JP4049569B2 - 鉄道車両の連結器用ゴム緩衝器の取り付け構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、鉄道車両の連結器用ゴム緩衝器の取り付け構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、鉄道車両においては、車両同士を連結する連結器の後側には、衝突時のショックを和らげるために、ゴム緩衝器が配設され、そのゴム緩衝器は、車両台枠にリベット結合された支持枠(伴板もり)内にスライド可能に支持されている。
【0003】
そのようなゴム緩衝器1は、例えば図9に示すように、仕切壁部2aを有する枠フレーム2と、この枠フレーム2の仕切壁部2aの前後に緩衝ゴム3A,3B(板ゴムと金属板とを交互に重ねたもの)がそれぞれ配設され、さらに、それらの前後に前側のサポート部材4(伴板)及び後側のサポート部材5(ゴムパットザ)が配設され、これらが1対の連結ロッド部材6にて一体化されている。枠フレーム2の前端部には、車体上下方向の縦ピン8を介して枠接ぎ手9が回転可能に連結されている。
【0004】
そして、そのようなゴム緩衝器1の枠接ぎ手9の前端部が、連結器(図示せず)の後端部に、車体左右方向の連結ピン10にて連結される。よって、衝突時に、例えば、連結器(枠接ぎ手9)が後退すると、その後退ストロークをゴム緩衝器1の緩衝ゴム3Aの伸び及び緩衝ゴム3Bの収縮により弾性的に吸収するようにしている。
【0005】
そのようなゴム緩衝器1は、内蔵される緩衝ゴム3A,3Bの車体前後方向の伸長や圧縮によって、衝撃エネルギー(衝突エネルギー)を吸収するが、それを吸収するためのストロークを使い果たした場合には、ゴム緩衝器1を支持している支持枠と、車体台枠との間を結合している複数のリベットが剪断破壊され、車体台枠に、過大な荷重(衝突荷重)が入力されないようにしている。このため、ゴム緩衝器1の衝撃吸収ストロークを使い果たして、支持枠(伴板もり)と車体台枠との間を結合するリベットが剪断破壊すると、その破壊後車体台枠同士が衝突するまでの間は、エネルギー吸収が行われない。これにより、車体台枠同士が衝突したときの衝突荷重、および車体に生じる加速度が大きくなる。
【0006】
ところで、パイプ材は、寸法や板厚を適切に選択することによって、軸方向に圧縮荷重が作用したときに、全体のオイラーの座屈荷重を抑えて、蛇腹状に塑性変形する性質がある。そのことから、前記パイプ材を、その蛇腹変形により衝突エネルギーを吸収する衝撃吸収部材として用いることができることは知られている。そして、このようなパイプ材による蛇腹変形によれば安定して衝突エネルギーを吸収することができるため、パイプ材を利用した衝突エネルギー構造は、従来より広く採用されている。
【0007】
このようなパイプ材を利用して衝突エネルギーを吸収する構造として、所定の方向に沿って発生する衝撃によって生成するエネルギーをその変形によって吸収する少なくとも1つの縦エレメントを含む緩衝装置において、前記エレメントが薄いプレートからなり、衝撃方向に垂直な面内にある前記エレメントの断面が全般的に三角形状であるエネルギー吸収エレメントを用いる構造が提案されている(例えば特開平7−186951号公報参照)。
【0008】
そこで、このようなパイプ材を利用した緩衝装置を、ゴム緩衝器の衝撃吸収ストロークを使い果たした後の衝突エネルギーの吸収に利用することが考えられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、そのような衝突による衝撃が作用する方向に垂直な面内にある前記エレメントの断面が全般的に三角形状であるエネルギー吸収エレメントを用いる構造であると、エレメント形状が複雑であるため、溶接線が多くなり、製作コストが高くなる。
【0010】
