JP4047099B2 - 時分割多重信号光の分離装置、並びに、それを用いた光受信装置および光伝送システム - Google Patents

時分割多重信号光の分離装置、並びに、それを用いた光受信装置および光伝送システム Download PDF

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  • Optical Communication System (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、時分割多重信号光から所望の信号光を時分割分離するための分離装置、並びに、それを用いた光受信装置および光伝送システムに関し、特に、直列に接続した2段構成の光ゲートを利用して、信号光に同期したクロックの抽出または所望の信号光の時分割分離を行うための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバ通信システムで用いられる信号の変調速度は年々高速化を続けて、現在、光時分割多重技術で10Gb/s程度のRZ信号光を多重した、電気帯域を遙かに上回る100Gb/s以上の信号速度の利用が本格的に検討されている。これらの超高速信号を用いた光通信システムでは、信号光を受信する際に、時間軸上で多重化された信号光を時間軸上で分離しなければならない。これには、高速で安定に動作する時間スイッチが必要になる。このスイッチは、分離したい信号光が通過する時間のみ「ON」となって光を透過し、それ以外の時間には「OFF」となって信号光を遮断すればよい。例えば、100Gb/sの信号から10Gb/s信号光を時分割分離するには、ゲート時間がピコ秒程度のスイッチが必要になる。より高速の信号光から分離するためには、ゲート時間がさらに短いスイッチが不可欠である。
【0003】
時分割多重信号光の分離手法としては、例えば、信号光を光受信機で電気信号に変換し、スイッチを用いて所望の信号のみを電気的に分離するのが一般的である。この手法は、非常に安定に動作する特長がある。しかし、分離処理を電子回路で制御しているので、応答時間がトランジスタ等の動作速度によって制限されてしまう。このため、電気的な手法による分離装置としては40Gb/s以上の速度で動作させることが困難になる。
【0004】
時分割多重信号光の分離処理をすべて光学的に行う手法としては、例えば、光ファイバや半導体光増幅器(SOA)等の非線形媒質中で、光の強度に依存して生じる四光波混合(FWM)や相互位相変調(XPM)等の非線形効果を利用する手法が知られている。この手法は、応答時間がピコ秒からサブピコ秒のオーダーとなり高速な動作が可能になるという特長を有する。
【0005】
具体的に、SOA中のFWMを利用した手法については、例えば文献(1);IEE Electronics Letters, vol.30, issue:12, 9 June 1994, pp.981-982等で報告されている。この文献(1)に記載された手法は、6.3GHzの光クロックを別途準備し、100Gb/sの時分割多重信号光を光学的に分離した後、光クロックを光フィルタで除去している。上記の手法については、例えば文献(2);IEE Electronics Letters, vol.32, issue:9, 25 April 1996, pp.840-842において、最高速度200Gb/sが達成されている。
【0006】
また、光ファイバ中のXPMを利用した手法については、例えば文献(3); IEE Electronics Letters, vol.26, issue:14, 5 July 1990, pp.962-964等で報告されている。この文献(3)に記載された手法は、時分割多重信号光から抽出した電気クロックで駆動したファイバリングレーザから発生する光クロック(パルス幅:ピコ秒、繰り返し周波数:10GHz)を準備し、光ファイバで構成される非線形ループミラー(NOLM)において、信号光と同期した上記の光クロックと信号光との論理積をとる。そして、NOLM中で発生したXPMをカプラで強度変調に変換して、被分離信号光のみを出力ポートに出力し、残りの信号光を入射ポートに反射する。なお、NOLM中の光ファイバ等は群速度分散を精密に制御されたものを使用している。上記の手法については、例えば文献(4);IEE Electronics Letters, vol.34, issue:10, 14 May 1998, pp.1013-1014において、640Gb/sの時分割多重信号光を分離することに成功している。
【0007】
上記のような2つの手法については、高速動作が可能という特長を有するが、信号光に同期した光クロックを発生する短パルス光源と、時分割分離された光信号および光クロックを分別する光フィルタとが必要になるため、装置構成が複雑になり装置コストが高額になるという欠点がある。具体的に、短パルス光源については、ビットレートがBb/sの光信号を多重度N(N:正の整数)で時分割多重した場合には、時分割多重信号光のビットレートがN×Bb/sになるため、この信号光に同期したBHzの周波数で(N×B)-1秒より狭いパルス幅を有する光クロックを発生可能であることが要件となる。例えば、時分割多重信号光のビットレートが100Gb/sの場合には、パルス幅が10psより狭い光クロックが要求されるが、このように狭いパルスの光クロックを安定に発生する短パルス光源は一般に製造が困難である。
【0008】
上記のような短パルス光源および光フィルタが不要な別の手法として、例えば文献(5);ECOC'99, 1999, Postdeadline Paper, pp.28-30等においては、印加電界により光吸収係数が変化する電界吸収効果を用いた光変調器を直列に接続して時分割多重信号光の分離を行う技術が報告されている。
図15は、上記の文献(5)に記載された時分割多重信号光の分離装置を示す構成図である。この分離装置では、時分割多重信号光が2分岐されて、一方の分岐光がクロック抽出側のユニット100Aに与えられ、他方の分岐光が信号光の時分割分離側のユニット100Bに与えられる。クロック抽出側および信号光分離側の各ユニット100A,100Bは、160Gb/sの時分割多重信号光を10Gb/sに分離する点で共通しており、電界吸収型光変調器(EA変調器)を用いた2つの光ゲート101,102が直列に接続されている。
