JP4047216B2 - インク供給システムおよびインクカートリッジ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク供給システムおよびインクカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクを液体吐出ヘッド(インクジェットヘッド)に供給する方式の1つとしてピットインインク供給方式が知られている。ピットインインク供給方式とは、液体吐出ヘッドに液体を供給するための液体貯蔵容器(サブタンク)を備え、この液体貯蔵容器(サブタンク)に液体を補充する容器(インクカートリッジ)が設置されると共に、サブタンクとインクジェットヘッドとが一体的に装着されたヘッドカートリッジがキャリッジ上に装着され、キャリッジを移動させて所定の位置で、液体を補充する容器(メインタンク)にサブタンクの一部に設けられた液体供給部材と接続することによりサブタンクに液体が補充される方式である。
【0003】
この方式にてインクを補充する場合には、所定量のインクを過不足なく液体貯蔵容器に補充する構成が必要となる。したがって、確実に液体を補充する容器(インクカートリッジ)に、液体貯蔵容器の一部に設けられた液体供給部材とを接続することが必要となる。さらに液体貯蔵容器へのインク充填はインクの消費に伴い複数回行われるため液体を補充する容器(インクカートリッジ)に、液体貯蔵容器の一部に設けられた液体供給部材とを接続する際の信頼性、耐久性が重要となる。またこの接後時の信頼性をあげるためには、液体貯蔵容器の一部に設けられた液体供給部材を精度よく、インクカートリッジの所定の供給部分に接続する必要がある。
【0004】
このため一般的に良く用いられる接続方法としては、インクカートリッジの一部にガイド用の凸部分を設け、インクジェット記録装置に対してロックと位置決めを行おうとする記録装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、インクカートリッジのインク供給口面に爪部をもたせ、これと係合するようにインクジェット記録装置に装着部をもち、この爪部の突起が本体との誤挿入の防止と、挿入の際、フタ開閉のラッチを兼ねているものが開示されている(例えば、特許文献2参照)
さらにまた、インクカートリッジに位置決めピンを設けカートリッジのホルダー側にこれに対応した位置決めの穴を設けて、両者の係合によりインク供給部の接合精度を保証しようとしたものも開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
また、位置決めピンとインクの供給パイプとがある距離をもって固定保持されていて、これらに対してそれぞれ位置決め受け部と供給パイプの結合部とが一体化されて状態でスライドする機構を有し、接合時にスライド部が接合に応じて変位することによって位置決めを行う提案があり、また逆に、位置決め受け部と供給パイプの結合部とが固定されていて、これらに対してそれぞれ位置決めピンとインクの供給パイプとが、一体化されて状態でスライドする機構を有し、接合時にスライド部が接合に応じて変位することによって位置決めを行う記録装置が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
提案件がある。
【0007】
【特許文献1】
特開平01−141750号公報
【特許文献2】
特開平05−261935号公報
【特許文献3】
特開2000−127444号公報
【特許文献4】
特開平06−8463号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述の従来例で提案されているインクカートリッジの位置決め方法は、通常にあるユーザの装着が1回ないしは数回を前提として考えらたものであることにたいして、上述したような液体を補充する容器(インクカートリッジ)に、サブタンクの一部に設けられた液体供給部材を接続する動作によってインク充填が行われ、このサブタンクへのインク充填がインクの消費に伴い複数回行われ、インクカートリッジの大容量化によっては数十回〜数百回が前提となる場合もある。したがって液体を補充する容器(インクカートリッジ)に、液体貯蔵容器の一部に設けられた液体供給部材とを接続する際の高い位置決めの信頼性と長期間の使用における耐久性が要求される。
【0009】
また一方、最近のインクジェット記録装置では、カラー記録対応が進み、複数色のインクジェットヘッドにより液滴を重ね合わせることによりカラー画像を形成するものが普及している。一般に、カラー記録を行う場合、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)の3原色、あるいはこれらの3原色にブラック(B)を含めた4色に対応する4種類のインクジェットヘッド及びインクカートリッジが使用されることになる。