それに加えて、パイプ材の辺の数が偶数の場合は、隣り合う辺がパイプ材の、通常の壁部に対し外側又は内側に交互に面外変形するため、蛇腹変形が安定して引き起こされる。その一方、前述したような断面三角形状の場合には、パイプ材の辺の数が奇数であるため、蛇腹状に折り畳まれない部分が生じるため、蛇腹変形が安定して起こりにくい。
【0011】
そこで、発明者は、蛇腹変形(塑性変形)が起こりやすいパイプ材について鋭意研究を重ねた結果、衝撃吸収部材として四角パイプを用い、その四角パイプを介してゴム緩衝器を車体台枠に連結し、その四角パイプの一辺の幅Bおよび板厚tが、
【0012】
【数3】
を満たせば、
A.衝撃吸収部材の面板の座屈ピッチ(座屈の波の波長)が短いため、蛇腹変形になりやすいこと、
B.蛇腹変形の平均圧壊反力が、後述するように、W.AbramowiczおよびT.Wierzbickiの提案式によって実用上(設計上)十分な精度もって予測できること、
C.上記式の関係を満たさない場合に比べてより大きなエネルギーを吸収できること
を見出し、それらを利用することで、車体台枠同士の衝突による衝突荷重及び加速度を和らげることができる、本発明をなすに至ったのである。
【0013】
この発明は、蛇腹変形が安定して起こると共に、車体台枠同士の衝突による衝突荷重及び加速度を和らげることができる鉄道車両の連結器用ゴム緩衝器の取り付け構造を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、連結器、ゴム緩衝器、及び正四角筒状の衝撃吸収部材が車体前後方向に順に配設され、車体前後方向の衝突荷重を前記衝撃吸収部材を介して車体台枠が受ける鉄道車両の連結器用ゴム緩衝器の取り付け構造であって、前記車体台枠に取り付けられた支持枠内に、前記ゴム緩衝器が支持され、前記ゴム緩衝器は、前部に前記連結器との連結部を有し、前記連結部が、前記支持枠の前部に設けられた左右のブラケットの間を通じて前記連結器に連結され、前記左右のブラケットの車体左右方向の間隔が、前記連結器の胴部が通過可能な大きさとされ、前記左右のブラケットはそれぞれ、車体上下方向において間隔を有するように上下2段の上下ブラケット部でもって構成され、前記車体上下方向の間隔が、前記連結器の後端部とゴム緩衝器とを連結する車体左右方向の連結ピンが通過可能な大きさとされ、前記衝撃吸収部材は、一辺の幅Bおよび板厚tの関係が、
【0015】
【数4】
であり、前記衝撃吸収部材は、それの長さL1、および前記連結器の連結面と前記車体台枠の前端との間隔L2の関係が、
【数5】
であることを特徴とする。ここで、衝撃吸収部材の数を増減させることで、構造全体としての衝突エネルギーの吸収量を調整することができる。
【0016】
このようにすれば、正四角筒状の衝撃吸収部材でゴム緩衝器の後側を支えるようにしているので、衝突時に車両前後方向の荷重が作用すると、ゴム緩衝器が衝突エネルギーを吸収してそのストロークが使い果たされた後には、それに続く衝撃吸収部材が蛇腹変形(塑性変形)して、衝突エネルギーが吸収される。この場合、前記(1)式を満たすように正四角筒状の衝撃吸収部材の一辺の幅Bおよび板厚tを設定しているので、衝撃吸収部材の面板の座屈ピッチが細かいために衝撃吸収部材が蛇腹変形(塑性変形)を起こし、その蛇腹変形により衝突エネルギーが吸収される。
【0017】
このように、衝突時には、ゴム緩衝器だけでなく、衝撃吸収部材によっても衝突エネルギーが吸収されるので、最終的に車体台枠同士が衝突することになっても、その車体台枠同士の衝突による加速度が大幅に低減される。また、ゴム緩衝器の後側を正四角筒状の衝撃吸収部材で支えるという簡単な構造であるため、製造が容易で、低コストである。
【0020】
また、前記(2)式を満たすように、すなわち衝撃吸収部材の長さL1を、前記連結器の連結面と前記車体台枠の前端との間隔L2よりも大きくなるようにしているので、ゴム緩衝器の支持枠(伴板もり)がリベットで車体台枠に連結されている場合に、連結器の後退によりゴム緩衝器が衝撃吸収ストロークを使い果たした後も、前記リベットの剪断強度を適切に設計することでリベットが剪断破壊することなく、車体台枠同士が衝突するまで、衝突エネルギーが衝撃吸収部材にて確実に吸収される。