【0009】
前段の光ゲート101は、信号光と同期した20GHzの繰り返し周波数を有する電気クロックによりEA変調器を駆動することで光スイッチとして動作する。この20GHzの電気クロックは、後述するクロック抽出側の受光器103から電気のバンドパスフィルタ(BPF)104を介して帰還される10GHzの基本周波数を持つ電気信号を基に、その電気信号の周波数を周波数ダブラ105によって2倍の20GHzに変換し、その20GHz成分を電気増幅器106で所要のレベルまで増幅して生成されたクロック信号である。また、後段の光ゲート102は、信号光と同期した10GHzの繰り返し周波数を有する電気クロックによりEA変調器を駆動することで光スイッチとして動作する。この10GHzの電気クロックは、上記の受光器103から帰還される基本周波数の電気信号を電気増幅器107で所要のレベルまで増幅して生成されたクロック信号である。
【0010】
上記のような分離装置では、各ユニット100A,100Bにおいて、160Gb/sの時分割多重信号光が前段の光ゲート101を通過して20Gb/sの信号光に時分割分離され、続いて、後段の光ゲート102を通過して10Gb/sの信号光に時分割分離される。クロック抽出側のユニット100Aでは、10Gb/sに分離された信号が受光器103で電気信号に変換された後に、BPF104で10GHz成分が抽出され、その抽出された電気信号の位相が複数の移相器108で適宜に調整されて各ユニット100A,100Bの2つの光ゲート101,102に向けて帰還される。一方、信号光分離側のユニット100Bでは、時分割分離された信号光が10Gb/sの光受信機109に導かれて所要の受信処理が行われる。
【0011】
上記のような2段構成のEA変調器を利用した手法については、例えば文献(6);IEEE Photonics letters, vol.12, no.10, pp.1400-1402において、直交偏波多重した320Gb/sの時分割多重信号光を偏波分離して160Gb/s相当とした後に、直列接続した2つのEA変調器で時分割分離する技術も報告されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の図15に示したような2段構成のEA変調器により時分割多重信号光を分離する従来の手法では、前段の光ゲート101において、光ゲート時間を短くするために10GHzの基本周波数を2逓倍した20GHzの電気クロックを駆動信号として用いるようにしているが、この20GHzの電気クロックを実現するために周波数ダブラ105および20GHz用の電気増幅器106が必要になるため、装置の構成の複雑化および高コスト化などを招いてしまうという欠点がある。
【0013】
本発明は上記の点に着目してなされたもので、時分割多重信号光を光のまま安定に時分割分離することのできる簡易な構成の分離装置を提供すると共に、それを用いた光受信装置および光伝送システムを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明による時分割多重信号光の分離装置は、複数の信号光を時間軸上で多重した時分割多重信号光が入力され、該時分割多重信号光を、前記信号光のビットレートのn倍(nは3以上の正の整数とする)の繰り返し周波数に従って透過率が周期的に変化する第1光ゲート部と、該第1光ゲート部からの出力を入力するように接続され前記信号光のビットレートに等しい繰り返し周波数に従って透過率が周期的に変化する第2光ゲート部とにそれぞれ導くことにより、当該時分割多重信号光に含まれる少なくとも1つの信号光を時間軸上で分離する分離装置であって、前記第1光ゲート部が、駆動電圧に対する光透過特性が周期的に変化する第1光変調器と、前記信号光のビットレートに等しい繰り返し周波数を有し、かつ、前記第1光変調器の周期的な光透過特性におけるn/2周期の電圧差に対応した電圧振幅を有する駆動信号を前記第1光変調器に与える第1駆動回路とを備えるようにしたものである。
【0015】
かかる構成の分離装置では、信号光のビットレートに等しい繰り返し周波数を有する駆動信号であって、その電圧振幅が第1光変調器の周期的な光透過特性のn/2周期の電圧差に対応した駆動信号に従って第1光変調器が駆動されることにより、第1光ゲート部は、信号光のビットレートのn倍の繰り返し周波数に従って動作する光スイッチとして機能するようになり、信号光のビットレートと同じ繰り返し周波数のクロックを逓倍する必要なく第1光ゲート部を駆動することができるようになる。これにより、分離装置の構成の簡略化および低コスト化を図ることが可能になる。
【0016】
上記の分離装置の具体的な構成として、第1光変調器は、マッハツェンダ型光変調器を用いることが可能である。また、第1駆動回路は、第1、2光ゲート部を透過した信号光を基に抽出された該信号光のビットレートに等しい繰り返し周波数を有する電気クロックの位相および電圧振幅を調整して第1光変調器に与える駆動信号を生成するようにしてもよい。
【0017】
本発明による光受信装置は、複数の信号光を時間軸上で多重した時分割多重信号光が入力され、該時分割多重信号光を基に前記信号光のビットレートに等しい繰り返し周波数のクロックを抽出するクロック抽出用ユニットと、前記時分割多重信号光に含まれる各信号光を時間軸上で分離して受信処理する信号光受信用ユニットと、を備えた光受信装置であって、前記クロック抽出用ユニットおよび前記信号光受信用ユニットの少なくとも一方が、上述したような本発明による時分割多重信号光の分離装置を含むようにしたものである。
【0018】
かかる構成の光受信装置では、上述したような時分割多重信号光の分離装置を用いて、時分割多重信号光からのクロックの抽出もしくは各信号光の時分割分離またはその両方の処理が行われるようになる。これにより、簡略な構成で低価格の光受信装置を実現することが可能になる。
上述したような時分割多重信号光の分離装置やそれを用いた光受信装置は、多数の信号光を時分割多重して伝送する超高速の光伝送システムを構築するのに有用である。このような光伝送システムの具体的な態様については、以下の実施の形態で詳しく説明することにする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明かかる時分割多重信号光の分離装置についての一実施形態の構成を示すブロック図である。
