JP4051610B2 - 除電シールド - Google Patents

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  • Cooling, Air Intake And Gas Exhaust, And Fuel Tank Arrangements In Propulsion Units (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は除電シールドに関し、より詳しくは例えば人体などの帯びる静電気を放電する車両用放電部材を用いた除電シールドに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、実開平6−33720号公報には、導電性を持ち車両パネルと電気的に接続された燃料リッドが紹介されている。図10に、同公報記載のインレットボックスの斜視図を示す。インレットボックス103は、金属製であって箱状を呈している。インレットボックス103は、金属製の車両パネル106に凹設されている。インレットボックス103の底壁部には、金属製のボルト104により、導電性樹脂製のヒンジ部102が固定されている。燃料リッド100は、金属製のヒンジピン101を介して、このヒンジ部102に枢設されている。燃料リッド100の表面には、導電性被膜層が形成されている。
【0003】
例えば、作業者が燃料キャップ105を開栓するためには、燃料キャップ105の前にまず燃料リッド100を開ける必要がある。したがって、作業者は燃料リッド100に触れる。作業者が静電気を帯電している場合、静電気は、作業者→燃料リッド100→ヒンジピン101→ヒンジ部102→インレットボックス103→車両パネル106の順に移動する。このようにして、作業者の帯びる静電気は放電される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、同公報記載の燃料リッド100は、表面に導電性被膜層が形成されている。このため、製造コストが高い。また、同公報記載の燃料リッド100は、作業者が触れなければ静電気を放電することはできない。したがって、燃料リッド100を開ける場合、まず燃料リッドオープナーにより燃料リッド100を自動的にセミオープンさせ、その後作業者が手動により燃料リッド100をフルオープンさせる必要がある。しかしながら、燃料リッドオープナーによる燃料リッド100のセミオープン機構は比較的複雑である。このため、この点においても、同公報記載の燃料リッド100は、製造コストが高い。また、燃料リッド100により作業者の静電気が放電された後から、再び作業者が静電気を帯電する場合もある。この場合、同公報記載の燃料リッド100によると、作業者が燃料キャップ105に接近する前に、静電気を再放電することは困難である。
【0005】
本発明の除電シールドは、上記課題に鑑みて完成されたものである。したがって、本発明は、インレットボックスへの挿入物が開口部を閉止する蓋体に接近する前に、挿入物の帯びる静電気を放電できる車両用放電部材を用いた除電シールドを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記課題を解決するため、本発明の除電シールドは、車両パネルに凹設され開口部を閉止する蓋体を持つフィラーネックが突設されたインレットボックスの少なくとも一部を形成し、該車両パネルに対する該フィラーネックの位置ずれを弾性吸収する除電シールドであって、該車両パネルおよび該フィラーネックのうち少なくとも一方に電気的に接続され、該インレットボックス内への挿入物が該開口部を閉止する蓋体に接近する前に、該挿入物の帯びる静電気を放電する車両用放電部材を持つことを特徴とする。
【0013】
本発明の除電シールドは、インレットボックスの少なくとも一部を形成している。この除電シールドは車両用放電部材を有している。車両用放電部材は、該車両パネルおよび該フィラーネックのうち少なくとも一方に電気的に接続されている。したがって、挿入物の静電気は、挿入物→車両用放電部材→車両パネルおよび/またはフィラーネックの順に移動する。このようにして、挿入物が開口部を閉止する蓋体に接近する前に、静電気は放電される。
【0014】
本発明の除電シールドによると、例えば燃料リッドにより一旦放電された挿入物が再度静電気を帯電した場合であっても、挿入物が開口部を閉止する蓋体に接近する前に静電気を再放電することができる。また、本発明の除電シールドによると、燃料リッドが導電性を有する必要がない。また、燃料リッドに複雑なセミオープン機構を配置する必要もない。このため、燃料リッドの製造コストが低くなる。
【0015】