【0022】
さらに、衝突時に、左右のブラケットの間を、連結器の胴部が通過することが可能とされ、連結器の後退が許容されるので、連結器が直線的に後退され、ゴム緩衝器及び衝撃吸収部材を、衝突エネルギーを吸収する上で有利となるように変形させることができる。
【0024】
ゴム緩衝器(枠接ぎ手)の前端部を連結器の後端部に連結する車体左右方向の連結ピンが、連結器の胴部よりも側方に大きく突出していても、連結ピンの突出部分が前記間隔(上下ブラケット部の車体上下方向の間隔)を通過するので、連結器の後退を妨げない。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0026】
図1は本発明に係る鉄道車両の連結器用ゴム緩衝器の取り付け構造を示す平面図、図2は同側面図である。
【0027】
図1および図2に示すように、鉄道車両の先頭部(あるい後端部)においては、連結器11の後端部に、ゴム緩衝器1が連結され、ゴム緩衝器1の後側に正四角筒状の衝撃吸収用パイプ部材12L,12Rが並列かつ左右対称に配設されている。すなわち、連結器11、ゴム緩衝器1及び衝撃吸収用パイプ部材12L,12Rが車体前後方向において順に配設され、車体前後方向の衝突荷重を前記衝撃吸収用パイプ部材12L,12Rを介して車体台枠13が受けるように構成されている。なお、前記ゴム緩衝器1は、前述したゴム緩衝器1と基本的な構成は同一である。
【0028】
前記衝撃吸収用パイプ部材12L,12Rは、4つの面板部を有する閉断面構造に構成されている。前記衝撃吸収用パイプ部材12L,12Rは、一辺の幅B、板厚t、長さL1であり、前記連結器11の連結面11aと前記車体台枠13との間隔L2の関係が、
【0029】
【数6】
を満たすように設定されている。
【0030】
具体的には、連結器11は、それの後端部が車体左右方向の連結ピン10を介してゴム緩衝器1の前端に位置する枠接ぎ手9に連結されている。この枠接ぎ手9は、その基端部が、枠フレーム2の前側に車体上下方向の縦ピン8にて取り付けられている。ゴム緩衝器1の後側のサポート部材5(ゴムパットザ)には、車体前後方向に延びる四角筒状の衝撃吸収用パイプ部材12L,12R(衝撃吸収部材)の前端部が結合され、後端部が、支持枠21に支持される後側支持フレーム14に結合されている。その衝撃吸収用パイプ部材12L,12Rの長さL1は、前記連結器11の連結面11aと車体台枠13の前端との間隔L2に等しいかあるいはそれよりも大きくなるように設定されている。前記両衝撃吸収用パイプ部材12L,12Rは、左右対称に配設され、バランスよく衝突荷重を受けるように構成されている。
【0031】
そして、前記連結器11の下部が係合部材15を介して、車体台枠4の車体左右方向に延びるクロスメンバ16に支持されている。
【0032】
前記ゴム緩衝器1を車体前後方向において移動可能に支持する支持枠21(伴板もり)の前端部には、2つの左右のブラケット22L,22Rが取り付けられ、前記左右のブラケット22L,22Rの車体左右方向の間隔W1が、前記連結器11の胴部11b(最大幅W2の部分)が通過可能な大きさとされている。よって、連結器11の後退時には、連結器1の胴部が左右のブラケット22L,22Rに接触することなく後退するので、ゴム緩衝器1による緩衝が無理なく行われる。なお、前記支持枠21の左右の支持フレーム23L,23Rにはリベット孔23a,・・が設けられ、そのリベット孔23a,・・を利用して、前記支持枠21が、複数のリベット(図示省略)によって車体台枠13に対して取付固定されている。
【0033】
