JP4063565B2 - 薄膜の成膜方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は所定のマスクパターンを有する成膜用マスクを用いた薄膜の成膜方法に関する。本発明は、例えば有機系のEL素子等の表示素子における電極を構成する薄膜を形成する際に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、所定のマスクパターンをもつ成膜用マスクを用い、マスクパターンを転写するように基材の被成膜面に成膜処理する薄膜形成方法が提供されている。例えば、有機系のEL素子における薄膜形成においては、微細幅の複数のスリット開口からなるマスクパターンを基板の被成膜面に転写し、これにより微細幅のスリット開口に対応する微細幅の薄膜を複数個平行に形成して薄膜集合体を形成し、以って電極用の薄膜を形成する方法がある。
【0003】
ここで用いられる成膜用マスクには微細な開口が穿設されてマスクパターンが形成されることから、この開口の幅を板厚よりも小幅に形成することは現在の技術では非常に困難である。このため、特に成膜用マスクに高精細なマスクパターンを形成する場合には、成膜用マスクの板厚は非常に薄く形成される。成膜用マスクの板厚が薄い場合には、成膜用マスクの剛性は低いものとなる。
【0004】
ここで上記した薄膜形成方法を用いて薄膜の成膜をおこなう場合には、基体を被成膜面が下面となるように配置し、この被成膜面と対面するように成膜用マスクを基体の下方に配置し、そのさらに下方に成膜材料を配置して成膜を行うことが一般的である。この場合、成膜材料の蒸発物を重力方向と反対方向に飛翔させることで、この蒸発物を成膜用マスクを通して基体の被成膜面に蒸着させて薄膜を成膜することができる。
【0005】
しかしこのような場合、成膜用マスクの下方には成膜材料の蒸発物が飛翔するための空間が必要となる。したがって成膜用マスクの下面は開放されている必要があり、成膜用マスクは端部のみで支持されることとなる。このため、成膜用マスクが上述したように剛性の低いものである場合は、成膜の際に重力方向にたわみが発生し、所望の薄膜パターンを形成することが困難となる場合があった。
【0006】
高精細なマスクパターンを形成する場合を例に挙げて、成膜用マスクのたわみに起因する薄膜集合体の寸法誤差について説明する。また、このような寸法誤差を模式的に表す図を図1に示す。
【0007】
基体100に対面するように基体100の下方に配置された成膜用マスク101は、マスク端部102で支持されている。この成膜用マスク101は上述したように板厚が薄く形成され剛性が低くなっている。このため、成膜用マスク101には重力方向にたわみが発生し、成膜用マスク101と基体100との間には隙間103が発生する。隙間103が発生すると、目的とする薄膜パターン104と成膜用マスク101とのあいだには配置のずれ105が生じる。配置のずれ105が生じている状態で基体100の被成膜面106に薄膜を形成すると、目的とする薄膜パターン104と実際に得られる薄膜パターン107とに寸法誤差が生じる。
【0008】
このように、従来の薄膜の成膜方法を用いて成膜された薄膜および薄膜集合体は寸法誤差をもって形成され、要求される寸法精度を満たさない場合があった。
【0009】
よって近年では、特開2000−160323号公報に開示されるようなマスクに張力を付与しつつ成膜をおこなう薄膜形成方法が考案されている。しかしこのような方法によると、マスクに張力を付与するための張力付与手段を新たに設けることが必要となるために、薄膜形成装置が大型化する問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、マスク全体を基体で支えるようにすることで寸法誤差を低減させ寸法精度をより向上させ、かつ省スペースで形成可能な薄膜の成膜方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明の薄膜の成膜方法は、所定のマスクパターンを有する成膜用マスクを基体の被成膜面に対面させた状態で、該マスクパターンを転写するように該被成膜面に薄膜を成膜処理する薄膜の成膜方法であって、上記基体を上記被成膜面が上面となるように配置し、上記成膜用マスクを上記被成膜面上に載置する第1の工程と、
