JP4047639B2 - 産業用空調装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、取入れ空気を、冷凍サイクルを用いて所定の温度及び所定の関係湿
度に精度よく調整して、ユースポイントへ供給する産業用空調装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冷凍サイクルを用いる産業用空調装置は、屋外及び又は屋内からの取入れ空気を冷媒の蒸発器、すなわち、冷却除湿器内を通過する間で、露点以下に冷却して空気中の水分を凝縮させ、凝縮水として分離する。その後、精度よく所定の温度まで加熱調整及び所定の関係湿度まで加湿調整した空気にして、クリーンルームやクリーンブース、クリーンチャンバに供給する装置であって、半導体はじめ、種々の電子部品や精密部品を製造する産業、食品産業や医薬品産業などにおいて広く用いられている。
【0003】
従来より、この種の代表的な空調装置の冷凍サイクルは、例えば、図3に示すように、コンプレッサ14、油分離器16、凝縮器17、電子膨脹弁18、冷媒の蒸発器である冷却除湿器1、アキュームレータ13などにより構成し、それらを配管で接続して冷媒を循環して形成されている。そして、この装置では、ダクト22の空気導入口22aから空気を取入れ、冷却除湿器1は取入れ空気を流す上流側のダクト22内に配設・収納されており、一方、送風機11はその吸入口11aが加湿機4の下流側に接続されていて、吐出口11bは調整した供給空気をユースポイントへ送出するダクト22の下流側出口22bに接続されている。
【0004】
ダクト22における冷却除湿器1の下流側には、加熱器2及び加湿器4が設けられていて、ダクト22の下流側出口22bに配置した供給空気温度センサ8により検出した温度及び供給空気関係湿度センサ6により検出した関係湿度が、それぞれ加熱器温度コントローラ9及び加湿器温度コントローラ7に入力されて、前記加熱器2では加熱器ヒータ3により空気を所定温度まで昇温させ、前記加湿器4では加湿器ヒータ5により水を必要な湿度まで加熱して蒸発・気化させる。
【0005】
また、別の型式として、特に図示はしないが、基本的に図3の装置と構成上に大きな違いはなく、送風機11をダクト22の最も上流側に位置させ、この送風機11の吐出口11bを冷却除湿器1の上流側に配置するようにした空調装置も知られている。
【0006】
図3の空調装置では、取入れ空気が左側の矢印の方向からダクト22内へ流れて、冷却除湿器1内で冷却される。空気は冷却除湿器1内を通過する間に露点以下まで冷却されるため、水分が凝縮水として分離され、この凝縮水は空調装置外へ排出される。また、前記冷却除湿器1内に流入した空気と、冷凍サイクルを循環する冷媒との間では、伝熱管を介して空気は冷媒に冷媒の蒸発熱を与え、自らは露点以下まで冷却される熱交換が行われる。このように、取入れ空気は冷却され、除湿されるので、次の行程として加熱器2及び加湿器4を通過することで、所定の温度及び所定の関係湿度に調整されて、ユースポイントへ供給することのできる空気となる。
【0007】
冷却除湿器1における冷却除湿熱量、即ち、冷却除湿熱負荷量を変化させる際には、コンプレッサ14を駆動するモータ15に接続しているインバータ(図示せず)を制御して、該モータ15の回転数を変化させ、冷凍サイクルを循環する冷媒量を変化させている。
【0008】
冷却除湿器1における凝縮冷媒温度を変化させる際には、第1温度センサ20及び第2温度センサ21を用いて冷却除湿器1の冷媒流入口温度と冷媒流出口温度とを検出して、設定温度となるように電子膨脹弁コントローラ19からの制御信号を電子膨脹弁18に出力して開度を調整して冷媒の蒸発圧力、即ち、冷媒の蒸発温度を変化させている。
【0009】
また、供給空気の温度及び関係湿度の調整は、ダクト出口22b付近の内部に配置した供給空気温度センサ8によって温度を検出し、また、供給空気関係湿度センサ6によって関係湿度を検出し、それぞれ加熱器温度コントローラ9及び加湿器温度コントローラ7に入力して、加熱器2及び加湿器4のそれぞれに設けられている加熱器ヒーター3及び加湿器ヒーター5に通電する電力量を制御する。さらに、風量調整は、送風機11を駆動するモータ12に接続しているインバータ(図示せず)を制御することによって行う。
【0010】
【発明が解決すべき課題】
上記のような従来型空調装置の第1の課題は、屋外及び又は屋内からの取入れ空気の全圧力(通常は大気圧)、温度(通常は気温)、関係湿度は、その時点での気象条件の影響を受けており、しかも気象条件は季節の推移も含めて常に変化・変動しているということに関係している。そのため、従来の冷凍サイクルを用いた産業用空調装置における冷却除湿は、気象条件の変化・変動を十分に吸収できる大きさの伝熱面積を保有させるように設計・製作されており、かつ、取入れ空気は確実に露点(=結露温度)以下から、着霜(乃至結氷)温度以上となる範囲内で、冷媒蒸発温度が設定されて稼働している。そして、殆どの場合、冷凍機を安定稼働させるために、冷却除湿器の冷媒蒸発温度は2乃至7°Cに設定されている。
【0011】