)好ましくは、上記()の構成において、前記車両用放電部材は、抵抗値が1012Ω以下である構成とする方がよい。ここで抵抗値とは、挿入物との接触ポイントから、例えば車両パネルやフィラーネックなどアースされた車体側部材に至るまでの電気抵抗値をいう。ただし、挿入物が車両用放電部材に非接触の場合は、挿入物との最近接ポイントから、アースされた車体側部材に至るまでの電気抵抗値をいう。抵抗値を1012Ω以下としたのは、抵抗値が1012Ωを超えると、挿入物の帯びる静電気の放電が速やかに行われないおそれがあるからである。なお、より好ましくは、抵抗値を1011Ω以下とする方がよい。こうすると、さらに静電気の放電を速やかに行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の除電シールドの実施の形態について説明する。
【0021】
(1)第一実施形態
まず、本実施形態に係るインレットボックスの構成について説明する。図1に、自動車の外観図を示す。図に示すように、燃料リッド1は、自動車の車両パネル2とほぼ面一に配置されている。インレットボックスは、燃料リッド1の裏側に配置されている。図2に、図1のI−I断面図を示す。図に示すように、インレットボックス3は、車両パネル2に凹設されている。インレットボックス3は、車両パネル2側に開口する箱状を呈している。インレットボックス3は、底壁部30と側筒部31とを備える。側筒部31は、車両パネル2側から順に、車両パネル接続筒32と除電シールド33と底壁部接続筒34とからなる。車両パネル接続筒32は、金属製であって角筒状を呈している。車両パネル接続筒32は、車両パネル2の裏面に溶接されている。除電シールド33は、ゴム製であって下方に湾曲した円筒状を呈している。除電シールド33は、ボルト330により、車両パネル接続筒32に固定されている。除電シールド33の内周面には、放電ブラシ35が配置されている。放電ブラシ35は、本発明に係る車両用放電部材に含まれる。放電ブラシ35は、樹脂、ゴム、繊維などの可撓性を有する導電性材料により形成されている。図3に、除電シールドの斜視図を示す。図に示すように、除電シールド33の内周面には、放電ブラシ35がリング状に植毛処理されている。具体的には、まず除電シールド33の内周面にリング状に接着剤を塗布し、次に除電シールド33を帯電させ、その後ブラシ毛を除電シールド33の内周面に起毛接着することにより、放電ブラシ35を植毛処理する。図2に戻って、底壁部接続筒34は、樹脂製であって円筒状を呈している。底壁部接続筒34の上端周縁は、除電シールド33の下端周縁に、嵌着されている。底壁部30は、樹脂製であって円板状を呈している。底壁部30は、底壁部接続筒34と一体に形成されている。底壁部30の前縁には、ボルト(図略)によりヒンジ部(図略)が固定されている。そして、ヒンジ部には、前記燃料リッド1が外方に向かって開閉可能に枢設されている。また、底壁部30のほぼ中央には、通孔300が穿設されている。この通孔300からは、フィラーネック4が突設されている。フィラーネック4の上端には、シールリング40を介して、燃料キャップ41(図中、一点鎖線で示す。)が螺着されている。なお、燃料キャップ41は、本発明の開口部を閉止する蓋体に含まれる。一方、フィラーネック4の下端は、フィラーパイプ(図略)を介して、燃料タンクに連通している。なお、フィラーパイプは、車両ボディ(図略)に固定されている。
【0022】
次に、作業者が燃料キャップを開栓する場合の本実施形態に係るインレットボックスの作用について説明する。作業者は、まず、燃料リッドオープナーにより、図2に示す燃料リッド1をフルオープンさせる。次に、作業者は、手をインレットボックス3内に挿入する。なお、作業者の手は、本発明に係る挿入物に含まれる。それから、作業者の手は、放電ブラシ35の中央開口350を、放電ブラシ35に接触または近接しながら通過する。このとき、作業者の帯びる静電気は、放電ブラシ35により車両パネル2に放電される。すなわち、静電気は、手→放電ブラシ35→除電シールド33→車両パネル接続筒32→車両パネル2の順に移動する。その後、放電された作業者の手は、燃料キャップ41を把持する。
【0023】
次に、本実施形態に係るインレットボックスの効果について説明する。本実施形態に係るインレットボックス3は、放電ブラシ35を持つ除電シールド33を備えている。このため、作業者の手の帯びる静電気を、手が燃料キャップに接近する前に、放電することができる。また、導電性の不要な燃料リッド1は、汎用樹脂により形成されている。また、燃料リッド1には、セミオープン機構が配置されていない。このため、燃料リッド1の製造コストは低い。
【0024】
また、放電ブラシ35における作業者の手(挿入物)との接触あるいは最近接ポイントは、放電ブラシ35の自由端である。また、本実施形態におけるアースされた車体側部材とは、車両パネル2である。したがって、放電ブラシ35の抵抗値は、放電ブラシ35の自由端から、車両パネル接続筒32と車両パネル2との接続部までの間の電気抵抗値となる。本実施形態においては、放電ブラシ35の抵抗値は、1012Ω以下に設定されている。このため、手の帯びる静電気を、速やかに放電することができる。また、除電シールド33の径方向中央部には、放電ブラシ35により形成される中央開口350が配置されている。このため、外部から燃料キャップ41の開閉状況を視認しやすい。また、中央開口350の径は、挿入される作業者の手がちょうど接触または近接する程度に設定されている。このため、より確実に静電気を放電することができる。