このように構成すれば、このような四角筒状の衝撃吸収用パイプ部材12L,12Rの前端面に対し、その衝撃吸収用パイプ部材12L,12Rの軸線方向の荷重が一様に作用する。そして、その荷重が小さく、衝突エネルギーが小さい場合には、ゴム緩衝器1の緩衝ゴム3A,3Bによって衝突エネルギーが吸収される。よって、この場合には、衝撃吸収用パイプ部材12L,12Rには変形は生じない。衝突エネルギーが大きく、ゴム緩衝器1がその衝撃吸収ストローク(変形ストローク)を使い果たした場合には、衝撃吸収用パイプ部材12L,12Rの蛇腹変形によって吸収される。
【0034】
すなわち、ゴム緩衝器1を衝撃吸収用パイプ部材12L,12R(衝撃吸収部材)で支持し、前記衝撃吸収用パイプ部材12L,12Rの長さL1を、前記連結器11の連結面11aと前記車体台枠13の前端との間隔L2よりも大きくしているので、ゴム緩衝器1の支持枠がリベットで車体台枠13に連結されている場合に、衝突エネルギーがゴム緩衝器1によって吸収しきれない場合であっても、前記リベットの剪断強度を適切に設計することでリベットが剪断破壊することなく、車体台枠同士が衝突するまでの間は、衝突エネルギーが衝撃吸収用パイプ部材12L,12Rの蛇腹変形(塑性変形)で吸収される。このようにして、複数の車両によって編成される鉄道車両が、他の車両に衝突した場合において、ゴム緩衝器1の衝撃吸収能力が足らなくても、衝撃吸収用パイプ部材12L,12Rの衝撃吸収能力がそれを補い、直接車体台枠13同士が衝突したときに車体台枠13に大きなダメージを与えたり、乗客に過大な衝撃を負荷するというような事態が回避される。
【0035】
また、左右のブラケット22L,22Rの間隔W1を、前記連結器11の胴部11bの最大幅W2よりも大きくしているので、衝突時に、左右のブラケット22L,22Rの間を、連結器11の胴部11bが通過することができる。よって、連結器11の後退が許容されるので、連結器11が直線的に後退され、ゴム緩衝器1及び衝撃吸収用パイプ部材12L,12Rをそれらの軸線方向に押圧するようになり、衝突エネルギーを吸収する上で有利となるように変形させることができる。
【0036】
ここで、正四角筒状の衝撃吸収用パイプ部材12,12Rが、前記(1)式を満たせば、塑性変形して衝突エネルギーを効率よく吸収することができる根拠について説明する。
【0037】
まず、弾性域での面板の座屈応力は、次の(3)式で求められる。
【0038】
【数7】
この座屈応力が、材料の降伏応力以上になると、角パイプ(衝撃吸収用パイプ部材12L,12Rに相当)の面板が塑性座屈することとなり、その場合には、次の(4)式を満たす必要がある。
【0039】
【数8】
これにより、板幅Bと板厚tとの関係が、ヤング率Eと降伏応力σyとが分かると、決まってくる。すなわち、Aが0.526以上になると、面板が塑性座屈することになる。
【0040】
次に、様々な寸法、板厚の角パイプを準静的にパイプ軸方向に圧壊させた場合の計算値と、実験値との値を比較した結果を、次の表1に示す。これは、それらの値が面板が塑性座屈する条件の場合にαとβとが非常に近い値になることを調べるためである。
【0041】
【表1】
ここで、αは平均反力の実験値であって、角パイプ(衝撃吸収部材)を押しつぶしたときに、荷重(反力)と変位(押しつぶされた距離)の関係である荷重ー変位線図(図4参照)とからエネルギーが求められるので、そのエネルギーをもとに求められる。βは、次の(5)式(W.AbramowiczおよびT.Wierzbickiの提案式)による平均反力の計算値である。この(5)式は、圧壊時の変形モードをもとに曲げと伸びによってなされた塑性仕事を求め、これと外力による仕事が等しいとして、正四角パイプに対して求めた簡易評価式である。表1のAについては(6)式参照。
【0042】
【数9】
【0043】
【数10】
これより、前述した通り、Aが0.526以上のときに、実験値αと前記提案式((5)式参照)による計算値βとがほぼ一致し、弾性座屈の場合に比べて高い反力が得られ、同じ重量であっても、効率のよいエネルギー吸収が達成されることが分かる。