このように、冷凍機には安定稼働に必要な最小限度以上の負荷が常に与えられているが、ユースポイントで要求される温度、及び又は関係湿度から判断すると、取入れ空気は必要以上に過剰に冷却され、かつ、空気中の水分は必要以上に過剰に除湿されるというエネルギー量、即ち、電力量の浪費が行われている。そして必要以上に過剰に冷却された空気と、必要以上に過剰に除湿された水分とは、ユースポイントで要求される温度まで余計に加熱する必要があり、かつ、要求される湿度まで余計に加湿する必要がある。それゆえ、さらに必然的にエネルギーが浪費されることになるという問題を有している。
【0012】
第2の課題は、従来の産業用空調装置の湿度調整は、冷却除湿後の空気をユースポイントにおいて、要求される関係湿度φ(%)に調整する際に、先ず要求される温度t[℃]に調整し、次いで全圧は常時標準大気圧にあって、変化・変動しないという前提のもとに、図3に示すように、ダクト出口22b付近の内部に配置した供給空気関係湿度センサ6によって空気中の水蒸気圧p[hPa]を検知して、p=φp×10 − 2[hPa]となるように、加湿器中に滞留する水の加熱温度を制御して、水分を蒸発させるという水蒸気圧制御方式であって、供給空気中の水分量が所定の値となるように、必要な水分量を必要な加湿熱量を消費してt[℃]で全量蒸発・気化させる水分量制御方式ではないことである。ここでp[hPa]は温度t[℃]における飽和水蒸気圧である。つまり、前記水蒸気圧制御方式は、全圧が変化・変動しているにもかかわらず、温度に対する水蒸気圧を制御しているにすぎない点にある。
【0013】
そのため、特に、全圧が標準大気圧より低気圧である場合、並びに大気圧が次第に低下する方向に変動する場合は、調整するべき空気に必要量以上に過剰な水分を加湿器で蒸発・気化させており、その分エネルギー量、即ち、電力量を浪費していることになる。表1に、全圧が、A:1033.5hPaの高気圧下、B:1013.3hPaの標準大気圧下、C:960.5hPaの低気圧下において、温度を25°C、関係湿度を50%に調整する際に、絶対湿度[kg(水)/kg(乾き空気)]が相違する状況を示した。
【0014】
【表1】
Figure 0004047639
【0015】
表1の絶対湿度は、その気象条件下において、水分を含まない乾き空気1kg中に含有されている水分量のkgを示しているから、960.5hPaの低気圧下、例えば台風通過時には、従来の水蒸気圧制御方式では、乾き空気1kgに対して、確実に{(104.34−98.82)×10−4}(51.33×10)=28.33J/kg(乾き空気)に相当するエネルギーを浪費している。
【0016】
また、例えば、海抜(標高)500mの高地において、水蒸気圧制御方式によって湿度調整する従来の産業用空調装置を稼働させると、標準大気圧が954.6hPaとなるから、予め湿度計を標高補正していない場合、常に湿度調整にエネルギーを浪費していることになる。この場合は、さらに、前記した気象条件の変化・変動に伴うエネルギー浪費が重ねて加えられることになる。
【0017】
【表2】
Figure 0004047639
【0018】
表2に、海抜(標高)A:0m、B:100m、C:200m、D:500m、E:1000mにおける標準大気圧[hPa]を温度22[℃]の条件下において、関係湿度40(%)に調整した際に、絶対湿度[kg(水)/kg(乾き空気)]が相違する状況を示した。
【0019】
一方、エネルギー浪費とはならないが、全圧が標準大気圧より高気圧となった場合は、従来の産業用空調装置を稼働させると、絶対湿度は要求値よりも低湿度になり、絶対湿度の調整精度が保持できないという課題がある。勿論、全圧が標準大気圧より低気圧の場合も、同様に、調整精度が保持できないという課題がある。
【0020】
従来から、産業用空調装置に対する絶対湿度の調整精度は±2%以下、特に近時は±0.3%以下が要求されているが、全圧が標準大気圧下では、前記精度が満足されたとしても、明らかに、大気圧が±2%程度変化・変動すると、調整精度±2%が保持できないという課題は、未解決のままである。
【0021】
次に、第3の課題は、空調装置へ取入れる空気の密度、即ち、取入れ空気の密度も気象条件によって影響を受けるということである。当然のことながら、空気の密度は、低気圧、高温度、高湿度時には小さく、逆に高気圧、低温度、低湿度時には大きい。表3に気圧(全圧)、温度、関係湿度が、それぞれ、A:970hPa、35℃、100%、B:1035hPa、7℃、15%、C:1013.3hPa、23℃、45%における空気の密度を示した。C:は標準的な気象条件である。
【0022】
【表3】
Figure 0004047639
【0023】
表3から分かるように、空気の密度は年間で最大20%、日間で10〜15%程度変化するから、送風機を一定回転数で稼働させる従来の産業用空調装置においては、該送風機モータの回転数をインバータにより制御しても、ユースポイントで必要とする最大空気量の120〜150%程度で稼働させざるを得ない。つまり、ユースポイント近辺で最終的に必要とする空気量に調整するから、20〜50%の余分な空気量を調温、調湿するに要したエネルギー量、即ち、電力量を浪費することになる。
【0024】