有機系EL素子用の成膜材料の蒸発物を上記成膜用マスクの上方より上記成膜用マスクをとおして上記被成膜面に真空蒸着させる第2の工程と、を有し、
該第2の工程は、該成膜材料の蒸発物を誘導する誘導経路と、該誘導経路に形成されている噴気口と、を備える蒸着方向誘導手段を用いて行われ、
該誘導経路は途中で複数の経路に分岐し、該複数の経路は上記成膜用マスクの上方で上記成膜用マスクの全体を覆い、該噴気口は各々の該経路に複数個ずつ形成され上記成膜用マスク方向に開口し、
該第2の工程において、該成膜材料の蒸発物自体が、複数の該誘導経路に誘導されるとともに複数の該噴気口を介して上記被成膜面に蒸着することを特徴とする。
【0012】
本発明の薄膜の成膜方法によると、成膜用マスクを基体の被成膜面状に載置することで、成膜用マスクはその全体が基体によって支持される。したがって、成膜用マスクの重力方向のたわみが防止されて目的とする薄膜パターンと成膜用マスクとのあいだに配置のずれが生じることが防止される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる薄膜の成膜方法は、所定のマスクパターンを有する成膜用マスクを基体の被成膜面に対面させた状態で、該マスクパターンを転写するように該被成膜面に薄膜を成膜処理する薄膜の成膜方法である。
【0014】
成膜用マスクには、成膜用マスクに穿設されたマスクの開口部の形状によって所定のマスクパターンが形成される。マスクの開口部は、成膜する薄膜の形状によって種々の形状に形成することができる。また、1個の開口部をマスクパターンとすることもできるし、複数個の開口部をマスクパターンとすることもできる。
【0015】
マスクの開口部の形状は特に限定されるものではなく、複数個の開口部をマスクパターンとする場合の各開口部の配置される方向や数もまた限定されるものではないが、代表的なマスクの開口部の形状としては、1方向に沿って細長く延設されたスリット開口があり、複数のスリット開口からなるマスクパターンは、複数のスリット開口が同方向に並列するものが一般的である。ここで、上述したようにスリット開口の幅を微細幅とする場合、成膜用マスクの板厚は薄いものとなり、成膜用マスクの剛性は低下する。しかし、本発明の薄膜の製造方法によると成膜用マスクの剛性は低いものでもよく、板厚の薄い成膜用マスクを用いることができるため、スリット開口の幅を微細幅にすることが可能となる。
【0016】
成膜用マスクは、鉄,ニッケル,銅,アルミニウム,インバー,モリブデン,コバール,グラファイト,ガラス,シリコン等の、一般に使用される既知の材料を用いて形成することができる。
【0018】
基体に形成する薄膜の厚みは用途などに応じて適宜選択することができ、薄膜の材質もまた適宜選択することができる。
【0019】
基体としては、一般的に用いられるものから用途に応じて選択して使用することができるが、たとえばEL素子等の表示素子の成膜をおこなう場合であれば、ガラス基板を用いることが好ましい。
【0020】
本発明の薄膜の成膜方法は、基体を被成膜面が上面となるように配置し、成膜用マスクを被成膜面上に載置する第1の工程と、成膜材料の蒸発物を成膜用マスクの上方より成膜用マスクをとおして被成膜面に蒸着させる第2の工程とを有する。
【0021】
第1の工程は基体と成膜用マスクとの配置位置を決定する工程である。
【0022】
この第1の工程において基体は被成膜面が上面となるように配置される。ここで基体の下面は開放されている必要がないため、この基体を下面全面で支持することができる。したがって、基体はその剛性に関わらず重力方向へのたわみが抑止された状態で配置される。
【0023】
成膜用マスクはこの基体の被成膜面上に載置される。したがって、成膜用マスクはその全体が基体によって支持される。このため、成膜用マスクが剛性の低い状態に形成されている場合にも、この成膜用マスクに重力方向へのたわみが発生することは抑止される。
【0024】
従って本発明で「上方」と表現する方向は、成膜用マスクが重力方向にたわまず、基体から離れない範囲で傾斜している場合も含む概念である。
【0025】
