記録装置は、インクジェットヘッドが本発明に係る液滴吐出ヘッドである構成としたものである。本発明に係る画像形成装置、液滴を吐出する装置は、本発明に係る液滴吐出ヘッドを搭載したものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの分解斜視説明図、図2は同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図、図3は同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面図である。
【0019】
このインクジェットヘッドは、単結晶シリコン基板を用いた第1基板である流路基板1と、この流路基板1の下側に設けた単結晶シリコン基板を用いた第2基板である電極基板2と、流路基板1の上側に設けた単結晶シリコン基板を用いた第3基板であるノズル板3とを備え、インク滴を吐出する複数のノズル4、各ノズル4が連通するインク流路である吐出室6、各吐出室6にインク供給路を兼ねた流体抵抗部7を介して連通する共通液室8などを形成している。
【0020】
流路基板1にはノズル4が連通する複数の吐出室6及びこの吐出室6の壁面である底部をなす振動板10(電極を兼ねている)を形成する凹部を形成し、ノズル板3にはノズル4となる孔及び流体抵抗部7を形成する溝を形成し、また流路基板1と電極基板2には共通液室8を形成する貫通部を形成している。
【0021】
ここで、流路基板1は、単結晶シリコン基板を用いた場合、予め振動板厚さにボロンを注入してエッチングストップ層となる高濃度ボロン層を形成し、電極基板2と接合した後、吐出室6となる凹部をKOH水溶液などのエッチング液を用いて異方性エッチングすることにより、このとき高濃度ボロン層がエッチングストップ層となって振動板10が高精度に形成される。また、ベース基板と活性層基板とを酸化膜を介して接合したSOI基板を用いて、活性層基板を振動板10とすることもできる。
【0022】
また、電極基板2には、単結晶シリコン基板を用いて、熱酸化法などで酸化層2aを形成し、この酸化層2aに凹部14を形成して、この凹部14底面に振動板10に対向する電極15を設け、振動板10と電極15との間にギャップ16を形成し、これらの振動板10と電極15とによってアクチュエータ部(エネルギー発生手段)を構成している。このとき、凹部14の深さはギャップ16の長さを規定することになる。
【0023】
ここで、電極基板2の凹部14は図4にも示すように振動板短手方向で断面形状が傾斜面を有する形状とし、この凹部14の底面に電極15を形成することにより、振動板10と電極15とを振動板短手方向で非平行状態で対向させている。なお、このように非平行な振動板10と電極15で形成されるギャップ16を非平行ギャップと称する。もちろん、振動板10と電極15とを平行な状態で対向させることもできるし、振動板長手方向で非平行ギャップとすることもできる。
【0024】
電極基板2の電極15としては、金、或いは、通常半導体素子の形成プロセスで一般的に用いられるAl、Cr、Ni等の金属材料や、Ti、TiN、W等の高融点金属などを用いることができる。
【0025】
ノズル板3には、多数のノズル4を形成するとともに、共通液室8と吐出室6を連通するための流体抵抗部7を形成する溝部を形成している。ここでは、インク吐出面(ノズル表面側)には撥水性皮膜を成膜している。このノズル板3にはステンレス基板を用いているが、この他、エレクトロフォーミング(電鋳)工法によるニッケルメッキ膜、ポリイミド等の樹脂にエキシマレーザー加工をしたもの、金属プレートにプレス加工で穴加工をしたもの等でも用いることができる。
【0026】
ここで、流路基板1と電極基板2とは燐及び/又はホウ素を含むシリコン酸化膜層18を介して接合している。このシリコン酸化膜18は、電極基板2の全面に形成することにより、電極15表面では電極保護膜17を兼ねている。
【0027】
なお、シリコン酸化膜層18としては、燐及びホウ素を含まないシリコン酸化膜(NSG:Non-doped Silicate Glass)と、燐及びホウ素を含むシリコン酸化膜(BPSG:BoroPhospho-Silicate Glass)との2層構造とすることもできる。
【0028】
また、シリコン酸化膜層18としては、燐及びホウ素を含まないシリコン酸化膜(NSG)と、燐及びホウ素を含むシリコン酸化膜(BPSG)と、燐を含まず、ホウ素を含むシリコン酸化膜(BSG:Boro-Silicate Glass)との3層構造とすることもできる。
【0029】
或いは、燐及びホウ素を含まないシリコン酸化膜(NSG)と、燐及びホウ素を含むシリコン酸化膜(BPSG)と、ホウ素を含まず、燐素を含むシリコン酸化膜(PSG:Phospho-Silicate Glass)との3層構造とすることもできる。さらに、シリコン酸化膜層18としては、塗布型のシリコン酸化膜(SOG:Spin On Glass)を用いることができる。
【0030】
このインクジェットヘッドではノズル4を二列配置し、この各ノズル4に対応して吐出室6、振動板10、電極15なども二列配置し、各ノズル列の中央部に共通液室8を配置して、左右の吐出室6にインクを供給する構成を採用している。これにより、簡単なヘッド構成で多数のノズルを有するマルチノズルヘッドを構成することができる。
【0031】
そして、電極15は外部に延設して接続部(電極パッド部)15aとし、これにヘッド駆動回路であるドライバIC20をワイヤボンドによって搭載したFPCケーブル21を異方性導電膜などを介して接続している。このとき、電極基板2とノズル板3との間(ギャップ16入口)はエポキシ樹脂等の接着剤を用いたギャップ封止剤22にて気密封止し、ギャップ16内に湿気が侵入して振動板10が変位しなくなるのを防止している。
【0032】
さらに、インクジェットヘッド全体をフレーム部材25上に接着剤で接合している。このフレーム部材25にはインクジェットヘッドの共通液室8に外部からインクを供給するためのインク供給穴26を形成しており、またFPCケーブル21等はフレーム部材25に形成した穴部27に収納される。
【0033】
このフレーム部材25とノズル板3との間はエポキシ樹脂等の接着剤を用いたギャップ封止剤28にて封止し、撥水性を有するノズル板3表面のインクが電極基板2やFPCケーブル21等に回り込むことを防止している。そして、このヘッドのフレーム部材25にはインクカートリッジとのジョイント部材30が連結されて、フレーム部材25に熱融着したフィルタ31を介してインクカートリッジからインク供給穴26を通じて共通液室8にインクが供給される。
【0034】
このように構成したインクジェットヘッドにおいては、振動板10を共通電極とし、電極15を個別電極として、振動板10と電極15との間に駆動波形を印加することにより、振動板10と電極15との間に静電力(静電吸引力)が発生して、振動板10が電極15側に変形変位する。これにより、吐出室6の内容積が拡張されて内圧が下がるため、流体抵抗部7を介して共通液室8から吐出室6にインクが充填される。
【0035】
次いで、電極15への電圧印加を断つと、静電力が作用しなくなり、振動板10はそれ自身のもつ弾性によって復元する。この動作に伴い吐出室6の内圧が上昇し、ノズル5からインク滴が吐出される。再び電極に電圧を印加すると、再び静電吸引力によって振動板は電極側に引き込まれる。
【0036】
このインクジェットヘッドにおいては、ヘッドを構成する第1基板(流路基板1)、第2基板(電極基板2)及び第3基板(ノズル板3)が全てシリコン基板からなるため、基板間の熱膨張差がなくなり、ヘッド製造プロセスでの熱履歴による歪みの発生が無くなる。また、高密度ラインヘッド(長尺ヘッド)とした場合でも、使用上の温度変化による基板歪み等が発生しないので、印字特性やインクジェットヘッドの信頼性に影響がない。
【0037】
そして、第1基板(流路基板1)と第2基板(電極基板2)とを燐及び/又はホウ素を含むシリコン酸化膜層18を介して接合しているので、シリコン酸化膜18の軟化点が下がり、シリコン基板の直接接合に要する温度を下げることができ、また、加熱によりシリコン酸化膜18表面がリフローを起こして接合界面の平坦度がRa<0.2nm以下になり、良好な直接接合性が得られるようになるので、低コストで第1基板(流路基板1)と第2基板(電極基板2)とを接合することができるようになる。
【0038】
ここで、シリコン酸化膜層18としては、NSG膜とBPSG膜との2層構造膜とする(接合界面側がBPSG膜とする。)ことによって、接合界面をBPSG膜で覆うことができるので、インクシール性が向上する。
【0039】
また、シリコン酸化膜層18としては、NSG膜とBPSG膜とBSG膜との3層構造膜とする(接合界面側がBSG膜とする。)ことによって、流路基板1となるシリコン基板のドーパントとしてボロンを用いている場合に、ボロンの吸出しによる電気特性の変化を低減することができるとともに、接合界面をBSG膜とすることにより、BSG膜のみを軟化させてることができて、ギャップ精度の狂いが殆どなく、高精度ギャップを確保できる。
【0040】
さらに、シリコン酸化膜18としては、NSG膜とBPSG膜とPSG膜との3層構造膜とする(接合界面側がPSG膜とする。)ことによって、流路基板1となるシリコン基板のドーパントとして燐を用いている場合に、燐の吸出しによる電気特性の変化を低減することができるとともに、接合界面をPSG膜とすることにより、PSG膜の高い保護特性によって電極材料の劣化を防止することができる。
【0041】
さらにまた、シリコン酸化膜層18としては、SOG膜を用いることによって、厚膜のシリコン酸化膜層を容易に形成することができ、また、シリコン基板として未研磨基板を用いることができるようになり、一層のコストの低減を図れる。
【0042】
次に、第2実施形態に係るインクジェットヘッドについて図5乃至図7を参照して説明する。なお、図5は同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図、図6は同ヘッドの振動板短手方向の断面説明図、図7は同ヘッドの平面説明図である。
このインクジェットヘッドは、第一基板である流路基板41と、この流路基板41の下側に設けた第二基板である電極基板42と、流路基板1の上側に設けた第三基板であるノズル板43とを備え、インク滴を吐出する複数のノズル44、各ノズル44が連通するインク流路である吐出室46、各吐出室46にインク供給路を兼ねた流体抵抗部47を介して連通する共通液室48などを形成している。
【0043】
流路基板41にはノズル44が連通する複数の吐出室46及びこの吐出室46の壁面である底部をなす振動板50(電極を兼ねている)を形成する凹部及び共通液室48を形成する凹部を形成し、ノズル板43にはノズル44となる孔及び流体抵抗部47を形成する溝並びに共通液室48に外部からインクを供給するためのインク供給孔49を形成している。
【0044】
電極基板42上にはシリコン酸化膜53を形成し、このシリコン酸化膜53に底面が振動板50と平行になる電極形成溝である凹部54を形成し、この凹部54底面に電極55を形成することで振動板50と電極55とをギャップ56を介して平行状態で配置している。
【0045】
そして、流路基板41と電極基板42とは燐及び/又はホウ素を含むシリコン酸化膜層であるBPSG膜58を介して接合している。このBPSG膜58は、電極基板42の全面に形成することにより、電極55表面では電極保護膜57を兼ねている。なお、燐及び/又はホウ素を含むシリコン酸化膜層としては、BPSG膜58に代えて、BSG膜、PSG膜、NSG膜とBPSG膜の2層構造膜、NSG膜とBPSG膜及びBSG膜との3層構造膜、又は、NSG膜とBPSG膜及びPSGとの3層構造膜などを用いることもできる。
【0046】
また、図7にも示すように、電極55は外部に延設して電極パッド部55aを形成している。さらに、ノズル板43には振動板50を外部と接続するための電極パッド部50aを形成している。
