JP4044139B6 - ミクロ加工フィルターを有するマイクロポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、ミクロ加工フィルターとポンプ室を形成するプレート形成手段及びシリコン・プレート形成手段を有するマイクロポンプに関するものである。
特に、本発明はマイクロポンプの1つ又はこれ以上の弁の方向へ、またこれを通過して移動する過大粒子(例えば、不純物)を液体内に保持することを可能として、マイクロポンプの動作妨害を回避するフィルターに関するものである。この問題は特に、しかしこれに限ったことではないが、圧電制御式のマイクロポンプ、或いは圧力センサーのようなセンサーで、その構成要素がシリコンで形成された要素とこれに対向するガラス製の要素との間で液体を受容するものに関して発生する。
マイクロポンプに関しては、これが動作していない時の漏れ率の問題も発生する。本発明の別の目的は不動作時のマイクロポンプの漏れ率を制限することである。マイクロポンプの過大な漏れ率はこれの適正な動作、信頼性、並びに制度にとって有害である。人体に移植されて適正制御率をもって液体を配達するマイクロポンプに関しては、このようなポンプが長持ちするという信頼性が重要な要件である。
文献EP−A−587912は、ミクロ加工フィルターを有し、ポンプ室を形成するプレート形成手段及びシリコン・プレート形成手段を具備するマイクロポンプを示している。このフィルターは、液体供給手段と、液体収集手段と、プレート形成手段と、シリコン・プレート形成手段とを具備し、プレート形成手段とシリコン・プレート形成手段は相互に対向して、その間に液体を受容するためのを形成し、このの深さよりも小なる高さの少なくとも1つの横断方向の隔壁により部分的に閉鎖され、この隔壁はを隔壁に関して上流部と下流部とに分離し、シリコン・プレート形成手段はプレート形成手段に少なくとも部分的に漏れ防止されて固定され、キャビティの下流部はポンプ室と導通し、シリコン・プレート形成手段と、プレート形成手段とから成るアッセンブリはサンドイッチ構造を構成している。
本発明の目的は、フィルターを通過する液体がこのマイクロポンプの構成要素の如何なるものの適正な動作を妨害するような過大粒子を含まないようにするミクロ加工フィルターを有するマイクロポンプを提供することである。
この目的を達成するために、このフィルターの特徴とするところは、隔壁がの側壁の間で連続することである。
本発明により、過大粒子がマイクロポンプのような構成要素の動作に対して有害であるという問題は液体が流れる長手のを部分的に、またほぼ全体的に遮断する隔壁を介入させることにより解決される。
従って、本発明のフィルターの機能は2つに区別することができる。即ち、弁を通過する漏れ率を減少することと、マイクロポンプの信頼性を改善することである。マイクロポンプの停止時にはその入り口弁及び/又はで出口弁を通る液体の流れは少量で、通過する粒子のサイズは小さい。更に、マイクロポンプの動作時はこのフィルターがあるために、過大粒子が弁の閉鎖を妨害してマイクロポンプの注水を妨げる危険性がない。
このようなフィルターの使用により、液体の流れに対する抵抗は極めて小さく、高レベルの濾過を維持することができる。隔壁はヘアピンのような屈曲形状に折りたたまれてキャビティを適切に横断する。このことはフィルターの大きさを所定の隔壁の全長に対して小さくする。
下記の実施例においては、はシリコン・プレートの表面にエッチングされ。このマイクロポンプの適正実施例においては、シリコン・プレート形成手段は単一のプレートを構成し、プレート形成手段は単一のガラス・プレートを構成する。
本発明のその他の特徴及び利点は以下に制約のない実施例として提示される本発明の実施例の説明から明確となるであろう。この説明は添付の図面に基づいて行うこととする。
図1は参考例のマイクロポンプの長手方向概略断面図、
図2は線分II−II視による図1の平面図、
図3は本発明のフィルターの適正実施例の平面図、
図4はマイクロポンプの概略斜視図、
図5は参考例のマイクロポンプに一体化されたフィルターの縦断面図、
図6は参考例の相異なる型のマイクロポンプに一体化されたフィルターの一部拡大縦断面図、
図7はマイクロポンプ用フィルターの別の参考例の縦及び長手方向概略断面図、
図8は線分VIII−VIII視による図3の断面図、