第2の工程は第1の工程で配置位置が決定された基体と成膜用マスクとに対して薄膜の蒸着を行う工程である。この第2の工程では、第1の工程で配置が決定され準備された成膜用マスクの上方から下方に位置する基体の被成膜面に向けて成膜材料の蒸発物が蒸着される。
【0026】
ここで、成膜用マスクには上述したように所定のマスクパターンとなるように開口部が穿設されている。したがって、成膜用マスクの上方から下方に向けて飛翔した成膜材料の蒸発物は、成膜用マスクの開口部をとおして基体の被成膜面に蒸着される。
【0027】
ここで用いられる成膜材料は特に限定されず、薄膜の用途に応じて種々のものを用いることができる。
【0028】
また、本発明の薄膜の成膜方法において、第2の工程は成膜材料の蒸発物を誘導する誘導経路と、導経路に形成されている噴気口と、を備える蒸着方向誘導手段を用いて行われる。この誘導経路は途中で複数の経路に分岐し、複数の経路は成膜用マスクの上方で成膜用マスクの全体を覆い、噴気口は各々の経路に複数個ずつ形成され成膜用マスク方向に開口する。
【0029】
第2の工程において、成膜材料の蒸発物は成膜用マスクの上方から下方に向けて蒸着される。このため本発明の薄膜の成膜方法では、成膜材料の蒸発物を成膜用マスクの上方より下方に向けて飛翔させるための誘導経路を設ける。例えば真空蒸着法によると、真空状態で蒸着を行うことから成膜材料の蒸発物を下方より上方へすなわち重力と反対方向に飛翔させるよりも、上方より下方へすなわち重力方向に飛翔させる方が容易である。したがって、蒸着方向誘導手段により飛翔方向の位置を下方に誘導することで上方より下方への蒸着を良好に行うことができる。
【0030】
誘導経路は、成膜原料の蒸発物を上方より下方へ誘導するものであればその形状は特に問わない。例えば、成膜原料をるつぼ等の容器内に入れて用いる場合には、るつぼの開口部全体を取り囲み成膜用マスク上方に位置するるつぼの開口部と噴気口とを連通させる湾曲した管状であっても良いし、成膜原料を保持する容器内に誘導経路を設けて容器全体が噴気口と一体化した形状としても良い。
【0031】
また、誘導経路を構成する経路外縁部は既知の種々の材料を用いて形成することができるが、成膜原料の蒸発物が誘導経路内に蒸着されることを防止するためには経路外縁部を加温する加温手段を備えていることが望ましい。
【0032】
噴気口は、成膜用マスクの上方より成膜用マスク方向に開口した形状であればどのような形状であっても良い。噴気口は、複数箇所に配置される。この噴気口は、小径の噴気口が成膜用マスクおよび被成膜面全体に対向するように万遍なくちりばめられた形状に形成されることが特に好ましい。このような形状および配置の噴気口によると、噴気口と成膜用マスクおよび被成膜面との距離を短くしつつ広面積に蒸着することが可能となり、蒸着装置を小型化することが可能になる。
【0033】
また、誘導経路と噴気口とは途中で複数の経路に分岐した形状に形成することもできる。誘導経路と噴気口を複数の経路に分岐した形状とすることで、経路外縁部が小径となるためにこの経路外縁部を一定の温度に加温することが容易となる。
【0035】
また、スパッタリング法等の真空状態で蒸着を行わない方法を用いる場合は、成膜原料の蒸発物を上方より下方へ良好に誘導するために、例えば成膜用マスクおよび基板のさらに下方にヒータ等の加温装置を設けて噴気口より被成膜面へ向けての蒸着方向をさらに誘導することもできる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明の実施例を添付図面を基にして説明する。
<実施例1>
本発明の実施例1の方法における成膜用マスク,基体および蒸着方向誘導手段の摸式斜視図を図2に示し、実施例1の方法による成膜装置の摸式断面図を図3に示す。
【0037】
基体1は石英製の厚さ1.1mm,大きさ200mm×200mmの薄板である。成膜用マスク3は、インバー製の厚さ0.1mm、大きさ220mm×220mmの薄板に、幅0.10mm、長さ90mmのスリット開口部4が互いに平行に480個並設されたマスクパターン5をもつ。マスクパターン5は、成膜用マスク3の基材となる薄板にフォトエッチング法で形成されたものである。
【0038】
第1の工程によって基体1は被成膜面2が上面となるように配置され、この被成膜面2上には成膜用マスク3が載置される。