第4の課題は、上記のような状態で送風機を稼働させることにより発生する。即ち、従来の産業用空調装置は、過大な空気量を取入れて冷却除湿器、加熱器、加湿器に流入させるから、冷凍機も過大な負荷状態で稼働させることになり、加熱器及び加湿器も同様に過大な負荷状態で稼働させることになる。つまり、従来のこの種の装置では、気象条件が設計条件付近にある場合においても、20〜50%程度のエネルギー量、即ち、電力量を浪費するという問題点を有している。
【0025】
第5の課題は、ユースポイントで必要とする空気量を調整するのに必要なエネルギー量、即ち、電力量を算定するためには、取入れ空気の質量が必要とされるが、従来のこの種の装置では、該質量流量を計測するための手段を全く装備していない、ということである。また、加湿器で蒸発・気化させる水分量は、前記した水蒸気圧制御方式であるから、加湿水の温度及び流量を計測するための手段も全く装備していないことである。さらに、必要な空気量に対して必要な冷却除湿温度、必要な冷却除湿熱量、必要な冷媒蒸発温度、必要な加熱熱量、必要な加湿熱量、等のエネルギー量を演算するための手段も全く装備していないことである。
【0026】
そのため、従来の産業用空調装置では、ユースポイントが真に必要としているエネルギー量は不明のまま、また、ユースポイントが消費しているエネルギー量が不明のまま稼働している、という問題点を有している。
【0027】
さらに、第6の課題として、従来では、省エネを目的として、取入れ空気の全量を冷却除湿器に通気させるのではなく、主流ダクトと副流ダクトに分岐させて、副流ダクトに流す空気量を取入れ空気量の45%以下を目安とすることにより、主流ダクトに流す空気量を必要最小限度まで縮減して、主流ダクトから冷却除湿器へ通気させる方式も知られているが、この方式の場合も、必要なエネルギー量を算定するのに必要な主流ダクトを流れる空気質量・流量、副流ダクトを流れる空気質量・流量を計測する手段を全く備えておらず、ユースポイントが真に必要としているエネルギー量がどの程度なのか不明のまま、また、ユースポイントが消費しているエネルギー量がどの程度なのか不明のまま、稼働しているという問題点が指摘される。さらに、加湿水の温度及び流量を計測するための手段も全く装備されていないとうい問題点も指摘される。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記した課題を解決するべく開発されたものであり、変化・変動する気象条件(全圧、温度、関係湿度)並びに加湿水温度と調整する供給空気に対する様々な要求条件に対応でき、かつ、所定の温度及び関係湿度に精度よく調整でき、さらに、効率改善されたモータやインバータの採用、過熱度改善や熱回収等の実施によって達成される省電力化に上乗せした省電力化が可能な産業用空調装置の提供を目的とするものである。
【0029】
本発明における請求項1の発明は、そのため具体的手段として、冷凍サイクルを用いる産業用空調装置において、環境の全圧力、取入れ空気の流速乃至流量又は送風機全圧、取入れ空気の温度、取入れ空気の関係湿度、供給空気の温度、供給空気の関係湿度、供給空気の静圧、を計測する計測手段と、前記計測手段を用いて得られる計測値を入力して、必要な冷却除湿温度、必要な冷却除湿熱量、必要な冷媒蒸発温度、必要な加熱熱量、必要な加湿熱量を演算させる演算手段とを備え、かつ、前記演算手段を用いて得られる演算値を変換した制御信号により作動するコンプレッサ・モータの回転数制御用インバータと、送風機モータの回転数制御用インバータ及び冷媒の蒸発圧力を制御する電子膨脹弁、ならびに、温度検出制御機能を有する加熱器と、関係湿度検出制御機能を有する加湿器とを備えることを特徴とする。
【0030】
また、請求項2の発明は、請求項1の冷凍サイクルを用いる産業用空調装置において、冷却除湿器の流入口より上流側に位置するダクトを、主流ダクトと副流ダクトとに分岐させて、主流ダクトは冷却除湿器と接続し、副流ダクトは前記冷却除湿器を迂回したあと、冷却除湿器の流出口と加熱器との中間位置で主流ダクトと合流するように配設し、副流ダクト中には流量調整ダンパと、副流ダクト内を流れる空気の流速乃至流量を計測させる計測手段を設けて、この計測手段を用いて得られる計測値を入力して、主流ダクト内を流れる空気の、必要な冷却除湿温度、必要な冷却除湿熱量、必要な冷媒蒸発温度、必要な加熱熱量、必要な加湿熱量を演算する演算手段とを備えていることを特徴とする。
【0031】
【作用】
請求項1の発明における計測手段を用いると、設定した時間間隔ごとに環境の全圧力(通常は大気圧)と、取入れ空気の流速乃至流量と、温度、関係湿度を測定しているから、気象条件が変化・変動しても該空気の質量流量、絶対湿度、エンタルピは常に修正される。さらに演算手段によって(A)必要な冷却除湿温度:T[℃]、(B)必要な冷却除湿熱量:Q[kJ/h]、(C)必要な冷媒蒸発温度:t[℃]、(D)必要な加熱熱量:Q[kJ/h]、(E)必要な加湿熱量:Q[kJ/h]の演算値も常に修正される。
【0032】