図9は並列に構成された複数の隔壁を含むフィルターの実例の概略図、
図10はフィルターとしての隔壁の実施例、
図11はフィルターとしての隔壁の参考例、
図12は参考例のマイクロポンプの別の形態を示す概略図である。
図1及び2に示すフィルターはシリコン・プレート12上に載置されたガラス・プレート10を含み、この2つのプレート間にはシリコン・プレートにエッチングされた溝が形成されている。この溝は液体を矢印で示す方向へ流すためのものである。このガラス・プレート10とシリコン・プレート12で構成されるアッセンブリはシリコン工学に基づく多数の電子的構成要素に存在する種類のスタックを典型的に構成する。プレート10及び12は、例えば、陽極溶接技術により相互に固定することができ、その原理を以下に説明する。このフィルターを形成するためには、前記溶接を施す前にガラス・プレート10に対向するプレート12の外面に長手方向の溝13を形成する必要がある。この長手方向の溝は、全体的でなく、部分的に、溝13の幅全体を横断して、但しその高さ全体に渡ってではなく、延長する隔壁20の形状の障害物によりさえぎられる。
この溝と隔壁はエッチングの技術、又は選択的に展開するシリコン酸化物を使用して形成することができる。この技術は1ミクロメータ(μm)以下のような非常に小さい寸法を使用して加工することを可能とする。
隔壁20により、ガラス・プレート10とシリコン・プレート12との間を流れる液体は隔壁20を越えて通過し、この隔壁の頂部とこの隔壁に対向するガラス・プレート10の外面との間のギャップがこのギャップよりも大きなサイズの不純物をストップする。
溝がこの隔壁での大きすぎる幅Dを有することがないようにするために、隔壁を折りたたまれたヘアピン形状20’とするのが好ましい。この構造を有する隔壁の実例は図3に示されている。このヘアピン形状をもって、隔壁20’を通過する液体の流れに対して抵抗が非常に低いコンパクトな構造が得られる。この形状において、隔壁20’は溝13の長手方向に平行な長手方向の直進分岐部を形成する第1の隔壁部材と、前記長手方向の分岐部の前端及び後端に交互に位置して短手の横方向の直進分岐部を形成してこれら分岐部を相互に連結して溝13の側壁間に連続した隔壁を形成する第2の隔壁部材とを有する。図3において、隔壁20’は溝13の側壁間の以下の屈曲した通路として示されており、同一の第1の隔壁部材は規則的間隔をもって平行に側壁の一方から他方へ相互に並列に位置しており、この第1の隔壁部材の各々は最初にその前端にて、次いでその後端にて、2つの相隣る第1の隔壁部材にそれぞれ第2の隔壁部材により連結されている。
隔壁20又は20’はシリコン・プレート12の平面に直角の方向にたいして傾斜する側壁を有するのが好ましい。この場合、この隔壁の横断図の形状は不等辺四角形又は台形となるか、三角形又は矩形、或いは、半長円形又は半円形のような丸みのある形状となる。
すでに説明したように、本発明は特にマイクロポンプを通って流れる液体を濾過するために適用されるものである。図4はこのマイクロポンプの概略図であり、これはこのポンプの入口穴と出口穴が形成されたガラス製の第1のプレート10と、変形可能な膜を構成するシリコン・プレート12と、このシリコン・プレート12上にこれの外側面の一部12aを自由の状態として固定された2個のガラス14及び16とで構成されている。この構造に機械的応力が加わることがないように、ガラス10、14及び16並びにシリコン12の結合は陽極溶接により行うことが好ましい。この技術はこれ自体は周知であり、シリコン及びガラス部品のアッセンブリを約300℃の温度に上昇させてこのシリコン及びガラス・プレートに接触した2つの電極間にスタックを配置し、このガラスに圧接された電極に約−1000Vの陰電位を加える。漏れ防止の溶接はこのようにしてシリコン膜とガラス製の種々の部品との間で相対的に低温で得られる。このポンプの動作はシリコン・プレート12の自由面12aに固定された圧電アクチュエータ18により制御される。この圧電アクチュエータ18に電気的制御信号を付与することにより誘発される機械的応力は膜12をして変形させて液体をしてガラス・プレート10とシリコン・プレート12との間に位置するマイクロポンプの空間に出入りさせる。この空間はポンプ室9を形成するものである。