【0047】
また、流路基板41とノズル板43とも燐及び/又はホウ素を含むシリコン酸化膜層であるBPSG膜59を介して接合している。なお、ここでも、燐及び/又はホウ素を含むシリコン酸化膜層としては、BPSG膜59に代えて、BSG膜、PSG膜、NSG膜とBPSG膜の2層構造膜、NSG膜とBPSG膜及びBSG膜との3層構造膜、又は、NSG膜とBPSG膜及びPSGとの3層構造膜などを用いることもできる。
【0048】
そこで、この第2実施形態に係るインクジェットヘッドの製造方法について図8乃至図11をも参照して説明する。なお、図8乃至図10は同製造工程を示す振動板短手方向での模式的説明図、図11乃至図13は同じく振動板長手方向での模式的説明図である。なお、最終工程前の用語は異なる部分もあるが、符号は便宜上図5乃至図7と同一のものを用いる。
【0049】
図8(a)及び図11(a)に示すように低抵抗品として市販されているp型の単結晶シリコン(ウエハを用いる。)で、結晶面方位が(110)または(100)であり、電極基板となるシリコン基板42上に、ウェット或いはドライの熱酸化法によって保護膜となるシリコン酸化膜53を約2μmの厚さに形成する。なお、ここでは、p型の単結晶シリコン基板を用いたが、n型の基板であっても良い。
【0050】
続いて、各図(b)に示すように、シリコン酸化膜53に電極形成溝である凹部54を掘り込む。ここでは、シリコン酸化膜53上にフォトレジストを塗布し、電極を形成するためのパターニングを行い、このフォトレジストパターンをマスクとして、弗化アンモニウムなどの緩衝成分を含む弗化水素溶液(例えば、ダイキン工業製:BHF−63Uなど、商品名)を用いて凹部54を掘り込む。
【0051】
このときの掘り込み量は電極材料の厚さと、電極55と振動板50との間に必要な空間量を足した分だけ掘り込むことになる。このときの掘り込み量は約1μm程度と少ないので、弗化水素溶液を用いたウェットエッチングによる掘り込みにおいても、ウェハ面内の掘り込み量のばらつきは極めて小さくできる。
【0052】
そして、シリコン酸化膜53の全面に電極材料となる多結晶シリコン膜を約300nmの厚さに堆積し、フォトエッチングの手法を用いて所望の電極形状に加工することにより、各図(c)に示すように、凹部54底面に電極55を形成する。ここでは、不純物がドーピングされたポリシリコンを電極55に使用しているが、高融点金属を利用しても良いし、窒化チタンのような導電性のセラミックスを電極としても良いことは前述したとおりである。
【0053】
次いで、各図(d)に示すように、シリコン酸化膜53の全面(ウエハ全面)にCVDなどの手法を用いて燐及び/又はホウ素を含むシリコン酸化膜層であるBPSG膜58を約150nmの厚さに堆積させる。この場合のBPSG膜58は、電極55を保護する保護膜57の目的も併せ持っている。
【0054】
ここでは、BPSG膜58は、燐濃度4.5%、ボロン濃度4.0%になるように成膜した。このときの燐、ボロンの濃度は、半導体プロセスで一般的に使われている濃度であるが、この濃度に限定されるものではない。また、燐及び/又はホウ素を含むシリコン酸化膜層としては、前述したように、ボロンを含まないPSG膜であっても良いし、燐を含まないBSG膜であってもよい。
【0055】
すなわち、本発明の重点はシリコン酸化膜層中に、燐あるいはボロンを含有させることによって、軟化点を下げることで、直接接合に必要な温度を低下させることにある。この軟化点を下げるという目的を達成するだけであれば、ゲルマニウムなどの、燐・ボロン以外の不純物を含有させる手法もあるが、電極材料との親和性やデバイスとしての信頼性を考えた場合、半導体プロセスで実績のある燐・ボロンを用いる方が本発明を達成する上でより利点が大きくなる。
【0056】
次に、図9(a)及び図12(a)に示すように、このシリコンウェハ(電極基板42)を窒素ガス雰囲気下で熱処理することにより、BPSG膜58が軟化して凹部14の側壁と電極55との間を埋めるようになる。
【0057】
このときの熱処理条件は、850℃、2時間とした。ここで、この850℃という温度は、この次に行う直接接合の温度800℃よりも50℃だけ高い温度になっている。もちろん、直接接合の温度がこれよりも低ければ、これよりも低い温度での熱処理で良い。ただし、BPSG膜58がリフロー性を示す温度よりも高い温度とする。
【0058】
この熱処理によって、BPSG膜58中に存在する水分や水素ガスなどが放出され、直接接合時の出ガスによるボイドの発生を防ぐことができる。また、この熱処理によってBPSG膜58表面がリフローを起こし、成膜直後にはAFMを用いた表面評価で、Ra値で1〜3nm程度あった表面の荒れが0.1〜0.2nmとなり、非常に良好な直接接合性を持つようにできる。
【0059】
そして、各図(b)に示すように、振動板を設ける流路基板となるシリコン基板41はp型の極性を持ち、(110)の面方位を持つ両面研磨のシリコン基板を利用した。このようなシリコン基板を利用する目的は、シリコンのウェットエッチング時のエッチング速度の面異方性を利用し、精度の良い加工形状を得るためのものである。このシリコン基板41の接合面になる面には、高濃度のホウ素を注入(5×1019原子/cm3以上)後これを活性化し、所定の深さ(振動板の厚さ)まで拡散させて振動板となる拡散層50を形成している。
【0060】
なお、ここでは、高濃度に不純物が注入されたシリコン基板を用いているが、前述したように、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板の活性層を振動板として使用することも可能であるし、或いは、高濃度不純物基板上に、シリコンをエピ成長させた基板のエピ層を振動板とすることもできる。
【0061】
その後、各図(c)に示すように、流路基板となるシリコン基板41と電極基板となるシリコン基板42とを接合する。
【0062】
ここでは、各基板41、42をRCA洗浄で知られる基板洗浄法を用いて洗浄した後、硫酸と過酸化水素水の熱混合液に浸漬し、接合面を親水化させることで直接接合をし易い表面状態とする。その後、これらの基板41、42を静かにアライメントし各基板41、42を接合する。
【0063】
次いで、アライメントが完了した基板41、42を真空チャンバー中に導入し、1×10-3mbar以下の真空度になるまで減圧する。続いて、各基板41、42のアライメントがずれない様な状態で、各ウェハを押さえつけることでプリ接合を完了した。この時、位置ずれしないように押さえると共に、押圧力は基板41、42に歪みを与えたり、位置ずれを起こさない限り強く押さえることが重要である。さらにこの後、貼り合わせたウェハを窒素ガス雰囲気下で、800℃、2時間焼成し強固な接合を得た。
【0064】
その後、シリコン基板41を研磨、研削、CMP等などの機械的、物理的あるいは、化学的手法によってウェハの初期厚さよりも薄くする。この場合、直接接合によって接合した界面が剥離したり破壊されることはない。ここでは、シリコン基板41として、市販の400μm厚さのシリコンウェハを貼り合わせた後、液室高さ(吐出室の高さ)が95±5μmになるまで研磨した。なお、シリコンウエハの初期厚さをそのまま用いる場合には研磨は不要である。
【0065】
続いて、図10(a)及び図13(a)に示すように、シリコン基板41をエッチングして吐出室46及び振動板50を形成する凹部並びに共通液室48を形成する凹部を形成する。
【0066】
ここでは、基板を熱処理しバッファ酸化膜を約50nmの厚さに形成し、更に後工程でのエッチングバリア層となるシリコン窒化膜をCVDなどの方法で約100んmの厚さに形成して、フォトエッチングの手法を用いて、液室などを形成するためのパターニングを行い、フォトレジスト膜をマスクにして、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜を順次エッチングし、基板上に液室パターンに対応する開口を有するパターンを形成する。
【0067】
そして、この基板を高濃度の水酸化カリウム溶液(例えば、80℃に加熱した30%濃度のKOH溶液)中に浸漬し、シリコン基板41の異方性エッチングを行うことにより、吐出室46及び共通液室48となる凹部を形成する。ここで、エッチング液が高濃度ボロン拡散層50に到達した時、エッチングレートが著しく低下することで、ほぼ自動的にエッチングが停止した状態になり、高濃度ボロン拡散層からなる振動板50が形成される。
【0068】
なお、高濃度のアルカリ金属の水溶液を用いたエッチング以外にも、TMAH(テトラ・メチル・アンンモニウム・ヒドロキシド)を使ったウェットエッチングでも良い。この後、超純水を使ってリンス(約10分間)した後、スピン乾燥等で乾燥させる。
【0069】
また、各図(b)に示すように、シリコン基板からなるノズル板43にもCVD等の方法でシリコン酸化膜であるBPSG膜49を堆積する。このときの成膜条件は、前記電極基板42上に形成したBPSG膜48と同じとしたが、もちろん、この組成などはデバイスの構造や製造方法によって自由に変更できることは言うまでもない。
【0070】
そして、BPSG膜59を形成したノズル板43を前記工程と同様にして、窒素ガス雰囲気下で熱処理(850℃、2時間)を行う。もちろん、直接接合の温度がこれよりも低ければ、これよりも低い温度での熱処理で良いが、BPSG膜59がリフロー性を示す温度よりも高い温度とする。この熱処理によって、BPSG膜59中に存在する水分や水素ガスなどが放出され、接合時の出ガスによるボイドの発生を防ぐことができる。また、この処理によってBPSG膜59表面がリフローを起こし、成膜直後にはAFMを用いた表面評価で、Ra値で1〜3nm程度あった表面の荒れが0.1〜0.2nmとなり、非常に良好な直接接合性を持つようにできる。
【0071】
そして、このノズル板43と流路基板41とをアライメントした後、両基板を貼り合わせ、前記と同じ条件で焼成して接合し、その後、ノズル板43の表面(インク吐出面)には撥水層を形成する処理を行って、図5及び図6に示すインクジェットヘッドを完成する。このとき、先に接合したウェハ(基板41、42)よりも低い温度で焼成することが好ましいが、少なくとも先に接合した基板と同じ温度で焼成するようにすれば、出ガスなどの問題も無く接合することができる。
【0072】
また、このときのプロセス中に生じる微細な表面傷は、BPSG膜58、59がリフローするときに埋められるため、インクなどの液体を通した場合のリークなどの発生を防止することができる。もちろん深い傷や幅の広い傷などは埋めきれないので、そのような傷が付かないような工程設計を行う必要はある。接合強度も前述のように十分な強度を持っている。
【0073】
なお、この実施形態のヘッドではノズル板43を流路基板41に接合しているが、ノズル板43をノズル連通路を形成する流路板とノズルを形成したノズル形成部材の複層構造とすることもできる。また、上記の工程では、電極となる基板から順次接合していったが、各基板を所望の形状に加工した後、接合面にBPSG膜などを成膜し、ウェハ貼り合わせ用のアライナー(例えば、EV社400シリーズ:商品名など)を用いて一度に接合することもできる。
【0074】
このようにして製造したインクジェットヘッドは、ヘッドを構成する主要部材がシリコンであるため、実使用時の温度上昇等によってもヘッドの膨張が均一であるので、ヘッドの反りや歪みの発生がない。ヘッドの設計を工夫すれば、ラインヘッドと呼ばれる長尺ヘッド(例えばA4サイズヘッド)を作ることも可能となる。
【0075】
次に、本発明の第3実施形態に係るインクジェットヘッドについて図14及び図15を参照して説明する。なお、図14は同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図、図15は同ヘッドの振動板短手方向の断面説明図である。
