JP4068432B2 - ガスタービン燃焼器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービン燃焼器に係り、特に、複数の缶型燃焼器がクロスファイア管で連結され、クロスファイア管接続部の近傍の周方向位置に燃焼孔が分散されて配置された燃焼室ライナを有するものに好適なガスタービン燃焼器に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスタービン機関において、缶型燃焼器を複数缶設ける場合には点火栓を数缶にのみ配置し、残りの缶はクロスファイア管により点火栓配置缶から火炎を伝播させ点火させることが一般的に行われている。クロスファイア管は、燃焼室ライナの外壁に設けた接続部に嵌め合いにより接続される。したがって、燃焼室ライナの外側の空気流路に、流路の一部を閉塞する形でクロスファイア管が存在する。
【0003】
燃焼室ライナは、高温の燃焼ガスに長期間耐えられるように、燃焼器に流入する空気の一部を用いて冷却される。ここで、燃焼器に流入する空気流量の内、冷却空気として配分する量を増やすと、燃焼空気流量が減少し、燃焼反応が主に進行している領域の燃焼ガス温度が上昇する。この結果、燃焼室ライナにおける局所的な高温部の発生、あるいは燃料を燃焼させる際に排出される窒素酸化物(以下、NOxと記載する)の排出量の増加、といった問題を引き起こす可能性が高くなる。
【0004】
したがって、燃焼器に流入する空気の内、冷却空気はできる限り少なくし、燃焼空気や希釈空気を多くする必要がある。希釈空気とは、燃焼室ライナに設けた希釈孔から空気を導入して燃焼ガスと混合し、燃焼器出口の燃焼ガスの温度分布を適正にするために導入されるものである。燃焼室ライナに流入する空気流量の配分は、冷却孔、燃焼孔、希釈孔、及びその他燃焼室ライナの内側に開口している部分の面積配分に依存する。
【0005】
燃焼室ライナの冷却方法としては、燃焼室ライナの冷却孔により流入した空気を燃焼室ライナの内壁に沿って流しフィルム冷却空気を形成する方法が知られている。フィルム冷却空気は、冷却孔の燃焼ガス側に衝突板が配置される燃焼室構造とすることにより、冷却空気は衝突板で周方向に広がり、また冷却空気の噴出方向を燃焼室ライナ内壁に沿うようにできる。他の方法としては、燃焼室ライナに多数の小孔を設けたり、また、両者を組合わせた方法も知られている。
【0006】
フィルム冷却法において、燃焼室ライナの信頼性を向上させるための方法としては、例えば、冷却孔の開口方向の工夫、燃焼孔や希釈孔等の開口部周辺の冷却孔配置方法、あるいは、冷却孔の配列を工夫して燃焼室ライナに大きな亀裂が進展するのを防止する方法等がある。これらについては、例えば、米国特許第5233828号明細書、米国特許第5279127号明細書、米国特許第5775108号明細書、米国特許第6205789号明細書、米国特許第6145319号明細書、米国特許第6408629号明細書、米国特許第5241827号明細書等に記載されている。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第5233828号明細書
【特許文献2】
米国特許第5279127号明細書、
【特許文献3】
米国特許第5775108号明細書、
【特許文献4】
米国特許第6205789号明細書、
【特許文献5】
米国特許第6145319号明細書、
【特許文献6】
米国特許第6408629号明細書、
【特許文献7】
米国特許第5241827号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
燃焼室ライナは、使用する期間内に構造部材の変形や亀裂が発生して、燃焼器の燃焼特性が変化する事態や、あるいは焼損に至ることが無いように冷却設計することが重要である。また、微小なクラックでも、それらが繋がって大きな亀裂に進展する可能性がある場合にはできる限り発生を抑制するのが望ましい。
【0009】
燃焼室ライナ内部に燃焼ガスが存在する時の燃焼室ライナ部材の温度(以下、燃焼室ライナの「メタル温度」と称する)が高い部位では、構成材料の劣化速度が大きいと同時に、周辺部分との温度差も大きくなることから応力が大きくなる。このため、メタル温度変動の繰り返し等により歪が限界値を超えるとクラックが発生する可能性が増大する。したがって、燃焼室ライナの仕様を決定する際には、燃焼室ライナ全体に亘ってメタル温度がある目標温度以下となるように冷却設計される。目標温度は、燃焼室ライナの材料や構造及び燃焼器の運用条件により決められるが、例えば最高メタル温度を800℃以下とするように設定される。このため、燃焼室ライナに局所的な高温部分が発生する場合には冷却空気流量の増加が必要となる。