【0025】
(2)第二実施形態
本実施形態に係るインレットボックスと第一実施形態に係るインレットボックスとの相違点は、車両用放電部材として放電ブラシの代わりに放電カーテンが配置されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0026】
図4に、本実施形態に係るインレットボックスに用いられる除電シールドの斜視図を示す。なお、図3と対応する部位については同じ記号で示す。図に示すように、放電カーテン36は、導電性樹脂、ゴム、繊維などにより形成されている。なお、放電カーテン36は、本発明に係る車両用放電部材に含まれる。放電カーテン36は、スリットの入ったのれん状を呈している。放電カーテン36は、除電シールド33の内周面上部に接着されている。手などの挿入物は、放電カーテン36を上方にまくり上げてから燃料キャップに接近する。このとき、挿入物の帯電する静電気が放電される。本実施形態によると、放電カーテン36は比較的広い面積で挿入物に接触する。このため、より速やかに静電気を放電することができる。
【0027】
(3)第三実施形態
本実施形態に係るインレットボックスと第一実施形態に係るインレットボックスとの相違点は、車両用放電部材として放電ブラシの代わりに放電隔壁が配置されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0028】
図5に、本実施形態に係るインレットボックスに用いられる除電シールドの斜視図を示す。なお、図3と対応する部位については同じ記号で示す。図に示すように、放電隔壁37は、導電性樹脂、ゴムにより形成されている。なお、放電隔壁37は、本発明に係る車両用放電部材に含まれる。放電隔壁37は、中央から放射状にスリットの入った薄膜状を呈している。放電隔壁37は、除電シールド33の内周面に接着されている。手などの挿入物は、放電隔壁37の中央部を内方に押し込みながら燃料キャップに接近する。このとき、挿入物の帯電する静電気が放電される。本実施形態によると、放電隔壁37は比較的広い面積で挿入物に接触する。このため、より速やかに静電気を放電することができる。また、放電隔壁37は、比較的簡単に除電シールド33の内周面に接着することができる。したがって、製造コストが低い。
【0029】
(4)第一参考形態
この参考形態に係るインレットボックスと第一実施形態に係るインレットボックスとの相違点は、インレットボックスに除電シールドが配置されていない点である。そして、放電ブラシが底壁部に植毛処理されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0030】
図6に、この参考形態に係るインレットボックスの長手方向断面図を示す。なお、図2と対応する部位については同じ記号で示す。図に示すように、インレットボックス3の底壁部30および側筒部31は、ともに金属製である。底壁部30の下面には、フィラーネック4の外周面に溶接されたフランジ42の上面が当接している。そして、これら底壁部30下面とフランジ42上面とは、ボルト420により接合されている。放電ブラシ35は、底壁部30の外周部から上方内周側に向かって植毛処理されている。放電ブラシ35の毛端は、燃料キャップ41よりも上方まで延びている。手などの挿入物は、放電ブラシ35に接近しながら中央開口350を通過し、燃料キャップ41に接近する。このとき、挿入物の帯電する静電気が放電される。具体的には、静電気は、挿入物→放電ブラシ35→底壁部30→フランジ42→フィラーネック4→フィラーパイプ→車両ボディの順に移動する。並びに、静電気は、挿入物→放電ブラシ35→底壁部30→側筒部31→車両パネル2の順に移動する。
【0031】
この参考形態によると、放電ブラシ35は底壁部30から植毛処理されている。このため、外部から燃料キャップ41を目視する場合の視認性がさらに向上する。また、挿入物が中央開口350を通過する際、挿入物は放電ブラシ35に非接触である。このため、挿入物が作業者の手である場合、作業者の快適性が向上する。また、静電気の放電経路が二路配置されている。このため、より確実に静電気を放電することができる。
【0032】
(5)第二参考形態
この参考形態に係るインレットボックスと第一参考形態に係るインレットボックスとの相違点は、放電ブラシの代わりに後付け放電カーテンが配置されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0033】
