JP4064357B2 - 極低温光照射電気伝導度測定装置 - Google Patents

極低温光照射電気伝導度測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、広い温度および圧力の範囲で、nmからcmサイズの試料に光を照射し、その電気抵抗を測定する電気伝導度測定装置に関するものである。
本発明の従来技術として、光ファイバを用いた光伝導度測定装置が挙げられる(下記特許文献1、2)。しかし、本来光伝導性が期待されるような物質は、光を照射していない状態では絶縁体もしくは半導体であることが多く、低温にすると抵抗が高すぎて伝導性を事実上失ってしまう。このため、低温で光伝導度を測るという発想は見受けられない。ましてや2万気圧といった高圧下で電気抵抗を測るのは非常に困難である上に、最近までその期待される圧力効果が不明であった。しかし、最近、高度にユニークな新規化合物が次々と発見され、機能性材料として応用される状況を鑑みれば、極低温まで光伝導性をモニターできる装置が必要である時代になってきたと言える。
特開昭60−60544号公報 特開昭60−20137号公報
物体(試料)の特定の一部分あるいは全体に、与えられた波長と強度の光を照射することは現在の技術では容易なことであるが、これを任意の温度や圧力、特に極低温や高圧下で行おうとすると、途端に技術的に難しくなる。光を物質に照射することによる温度上昇をどう抑えるかといった問題や、必要とされる温度・圧力をどうやって実現し制御するか、それらの条件に装置が恒久的に耐えうるかといった問題を解決しなければならないからである。また、紫外光以上の高エネルギーの光はあらゆる物質に強く吸収され、その吸収した物質にダメージを与えるため、光をいかに効率よく安定して試料まで導くかが問題となる。つまり、光の波長と伝播させる物質、温度や圧力といった多くの条件に依存して、透過率や屈折率が異なるという事実にも対処しなければならない。
更に、通常市販されている光ファイバを極低温で用いると、クラッドと呼ばれる保護のための被覆部分と光が通る芯の部分の材質が、熱膨張率や硬化点などにおいて異なるために、光ファイバが粉々に切断されてしまうという問題点があった。
本発明は、上記状況に鑑みて、微小な分子性結晶の光伝導性や光に対する応答性を広い温度範囲に亘り、しかもセンチメータからナノメータのスケールの範囲で、光で物性を制御しうる機能性物質の電気抵抗測定を実現することができる、極低温光照射電気伝導度測定装置を提供することを目的とする。
〔1〕極低温光照射電気伝導度測定装置において、nmからcmサイズの試料と、この試料の3次元位置X,Y,Zおよび光の入射角θを調整する試料の設定手段と、前記試料に広い温度および圧力範囲の雰囲気を提供する手段と、前記試料近傍まで光ファイバを導入して光を照射する光照射手段と、前記試料に接続される電気抵抗測定手段とを備えることを特徴とする。
〔2〕上記〔1〕記載の極低温光照射電気伝導度測定装置において、前記試料、前記試料の設定手段、前記広い温度および圧力範囲の雰囲気、光ファイバの導入部、電気抵抗測定部分を試料室に集中させるようにしたことを特徴とする。
〔3〕上記〔1〕記載の極低温光照射電気伝導度測定装置において、前記光ファイバは金で被覆された石英からなることを特徴とする。
〔4〕上記〔1〕記載の極低温光照射電気伝導度測定装置において、1気圧以上の高圧下で測定を行う場合には、前記試料をあらかじめ銅/ベリリウム製クランプタイプ高圧セルに入れて、所望の圧力をかけた状態で前記試料室に入れることを特徴とする。
〔5〕上記〔1〕記載の極低温光照射電気伝導度測定装置において、前記試料が感光性を有する化学種を含む薄膜や粉末、液晶や単結晶又はアモルファスであることを特徴とする。
〔6〕上記〔5〕記載の極低温光照射電気伝導度測定装置において、前記試料が有機物質の電荷移動錯体であることを特徴とする。
〔7〕上記〔6〕記載の極低温光照射電気伝導度測定装置において、前記有機物質の電荷移動錯体がETと、(MnCl4 2-と、C2 3 Cl3 とを含むことを特徴とする。
〔8〕上記〔6〕記載の極低温光照射電気伝導度測定装置において、前記有機物質の電荷移動錯体がTTFとTCNQとを含むことを特徴とする。
〔9〕上記〔6〕記載の極低温光照射電気伝導度測定装置において、前記有機物質の電荷移動錯体がAg(DI−DCNQI)2 であることを特徴とする。
