JP4051220B2 - タンク底板の防水方法及びその防水構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温タンクに使用されるタンク底板の防水方法及びその防水構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
LNG等の低温液化ガスを貯蔵する二重殻構造の低温タンクは、図5、図6に示す如く、地面1に打ち込まれた多数のパイル2上に、地面1から離間した状態でコンクリート製のタンク基礎部3を支持し、タンク基礎部3の上面3aには、外槽4のタンク底板5が敷設され、タンク底板5上には複数の円筒ブロック(図示せず)や保冷材6aを介して内槽7のタンク底板6bが載置されている。ここで、タンク基礎部3を支持するパイル2は、低温液化ガスの冷熱がタンク基礎部3を介して直接地面1に伝わることを防止するためのものである。
【0003】
外槽4のタンク底板5における周方向の縁部8には、外槽4のタンク底板5とタンク基礎部3の間を塞ぐよう、シリコーン等の防水シール材9を、タンク側板10の下部からタンク基礎部3まで塗り込んでいる。
【0004】
従って、外槽4のタンク底板5とタンク基礎部3の間には、雨水や雪解け水等の水分が侵入することを防止し、外槽4のタンク底板5の腐食を抑制している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、タンク底板5の縁部8を被覆するよう防水シール材9を塗り込んだとしても、時間の経過と共に防水シール材9にひび割れ等を生じるため、雨水、雪解け水等の水分が外槽4のタンク底板5とタンク基礎部3の間に侵入するという問題があった。
【0006】
本発明は上述の実情に鑑み、タンク底板の防水機能を向上させるタンク底板の防水方法及びその防水構造を提供することを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、地面よりパイルを介して配置され且つタンク底板を上面に敷設する透水性のタンク基礎部と、前記パイル同士の間をタンク基礎部の下面に接するガス流路とするようタンク基礎部の周方向に沿って設けられる密閉壁と、前記ガス流路に乾燥ガスを流す導入ラインと、前記ガス流路より乾燥ガスを排出する排出ラインとを備え、
前記導入ラインは、密閉壁の内面周方向に沿うよう一方の略半周に亘って延在するヘッダー管と、該ヘッダー管に形成されて密閉壁の周方向に沿う複数の導入口とを備え、
前記排出ラインは、密閉壁の内面周方向に沿うよう残りの略半周に亘って延在するヘッダー管と、該ヘッダー管に形成されて密閉壁の周方向に沿う複数の排出口とを備えたタンク底板の防水方法であって、
前記タンク基礎部の下面に接触する乾燥ガスを、前記複数の導入口及び複数の排出口によりパイル同士の間の空間に対して略均等に流し、タンク基礎部の下面を乾燥させることによってタンク基礎部の上面からタンク基礎部の下面へ水分を浸透させ、タンク基礎部の上面に位置する水分を脱水することを特徴とするタンク底板の防水方法、に係るものである。
【0008】
本発明の請求項2は、地面よりパイルを介して配置され且つタンク底板を上面に敷設する透水性のタンク基礎部と、前記パイル同士の間をタンク基礎部の下面に接するガス流路とするようタンク基礎部の周方向に沿って設けられる密閉壁と、前記ガス流路に乾燥ガスを流す導入ラインと、前記ガス流路より乾燥ガスを排出する排出ラインとを備え、
前記導入ラインは、密閉壁の内面周方向に沿うよう一方の略半周に亘って延在するヘッダー管と、該ヘッダー管に形成されて密閉壁の周方向に沿う複数の導入口とを備え、
前記排出ラインは、密閉壁の内面周方向に沿うよう残りの略半周に亘って延在するヘッダー管と、該ヘッダー管に形成されて密閉壁の周方向に沿う複数の排出口とを備えたことを特徴とするタンク底板の防水構造、に係るものである。
【0009】
本発明の請求項3は、タンク基礎部の周方向に沿って設けられる密閉壁を、地面とタンク基礎部に接続して構成した請求項2記載のタンク底板の防水構造、に係るものである。
【0010】
本発明の請求項4は、地面に防湿面を備えた請求項2又は3記載のタンク底板の防水構造、に係るものである。
【0011】
このように、請求項1又は請求項2によれば、乾燥ガスをタンク基礎部の下面に接触するよう流してタンク基礎部の下面を乾燥させることにより、タンク基礎部の上面に位置する水分を、タンク基礎部の内部へ浸透させてタンク基礎部の下面から脱水するので、タンク底板とタンク基礎部の間に侵入した水分を容易に取り除き、結果的に、タンク底板の防水機能を向上させることができる。又、このような構成を、従来のタンクに追加して成し得るので、製造コスト及び維持コストを低減することができる。