【0010】
ここで、燃焼室ライナに接続するクロスファイア管の配置箇所は、燃焼器構造及び燃焼器の運用方法等の制約内で、点火時に点火栓を配置した缶から残りの缶に確実に火炎伝播するように決められる。燃焼孔をクロスファイア管接続部とほぼ同じ軸方向位置に配置すると、燃焼孔周辺の主要な燃焼領域の近傍にクロスファイア管接続部が配置されているため、隣接缶への火炎伝播が容易となる。従来、クロスファイア管接続部とほぼ同じ軸方向位置に燃焼孔の一部が周方向に分散して配置されるように構成されている燃焼器においては、クロスファイア管接続部近傍にメタル温度が高い領域が発生し易くなることから、この高温領域に対処するためにクロスファイア管上流の燃焼室ライナの周方向に配置した冷却孔列から比較的多量の冷却空気を導入していた。しかしながら、冷却空気を多量に導入すると、NOxの発生量が増加するという問題があった。
【0011】
本発明の目的は、燃焼室ライナのメタル温度を適正範囲に維持しながら、冷却空気流量を削減できるガスタービン燃焼器を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、クロスファイア管で連結された複数の缶型燃焼器を有するガスタービン燃焼器であって、前記缶型燃焼器のそれぞれは燃焼室ライナを有し、該燃焼室ライナは、前記クロスファイア管の接続部と、前記燃焼室ライナの周方向に分散して配置され、前記燃焼室ライナの軸方向位置における配置位置を前記クロスファイア管の接続部の配置位置とほぼ同じ位置にした複数個の燃焼孔と、前記燃焼室ライナの内壁に設けたリップに冷却空気を衝突させるようにした冷却孔からなる、前記燃焼室ライナの周方向に配置された冷却孔列であって、前記燃焼室ライナの軸方向間隔において配置された複数の冷却孔列(40a,40b,40c)とを有するガスタービン燃焼器において、前記燃焼室ライナは、前記クロスファイア管の接続部の軸方向位置の範囲内であって、前記周方向には前記クロスファイア管の接続部の外壁からクロスファイア管の接続部の外径にほぼ相当する距離の範囲内で、かつ前記リップが存在しない領域に、前記燃焼室ライナの外壁の軸方向に対して斜めに配置され、かつ前記冷却孔列(40a,40b,40c)の冷却孔よりも孔径が小さく、周方向の間隔を小さくした複数の冷却孔からなる冷却孔列(50a,50b)を更に有し、前記冷却孔列のうち前記クロスファイア管の接続部の上流側の冷却孔列(40a)の冷却孔の直径を、前記冷却孔列(50a,50b)を設けない場合の直径よりも縮小したものである。
かかる発明は、クロスファイア管接続部とほぼ同じ軸方向位置に燃焼孔の一部が周方向に分散して配置されるように構成された燃焼室ライナにおいては、当該部分の周方向で最高メタル温度となるのはクロスファイア管近傍に限定されることを見出したことに基づくものである。これは、燃焼室ライナの外側の空気流路に流路の一部を閉塞する形でクロスファイア管が存在することから、クロスファイア管接続部とほぼ同じ軸方向位置に周方向に分散して配置された燃焼孔に向かう流れの影響により、クロスファイア管接続部の近傍の燃焼室ライナ外壁に沿う空気流れが低流速になるためと考えられる。
そこで、上述の構成とすることにより、低流速領域であるクロスファイア管接続部近傍の軸方向範囲に冷却孔を他の部位よりも密に配置した結果、この最高メタル温度の領域のメタル温度を低減でき、また、クロスファイア管上流の燃焼室ライナの周方向に配置した冷却孔列から導入していた比較的多量の冷却空気流量を削減することができる。
【0013】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記冷却孔列(50a,50b)の直径を0.5mmから2mmの範囲内としたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図5を用いて、本発明の一実施形態によるガスタービン燃焼器の構成について説明する。
最初に、図1及び図2を用いて、本実施形態によるガスタービン燃焼器の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるガスタービン燃焼器の全体構成を示す正面図である。図2は、本発明の一実施形態によるガスタービン燃焼器に用いられる缶型燃焼器の構成を示す断面図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態によるガスタービン燃焼器は、複数(図示の場合14個)の缶型燃焼器1a,1b,…,1nを図示しないガスタービンの周囲に配置して構成される。缶型燃焼器1aと缶型燃焼器1bの間がクロスファイア管100bによって接続されているように、各缶型燃焼器1a,1b,…,1nの間は、それぞれクロスファイア管100a,100b,…,100nによって接続されている。なお、クロスファイア管100a,100b,…,100nは、図2に示すように、クロスファイア管用外筒に収容されている。缶型燃焼器1m,1nには、点火栓200が設けられている。