本発明によれば、種々の条件で、試料の電気伝導度を測定することができる。すなわち、nmからcmサイズの試料に任意の波長の任意の強さの光を、任意の時間にわたり照射することが可能である。その際の温度は一定に保つことも、変えながら光照射することも可能である。また、温度とは無関係に、測定中の圧力は高真空から高圧までの任意の値に保つことができる。
また、本発明の装置は、次世代の科学技術として非常に注目されているナノテクノロジーの中でも、分子エレクトロニクス、分子ナノデバイスといった分野の研究に直接貢献するものである。その根拠は2点あり、一つは、微小な分子性結晶の電気伝導度や光に対する応答性を広い温度範囲にわたり直接モニターできるという点、もう一つは、今後光による機能性物質の物性制御の実現が、ナノテクノロジー全般において重要なターゲットとみなされているという時代的背景である。そして、本発明によれば、例えば、分子性結晶が高密度記録素子といった各種電子部品として、実用化される可能性がある。こうした部品は現在使用されているコンピュータなどの各部品に置き換わり、より高性能で省エネルギーの製品へと進化させることにつながる。
また、本発明の波及効果が及ぶと期待される範囲は、電子機器を中心とする半導体産業やその周辺技術にとどまらない。本発明によれば、例えば通常の条件下では扱えないような危険な病原菌や、不安定な細胞などを完全に密封し、冷凍保存した状態で光照射することで、必要な抗体やワクチンに変えたり、特効薬の開発のためのサンプルとするなど、薬学・医学的な応用例も考えられる。更に、必要ならばまず特定の光反応性を持った物質に紫外光などを照射して目的の物質に変換した後、引き続きこの物質にX線やγ線等の放射線を照射することにより、放射化状態、すなわち物質中に含まれる特定の原子を不安定放射性核種に変えることができる。こうした放射化学的意味での準安定状態にした物質を一旦装置から取り出し、これを体内に導入して放射能によりラベルした基質とすることで、その物質の体内での移動や反応を追跡したり、一定の体内部位に停留・濃縮させて放射線治療を施すなど、ドラッグデリバリーシステムにも応用できる可能性がある。
本発明は、nmからcmサイズの試料に光を照射し、電気伝導度を測定するための装置に関するものである。本装置を用いることで、任意の波長の任意の強さの光を、任意の時間、試料に照射することが可能である。その際の温度は一定に保つことも、変えながら光照射することも可能である。また温度とは無関係に、測定中の圧力は高真空から高圧までの任意の値に保つことができる。
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施例を示す極低温光照射電気伝導度測定装置の全体構成模式図、図2はその試料室の概略構成図、図3はその試料室に配置されるゴニオメーターヘッドを示す図である。
この極低温光照射電気伝導度測定装置の全体構成は、図1に示すように、試料室1と、この試料室1を保持するほぼ管状をなす第1のクライオスタット21と、光源22と、その光源22と試料室1を第1のクライオスタット21を介して接続する光ファイバ23と、液体窒素チャンバーと真空チャンバーからなる筒状の第2のクライオスタット24と、横口の管(真空引き口兼ヘリウムガス導入口)24Aと、液体窒素容器25と、真空排気装置26と、真空排気装置26と第1のクライオスタット21とを接続する配管27と、ヘリウムガスボンベ28と、ヘリウムガスボンベ28と第1のクライオスタット21とを接続する配管29と、スキャナー30と、そのスキャナー30と試料室1とを第1のクライオスタット21を介して接続するケーブル31と、定電流/電圧電源32と、電圧計33と、パーソナルコンピュータ34と、プリンタ35などを備えている。なお、光ファイバ23やケーブル31が第1のクライオスタット21内を通っている。
そこで、その試料室1は、概略図2に示すように構成されている。なお、図2(a)は本発明の極低温光照射電気伝導度測定装置の正面図、図2(b)はその側面図、図2(c)はその上面図、図2(d)は図2(a)のA−A線矢視図、図2(e)は試料室の一方のカバーであり、半円状の銅板からなる。図2(f)は試料室のもう一方のカバーであり、一方のカバーと同じ大きさの半円状の銅板からなる。