従って、コンプレッサ・モータの回転数を制御するインバータと送風機モータの回転数を制御するインバータ、及び冷媒の蒸発圧力を制御する電子膨脹弁の各コントローラに入力する制御信号も常に修正される。そして、本発明においては、加熱器は温度検出制御機能を有しているから、冷却除湿器を流出する空気の温度が、気象条件によって変化・変動しても、加熱器ヒータに印加する電力量を制御することによって、所定の温度に調整することができる。また、加湿器は関係湿度検出制御機能を有しているから、加湿水の受け入れ温度が気象条件によって変化・変動しても、加湿器ヒータに印加する電力量を制御することによって、所定の水分量を蒸発・気化させることができる。
【0033】
また、前記計測手段が実行する計測と、それらの計測値をもとにした演算値の演算手段からの出力とに係わる時間間隔と入出力動作は、市販されている通常の工業用計器で用いられている方式によって実施できる。さらにまた、加熱機能とそのシステム及びそれの加熱制御システム、ならびに、加湿機能とそのシステム、及びそれらの加湿制御システムは、従来から用いられている方式を採用することもできる。
【0034】
請求項2の発明における計測手段を用いると、環境の全圧力(通常は大気圧)と、取入れ空気の流速乃至流量と温度と関係湿度、さらに、副流ダクト内を流れる空気の流速乃至流量を測定しているから、気象条件が変化・変動しても、主流ダクト中を流れる空気の質量流量、絶対湿度、エンタルピは常に修正される。
【0035】
さらに、演算手段によって(A)必要な冷却除湿温度:T[℃]、(B)必要な冷却除湿熱量:Q[kJ/h]、(C)必要な冷媒蒸発温度:t[℃]、(D)必要な加熱熱量:Q[kJ/h]、(E)必要な加湿熱量:Q[kJ/h]の演算値も常に修正される。従って、コンプレッサ・モータの回転数を制御するインバータと送風機モータの回転数を制御するインバータ、及び冷媒の蒸発圧力を制御する電子膨脹弁の各コントローラに入力する信号も常に修正される。そして、本発明においては、加熱器は温度検出制御機能を有しているから、冷却除湿器を流出する空気の温度が、気象条件によって変化・変動しても、加熱器ヒータに印加する電力量を制御することによって、所定の温度に調整することができる。また、加湿器は関係湿度検出制御機能を有しているから、加湿水の受入れ温度が、気象条件によって変化・変動しても、加湿器ヒータに印加する電力量を制御することによって、所定の水分量を蒸発・気化させることができる。
【0036】
これらの数値は、気象条件を全て考慮して算出された値であり、また、一定時間間隔ごとに計測されるから、気象条件の変化・変動に追従して算出される値である。空調装置によっては、流速乃至流量センサを取付けるのが困難である場合があるので、送風機の全圧対風量の関係を演算手段中に予め内蔵しておけば、その時刻における送風機の全圧を算定することにより、風量、即ち、流量が求められる。
【0037】
【発明の実施の形態】
請求項1の発明に係る空調装置の構成を、図1に示す実施例により説明すると、この空調装置の冷凍サイクルは、コンプレッサ14、油分離器16、凝縮器17、電子膨脹弁18、アキュームレータ13から構成され、それらを配管で接続して冷媒を循環して形成させる。冷却除湿器1は、ダクト上流側の取入れ空気導入口22a側に配設・収納されていて、加熱器2、加熱器ヒータ3、加湿器4、加湿器ヒータ5も前記冷却除湿器1の下流側に位置するダクト22中に配設・収納されており、送風機11は加湿機4の下流側のダクト22がその吸入口11aとなっていて、吐出口11bは調整した供給空気を排出するダクト下流側の供給空気排出口22bと接続している。
【0038】
取入れ空気は、図1の左側の矢印に示すように、ダクト上流側の取入れ空気導入口22a内へ導入されて、冷却除湿器1に流入するまでの間で、取入れ空気流速センサ34、取入れ空気温度センサ35、取入れ空気関係湿度センサ36によって、各々取入れ空気の流速乃至流量、温度、関係湿度が計測される。他方、同時に、供給空気は送風機11の吐出口11bと供給空気排出口22bまでのダクト下流側内で供給空気温度センサ8、供給空気関係湿度センサ6、供給空気静圧センサ28によって、各々、供給空気の温度、関係湿度を計測して、演算手段26に入力する。また、空調装置が設置された場所における環境の全圧力は、本空調装置の外表面に設けた圧力センサ33により計測して、前記演算手段26に入力する。
【0039】
入力された各種の計測値を用いて、演算手段26により種々の値を演算して、さらに(1)取入れ空気の水分量:M/(1+X)[kg(水)/h]、(2)供給空気の水分量:M/(1+X)[kg(水)/h]、(3)取入れ空気の温度:T[℃]、(4)供給空気の温度:T[℃]、(5)加熱後の空気の温度:t[℃]を用いて、(X)M/(1+X)とM/(1+X)の大小と、(Y)TとT−Δtの大小を演算する。(Z)T<T−Δtの場合は、さらに、Tとtの大小を演算する。ここで、M[kg(湿り空気)/h]は取入れ空気の質量流量、X[kg(水)/kg(乾き空気)]は取入れ空気の絶対湿度、M[kg(湿り空気)/h]は供給空気の質量流量、X[kg(水)/kg(乾き空気)]は供給空気の絶対湿度である。また、Δtは該産業用空調装置に取付けた送風機11の使用条件によって決まる値で、予め測定値が前記演算手段中に内蔵してある。また、tとT−Δtとの温度差は加熱器2の性能によって決まる値で、予め測定値が前記演算手段中に内蔵してある。
【0040】