【0012】
請求項3に示す如く、タンク基礎部の周方向に沿って設けられる密閉壁を、地面とタンク基礎部に接続して構成すると、乾燥ガスを流すガス流路を容易に形成し得るので、製造コスト及び維持コストを一層低減することができる。
【0013】
請求項4に示す如く、地面に防湿面を備えると、乾燥ガスが地面より水分を吸収することを防止するので、乾燥ガスの乾燥状態を維持し、タンク基礎部の上面の水分を一層容易に取り除くことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1〜図4は、本発明のタンク底板の防水方法及びその防水構造を実施する形態例であって、図中、図5、図6と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0016】
地面1に打ち込まれた多数のパイル2上には、地面1から離間した状態でタンク基礎部3を支持し、タンク基礎部3の上面3aには、外槽4のタンク底板5を敷設し、外槽4のタンク底板5における周方向の縁部8には、外槽4のタンク底板5とタンク基礎部3の間を塞ぐよう、シリコーン等の防水シール材9を、タンク側板10の下部からタンク基礎部3まで塗り込んでいる。ここで、タンク基礎部3は、微細なポーラスを有する透水性のコンクリートで形成されており、コンクリートの透水性は、図2のグラフに示す如く、水セメント比に影響されることなく、一般的に使用されるコンクリートならば、十分な透水性(透水係数)を示すことが明らかである。
【0017】
又、タンク基礎部3の周囲面11には、パイル2,2同士の間をタンク基礎部3の下面3bに接するガス流路とするよう、周方向に沿って延在し且つ地面1に接する金属板の密閉壁12を備え、密閉壁12は、地面側の端部13を地面側基礎部14等の固定手段により密接に固定すると共に、タンク基礎部3側の端部15を溶接等により固定している。なお、密閉壁12の固定は、地面1及びタンク基礎部3に隙間なく固定されるならば、どのような手段でもよい。
【0018】
密閉壁12の所定位置には、外部より窒素ガス、ハロゲンガス等の乾燥ガスをパイル2,2同士の間の空間(ガス流路)に導入し得るよう、開閉弁16を備えた導入ライン17を設けており、導入ライン17と反対側に位置する密閉壁12の所定位置には、乾燥ガスをパイル2,2同士の間の空間(ガス流路)より外部へ排出し得るよう、開閉弁18を備えた排出ライン19を設けている。又、導入ライン17及び排出ライン19には、密閉壁12の内面周方向に沿うよう略半周に亘って延在するヘッダー管20,21を夫々備え、導入ライン17のヘッダー管20には周方向に沿う複数の導入口22を形成し、且つ排出ライン19のヘッダー管21には周方向に沿う複数の排出口23を形成し、パイル2,2同士の間の空間(ガス流路)に対し乾燥ガスを略均等に流すようにしている。
【0019】
一方、密閉壁12に囲まれる地面1には防湿シート24を敷設し、地面1を防湿面とするように構成している。
【0020】
以下、本発明を実施する形態例の作用を説明する。
【0021】
タンク基礎部3とタンク底板5の間に、雨水、雪解け水等の水分が侵入した際には、導入ライン17より乾燥ガスをパイル2,2同士の間の空間(ガス流路)に導入し、タンク基礎部3の下面3bに接触させるよう流して排出ライン19より外部へ排出する。
【0022】
この時、タンク基礎部3の下面3bに接触する乾燥ガスは、タンク基礎部3の下面3bを乾燥させることによってタンク基礎部3の上面3aからタンク基礎部3の下面3bへ毛細現象により水分を浸透させ、タンク基礎部3の上面3aに位置する水分を脱水する。ここで、乾燥ガスの流し方は、常に流すようにしてもよいし、必要に応じて適宜流すようにしてもよい。
【0023】
このように、乾燥ガスをタンク基礎部3の下面3bに接触するよう流してタンク基礎部3の上面3aに位置する水分を脱水するので、タンク底板5とタンク基礎部3の間に侵入した水分を容易に取り除き、結果的に、タンク底板5の腐食を完全に防止するよう、タンク底板5の防水機能を向上させることができる。又、このような構成を、従来のタンクに追加して成し得るので、製造コスト及び維持コストを低減することができる。
【0024】
又、タンク基礎部3の周方向に沿って設けられる密閉壁12を、地面1とタンク基礎部3に接続して構成すると、乾燥ガスを流すよう、パイル2,2同士の間の空間(ガス流路)を容易に形成し得るので、製造コスト及び維持コストを一層低減することができる。
【0025】