試料室1は試料室本体の枠2と試料室の上下の骨組みとなる試料室本体の天井と床部分3、および試料室1全体を前後から覆うカバー2A,2B(蓋;同じ大きさの半円状の銅板2枚)からなり、その試料室1の上部には導入される光ファイバ23と電気伝導度測定用リード線(図示なし)を固定するための光ファイバ及び電気伝導度測定用リード線固定台(板状の突起部分)4が配置される。この固定台4は半月状の断面形状をなし、弦をなす平面の中心部に半円管状の溝5が形成され、そこに光ファイバ23及び電気伝導度測定用リード線が導入される。固定台4にはその半円管状の溝5を中心として、ヒーター収納穴6及び温度計収納穴7が下方を開口として形成されている。
図2に示すように、試料室1の下部の領域Aにゴニオメーターヘッド(例えば理学電機株式会社製)10が配置される。このゴニオメーターヘッド本体11の上部に試料ホルダー12がセットされる。このゴニオメーターヘッド本体11は袋ナット13で試料室1の下部に固定される。
このゴニオメーターヘッド10は、配置された光ファイバ23の先端までの距離を調整する機構、つまり、試料Sの水平面での位置を調整する機構(X−Y軸調整機構)と試料Sの高さを調整する機構(Z軸調整機構)を有するとともに、光の入射角を調整する機構(アークθ角度調整機構)を備えている。
なお、上記したゴニオメーターヘッド10の仕様例としては、X,Y方向は±3mm、Z方向は±1.5mm、アーク(度)は±10度、試料ホルダー12の数は1個である。
そこで、試料室1には3個(最大6個)の試料Sが入れられ、同時に電気伝導度測定が可能である。この数は必要に応じて、簡単な仕様変更により、最大40個程度まで拡張可能である。これら複数の試料Sは、スキャナー30によって自動的に区別され、順番に測定される仕組みになっている。
ここで、試料室1を保持している第1のクライオスタット21の中を電気伝導度測定用リード線(図示なし)と光ファイバ23が通っており、断熱のため上下は真空で封じられている。
この真空度は、第1のクライオスタット21の上部に取り付けられた横口の管24Aの弁をヘリウムガスボンベ28および真空排気装置26につなぐことで調整可能であり、これにより、適度の断熱性と測定系内への外からの熱の侵入のバランスを取っている。これは、当該の実験の目的や試料の事情に適した温度変化速度を得るために、以下の温度調整機能を補足する意味で必要となる工夫である。
温度調整は、試料室1の温度計収納穴7に取り付けられた温度センサー(米国LakeShore社製)、ヒーター収納穴6に取り付けられた円筒型ヒーター(米国LakeShore社製)および、一番外側を包む第2のクライオスタット24ごと浸すように設計された第1のクライオスタット21、液体ヘリウム容器36(−269℃)および液体窒素容器25(−196℃)を用い、パーソナルコンピュータ34で制御することによって温度の制御が行われる。この温度制御に関しては、測定者の意思で設定したり、調整したりすることも可能であるが、一旦測定が開始されれば、自動に調整することも可能である。
試料Sの電気抵抗は、第1のクライオスタット21内を通るケーブル31を介して試料室1に接続されるスキャナー30を通じて、定電流/定電圧電源32と電圧計33によって測定される。これらの操作や電気的測定条件の設定・変更もすべてパーソナルコンピュータ34で、専用のソフトウェアーによって、測定開始時のみならず、測定中でも測定作業を中断することなく簡単に行うことができる。
測定結果は、パーソナルコンピュータ34によってリアルタイムでグラフ化され、同時に予め測定者によって指定された記憶媒体にファイルとして記録される。ファイル形式はエクセルやテキストなど通常のデータファイルのほとんどの形式に対応しており、測定者自身が適当なものを選ぶようになっている。この結果(測定の途中経過も含む)はネットワークを通じてリアルタイムで遠方からでも監視でき、データファイルを転送したり、その場で通常のファイル操作を施すことも可能である。また、測定条件の変更なども、ネットワークを通じて遠隔操作が可能である。