図7に、この参考形態に係るインレットボックスの後付け放電カーテンの取り付け図を示す。なお、図6と対応する部位については同じ記号で示す。図に示すように、後付け放電カーテン38は、ネック係止部380とT字アーム381とカーテン本体382とからなる。なお、後付け放電カーテン38は、本発明に係る車両用放電部材に含まれる。
【0034】
ネック係止部380は、金属、導電性樹脂、ゴムにより形成されている。ネック係止部380は、弾性変形可能であり、リング状を呈している。ネック係止部380は、フィラーネック4の外周面に環装されている。ここで、ネック係止部380の内周径は、フィラーネック4の外周径よりも若干小さく設定されている。したがって、ネック係止部380は、縮径力により常時フィラーネック4を締め付けている。この縮径力により、ネック係止部380はフィラーネック4に係止されている。T字アーム381は、金属、または導電性樹脂、ゴム製である。T字アーム381は、ネック係止部380の上端から斜め上方に向かって立設されている。カーテン本体382は、導電性樹脂、ゴム、繊維製であり薄膜状を呈している。カーテン本体382は、T字アーム381の上端辺に固定されている。
【0035】
手などの挿入物は、カーテン本体382に接触してから、燃料キャップ41に接近する。このとき、挿入物の帯電する静電気が放電される。具体的には、静電気は、挿入物→カーテン本体382→T字アーム381→ネック係止部380→フィラーネック4→フィラーパイプ→車両ボディの順に移動する。
【0036】
後付け放電カーテン38は、既存のフィラーボックスにおいて、まず燃料キャップ41をフィラーネック4から取り外し、続いてフィラーネック4にネック係止部380を環装することにより、比較的簡単に取り付けることができる。また、フィラーネック4の形状、大きさは、車種によらず比較的類似している。したがって、この参考形態に係る後付け放電カーテン38は汎用性が高い。
【0037】
(6)第三参考形態
この参考形態に係るインレットボックスと第二参考形態に係るインレットボックスとの相違点は、一体型の後付け放電カーテンが配置されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0038】
図8に、この参考形態に係るインレットボックスの後付け放電カーテンの取り付け図を示す。なお、図7と対応する部位については同じ記号で示す。図に示すように、後付け放電カーテン38は、導電性樹脂、ゴム製であって、逆U字状を呈している。後付け放電カーテン38のU字端の一端には、円孔状のネック係止部380が穿設されている。このネック係止部380には、フィラーネック4が圧入されている。手などの挿入物は、後付け放電カーテン38に接触してから、燃料キャップ41に接近する。このとき、挿入物の帯電する静電気が放電される。具体的には、静電気は、挿入物→後付け放電カーテン38→フィラーネック4→フィラーパイプ→車両ボディの順に移動する。
【0039】
後付け放電カーテン38は、既存のフィラーボックスにおいて、まず燃料キャップ41をフィラーネック4から取り外し、続いてフィラーネック4にネック係止部380を環装することにより、比較的簡単に取り付けることができる。また、フィラーネック4の形状、大きさは、車種によらず比較的類似している。したがって、この参考形態に係る後付け放電カーテン38は汎用性が高い。また、この参考形態に係る後付け放電カーテン38は構造が簡単で部品点数が少ない。したがって、製造コストが低い。
【0040】
(7)第四参考形態
この参考形態に係るインレットボックスと第三参考形態に係るインレットボックスとの相違点は、後付け放電カーテンが、フィラーネックではなくヒンジ部に係止されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0041】
図9に、この参考形態に係るインレットボックスの後付け放電カーテンの取り付け図を示す。なお、図7と対応する部位については同じ記号で示す。図に示すように、後付け放電カーテン38は、ヒンジ係止部383とL字アーム384とカーテン本体382とからなる。なお、後付け放電カーテン38は、本発明に係る車両用放電部材に含まれる。また、説明の便宜上、カーテン本体382は一部省略して示す。
【0042】
底壁部30の前縁には、ボルト50により金属製のヒンジ部5が固定されている。ヒンジ部5の上端には、燃料リッド1(図中、一点鎖線で示す。)が、ヒンジピン(図略)を介して、枢支されている。ヒンジ係止部383は、金属または導電性樹脂、ゴム製であり長方形板状を呈している。ヒンジ係止部383には、ボルト孔(図略)が二つ穿設されている。ヒンジ係止部383は、前記ボルト50により、ヒンジ部5と共に底壁部30の前縁に係止されている。
【0043】
L字アーム384は、金属または導電性樹脂、ゴム製である。L字アーム384は、ヒンジ係止部383の上端から斜め上方に向かって立設されている。カーテン本体382は、導電性樹脂、ゴム、繊維製であり薄膜状を呈している。カーテン本体382は、L字アーム384の上端辺に固定されている。