【0010】
昨今では、このような3〜4色のインクジェットヘッドを搭載し、フルカラーで画像形成を行うインクジェット記録装置が実用化されている。また、上記4色の他に、淡いマゼンダ(LM)及び淡いシアン(LC)の2色を追加し、6色のインクを用いて高精細な写真レベルの画質での画像形成が可能なインクジェット記録装置も実用化されている。
【0011】
したがって、1つのインクカートリッジ内に複数の色のインク収容容器がレイアウトされることとなり、これらの色ごとのインク充填(接続)を行う必要がある(例えば、特許文献3の図4参照)。
【0012】
しかしながらこれらの接続部ごとに前述したような従来例における爪部やピンを設けるとインクカートリッジ自体が大型化してしまう。
【0013】
また、特許文献4にある実施形態では、インクの供給パイプ側または逆の逆のパイプ結合部にスライド機構を持たせているためカートリッジが大型化する傾向がある。さらにこの機構をもち、かつ、多色化する場合には各色ごとのジョイント結合部にスライド機構が必要となるため小型化のプリンタへは適しているといえない。また前述したようにジョイントが複数回(数十回〜数百回)に及ぶ仕様のプリンタにおいては、スライド部自体の劣化が生じることもあり、耐久性をあげる必要も生じてくる。
【0014】
一方、この大型化を避けるために、複数の接続の位置決めを1つの爪やピンで構成しようとすると、それぞれの接続部のバラツキを精度上吸収することが困難となるため、接続精度が低下する。さらに位置決めの精度低下に伴い、接続の際に余剰のインクがインクカートリッジの供給部等に残留することを生じる場合がある。この余剰となったインクは、前述した接続動作が繰り返されることによって、しだいに蓄積され、供給部に広がり、異なるインクの色が混ざり合って混色する現象を引き起こす恐れがある。
【0015】
混色したインクが接続の際に、サブタンクの一部に設けられた液体供給部材へと充填が行われてしまうと、インク吐出される色味が異なることになり、画質が低下し、記録の信頼性が保証されなくなってしまう。
【0016】
そこで、本発明では、上記、接続部における高い位置決めの信頼性と長期間の使用における耐久性の必要性のみならず、カラー化に伴うカートリッジの大型化と、混色発生の課題に着目し、特にピットイン方式において、インク補充の構成が安価であり、小型化が可能で、さらに性能が安定し、インク漏れや混色が発生しない信頼性の高い、インク供給システムを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明のインク供給システムは、内部にインクを収納するインク収納室と、インク収納室内に連通した複数の針状筒とを備え、被記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドを有する記録装置、および記録装置に対して着脱可能な、内部にインクを収納し、記録ヘッドにインクを供給するための複数のジョイント穴を備えたインクカートリッジを有し、該記録ヘッドの針状筒を該インクカートリッジのジョイント穴へ挿通する動作と、挿通を解除する動作とが繰り返され、各針状筒各ジョイント穴とが連結されることによって、インクカートリッジから記録ヘッドのインク収納室内へのインク供給がなされるインク供給システムにおいて、記録ヘッドが各針状筒のピッチ間に少なくとも1つの位置決め突起部を有するとともに、インクカートリッジの各ジョイント穴のピッチ間に位置決め突起部に対応した位置決め穴が形成されており、位置決め突起部が位置決め穴に係合されることで針状筒ジョイント穴とが位置決めされることを特徴とする。
【0018】
上記のとおりの本発明のインク供給システムは、記録ヘッドが位置決め突起部を各インク受給部の間に有し、また、インクカートリッジの各インク供給部の間に位置決め突起部に対応した位置決め穴が形成された構成となっている。すなわち、位置決め突起部を各インク受給部のピッチ間に設けているので、位置決めのための部材によって記録ヘッドが大型化してしまうことがない。また、インクカートリッジも、各インク供給部のピッチ間に位置決め穴が形成されているので大型化してしまうことがない。よって、本発明のインク供給システムは、記録装置の大型化を伴わずに位置決めを行うことができる。さらには、インクカートリッジの各インク供給部の間に位置決め穴が形成されているので、複数の色のインクの供給が行われる場合においても、供給時の余剰インクがこの位置決め穴に入り込むことで、各色の混色を防止することができる。
また、本発明のインク供給システムは、前記複数のジョイント穴は少なくともイエローインク、マゼンタインク、シアンインクに対応しており、前記位置決め穴はイエローインクに対応したジョイント穴とその他のインクに対応したジョイント穴との間に配されているものであってもよい。
