JP4061440B2 - オリゴシラニルエノールエーテル誘導体の製造方法 - Google Patents

オリゴシラニルエノールエーテル誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケトン、アルデヒドなどのカルボニル化合物からオリゴシラニルエノールエーテル誘導体を製造する工業的に有利な方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ケトンやアルデヒドのエノール体を有機ケイ素基で保護したシリルエノールエーテルは、有機合成の中間体として非常に有用であり、その製造方法として多くの方法が開発されてきた((1)P.Brownbridge,Synthesis,1(1983),85(1983)及びその引用文献)。しかし、一般にこれらの誘導体はケイ素原子1個からなるトリオルガノシリル基に終始しており、複数のケイ素を含むオリゴシリル基が、t−ブチルジメチルシリル基と同じように立体障害の大きい、優れた保護基になり得る可能性があるだけでなく、ケイ素−ケイ素の相互作用によりt−ブチルジメチルシリル基に比べて脱離も容易であると考えられるにもかかわらず、また、ケイ素−ケイ素結合とエノール結合との相互作用による新規な反応性、物性が期待されるにもかかわらず、従来オリゴシリル基誘導体の報告はなかった。
【0003】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、オリゴシラニルエノールエーテル誘導体を容易にかつ工業的有利に製造する方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、シリルアミンと有機ハロゲン化合物との反応によって生成する塩がヨードシランと同様の反応性をもち、カルボニル化合物のエノール体を有効に捕捉し、シリルエノールエーテルを高収率で与えることを見出した(特願平8−266778号)。一般に、ケイ素−ケイ素結合は切断され易い結合であるが、この反応を鋭意検討した結果、ケイ素−ケイ素結合を有する化合物、即ちアミノオリゴシランを用いてもケイ素−ケイ素結合が切断されることなくカルボニル化合物のオリゴシラニルエノールエーテルを合成できることを見出し、本発明に至った。
【0005】
即ち、本発明は、下記一般式(1)で表されるアミノオリゴシランと、下記一般式(2)で表される有機ハロゲン化合物とを用いてカルボニル化合物と反応させることを特徴とするオリゴシラニルエノールエーテル誘導体の製造方法を提供する。
【0006】
【化2】
Figure 0004061440
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜15の非置換又は置換一価炭化水素基、−NR1 2で示されるアミノ基、ケイ素原子数1〜5のケイ素原子鎖の各ケイ素原子にR又は−NR1 2が結合した有機ケイ素基であり、各Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。あるいは2個のRが互いに結合して炭素数4〜9の環状有機基を形成してもよい。R1は互いに同一又は異種の炭素数1〜20の非置換又は置換一価炭化水素基を示す。あるいは2個のR1が互いに結合して炭素数4〜9の環状有機基を形成してもよい。R2は炭素数1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基、Xはヨウ素又は臭素を示す。)
【0007】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明のオリゴシラニルエノールエーテル誘導体の製造方法において、第1の原料は、下記一般式(1)で示されるアミノオリゴシランである。
【0008】
【化3】
Figure 0004061440
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜15の非置換又は置換一価炭化水素基、−NR1 2で示されるアミノ基、ケイ素原子数1〜5のケイ素原子鎖の各ケイ素原子にR又は−NR1 2が結合した有機ケイ素基であり、各Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。あるいは2個のRが互いに結合して炭素数4〜9の環状有機基を形成してもよい。R1は互いに同一又は異種の炭素数1〜20の非置換又は置換一価炭化水素基を示す。あるいは2個のR1が互いに結合して炭素数4〜9の環状有機基を形成してもよい。)
【0009】