このようなマイクロポンプの完全な動作に関しては、例えば、国際特許出願No.PCT/IB95/00028を参照することができる。
図5及び6においては、図4参照にてすでに説明されたこのマイクロポンプの部分には同じ参照符号が使用されている。図5において、このマイクロポンプの入口穴26と出口穴28を見ることができる。図5のマイクロポンプには入口弁30aと出口弁30bが装着されている。弁30a及び30bはシリコン・プレート内にて加工されてガラス・プレート10の外側面に位置する環状ガスケットから成るタイプのものである。入口弁30aは溝13の下流、即ち、このフィルターの下流でポンプ室の上流への液体の進入を制御する部材を構成する。
図6にはマイクロポンプの部分のみが示されている。弁40aが使用されているが、これは図5に示されている弁とは異なるタイプのもので、膜弁である。このフィルターは入口弁と同じシリコン・プレート12上に形成されている。しかし、シリコン・プレート12がガラス・プレート10に装着されると、フィルターは入口弁40aとは直接的には導通せず、図6の場合、液体はこの入口弁40aに到着する前に最初にリンク空間22を通過する。
シリコン・プレート12を加工する場合、フィルターの隔壁20は圧電アクチュエータ18に対向するシリコン・プレート12の部分に対して上流にあって、変形可能な膜として作用し、入口弁30a又は40aがある場合には、この入口弁はフィルターの下流に配置される。液体の流れとしては、マイクロポンプの入口ダクト26から出てくる液体は最初にフィルター20を通過し、次いでリンク空間22を通過し、そして入口弁30a又は40aを通過する。この弁はこれの対向側面の圧力差が十分大きくなると開くようになっている。
本参考例のこのマイクロポンプ装置においては、液体が流れる場所に過大粒子(例えば、不純物)が詰まることによる弁及び/又はマイクロポンプの誤動作がない。従って、入口弁及び出口弁はマイクロポンプが不動作の時には閉鎖して漏れのない状態となることができ、マイクロポンプの漏れ損又は圧力損を防止することができる。
図1乃至6に示す実施例及び参考例においては、フィルターはマイクロポンプと同じシリコンのプレート上に形成される。即ち、フィルターはマイクロポンプの構造と一体的に形成される。また、フィルターを2つの別個のプレート、即ち、ガラス・プレートとシリコン・プレートとの間に形成してこれを、例えば、陽極溶接により液体入口ダクトを含むマイクロポンプのガラス・プレートに結合することができる。即ち、これはコンパクトなサンドイッチ構造を提供する。
図7は中間のケースを示すものである。この場合、第1のシリコン・プレート形成手段12は、ガラス・プレート10により、第2のシリコン・プレート形成手段15から分離されている。このシリコン・プレート形成手段15は隔壁20を含む溝13内に開口する入口穴27を有し、溝13の下流部はマイクロポンプの入口穴26に導通している。
上記説明の参考例においては、ガラスのプレートとシリコンのプレートを積層することに関して種々の可能性が予想される。別のタイプの積層のしかたも本発明の範囲を越えずして可能である。
本発明のマイクロポンプのフィルターの別の重要な特徴は隔壁に沿ってすべて規則的な濾過を行うことであり、これは隔壁の頂部とこの頂部に対向するプレート(これはガラス製が好ましいが、これに限らない)の平面との間に一定のギャップEを維持して液体を容するキャビティ又は溝13の天井として作用させることにより行われる。本発明においては、この条件はこの隔壁をこれのベース部を担持するプレート形成手段に対向するプレート形成手段に直接的に一定の間隔をもって結合するための取付手段により満足される。
この取付手段の実施例は図8に示されており、これは隔壁20’の頂部をこれに対向するガラス・プレート10の平面に結合する取付点21の形状のものである。これら取付点21はシリコン隔壁20’延長部を構成して、例えば、陽極溶接によりガラス・プレート10に固定される。図8に示すように、この隔壁20’は高さHのものであり、取付点21の高さEは隔壁20’とその対向平面との間のギャップと同等、即ち、このフィルターを通過することができる粒子の最大サイズと同等である。濾過される液体が通過するスロットを形成するこのギャップの最大サイズは0.1μmとすることができる。この隔壁とガラス・プレートとの間で柱を構成する比較的大きなサイズの取付点を設計することも可能である。これは図9参照にて以下に説明する部材56に見ることができる。
