JP4045321B2 - 縦型コネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、縦型コネクタに関し、特に、フレキシブル基板を縦方向から受け入れる無挿抜方式(ZIFタイプ)の縦型コネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の縦型コネクタとしては、例えば特許文献1に記載された技術がある。
図7は、この従来の縦型コネクタを示す断面図である。
図7に示すように、この縦型コネクタは、ハウジング100の右側上方に開口部101があり、その左側に、アクチュエータ110が回動自在に支承されている。かかる構造により、アクチュエータ110を転倒させ、開口部101を大きく開くことで、フレキシブル基板Fをこの開口部101に図の縦方向から、即ち垂直方向からに挿入することができる。かかる状態で、アクチュエータ110を直立位置まで回動させ、アクチュエータ110の圧縮部111でフレキシブル基板Fをコンタクタ120の接触部121に押圧することにより、フレキシブル基板Fとコンタクタ120とを電気的に接続することができるようになっている。なお、図中、符号Pは回路基板であり、テール122を介してコンタクタ120を回路基板Pに接続している。また、この縦型コネクタでは、この縦型コネクタを回路基板P上にロボット搬送するのに適した吸着面112がアクチュエータ110に用意されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−195256号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来の縦型コネクタでは、次のような問題がある。
この縦型コネクタでは、フレキシブル基板Fを開口部101に垂直方向から挿入し、アクチュエータ110でコンタクタ120に押圧して、電気的接続を達成する構造であるので、接続の際、フレキシブル基板FがU字状に或いはV字状に這い回されることが多い。このため、フレキシブル基板Fの縦型コネクタへの組み込み時の作業性が悪く、しかも、回路基板に取り付けられた縦型コネクタに無理な力を与え勝ちである。
すなわち、通常、フレキシブル基板Fの一端が他の回路基板や他のコネクタに連結され、他端がこの縦型コネクタに連なる訳であるが、同じ様に、上方に開口部101を向けて設置された縦型コネクタ同士の間をフレキシブル基板Fが連絡する場合には、はじめに一方の縦型コネクタにフレキシブル基板Fの一端を固定した後、他方の縦型コネクタに他端を連結する。このため、一方の縦型コネクタに連なって垂直に立ち上がっているフレキシブル基板Fが、先ず水平方向に90゜、そして下方に90゜、つまりU字状に180゜湾曲させられて、他方の縦型コネクタの開口部101に挿入されることになる。
また、フレキシブル基板Fの一端が横型コネクタに連結されていて、その他端が水平方向に伸びている場合には、フレキシブル基板Fを、先ず垂直方向に90゜、次に水平方向に90゜、そして下方に90゜、つまりV字状に270゜に湾曲させなければ、縦型コネクタへ接続することはできない(逆の手順で組み込んでも、フレキシブル基板Fを同じように270゜湾曲させる必要である)。
フレキシブル基板Fはその名の通り十分にフレキシビリティーを有しているものの、電子機器の小型化に伴って、コネクタも更に小型化され、しかも、それらの取付間隔が狭まって来ると、いよいよ組み立て時の作業性が悪くなり、またフレキシブル基板Fやコネクタへの応力も過大になり、耐久性にも問題が生じる。
【0005】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、組立作業性の向上と、フレキシブル基板の湾曲で生じるコネクタやフレキシブル基板への応力の軽減化とを図った縦型コネクタを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明に係る縦型コネクタは、上方に開口し、この開口側を向いて起立した接触部が前方に位置すると共に後方にガイド部を備えていて該接触部に対向する接触子を収納したハウジングと、開口を介してハウジングに遊嵌され、上方に拡開した側断面略テーパ状の基板挿入口,及びこの基板挿入口の後面に連なり且つ接触子の接触部側に対向し得る押圧面,並びにその背面に前記ガイド部に対向し得るカム部を有したアクチュエータと、起立部とこの起立部の上部から後方に略水平に延出したアーム部を有し且つこのアーム部の上面前位に係止部が突設された補助部材を、ハウジングの両側部にそれぞれ取り付けると共に、この補助部材のアーム部の上方に突出した第1突起部と下方に突出した第2突起部とを、アクチュエータの両側面にそれぞれ突設してなる傾き保持機構とを具備する構成とした。