ここで、上記Rの一価炭化水素基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基のような脂肪族炭化水素基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基のような脂環式炭化水素基、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、3−ブテニル基のようなアルケニル基などの脂肪族又は脂環式不飽和炭化水素基、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、ベンジル基、2−フェニルエチル基のようなアリール基、アラルキル基などの芳香環を有する炭化水素基が挙げられ、またこれらの基の一部又は全部がフッ素原子等のハロゲン原子などで置換された基、例えばやトリフルオロプロピル基などを挙げることもできる。更に、Rが−NR1 2基(R1は後述)であるポリアミノオリゴシランを例示することができる。
【0010】
Rが有機ケイ素基であるものとしては、1,1,2,2,3,3,3−ヘプタメチルトリシラニル基、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタメチルトリシラニル基、1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナメチルテトラシラニル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,5−ウンデカメチルペンタシラニル基などが例示される。従って、本発明のアミノオリゴシランとしては、下記式に示すように、アミノジシランのほか、アミノトリシラン、アミノテトラシランなどや、ジアミノジシラン、ジアミノトリシラン、ジアミノテトラシランなどを含むものである。
【0011】
【化4】
Figure 0004061440
【0012】
また、2個のRが結合して環状有機基を形成する例としては、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等のアルキレン基を挙げることができ、これらがケイ素原子と結合して環状シリル基となる例を挙げることができる。この場合、上記アルキレン基はケイ素原子、酸素原子、窒素原子などの異種原子が介在していてもよく、例えば式(1)のアミノオリゴシランとして下記のものが挙げられる。
【0013】
【化5】
Figure 0004061440
【0014】
また、一般に、アミンはシリル化されることによって塩基性が弱くなるため、有機ハロゲン化合物と塩を生成する性質が弱くなることが知られている。本発明における式(1)のR3SiR2SiNR1 2は有機ハロゲン化合物と塩を生成し、シリル化剤として作用していると考えられるので、R1はアミノオリゴシランがハロゲン化合物と塩を生成するのを阻害するほど塩基性を低下させることなく、かつ生成した塩がシリル化反応を阻害しないものであれば特に限定されないが、R1の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基のような飽和脂肪族炭化水素基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基のような脂環式炭化水素基、アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基のような脂肪族又は脂環式不飽和炭化水素基、ベンジル基、2−フェニルエチル基のようなアラルキル基などの芳香環を有する炭化水素基、これらの炭化水素基の一部又は全部の水素原子がハロゲン原子で置換されたハロゲン原子置換炭化水素基が挙げられる。また、2個のR1が環状有機基を形成する例としては、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等のアルキレン基、これらアルキレン基中に酸素原子、窒素原子、硫黄原子などの異種の原子が介在したもの、例えば2個のR’が酸素原子でつながったモルフォリノ基などが挙げられ、下記のアミノオリゴシランを例示することができる。
【0015】
【化6】
Figure 0004061440
【0016】
次に、本発明においては、下記一般式(2)
2X …(2)
(式中、R2は炭素数1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基、Xはヨウ素又は臭素を示す。)
で示される有機ハロゲン化合物を使用する。
【0017】
本発明における有機ハロゲン化合物は、上記アミノオリゴシランと塩を生成し、シリル化力の発揚を促すものであれば特に限定されるものではないが、好ましくはヨウ素はsp3炭素に結合した誘導体であり、更に臭素化合物としてはsp3炭素の中でも反応性の高いアリル基、ベンジル基に結合したものである。ヨウ素に対してのR2の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロヘキシル基等の脂肪族炭化水素基、アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の不飽和炭化水素基、ベンジル基、1−フェニルエチル基等のアラルキル基が例示される。
【0018】