光は、光源22から第1のクライオスタット21内へ導入された光ファイバ23を通じて試料室1内の試料Sに照射される。光源22は電気抵抗測定系とは別個になっているので、自由なタイミングでon/offの切り替えができ、必要とする光の波長や強さなどの条件に応じて適当な光源22と光ファイバ23を自由に組み合わせることができる。そのため、光ファイバ23の先端には世界標準仕様のSMAコネクターが取り付けられている。因みに、第1のクライオスタット21中を通っている光ファイバ23は、超高真空、極低温、または腐食性などの化学的に特殊な環境にも耐え、宇宙線やγ線といった高エネルギーの放射線でも劣化しない特殊な製品を選んでいる。これにより、遠赤外線やマイクロ波などの低エネルギー光からX線・γ線といった高エネルギー光まで照射することが可能である。
1気圧以上の高圧下で同様の測定を行う場合は、試料Sを予め市販の銅/ベリリウム製クランプタイプ高圧セル(図示なし)に入れて、所望の圧力をかけた状態で試料室1に入れる以外は、常圧以下での測定と全く同じである。
このように、本発明の装置と付属のソフトウェアーを用いることにより、電気抵抗の温度による変化の他に、電気抵抗の経時変化、電流−電圧特性曲線も測定でき、これらを更に温度変化・圧力変化と組み合わせて、試料の置かれた複数の環境的条件(熱力学的変数)を同時に、あるいは段階的に変えながら測定することができる。
以下、ハードウェアー面の利点について説明する。
(1)一度に3つの試料が独立に測定できる。3つの挙動は全く違ってもよく、また、必要に応じて、同時測定可能な試料数を6つまで増やせる。
(2)温度範囲1.2K−475Kまで測定が可能である。
なお、試料の熱負荷が小さい場合には、最低温度が1.0Kまで到達することを確認できた。
(3)一つの試料に電流を流している時間は0.2μsであり、誤差の原因となる熱起電力やジュール熱が生じる時間をほとんど、又は全く与えない。
これにより超伝導体や高抵抗試料、異方性の大きな試料などに幅広く対応可能であり、測定時間の大幅な短縮を図ることができる。
(4)測定に要するヘリウム消費量が非常に低く抑えられている。すなわち、液体ヘリウム容器36内に溜まっている既に蒸発した低温のヘリウムガスを最大限に利用することができる。
(5)液体ヘリウムを測定のたびに液体ヘリウム容器36にトランスファーする必要が無い。そのため、測定の簡素化・省スペース化を図ることができる。
(6)最初に液体窒素も液体ヘリウムもデュワー容器25および36内に満たしてしまってよい。第2のクライオスタット24内に設けられた真空断熱層・減圧ヘリウムガス層による優れた温度制御ができる。
(7)温度制御が容易で温度変化の速度も可変にすることができる。これは、ヒーターとクライオスタットの効果である。
(8)温度計・ヒーターが脱着可能で、試料と同一の金属に(可能な限り)最短距離・最大面積で接触させるため、温度測定の精度・確度向上及び温度変化検知のレスポンス向上を図ることができる。
(9)試料ホルダー部分は面積が広く、平らな形状(水平)にしたため、必要な作業範囲全体に同時に顕微鏡の焦点を合わせられる。
(10)各個人の作業しやすい試料の固定方法を選べる、汎用的な形状の試料ホルダーを適用している。
(11)試料室と試料ホルダー部分を切り離すことができるため、顕微鏡下での作業がしやすい。
この試料ホルダーの脱着は「ねじ式」であり、リード線の半田付け等は不要である(ICピンによるワンタッチ脱着が可能)。
(12)設定した電流値に対し、実際に流れている電流も同時にモニターできる。測定の信頼性が高いかどうか確認できる。
これらはすべて従来の光伝導度測定装置には存在していなかった利点である。
次に、ソフトウェアー面についても、以下のような利点がある。
(1)マルチタスク:任意のタイミングで測定を止めずに、各種測定条件を変えられ、変更がすぐに有効になる。
(2)ネットワーク機能:測定経過と結果を遠方からでもリアルタイムで見ることができる。必要ならば、測定条件もネットワークを通じて変更可能にすることができる。
(3)タイムスタンプ機能:データ採取時刻を逐次記録する機能により、降温・昇温速度が分かる。表示形式は、経過時間表示(秒)、または時刻表示(何時何分何秒)を選択することができる。
(4)出力ファイルは、テキスト(txt)、エクセル(xls)など任意の形式を選択することができる。
(5)印加電流、測定間隔(時間及び温度)、保存間隔(データ点の数)、ヒーター(レンジ、出力%、目標温度)は常に画面上で変更可能である。
(6)グラフの表示(軸など)の設定は、いつでも測定を中断せずに変更可能である。
(7)測定内容を(電気抵抗の)温度変化、時間(経時)変化、電流−電圧特性から選択することができる。