この実施形態は、上記第2実施形態のインクジェットヘッドにおいて、流路基板41の流路側にも燐及び/又はホウ素を含むシリコン酸化膜層であるBPSG膜60を前記第2実施形態のヘッドの製造工程で説明した同様な条件で成膜し、ノズル板43と流路基板41とをシリコン酸化膜59、60同士の接合としたものである。
【0076】
なお、ここでも、燐及び/又はホウ素を含むシリコン酸化膜層としては、BPSG膜60に代えて、BSG膜、PSG膜、NSG膜とBPSG膜の2層構造膜、NSG膜とBPSG膜及びBSG膜との3層構造膜、又は、NSG膜とBPSG膜及びPSGとの3層構造膜などを用いることもできる。
【0077】
このようにすれば、各製造プロセスを経て得られる流路基板41の流路面をBPSG膜等のシリコン酸化膜60で被覆することができて、流路面の表面傷などを低減することができ、インクの流動性が安定する。
【0078】
次に、本発明の第4実施形態に係るインクジェットヘッドについて図16及び図17を参照して説明する。なお、図16は同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図、図17は同ヘッドの振動板短手方向の断面説明図である。
【0079】
この実施形態は、上記第2実施形態のインクジェットヘッドと電極基板42側の構成が異なるだけであるので、この点について説明すると、電極基板42上にはシリコン酸化膜53を形成し、このシリコン酸化膜53表面に振動板50に対向する電極55を形成し、このシリコン酸化膜53及び電極55上に燐及び/又はホウ素を含むシリコン酸化膜層であるBPSG膜58を堆積形成し、このBPSG膜58に振動板50と電極55とのギャップ56を形成する凹部54を形成している。この凹部54の底面は振動板50に対して振動板短手方向の断面で非平行に形成することにより、ギャップ56を非平行ギャップとしている。
【0080】
そこで、この第4実施形態に係るインクジェットヘッドの製造工程について図18乃至図21を参照して説明する。なお、図18及び図19は同製造工程を示す振動板短手方向での模式的説明図、図20及び図21は同じく振動板長手方向での模式的説明図である。なお、最終工程前の用語は異なる部分もあるが、符号は便宜上図16及び図17と同一のものを用いる。
【0081】
先ず、図18(a)及び図20(a)に示すように、低抵抗品として販売されているp型の単結晶シリコンで、面方位が(110)または(100)である電極基板となるシリコン基板41上に、ウェット或いはドライの熱酸化法によってギャップ層および絶縁膜となるシリコン酸化膜53を2.5μmの厚さに形成する。ここでは、p型の単結晶シリコン基板を用いたが、n型の基板であっても良い。
【0082】
続いて、各図(b)に示すようにシリコン酸化膜53上に電極55を形成する。ここでは、電極材料となる窒化チタンをスパッタ法でシリコン酸化膜53の全面に堆積させ、更にマスクとなるシリコン酸化膜をCVD法等を用いて堆積した後、フォトエッチングの手法を用いて、電極を形成するためのパターニングを行い、フォトレジスト膜をマスクにして、マスクとしてのシリコン酸化膜を弗化水素水にてエッチングし、続いて、フォトレジスト膜及びシリコン酸化膜をマスクとして、アンモニア水+過酸化水素水+純水の混合溶液を用いて、窒化チタンをエッチングすることで所望の電極形状の電極55を形成した。
【0083】
さらに、電極55を形成したシリコン酸化膜53の全面に、燐及び/又はホウ素を含むシリコン酸化膜であるBPSG膜58をCVDなどの手法を用いて、約400nmの厚さに堆積させる。この場合のBPSG膜58は、電極を保護する目的も併せ持っている。このときのBPSG膜58は、燐濃度4.5%、ボロン濃度4.0%になるように成膜した。この燐及びボロンの濃度は、半導体プロセスで一般的に使われている濃度であるが、この濃度に限定されるものではない。また、ボロンを含まないPSG膜となっても良いし、燐を含まないBSG膜となっても良い。
【0084】
次に、同図(c)に示すように、BPSG膜58の表面を平坦化する処理を行う。この平坦化処理の第1例は、CMPの手法を用いて、電極基板42のBPSG膜58面を研磨して、BPSG膜58表面の凹凸を平坦化し、接合可能な表面形状とする。現在のCMPの技術では、0.01μm程度の研磨量で、研磨ばらつき0.008μm程度に仕上げることができ、非常に良い平面性が得られる。また、その表面粗さはRa値で、0.1〜0.2nmと極めて平滑な面が得られ、これによって直接接合性が高まる。
【0085】
その後、このシリコンウェハ(電極基板42)を窒素ガス雰囲気下で例えば850℃、2時間の熱処理を行う。もちろん、直接接合の温度がこれよりも低ければ、これよりも低い温度での熱処理で良いが、前述したように、BPSG膜58がリフロー性を示す温度よりも低くなってはいけない。この熱処理によって、BPSG膜58中に存在する水分や水素ガスなどが放出され、接合時の出ガスによるボイドの発生を防ぐことができる。
【0086】
また、平坦化処理の第2例としては、シリコンウェハ(電極基板42)を窒素ガス雰囲気下で、例えば1000℃、2時間の熱処理を行う。この熱処理によって、BPSG膜58中に存在する水分や水素ガスなどが放出され、接合時の出ガスによるボイドの発生を防ぐことができるとともに、BPSG膜58の流動性が高まり、電極55の高さによって生じていたBPSG膜58の凸部がグローバルに平坦化され、直接接合が可能な平面となる。それと同時に、Ra値で1〜3nm程度あった表面の荒れが0.1〜0.2nmとなり、非常に良好な直接接合性を持つようにできる。
【0087】
このような平坦化処理を行った後、各図(d)に示すように、平坦化したBPSG膜58上にレジストを塗布し、ギャップを形成するためのパターニングを行い、このフォトレジストパターンをマスクとして、弗化アンモニウムなどの緩衝成分を含む弗化水素溶液(例えば、ダイキン工業製:BHF−63U(商品名)など)を用いて、BPSG膜58に電極形成溝となる凹部54を掘り込む。
【0088】
このときの掘り込み量がギャップ深さになる。このときの掘り込み量は約1μm程度と少ないので、弗化水素溶液を用いたウェットエッチングによる掘り込みにおいても、ウェハ面内の掘り込み量のばらつきは極めて小さくなる。また、この場合、レジストパターンの厚さに傾斜を付け、そのレジスト越しにドライエッチングを行うことによって、ギャップ形状を非平行状態に形成している。
【0089】
その後、図19(a)及び図21(a)にも示すように、前述した第2実施形態の製造工程と同様、流路基板となるシリコン基板41を電極基板42にBPSG膜58を介して直接接合した後、各図(b)に示すように異方性エッチングをして流路基板41に吐出室46、振動板50及び共通液室48などを形成し、続いてノズル板43を同じくBPSG膜49を介して流路基板41上に直接接合する。なお、この工程の詳細は、前述した第2実施形態の製造工程と同様である。
【0090】
次に、本発明の第5実施形態に係るインクジェットヘッドについて図22及び図23を参照して説明する。なお、図22は同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図、図23は同ヘッドの振動板短手方向の断面説明図である。
この実施形態は、上記第4実施形態のインクジェットヘッドにおいて、流路基板41の流路側にも燐及び/又はホウ素を含むシリコン酸化膜層であるBPSG膜60を前記第4実施形態のヘッドの製造工程で説明した同様な条件で成膜し、ノズル板43と流路基板41とをBPSG膜59、60同士の接合としたものである。
【0091】
このようにすれば、各製造プロセスを経て得られる流路基板41の流路面をBPSG膜60で被覆することができて、流路面の表面傷などを低減することができ、インクの流動性が安定する。なお、ここでも、燐及び/又はホウ素を含むシリコン酸化膜層としては、BPSG膜60に代えて、BSG膜、PSG膜、NSG膜とBPSG膜の2層構造膜、NSG膜とBPSG膜及びBSG膜との3層構造膜、又は、NSG膜とBPSG膜及びPSGとの3層構造膜などを用いることもできる。
【0092】
次に、本発明の第6実施形態に係るインクジェットヘッドについて図24及び図25を参照して説明する。なお、図24は同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図、図25は同ヘッドの振動板短手方向の断面説明図である。
この実施形態は、上記第4実施形態のインクジェットヘッドと電極基板42側の構成が異なるだけであるので、この点について説明する。
【0093】
電極基板42上にはシリコン酸化膜であるNSG膜61を形成し、このNSG膜61上に振動板50に対向する電極55を形成し、このシNSG膜61及び電極55上にNSG膜62を成膜し、更にこのNSG膜62上に燐及び/又はホウ素を含むシリコン酸化膜であるBPSG膜58を堆積形成し、このBPSG膜58に振動板50と電極55とのギャップ56を形成する凹部54を形成している。この凹部54の底面は振動板50に対して振動板短手方向の断面で非平行に形成することにより、ギャップ56を非平行ギャップとしている。
【0094】
そこで、この第6実施形態に係るインクジェットヘッドの製造工程について図26及び図27を参照して説明する。なお、図26は同製造工程を示す振動板短手方向での模式的説明図、図27は同じく振動板長手方向での模式的説明図である。なお、最終工程前の用語は異なる部分もあるが、符号は便宜上図24及び図25と同一のものを用いる。
【0095】
先ず、各図(a)に示すように、低抵抗品として販売されているp型の単結晶シリコンで、面方位が(110)または(100)である基板上に、CVDなどの方法でNSG膜61を形成する。ここでは、p型の単結晶シリコン基板を用いたが、n型の基板であっても良い。また、SOGをスピンコータなどを用いて回転塗布し、酸化膜層を形成した後、熱処理して用いても良い。
【0096】
続いて、各図(b)に示すように、電極材料となる窒化チタンをスパッタ法で基板全面に堆積させ、更にマスクとなるシリコン酸化膜をCVD法等を用いて堆積した後、フォトエッチングの手法を用いて、電極を形成するためのパターニングを行い、フォトレジスト膜をマスクにして、シリコン酸化膜を弗化水素水にてエッチングし、続いて、フォトレジスト膜及びシリコン酸化膜をマスクとして、アンモニア水+過酸化水素水+純水の混合溶液を用いて、窒化チタンをエッチングし所望の形状の電極55を形成する。
【0097】
そして、NSG膜61及び電極55上にCVDなどの方法でNSG膜62を成膜する。このときのNSG膜62は電極55を十分にカバーするだけの厚さがあれば良い。続いて、連続的にBPSG膜58を約150nmの厚さに堆積させる。このときのBPSG膜58は、燐濃度4.5%、ボロン濃度4.0%になるように成膜した。この燐、ボロンの濃度は、半導体プロセスで一般的に使われている濃度であるが、この濃度に限定されるものではない。また、ボロンを含まないPSG膜となっても良いし、燐を含まないBSG膜となっても良い。また、成膜の最後の段階で、ガス種を切り替え、BPSG膜58の表面側にBSG膜を形成したり、PSG膜を形成することも簡単である。
【0098】
次に、各図(c)に示すように、BPSG膜58の表面を平坦化する処理(前述した平坦化処理の第1例、第2例と同様である。)をした後、各図(d)に示すように、BPSG膜58にギャップ形成溝となる凹部54を掘り込む。その後は、前述した各実施形態の製造工程と同様であるので説明を省略する。
【0099】
次に、本発明の第7実施形態に係るインクジェットヘッドについて図28及び図29を参照して説明する。なお、図28は同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図、図29は同ヘッドの振動板短手方向の断面説明図である。