かかる構成により、ハウジングに遊嵌されたアクチュエータを前方に傾けた際、アクチュエータの側面に突設された第1突起部がアーム部の係止部に当たり、それ以上の前方への回動が阻止され、アクチュエータの傾きが規制される。すなわち、アクチュエータを傾けると、傾き保持機構によってその傾き状態が保持される。したがって、傾いたアクチュエータの基板挿入口からフレキシブル基板を容易に挿入することができる。そして、挿入後は、フレキシブル基板が前方に傾いた押圧面の前に位置する。かかる状態で、アクチュエータを戻すと、押圧面が戻る際にフレキシブル基板を押圧して、接触子の接触部に圧接させる。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の縦型コネクタにおいて、アクチュエータの操作部に、基板挿入口の後面に滑らかに連なり且つフレキシブル基板の幅に併せて立設された一対の側壁に区画された平面部を設け、以ってフレキシブル基板の挿入に当たってその先端を該平面部に当接させつつ滑らせることによって極めて容易に上記挿入口に落とし込める構造とした。
また、請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の縦型コネクタにおいて、カム部は、押圧面としての前面部と、後方にせり上がる下面部と、この下面部に角部を介して連続した後面部と、前方にせり上がる上面部とを有し、ガイド部は、カム部の上面部に当接する当接部と、この当接部の下側に形成され下方に至るにしたがって前方に突出し且つアクチュエータを前方に傾けた状態から垂直状態に戻す際にカム部の角部が摺動して頂部を乗り越える傾斜部とを有する構成とした。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る縦型コネクタの斜視図であり、図2は図1の矢視A−A断面図であり、図3は図1の矢視B−B断面図である。
図1に示すように、この縦型コネクタ1は、ハウジング2とアクチュエータ3と傾き保持機構4とを具備している。
【0009】
ハウジング2は、図2に示すように、上方(図の上方)に開口する開口部20を有した箱体であり、その内部に、複数の接触子21を収納している。
【0010】
接触子21は、前方(図の左方)に位置する接触部22と、この接触部22と所定間隔を置いて向き合うように立設されたガイド部23と、テール部29とを有し、下方から上方に向けてハウジング2内に形成された縦溝2aに圧入されている。
【0011】
接触部22は、開口部20側を向いて起立しており、その自由端には、フレキシブル基板Fと接触させるための突部22aが突設されている。
【0012】
一方、ガイド部23には、当接部25と傾斜部26とが形成されている。
当接部25は、ガイド部23の上部から前方に水平に延出した部分であり、その突部25aを介して後述するカム部33と当接する機能を有する。
また、傾斜部26は、当接部25の下側に形成されており、下方に行くにしたがって前方に突出するスロープ状をなしている。そして、その頂部27は接触部22の突部22aより若干下方の位置に設定されている。
【0013】
テール部29は、ハウジング2の外部後方に露出されており、図示しない回路基板に半田付けされる部分である。
【0014】
アクチュエータ3は、略水平な操作部30とこの操作部30に対して略垂直な挿入部31とで構成され、挿入部31が開口部20を介してハウジング2内に遊嵌されている。
【0015】
操作部30は、作業者が手で摘んでアクチュエータ3全体を回動させる部分であり、その前部に基板挿入口32が形成されている。
基板挿入口32は、フレキシブル基板Fを挿入するための開口である。この基板挿入口32は、上方に拡開した前面32a及び平面部32cと滑らかにつながる後面32bを有して側断面略テーパ状をなし、その下方狭部にフレキシブル基板Fの厚さより若干広い幅のスリット31cが形成されている。上記平面部32cは、ロボット搬送時に吸着面となり得る一段低くなった平面であって、両サイドの側壁32dと共に、フレキシブル基板Fを基板挿入口32に落とし込む際のガイドの役割をなすものである。即ち、側壁32d間の幅は、フレキシブル基板Fのそれに対応している。
【0016】
一方、挿入部31は、挿入されたフレキシブル基板Fと接触部22との電気的接続を可能にするための部分であり、接触部22とガイド部23との間に遊嵌されたカム部33を有している。
【0017】
カム部33は、押圧面としての前面部34と、後方(図の右方)にせり上がる下面部35と、この下面部35に角部36を介して連続した後面部37と、前方に湾曲してせり上がる上面部38とをその表面に有している。
前面部34は、基板挿入口32の後面32bに連なる平面であり、接触子21の接触部22側を向いている。なお、この前面部34と基板挿入口32の後面32bとの間には、当接部25との干渉を避けるための孔3cが設けられている。