(8)ヒーターの出力は、経験の浅いユーザーが適当な値を入力してもコンピュータと温度コントローラーによる二重のチェックにより、最適化された値にしてヒーターへと送られる。すなわち、暴走や急激な温度変化を防止する機能を有する。
(9)さらに、設定温度が現在の温度よりはるかに高い場合であっても、緩やかにヒーターが作動するように工夫されている(−100%から0%までの負の値も入力可能にした)。
(10)ソフトの複雑さを避けるため、画面はできるだけ直観的に配置し、GUI(Graphical User Interface)を意識した。
(11)実行ファイルとして保存でき、このプログラムの著作権は発明者に帰属する。希望者がいれば、元のソフトウェアーをインストールしていないコンピュータにも自由に配付し、インストールして使うことが合法的に可能である。
本発明の装置を用いて測定された実験データを、図4に示す。
図4は本発明の装置を用いて計測された、複雑な電気的挙動を示すある有機物質の電荷移動錯体の電気抵抗の温度依存性を示す特性図であり、縦軸は比抵抗値ρ(Ωcm)、横軸は絶対温度T(K)を示している。
ここでは、試料Sは1mm×1mm×0.02mm程度の大きさのひし形(薄い板状)の形をした単結晶であり、直径25μmの金線を4本、金ペーストで貼り付けて、10mAの定電流による直流四端子法で測定した。この試料の場合、光を照射した場合と照射しないで測定した場合とでたまたま違いが見られなかったが、100K以下で複雑な挙動が顕著に現れるこのような特異的な試料でも、その電気抵抗を正確に測定できることが、他の測定装置を用いた場合の結果と一致することで、確認された。
従来は、あるところ(温度など)で急激にその電気抵抗が変わったり、昇温過程と降温過程で抵抗値が異なるような物質の電気抵抗を、広い温度範囲にわたって正確に測り続けることが大変困難であったが、本発明によれば、図4に示すように、そのような特異的な物性を持つ試料の測定も容易に実施することができる。したがって、かかる試料の物性の検査に適している。
更に、本発明は、金で被覆された特殊な光ファイバ(米国FIBERGUIDE社製)と、銅/ベリリウム製クランプタイプ高圧セル(市販)と、極低温電気伝導度測定装置の3つを組み合わせるようにしている。
(1)光ファイバの問題に関して言うと、被覆材である金とファイバの芯の石英とが強固に接着されており、金の柔軟性と石英の持つ剛性が広範な温度変化・圧力変化に対応可能である。そして、光ファイバのような細くて輪郭(円形)の加工精度の高いものならば、圧力媒体(出光興産製ダフニーオイルなど)を漏洩することなく、試料と一緒に試料室の圧力媒体中に密封できる。
(2)銅/ベリリウム製クランプタイプ高圧セルに関して言うと、1気圧以上の高圧下で測定を行う場合には、前記試料をあらかじめ銅/ベリリウム製クランプタイプ高圧セルに入れて、所望の圧力をかけた状態で前記試料室に入れるようにすることで、高圧下での測定を容易に行うことができる。
次に、本発明の具体例について説明する。
図5は本発明の装置を用いて測定したβ″−(ET)3 (MnCl4 )(1,1,2−C2 3 Cl3 )の電気抵抗の温度・圧力特性図、図6はα−(ET)7 (MnCl4 2 (1,1,2−C2 3 Cl3 2 の電気抵抗の温度・圧力特性図である。図5および図6において、横軸は絶対温度T(K)、縦軸は比抵抗値ρ(Ωcm)を示している。なお、ETはビス(エチレンジチオ)テトラチアフルバレンを示す。
ここで、β″−(ET)3 (MnCl4 )(1,1,2−C2 3 Cl3 )や、α−(ET)7 (MnCl4 2 (1,1,2−C2 3 Cl3 2 には図7に示す、ETと、(MnCl4 2-と、C2 3 Cl3 とか含まれている。
図8は本発明の装置を用いて測定した有機電荷移動錯体TTF(テトラチアフルバレン)−TCNQ(テトラシアノキノジメタン)の電気抵抗の温度特性図である。図8において、横軸が絶対温度T(K)、縦軸が比抵抗値ρ(Ωcm)を示している。
図8において、50K付近で金属的物質から絶縁体へと突然変化(相転移)する様子が明確に捕らえられている。ここで、TTF−TCNQは、図9に示す、TTFとTCNQとを含んでいる。
図10は本発明の装置を用いて測定したAg(DI−DCNQI)2 の電気抵抗の温度特性図である。図10において、横軸は絶対温度T(K)、縦軸は比抵抗値ρ(Ωcm)を示している。