本発明のインクカートリッジは、内部にインクを収納するインク収納室と該インク収納室内に連通した複数の針状筒とを備える記録ヘッドに対して着脱可能なインクカートリッジにおいて、前記複数の針状筒に対応した前記記録ヘッドにインクを供給するための複数のジョイント穴と、前記記録ヘッドに配される位置決め突起部に対応した位置決め穴と、を有し、前記複数のジョイント穴と前記位置決め穴とは直線状に配され、前記位置決め穴は前記複数のジョイント穴のピッチ間に配されることを特徴とする。
また、本発明のインクカートリッジは、前記複数のジョイント穴は少なくともイエローインク、マゼンタインク、シアンインクに対応しており、前記位置決め穴はイエローインクに対応したジョイント穴とその他のインクに対応したジョイント穴との間に配されているものであってもよい。
また、本発明のインクカートリッジは、内部にインク吸収部材を有し、該インク吸収部材と前記位置決め穴とは連通しているものであってもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
図1に本実施形態のインク供給システムにおけるインクジェット記録装置の内部概要を示す斜視図を示す。
【0021】
インクジェット記録装置30は、その背面部に給紙カセット31が着脱自在であり、給紙カセット31内に、記録装置本体内に供給する被記録媒体Pが重ねて収納されている。
【0022】
記録装置本体内に供給した被記録媒体Pは、その搬送方向と交差する方向に配置された2本のガイドレール438に支持されて往復移動するインクジェットヘッド410から吐出されたインクにより所望の画像が記録される。インクジェットヘッド410からのインクの吐出は、ノズルの吐出口431(図6参照)近傍に配置した発熱素子または振動素子(不図示)の熱もしくは振動エネルギーにより、ノズル内の液体を押し出すことにより行われる。
【0023】
また、インクジェット記録装置30内にはインクジェットヘッド410にインクを供給するため、内部にインクを収納したインクカートリッジ10がインクカートリッジガイドフレーム430に着脱可能に保持されている。すなわち、インクカートリッジ10は、インクカートリッジ交換口34より矢印A方向に挿入されて、インクジェットヘッド410の走査方向範囲内のインク吐出方向側で、かつ、インクジェットヘッド410が図1に示すホームポジションにあるとき、インクジェットヘッド410の針状筒36がジョイント穴145に挿通可能な位置となるよう装着される。
【0024】
次に、本実施形態のインク供給システムにおけるインクジェット記録装置に用いられるインクカートリッジについて詳細に説明する。
【0025】
図2にインクカートリッジの外観斜視図を、図3に図2に示すA−A線での断面図を、図4にインクカートリッジの上面図を、図5(a)に図4に示すB−B線での断面図を、図5(b)に図4に示すC−C線での断面図を、図5(c)に図5(b)のC部に示す位置決め部材近傍の拡大図をそれぞれ示す。
【0026】
図2および図3に示すように、インクカートリッジ10は、インクジェットヘッド440へのインクの供給に用いられるジョイント部140を有しており、その主要な外部構成は、インクY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の3色のインクをそれぞれ独立して収容するインク容器250を収納する筐体部120と、その上面に配され、後述するインクジェットヘッド410の吐出面432からインクを吸引して回復動作を行った際に生じる廃棄インクを収納する廃インク吸収部材220を収納する蓋部100とで構成された容器からなる。廃棄インクは廃棄インク開口部125より、インクジェット記録装置の本体からパイプなどの配管系を通じて排出されてくる。
【0027】
また、インクカートリッジ10には、後述するジョイント穴145への針状筒436の挿抜を行うために、インクジェット記録装置30のカムなどによる上下動作を行う軸(不図示)に係合することによってインクカートリッジ10自体を上下させるための溝部170が設けられている。
【0028】
図4に示すように、ジョイント部140は、ジョイント穴145Y、145M、145Cからなる複数のジョイント穴145と、ジョイント穴145Yとジョイント穴145Mとの間に位置決め穴142を有し、ジョイント穴145Y、145M、145Cおよび位置決め穴142は一直線状に配列されている。
【0029】
ジョイント穴145Y、145M、145Cは、インク容器250のインクY、M、Cの3色のインクをインクジェットヘッド440に供給するための、後述するインクジェットヘッド440の針状筒436Y、436M、436Cが挿入される穴である。
【0030】
また、位置決め穴142は、ジョイント穴145Y、145M、145Cと針状筒436Y、436M、436Cとの位置決めを行うためのものであり、後述するガイドピン420が挿入される。