図1において、本分離装置は、例えば、Bb/sの信号光が多重度Nで時分割多重されたN×Bb/sの時分割多重信号光が入力される第1光ゲート部としてのマッハツェンダ型変調器(以下、MZ変調器とする)1と、MZ光変調器1を透過して時分割分離された信号光が入力される第2光ゲートとしての光変調器2と、光変調器2を透過して時分割分離された信号光が入力される受光器3と、受光器3で光電変換された電気信号が入力されるバンドパスフィルタ(BPF)4と、MZ光変調器1を駆動する駆動回路5と、光変調器2を駆動する駆動回路6と、を備えて構成される。本分離装置は、図中の破線で示すように、N×Bb/sの時分割多重信号光からBHzの電気クロックを抽出するための装置として、または、N×Bb/sの時分割多重信号光から所望のBb/sの信号光を時分割分離して受信電気信号を生成するための装置として用いられる。
【0020】
MZ光変調器1は、基板1a上に形成された光導波路1bに入射された光が2分岐され、各々の光が分岐導波路を伝搬する際に電極1cに印加される駆動電圧に応じて生じる電気光学効果により異なる位相変化を受け、その後に合波干渉されて出力されるマッハツェンダ干渉計を利用した周知の光変調器である。このMZ型光変調器1は、例えば図2に示すように、駆動電圧に対する光透過特性が周期的に変化する特性を備えている。本実施形態では、このMZ型光変調器1の周期的な光透過特性に注目して、後述するようにMZ型光変調器1に印加する駆動電圧の振幅を2×Vπに調整することによって、受光器3からBPF4を介して帰還される電気クロックの繰り返し周波数BHzを2逓倍することなく2×Bb/sの信号光を時分割分離できるようにしている。
【0021】
上記MZ光変調器1の基板1aとしては、例えばニオブ酸リチウム(lithium niobate;LiNbO3)等の電気光学効果を有する公知の基板材料を使用することができる。また、例えばインジウム燐(InP)等を基板1aの材料として用いるようにすれば、偏光無依存のMZ光変調器が実現されるようになるため、主に受信側に適用されて偏光状態が変化する信号光を受けることになる本分離装置のMZ光変調器1として好適である。上記のようなインジウム燐を材料にした偏光無依存のMZ光変調器は、例えば文献(7);IEE Electronics Letters, vol.35, pp.730 -731, 1999等で公知のものである。
【0022】
なお、図1では、MZ光変調器1の構成として、一方の分岐導波路に沿った電極に対して電気クロックに応じた駆動電圧が印加され、他方の分岐導波路に沿った電極は接地される一例を示したが、本発明で用いられるMZ光変調器の構成はこれに限られるものではなく、例えば、各分岐導波路に沿った各々の電極に対して位相が略180°異なる駆動電圧が印加されるなどといった各種の公知の構成を適用することが可能である。
【0023】
光変調器2は、前述の図15に示した従来の構成における第2光ゲート102と同様の機能を実現するものであって、受光器3からBPF4を介して帰還されるBHzの電気クロックに基づいて駆動回路6により駆動され、MZ光変調器1を透過した2×Bb/sの信号光からBb/sの信号光を時分割分離することが可能な光デバイスである。この光変調器2としては、例えば図3に示すように、駆動電圧の減少に応じて光吸収係数が増大し透過率が単調に減少する特性を備えたEA変調器を使用することができる。また、前述の図2に示したような光透過特性を備えたMZ光変調器を光変調器2として使用することも可能である。光変調器2としてMZ光変調器を適用する場合、後述するようにBHzの電気クロックに基づいて生成される駆動電圧の振幅をVπに調整することで、Bb/sの信号光の時分割分離が可能になる。なお、ここでは光変調器2の具体例としてEA変調器およびMZ光変調器を挙げたが、本発明においてBb/sの信号光を時分割分離する光ゲート(光変調器)は上記の一例に限定されるものではない。
【0024】
受光器3は、光変調器2を透過したBb/sの信号光を受光して電気信号に変換する一般的な受光デバイスである。この受光器3で発生する電気信号は、ここではBPF4に出力される。BPF4は、受光器3からの電気信号に含まれる繰り返し周波数がBHzの成分を抽出し、それを電気クロックとして各駆動回路5,6にそれぞれ出力する。
【0025】
駆動回路5は、例えば、移相器5a、電気増幅器5b、直流電源5cおよびバイアスティ5dを有する。移相器5aは、MZ光変調器1で時分割分離する信号光の通過タイミングに応じて、BPF4から送られてくるBHzの電気クロックの位相を可変にシフトさせて出力する。電気増幅器5bは、移相器5aで位相調整されたBHzの電気クロックを増幅して、その電圧振幅が2×Vπに相当する値となるように調整する。直流電源5cは、MZ光変調器1の動作点を設定するバイアス電圧を発生する。バイアスティ5dは、電気増幅器5bで電圧振幅が2×Vπに調整されたBHzの電気信号に直流電源5cからのバイアス電圧を与えた駆動信号を、MZ光変調器1の一方の分岐導波路に沿った電極1cの一端に印加する。なお、2×Vπの駆動信号が印加される電極1cの他端はインピーダンス整合されて終端されている。
【0026】
駆動回路6は、上記の駆動回路5の構成と同様に、移相器6a、電気増幅器6b、直流電源6cおよびバイアスティ6dを有する。移相器6aは、光変調器2で時分割分離する信号光の通過タイミングに応じて、BPF4から送られてくるBHzの電気クロックの位相を可変にシフトさせて出力する。電気増幅器6bは、移相器6aで位相調整されたBHzの電気クロックを増幅して出力する。具体的に、光変調器2として前述の図3に示したような光透過特性を有するEA変調器が用いられる場合、移相器6aからの電気クロックの電圧振幅が約3〜4Vに調整されるように、電気増幅器6bは電気クロックを増幅する。また、光変調器2として前述の図2に示したような光透過特性を有するMZ光変調器が用いられる場合には、移相器6aからの電気クロックの電圧振幅がVπに相当する値となるように、電気増幅器6bは電気クロックを増幅する。直流電源6cは、光変調器2の動作点を設定するバイアス電圧を発生する。バイアスティ6dは、電気増幅器6bで電圧振幅が調整されたBHzの電気信号に直流電源6cからのバイアス電圧を与えた駆動信号を光変調器2に印加する。