本発明においては、上記アミノオリゴシランと有機ハロゲン化合物とを使用してカルボニル化合物を処理するものであるが、本発明において、カルボニル化合物の種類としてはエノール構造を取り得るもの、即ちカルボニルのα位に水素を有するケトン、アルデヒドのことを意味する。エノール構造を取るカルボニル化合物であればいずれのものでもよく、またカルボニル基は1個に限らず、2個以上含んでいてもよく、複数のカルボニル基を有する場合、それぞれのカルボニル基のα位の炭素原子に水素原子が結合したものであれば、各部位においてシリルエノールエーテル化が行われる。
【0019】
このようなカルボニル化合物としては、例えば下記一般式(3)で表されるものを用いることができるが、これに制限されるものではない。
【0020】
【化7】
Figure 0004061440
【0021】
上記式(3)において、R3,R4,R5は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜20、特に1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基、あるいはR3とR4又はがR3とR5が結合して式(3)の化合物を炭素数2〜20、特に2〜14の環状化合物とする非置換又は置換二価炭化水素基である。この場合、R3,R4,R5の一価又は二価炭化水素基において、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が介在していてもよい。一価炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられ、二価炭化水素基としては、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、アラルキレン基などが挙げられ、これらの基には上述したように炭素原子以外の異種原子が介在していてもよい。また、置換の一価又は二価炭化水素基は、その水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、シアノ基、アルコキシ基など、シリルエノールエーテル化を妨げない原子又は基で置換したものが挙げられる。更にこの場合、R3,R4,R5の一価又は二価炭化水素基はカルボニル基を有していてもよく、このカルボニル基のα位の炭素原子に水素原子を有する場合、この部位にはシリルエノールエーテル化が行われる。
【0022】
上記カルボニル化合物として具体的には、下記のものなどが例示される。
(ケトンの例)
(1)鎖状ケトン
2−プロパノン(アセトン)、2−ブタノン、3−メチル−2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、3−エチル−2−ペンタノン、2−メチル−3−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2,2−ジメチル−3−ペンタノン、2,2,4−トリメチル−3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、3−メチル−2−ヘキサノン、4−メチル−2−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−メチル−3−ヘキサノン、4−メチル−3−ヘキサノン、5−メチル−3−ヘキサノン、2,5−ジメチル−3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−メチル−3−ヘプタノン、2−メチル−4−ヘプタノン、5−メチル−3−ヘプタノン、6−メチル−2−ヘプタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、4−オクタノン、5−メチル−2−オクタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、4−ノナノン、5−ノナノン、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、2−ウンデカノン、3−ウンデカノン、4−ウンデカノン、5−ウンデカノン、6−ウンデカノン、2−メチル−4−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノン、5−ドデカノン、3−ブテン−2−オン、5−ヘキセン−2−オン、3−ヘプテン−2−オン、3−オクテン−2−オン、3−ノネン−2−オン、3−デセン−2−オン
(2)鎖状ジケトン
2,3−ブタンジオン、2,4−ペンタンジオン、2,5−ヘキサンジオン、2,3−ヘプタンジオン
(3)環状ケトン