【0044】
手などの挿入物は、カーテン本体382に接触してから、燃料キャップ41に接近する。このとき、挿入物の帯電する静電気が放電される。具体的には、静電気は、挿入物→カーテン本体382→L字アーム384→ヒンジ係止部383→ヒンジ部5→底壁部30→側筒部(図略)→車両パネル(図略)の順に移動する。並びに、静電気は、挿入物→カーテン本体382→L字アーム384→ヒンジ係止部383→ヒンジ部5→底壁部30→フィラーネック4→フィラーパイプ→車両ボディの順に移動する。
【0045】
後付け放電カーテン38は、既存のフィラーボックスにおいて、まずボルト50を外し、続いてヒンジ部5の上面にヒンジ係止部383を重ね、それからこの状態で再びボルト50を締め付けることにより、比較的簡単に取り付けることができる。また、ヒンジ部5やボルト50の形状、大きさは、車種によらず比較的類似している。したがって、この参考形態に係る後付け放電カーテン38は汎用性が高い。また、この参考形態に係る後付け放電カーテン38は、ボルト50により強固に係止されているため、脱落するおそれが小さい。
【0046】
(8)その他
以上、本発明の除電シールドの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0047】
例えば、放電ブラシ35や放電カーテン36や放電隔壁37や後付け放電カーテン38などの車両用放電部材の材質は特に限定しない。PPやPEやゴムや熱可塑性エラストマー(オレフィン系、ポリエステル系、スチン系など)などの絶縁性基材の表面に、導電性フィラーやカーボンを含む導電性材料をコーティングしたものであってもよい。また、導電性基材の表面に導電性材料をコーティングしたものであってもよい。また、金属製であってもよい。また、例えば第一参考形態のように、車両用放電部材と挿入物とが非接触である場合、両者間の距離すなわち放電距離は特に限定しない。車両用放電部材の抵抗値などを考慮し適切な距離に設定すればよい。また、フィラーネック開口部の蓋体は、ねじ式の燃料キャップに限らず、フィラーネックに蓋体を一体化した仕様のものであってもよい。例えば、フィラーネックの外周部に蓋体をヒンジ固定したものであってもよい。
【0048】
【発明の効果】
本発明の除電シールドによると、インレットボックスへの挿入物が開口部を閉止する蓋体に接近する前に、挿入物の帯びる静電気を放電することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第一実施形態に係るインレットボックスが配置された自動車の外観図である。
【図2】 図1のI−I断面図である。
【図3】 第一実施形態に係るインレットボックスに用いられる除電シールドの斜視図である。
【図4】 第二実施形態に係るインレットボックスに用いられる除電シールドの斜視図である。
【図5】 第三実施形態に係るインレットボックスに用いられる除電シールドの斜視図である。
【図6】 第一参考形態に係るインレットボックスの長手方向断面図である。
【図7】 第二参考形態に係るインレットボックスの後付け放電カーテンの取り付け図である。
【図8】 第三参考形態に係るインレットボックスの後付け放電カーテンの取り付け図である。
【図9】 第四参考形態に係るインレットボックスの後付け放電カーテンの取り付け図である。
【図10】 従来のインレットボックスの斜視図である。
【符号の説明】
1:燃料リッド、2:車両パネル、3:インレットボックス、30:底壁部、300:通孔、31:側筒部、32:車両パネル接続筒、33:除電シールド、330:ボルト、34:底壁部接続筒、35:放電ブラシ(車両用放電部材)、350:中央開口、36:放電カーテン(車両用放電部材)、37:放電隔壁(車両用放電部材)、38:後付け放電カーテン(車両用放電部材)、380:ネック係止部、381:T字アーム、382:カーテン本体、383:ヒンジ係止部、384:L字アーム、4:フィラーネック、40:シールリング、41:燃料キャップ(開口部を閉止する蓋体)、42:フランジ、420:ボルト、5:ヒンジ部、50:ボルト。

Claims (2)

  1. 車両パネルに凹設され開口部を閉止する蓋体を持つフィラーネックが突設されたインレットボックスの少なくとも一部を形成し、該車両パネルに対する該フィラーネックの位置ずれを弾性吸収する除電シールドであって、
    該車両パネルおよび該フィラーネックのうち少なくとも一方に電気的に接続され、該インレットボックス内への挿入物が該開口部を閉止する蓋体に接近する前に、該挿入物の帯びる静電気を放電する車両用放電部材を持つことを特徴とする除電シールド。
  2. 前記車両用放電部材は、抵抗値が1012Ω以下である請求項1に記載の除電シールド。
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