【0031】
なお、本実施形態では、ジョイント穴145Yとジョイント穴145Mとの間にひとつの位置決め穴142のみが設けられた例を示しているが、これに限定されるものではなく、例えば、ジョイント穴145Mとジョイント穴145Cとの間に位置決め穴が設けられているものであってもよいし、あるいは、これらを組み合わせて、ジョイント穴145Yとジョイント穴145Mとの間、ジョイント穴145Mとジョイント穴145Cの間の、合計2つの位置決め穴が形成ものであってもよい。
【0032】
また、本実施形態ではこれら各穴が一直線上に配列された例を示しているが、これに限定されるものでもなく、ジョイント穴の列に対して位置決め穴が並行に配列されているものであってもよい。
【0033】
すなわち、本実施形態は、位置決め穴をジョイント穴のピッチ外に設けるのではなく、各ジョイント穴の間に配置されたレイアウトであればどのようなものであってもよい。このようにすることで、ガイドピンも針状筒の間に配置されることとなるのでインクカートリッジおよび記録ヘッドを大型化することなく、すなわち、記録装置を大型化することなく高精度の位置決めを行うことができる。
【0034】
また、ジョイント動作によって、インクがインクカートリッジのジョイント部に付着することがあっても、位置決め穴が各ジョイント穴の間にあるため、ジョイント部に付着した余剰インクがこの穴に入り込み、それぞれのインク色による混色が防止できる。なお、本実施形態の場合は、特に混色が目立ちやすいイエローが他のインクと混色を起こさないようにするため、ジョイント穴145Yとジョイント穴145Mとの間に位置決め穴142を配置したものである。
【0035】
図5(a)に示すように、ジョイント穴145の内部にはインクの漏れや、未使用時のインクの蒸発を防ぐためのシール部材300が内部に組み込まれている。シール部材300は、インク連結部材350の上方に向いて開口している一端上に配置され、押さえ板143によってインク連結部材350の端部との間で挟持されて固定されている。シール部材300の材質として塩素化ブチルゴムを使用している。この部品の選定においては、使用されるインクに耐えうるもので、かつシール部分からの蒸発が少ないものであればよく、かつ針状筒の挿抜の際に要する挿抜力が少なくて済むものが好適であり、他の選択候補としては、シリコンゴムやエラストマー成形の可能なスチレン系のゴムが挙げられる。
【0036】
一端にシール部材300を配したエルボー型のインク連結部材350は変性PPEの樹脂成形材料からなり、その他端はインク容器結合部材360を介してインク容器250に連結されている。
【0037】
押さえ板143は板厚0.2mmのSUS303からなり、ジョイント穴145Y、145M、145Cと、位置決め穴142とにそれぞれ対応する開口が4つ形成されている。
【0038】
図5(b)に示すように、位置決め穴142はインク連結部材350に嵌め込まれた中空パイプ形状からなる位置決め部材148にて形成されている。位置決め部材148の内径はインクジェットヘッド440ガイドピン420の位置決め部420b(図6参照)の外径との嵌合関係によって、位置決めの精度、ズレの公差などを考慮して決定すればよい。位置決め部材148の材質はSUS304であり、内径dをφ1.9mm、深さtを4.3mmとしている。
【0039】
図5(a)および図5(b)に示すように、ジョイント部140近傍に設けられた吸収部材130は、インクジェットヘッド440の回復動作において、ワイピング部材(不図示)がインクジェットヘッド440の吐出面432から拭き取った際のワイピング部材への付着物を吸収するためのものであり、本実施形態では、吸収のため微細な孔があいている、いわゆる多孔質部材が用られており、この多孔質部材自体の毛管力によりワイピング部材に付着した付着物を吸収する。吸収部材130として、厚み1.2mmのポリエチレン多孔質部材を用いている。この材質の選定においては、液体(インク)の吸収、保持が可能であることに加え、インクジェット記録装置の記録インクとして使用されるインクに耐え、かつ、後述するワイピング部材との長期間の接触においても強度的、化学的に安定したものであればよい。例えば、ポリプロピレンやポリウレタン系の繊維体などが挙げられる。
【0040】
また、インクカートリッジ10の内部には、インクを収容するインク容器250が、筐体部120とインクカートリッジの底面を構成する底板210の内部に収納されている。本実施形態では、筐体部120に収容されるインク容器250として、それぞれ数ミクロン〜数十ミクロンのPET層、アルミ層、PP層からなり、内部に収納されたインクの導出に対応して変形する袋状の容器を使用した。このインク容器250は、記録によってインクが消費されて最終的にインクが無くなると、インクカートリッジ10ごと新しいものと交換され、記録が維持されることとなる。なお、本実施形態では用紙50枚が記録可能なインク容量を考慮して、インク容器250内には、Y,M,Cの各色インクはそれぞれそれぞれ4mlずつ収容されている。なお、図5(a)および図5(b)には簡単のため、インク容器250は1つのみ示している。