シクロペンタノン、3−メチルシクロ−2−ペンテノン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、2,5−ジメチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、4,4−ジメチルシクロヘキサノン、3,5−ジメチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロノナノン、シクロデカノン、シクロウンデカノン、シクロドデカノン、シクロペンタデカノン、シス−1−デカロン、トランス−1−デカロン、トランス−2−デカロン、シクロペンテノン、3−メチル−2−シクロペンテノン、シクロヘキセノン、5−シクロヘキサデセン−1−オン
(4)環状ジケトン
1,3−シクロペンタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロヘキサンジオン、1,4−シクロヘキサンジオン、2−メチル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−メチル−1,3−シクロヘキサンジオン、ジメドン
(5)芳香族ケトン
アセトフェノン、プロピオフェノン、n−ブチロフェノン、iso−ブチロフェノン、n−バレロフェノン、iso−バレロフェノン、ヘプタノフェノン、オクタノフェノン、ノナノフェノン、デカノフェノン、ウンデカフェノン、ドデカフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ジベンジルケトン、α−テトラロン、β−テトラロン
【0023】
(アルデヒドの例)
アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、シクロヘキサンカルバルデヒド、2−ヘキセン−1−アール、2−ドデセン−1−アール、フェニルアセトアルデヒド
【0024】
本発明の系において使用される溶媒の種類は、アミノオリゴシラン、ヨウ素化合物、及び反応によって生成する塩等に対して不活性なものであれば特に限定されるものではないが、好ましくは石油エーテル、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素、あるいはジエチルエーテルのようなエーテル系の溶媒が例示される。また、本発明における反応では、アミノオリゴシラン、有機ハロゲン化合物や副生するアミン塩によって影響を受けることがほとんどないので、通常の有機反応に従えば反応温度は特に限定する必要はないが、実施的見地から考えて10〜120℃が好ましい。
【0025】
本発明の反応においては、アミノオリゴシランはケイ素の供給源として、また有機ハロゲン化合物は最終的には塩として消費される。従って、アミノオリゴシランの量はカルボニル化合物と比較してどちらが入手困難であるかによって決まってくるものであり、一義的には決められないが、アミノオリゴシランはカルボニル化合物に対して0.5〜5倍モル、好ましくは0.9〜1.5倍モルである。一方、有機ハロゲン化合物はアミノオリゴシランと塩を生成するのに十分な量であればよく、アミノオリゴシランに対し1〜5倍モル、好ましくは1〜3倍モルである。
【0026】
本発明によれば、上記カルボニル化合物のカルボニル基がシリルエノールエーテル化し、該カルボニル基の炭素原子とα位の炭素原子とが二重結合化されたオリゴシラニルエノールエーテル誘導体を得ることができ、例えば上記式(3)のカルボニル化合物の場合であれば、下記一般式(4)に示される化合物を収率よく得ることができる。
【0027】
【化8】
Figure 0004061440
【0028】
なお、式中、R,R3,R4,R5は上記と同様の意味を示すが、R3,R4がカルボニル基を有しかつそのα位の炭素原子に水素原子を有する場合はこの部位に同様のシリルエノールエーテル化が起こる。
【0029】
【実施例】
以下、合成例及び実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基を示す。
【0030】
〔合成例1〕
磁気撹拌機、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えた4ツ口のフラスコにヘキサメチルジシラン(282g、2.0モル)と昇華生成した塩化アルミニウム(5.0g)を仕込んだ。内温を25℃に保ちながら塩化水素を吹き込み、GCで追跡しながら原料のヘキサメチルジシランが85%消費されるまで反応させた。撹拌機、コンデンサー、滴下ロート及び温度計を備え、ピロリジン(298.2g、4.2モル)と石油エーテル800mlを仕込んだ4ツ口のセパラブルフラスコに上記反応混合物を1〜1.5時間かけて滴下した。40〜50℃で3〜4時間反応した後、生成した塩を除き、濾液を濃縮し、減圧蒸留すると、ペンタメチルピロリジノジシランが72℃/10mmHgの留分として243g(ヘキサメチルジシランに対する収率:60%)得られた。構造は、スペクトルデータにより決定した。
【0031】
【化9】
Figure 0004061440
IRスペクトル特性吸収
1244cm-1(SiMe3
NMR
1H−NMR(溶媒:PhH,内部標準:SiMe3