この実施形態は、上記第4実施形態のインクジェットヘッドと電極基板42側の構成が異なるだけであるので、この点について説明する。
【0100】
電極基板42上にはシリコン酸化膜であるSOG膜64を形成し、このSOG膜64上に振動板50に対向する電極55を形成し、このSOG膜64及び電極55上にSOG膜65を成膜し、更にこのSOG膜65に振動板50と電極55とのギャップ56を形成する凹部54を形成している。この凹部54の底面は振動板50に対して振動板短手方向の断面で非平行に形成することにより、ギャップ56を非平行ギャップとしている。
【0101】
そこで、この第7実施形態に係るインクジェットヘッドの製造工程について説明する。先ず、前記各実施形態の製造工程と同様に、低抵抗品として販売されているp型の単結晶シリコンで、面方位が(110)または(100)であるシリコン基板を用いて、この基板上にスピンコートなどの方法でSOG膜64を形成する。その後、熱処理を施して、安定な酸化膜を得た。
【0102】
続いて、電極材料となる窒化チタンをスパッタ法でSOG膜64の全面に堆積させ、更にマスクとなるシリコン酸化膜をCVD法等を用いて堆積して、フォトエッチングの手法を用いて、電極を形成するためのパターニングを行い、フォトレジスト膜をマスクにして、シリコン酸化膜を弗化水素水にてエッチングし、続いて、フォトレジスト膜、シリコン酸化膜をマスクとして、アンモニア水+過酸化水素水+純水の混合溶液を用いて、窒化チタンをエッチングし所望の形状の電極55を得る。
【0103】
次いで、SOG膜65をスピンコートなどの方法でSOG膜64及び電極55上に形成し、熱処理を施してSOG膜65を安定化させる。この後、前述したCMP法による平坦化処理、或いは熱処理温度を上げてリフロー性を高める平坦化処理などを施して、ギャップを形成する凹部54をSOG膜65に形成した後、流路基板41、ノズル板45を接合して、インクジェットヘッドを完成する。
【0104】
次に、本発明の第8実施形態に係るインクジェットヘッドについて図30及び図31を参照して説明する。なお、図30は同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図、図31は同ヘッドの振動板短手方向の断面説明図である。
【0105】
この実施形態は、上記第2実施形態のインクジェットヘッドと流路基板41側の構成が異なるだけであるので、この点について説明する。流路基板71には第四基板である蓋部材73を接合して、ノズル74、ノズル74にノズル連通路75を介して連通する吐出室76、流体抵抗部77及び共通液室78を形成している。
【0106】
そして、ここでは、流路基板71にノズル74及びノズル連通路75を形成する溝、吐出室76及び振動板80を形成する凹部、流体抵抗部77を形成する溝、及び共通液室78を形成する凹部をそれぞれ形成し、蓋部材73は単なる板材としている。そして、この蓋部材73と流路基板71とは前述したノズル板43と同様にBPSG膜59を介して接合している。なお、蓋部材73にはインク供給穴79を形成している。
【0107】
このインクジェットヘッドはエッジシュータ方式のものであるが、蓋部材73側にノズル74、ノズル連通路75を形成する溝や流体抵抗部77を形成する溝を設ける構成でも良く、この場合には蓋部材73はノズル板となる。
【0108】
次に、本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドを搭載した本発明に係る液滴を吐出する装置を含む、本発明に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の機構部の概要について図32及び図33を参照して簡単に説明する。
【0109】
この記録装置は、両側の側板間に主支持ガイドロッド101及び従支持ガイドロッド102を略水平な位置関係で横架し、これらの主支持ガイドロッド101及び従支持ガイドロッド102でキャリッジ103を主走査方向に摺動自在に支持している。このキャリッジ103の下面側には、イエロー(Y)インク、マゼンタ(M)インク、シアン(C)インク、ブラック(Bk)インクをそれぞれ吐出する本発明に係るインクジェットヘッドからなるヘッド104を、その吐出面(ノズル面)を下方に向けて搭載し、またキャリッジ103の上面側にはヘッド104に各色のインクを供給するための各色のインクカートリッジ105を交換可能に搭載している。
【0110】
なお、ヘッド104としては、各色のインク滴を吐出する複数のヘッドを用いてもよいし、或いは各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドを用いてもよい。
【0111】
そして、キャリッジ103は主走査モータ107で回転される駆動プーリ(駆動タイミングプーリ)108と従動プーリ(アイドラプーリ)109との間に張装したタイミングベルト110に連結して、主走査モータ107を駆動制御することによってキャリッジ103を主走査方向に移動走査するようにしている。
【0112】
また、図33に示すように、図示しない側板間に用紙111を主走査方向と直交する副走査方向に送るための搬送ローラ112を回転自在に保持している。この搬送ローラ112は図32に示す副走査モータ113の回転を図示しないギヤ列を介して伝達される。この搬送ローラ112は給紙カセット114にセットされて給紙ローラ115で給紙される用紙111を反転させて搬送する。
【0113】
この搬送ローラ112の周面には、用紙111を搬送ローラ112面に沿ってターンさせる(反転させる)ための加圧コロ116及び押さえコロである先端コロ117を回転自在に配設している。そして、搬送ローラ112の用紙搬送方向下流側には、ヘッド104に対向し、キャリッジ103の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ112から送り出された用紙111をヘッド104の下方側で案内する印写受け部材118を配置している。
【0114】
この印写受け部材118は、主走査方向印写領域におけるキャリッジ103の移動範囲に相当する長さを有し、主走査方向に多数のリブ119及び複数のリブ120が所要の間隔で形成されている。用紙111はリブ119、120の最上面と当接しつつ案内されることで、ヘッド104との用紙111表面(印写面)との間隔が規定される。
【0115】
そして、印写受け部材118の用紙搬送方向上流側には、この印写受け部材118のリブ120に対応した位置に、弾性部材としてのねじりコイルバネからなる用紙押さえ部材121を、リブ120側に付勢して、押さえコロである先端コロ117の支軸に回動可能に取り付けている。
【0116】
また、印写受け部材118の用紙搬送方向下流側には、用紙111を排紙方向へ送り出すために回転駆動される第1排紙ローラ125及びこれに当接する拍車ローラ126、搬送路形成部材127、第2排紙ローラ128及びこれに当接する拍車ローラ129とを配置し、排紙される用紙111をストックする傾斜状態で装着した排紙トレイ130を設けている。
【0117】
このインクジェット記録装置においては、給紙ローラ115でカセット114から用紙111を給紙することで、搬送ローラ112の周面に沿って中間コロ116で反転され、先端コロ117で押さえられながら搬送ローラ112から送り出されて、印写受け部材118に案内され、用紙111はヘッド104との間隔が規定されて搬送される。そこで、ヘッド104からインク滴を吐出させて例えばインターレス印字方式で用紙111上に画像を印写し、排紙トレイ130に排紙する。
【0118】
なお、上記実施形態においては、主として本発明を振動板変位方向とインク滴吐出方向が同じになるサイドシュータ方式のインクジェットヘッドに適用したが、前述したように振動板変位方向とインク滴吐出方向と直交するエッジシュータ方式のインクジェットヘッドにも同様に適用することができる。さらに、インクジェットヘッドだけでなく液体レジスト等を吐出させる液滴吐出ヘッドなどにも適用できる。また、振動板と液室基板とを同一基板から形成したが、振動板と液室基板とを別体にして接合することもできる。また、前述したようにプリンタ、ファクシミリ、プロッタ等の画像形成装置及び液滴を吐出する装置にも本発明に係る液滴吐出ヘッドを搭載することができる。
【0119】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、振動板を設けた第1基板及び電極を設けた第2基板、振動板を設けた第1基板及びノズルを形成した第3基板、振動板を設けた第1基板及び蓋部材となる第4基板とを、各接合面の少なくとも一方に、燐及びホウ素を含まないシリコン酸化膜と、燐及びホウ素を含むシリコン酸化膜と、燐を含まず、ホウ素を含むシリコン酸化膜との3層構造を有し、接合面側が燐を含まず、ホウ素を含むシリコン酸化膜であるシリコン酸化膜層を積層し、シリコン酸化膜層を介して、直接接合されているので、振動板を設ける基板のドーパントにボロンを用いている場合の電気特性の変化を低減できるとともに、ギャップ精度の向上を図れる。
【0120】
本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、振動板を設けた第1基板及び電極を設けた第2基板、振動板を設けた第1基板及びノズルを形成した第3基板、振動板を設けた第1基板及び蓋部材となる第4基板とを、各接合面の少なくとも一方に、燐及びホウ素を含まないシリコン酸化膜と、燐及びホウ素を含むシリコン酸化膜と、ホウ素を含まず、燐を含むシリコン酸化膜との3層構造を有し、接合面側がホウ素を含まず、燐を含むシリコン酸化膜であるシリコン酸化膜層を積層し、シリコン酸化膜層を介して、直接接合されているので、振動板を設ける基板のドーパントに燐を用いている場合の電気特性の変化を低減できるとともに、電極保護特性を向上できる。
【0126】
本発明に係るインクジェット記録装置によれば、インクジェットヘッドが本発明に係る液滴吐出ヘッドである構成としたので、低コストで信頼性の高い記録装置を得られる。本発明に係る画像形成装置、液滴を吐出する装置によれば、本発明に係る液滴吐出ヘッドを備えているので、低コストで信頼性の高い装置を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの分解斜視説明図
【図2】同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図3】図2の要部拡大説明図
【図4】同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面図
【図5】本発明の第2実施形態に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図6】同ヘッドの振動板短手方向の断面説明図
【図7】同ヘッドの平面説明図
【図8】同ヘッドの製造工程を説明する振動板短手方向の説明図
【図9】同ヘッドの製造工程を説明する振動板短手方向の説明図
【図10】同ヘッドの製造工程を説明する振動板短手方向の説明図
【図11】同ヘッドの製造工程を説明する振動板長手方向の説明図
【図12】同ヘッドの製造工程を説明する振動板長手方向の説明図
【図13】同ヘッドの製造工程を説明する振動板長手方向の説明図
【図14】本発明の第3実施形態に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図15】同ヘッドの振動板短手方向の断面説明図
【図16】本発明の第4実施形態に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図17】同ヘッドの振動板短手方向の断面説明図
【図18】同ヘッドの製造工程を説明する振動板短手方向の説明図
【図19】同ヘッドの製造工程を説明する振動板短手方向の説明図
【図20】同ヘッドの製造工程を説明する振動板長手方向の説明図
【図21】同ヘッドの製造工程を説明する振動板長手方向の説明図