図10において、温度低下とともに電気抵抗が指数関数的に増大していく、いわゆる半導体的挙動が捕らえられている。ここで、DI−DCNQIとはジヨード−ジシアノキノンジイミンを指し、図11に示したような有機分子である。
以下、より具体的な実験例について説明する。
図12は本発明の極低温光照射電気伝導度測定装置の第1のクライオスタットの分解斜視図である。
この図において、第1のクライオスタット100は、以下のように構成されている。101は24芯コネクタの固定治具、102は筒状体、103はその筒状体102の側部に円周に沿った角度で設けられる光ファイバの導入用ステンレス管、104は第1の連結部、105はその連結部104に連結される第1のステンレスパイプ、106は第2の連結部、107はその連結部106に連結される第2のステンレスパイプ、108はそのステンレスパイプ107に固定されるフランジ、109は第3の連結部、110はその連結部109に連結される配線接続ボックス、111はその配線接続ボックス110のカバー、112は試料室(後述)を固定するための第1の固定具、113,114は試料室を固定するための第2,第3の固定具、115は試料室であり、この中に試料(後述)が設定される。116は試料室115をカバーする保護筒である。
図13は本発明の極低温光照射電気伝導度測定装置に試料を1気圧以上の高圧下でセットする方法の説明図であり、図13(a)はその試料台を、図13(b)は試料室をそれぞれ示している。
ここでは、高圧下で光伝導度測定を行うための試料の準備について説明する。 図13(a)に示すように、試料121はガラスエポキシ基板などの絶縁性の基板122上にハンダ電極123に接続される4本の金線124によって配線され、それらの配線はリード線125を介して固定台127にアラルダイト126によって固定される。その試料121を搭載した試料台120は、図13(b)に示すように、圧力媒体128を介在したテフロン(登録商標)容器129内に収納される。これを高圧セル中に必要な部品とともに組み込む。
図14は本発明の極低温光照射電気伝導度測定装置の液体窒素容器25の断面図である。
この図において、131は液体窒素チャンバー、132は真空チャンバー、133は台座、134はキャスター、135は真空引口、136は上部フランジ、137は窒素ガス排出口である。
このように構成された液体窒素容器25に、第1のクライオスタット100が入った第2のクライオスタット24(フランジ108部分が第2のクライオスタット24の上方の開放端に蓋する形で固定され、フランジ108以下の第1のクライオスタット100の周囲と第2のクライオスタット24内全体が密閉されて繋がる)を上部フランジ136の最上部に開いた口から挿入し、第1のクライオスタット100の下部の部分(試料室を含む)を第2のクライオスタット24ごと収納するようにしている。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明は、広い温度および圧力の範囲で、nmからcmサイズの試料に光を照射し、その電気抵抗を測定する極低温光照射電気伝導度測定装置に適している。
本発明の第1実施例を示す極低温光照射電気伝導度測定装置の全体構成模式図である。 本発明の第1実施例を示す極低温光照射電気伝導度測定装置の試料室の概略構成図である。 本発明にかかる試料室に配置されるゴニオメーターヘッドを示す図である。 本発明の装置を用いて計測された、複雑な電気的挙動を示すある有機物質の電荷移動錯体の電気抵抗の温度依存性を示す特性図である。 本発明の装置を用いて測定したβ″−(ET)3 (MnCl4 )(1,1,2−C2 3 Cl3 )の電気抵抗の温度・圧力特性図である。 本発明の装置を用いて測定したα−(ET)7 (MnCl4 2 (1,1,2−C2 3 Cl3 2 の電気抵抗の温度・圧力特性図である。 図5および図6に用いるETと、(MnCl4 2-と、C2 3 Cl3 の化学式を示す図である。 本発明の装置を用いて測定した有機電荷移動錯体TTF(テトラチアフルバレン)−TCNQ(テトラシアノキノジメタン)の電気抵抗の温度特性図である。 図8に用いるTTF分子とTCNQ分子の化学式を示す図である。 本発明の装置を用いて測定したAg(DI−DCNQI)2 の電気抵抗の温度特性図である。 図10で用いるDI−DCNQIの化学式を示す図である。 本発明の極低温光照射電気伝導度測定装置の第1のクライオスタットの分解斜視図である。 本発明の極低温光照射電気伝導度測定装置に1気圧を超える高圧雰囲気にした試料をセットする方法の説明図である。 本発明の極低温光照射電気伝導度測定装置の液体窒素容器の断面図である。