0.00ppm(s,9H,−Si(Me)3
0.07ppm(m,6H,−Si(Me)2−)
1.20〜1.70ppm(m,4H,−C−CH2−C−)
2.57〜2.97ppm(m,4H,−C−CH2−N−)
GC−MS
923NSi2 分子量201(M+
【0032】
〔合成例2〕
合成例1に従い、ヘキサメチルジシラン(438g、3.0モル)と塩化水素ガスを塩化アルミニウム(10.0g)を用いて反応させ、その後石油エーテル1000mlに溶かしたジエチルアミン(511g、7.0モル)と反応させた。生成した塩を除き、濾液を濃縮し、減圧蒸留すると、ペンタメチルジエチルアミノジシランが67〜68℃/15mmHgの留分として310g(ヘキサメチルジシランに対する収率:50%)得られた。構造は、スペクトルデータにより決定した。
【0033】
【化10】
Figure 0004061440
IRスペクトル特性吸収
1244cm-1(SiMe3
NMR
1H−NMR(溶媒:PhH,内部標準:SiMe3
0.00ppm(s,9H,−Si(Me)3
0.07ppm(m,6H,−Si(Me)2−)
0.83ppm(t,J=6Hz,6H,−C−CH3−)
2.67ppm(q,J=6Hz,4H,−C−CH2−N−)
GC−MS
923NSi2 分子量203(M+
【0034】
〔合成例3〕
1−フェニル−1,1,2,2−テトラメチル−2−クロロジシラン(112g、0.49モル)をヘキサン800mlに溶かしたピロリジン(83.5g、1.18モル)と40〜45℃で2時間反応させた。生成した塩を除き、濾液を濃縮し、減圧蒸留すると、1−フェニル−1,1,2,2−テトラメチル−2−ピロリジノジシランが119〜121℃/3mmHgの留分として103g(収率:80%)得られた。構造は、スペクトルデータにより決定した。
【0035】
【化11】
Figure 0004061440
IRスペクトル特性吸収
1244cm-1(SiMe3
3066cm-1(芳香環水素)
NMR
1H−NMR(溶媒:なし,内部標準:SiMe3
0.00ppm(s,6H,−Si(Me)3−C)
0.18ppm(s,6H,−Si(Me)2−N)
1.0〜1.7ppm(m,4H,−C−CH2−C−)
2.2〜3ppm(m,4H,−C−CH2−N−)
6.6〜7.4ppm(m,5H,Ph)
GC−MS
1423NSi2 分子量263(M+
【0036】
〔実施例1〕
撹拌機、コンデンサー、滴下ロート及び温度計を備えた4ツ口のセパラブルフラスコにペンタメチルピロリジノジシラン(48.2g、0.24モル)、ヨウ化メチル(42.6g、0.3モル)及びベンゼン(100ml)を仕込み、50〜60℃で1時間加熱撹拌した。50〜60℃に保ちながらシクロヘキサノン(19.6g、0.2モル)を0.5時間かけて滴下した。滴下後、ガスクロマトグラフで原料の消失を確認した後、反応混合物を冷却し、アンモニウム塩を濾過により除き、濾液からベンゼンを減圧下に留去した後、生成物を減圧蒸留することにより、84〜85℃/3mmHgの留分の無色透明な液体として1−ペンタメチルジシラニルオキシシクロヘキセンを39.8g(収率87%)得た。構造は、スペクトルデータにより確認した。
【0037】
【化12】
Figure 0004061440
IRスペクトル特性吸収
3048,1668cm-1(C=C)
1246cm-1(SiMe3
NMR
1H−NMR(溶媒:CCl4,内部標準:SiMe3
0ppm(s,9H,Si(Me)3
0.17ppm(s,6H,−Si(Me)2−)
1.0〜1.7ppm(m,4H,−(CH22−)
1.6〜2.2ppm(m,4H,−CH2C=CCH2−)
4.5〜4.8ppm(m,1H,−C=CH−)
GC−MS
1124OSi2 分子量228(M+
【0038】
〔実施例2〜5〕
実施例1に従い、ベンゼン中でペンタメチルピロリジノジシラン及びヨウ化メチルを50〜70℃で1〜2時間反応させた後、2−メチルシクロヘキサノン、シクロオクタノン、シクロドデカノン、4−ヘプテンをそれぞれ反応させた。反応条件、反応結果を表1に、また生成物のスペクトルデータを表2に示した。
【0039】
【表1】
Figure 0004061440
【0040】
【表2】
Figure 0004061440
【0041】
〔実施例6〕
実施例1に従い、ベンゼン(100ml)中で、ジエチルアミノペンタメチルジシラン(73.1g、0.36モル)及びヨウ化メチル(56.8g、0.4モル)を60〜70℃で1.5時間加熱撹拌した後、シクロヘキサノン(29.4g、0.3モル)を65〜70℃で1時間反応させることにより、1−ペンタメチルジシラニルオキシシクロヘキセンを56.1g(収率82%)得た。
【0042】
〔実施例7〕