【0018】
また、図2に示すように、缶型燃焼器1は、拡散燃焼バーナ2と予混合燃焼バーナ3とを組合わせた構成となっている。拡散燃焼バーナ2は、燃料噴射ノズル10と燃焼室ライナ20を有する。燃焼室ライナ20には、クロスファイア管100を嵌め合いにより接続するための接続口101が配置される。また、燃焼室ライナ20には、図3を用いて後述するように、燃焼空気を噴出するための燃焼孔が配置される。なお、ガスタービン燃焼器の構成については、必ずしも上述の構成には限定されないものである。
【0019】
燃焼器流入空気5は、図示しない圧縮機から缶型燃焼器1に供給される。そして、拡散燃焼バーナ2及び予混合燃焼バーナ3に流入し、主に燃焼空気として作用する部分の他、主に燃焼器各部の冷却に供される冷却空気となる。拡散燃焼バーナ2に流入した燃焼器流入空気5は、燃焼室ライナ20に沿って流れる過程で後述する燃焼孔から燃焼室ライナ20内に流入する。一方、燃焼室ライナ20の外壁には、後述するように多数の冷却孔が配置されており、ここから燃焼器流入空気5の一部が冷却空気として噴出することにより燃焼室ライナ20を冷却する。
【0020】
拡散燃焼バーナ2の燃料ガス6は、燃料噴射ノズル10に供給され燃焼室ライナ20内に噴射される。燃焼室ライナ20内では、後述する燃焼孔から流入した燃焼空気により循環流が形成されており、噴射された燃料ガス6と混合して安定した拡散燃焼火炎が形成される。燃焼室ライナ20から排出された燃焼ガス7は、図示しないタービンに送られ、タービンを駆動する。
【0021】
次に、図3及び図4を用いて、本実施形態によるガスタービン燃焼器に用いられる燃焼室ライナの構成について説明する。
図3は、本発明の一実施形態によるガスタービン燃焼器に用いられる燃焼室ライナの一部を拡大した周方向展開図であり、図4は、図3のA−A断面図である。なお、図3における拡大部分は、クロスファイア管100の接続口101を挟んで、その周方向に分散して配置された燃焼孔30a,30bまでの範囲である。周方向全周では、クロスファイア管100の接続口101は2個設けられ、燃焼孔30a,30bは合計4個設けられる。
【0022】
クロスファイア管100の接続口とほぼ同じ軸方向位置に燃焼孔30a,30bを周方向に分散して配置すると、ガスタービン燃焼器の点火時において、燃焼孔30a,30b周辺の主要な燃焼領域の燃焼ガスが隣接缶へスムーズに流れ、火炎伝播が容易となる。冷却孔列40a,40b,40cは、軸方向に間隔をおいて配置される。また、本実施形態においては、クロスファイア管接続口101近傍の軸方向範囲に、新たな冷却孔列50a,50bを配置している。ここで、新たな冷却孔列50a,50bを配置する周方向範囲は、クロスファイア管接続口101の外壁からクロスファイア管接続口101の外径Hにほぼ相当する距離の範囲にするのが望ましい。新たな冷却孔列50a,50bの周方向範囲をこの距離Hより広げても、後述する最高メタル温度の低減には寄与しないため、冷却孔列50a,50bを配置する周方向範囲を、クロスファイア管接続口101の外壁からクロスファイア管接続口101の外径Hにほぼ相当する距離の範囲にすることにより、加工工数を無意味に増加させないですむという利点がある。
【0023】
図4に示すように、燃焼室ライナ20は、円筒形の部材21を波形に成形して、その内周側に円筒形のリップ22を嵌め込んである。円筒形の波形部材21には冷却孔列40a,40bが開けられ、冷却空気が円筒形のリップ22に衝突して燃焼室ライナ20の内壁に沿って流れるようになっている。また、クロスファイア管接続口101の近傍の軸方向範囲に新たに配置した冷却孔列50a,50bは、円筒形のリップ22から外れて開けられる。このため、冷却孔列50a,50bの冷却孔は、燃焼室ライナ20の外表面に対して直角ではなく、流入冷却空気8の噴出方向が燃焼室ライナ20内の燃焼ガス7の流れ方向に近くなるような角度θが設けられている。角度θは20から70°の範囲であることが望ましく、この角度範囲は、加工上の制約から選択されている。また、冷却孔列50a,50bの冷却孔の直径は0.5mmから2mmの範囲であることが望ましいものである。冷却孔直径が0.5mm以下だと必要な冷却特性を得るのが困難となる。また、2mm以上では、冷却孔列50a,50bの燃焼室ライナ20内側には円筒形のリップ22が無いことから、冷却に寄与しない空気割合が多くなる。