更に、地面1に防湿面の防湿シート24を備えると、乾燥ガスが地面1より水分を吸収することを防止するので、乾燥ガスの乾燥状態を確実に維持し、タンク基礎部3の上面3aの水分を一層容易に取り除くことができる。
【0026】
なお、本発明のタンク底板の防水方法及びその防水構造は、上述の形態例のみに限定されるものではなく、タンク基礎部の底面を乾燥させるならば、どのような方法、構成でもよいこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0027】
【発明の効果】
本発明のタンク底板の防水方法及びその防水構造によれば、下記の如き、種々の優れた効果を奏し得る。
【0028】
I)請求項1又は請求項2によれば、乾燥ガスをタンク基礎部の下面に接触するよう流してタンク基礎部の下面を乾燥させることにより、タンク基礎部の上面に位置する水分を、タンク基礎部の内部へ浸透させてタンク基礎部の下面から脱水するので、タンク底板とタンク基礎部の間に侵入した水分を容易に取り除き、結果的に、タンク底板の防水機能を向上させることができる。又、このような構成を、従来のタンクに追加して成し得るので、製造コスト及び維持コストを低減することができる。
【0029】
II)請求項3に示す如く、タンク基礎部の周方向に沿って設けられる密閉壁を、地面とタンク基礎部に接続して構成すると、乾燥ガスを流すガス流路を容易に形成し得るので、製造コスト及び維持コストを一層低減することができる。
【0030】
III)請求項4に示す如く、地面に防湿面を備えると、乾燥ガスが地面より水分を吸収することを防止するので、乾燥ガスの乾燥状態を維持し、タンク基礎部の上面の水分を一層容易に取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する形態例を示す縦断側面図である。
【図2】水セメント比とコンクリートの水密性との関係を示すグラフである。
【図3】本発明を実施する形態例における乾燥ガスの導入口付近を拡大して示す縦断側面図である。
【図4】本発明を実施する形態例における乾燥ガスの流路を示す平面概略図である。
【図5】従来の低温タンクの全体を示す縦断側面図である。
【図6】従来の低温タンクにおける乾燥ガスの導入口付近を拡大して示す縦断側面図である。
【符号の説明】
1 地面
2 パイル
3 タンク基礎部
3a 上面
3b 下面
5 タンク底板
12 密閉壁
17 導入ライン
19 排出ライン
20 ヘッダー管
21 ヘッダー管
22 導入口
23 排出口
Claims (4)
- 地面よりパイルを介して配置され且つタンク底板を上面に敷設する透水性のタンク基礎部と、前記パイル同士の間をタンク基礎部の下面に接するガス流路とするようタンク基礎部の周方向に沿って設けられる密閉壁と、前記ガス流路に乾燥ガスを流す導入ラインと、前記ガス流路より乾燥ガスを排出する排出ラインとを備え、
前記導入ラインは、密閉壁の内面周方向に沿うよう一方の略半周に亘って延在するヘッダー管と、該ヘッダー管に形成されて密閉壁の周方向に沿う複数の導入口とを備え、
前記排出ラインは、密閉壁の内面周方向に沿うよう残りの略半周に亘って延在するヘッダー管と、該ヘッダー管に形成されて密閉壁の周方向に沿う複数の排出口とを備えたタンク底板の防水方法であって、
前記タンク基礎部の下面に接触する乾燥ガスを、前記複数の導入口及び複数の排出口によりパイル同士の間の空間に対して略均等に流し、タンク基礎部の下面を乾燥させることによってタンク基礎部の上面からタンク基礎部の下面へ水分を浸透させ、タンク基礎部の上面に位置する水分を脱水することを特徴とするタンク底板の防水方法。 - 地面よりパイルを介して配置され且つタンク底板を上面に敷設する透水性のタンク基礎部と、前記パイル同士の間をタンク基礎部の下面に接するガス流路とするようタンク基礎部の周方向に沿って設けられる密閉壁と、前記ガス流路に乾燥ガスを流す導入ラインと、前記ガス流路より乾燥ガスを排出する排出ラインとを備え、
前記導入ラインは、密閉壁の内面周方向に沿うよう一方の略半周に亘って延在するヘッダー管と、該ヘッダー管に形成されて密閉壁の周方向に沿う複数の導入口とを備え、
前記排出ラインは、密閉壁の内面周方向に沿うよう残りの略半周に亘って延在するヘッダー管と、該ヘッダー管に形成されて密閉壁の周方向に沿う複数の排出口とを備えたことを特徴とするタンク底板の防水構造。 - タンク基礎部の周方向に沿って設けられる密閉壁を、地面とタンク基礎部に接続して構成した請求項2記載のタンク底板の防水構造。
- 地面に防湿面を備えた請求項2又は3記載のタンク底板の防水構造。
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