これらの演算結果から、取入れ空気条件と供給空気条件との組合せは、表4に示す1〜5の5種類に分類できる。また、エネルギーを消費する箇所は表4に示すI〜IVに分類できる。それぞれのケースについて、(A)必要な冷却除湿温度、(B)必要な冷却除湿熱量、(C)必要な冷媒蒸発温度、(D)必要な加熱熱量、(E)必要な加湿熱量の演算値を変換した制御信号を出力させて、それぞれの制御信号をコンプレッサ・モータ用インバータ32と、送風機モータ用インバータ31と、電子膨脹弁コントローラ19に入力して、各々コンプレッサ・モータ15の回転数、送風機モータ12の回転数、電子膨脹弁18の開度を制御する。
【0041】
【表4】
Figure 0004047639
【0042】
冷却除湿器1に流入した空気を必要な温度まで冷却すると同時に、所定の除湿量に相当する熱量を熱交換により冷媒に与えることになるから、前記冷却除湿器1において除湿するべき水分量を凝縮させることができ、分離が可能となる。必要な温度まで冷却できたか否かは、除湿後空気温度センサ23を用いて検知させる。
【0043】
さらに、前記冷却除湿器1を流出して、加熱器2に流入した空気は、供給空気排出口22b付近に設けた供給空気温度センサ8で検知して、演算手段26に入力する。該供給空気温度センサ8と、該演算手段26と、加熱器ヒータ3と、加熱器温度コントローラ9とから構成する制御系によって、必要な加熱温度:t[℃]となるように加熱器ヒータ3に印加する電気量を制御する。必要な加熱温度となったか否かは、加熱後空気温度センサ24を用いて検知させる。
【0044】
加湿機4に流入した空気は、供給空気排出口22b付近に設けた供給空気関係湿度センサ6で検知して、前記演算手段26に入力する。該供給空気関係湿度センサ6と、演算手段26と、加湿器ヒータ5と、加湿器温度コントローラ7とから構成する制御系によって、必要な加湿水分量を蒸発・気化させるように加湿器ヒータ5に印加する電気量を制御する。必要な加湿水分量が蒸発・気化しているか否かは、加湿器4内に設けた加湿器温度センサ25を用いて検知する。加湿器4を流出して送風機11の吸入口11aに流入した空気は、該送風機11で昇圧して吐出口11bを経て該空調装置の排出口まで接続しているダクト22内を流れて排出口22bから排出されて、ユースポイントへ供給される。
【0045】
図2は、本発明に係る産業用空調装置の別の実施例における構成を示す図である。この図2の空調装置の冷凍サイクルは、基本的には図1の装置と同様の機器から構成されており、また、同様な配管で接続されて冷媒を循環させる。この空調装置では、取入れ空気を導入するダクト22を、冷却除湿器1の流入口より上流位置において、主流ダクト39と副流ダクト40とに分岐させ、取入れ空気をダクト22の上流側でそれぞれダクト39,40内へ流すように構成した点で異なっている。
【0046】
主流ダクト39内には、冷却除湿器1が配置されているが、該主流ダクト39は前記冷却除湿器1の流出口と加熱器2の流入口との中間位置において、前記冷却除湿器1を迂回させた副流ダクト40の下流端と合体するように構成されている。取入れ空気は、図2の左側の矢印に示すように、取入れ空気導入口22a内へ導入された時点で、取入れ空気流速センサ34、取入れ空気温度センサ35、取入れ空気関係湿度センサ36によって、それぞれ取入れ空気の流速、温度、関係湿度が計測された後、主流ダクト39と副流ダクト40内へ分岐流入する。
【0047】
主流ダクト39内を流れる取入れ空気は、取入れ空気導入口22aにおいて、取入れ空気流速センサ34、取入れ空気温度センサ35、取入れ空気関係湿度センサ36により、各々取入れ空気の流速乃至流量、温度、関係湿度が計測されてから冷却除湿器1に流入する。また、副流ダクト40内に流れた取入れ空気は、副流ダクト流速センサ41によって、副流ダクト40内を流れる空気の流速乃至流量が計測され、主流ダクト39及び副流ダクト40内を流れる空気の流速乃至流量の計測値が演算手段26に入力される。また、送風機11の吐出口11bと供給空気排出口22bまでのダクト22内で、供給空気は供給空気温度センサ8と供給空気関係湿度センサ6によって、温度、関係湿度を計測し、前記演算手段26に入力する。なお、環境の全圧力は、本空調装置の外表面に設置した圧力センサ33を用いて計測して、演算手段26に計測値を入力する。
【0048】
入力された各種の計測値を用いて、演算手段26によって、種々の値を演算して、さらに(1)取入れ空気の水分量:M/(1+X)[kg(水)/h]、(2)供給空気の水分量:M/(1+X)[kg(水)/h]、(3)取入れ空気の温度:T[℃]、(4)供給空気の温度:T[℃]、(5)加熱後の空気の温度:t[℃]を用いて、(X)M/(1+X)とM/(1+X)の大小と、(Y)TとT−Δtの大小を演算したり、(Z)T<T−Δtの場合は、さらに、Tとtの大小を演算することは、前記第1の実施例の場合と同じである。
【0049】
さらに、演算結果から、取入れ空気条件と供給空気条件との組合せを、表4の1〜5の5種類、また、エネルギーを消費する箇所は、表4のI〜IVによりそれぞれ分類し、それぞれのケースについて、(A)必要な冷却除湿温度、(B)必要な冷却除湿熱量、(C)必要な冷媒蒸発温度、(D)必要な加熱熱量、(E)必要な加湿熱量の演算値を変換した制御信号を出力させて、それぞれの制御信号をコンプレッサ・モータ用インバータ32と、送風機モータ用インバータ31と、電子膨脹弁コントローラ19に入力して、各々コンプレッサ・モータ15の回転数、送風機モータ12の回転数、電子膨脹弁18の開度を制御することも実施例1の場合と同じである。