【0044】
その結果、衝撃吸収用パイプ部材12L,12Rは小さい部材でよくなり、効率よくエネルギー吸収ができるエネルギー吸収要素とすることが可能となる。また、設計時に、目標とする反力を得るための吸収要素の面板の板幅や、板厚を(5)式によって簡易に決定することが可能になる。
【0045】
さらに、前記(1)式の関係を満たす形状の角パイプについて、前記提案式((5)式)をもとに計算した結果を、板厚t=4.5,6,9,12mmのものについて、衝撃的に角パイプを圧壊させた動的実験結果(板厚t=6,9mmのもののみ)と共に、図5に示す。この図5より、前記提案式((5)式)が、動的荷重を受ける場合にも成り立つことが推測できる。ここで、縦軸が平均反力、横軸が一辺の幅である。
(動的実験方法)
図3(a)(b)に示すように、傾きが1/10である傾斜面31aを有する基台31の前記傾斜面31a上にレール32を敷設し、重量約13tの台車33(衝突時の速度19km/h程度)を走行させ、終点に固定した角パイプ34(衝撃吸収部材に相当)に衝突させてつぶし、そのときの反力をロードセル35にて計測する。また、台車33の前端面33aの変位を、観測点Pにおいてレーザ変位センサ(図示せず)で測定して、変位を求めた。そして、荷重−変位曲線を求め、積分してエネルギーを求め、平均圧壊反力を求める。なお、前記台車33には、反射鏡34が設けられ、地上側の第1及び第2の位置に設けた第1及び第2の光電センサ35,36よりの信号に基づき、前記両位置の間を通過するのに要する時間を計測することで、衝突直前の速度が計算される。
【0046】
続いて、本発明の構造を採用した車体に剛壁を衝突させて衝突荷重が作用した場合の変化の状態を、シミレーション解析した結果を、図4及び図6(a)〜(c)に示す。この場合、図6(a)〜(c)は、ストローク量Dsがそれぞれ0mm,125mm,250mmの変形図である。
【0047】
前記実施の形態においては、支持枠21内の左右にブラケット22L,22Rをそれぞれ設けているが、本発明はそれに限定されるものではなく、連結器の胴部より左右側方に連結ピンが大きく突出するような場合には、左右のブラケットを上下2段の構成とすることで、連結ピンの後退も可能とする構成にすることができる。この場合には、例えば図7及び図8に示すように、左右両側において、左右において、上下のブラケット22La,22Lb,22Ra,22Rbの上下方向の間隔が、連結ピン10’の直径よりも大きくなっている。前記支持枠21内の左右のブラケットを上下2段、すなわち左右のブラケットを上側ブラケット22La,22Ra及び下側ブラケット22Ra,22Rbとする点以外の構成は、図1及び図2に示すものと同様である。
【0048】
前記実施の形態においては、衝撃吸収用パイプ部材12L,12Rの長さL1を、前記連結器11の連結面と前記車体台枠13の前端との間隔L2よりも大きくすることにより、ゴム緩衝器1の支持枠21がリベットで車体台枠に連結されている場合に、連結器11の後退によりゴム緩衝器1が衝撃吸収ストロークを使い果たした後も、車体台枠同士が衝突するまで、衝突エネルギーが衝撃吸収部材にて吸収されるようにしているが、衝撃吸収部材の長さL1を、前記連結器の連結面と前記車体台枠の前端との間隔L2よりも必ずしも大きくする必要はなく、例えば衝撃吸収部材の長さL1を前記間隔L2より少しだけ短くして、連結器の後退によりゴム緩衝器が衝撃吸収ストロークを使い果たした後にリベットを剪断破壊するようにしても、ほぼ前述した場合と同様に衝突エネルギーが衝撃吸収部材にて車体台枠同士が衝突するまで吸収されるように構成することも可能である。
【0049】
【発明の効果】
この発明は、以上に説明したように実施され、以下に述べるような効果を奏する。
【0050】