【図22】本発明の第5実施形態に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図23】同ヘッドの振動板短手方向の断面説明図
【図24】本発明の第6実施形態に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図25】同ヘッドの振動板短手方向の断面説明図
【図26】同ヘッドの製造工程を説明する振動板短手方向の説明図
【図27】同ヘッドの製造工程を説明する振動板長手方向の説明図
【図28】本発明の第7実施形態に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図29】同ヘッドの振動板短手方向の断面説明図
【図30】本発明の第8実施形態に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図31】同ヘッドの振動板短手方向の断面説明図
【図32】本発明に係るインクジェット記録装置の一例を説明する斜視説明図
【図33】同記録装置の機構部の説明図
【符号の説明】
1、41…流路基板、2、42…電極基板、3、43…ノズル板、4、44…ノズル、6、46…吐出室、7、47…流体抵抗部、8、48…共通液室、10、50…振動板、14、54…凹部、15、55…電極、16、56…ギャップ、18…燐及び/又はホウ素を含むシリコン酸化膜、58…BSPG膜。[0001]
[Industrial application fields]
The present invention is a droplet discharge head,The present invention relates to an ink jet recording apparatus, an image forming apparatus, and an apparatus for discharging droplets.
[0002]
[Prior art]
In general, as an inkjet head which is a droplet ejection head in an inkjet recording apparatus used in an image recording apparatus (including an image forming apparatus) such as a printer, a facsimile machine, a copying apparatus, and a plotter, a nozzle for ejecting ink droplets and a nozzle are provided. A discharge chamber (also referred to as an ink flow path, an ink chamber, a liquid chamber, a pressure chamber, a pressurization chamber, a pressurization liquid chamber, etc.) that communicates, and a diaphragm that also serves as a first electrode that forms the wall surface of the discharge chamber An electrostatic ink jet head that includes an electrode (second electrode) facing the electrode and discharges ink droplets from a nozzle by deforming and displacing a diaphragm with an electrostatic force is known.
[0003]
As a conventional electrostatic ink jet head, for example, as disclosed in JP-A-6-71882 and JP-A-5-50601, a silicon substrate (this is referred to as “ A diaphragm substrate ”is used, and a borosilicate glass (pyrex glass) or a silicon substrate is used as a substrate on which an electrode is provided (referred to as“ electrode substrate ”).
[0004]
As a method for manufacturing such an ink jet head, (1) a method using water glass (sodium silicate solution) for bonding the electrode substrate and the diaphragm substrate as described in JP-A-9-286101, (2) As described in Japanese Patent Laid-Open No. 10-286554, an electrode substrate and a diaphragm substrate are joined via polysilazane. As shown in Japanese Patent Laid-Open No. 9-286101, an electrode is used. Known are those for anodically bonding a substrate and a diaphragm substrate, and (4) those for directly bonding an electrode substrate and a diaphragm substrate as described in JP-A-6-8449.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the case of using water glass (sodium silicate solution) for bonding the electrode substrate and the diaphragm substrate of the above (1), this material shows good bonding properties at a low temperature, but the water content is low. Due to the large amount, the influence of the outgas (such as water vapor) from the film is unavoidable, and the alkali metal is contained at a high concentration, so that there is a problem of contamination by alkali metal. Further, in the case of using the polysilazane for bonding the electrode substrate and the diaphragm substrate of the above (2), the reliability is excellent, but the problem of the outgas is still inherent.
[0006]
Further, in the case of using the anodic bonding described in (3) above, there is a problem of contamination by alkali metal depending on the conditions, or by applying a high voltage of 100 to 20000 V at a temperature of about 400 ° C. It has problems such as stress accumulation on the diaphragm. In addition, in the case of using the direct bonding described in the above (4), a bonding surface (mirror surface, Ra <0.2 nm or less) controlled at the atomic and molecular level is required. The manufacturing cost is high, such as the need for heating near 1 ° C (for example, 1100 ° C), and the range that can be used is limited. In addition, since direct bonding is a bonding technique that does not use a bonding material, there is a problem with liquid sealing properties. May appear.
[0007]
The present invention has been made in view of the above problems, and is a low-cost and highly reliable droplet discharge head.Equipped with this droplet discharge headAn object of the present invention is to provide an ink jet recording apparatus, an image forming apparatus, and an apparatus for ejecting droplets.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above problems, a droplet discharge head according to the present invention is provided on at least one of the bonding surfaces of a first substrate provided with a diaphragm and a second substrate provided with an electrode., Having a three-layer structure of a silicon oxide film not containing phosphorus and boron, a silicon oxide film containing phosphorus and boron, and a silicon oxide film not containing phosphorus and containing boron, and the bonding surface side does not contain phosphorus, It is a silicon oxide film containing boronA silicon oxide film layer is laminated, and the first and second substrates are directly bonded via the silicon oxide film layer.