【0018】
このような形状のカム部33は、図2に示すように、上面部38をガイド部23の当接部25の突部25aに当接させると共に、角部36が頂部27を乗り越えて後面部37が頂部27に乗り上げた状態でハウジング2内で垂直に安定した状態を保持しており、アクチュエータ3の反時計方向回動に伴って、上面部38が突部25aと当接した状態で摺動すると共に角部36が傾斜部26上を摺動する。具体的には、アクチュエータ3を前方に傾けた状態から垂直状態に戻すと、図2に示すように、カム部33の角部36が傾斜部26上を摺動してその後面部37が頂部27に乗り上がる。したがって、アクチュエータ3の挙動は、上面部38と突部25aとの接触及び角部36もしくは後面部37と傾斜部26又は頂部27との接触によって規制される。
【0019】
図1に示す傾き保持機構4は、アクチュエータ3の傾きを保持あるいはハウジング2からの抜けを防止するための機構であり、図3に示すように、補助部材としての補助金具40とアクチュエータ3に形成した第1及び第2突起部51,52とで構成される。
【0020】
補助金具40は、ハウジング2の両側部2b,2b(図1参照)にそれぞれ装着されている。
具体的には、図3に示す如く、起立部41が前方個所に垂直に形成され、アーム部42がこの起立部41の上部から後方に略水平に延出している。また、このアーム部42の上面前位には、係止部43が突設されている。そして、この係止部43の後面43aが、所定角度で前方にせり上がる傾斜面になっている。
このような補助金具40は、基部から後方に延出した取付部44をハウジング2の側部2bに穿設された横溝2c内に圧入することで、ハウジング2に装着される。また、補助金具40には、基部から側方に折り曲げ形成されたテール部45が設けられ、このテール部45を介して、縦型コネクタ1を図示しない上記回路基板に固定することができるようになっている。
【0021】
一方、第1及び第2突起部51,52は、所定間隔を置いてアクチュエータ3の両側面3a,3a(図1参照)にそれぞれ突設されおり、該第1及び第2突起部51,52の間に補助金具40のアーム部42が介在するようになっている。これにより、第1突起部51がアーム部42の上方に突出し、第2突起部52がアーム部42の下方に突出した状態になっている。
【0022】
次に、この実施形態の縦型コネクタの組立並びにフレキシブル基板の接続作業例とその際の動作について説明する。
作業の際には、先ず、図2に示す如く、ハウジング2内に接触子21を圧入し、次に接触部22と当接部25の間を縫う様にしてアクチュエータ3のカム部33をハウジング2内に挿入し、(図6参照)、更にアーム部42が第1突起部51と第2突起部52との間に介在する如く、補助金具40をハウジング2内に圧入して(図3参照)、その上で各々のテール部29,45を回路基板に半田付けして、縦型コネクタ1を回路基板に取り付ける。
【0023】
フレキシブル基板の接続作業は、 図2に示す操作部30を摘んで、アクチュエータ3を前方に回動させると、挿入部31のカム部33の角部36が傾斜部26上を摺動して、図4に示すように、アクチュエータ3が前方に傾く。
この動作と並行して、アクチュエータ3の第1及び第2突起部51,52も一体に回動し、図5に示すように、第2突起部52が補助金具40のアーム部42に下側から係合すると共に、第1突起部51が係止部43に係止する。このとき、第1突起部51の前面51aが係止部43の後面43aに当接し、アクチュエータ3の傾斜角が規制される。
【0024】
かかる状態でフレキシブル基板Fをアクチュエータ3の基板挿入口32に挿入する訳であるが、この作業においてフレキシブル基板Fの先端を、スリット31cに狙いを定めて挿入する必要は全くない。何故なら、図1並びに図4から明らかな様に、アクチュエータ3の操作部30には、側断面略テーパ状を呈する挿入口32の後面32bがあり、且つ該後面32bが平面部32cと滑らかに連絡しており、しかも該平面部32cが傾けられており、更にこの平面部32cの両サイドには側壁32dが用意してあるので、フレキシブル基板Fの先端を上記平面部32cに当接させ、次いで該平面部32cの上を滑らせて行くことによって、極めて簡単に、基板挿入口32に落とし込むことができるのである。こうしてフレキシブル基板Fは、図6に示す様に、カム部33の前面部34に沿ってハウジング2内部に進み、ストッパ2dに当接してその位置を定めることができる。
【0025】
最後に、図2に示すように、アクチュエータ3を垂直状態に戻すと、挿入部31のカム部33の角部36が傾斜部26上を摺動して、後面部37が頂部27に乗り上がる。
この動作と並行して、カム部33の前面部34がフレキシブル基板Fを前方に押圧し、接触子21の接触部22に突設された突部22aに圧接する。