請求項1の発明は、前記(1)式に基づき正四角筒状の衝撃吸収部材を塑性変形が無理なく引き起こされる構成とし、その衝撃吸収部材をゴム緩衝器の後側に配設して、ゴム緩衝器及び衝撃吸収部材によって衝突エネルギーを吸収するようにしているので、最終的に車体台枠同士が衝突することになっても、その車体台枠同士の衝突による加速度を大幅に低減することができる。また、ゴム緩衝器の後側を正四角筒状の衝撃吸収部材で支えるという簡単な構造であるため、製造が容易で、低コストである。
【0051】
また、衝撃吸収部材の長さL1を、前記連結器の連結面と前記車体台枠の前端との間隔L2よりも大きくなるようにしているので、ゴム緩衝器がその衝撃吸収ストロークを使い果たしても、車体台枠同士が衝突するまでの間、衝突エネルギーを衝撃吸収部材にて吸収することができる。よって、衝突による衝突荷重及び加速度を低減する上で有利な構造とすることが可能となる。
【0052】
また、支持枠の前部に設けた左右のブラケットの車体左右方向の間隔を、前記連結器の胴部が通過可能な大きさとし、連結器の後退が許容されるので、連結器が直線的に後退し、ゴム緩衝器及び衝撃吸収部材を、衝突エネルギーを吸収する上で有利となるように変形させることができる。
【0053】
さらに、左右のブラケットをそれぞれ、車体上下方向において間隔を有するように上下2段の上下ブラケット部でもって構成し、前記車体上下方向の間隔を、前記連結器の後端部とゴム緩衝器とを連結する車体左右方向の連結ピンが通過可能な大きさとしているので、ゴム緩衝器を連結器に連結する車体左右方向の連結ピンが、連結器の胴部よりも大きく突出していても、連結ピンが前記間隔を通過し、連結器の後退を妨げない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鉄道車両の連結器用ゴム緩衝器の取り付け構造を示す平面図である。
【図2】同側面図である。
【図3】(a)は試験装置の概略構成を示す正面図、(b)は同試験装置の要部を拡大して示す平面図である。
【図4】衝撃吸収用パイプ部材の圧壊量(変位)と車体の反力(荷重)との関係を、図3に示す試験装置で求めた結果を示す図である。
【図5】本発明に係る衝撃吸収用パイプ部材の幅Bと、平均圧縮応力との関係を示す図である。
【図6】(a)〜(c)はそれぞれ本発明に係る鉄道車両の連結器用ゴム緩衝器の取り付け構造を用いた鉄道車両の先頭部の変形モードを模式的に示す説明図である。
【図7】他の実施の形態についての図1と同様の図である。
【図8】他の実施の形態についての図2と同様の図である。
【図9】鉄道車両のゴム緩衝器の斜視図である。
【符号の説明】
1 ゴム緩衝器
10,10’ 連結ピン
11 連結器
12L,12R 衝撃吸収用パイプ部材
13 車体台枠
21 支持枠
22L,22R ブラケット
22La,22Ra 上側のブラケット
22Lb,22Rb 下側のブラケット
Claims (1)
- 連結器、ゴム緩衝器、及び正四角筒状の衝撃吸収部材が車体前後方向に順に配設され、車体前後方向の衝突荷重を前記衝撃吸収部材を介して車体台枠が受ける鉄道車両の連結器用ゴム緩衝器の取り付け構造であって、
前記車体台枠に取り付けられた支持枠内に、前記ゴム緩衝器が支持され、前記ゴム緩衝器は、前部に前記連結器との連結部を有し、前記連結部が、前記支持枠の前部に設けられた左右のブラケットの間を通じて前記連結器に連結され、前記左右のブラケットの車体左右方向の間隔が、前記連結器の胴部が通過可能な大きさとされ、
前記左右のブラケットはそれぞれ、車体上下方向において間隔を有するように上下2段の上下ブラケット部でもって構成され、前記車体上下方向の間隔が、前記連結器の後端部とゴム緩衝器とを連結する車体左右方向の連結ピンが通過可能な大きさとされ、
前記衝撃吸収部材は、一辺の幅Bおよび板厚tの関係が、
前記衝撃吸収部材は、それの長さL1、および前記連結器の連結面と前記車体台枠の前端との間隔L2の関係が、
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