実施例6に従い、ベンゼン(100ml)中で、ジエチルアミノペンタメチルジシラン(48.7g、0.24モル)及びヨウ化メチル(42.6g、0.3モル)を70〜75℃で1時間加熱撹拌した後、2−メチルシクロヘキサノン(22.4g、0.2モル)を65〜70℃で2時間反応させることにより、1−ペンタメチルジシラニルオキシ−2−メチルシクロヘキセンと1−ペンタメチルジシラニルオキシ−6−メチルシクロヘキセンの75:25の混合物を40.9g(収率84%)得た。
【0043】
〔実施例8〕
実施例1に従い、ベンゼン(100ml)中で、2−フェニル−1,1,2,2−テトラメチル−ピロリジノジシラン(42.1g、0.16モル)及びヨウ化メチル(31.2g、0.22モル)を50〜55℃で2時間加熱撹拌した後、シクロヘキサノン(18.8g、0.19モル)を55〜60℃で1時間反応させることにより、2−フェニル−1,1,2,2−テトラメチルジシラニルオキシシクロヘキセンを43.9g(収率95%)得た。構造は、スペクトルデータにより確認した。
【0044】
【化13】
Figure 0004061440
IRスペクトル特性吸収
1246cm-1(SiMe3
1668cm-1(シクロヘキセン二重結合)
3000〜3100cm-1(芳香環水素、不飽和結合水素)
NMR
1H−NMR(溶媒:なし,内部標準:SiMe3
0.00ppm(s,6H,−Si(Me)3−C)
0.17ppm(s,6H,−Si(Me)3−O)
1〜1.6ppm(m,4H,−C−CH2−C−)
1.1〜2ppm(m,4H,−CH2−C=)
4.3〜4.6ppm(m,1H,−CH=)
6.7〜7.4ppm(m,5H,Ph)
GC−MS
1626OSi2 分子量290(M+
【0045】
〔実施例9〕
実施例1に従い、ベンゼン(140ml)中で、ペンタメチルピロリジノジシラン(58.3g、0.29モル)及びヨウ化メチル(51.1g、0.36モル)を55〜60℃で2時間加熱撹拌した後、シクロヘキサン−1,4−ジオン(13.4g、0.12モル)を60〜65℃で2時間反応させることにより、1,4−ビス(ペンタメチルジシラニルオキシ)−1,3−シクロヘキサジエン及び1,4−ビス(ペンタメチルジシラニルオキシ)−1,4−シクロヘキサジエンの63:37の混合物を34.6g(収率78%)得た。構造は、スペクトルデータにより確認した。
【0046】
【化14】
Figure 0004061440
IRスペクトル特性吸収
3054,1680cm-1(C=C)
1248cm-1(SiMe3
NMR
1H−NMR(溶媒:CCl4,内部標準:SiMe3
0ppm(s,18H,Si(Me)3
0.17ppm(s,12H,−Si(Me)2−)
2.13ppm(s,4H,−(CH22−)
4.67ppm(s,2H,−C=CH−)
GC−MS
2236OSi2 分子量372(M+
【0047】
【化15】
Figure 0004061440
IRスペクトル特性吸収
3054,1654cm-1(C=C)
1248cm-1(SiMe3
NMR
1H−NMR(溶媒:CCl4,内部標準:TMS)
0ppm(s,18H,Si(Me)3
0.17ppm(s,12H,−Si(Me)2−)
2.5〜2.7ppm(m,4H,−C=CH−)
4.4〜4.6ppm(m,2H,−C=CH−)
GC−MS
2236OSi2 分子量372(M+
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、アミノオリゴシランと有機ヨウ素化合物という入手が容易で、取扱い易い反応剤を用いてオリゴシラニルエノールエーテル誘導体を工業的に有利に製造できる。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0004061440
    (式中、Rは水素原子、炭素数1〜15の非置換又は置換一価炭化水素基、−NR1 2で示されるアミノ基、ケイ素原子数1〜5のケイ素原子鎖の各ケイ素原子にR又は−NR1 2が結合した有機ケイ素基であり、各Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。あるいは2個のRが互いに結合して炭素数4〜9の環状有機基を形成してもよい。R1は互いに同一又は異種の炭素数1〜20の非置換又は置換一価炭化水素基を示す。あるいは2個のR1が互いに結合して炭素数4〜9の環状有機基を形成してもよい。)
    で表されるアミノオリゴシランと、下記一般式(2)
    2X …(2)
    (式中、R2は炭素数1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基、Xはヨウ素又は臭素を示す。)
    で表される有機ハロゲン化合物とを用いてカルボニル化合物と反応させることを特徴とするオリゴシラニルエノールエーテル誘導体の製造方法。
  2. 式(1)のアミノオリゴシランがジシラニンである請求項1記載の製造方法。
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