【0050】
なお、主流ダクト39内で冷却除湿器1に流入した空気を必要な温度まで冷却させ、同時に、所定の除湿量に相当する熱量を熱交換により冷媒に与えることで、前記冷媒除湿器1において除湿するべき水分量を凝縮させて、分離を可能とすること、また、必要な温度まで冷却できたか否かを、除湿後空気温度センサ23を用いて検知させることも前記実施例と同じである。
【0051】
さらに、冷却除湿器1を流出し、下流で副流ダクト40内を流れた空気と合流した空気は、加熱器2に流入するが、そのとき供給空気排出口22b付近に設けた供給空気温度センサ8で検知して、演算手段26に入力する。該供給空気温度センサ8と、該演算手段26と、加熱器ヒータ3と、加熱器温度コントローラ9とから構成する制御系によって、加熱器2に流入した空気を必要な加熱温度:t[℃]となるように加熱器ヒータ5に印加する電気量を制御すること、および必要な加熱温度となったか否かを、加熱後空気温度センサ24を用いて検知することも前記実施例と同じである。
【0052】
加湿器4に流入した空気は、供給空気排出口22b付近に設けた供給空気関係湿度センサ6で検知して演算手段26に入力する。該供給空気関係湿度センサ6と、該演算手段26と、加湿器ヒータ5と、加湿器温度コントローラ7とから構成される制御系によって、必要な加湿水分量を蒸発・気化させるように加湿器ヒータ5に印加する電気量を制御すること、および、必要な加湿水分量が蒸発・気化しているか否かを、加湿器4内に設けた加湿器温度センサ25を用いて検知することも前記実施例と同じである。
【0053】
次に、本発明の空調装置における各計測手段により得られた数値を基礎にする演算方法を説明すると、前記各計測手段によって(1)環境の全圧力(通常は大気圧)、(2)取入れ空気の流速乃至流量又は送風機全圧、(3)取入れ空気の温度、(4)取入れ空気の関係湿度は随時計測でき、さらに、(5)供給空気の温度、(6)供給空気の関係湿度、(7)供給空気の静圧は随時設定できるから、それらの値を演算手段に入力して、取入れ空気の、質量流量:M[kg(湿り空気)/h]、絶対湿度:X[kg(水)/kg(乾き空気)]、湿り空気のエンタルピ(以下「エンタルピ」という):i[kJ/kg(乾き空気)]と調整する供給空気の、質量流量:M[kg(湿り空気)/h]、絶対湿度:X[kg(水)/kg(乾き空気)]、エンタルピ:i[kJ/kg(乾き空気)]を求める。
【0054】
これらの数値は、気象条件によって全て考慮して算出される値である。空調装置によって、流速乃至流量センサを取付けるのが困難な場合があるので、該送風機の全圧対風量の関係を演算手段中に予め内蔵させておけば、その時刻における該送風機の全圧を算定することにより、風量、即ち、流量が得られる。本発明においては、前記した数値の算出に止まらず、以下の演算を前記演算手段によって行う。
【0055】
〔1〕取入れ空気の水分量が、調整する供給空気の水分量より多く、かつ、取入れ空気の温度:T[℃]が、供給空気の送風機吸入口における温度T−Δt[℃]以上である場合、即ち、M/(1+X)≧M/(1+X)で、かつ、T≧T−Δtの場合は、冷却除湿となり、以下に記す(1)式によって必要な除湿量:ΔW[kg(水)/h]を演算手段を用いて演算させる。Δt[℃]は送風機によって空気が断熱圧縮されるために生ずる温度上昇分であって、送風機の使用条件によって決まる値である。予めこれらの測定値は前記演算手段中に内蔵してある。そして、ΔWは必要な除湿量を表しているから、(1)式において、ΔW≧0の場合、加湿の必要はない。
【0056】
【数1】
ΔW=M/(1+X)−M/(1+X)・・・・・(1)
【0057】
次に、(2)式によって冷却除湿器出口における空気の絶対湿度:X[kg(水)/kg(乾き空気)]を演算させる。
【0058】
【数2】
=M/[(M−ΔW)(1+X)−M]・・・(2)
【0059】
さらに、(3)式によって冷却除湿器出口における空気中の水蒸気圧:p[kPa]を演算させ、続いて(4)式で、必要な冷却除湿温度、即ち冷却除湿器出口における空気の温度:T[℃]を演算させる。
【0060】
【数3】
=πX/(0.62202+X)・・・・・・・・・・・・(3)
【0061】
【数4】
=f−1(p)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
【0062】
ここで、π[kPa]は環境の全圧力、p[kPa]は温度:T[℃]における飽和水蒸気圧である。pとTの関数関係p=f(T)は、演算手段中に内蔵させておく。(4)式はP=f(T)の逆関数である。
【0063】
続いて、冷却除湿器出口における空気のエンタルピ:i[kJ/kg(乾き空気)]を求めて必要な冷却除湿熱量、即ち、冷却除湿熱負荷量:Q[kJ/h]を(5)式で演算する。
【0064】
【数5】
=M/(1+X)−(M−ΔW)i/(1+X)・・・・ ・・・(5)
【0065】