この結果、フレキシブル基板Fと図示しない回路基板とが接触子21を介して電気的に接続された状態になる。
【0026】
このように、この実施形態の縦型コネクタ1によれば、フレキシブル基板Fの先端部を平面部32cに当てて滑らせるだけで、側壁32dが左右方向のブレを抑えつつテーパ状の基板挿入口32がフレキシブル基板Fをスリット31cに案内するので、レキシブル基板Fの縦型コネクタ1への挿入作業が非常に簡単である。この結果、フレキシブル基板Fの縦型コネクタ1への挿入及び接続作業を効率的に行うことができる。
しかも、フレキシブル基板Fを傾いたアクチュエータ3の基板挿入口32に挿入する作業であるので、図7に示した従来の縦型コネクタのように、フレキシブル基板Fを180゜〜270゜湾曲させて真上から基板挿入口32に挿入するのに比べ、フレキシブル基板Fあるいはコネクタに作用する応力が極めて小さい。
【0027】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、この発明の縦型コネクタによれば、アクチュエータを傾けた状態で、フレキシブル基板を基板挿入口に挿入することができるので、
フレキシブル基板の湾曲度合いを和らげることができる。この結果、コネクタ自体やフレキシブル基板に作用する応力を軽減できるという優れた効果がある。
さらに、アクチュエータの基板挿入口が上方に拡開した略テーパ状に形成され、またアクチュエータが傾けられているので、フレキシブル基板の先端を斜めになった平面部に当てつつ、下方へ滑らすことによって簡単にスリットに挿入することができ、この結果、フレキシブル基板をコネクタに接続するための組み付け作業効率を向上させることができるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る縦型コネクタの斜視図である。
【図2】図1の矢視A−A断面図である。
【図3】図1の矢視B−B断面図である。
【図4】基板挿入口のフレキシブル基板に対する作用を示す断面図である。
【図5】傾き保持機構のアクチュエータに対する作用を示す断面図である。
【図6】フレキシブル基板が縦型コネクタに挿入された状態を示す断面図である。
【図7】従来例の縦型コネクタを示す断面図である。
【符号の説明】
1…縦型コネクタ、 2…ハウジング、 3…アクチュエータ、 4…傾き保持機構、 20…開口部、 21…接触子、 22…接触部、 22a,25a…突部、 23…ガイド部、 25…当接部、 26…傾斜部、 27…頂部、29,45…テール部、 30…操作部、 31…挿入部、 31c…スリット、 32…基板挿入口、 32a,51a…前面、 32b,43a…後面、33…カム部、 34…前面部、 35…下面部、 36…角部、 37…後面部、 38…上面部、 40…補助金具、 41…起立部、 42…アーム部、 43…係止部、 44…取付部、 51…第1突起部、 52…第2突起部、 F…フレキシブル基板。
Claims (3)
- 上方に開口し、この開口側を向いて起立した接触部が前方に位置すると共に後方にガイド部を備えていて該接触部に対向する接触子を収納したハウジングと、
上記開口を介してハウジングに遊嵌され、上方に拡開した側断面略テーパ状の基板挿入口,及びこの基板挿入口の後面に連なり且つ上記接触子の接触部側に対向し得る押圧面,並びにその背面に前記ガイド部に対面し得るカム部を有したアクチュエータと、
起立部とこの起立部の上部から後方に略水平に延出したアーム部を有し且つこのアーム部の上面前位に係止部が突設された補助部材を、上記ハウジングの両側部にそれぞれ取り付けると共に、この補助部材の上記アーム部の上方に突出した第1突起部と下方に突出した第2突起部とを、上記アクチュエータの両側面にそれぞれ突設してなる傾き保持機構と
を具備することを特徴とする縦型コネクタ。 - 請求項1に記載の縦型コネクタにおいて、
上記アクチュエータの操作部は、前記基板挿入口の後面に滑らかに連なり且つフレキシブル基板の幅に合わせて立設された一対の側壁に区画された平面部を備えたことを特徴とする縦型コネクタ。 - 請求項1または請求項2に記載の縦型コネクタにおいて、
上記カム部は、上記押圧面としての前面部と、後方にせり上がる下面部と、この下面部に角部を介して連続した後面部と、前方にせり上がる上面部とを有し、
上記ガイド部は、上記カム部の上面部に当接する当接部と、この当接部の下側に形成され下方に至るにしたがって前方に突出し且つ上記アクチュエータを前方に傾けた状態から垂直状態に戻す際に上記カム部の角部が摺動して頂部を乗り越える傾斜部とを有する、
ことを特徴とする縦型コネクタ。
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