【0024】
冷却孔からの冷却空気を燃焼室ライナ内壁に設けたリップに衝突させてフィルム冷却すると、リップに衝突した冷却空気が周方向に広がることから、比較的冷却孔間隔を大きくでき、燃焼室ライナの強度や加工の観点から有効である。しかし、クロスファイア管接続部近傍の低流速領域の軸方向範囲は実質的にクロスファイア管接続部の外径程度の距離であり、新たなリップを配置するのは難しいものである。そこで、クロスファイア管接続部近傍の低流速領域の軸方向範囲については、リップが存在しない領域に燃焼室ライナ外壁の軸方向に対して斜めに配置した冷却孔を設けるようにしている。ここで、この斜めに配置した冷却孔は、リップ位置における冷却孔よりも孔径を小さくし、また、周方向の間隔を小さくする。例えば、前者の周方向間隔を後者の半分とする。この場合、燃焼室ライナ外壁の軸方向に対して斜めに配置する冷却孔の配列を千鳥配列として冷却孔を平面的に分散させるようにしている。
【0025】
次に、図5を用いて、本実施形態によるガスタービン燃焼器に用いられる燃焼室ライナの代表的なメタル温度について説明する。
図5は、本発明の一実施形態によるガスタービン燃焼器に用いられる燃焼室ライナのメタル温度の説明図である。図5では、冷却孔列50a、50bを新たに配置した場合と、冷却孔列50a,50bが設けられていない場合について比較して示す。ただし、比較部分は、実質的に本発明に直接関係する図3で示した範囲である。
【0026】
比較結果について説明する前に、燃焼室ライナ20のメタル温度測定方法について説明する。メタル温度の測定方法としては、1)燃焼室ライナ20に取り付けた熱電対による測定、あるいは2)温度履歴によって色調が変化するペイントを塗布して最高メタル温度を判定する方法がある。前者は、取り付ける熱電対の本数が多くなると燃焼室ライナ20外側の流れや伝熱特性に影響を及ぼす場合があるから、無闇に測定点数を多くはできないものである。これに対し、後者はこの制約は無いものの、測定精度が悪く、またメタル温度変動が評価できない。
【0027】
そこで、両者を併用して燃焼室ライナのメタル温度を測定したところ、クロスファイア管接続口101の近傍のメタル温度が、周囲よりも高温となることが分かった。この理由は、クロスファイア管接続口101の近傍に燃焼孔30a,30bが存在するため、燃焼室ライナ20の外表面に沿う空気の流れが燃焼孔30a,30bの近傍で速いのに対し、クロスファイア管接続口101近傍では流れが淀むために対流伝熱による冷却の寄与が小さいためと考えられる。
【0028】
従来は、クロスファイア管接続口101より上流側の冷却孔列40aより大量の冷却空気を噴出して、メタル温度を全体的に低減していた。しかし、燃焼器ライナ全体の冷却空気量を増加すると、NOx発生量が増加することになる。
【0029】
本実施形態では、燃焼室ライナのメタル温度を適正に測定することができた結果、クロスファイア管接続口101の近傍のメタル温度が最も高温となることが判明し、その理由として、燃焼室ライナ20の外表面に沿う空気の流れが、クロスファイア管接続口101近傍では淀むことによるものと考えられることに基づいて、この流れの淀みの影響を解消するように低流速領域であるクロスファイア管接続部近傍の軸方向範囲に冷却孔を他の部位よりも密に配置するため、冷却孔列50a,50bを配列している。これにより、クロスファイア管上流の燃焼室ライナの周方向に配置した冷却孔列から導入していた比較的多量の冷却空気流量を削減することができる。
【0030】
図5において、四角枠で囲んだ上段(A)のメタル温度は、本実施形態による冷却孔列50a,50bを設けた場合のメタル温度を示している。また、下段(B)のメタル温度は、点線の矩形の枠で囲まれた領域内の冷却孔列50a,50bが設けずに、大量の冷却空気を冷却孔列40aから噴出した場合のメタル温度を示している。また、上段と下段の場合では、冷却孔列50a,50bの有無だけでなく、冷却空気流量を次のようにして変えている。すなわち、本実施形態では、クロスファイア管接続口101の上流側の冷却孔列40aからの冷却空気流量を低減している。低減空気量は燃焼ガス温度や燃焼室ライナ構造、等種々の観点から検討して決められるものであるが、図5に示す構成の場合には、冷却空気流量を約14%低減している。具体的には、冷却孔列40aの冷却孔間の間隔を同一にして、冷却孔の直径を3.2mmから3.0mmに縮小している。クロスファイア管接続口101の近傍に設けた冷却孔列50a,50bの冷却孔の直径を1mmとし、角度θを60°として合計20個追加されているが、全体の冷却空気流量に占める割合は小さいものである。