【0027】
次に、上記のような構成を備えた分離装置の動作について説明する。
まず、MZ光変調器1の光ゲート特性について詳しく説明する。前述の図2に示したように、MZ光変調器1の透過率は印加される駆動電圧に対して周期的に変化する。このような周期的な光透過特性を有するMZ光変調器は、通常、光送信機等において光の強度変調器として使用される場合が多い。この場合、例えば図4に示すように、周期的な光透過特性において透過率が最大になる点と最小になる点の間の電圧差(一般にこの電圧差をVπとする場合が多い)に対応するように、MZ光変調器に印加する駆動信号(変調信号)の電圧振幅が調整される。このように電圧振幅がVπに調整された駆動信号の繰り返し周波数をBHzとすると、MZ光変調器からはBb/sのビットレートで強度変調された信号光が出力されるようになる。
【0028】
上記のようにMZ光変調器をVπの電圧振幅で駆動する一般的な方式に対して、本実施形態の分離装置におけるMZ光変調器1は、例えば図5に示すように、周期的な光透過特性において1周期の電圧差に対応する2×Vπの電圧振幅、すなわち、透過率が最小になる(または最大になる)隣り合う2点間の電圧差に対応させて電圧振幅が調整された駆動信号により駆動される。具体的には、受光器3からBPF4を介して駆動回路5に帰還されるBHzの電気クロックが電気増幅器5bで増幅されることでその電圧振幅が2×Vπに調整される。また、2×Vπに振幅調整された電気クロックに対しては、直流電源5cからのバイアス電圧がバイアスティ5dを介して与えられることで、MZ光変調器1での透過率が最小値と最大値の間で周期的に変化するように動作点も調整される。これにより、MZ光変調器1は、BHzの電気クロックを2逓倍することなく、図5の右上に示すように2×BHzの光ゲートとして動作するようになる。
【0029】
上記のように2×Vπの電圧振幅で駆動されるMZ光変調器1を2×BHzの光ゲートとして用いた本分離装置では、例えば図6の上段に示すようなN×Bb/sの時分割多重信号光が入力されると、その時分割多重信号光は、2×BHzの光ゲートとして動作するMZ光変調器1と、BHzの光ゲートとして動作する光変調器2とに順に与えられ、各光ゲートを透過した信号光は受光器2に送られる。受光器3に到達した信号光は光電変換されて電気信号となり、その電気信号に含まるBHz成分がBPF4で抽出されて電気クロックとして各駆動回路5,6に帰還され、MZ光変調器1および光変調器2の駆動制御に用いられる。
【0030】
ここで、上記の図6に例示したように、N×Bb/sの時分割多重信号光に含まれるBb/sの信号光(チャネル)のうちで、例えば1番のチャネルを時分割分離する場合についての制御動作を説明することにする。時分割多重信号光から1番のチャネルの信号光を時分割分離するためには、その1番の信号光の通過タイミングにそれぞれ同期させて、MZ光変調器1による2×BHzの光ゲート特性と光変調器2によるBHzの光ゲート特性と制御する必要がある。このため本分離装置では、受光器3からBPF4を介して各駆動回路5,6に帰還される電気クロックの位相が各移相器5a,6aでそれぞれ調整される。これにより、1番の信号光がMZ光変調器1および光変調器2をそれぞれ通過するタイミングに略一致して、MZ光変調器1および光変調器2の各透過率がそれぞれ最大となるように制御される。
【0031】
MZ光変調器1では、その透過率が図6の下段に示したように2×BHzの繰り返し周波数で最大になるため、1番の信号光が周期的に通過するタイミングの中間のタイミングでも他のチャネルの信号光がMZ光変調器1で時分割分離される。また、MZ光変調器1における光ゲート時間が、分離される時分割多重信号光のチャネル間隔よりも長い場合には、1番の信号光に隣接する信号光の成分も漏れてくることになる。このような1番の信号光以外の不要な光成分は、MZ光変調器1を透過した信号光が、図6の下段に示したように1番の信号光の通過タイミングに同期したBHzの光ゲートとして動作する光変調器2に与えられることにより取り除かれ、1番の信号光のみが時分割分離されて光変調器2から出力されるようになる。
【0032】
上記のように本実施形態の分離装置によれば、上述の図15に示した従来の構成のように周波数ダブラを設ける必要がなくなるため構成の簡略化を図ることが可能になる。また、2×BHz用の電気増幅器に代えてBHz用の電気増幅器を使用することができるため、超高速信号光に対応した分離装置を容易に実現でき装置コストの低減を図ることも可能になる。
【0033】
なお、上記の実施形態では、2×Vπの電圧振幅で駆動されることにより2×BHzの光ゲートとして動作するMZ光変調器1が、BHzの光ゲートとして動作する光変調器2の前段に配置される構成を例示したが、本発明はこれに限らず、光変調器2の後段にMZ光変調器1を配置するようにしても同様の効果を得ることが可能である。
【0034】
また、受光器3からBPF4を介して各駆動回路5,6に帰還されるBHzの電気クロックの位相が、各々の駆動回路5,6内に設けられた移相器5a,6aでそれぞれ調整される構成例を示したが、MZ光変調器1および光変調器2に対する各駆動信号の位相を調整するための構成は上記の一例に限定されるものではなく、例えば図7(A)〜(E)の概略図に示すような移相器の配置も可能である。なお、図7では、移相器の配置を分かり易く示すために、各駆動回路5,6およびBPF4の図示を省略している。
【0035】
具体的に、図7(A)の構成例では、MZ光変調器1および光変調器2に対する電気クロックの位相を移相器7Aによりまとめて調整した後に、MZ光変調器1に対する電気クロックの位相のみを移相器7Bで調整するようにしている。また、図7(B)の構成例では、上記の場合と同様に移相器7Aでまとめて位相調整された電気クロックについて、光変調器2に対する電気クロックの位相のみを移相器7Cで調整するようにしている。さらに、図7(C)の構成例では、MZ光変調器1に対する電気クロックの位相を移相器7Bにより調整するようにし、光変調器2側の位相調整については、MZ光変調器1と光変調器2の間に配置した光移相器7D(光学的な遅延回路)により行うようにしている。この光移相器7Dの配置については、図7(D)の光移相器7Eに示すように光変調器2と受光器3の間に設けるようにしてもよい。また、図7(E)の構成例に示すように、上記の光移相器7D,7Eを組み合わせてMZ光変調器1および光変調器2に対する位相調整を光学的に行うことも可能である。