【0041】
筐体部120の上部には、インクジェット記録装置のメンテナンス動作として、吐出面432からインクを吸引して回復動作を行った際に生じる廃棄インクを収納するための廃インク吸収部材220が蓋部100との間に配置されている。本実施形態では、廃インク吸収部材220として、パルプ不繊布と合成繊維不繊布とを層状に構成してなるものであり、厚み3mm程度のものを用いている。廃インク吸収部材220の厚みに関しては、廃インクを吸収するに要する容量と、廃インク吸収部材220の面積とから最適なものとして設計寸法が与えられる。
【0042】
また、インクカートリッジ10の内部には、図3に示すように、廃棄インク開口部125より、インクジェット記録装置の本体からパイプなどの配管系を通じて排出されてくる廃棄インクを保持するための廃インク保持部材230が収納されている。廃インク保持部材230は廃インク吸収部材220と互いに当接部225を介して接しており、前述したインクジェットヘッド410のメンテナンス動作によって生じた廃棄インクは廃インク保持部材230を介して廃インク吸収部材220に吸収される。この廃インク保持部材230は廃インク吸収部材220の端部を折り曲げるなどして、廃インク吸収部材220に一体的に構成しても良い。
【0043】
次に、本実施形態のインク供給システムにおけるインクジェット記録装置に用いられるインクジェットヘッドについて説明する。
【0044】
図6に、インクジェットヘッドを吐出面側からみた斜視図を示す。
【0045】
インクジェットヘッド440は、吐出面432にインクを吐出する吐出口431が形成されており、上述したようにノズルの吐出口431近傍に配置した発熱素子または振動素子(不図示)の熱もしくは振動エネルギーにより、ノズル内の液体が吐出される。
【0046】
ヘッド側ジョイント部441には、インクカートリッジ10のジョイント部140に設けられたジョイント穴145Y、145M、145Cに対応する3本の針状筒436Y、436M、436Cからなる針状筒436が設けられている。これら針状筒436Y、436M、436Cは、インクジェットヘッド440内に形成されている、インクを各色毎に貯蔵するインク貯蔵室に連通しており、上述したように、インク供給時には、インクカートリッジ10内のインク容器250からインクの供給を受けるために各ジョイント穴145にそれぞれ挿入される。
【0047】
また、針状筒436Yと針状筒436Mとの間には、位置決め穴142に対応するガイドピン420が設けられている。ガイドピン420は、円錐形状の先端部420aと、位置決め穴142に対して挿入されることで、針状筒436Y、436M、436Cとジョイント穴145Y、145M、145Cとの位置決めをする位置決め部420bとからなり、その長さは針状筒436Y、436M、436Cよりも長いものとなっている。このため、針状筒436がジョイント穴145に挿入されるのに先立ってガイドピン420が位置決め穴142に挿入されることとなる。
【0048】
また、インクジェットヘッド410には、図1に示すガイドレール438によってインクジェットヘッド410を支持するため、2つの軸受け560が吐出口431およびヘッド側ジョイント部441を挟んで両側に配置されている。
【0049】
次に、本実施形態のインク供給システムにおけるインク供給動作について説明する。
【0050】
本実施形態における、インクカートリッジを使用したインク供給システムは、断続的にインクジェットヘッド410にインクを満たす、いわゆるピットイン方式によりインク供給を行う。
【0051】
すなわち、インクジェットヘッド410のインク貯蔵室内のインクが所定の量まで減ると、インクジェットヘッド410はホームポジションまで戻り、インクジェットヘッド410の針状筒436がジョイント穴145に挿通されて、インクジェットヘッド410に接続したポンプの負圧により所定容量インクがインク容器250内からインクジェットヘッド410のインク貯蔵室内へと供給される。
【0052】
インク供給が終了し、記録を行う際には、インクジェットヘッド410に設けられた針状筒36とジョイント穴145との結合は解除され、インクジェットヘッド410が被記録媒体Pに対して走査されることにより記録がなされる。
【0053】
さらに所定の記録後、再び、インクジェットヘッド410の針状筒436がジョイント穴145に挿通され、インクジェットヘッドに接続したポンプの負圧により所定容量のインクがインク容器内からインクジェットヘッドに供給がなされる。