【0031】
図5に示されたメタル温度の測定値から理解されるように、本実施形態では冷却空気流量を低減したためメタル温度は従来例に比べて全体的には高くなっているが、最高メタル温度は70℃程度低減している。前述のように、燃焼室ライナの応力はメタル温度の高い箇所で大きくなり、温度変動の繰り返し等により歪が限界値を超えるとクラックが発生する可能性が増大する。つまり、最高メタル温度を示す箇所がクラック発生の起点となるポテンシャルが高いものである。したがって、本実施形態では、最高メタル温度が低減されているので、燃焼室ライナにクラックが発生するポテンシャルが大幅に緩和されることになる。また、冷却空気流量を約14%低減しているため、NOxの発生も抑制することができる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態によれば、クロスファイア管接続口近傍の局所的な高メタル温度領域に局部的に冷却孔を追加することで冷却空気流量の低減と共に最高メタル温度を低減できる。したがって、燃焼室ライナにクラックが発生するポテンシャルを大幅に緩和できると共に、冷却空気流量を低減し、燃焼反応が主に進行している領域への燃焼空気流量を増加することができる。また、当該領域の燃焼ガス温度低減により燃焼器ライナ全体に亘って局所的なメタル温度上昇を抑制し、NOx発生量の低減を図ることができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、燃焼室ライナのメタル温度を適正範囲に維持しながら、冷却空気流量を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるガスタービン燃焼器の全体構成を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるガスタービン燃焼器に用いられる缶型燃焼器の構成を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態によるガスタービン燃焼器に用いられる燃焼室ライナの一部を拡大した周方向展開図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】本発明の一実施形態によるガスタービン燃焼器に用いられる燃焼室ライナのメタル温度の説明図である。
【符号の説明】
1…燃焼器
5…燃焼器流入空気
6…燃料
7…燃焼ガス
20…燃焼室ライナ
21…円筒形波形部材
22…円筒形リップ
30a,30b…燃焼孔
40a,40b,40c…冷却孔列
50a,50b…冷却孔列
100…クロスファイア管
101…クロスファイア管接続口
Claims (2)
- クロスファイア管で連結された複数の缶型燃焼器を有するガスタービン燃焼器であって、前記缶型燃焼器のそれぞれは燃焼室ライナを有し、該燃焼室ライナは、前記クロスファイア管の接続部と、前記燃焼室ライナの周方向に分散して配置され、前記燃焼室ライナの軸方向位置における配置位置を前記クロスファイア管の接続部の配置位置とほぼ同じ位置にした複数個の燃焼孔と、前記燃焼室ライナの内壁に設けたリップに冷却空気を衝突させるようにした冷却孔からなる、前記燃焼室ライナの周方向に配置された冷却孔列であって、前記燃焼室ライナの軸方向間隔において配置された複数の冷却孔列(40a,40b,40c)とを有するガスタービン燃焼器において、
前記燃焼室ライナは、前記クロスファイア管の接続部の軸方向位置の範囲内であって、前記周方向には前記クロスファイア管の接続部の外壁からクロスファイア管の接続部の外径にほぼ相当する距離の範囲内で、かつ前記リップが存在しない領域に、前記燃焼室ライナの外壁の軸方向に対して斜めに配置され、かつ前記冷却孔列(40a,40b,40c)の冷却孔よりも孔径が小さく、周方向の間隔を小さくした複数の冷却孔からなる冷却孔列(50a,50b)を更に有し、
前記冷却孔列のうち前記クロスファイア管の接続部の上流側の冷却孔列(40a)の冷却孔の直径を、前記冷却孔列(50a,50b)を設けない場合の直径よりも縮小したことを特徴とするガスタービン燃焼器。 - 請求項1記載のガスタービン燃焼器において、
前記冷却孔列(50a,50b)の直径を0.5mmから2mmの範囲内としたことを特徴とするガスタービン燃焼器。
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