【0036】
さらに、上記の実施形態では、各駆動回路5,6に帰還される電気クロックが正弦波の信号波形を有するものとして説明を行ったが、本発明においてMZ光変調器1および光変調器2を駆動する信号の波形は正弦波に限定されるものではない。例えば、BPF4で抽出されるBHzの電気クロックに所要の信号処理を施して立ち上がりおよび立下りの急峻な矩形波を生成し、その矩形波に整形された電気クロックに基づいてMZ光変調器1および光変調器2を駆動するようにしてもよい。この場合、MZ光変調器1および光変調器2における各光ゲート特性がより急峻に変化するようになる。
【0037】
加えて、上記の実施形態では、信号光のビットレートBの2倍の繰り返し周波数に従って第1光ゲート部としてのMZ光変調器1の透過率が周期的に変化するように設定したが、本発明はこれに限らず、信号光のビットレートの2倍以上の繰り返し周波数に従ってMZ光変調器1の透過率が変化するようにしてもよい。例えば、信号光のビットレートの3倍の繰り返し周波数に従ってMZ光変調器1の透過率を変化させる場合には、図8に示すように、MZ光変調器1の周期的な光透過特性における1.5周期の電圧差に対応する3×Vπの電圧振幅の駆動信号をMZ光変調器1に与えるようにすればよい。この場合、3×BHzの光ゲートとして動作するMZ光変調器1と、BHzの光ゲートとして動作する光変調器2とが、図9に示すようなタイミングで互いに動作することによって、N×Bb/sの時分割多重信号光からBb/sの信号光を信号光が分離されるようになる。このように本発明は、第1光ゲート部について、信号光のビットレートBの2倍以上、すなわち一般化すると、nを1を除いた正の整数としてn倍の繰り返し周波数に従って透過率が変化するように、第1光変調器の周期的な光透過特性におけるn/2周期の電圧差に対応した電圧振幅を有する駆動信号を第1光変調器に与える構成とすることが可能である。
【0038】
次に、上記のような本発明による分離装置を用いた光受信装置について説明する。
図10は、本発明による光受信装置の一実施形態の概略構成を示すブロック図である。なお、前述の図1に示した構成と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略するものとし、以下、他の図面においても同様とする。
【0039】
図10において、本光受信装置は、例えば、Bb/sの信号光が多重度Nで時分割多重されたN×Bb/sの時分割多重信号光が入力され、その時分割多重信号光を2分岐して出力する光カプラ8と、光カプラ8から出力される一方の分岐光を基にBHzの電気クロックを抽出するクロック抽出用ユニット10Aと、光分岐器8から出力される他方の分岐光から所望のBb/sの信号光を時分割分離して受信電気信号を生成する信号光受信用ユニット10Bとを備え、クロック抽出用および信号光受信用の各ユニット10A,10Bが、前述の図1に示した分離装置と基本的に同様の構成をそれぞれ有するようにしたものである。
【0040】
ただし、信号光受信用ユニット10Bについては、図1の構成における受光器3およびBPF4に代えて光受信機9が設けられ、クロック抽出用ユニット10Aで抽出されたBHzの電気クロックの位相および電圧振幅を調整してMZ光変調器1および光変調器2が駆動されるようにしている。光受信機9は、2×BHzの光ゲートとして動作するMZ光変調器1およびBHzの光ゲートとして動作する光変調器2を順に透過して時分割分離された所望のBb/sの信号光を受信し電気信号に変換してBb/sの受信電気信号を生成するものである。この光受信機9から出力される受信電気信号は、ここでは図示を省略したが等化増幅回路や識別回路等に送られて周知の受信処理が施されるものとする。
【0041】
上記のような構成の光受信装置では、前述の図1に示した分離装置の場合と同様にして、クロック抽出用ユニット10AにおけるMZ光変調器1および光変調器2が2×BHzの光ゲートおよびBHzの光ゲートとしてそれぞれ動作し、各々の光ゲートを透過して時分割分離されたBb/sの信号光が受光器3で受光されて、そのBHz成分がBPF4を通過して各駆動回路5,6に帰還されることにより、BHzの電気クロックが安定して抽出される。
【0042】
また、信号光受信用ユニット10Bにおいては、クロック抽出側のBPF4を通過したBHzの電気クロックが各駆動回路5,6に送られて、その電気クロックの位相および電圧振幅がそれぞれ調整される。これにより、信号光受信側についてもMZ光変調器1が2×Vπの電圧振幅で駆動されて2×BHzの光ゲートとして動作し、光変調器2がBHzの光ゲートとして動作して、所望のBb/sの信号光が時分割分離されて光受信機9で受信されるようになる。
【0043】
なお、上記のような光受信装置では、偏光状態の変化する時分割多重信号光が入力されることが想定されるため、任意の偏光状態の時分割多重信号光から所望の信号光を時分割分離できるようにするのが有用である。このためには、例えば、前述したようにインジウム燐(InP)等を材料にした偏光無依存型のMZ光変調器1を使用するのが好ましい。また例えば、一般的な偏光依存性のあるMZ光変調器1の前段に能動的な偏光制御器を挿入して、MZ光変調器1に入力される時分割多重信号光の偏光状態が一定となるように制御することも可能である。具体的には、MZ光変調器1の前段に、例えばλ/4波長板、λ/2波長板およびアナライザを順に配置して時分割多重信号光を通過させ、アナライザから出力される信号光のパワーを観測して、その観測結果をλ/4波長板およびλ/2波長板に帰還することで、MZ光変調器1に送られる時分割多重信号光の偏光状態を一定に制御するようにしてもよい。なお、上記のような能動的な偏光制御器としては、例えば駿河精機社製の偏光補償器(VPAC−100)などを利用することができる。
【0044】
上記のように本実施形態の光受信装置によれば、上述の図15に示した従来の場合に比べて簡略な装置構成により、N×Bb/sの時分割多重信号光からBb/sの信号光を時分割分離して受信処理することができる。これにより、超高速の時分割多重信号光に対応した光受信装置を容易かつ低コストで提供することが可能になる。
【0045】