を用いれば、必要な冷媒循環量が決定でき、さらに、コンプレッサ・モータ15の回転数が決定できるから、過剰なエネルギーを消費する必要はない。即ち、省電力化できることになる。
【0066】
この場合、ΔW≧0で、かつ、T<T−Δtとなるから、加熱の必要はあるが、加湿の必要はない。即ち、加湿のための電力は消電力化できる。
【0067】
必要な冷媒の蒸発温度:T[℃]は、(6)式により求める。
【0068】
【数6】
=[T−Texp{(S/Q)(T−T)}]/[1−exp{(S/Q)(T−T)}]・・(6)
【0069】
該(6)式中、S[kJ/h・℃]は、冷却除湿器によって定まる定数であり、予め測定値が前記演算手段中に内蔵してある。取入れ空気の温度:T[℃]は測定値であり、冷却除湿器出口における空気の温度:T[℃]は前記(4)式による算出値であり、必要な冷却除湿熱量:Q[kJ/h]は前記(5)式による算出値である。また、前記したごとく、tとT−Δtとの温度差は、予め測定値が前記演算手段中に内蔵してある。
【0070】
〔2〕次に、取入れ空気の水分量が、調整する供給空気の水分量より多く、かつ、取入れ空気の温度T[℃]が供給空気の送風機吸入口における温度:T−Δt[℃]より低い場合、即ち、M/(1+X)>M/(1+X)で、かつ、T<T−Δtの場合は、冷却除湿となる。そして、前記(1)式によって、必要な除湿量:ΔW[kg(水)/h]を演算させる。
【0071】
このようにして、T、T、T、t、X、X、X、ΔWの値が決定されるから、冷却除湿器入口におけるエンタルピ:i[kJ/kg(乾き空気)]、冷却除湿器出口におけるエンタルピ:i[kJ/kg(乾き空気)]、加熱器出口におけるエンタルピ:i[kJ/kg(乾き空気)]:加湿器出口におけるエンタルピ:i[kJ/kg(乾き空気)]が演算でき、したがって、必要な冷却除湿熱量:Q[kJ/h]、空気の冷却に必要な熱量:Q11[kJ/h]、水分の凝縮に必要な熱量:Q12[kJ/h]、必要な加熱熱量:
[kJ/h]、必要な加湿熱量:Q[kJ/h]が演算できる。なお、前記〔1〕の場合は、加湿の必要はないから、ΔW=0となり、Q=0となる。
【0072】
次いで(2)式によって、冷却除湿器出口における空気の絶対湿度:X[kg(水)/kg(乾き空気)]を演算させる。続いて(3)式によって、冷却除湿器出口における空気中の水蒸気分圧:p[kPa]を演算させ、さらに、前記(4)式で、必要な冷却除湿温度:T[℃]を演算させ、続いて冷却除湿器出口における空気のエンタルピ:i[kJ/kg(乾き空気)]を求めた後、必要な冷却除湿熱量、即ち、冷却除湿の熱負荷量:Q[kJ/h]を前記(5)式で演算させる。この場合、ΔW>0で、かつ、T<T−Δtとなるから、加熱は必要であるが、加湿の必要はない。即ち、加湿のための電力は不要となり、省電力化できる。そして前述と同様に、S、T、T、Qは与えられるから、必要な冷媒温度:T[℃]は前記(6)式で演算できる。
【0073】
以下、同様にして、〔3〕取入れ空気の水分量が、調整する供給空気の水分量より少なく、かつ、取入れ空気の温度:T[℃]が供給空気の送風機吸入口における温度:T−Δt[℃]よりも高い場合、即ち、M/(1+X)<M/(1+X)で、かつ、T≧T−Δtの場合、および、〔4〕取入れ空気の水分量が、調整する供給空気の水分量より少なく、かつ、取入れ空気の温度:T[℃]が供給空気の送風機吸入口における温度:T−Δt
[℃]よりも低い場合、即ち、M/(1+X)<M/(1+X)で、かつ、T<T−Δt、かつ、T≦tの場合、さらに、〔5〕取入れ空気の水分量が、調整する供給空気の水分量より少なく、かつ、取入れ空気の温度T[℃]が供給空気の送風機吸入口における温度:T−Δt[℃]よりも低い場合、即ち、M/(1+X)<M/(1+X)で、かつ、T<T−Δt、かつ、T>tの場合ついて演算して、各機器を制御する。
【0074】
【発明の効果】
以上に説明したように、従来の冷凍サイクルを用いた空調装置では、冷却除湿器が、季節の推移を含めて変化・変動する気象条件に対して十分対応できるような大きさの伝熱面積が保有されるように設計・製作されていて、冷凍機には、常に安定稼働に必要な最小限度以上の負荷が与えられているために、ユースポイントで要求される温度・関係湿度から判断すると、取入れ空気をたえず必要以上に過剰に冷却し、かつ、空気中の水分を必要以上に過剰に除湿するという、空調装置の稼働にかなりのエネルギー量、即ち、電力量を浪費する点が問題として指摘されていた。
【0075】
このような従来の空調装置の問題点に対し、本発明では、冷凍サイクルを用いる産業用空調装置において、各種の計測手段と、これらの計測手段により得られた計測値を演算手段に入力して、最終的に、(A)必要な冷却除湿温度、(B)必要な冷却除湿熱量、(C)必要な冷媒蒸発温度、(D)必要な加熱熱量、(E)必要な加湿熱量を算出させ、これにより得られた演算値を変換した制御信号に基づいて、コンプレッサ・モータの回転数を制御するインバータ、送風機モータの回転数を制御するインバータ、冷媒の蒸発圧力を制御する電子膨脹弁、温度検出制御機能を有する加熱器、関係湿度検出制御機能を有する加湿器を作動させるので、空調装置を構成する回転機器と、これらに接続する他の関連機器のエネルギー効率を大幅に改善し、冷凍サイクルの成績係数(COP)に関連する要因の改善、熱回収で達成される消電力化に、さらに表4に示す上乗せした消電力化を期待することができる。
