JP4056147B2 - 電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムイオン二次電池等の発電要素をアルミニウムケース内に収容して構成した電池に関し、特に電極部となるアルミニウムケースへの電気的接続を容易にした電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、携帯用電子機器の電源として用いられる二次電池は、高エネルギー密度であることが要求されると同時に、軽量化や小型化のためにスペース使用効率のよい形状が要求されている。これらの要求を満たす電池として角形のアルミニウムケースを用いたリチウムイオン二次電池が脚光をあびている。
【0003】
このリチウムイオン二次電池は、その構造上からも長期にわたって安定した密閉性が要求されるため、有底角形ケースの開口端に封口板をレーザー溶接により接合して開口端を封口する。この封口板には負極端子となるリベットが前記封口板と絶縁して取り付けられ、角形ケースを正極端子として電池の正負両電極端子が構成されている。
【0004】
正負両電極端子には、電池を使用する機器に対して電気的接続を行うためにリード接続する必要があるが、角形ケースがアルミニウム材で形成されている場合に、抵抗溶接や半田付けが困難であるため、リード接続が容易な金属板を角形ケースに接合した構造が採用されている。前記金属板として、アルミニウム板とニッケル板とをクラッド接合したものを角形ケースの底面に超音波溶接しておくことにより、ニッケル板にリードを抵抗溶接あるいは半田付けすることが容易となる。たとえば、特開平9−320565においては、そのようなリードを使用することが開示されている。しかしながら、それだけでは不十分で、クラッド材中のアルミニウム板の厚さがニッケル板に対し十分厚くない場合、リード板とケースの接合状態が十分でないという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
角形ケースにリード接続するためには、前記クラッド材のニッケル板にリードを抵抗溶接する手段が多く用いられるが、その溶接時の熱が角形ケース内に熱的影響を与えないように速やかになされることが必要である。そのため、前記ニッケル板より抵抗溶接の溶接性のよい材質あるいは熱的影響を及ぼし難い材質が要求されている。
【0006】
本発明の目的とするところは、アルミニウム材からなる電池ケースへのリードの接続を容易に行うことができる電池を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明は、アルミニウム材を有底筒状に形成した電池ケース内に発電要素を収容し、この電池ケースの開口端を封口板により密閉封止した電池において、前記電池ケースの底面に、ステンレス板とアルミニウム板とを接合し、アルミニウム板の板厚が、ステンレス板の板厚の2倍以上であるクラッド材を、アルミニウム板側を電池ケース側にして超音波溶接により接合したことを特徴とする。
【0008】
電池の正極端子となる電池ケースはアルミニウム材で形成されているためリード接続が困難であるが、電池ケースの底面にクラッド材が接合されているので、このクラッド材を構成するステンレス板にリードを抵抗溶接あるいは半田付けすることが容易となる。ステンレス材は熱伝導性が小さいため、抵抗溶接等によるリード接続時の熱が電池ケースに伝わり難く熱的影響を及ぼすことが抑制される。また、ステンレス材はその電気抵抗が大きいため抵抗溶接の溶接性に優れているため、抵抗溶接によるリード接続を迅速に且つ確実に実施することができる。
【0009】
特に、上記構成におけるクラッド材を構成するアルミニウム板の板厚が、ステンレス板の板厚の2倍以上に形成されていることによって、ステンレス板の厚さは必要最低限とし、アルミニウム材である電池ケースにクラッド材を超音波溶接により接合するために必要なアルミニウム板の厚さを確保することができる。
【0010】
また、クラッド板をケース底面に超音波溶接することによって、アルミニウム板に対するクラッド材の接合を容易に行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態について説明し、本発明の理解に供する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る角形電池の構成を示しており、角形電池は、アルミニウム材を有底角筒形状に形成した角形ケース1内に発電要素を収容し、その開口端に封口板2をレーザー溶接することにより、角形ケース1内を密閉封止して構成されている。前記封口板2にはニッケルメッキされた鉄製のリベット5が封口板2と絶縁して取り付けられ、発電要素に接続されて電池の負電極端子となり、角形ケース1が正電極端子となるように電池電極が形成されている。従って、この角形電池を電源として使用する機器に対する電気的接続は、角形ケース1とリベット5とにリード接続されることになる。リベット5は前記のようにニッケルメッキされた鉄製であるので、抵抗溶接等によりリードを接合することは容易に行えるが、アルミニウム製である角形ケース1に対する抵抗溶接や半田付けが困難であるため、角形ケース1に対するリード接合を容易に行い得るようにするため、角形ケース1の底面にクラッド材4が超音波溶接されている。