【0054】
このように本実施形態のインク供給システムは、インクジェットヘッド410の針状筒436をジョイント部140のジョイント穴145へ挿通する動作と、挿通を解除する動作とが繰り返される。
【0055】
次に、上述したインク供給動作における、インクジェットヘッド410の針状筒436の、インクカートリッジ10のジョイント穴145への位置決めおよび挿入に関して説明する。
【0056】
図7はホームポジションに位置するインクジェットヘッドとインクカートリッジとの位置関係を示す斜視図であり、図8(a)〜図8(c)は、インクジェットヘッドの針状筒およびガイドピンがインクカートリッジのジョイント穴および位置決め穴に挿入されていく状態の各工程をジョイント部側からみた図である。
【0057】
インクジェットヘッド410が図7および図8(a)に示すようにホームポジションに位置することで、インクジェットヘッド410の針状筒436およびガイドピン420がインクカートリッジ10のジョイント穴145および位置決め穴142の真上に位置する。
【0058】
図8(a)の状態からインクカートリッジ10が上方に移動を開始し、図8(b)にように、まず、針状筒436Y、436M、436Cよりも長いガイドピン420の先端部420aが位置決め穴142に挿入され始める。この時点では、針状筒436Y、436M、436Cは、ジョイント穴145Y、145M、145Cに挿入されていない。
【0059】
円錐形状の先端部420aによって、位置決め穴142に案内されたガイドピン420は、図8(b)の状態からさらにインクカートリッジ10が上方に移動することで位置決め部420bが位置決め穴142に挿入されることとなり、これにより、ジョイント穴145Y、145M、145Cに対する針状筒436Y、436M、436Cの位置が決まる。
【0060】
位置決め部420bが位置決め穴142に挿入されてジョイント穴145Y、145M、145Cに対する針状筒436Y、436M、436Cの位置が完了した状態からさらにインクカートリッジ10が上方に移動することで、図8(c)に示すように、ジョイント穴145Y、145M、145Cに対して針状筒436Y、436M、436Cが挿入されることとなる。各針状筒436がジョイント穴145に対して所定の量だけ挿入されてから、インク供給が開始される。
【0061】
以上説明したように、本実施形態のインク供給システムにおいては、各針状筒436よりも長さが長いガイドピン420による位置決めがなされてから各針状筒436が各位置決め穴142に挿入される構成であるため、インクジェットヘッド440とインクカートリッジ10とが精度よく連結される。
【0062】
また、位置決め穴142がジョイント穴145Yとジョイント穴145Mとのピッチ間に配置されていることでインクカートリッジ10が大型化することがない。また、これに対応してガイドピン420も針状筒436Yと針状筒436Mとのピッチ間に配置されることでインクジェットヘッド440も大型化することがない。よって、インクジェット記録装置30も大型化することがない。
【0063】
さらに、位置決め穴142がジョイント穴145Yとジョイント穴145Mとのピッチ間に配置されていることで、インクがジョイント部140に付着することがあっても、余剰インクがこの位置決め穴142に入り込むことで特に混色が目立ちやすいイエローと他のインクとの混色を防止することができる。
【0064】
(第2の実施形態)
図9に本実施形態のインクカートリッジの位置決め穴部分の断面図を示す。
【0065】
本実施形態は、位置決め穴142と、廃インク吸収部材220を収納している廃インク吸収部材収納部220aと連通する連通管149が設けられている以外は、第1の実施形態と同様であるため詳細の説明は省略する。
【0066】
本実施形態の場合、連通管149によって位置決め穴142と廃インク吸収部材収納部220aとが連通しているため、インクがジョイント部140に付着し、位置決め穴142に入り込んだ余剰インクが連通管149を通じて廃インク吸収部材220へと排出されることとなる。したがって、長期間のジョイント動作などにおいて、より多くのインクがジョイント部付近に付着する場合においても、これら余剰インクを最終的に連通管149を通じて廃インク吸収部材220へと排出できるため、より確実に混色等の発生を防止することができる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、記録ヘッドは各インク受給部のピッチ間に位置決め突起部を有し、また、インクカートリッジも、各インク供給部のピッチ間に位置決め穴が形成されているので記録装置が位置決めのために大型化してしまうことがない。
【0068】