【0076】
なお、本発明は上記のように、産業用空調装置を前提にして説明してきたが、本発明は産業用空調装置に限定されるものではなく、温度・関係湿度を精度よく調整する必要のある民生用、業務用、医療用の空調装置に適用可能である。また装置内部、及び又は外部に、除塵、除菌フィルタ、有害成分を除去するフィルタ、さらに、外部に有害成分を除去する空気清浄化装置を備えた産業用空調装置、または、消臭剤または殺菌剤を添加するような機構を備えた産業用空調装置にも適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る産業用空調装置の一つの実施例の構成を示す説明図。
【図2】 本発明に係る産業用空調装置の別の実施例の構成を示す説明図。
【図3】 従来における産業用空調装置の一例の構成を示す説明図。
【符号の説明】
1:冷却除湿機、
2:加熱機、
3:加熱ヒータ、
4:加湿機、
5:加湿器ヒータ、
6:供給空気関係湿度センサ、
7:加湿器温度コントローラ、
8:供給空気温度センサ、
9:加熱器温度コントローラ、
11:送風機、
12:送風機モータ、
13:アキュームレータ、
14:コンプレッサ、
15:コンプレッサ・モータ、
16:油分離器、
17:凝縮器、
18:電子膨脹弁、
19:電子膨脹弁コントローラ、
22:ダクト、
23:除湿後空気温度センサ、
24:加熱後空気温度センサ、
25:加湿器温度センサ、
26:演算手段、
27:加湿水制御弁、
28:供給空気静圧センサ、
31:送風機モータ用インバータ、
32:コンプレッサ・モータ用インバータ、
33:圧力センサ、
34:取入れ空気流速センサ、
35:取入れ空気温度センサ、
36:取入れ空気関係湿度センサ、
39:主流ダクト、
40:副流ダクト、
41:副流ダクト流速センサ、
42:流量調整ダンパ、
43:流量調整ダンパアクチュエータ、
44:流量調整ダンパコントローラ、

Claims (2)

  1. 一端に空気導入口及び他端に供給空気排出口を有するダクトを備えた冷凍サイクルを用いる産業用空調装置において、
    環境の全圧力、取入れ空気の流速乃至流量又は送風機全圧、取入れ空気の温度、取入れ空気の関係湿度、供給空気の温度、供給空気の関係湿度、供給空気の静圧、を計測する計測手段と、
    前記計測手段を用いて得られる計測値から、必要な冷却除湿温度、必要な冷却除湿熱量、必要な冷媒蒸発温度、必要な加熱熱量、必要な加湿熱量を演算る演算手段と、
    前記演算手段を用いて得られる演算値を変換した制御信号により作動するコンプレッサ・モータの回転数制御用インバータと、送風機モータの回転数制御用インバータと、冷媒の蒸発圧力を制御する電子膨脹弁、温度検出制御機能を有する加熱器と、関係湿度検出制御機能を有する加湿器とを備え
    前記演算手段が、取入れた空気中の水分量と供給空気中の水分量との差である冷却除湿量、取入れた空気の温度と供給空気の温度との差、供給空気の関係湿度及び飽和蒸気圧曲線とから前記必要な冷却除湿温度を演算し、取入れ空気の温度から冷却除湿温度まで冷却して該冷却除湿量に相当する取入れ空気中の水分を凝縮させる熱量から前記必要な冷却除湿熱量を演算し、前記必要な冷却除湿熱量から前記必要な冷媒蒸発温度を演算し、該冷却除湿温度から加熱後空気の温度までに昇温させる熱量から前記必要な加熱熱量を演算し、取入れた空気中の水分量が、供給空気中の水分量より少ない場合にその差に応じて気化させるべき水量から前記必要な加湿熱量を演算し、
    前記コンプレッサ・モータの回転数制御用インバータが、前記必要な冷却除湿熱量を変換した制御信号により作動し、
    前記送風機モータの回転数制御用インバータが、加熱後空気の温度を変換した制御信号により作動し、
    前記電子膨脹弁が、冷媒の前記必要な冷媒蒸発温度に対応する蒸発圧力を変換した制御信号により作動し、
    前記加熱器が、前記必要な加熱熱量を変換した制御信号により作動し、
    前記加湿器が、前記必要な加湿熱量を変換した制御信号により作動するように構成したことを特徴とする産業用空調装置。
  2. 一端に空気導入口及び他端に供給空気排出口を有するダクトを備えた冷凍サイクルを用いる産業用空調装置において、
    冷却除湿器の流入口より上流側に位置するダクトを主流ダクトと副流ダクトに分岐させて、主流ダクトは冷却除湿器と接続し、副流ダクトは前記冷却除湿器を迂回したあと、冷却除湿器の流出口と加熱器との中間位置で主流ダクトと合流するように配設し、
    副流ダクト中には流量調整ダンパと、副流ダクト内を流れる空気の流速乃至流量を計測させる計測手段とを設けて、前記計測手段を用いて得られる計測値を入力して、主流ダクト内を流れる空気の、必要な冷却除湿温度、必要な冷却除湿熱量
    、必要な冷媒蒸発温度、並びに合流ダクト中を流れる空気の、必要な加熱熱量、必要な加湿熱量を演算する演算手段を備えている請求項1の産業用空調装置。
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