【0013】
前記クラッド材4は、図2に示すように、アルミニウム板4aとステンレス板4bとをクラッド接合して構成されており、アルミニウム板4a側を角形ケース1に向けて超音波溶接により角形ケース1の底面に接合される。本実施形態におけるクラッド材4は、アルミニウム板4aの厚さを0.2mm、ステンレス板4bの厚さを0.05mmに形成しているが、この厚さ比率はアルミニウム板4aがステンレス板4bの2倍以上になるように形成することが望ましい。ステンレス板4bは抵抗溶接や半田付けを容易に行い得るので角形ケース1に対するリード接続が容易となり、また、ステンレス材は熱伝導性が小さいのでリード溶接時の熱が角形ケース1側に伝導し難く角形ケース1内に熱的影響を与えることを抑えることができる。また、アルミニウム板4aをアルミニウム材で形成された角形ケース1に当接させ、ステンレス板4bに超音波溶接ポイントを当てて超音波加振し、アルミニウム板4aと角形ケース1との間を超音波溶接する。溶接はアルミニウムの同質材間の溶接となり、溶接による接合が確実になされる。尚、図1(c)に示す複数の凹部9は、前記超音波溶接ポイントの当接跡である。
【0014】
クラッド材は上述のように厚み0.2mmのアルミニウム板と厚み0.05mmのステンレス板を張り合わせたものを使用したが、超音波溶接でアルミケースに接合する場合、このアルミニウム板とステンレス板の厚みの比が接合強度に大きく影響することがわかった。理由は明白ではないが以下のように考察する。
【0015】
超音波溶接は接点に振動を与え、その摩擦熱により物質を接合する方法である。その際、接点周辺の温度や伝熱・蓄熱といった環境が近いほど強固に接合できると考えられる。従って、接点が同じ物質からなることが最も望ましい。以上の観点で本願のクラッド材を考えると、アルミニウムのように比較的熱伝導性の良い金属とステンレスのように比較的熱伝導性の悪い金属を張り合わせた材料であるから、他の金属製部品とアルミニウム部分を溶接する場合、その条件にもよるが、ステンレス部分が溶接部の伝熱・蓄熱といった環境に影響を与えることが予想される。つまり、本願において溶接するケース側のアルミニウムとクラッド材側のアルミニウムの状態が異なり、このことが接合強度に大きく影響していると考えられる。以上のことから、アルミニウム板の厚みがステンレス板の厚みよりも大きいほうが接合強度があがると考えられる。図3にクラッド材のアルミニウム部分とステンレス部分の厚み比を変えて、ケースとの接合強度を測定した結果を示した。図より、アルミニウム厚み/ステンレス厚みの比が2以上で急激に接合強度が増加していることがわかる。
【0016】
従って、本願のクラッド材はアルミニウム厚み>ステンレス厚みとすることが好ましく、その比は2以上がより好ましい。
【0017】
上記構成になる角形電池の正負両電極端子にそれぞれリードを接続して電池パックを構成した例を図4に示している。
【0018】
図4に示すように、負電極端子となるリベット5に負極リード6の一端を抵抗溶接し、正電極端子となるクラッド材4に正極リード7の一端を抵抗溶接して正負両極を引き出し、負極リード6及び正極リード7それぞれの他端に充電制御回路を構成する回路基板8を接続することにより、充電制御回路を備えた電池パックが構成される。
【0019】
【発明の効果】
以上の説明の通り本発明によれば、角形ケースの底面にステンレス板とアルミニウム板とを接合したクラッド材が接合されているので、正極電極端子となる角形ケースにリードを接続するとき、抵抗溶接や半田付けが容易なステンレス板を利用することができ、リード接続が容易な角形電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る角形電池の構成を示す(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は側面図。
【図2】クラッド材の構成を示す断面図。
【図3】クラッド材のアルミニウム部分とステンレス部分の厚み比と、ケースとの接合強度の相関を示すグラフ。
【図4】角形電池にリード接続してパック電池を構成した例を示す斜視図。
【符号の説明】
1 角形ケース
2 封口板
4 クラッド材
4a アルミニウム板
4b ステンレス板
Claims (1)
- アルミニウム材を有底筒状に形成したケース内に発電要素を収容し、このケースの開口端を封口板により密閉封止した電池において、
前記ケースの底面に、ステンレス板とアルミニウム板とを接合し、アルミニウム板の板厚がステンレス板の板厚の2倍以上であるクラッド材を、アルミニウム板側をケース側にして超音波溶接により接合したことを特徴とする電池。
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