【0039】
成膜用マスク3の側方には保持容器6が配置され、この保持容器6内部には成膜材料7が入れられている。この保持容器6外部にはヒータ8が配置されている。保持容器6は上方が一部開口した開口部9を有し、この開口部9の外周は、カーボン製の管状の経路外縁基部10によって覆われている。経路外縁基部10は開口部9より成膜用マスク1方向に延び、途中で平行に分枝して成膜用マスク1全体を覆う6本の管状の経路外縁端部11を形成している。この経路外縁基部10および経路外縁端部11の内側が誘導経路12となる。また、各経路外縁端部11の下側には、成膜用マスク1に向けて10mm間隔で噴気口13が開口している。各噴気口13と基体1および成膜用マスクとの距離は5cmとなるように配置されている。本実施例1において、保持容器6,開口部9,経路外縁基部10,経路外縁端部11,誘導経路12および噴気口13によって蒸着方向誘導手段が構成されている。また、本実施例1において上述した各要素は成膜装置14の真空室15内に配置され、この成膜装置14は、真空室15を持つ真空容器16と、真空室15を高真空にする図示しない排気装置17とを有する。また、誘導経路12は経路外縁端部11の外部より経路ヒータ18によって加温されており、誘導経路12内に成膜材料7の蒸発物が蒸着されることが防止されている。
【0040】
本実施例1の薄膜の成膜方法において、第2の工程は以下のように行われる。
【0041】
保持容器6内部の成膜材料7はヒータ8によって加熱され、成膜材料7の蒸発物となる。成膜材料7の蒸発物は、開口部9より保持容器6の外部に移動する。開口部9より保持容器6の外部に移動した成膜材料7の蒸発物は経路外縁基部10および経路外縁端部11内部の誘導経路12により成膜用マスク3の上方に誘導され、誘導経路12と連通する噴気口13より成膜用マスク3の上方から成膜用マスク3を通して基体1の被成膜面2に蒸着される。
<参考例1>
参考例1の方法による成膜装置の摸式断面図を図4に示す。本参考例1の薄膜の成膜方法は、実施例1と同じ基体19および成膜用マスク20を用いて行われた。
【0042】
本参考例1において、真空室21内には基体19および成膜用マスク20をスライド移動させるスライド手段22が配設されている。基体19および成膜用マスク20は実施例1と同様に配置され、スライド手段22上に載置されて真空室21内に配置される。成膜用マスク20の側方には実施例1と同様に実施例1と同じ成膜材料23が入った保持容器24が配置され、この保持容器24外部にはヒータ25が配置されている。保持容器24は実施例1と同様に開口部26を有し、この開口部26の外周は、管状の経路外縁部27によって覆われている。経路外縁部27は開口部26より成膜用マスク20方向に延び、先端が成膜用マスク1に向けて湾曲し開口して噴気口28が形成されている。この噴気口28は基体19および成膜用マスク20より小さく形成され、基体19の被成膜面29の一部に蒸着を行うものである。また、噴気口28と基体19および成膜用マスク20との距離は5cmとなるように配置されている。本参考例1では経路外縁部27の内側が誘導経路30となり、保持容器24,開口部26,経路外縁部27,誘導経路30および噴気部28によって蒸着方向誘導手段が構成されている。また、誘導経路30は実施例1と同様に経路ヒータ31によって加温されている。
【0043】
本参考例1において第1の工程および第2の工程は以下のように行われる。
【0044】
第1の工程において、基体19および成膜用マスク20は、実施例1と同じ配置でスライド手段22上に載置される。ここで、基体19および成膜用マスク20はスライド手段22上に載置されていることから、スライド手段22によってスライド移動が可能となっている。
【0045】
第2の工程において、成膜材料23の蒸発物が噴気口28より成膜用マスク20の上方から成膜用マスク20を通して基体19の被成膜面29に蒸着される際に、基体19および成膜用マスク20はスライド手段22によってスライド移動する。したがって、噴気口28が基体19および成膜用マスク20より小さく形成されているにもかかわらず、成膜材料23の蒸発物は被成膜面29の全面に蒸着される。
<参考例2>