なお、上記の図10に示した光受信装置によって1番からN番までのいずれかの信号光を時分割分離するためには、各信号光の番号に対応させた各々の時間帯ごとにBHzの電気クロックの位相調整を行うようにすればよい。
次に、本発明による光受信装置の他の実施形態について説明する。
図11は、本発明による光受信装置の他の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【0046】
図11において、本光受信装置は、前述の図10に示した光受信装置の構成をモジュール化して、N×Bb/sの時分割多重信号光に含まれる1番からN番までの各信号光にそれぞれ対応させてN個の光受信モジュール10−1,10−2,…10−Nを設けたものである。各光受信モジュール10−1〜10−Nの光カプラ8には、光分岐器11でN分岐されたN×Bb/sの時分割多重信号光がそれぞれ入力される。
【0047】
かかる構成の光受信装置では、各光受信モジュール10−1〜10−Nにおいて、それぞれ、BHzの電気クロックの抽出と、各々に対応するBb/sの信号光の時分割分離とが行われる。これにより、光受信モジュール10−1ではN×Bb/sの時分割多重信号光に含まれる1番の信号光が受信され、光受信モジュール10−2では2番の信号光が受信され、以降同様にして、光受信モジュール10−NではN番の信号光が受信されるようになる。
【0048】
このように、本実施形態の光受信装置によれば、N×Bb/sの時分割多重信号光に含まれる1番からN番までの各信号光の時分割分離を並列的に処理することが可能になる。
次に、本発明による光受信装置のさらに別の実施形態について説明する。
図12は、本発明による光受信装置の別の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【0049】
図12において、本光受信装置は、前述の図11に示した光受信装置について、各光受信モジュール10−1〜10−Nにそれぞれ設けていたクロック抽出用ユニットを共通化することにより装置構成の簡略化を図るようにした応用例である。具体的には、N×Bb/sの時分割多重信号光を光カプラ12で2分岐して、一方の分岐光を共通化された1つのクロック抽出用ユニット10Aに送り、他方の分岐光を前述した光分岐器11に送ってさらにN分岐してN個の信号光受信用ユニット10B−1〜10B−Nにそれぞれ送る。各信号光受信用ユニット10B−1〜10B−Nには、クロック抽出用ユニット10Aで抽出されたBHzの電気クロックがそれぞれ与えられていて、その電気クロックの位相および電圧振幅が各々のユニットにおいてそれぞれ調整される。
【0050】
上記のような光受信装置によれば、前述の図11に示した実施形態の場合と同様にして、N×Bb/sの時分割多重信号光に含まれる1番からN番までの各信号光の時分割分離を並列的に処理することが可能になる。また、クロック抽出用ユニットを共通化したことによって、装置構成をより簡略なものにできると共に、各信号光の時分割分離の処理をより安定に行うことが可能になる。
【0051】
次に、前述したような本発明による光受信装置を用いた時分割多重光伝送システムについて説明する。
図13は、本発明による光伝送システムの一実施形態の概略構成を示すブロック図である。
図13において、本光伝送システムは、例えば、Bb/sの信号光が多重度Nで時分割多重されたN×Bb/sの時分割多重信号光を発生して光伝送路22に送信する光送信装置21と、光伝送路22上に配置された複数の光中継器23を介して中継伝送されるN×Bb/sの時分割多重信号光を受信する光受信装置24とを備えたシステムについて、光受信装置24として本発明による光受信装置を適用したものである。ここでは、前述の図12に示したクロック抽出用ユニットを共通化した構成を光受信装置24に適用した一例が示してある。ただし、本発明の光伝送システムは、前述の図10や図11に示した構成を光受信装置24に適用することも可能である。
【0052】
上記のように本発明を適用した光受信装置24を用いて構成した光伝送システムによれば、多数の信号光を時分割多重して伝送する超高速のシステムを容易に実現することが可能になる。
なお、図13のシステム構成例では、光伝送路22上に複数の光中継器23が配置され時分割多重信号光が中継伝送される場合を示したが、本発明の光伝送システムは上記の一例に限定されるものではなく、例えば、光送信装置21から光中継器を介すことなく光受信装置24に時分割多重信号光が伝送されるようにしてもよい。
【0053】
次に、本発明の光伝送システムの他の実施形態について説明する。ここでは、上述の図1に示したような本発明による分離装置を光3R再生器で用いる光クロックを生成するための手段として利用した応用例について説明する。
図14は、上記の応用例による光伝送システムの概略構成を示すブロック図である。
【0054】
図14において、本光伝送システムは、例えば、Bb/sの信号光が多重度Nで時分割多重されたN×Bb/sの時分割多重信号光が光送信装置21から光伝送路22に送信され、光伝送路22上に配置された複数の光中継器23を介して光受信装置24まで中継伝送されるシステム構成について、光伝送路22上の所要の位置に光3R再生器31が配置されていて、その光3R再生器31で用いる光クロックを生成する発光器32に与える電気クロックを得るための手段として、上述の図1に示した構成と同様の分離装置33を適用したものである。この分離装置33には、光3R再生器31の前段の光伝送路22上に挿入した光カプラ34によって分岐されたN×Bb/sの時分割多重信号光が入力される。
【0055】
分離装置33では、上述した分離装置の実施形態の場合と同様にして、MZ光変調器1が2×BHzの光ゲートとして動作し、光変調器2がBHzの光ゲートとして動作して、光カプラ34で分岐されたN×Bb/sの時分割多重信号光が各々の光ゲートを透過することによりBb/sの信号光が時分割分離され、そのBb/sの信号光が受光器3およびBPF4を介して各駆動回路5,6に帰還されることによりBHzの電気クロックが安定して抽出される。そして、分離装置33で抽出されたBHzの電気クロックが発光器32に入力されることでBHzの光クロックが生成され、その光クロックが光3R再生器31に与えられる。光3R再生器31では、光カプラ34を通ったN×Bb/sの時分割多重信号光が、発光器32からのBHzの光クロックに従って、光の状態のままで等化増幅(Reshaping)、タイミング抽出(Retiming)および識別再生(Regenerating)のいわゆる3R処理を施されて、後段の光伝送路に出力される。