[0009]
The droplet discharge head according to the present invention is provided on at least one of the bonding surfaces of the first substrate provided with the vibration plate and the third substrate formed with the nozzle., Having a three-layer structure of a silicon oxide film not containing phosphorus and boron, a silicon oxide film containing phosphorus and boron, and a silicon oxide film not containing phosphorus and containing boron, and the bonding surface side does not contain phosphorus, It is a silicon oxide film containing boronA silicon oxide film layer is laminated, and the first and third substrates are directly bonded via the silicon oxide film layer.
[0010]
The droplet discharge head according to the present invention is provided on at least one of the bonding surfaces of the first substrate provided with the vibration plate and the fourth substrate serving as the lid member., Having a three-layer structure of a silicon oxide film not containing phosphorus and boron, a silicon oxide film containing phosphorus and boron, and a silicon oxide film not containing phosphorus and containing boron, and the bonding surface side does not contain phosphorus, It is a silicon oxide film containing boronA silicon oxide film layer is laminated, and the first and fourth substrates are directly bonded via the silicon oxide film layer.
[0011]
The droplet discharge head according to the present invention includes a silicon oxide film not containing phosphorus and boron, phosphorus and boron on at least one of the bonding surfaces of the first substrate provided with the vibration plate and the second substrate provided with the electrode. A silicon oxide film having a three-layer structure including a silicon oxide film including phosphorus and a silicon oxide film including no phosphorus and including phosphorus, and a bonding surface side does not include boron and is a silicon oxide film including phosphorusLaminating a silicon oxide film layer,In this configuration, the first and second substrates are directly bonded via the silicon oxide film layer.
[0012]
The droplet discharge head according to the present invention includes a silicon oxide film not containing phosphorus and boron, phosphorus and boron on at least one of the bonding surfaces of the first substrate provided with the vibration plate and the third substrate formed with the nozzle. A silicon oxide film having a three-layer structure of a silicon oxide film containing phosphorus and a silicon oxide film containing no phosphorus and containing phosphorus, and a silicon oxide film layer that is a silicon oxide film containing phosphorus and containing no boron on the bonding surface side; The first and third substrates are directly bonded via the silicon oxide film layer.
[0013]
The droplet discharge head according to the present invention is provided on at least one of the bonding surfaces of the first substrate provided with the vibration plate and the fourth substrate serving as a lid member,It has a three-layer structure of a silicon oxide film that does not contain phosphorus and boron, a silicon oxide film that contains phosphorus and boron, and a silicon oxide film that does not contain boron and contains phosphorus. It is a silicon oxide film containingA silicon oxide film layer is laminated, and the first and fourth substrates are directly bonded via the silicon oxide film layer.
[0017]
The ink jet recording apparatus according to the present invention is configured such that the ink jet head is the liquid droplet ejection head according to the present invention.The image forming apparatus and the apparatus for ejecting droplets according to the present invention are equipped with the droplet ejection head according to the present invention.
[0018]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Embodiments of the present invention will be described below with reference to the accompanying drawings. FIG. 1 is an exploded perspective view of an ink jet head which is a droplet discharge head according to a first embodiment of the present invention, FIG. 2 is a cross-sectional view of the head in the longitudinal direction, and FIG. It is a principal part expanded sectional view of a hand direction.
[0019]
The inkjet head includes a
[0020]
The
[0021]
Here, when a single crystal silicon substrate is used as the
[0022]
Further, a single crystal silicon substrate is used as the
[0023]
Here, the
[0024]
As the
[0025]
In the
[0026]
Here, the
[0027]
The silicon
[0028]
The silicon
[0029]
Alternatively, a silicon oxide film (NSG) not containing phosphorus and boron, a silicon oxide film (BPSG) containing phosphorus and boron, and a silicon oxide film (PSG: Phospho-Silicate Glass) not containing boron and containing phosphorus A three-layer structure can also be used. Further, as the silicon
[0030]
In this ink jet head, two rows of
[0031]
The
[0032]
Further, the entire inkjet head is bonded onto the
[0033]
The
[0034]
In the ink jet head configured as described above, the
[0035]
Next, when the voltage application to the
[0036]
In this ink jet head, the first substrate (flow path substrate 1), the second substrate (electrode substrate 2) and the third substrate (nozzle plate 3) constituting the head are all made of a silicon substrate, so that thermal expansion between the substrates is achieved. There is no difference, and distortion due to thermal history in the head manufacturing process is eliminated. Further, even when a high-density line head (long head) is used, there is no influence on the printing characteristics and the reliability of the inkjet head because substrate distortion or the like due to temperature change during use does not occur.
[0037]
Since the first substrate (flow path substrate 1) and the second substrate (electrode substrate 2) are joined via the silicon
[0038]
Here, since the silicon
[0039]
Further, as the silicon
[0040]
Further, the
[0041]
Furthermore, by using an SOG film as the silicon
[0042]
Next, an inkjet head according to a second embodiment will be described with reference to FIGS. 5 is a cross-sectional explanatory diagram of the head in the longitudinal direction of the diaphragm, FIG. 6 is a cross-sectional explanatory diagram of the head in the lateral direction of the diaphragm, and FIG. 7 is a plan explanatory diagram of the head.
The inkjet head includes a
[0043]
The
[0044]
A
[0045]
The
[0046]
In addition, as shown in FIG. 7, the
[0047]
Further, the
[0048]
Therefore, a method of manufacturing the ink jet head according to the second embodiment will be described with reference to FIGS. 8 to 10 are schematic explanatory diagrams in the diaphragm lateral direction showing the manufacturing process, and FIGS. 11 to 13 are schematic explanatory diagrams in the longitudinal direction of the diaphragm. Note that the terminology before the final process may be different, but the same reference numerals as those in FIGS. 5 to 7 are used for convenience.
[0049]
As shown in FIGS. 8A and 11A, p-type single crystal silicon (wafer is used) commercially available as a low-resistance product, and the crystal plane orientation is (110) or (100). A
[0050]
Subsequently, as shown in each figure (b), a
[0051]
The amount of digging at this time is digged by an amount corresponding to the thickness of the electrode material and a necessary space amount between the
[0052]
Then, a polycrystalline silicon film serving as an electrode material is deposited on the entire surface of the
[0053]
Next, as shown in each figure (d), a
[0054]
Here, the
[0055]
That is, the emphasis of the present invention is to reduce the temperature required for direct bonding by lowering the softening point by containing phosphorus or boron in the silicon oxide film layer. If you only want to achieve the purpose of lowering the softening point, there is a technique to contain impurities other than phosphorus and boron, such as germanium, but when considering the compatibility with electrode materials and reliability as a device, The use of phosphorus / boron, which has a proven record in semiconductor processes, is more advantageous in achieving the present invention.
[0056]
Next, as shown in FIGS. 9A and 12A, the silicon wafer (electrode substrate 42) is heat-treated in a nitrogen gas atmosphere, so that the
[0057]
The heat treatment conditions at this time were 850 ° C. and 2 hours. Here, the temperature of 850 ° C. is higher by 50 ° C. than the temperature of 800 ° C. of the next direct bonding to be performed next. Of course, if the temperature of direct bonding is lower than this, heat treatment at a lower temperature may be used. However, the temperature is higher than the temperature at which the
[0058]
By this heat treatment, moisture, hydrogen gas, and the like present in the
[0059]
Then, as shown in each figure (b), a
[0060]
Here, a silicon substrate into which impurities are implanted at a high concentration is used. However, as described above, for example, an active layer of an SOI (Silicon On Insulator) substrate can be used as a vibration plate. Alternatively, an epitaxial layer of a substrate obtained by epitaxially growing silicon on a high concentration impurity substrate can be used as a vibration plate.
[0061]
Then, as shown in each figure (c), the
[0062]
Here, after each
[0063]
Next, the
[0064]
Thereafter, the
[0065]
Subsequently, as shown in FIGS. 10A and 13A, the
[0066]
Here, the substrate is heat-treated to form a buffer oxide film with a thickness of about 50 nm, and a silicon nitride film as an etching barrier layer in a later process is formed to a thickness of about 100 nm by a method such as CVD. Then, patterning for forming a liquid chamber or the like is performed using a photo-etching method, and the silicon nitride film and the silicon oxide film are sequentially etched using the photoresist film as a mask to correspond to the liquid chamber pattern on the substrate. A pattern having openings is formed.
[0067]
Then, the substrate is immersed in a high concentration potassium hydroxide solution (for example, a 30% concentration KOH solution heated to 80 ° C.) and anisotropic etching of the
[0068]
In addition to the etching using a high concentration aqueous solution of alkali metal, wet etching using TMAH (tetramethylammonium hydroxide) may be used. Then, after rinsing with ultrapure water (about 10 minutes), it is dried by spin drying or the like.
[0069]
Further, as shown in each figure (b), a
[0070]
Then, the
[0071]
Then, after aligning the
[0072]
In addition, since minute surface scratches generated during the process at this time are filled when the
[0073]
In the head of this embodiment, the
[0074]
In the ink jet head manufactured in this way, since the main member constituting the head is silicon, the expansion of the head is uniform even when the temperature rises during actual use, and therefore no warping or distortion of the head occurs. If the head design is devised, it is possible to produce a long head (for example, an A4 size head) called a line head.
[0075]
Next, an inkjet head according to a third embodiment of the present invention will be described with reference to FIGS. 14 is a cross-sectional explanatory view of the head in the longitudinal direction of the diaphragm, and FIG. 15 is a cross-sectional explanatory view of the head in the lateral direction of the diaphragm.
In this embodiment, in the ink jet head of the second embodiment, the
[0076]
In this case, as the silicon oxide film layer containing phosphorus and / or boron, the BSG film, the PSG film, the NSG film and the BPSG film, the NSG film, the BPSG film, and the BSG are used instead of the
[0077]
In this way, the flow path surface of the
[0078]
Next, an inkjet head according to a fourth embodiment of the present invention will be described with reference to FIGS. 16 is a sectional explanatory view of the head in the longitudinal direction of the diaphragm, and FIG. 17 is a sectional explanatory view of the head in the lateral direction of the diaphragm.