参考例2の方法による成膜装置の摸式断面図を図5に示す。本参考例2の薄膜の成膜方法は実施例1と同じ基体32および成膜用マスク33を用いて行われ、基体32および成膜用マスク33は実施例1と同じ第1の工程によって実施例1と同様に配置された。また成膜材料34としては実施例1と同じものを用いた。
【0046】
本参考例2において、成膜材料34の入った保持容器35は、基体32および成膜用マスク33の二端側から基体32および成膜用マスク33の上方を覆うように中空の下駄状に配置され、基体32および成膜用マスクの上部に噴気口36が開口した形状に形成されている。すなわち本参考例2においては、誘導経路37は保持容器35内に設けられ、噴気口36は保持容器35の一部に設けられている。したがって、本参考例2においては保持容器35が蒸着方向誘導手段となる。この噴気口36は基体32および成膜用マスク33との距離が10cmとなるように配置されている。また、この保持容器35外部には実施例1と同様にヒータ38が配置されている。
【0047】
本参考例2において、第2の工程は以下のように行われる。
【0048】
保持容器35内の成膜材料34はヒータ38によって加熱され成膜材料34の蒸発物となる。この成膜材料34の蒸発物は保持容器35内の誘導経路37によって成膜用マスク33の上方に誘導され、保持容器35の一部に設けられた噴気口36より成膜用マスク33の上方から成膜用マスク33を通して基体32の被成膜面39に蒸着される。
<比較例1>
比較例1の方法による成膜装置の摸式断面図を図6に示す。本比較例1の薄膜の成膜方法は、従来の真空蒸着法によるものである。本比較例1において、基体40は被成膜面41を下方に向けて真空室42上方に設けられた保持部43に保持されている。成膜用マスク44は基材40の下方に基体40と対面して配置され、基体40と同様に保持部43に保持されている。実施例1と同じ成膜材料45が入った保持容器46は、保持容器46の噴気口47と基体40および成膜用マスク44との距離が50cmとなるように真空室42下方に配置されている。
【0049】
本比較例1において、保持容器46内の成膜材料45はヒータ48によって加熱されて成膜材料45の蒸発物となり、噴気口47から上方へ向けて飛翔し、成膜用マスク44を通して基体40の被成膜面41に蒸着される。
<作用>
本発明の実施例1および参考例1〜2の方法によると、基体の被成膜面上に成膜用マスクを載置することから、成膜用マスクはその全体が基体によって支持される。したがって、成膜用マスクの重力方向のたわみが防止されて目的とする薄膜パターンと成膜用マスクとのあいだに配置のずれが生じることが防止される。ここで、実施例1および参考例1〜2の第1の工程で配置された基体および成膜用マスクの配置位置は、比較例1に示されるような従来の配置位置と異なるものである。しかし第2の工程において、成膜材料の蒸発物は成膜用マスクの上方より下方に蒸着されるため、薄膜の形成は良好に行われる。
【0050】
さらに、実施例1および参考例1〜2の方法によると、誘導経路によって蒸着の方向が成膜用マスクの上方より下方に誘導されているため、成膜材料の蒸発物はより確実に成膜用マスクの上方から下方へと誘導されることとなる。
【0051】
実施例1の薄膜の成膜方法によると、各噴気口が成膜用マスクおよび基体の全体に配置されていることから噴気口と成膜用マスクおよび基体との距離を短くしつつ被成膜面全体に良好に薄膜を成膜することができる。
【0052】
参考例1の薄膜の成膜方法によると、基体および成膜用マスクをスライド移動させつつ蒸着を行うことが可能であるため、噴気口と基体および成膜用マスクとの距離とを短くしつつ成膜材料の蒸発物が被成膜面以外の場所に蒸着されることが防止され、成膜材料の歩留まりが向上する。また、噴気口と基体および成膜用マスクとの距離とを短くしつつ種々の大きさおよび形状の薄膜を成膜することが可能となる。
【0053】
参考例2の薄膜の成膜方法によると、噴気口と基体および成膜用マスクとの距離を短くするとともに、保持容器の容量を増大させることができるため、保持容器に成膜材料を投入する工程を減少させることができる。また、設備停止時間が短くなることから生産性が向上する。
<たわみ試験>