さらには、本発明によれば、インクカートリッジの各インク供給部の間に形成された位置決め穴に余剰インクが入り込むことで、各色の混色を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態のインク供給システムにおけるインクジェット記録装置の内部概要を示す斜視図である。
【図2】 本発明の第1の実施形態のインクカートリッジの外観斜視図である。
【図3】 図2に示すインクカートリッジのA−A線での断面図である。
【図4】 図2に示すインクカートリッジの上面図である。
【図5】 図4に示すインクカートリッジのB−B線での断面図、C−C線での断面図、および図5(b)に示すC部に示す位置決め部材近傍の拡大図である。
【図6】 本発明の第1の実施形態のインクジェットヘッドを吐出面側からみた斜視図である。
【図7】 ホームポジションに位置するインクジェットヘッドとインクカートリッジとの位置関係を示す斜視図である。
【図8】 インクジェットヘッドの針状筒およびガイドピンがインクカートリッジのジョイント穴および位置決め穴に挿入されていく状態の各工程をジョイント部側からみた図である。
【図9】 本発明の第2の実施形態におけるインクカートリッジの位置決め穴部分の断面図である。
【符号の説明】
10 インクカートリッジ
30 インクジェット記録装置
31 給紙カセット
34 インクカートリッジ交換
36 針状筒
100 蓋部
120 筐体部
125 廃棄インク開口部
130 吸収部材
140 ジョイント部
142 位置決め穴
143 押さえ板
145、145Y、145M、145C ジョイント穴
148 位置決め部材
149 連通管
170 溝部
210 底板
220 廃インク吸収部材
220a 廃インク吸収部材収納部
225 当接部
230 廃インク保持部材
250 インク容器
300 シール部材
350 インク連結部材
360 インク容器結合部材
410 インクジェットヘッド
420 ガイドピン
420a 先端部
420b 位置決め部
430 インクカートリッジガイドフレーム
431 吐出口
432 吐出面
436、436Y、436M、436C 針状筒
438 ガイドレール
440 インクジェットヘッド
441 ヘッド側ジョイント部

Claims (5)

  1. 内部にインクを収納するインク収納室と、前記インク収納室内に連通した複数の針状筒とを備え、被記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドを有する記録装置、および前記記録装置に対して着脱可能な、内部にインクを収納し、前記記録ヘッドにインクを供給するための複数のジョイント穴を備えたインクカートリッジを有し、該記録ヘッドの針状筒を該インクカートリッジのジョイント穴へ挿通する動作と、挿通を解除する動作とが繰り返され、前記各針状筒と前記各ジョイント穴とが連結されることによって、前記インクカートリッジから前記記録ヘッドの前記インク収納室内へのインク供給がなされるインク供給システムにおいて、
    前記記録ヘッドが前記各針状筒のピッチ間に少なくとも1つの位置決め突起部を有するとともに、前記インクカートリッジの前記各ジョイント穴のピッチ間に前記位置決め突起部に対応した位置決め穴が形成されており、前記位置決め突起部が前記位置決め穴に係合されることで前記針状筒と前記ジョイント穴とが位置決めされることを特徴とするインク供給システム。
  2. 前記複数のジョイント穴は少なくともイエローインク、マゼンタインク、シアンインクに対応しており、前記位置決め穴はイエローインクに対応したジョイント穴とその他のインクに対応したジョイント穴との間に配されていることを特徴とする請求項1に記載のインク供給システム。
  3. 内部にインクを収納するインク収納室と該インク収納室内に連通した複数の針状筒とを備える記録ヘッドに対して着脱可能なインクカートリッジにおいて、
    前記複数の針状筒に対応した前記記録ヘッドにインクを供給するための複数のジョイント穴と、
    前記記録ヘッドに配される位置決め突起部に対応した位置決め穴と、を有し、
    前記複数のジョイント穴と前記位置決め穴とは直線状に配され、前記位置決め穴は前記複数のジョイント穴のピッチ間に配されることを特徴とするインクカートリッジ。
  4. 前記複数のジョイント穴は少なくともイエローインク、マゼンタインク、シアンインクに対応しており、前記位置決め穴はイエローインクに対応したジョイント穴とその他のインクに対応したジョイント穴との間に配されていることを特徴とする請求項に記載のインクカートリッジ。
  5. 内部にインク吸収部材を有し、該インク吸収部材と前記位置決め穴とは連通していることを特徴とする請求項3または4に記載のインクカートリッジ。
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