[0079]
This embodiment is different from the ink jet head of the second embodiment only in the configuration on the
[0080]
A manufacturing process of the ink jet head according to the fourth embodiment will be described with reference to FIGS. 18 and 19 are schematic explanatory diagrams in the diaphragm lateral direction showing the manufacturing process, and FIGS. 20 and 21 are schematic explanatory diagrams in the longitudinal direction of the diaphragm. Note that the terminology before the final process may be different, but the same reference numerals as those in FIGS. 16 and 17 are used for convenience.
[0081]
First, as shown in FIGS. 18 (a) and 20 (a), an electrode substrate of p-type single crystal silicon sold as a low resistance product and having a plane orientation of (110) or (100) is obtained. A
[0082]
Subsequently, an
[0083]
Further, a
[0084]
Next, as shown in FIG. 3C, a process for flattening the surface of the
[0085]
Thereafter, the silicon wafer (electrode substrate 42) is heat-treated at 850 ° C. for 2 hours in a nitrogen gas atmosphere. Of course, if the temperature of the direct bonding is lower than this, the heat treatment may be performed at a temperature lower than this. However, as described above, the temperature should not be lower than the temperature at which the
[0086]
As a second example of the planarization process, the silicon wafer (electrode substrate 42) is heat-treated at 1000 ° C. for 2 hours in a nitrogen gas atmosphere. By this heat treatment, moisture, hydrogen gas, and the like present in the
[0087]
After performing such planarization, as shown in each figure (d), a resist is applied on the
[0088]
The amount of digging at this time becomes the gap depth. Since the digging amount at this time is as small as about 1 μm, even in the digging by wet etching using a hydrogen fluoride solution, the variation in the digging amount in the wafer surface becomes extremely small. In this case, the gap shape is formed in a non-parallel state by inclining the thickness of the resist pattern and performing dry etching over the resist.
[0089]
Thereafter, as shown in FIGS. 19A and 21A, the
[0090]
Next, an inkjet head according to a fifth embodiment of the invention will be described with reference to FIGS. 22 is a cross-sectional explanatory view of the head in the longitudinal direction of the diaphragm, and FIG. 23 is a cross-sectional explanatory view of the head in the short side of the diaphragm.
In this embodiment, in the ink jet head of the fourth embodiment, a
[0091]
In this way, the flow path surface of the
[0092]
Next, an inkjet head according to a sixth embodiment of the present invention will be described with reference to FIGS. 24 is a cross-sectional explanatory view of the head in the longitudinal direction of the diaphragm, and FIG. 25 is a cross-sectional explanatory view of the head in the lateral direction of the diaphragm.
This embodiment is different from the inkjet head of the fourth embodiment only in the configuration on the
[0093]
An
[0094]
A manufacturing process for the ink jet head according to the sixth embodiment will be described with reference to FIGS. FIG. 26 is a schematic explanatory view in the lateral direction of the diaphragm showing the same manufacturing process, and FIG. 27 is a schematic explanatory view in the longitudinal direction of the diaphragm. Note that the terminology before the final process may be different, but the same reference numerals as those in FIGS. 24 and 25 are used for convenience.
[0095]
First, as shown in each figure (a), NSG is formed by a method such as CVD on a p-type single crystal silicon sold as a low-resistance product and having a plane orientation of (110) or (100). A
[0096]
Subsequently, as shown in each figure (b), titanium nitride serving as an electrode material is deposited on the entire surface of the substrate by sputtering, and a silicon oxide film serving as a mask is deposited using CVD or the like, followed by photoetching. Using the technique, patterning to form electrodes is performed, using the photoresist film as a mask, etching the silicon oxide film with hydrogen fluoride water, and then using the photoresist film and the silicon oxide film as a mask, Using a mixed solution of ammonia water + hydrogen peroxide water + pure water, titanium nitride is etched to form an
[0097]
Then, an
[0098]
Next, as shown in each figure (c), after performing the process which planarizes the surface of the BPSG film | membrane 58 (similar to the 1st example of the planarization process mentioned above, the 2nd example), each figure ( As shown in d), a
[0099]
Next, an inkjet head according to a seventh embodiment of the present invention will be described with reference to FIGS. 28 is a cross-sectional explanatory view of the head in the longitudinal direction of the diaphragm, and FIG. 29 is a cross-sectional explanatory view of the head in the lateral direction of the diaphragm.
This embodiment is different from the inkjet head of the fourth embodiment only in the configuration on the
[0100]
An
[0101]
Therefore, a manufacturing process of the ink jet head according to the seventh embodiment will be described. First, similarly to the manufacturing process of each of the above-described embodiments, a p-type single crystal silicon sold as a low-resistance product and having a (110) or (100) plane orientation is used. Then, the
[0102]
Subsequently, titanium nitride serving as an electrode material is deposited on the entire surface of the
[0103]
Next, the
[0104]
Next, an inkjet head according to an eighth embodiment of the invention will be described with reference to FIGS. 30 is an explanatory sectional view of the head in the longitudinal direction of the diaphragm, and FIG. 31 is an explanatory sectional view of the head in the lateral direction of the diaphragm.
[0105]
Since this embodiment is different only in the configuration of the ink jet head of the second embodiment and the
[0106]
And here, the groove | channel which forms the
[0107]
This ink jet head is of an edge shooter type, but it may have a structure in which a groove for forming the
[0108]
Next, an ink jet head which is a droplet discharge head according to the present invention is mounted.As an image forming apparatus according to the present invention, including an apparatus for discharging droplets according to the present inventionAn outline of the mechanism of the ink jet recording apparatus will be briefly described with reference to FIGS. 32 and 33. FIG.
[0109]
In this recording apparatus, a main
[0110]
As the
[0111]
The
[0112]
As shown in FIG. 33, a
[0113]
A
[0114]
The
[0115]
Then, on the upstream side of the
[0116]
Further, on the downstream side of the
[0117]
In this ink jet recording apparatus, the
[0118]
In the above embodiment, the present invention is mainly applied to a side shooter type inkjet head in which the vibration plate displacement direction and the ink droplet ejection direction are the same. However, as described above, the vibration plate displacement direction and the ink droplet ejection direction are the same. The present invention can be similarly applied to an orthogonal edge shooter type inkjet head. Furthermore, the present invention can be applied not only to an ink jet head but also to a droplet discharge head that discharges a liquid resist or the like. Further, although the diaphragm and the liquid chamber substrate are formed from the same substrate, the diaphragm and the liquid chamber substrate can be joined separately.Further, as described above, the liquid droplet ejection head according to the present invention can be mounted on an image forming apparatus such as a printer, a facsimile machine, or a plotter, and an apparatus for ejecting liquid droplets.
[0119]
【The invention's effect】
As described above, according to the droplet discharge head according to the present invention, the first substrate provided with the diaphragm and the second substrate provided with the electrode.A first substrate provided with a vibration plate, a third substrate formed with a nozzle, a first substrate provided with a vibration plate, and a fourth substrate serving as a lid member,On at least one of the joint surfaces, Having a three-layer structure of a silicon oxide film not containing phosphorus and boron, a silicon oxide film containing phosphorus and boron, and a silicon oxide film not containing phosphorus and containing boron, and the bonding surface side does not contain phosphorus, It is a silicon oxide film containing boronSince the silicon oxide film layer is stacked and bonded directly via the silicon oxide film layerIn addition, it is possible to reduce the change in electrical characteristics when boron is used as the dopant of the substrate on which the diaphragm is provided, and to improve the gap accuracy.
[0120]
According to the droplet discharge head according to the present invention, the first substrate provided with the vibration plate, andA second substrate provided with an electrode, a first substrate provided with a diaphragm, a third substrate formed with a nozzle, a first substrate provided with a diaphragm, and a fourth substrate serving as a lid member,On at least one of the joint surfaces, Having a three-layer structure of a silicon oxide film that does not contain phosphorus and boron, a silicon oxide film that contains phosphorus and boron, and a silicon oxide film that does not contain boron and contains phosphorus, the bonding surface side does not contain boron, A silicon oxide film layer which is a silicon oxide film containing phosphorusBecause they are stacked and bonded directly via a silicon oxide film layerIn addition, it is possible to reduce the change in electrical characteristics when phosphorus is used as the dopant of the substrate on which the diaphragm is provided, and to improve the electrode protection characteristics.
[0126]
According to the ink jet recording apparatus according to the present invention, since the ink jet head is the droplet discharge head according to the present invention, a recording apparatus with low cost and high reliability can be obtained.According to the image forming apparatus and the apparatus for ejecting liquid droplets according to the present invention, since the liquid droplet ejection head according to the present invention is provided, a low-cost and highly reliable apparatus can be obtained.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an exploded perspective view of an ink jet head which is a liquid droplet ejection head according to a first embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a cross-sectional explanatory view of the head in the longitudinal direction of the diaphragm.
3 is an enlarged explanatory view of the main part of FIG.
FIG. 4 is an enlarged cross-sectional view of the main part of the head in the short direction of the diaphragm.
FIG. 5 is a cross-sectional explanatory view in the longitudinal direction of a diaphragm of an ink jet head which is a liquid droplet ejection head according to a second embodiment of the present invention.
FIG. 6 is a cross-sectional explanatory view of the head in the lateral direction of the diaphragm.
FIG. 7 is an explanatory plan view of the head.
FIG. 8 is an explanatory diagram of the diaphragm in the lateral direction explaining the manufacturing process of the head
FIG. 9 is an explanatory view of the diaphragm in the lateral direction explaining the manufacturing process of the head
FIG. 10 is an explanatory diagram of the diaphragm short side direction explaining the manufacturing process of the head
FIG. 11 is an explanatory view in the longitudinal direction of the diaphragm for explaining the manufacturing process of the head
FIG. 12 is an explanatory view in the longitudinal direction of the diaphragm for explaining the manufacturing process of the head
FIG. 13 is an explanatory view in the longitudinal direction of the diaphragm for explaining the manufacturing process of the head
FIG. 14 is a cross-sectional explanatory view in the longitudinal direction of a diaphragm of an ink jet head which is a liquid droplet ejection head according to a third embodiment of the present invention.