実施例1、参考例1〜2および比較例1の薄膜の成膜方法において、成膜用マスクと基体との間に生じたたわみを測定した。たわみの測定は、成膜用マスクと基体とを配置した状態で成膜用マスクと基体とが最も離れている部分の長さを三次元計測器によって測定することで行った。各成膜方法によるたわみの長さを表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
表1に示すように、実施例1および参考例1〜2の成膜方法で生じるたわみはほとんどないのに対し、比較例1の成膜方法で生じるたわみの長さは0.10mmと非常に大きくなっている。したがって、本発明の薄膜の成膜方法によると基体と成膜用マスクとのたわみが低減されることで、目的とする薄膜パターンと実際に得られる薄膜パターンとの寸法誤差を低減することが可能となり、寸法精度の高い薄膜パターンを成膜することが可能となる。
【0056】
また、本発明の実施例の薄膜の成膜方法によると、比較例1の薄膜の成膜方法と比べて基体および成膜用マスクと噴気口との距離を短くすることが可能になり、成膜用装置を小型化することが可能になる。
【0057】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明の薄膜の成膜方法によると、成膜された薄膜の寸法誤差を低減させ寸法精度をより向上させることが可能となる。また、噴気口と成膜用マスクおよび基体との距離を短くすることができるため、薄膜の成膜を省スペースで行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の薄膜の形成方法における成膜用マスクのたわみに起因する薄膜集合体の寸法誤差を模式的に表す図である。
【図2】本発明の実施例1の方法における成膜用マスク,基体および蒸着方向誘導手段を示す摸式斜視図である。
【図3】本発明の実施例1の方法による成膜装置を示す摸式断面図である。
【図4】参考例1の方法による成膜装置を示す摸式断面図である。
【図5】参考例2の方法による成膜装置を示す摸式断面図である。
【図6】比較例1の方法による成膜装置を示す摸式断面図である。
【符号の説明】
100:基体 101:成膜用マスク 102:マスク端部
103:隙間 104:目的とする薄膜パターン 105:配置のずれ 106:被成膜面 107:実際に得られる薄膜パターン
1:基体 2:被成膜面 3:成膜用マスク 4:スリット開口部
5:マスクパターン 6:保持容器 7:成膜材料 8:ヒータ
9:開口部 10:経路外縁基部 11:経路外縁端部 12:誘導経路
13:噴気口 14:成膜装置 15:真空室 16:真空容器
17:排気装置 18:経路ヒータ
19:基体 20:成膜用マスク 21:真空室 22:スライド手段
23:成膜材料 24:保持容器 25:ヒータ 26:開口部
27:経路外縁部 28:噴気口 29:被成膜面 30:誘導経路
31:経路ヒータ
32:基体 33:成膜用マスク 34:成膜材料 35:保持容器
36:噴気口 37:誘導経路 38:ヒータ 39:被成膜面
40:基体 41:被成膜面 42:真空室 43:保持部
44:成膜用マスク 45:成膜材料 46:保持容器 47:噴気口
48:ヒータ
Claims (1)
- 所定のマスクパターンを有する成膜用マスクを基体の被成膜面に対面させた状態で、該マスクパターンを転写するように該被成膜面に薄膜を成膜処理する薄膜の成膜方法であって、
前記基体を前記被成膜面が上面となるように配置し、前記成膜用マスクを前記被成膜面上に載置する第1の工程と、
有機系EL素子用の成膜材料の蒸発物を前記成膜用マスクの上方より前記成膜用マスクをとおして前記被成膜面に真空蒸着させる第2の工程と、を有し、
該第2の工程は、該成膜材料の蒸発物を誘導する誘導経路と、該誘導経路に形成されている噴気口と、を備える蒸着方向誘導手段を用いて行われ、
該誘導経路は途中で複数の経路に分岐し、該複数の経路は前記成膜用マスクの上方で前記成膜用マスクの全体を覆い、該噴気口は各々の該経路に複数個ずつ形成され前記成膜用マスク方向に開口し、
該第2の工程において、該成膜材料の蒸発物自体が、複数の該誘導経路に誘導されるとともに複数の該噴気口を介して前記被成膜面に蒸着することを特徴とする薄膜の成膜方法。
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