【0056】
上記のように分離装置33で抽出した電気クロックを光3R再生器31で用いられる光クロックの生成に利用するようにしたことで、N×Bb/sの時分割多重信号光に含まれるBb/sの信号光と同じ伝送速度で、かつ、その信号光に同期した光クロックを簡単に生成することができる。これにより、光送信装置および光受信装置の間で超高速の時分割多重信号光を光3R再生を行いながら中継伝送するシステムを容易に実現することが可能になる。
【0057】
以上、本明細書で開示した主な発明について以下にまとめる。
【0058】
(付記1) 複数の信号光を時間軸上で多重した時分割多重信号光が入力され、該時分割多重信号光を、前記信号光のビットレートのn倍(nは1を除く正の整数とする)の繰り返し周波数に従って透過率が周期的に変化する第1光ゲート部と、該第1光ゲート部に直列に接続され前記信号光のビットレートに等しい繰り返し周波数に従って透過率が周期的に変化する第2光ゲート部とにそれぞれ導くことにより、当該時分割多重信号光に含まれる少なくとも1つの信号光を時間軸上で分離する分離装置であって、
前記第1光ゲート部は、駆動電圧に対する光透過特性が周期的に変化する第1光変調器と、前記信号光のビットレートに等しい繰り返し周波数を有し、かつ、前記第1光変調器の周期的な光透過特性におけるn/2周期の電圧差に対応した電圧振幅を有する駆動信号を前記第1光変調器に与える第1駆動回路とを備えたことを特徴とする時分割多重信号光の分離装置。
【0059】
(付記2) 付記1に記載の分離装置であって、
前記第1光変調器は、マッハツェンダ型光変調器であることを特徴とする時分割多重信号光の分離装置。
【0060】
(付記3) 付記2に記載の分離装置であって、
前記マッハツェンダ型光変調器は、ニオブ酸リチウムを材料とした基板を用いて構成されたことを特徴とする時分割多重信号光の分離装置。
【0061】
(付記4) 付記3に記載の分離装置であって、
前記マッハツェンダ型光変調器に入力される時分割多重信号光の偏光状態を一定に制御する偏光制御部を備えたことを特徴とする時分割多重信号光の分離装置。
【0062】
(付記5) 付記2に記載の分離装置であって、
前記マッハツェンダ型光変調器は、偏光無依存動作を可能にする材料を用いて構成されたことを特徴とする時分割多重信号光の分離装置。
【0063】
(付記6) 付記5に記載の分離装置であって、
前記マッハツェンダ型光変調器は、インジウム燐を材料とした基板を用いて構成されたことを特徴とする時分割多重信号光の分離装置。
【0064】
(付記7) 付記1に記載の分離装置であって、
前記第1駆動回路は、前記第1光ゲート部および前記第2光ゲート部を透過した信号光を基に抽出された該信号光のビットレートに等しい繰り返し周波数を有する電気クロックの位相および電圧振幅を調整して前記第1光変調器に与える駆動信号を生成することを特徴とする時分割多重信号光の分離装置。
【0065】
(付記8) 付記1に記載の分離装置であって、
前記第2光ゲート部は、駆動電圧に対して光透過特性が変化する第2光変調器と、前記信号光のビットレートに等しい繰り返し周波数を有する駆動信号を前記第2光変調器に与える第2駆動回路とを備えたことを特徴とする時分割多重信号光の分離装置。
【0066】
(付記9) 付記8に記載の分離装置であって、
前記第2光変調器は、電界吸収型光変調器であることを特徴とする時分割多重信号光の分離装置。
【0067】
(付記10) 付記8に記載の分離装置であって、
前記第2光変調器は、マッハツェンダ型光変調器であり、
前記第2駆動回路は、前記第2光変調器の周期的な光透過特性における1/2周期の電圧差に対応した電圧振幅を有する駆動信号を前記第2光変調器に与えることを特徴とする時分割多重信号光の分離装置。
【0068】
(付記11) 付記8に記載の分離装置であって、
前記第2駆動回路は、前記第光1ゲート部および前記第2光ゲート部を透過した信号光を基に抽出された該信号光のビットレートに等しい繰り返し周波数を有する電気クロックの位相および電圧振幅を調整して前記第2光変調器に与える駆動信号を生成することを特徴とする時分割多重信号光の分離装置。
【0069】
(付記12) 複数の信号光を時間軸上で多重した時分割多重信号光が入力され、該時分割多重信号光を基に前記信号光のビットレートに等しい繰り返し周波数のクロックを抽出するクロック抽出用ユニットと、前記時分割多重信号光に含まれる各信号光を時間軸上で分離して受信処理する信号光受信用ユニットと、を備えた光受信装置であって、
前記クロック抽出用ユニットおよび前記信号光受信用ユニットの少なくとも一方が、付記1に記載した時分割多重信号光の分離装置を含むことを特徴とする光受信装置。
【0070】
(付記13) 付記12に記載の光受信装置であって、
前記クロック抽出用ユニットおよび前記信号光受信用ユニットは、時分割多重信号光に含まれる複数の信号光ごとにそれぞれ設けられることを特徴とする光受信装置。
【0071】
(付記14) 付記13に記載の光受信装置であって、
前記クロック抽出用ユニットは、時分割多重信号光に含まれる2以上の信号光について共通化したことを特徴とする光受信装置。
【0072】
(付記15) 複数の信号光を時間軸上で多重した時分割多重信号光が光送信装置から光伝送路に送信され、該光伝送路を介して伝送される時分割多重信号光が、付記12に記載した光受信装置により受信されることを特徴とする光伝送システム。
【0073】
(付記16) 複数の信号光を時間軸上で多重した時分割多重信号光を光送信装置から光伝送路に送信し、該光伝送路上に配置された複数の光中継器を介して光受信装置まで中継伝送する光伝送システムであって、