FIG. 15 is a cross-sectional explanatory view of the head in the lateral direction of the diaphragm.
FIG. 16 is a cross-sectional explanatory view in the longitudinal direction of a diaphragm of an ink jet head which is a liquid droplet ejection head according to a fourth embodiment of the present invention.
FIG. 17 is a cross-sectional explanatory diagram of the head in the lateral direction of the diaphragm.
FIG. 18 is an explanatory diagram of the diaphragm in the lateral direction explaining the manufacturing process of the head
FIG. 19 is an explanatory diagram of the diaphragm short direction explaining the manufacturing process of the head
FIG. 20 is an explanatory diagram in the longitudinal direction of the diaphragm for explaining the manufacturing process of the head
FIG. 21 is an explanatory view in the longitudinal direction of the diaphragm for explaining the manufacturing process of the head
FIG. 22 is a cross-sectional explanatory view in the longitudinal direction of a diaphragm of an ink jet head which is a droplet discharge head according to a fifth embodiment of the present invention.
FIG. 23 is a cross-sectional explanatory view of the head in the short direction of the diaphragm.
FIG. 24 is a cross-sectional explanatory view in the longitudinal direction of a diaphragm of an ink jet head which is a liquid droplet ejection head according to a sixth embodiment of the present invention.
FIG. 25 is a cross-sectional explanatory diagram of the head in the lateral direction of the diaphragm.
FIG. 26 is an explanatory diagram of the diaphragm short side direction explaining the manufacturing process of the head
FIG. 27 is an explanatory view in the longitudinal direction of the diaphragm for explaining the manufacturing process of the head
FIG. 28 is a cross-sectional explanatory view in the longitudinal direction of a diaphragm of an ink jet head which is a droplet discharge head according to a seventh embodiment of the present invention.
FIG. 29 is a cross-sectional explanatory view of the head in the lateral direction of the diaphragm.
FIG. 30 is a cross-sectional explanatory view in the longitudinal direction of a diaphragm of an ink jet head which is a liquid droplet ejection head according to an eighth embodiment of the present invention.
FIG. 31 is a cross sectional explanatory view of the head in the short direction of the diaphragm.
FIG. 32 is an explanatory perspective view illustrating an example of an ink jet recording apparatus according to the present invention.
FIG. 33 is an explanatory diagram of a mechanism unit of the recording apparatus.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF
Claims (9)
前記振動板を設けた第1基板及び前記電極を設けた第2基板の各接合面の少なくとも一方に、燐及びホウ素を含まないシリコン酸化膜と、燐及びホウ素を含むシリコン酸化膜と、燐を含まず、ホウ素を含むシリコン酸化膜との3層構造を有し、接合面側が燐を含まず、ホウ素を含むシリコン酸化膜であるシリコン酸化膜層を積層し、
前記シリコン酸化膜層を介して前記第1、第2基板が直接接合されている
ことを特徴とする液滴吐出ヘッド。A nozzle for discharging droplets; a discharge chamber in communication with the nozzle; a diaphragm that forms a wall surface of the discharge chamber; and an electrode that faces the diaphragm; In a droplet discharge head for discharging droplets,
At least one of the bonding surfaces of the first substrate provided with the diaphragm and the second substrate provided with the electrode is provided with a silicon oxide film not containing phosphorus and boron, a silicon oxide film containing phosphorus and boron, and phosphorus. It does not contain, it has a three-layer structure with a silicon oxide film containing boron, the silicon oxide film layer which is a silicon oxide film containing boron and does not contain phosphorus on the bonding surface side is laminated,
A liquid droplet ejection head, wherein the first and second substrates are directly bonded via the silicon oxide film layer.
前記振動板を設けた第1基板及び前記ノズルを形成した第3基板の各接合面の少なくとも一方に、燐及びホウ素を含まないシリコン酸化膜と、燐及びホウ素を含むシリコン酸化膜と、燐を含まず、ホウ素を含むシリコン酸化膜との3層構造を有し、接合面側が燐を含まず、ホウ素を含むシリコン酸化膜であるシリコン酸化膜層を積層し、
前記シリコン酸化膜層を介して前記第1、第3基板が直接接合されている
ことを特徴とする液滴吐出ヘッド。A nozzle for discharging droplets; a discharge chamber in communication with the nozzle; a diaphragm that forms a wall surface of the discharge chamber; and an electrode that faces the diaphragm; In a droplet discharge head for discharging droplets,
A silicon oxide film not containing phosphorus and boron, a silicon oxide film containing phosphorus and boron, and a phosphorus oxide on at least one of the bonding surfaces of the first substrate provided with the vibration plate and the third substrate formed with the nozzle It does not contain, it has a three-layer structure with a silicon oxide film containing boron, the silicon oxide film layer which is a silicon oxide film containing boron and does not contain phosphorus on the bonding surface side is laminated,
A droplet discharge head, wherein the first and third substrates are directly bonded via the silicon oxide film layer.
前記振動板を設けた第1基板及び蓋部材となる第4基板の各接合面の少なくとも一方に、燐及びホウ素を含まないシリコン酸化膜と、燐及びホウ素を含むシリコン酸化膜と、燐を含まず、ホウ素を含むシリコン酸化膜との3層構造を有し、接合面側が燐を含まず、ホウ素を含むシリコン酸化膜であるシリコン酸化膜層を積層し、
前記シリコン酸化膜層を介して前記第1、第4基板が直接接合されている
ことを特徴とする液滴吐出ヘッド。A nozzle for discharging droplets; a discharge chamber in communication with the nozzle; a diaphragm that forms a wall surface of the discharge chamber; and an electrode that faces the diaphragm; In a droplet discharge head for discharging droplets,
At least one of the bonding surfaces of the first substrate provided with the diaphragm and the fourth substrate serving as a lid member includes a silicon oxide film that does not contain phosphorus and boron, a silicon oxide film that contains phosphorus and boron, and phosphorus. First, a silicon oxide film having a three-layer structure with a silicon oxide film containing boron, a silicon oxide film layer that is a silicon oxide film containing boron and does not contain phosphorus on the bonding surface side, is laminated,
A liquid droplet ejection head, wherein the first and fourth substrates are directly bonded via the silicon oxide film layer.
前記振動板を設けた第1基板及び前記電極を設けた第2基板の各接合面の少なくとも一方に、燐及びホウ素を含まないシリコン酸化膜と、燐及びホウ素を含むシリコン酸化膜と、ホウ素を含まず、燐を含むシリコン酸化膜との3層構造を有し、接合面側がホウ素を含まず、燐を含むシリコン酸化膜であるシリコン酸化膜層を積層し、
前記シリコン酸化膜層を介して前記第1、第2基板が直接接合されている
ことを特徴とする液滴吐出ヘッド。 A nozzle for discharging droplets; a discharge chamber in communication with the nozzle; a diaphragm that forms a wall surface of the discharge chamber; and an electrode that faces the diaphragm; In a droplet discharge head for discharging droplets,
A silicon oxide film containing no phosphorus and boron, a silicon oxide film containing phosphorus and boron, and boron on at least one of the bonding surfaces of the first substrate provided with the diaphragm and the second substrate provided with the electrode It does not contain, has a three-layer structure with a silicon oxide film containing phosphorus, the silicon oxide film layer which is a silicon oxide film containing phosphorus and does not contain boron on the bonding surface side is laminated,
The first and second substrates are directly bonded via the silicon oxide film layer.
A droplet discharge head characterized by that.
前記振動板を設けた第1基板及び前記ノズルを形成した第3基板の各接合面の少なくとも一方に、燐及びホウ素を含まないシリコン酸化膜と、燐及びホウ素を含むシリコン酸化膜と、ホウ素を含まず、燐を含むシリコン酸化膜との3層構造を有し、接合面側がホウ素を含まず、燐を含むシリコン酸化膜であるシリコン酸化膜層を積層し、A silicon oxide film not containing phosphorus and boron, a silicon oxide film containing phosphorus and boron, It does not contain, has a three-layer structure with a silicon oxide film containing phosphorus, the silicon oxide film layer which is a silicon oxide film containing phosphorus and does not contain boron on the bonding side,
前記シリコン酸化膜層を介して前記第1、第3基板が直接接合されているThe first and third substrates are directly bonded via the silicon oxide film layer.
ことを特徴とする液滴吐出ヘッド。A droplet discharge head characterized by that.
前記振動板を設けた第1基板及び蓋部材となる第4基板の各接合面の少なくとも一方に、燐及びホウ素を含まないシリコン酸化膜と、燐及びホウ素を含むシリコン酸化膜と、ホウ素を含まず、燐を含むシリコン酸化膜との3層構造を有し、接合面側がホウ素を含まず、燐を含むシリコン酸化膜であるシリコン酸化膜層を積層し、
前記シリコン酸化膜層を介して前記第1、第4基板が直接接合されている
ことを特徴とする液滴吐出ヘッド。 A nozzle for discharging droplets; a discharge chamber in communication with the nozzle; a diaphragm that forms a wall surface of the discharge chamber; and an electrode that faces the diaphragm; In a droplet discharge head for discharging droplets,
A silicon oxide film not containing phosphorus and boron, a silicon oxide film containing phosphorus and boron, and boron are included in at least one of the bonding surfaces of the first substrate provided with the diaphragm and the fourth substrate serving as a lid member A silicon oxide film layer having a three-layer structure with a silicon oxide film containing phosphorus, a bonding surface side not containing boron, and a silicon oxide film that is a silicon oxide film containing phosphorus ;
The first and fourth substrates are directly bonded via the silicon oxide film layer.
A droplet discharge head characterized by that.
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