符号の説明
1 試料室
2 試料室本体の枠
2A,2B カバー(蓋)
3 試料室本体の天井と床部分
4 光ファイバ及び電気伝導度測定用リード線固定台
5 半円管状の溝
6 ヒーター収納穴
7 温度計収納穴
10 ゴニオメーターヘッド
11 ゴニオメーターヘッド本体
12 試料ホルダー
13 袋ナット
21,100 第1のクライオスタット
22 光源
23 光ファイバ
24 第2のクライオスタット
24A 横口の管
25 液体窒素容器
26 真空排気装置
27,29 配管
28 ヘリウムガスボンベ
30 スキャナー
31 ケーブル
32 定電流/電圧電源
33 電圧計
34 パーソナルコンピュータ
35 プリンタ
36 液体ヘリウム容器
S,121 試料
101 24芯コネクタの固定治具
102 筒状体
103 光ファイバの導入用ステンレス管
104 第1の連結部
105 第1のステンレスパイプ
106 第2の連結部
107 第2のステンレスパイプ
108 フランジ
109 第3の連結部
110 配線接続ボックス
111 配線接続ボックスのカバー
112 第1の固定具
113 第2の固定具
114 第3の固定具
115 試料室
116 保護筒
120 試料台
122 絶縁性の基板
123 ハンダ電極
124 4本の金線
125 リード線
126 アラルダイト
127 固定台
128 圧力媒体
129 テフロン(登録商標)容器
131 液体窒素チャンバー
132 真空チャンバー
133 台座
134 キャスター
135 真空引口
136 上部フランジ
137 窒素ガス排出口

Claims (9)

  1. (a)nmからcmサイズの試料と、
    (b)該試料の3次元位置X,Y,Zおよび光の入射角θを調整する試料の設定手段と、
    (c)該試料に広い温度および圧力範囲の雰囲気を提供する手段と、
    (d)前記試料近傍まで光ファイバを導入して光を照射する光照射手段と、
    (e)前記試料に接続される電気抵抗測定手段とを備えることを特徴とする極低温光照射電気伝導度測定装置。
  2. 請求項1記載の極低温光照射電気伝導度測定装置において、前記試料、前記試料の設定手段、前記広い温度および圧力範囲の雰囲気、光ファイバの導入部、電気抵抗測定部分を試料室に集中させるようにしたことを特徴とする極低温光照射電気伝導度測定装置。
  3. 請求項1記載の極低温光照射電気伝導度測定装置において、前記光ファイバは金で被覆された石英からなることを特徴とする極低温光照射電気伝導度測定装置。
  4. 請求項1記載の極低温光照射電気伝導度測定装置において、1気圧以上の高圧下で測定を行う場合には、前記試料をあらかじめ銅/ベリリウム製クランプタイプ高圧セルに入れて、所望の圧力をかけた状態で前記試料室に入れることを特徴とする極低温光照射電気伝導度測定装置。
  5. 請求項1記載の極低温光照射電気伝導度測定装置において、前記試料が感光性を有する化学種を含む薄膜や粉末、液晶や単結晶又はアモルファスであることを特徴とする極低温光照射電気伝導度測定装置。
  6. 請求項5記載の極低温光照射電気伝導度測定装置において、前記試料が有機物質の電荷移動錯体であることを特徴とする極低温光照射電気伝導度測定装置。
  7. 請求項6記載の極低温光照射電気伝導度測定装置において、前記有機物質の電荷移動錯体がETと、(MnCl4 2-と、C2 3 Cl3 とを含むことを特徴とする極低温光照射電気伝導度測定装置。
  8. 請求項6記載の極低温光照射電気伝導度測定装置において、前記有機物質の電荷移動錯体がTTFとTCNQとを含むことを特徴とする極低温光照射電気伝導度測定装置。
  9. 請求項6記載の極低温光照射電気伝導度測定装置において、前記有機物質の電荷移動錯体がAg(DI−DCNQI)2 であることを特徴とする極低温光照射電気伝導度測定装置。
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