前記時分割多重信号光に含まれる信号光に同期した光クロックを用いて、前記光伝送路を伝搬する時分割多重信号光の光再生処理を実行する光再生器を備え、該光再生器に与えられる光クロックが、付記1に記載の分離装置により時分割多重信号光から抽出されたクロックに基づいて生成されることを特徴とする光伝送システム。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による時分割多重信号光の分離装置によれば、駆動電圧に対する光透過特性が周期的に変化する第1光変調器が、信号光のビットレートに等しい繰り返し周波数を有し、かつ、上記周期的な光透過特性におけるn/2周期の電圧差に対応した電圧振幅を有する駆動信号により駆動されるようにしたことで、第1光ゲート部が、信号光のビットレートと同じ繰り返し周波数のクロックを逓倍する必要なく、信号光のビットレートのn倍の繰り返し周波数に従ってスイッチ動作するようになるため、電気帯域制限を上回る高速の時分割多重信号光を時分割分離することができる。これにより、超高速の時分割多重信号光に対応した分離装置の構成の簡略化および低コスト化を図ることが可能になる。
【0075】
また、このような時分割多重信号光の分離装置を用いて光受信装置や光伝送システムを構成することにより、超高速の時分割多重信号光の伝送を比較的容易に実現することが可能となり、超高速信号光を用いた通信システム等の研究および開発を加速することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明かかる時分割多重信号光の分離装置についての一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】上記の実施形態で光ゲートとして用いられるMZ光変調器の光透過特性を示す図である。
【図3】上記の実施形態で光ゲートとして用いられるEA変調器の光透過特性を示す図である。
【図4】上記の実施形態についてMZ光変調器をVπの電圧振幅で駆動したときの光ゲート特性の一例を示す図である。
【図5】上記の実施形態についてMZ光変調器を2×Vπの電圧振幅で駆動したときの光ゲート特性の一例を示す図である。
【図6】上記の実施形態について1番の信号光を時分割分離するときの動作を説明するための図である。
【図7】上記の実施形態について駆動信号の位相を調整する移相器の配置例を列挙した図である。
【図8】上記の実施形態に関連して、信号光のビットレートの3倍の繰り返し周波数でMZ光変調器を動作させる場合の一例を示す図である。
【図9】図8の場合について、1番の信号光を時分割分離するときの一例を示す図である。
【図10】本発明による光受信装置の一実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図11】本発明による光受信装置の他の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図12】本発明による光受信装置の別の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図13】本発明による光伝送システムの一実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図14】本発明による光伝送システムの他の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図15】従来の時分割多重信号光の分離装置の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 MZ光変調器(第1光ゲート)
2 光変調器(第2光ゲート)
3 受光器
4 バンドパスフィルタ(BPF)
5,6 駆動回路
8,12,34 光カプラ
10A クロック抽出用ユニット
10B 信号光受信用ユニット
11 光分岐器
21 光送信装置
22 光伝送路
24 光受信装置
31 光3R再生器
32 発光器
33 分離装置

Claims (5)

  1. 複数の信号光を時間軸上で多重した時分割多重信号光が入力され、該時分割多重信号光を、前記信号光のビットレートの3以上の正の整数倍の繰り返し周波数に従って透過率が周期的に変化する第1光ゲート部と、該第1光ゲート部からの出力を入力するように接続され前記信号光のビットレートに等しい繰り返し周波数に従って透過率が周期的に変化する第2光ゲート部とにそれぞれ導くことにより、当該時分割多重信号光に含まれる少なくとも1つの信号光を時間軸上で分離する分離装置であって、
    前記第1光ゲート部は、駆動電圧に対する光透過特性が周期的に変化する第1光変調器と、前記信号光のビットレートに等しい繰り返し周波数を有し、かつ、前記第1光変調器の周期的な光透過特性における前記3以上の正の整数の半分周期の電圧差に対応した電圧振幅を有する駆動信号を前記第1光変調器に与える第1駆動回路とを備えたことを特徴とする時分割多重信号光の分離装置。
  2. 請求項1に記載の分離装置であって、
    前記第1光変調器は、マッハツェンダ型光変調器であることを特徴とする時分割多重信号光の分離装置。
  3. 請求項1に記載の分離装置であって、
    前記第1駆動回路は、前記第1光ゲート部および前記第2光ゲート部を透過した信号光を基に抽出された該信号光のビットレートに等しい繰り返し周波数を有する電気クロックの位相および電圧振幅を調整して前記第1光変調器に与える駆動信号を生成することを特徴とする時分割多重信号光の分離装置。
  4. 複数の信号光を時間軸上で多重した時分割多重信号光が入力され、該時分割多重信号光を基に前記信号光のビットレートに等しい繰り返し周波数のクロックを抽出するクロック抽出用ユニットと、前記時分割多重信号光に含まれる各信号光を時間軸上で分離して受信処理する信号光受信用ユニットと、を備えた光受信装置であって、
    前記クロック抽出用ユニットおよび前記信号光受信用ユニットの少なくとも一方が、請求項1に記載した時分割多重信号光の分離装置を含むことを特徴とする光受信装置。
  5. 複数の信号光を時間軸上で多重した時分割多重信号光を光送信装置から光伝送路に送信し、該光伝送路上に配置された複数の光中継器を介して光受信装置まで中継伝送する光伝送システムであって、
    前記時分割多重信号光に含まれる信号光に同期した光クロックを用いて、前記光伝送路を伝搬する時分割多重信号光の光再生処理を実行する光再生器を備え、該光再生器に与えられる光クロックが、請求項1に記載の分離装置により時分割多重信号光から抽出されたクロックに基づいて生成されることを特徴とする光伝送システム。
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