少なくとも2つの隔壁20及び20’を溝13に平行に配置して少なくとも2つの濾過ユニットを設けることにより効果的な濾過作用を得ることができる。
一連の5個の隔壁を液体通路に平行に配置し、各隔壁は20の長手方向の分岐部を有するものとして試験を行った。この試験(図3参照のこと)において、溝13の幅Dは隔壁20’で1mm、ヘアピン状の屈曲隔壁の長手方向の分岐部の1つの長さL(又はヘアピン状の屈曲部の幅)も同様に1mm、隔壁20’の頂部の幅Iは10μm、ヘアピン状屈曲隔壁20’の2つの連続する頂部間の横方向の間隔dは40μmであった。この試験において、この隔壁は溝13の底部の平面に直角の方向に対して室となって傾斜する側壁を有するものであった。この試験はヘアピン状屈曲部の幅Lと平行に配置された隔壁の数を変えて行った。この結果、ヘアピン状屈曲部の幅Lは1mm以下であることが好ましく、2つの相隣るヘアピン状屈曲部間の幅dは20μm乃至200μmの範囲であることが好ましく、ヘアピン状屈曲隔壁20’は1mm以上、又はこれと同等である長さDに渡って延在し、この隔壁の頂部の幅は1μm乃至20μmの範囲であることが好ましい。
隔壁を平行に配置する場合、液体の流れを種々のフィルター間に分配するために、このマイクロポンプ装置は各フィルター・ユニットに液体を供給する手段と各フィルター・ユニットの出口から液体を収集する手段とを含む。例えば、各フィルター・ユニットに液体を供給する手段は各フィルター・ユニットの入口、即ち、対応する溝の上流部として作用する入口通路で構成することができ、また、液体を各フィルター・ユニットの出口で収集する手段は各フィルター・ユニットの出口、即ち、対応する溝の下流部と導通する出口通路で構成することができる。この場合これら通路の底部のレベルは各隔壁20’の基部よりも低いものとする。
フィルター・ユニットを平行に配置する場合、液体分配手段は液体が種々のフィルター・ユニット間で均一に配給されるように使用される。即ち、液体を受容することができるすべてのフィルター部よりも低いレベルの底部を有する深溝、又は「切欠き」を使用することである。また、液体が2つ相隣るフィルター・ユニットの間を直接的に通過することを防止する漏れ防止隔離手段を設ける必要がある。
4個のフィルター・ユニット50が平行に接続された状態で有するフィルター60の実施例が図9に示されている。この図は線65で描かれるフィルター60を示すものであり、この線はシリコン・プレートのエッチングされた区域の縁部に対応するものであり、この区域は単一のフィルターが使用される場合には溝13であり、液体はこの溝を流れることができる。図9において上流から下流へ、フィルター60は出口端で漏斗状に広がる入口通路61aと、このフィルターの深溝62a又は入口切欠き部と、液体供給通路64aと、左から右へ並列に配置された4個のフィルター・ユニットと、各フィルター・ユニット50と導通する液体収集通路64bと、深溝62b又は出口切欠き部と、入口端が漏斗のようにテーパー状の出口通路とを有する。入口カット部62aと、液体供給通路64aと、液体収集通路64bと、出口切欠き部62bは液体を受容してこのフィルター60の幅全体に渡って延長するキャビティを形成する。
入口切欠き部62aの深さは液体をフィルター・ユニット間にて均等に配達し、これによって濾過さるべき実質的に均等量の液体をフィルター・ユニット50の各々に配給することを可能とし、特に隔壁の高さHに関してフィルター・ユニットの大きさを正確に決定することを可能とする。また、隔壁の高さHは良好な効率を維持しながら縮小することができる。製造的理由のためには、高い隔壁を得ることは非常に困難である。また、入口及び出口切欠き62a及び62bはポンプに注水する時に有害な空気の存在を減少させる。
図9において、前記隔離手段はブロック66であり、これはフィルター60のフィルター・ゾーンの全長に沿って延在して相隣るフィルター・ユニット50の間でセパレータを形成する。これらブロックは矩形で、フィルター60が形成されるシリコン・プレートを対向するガラス・プレートに漏れ防止の手法で結合する。各フィルター・ユニットは頂部から底部へヘアピン状の屈曲通路に沿った隔壁20’を有し、この隔壁は列をなす取付点21と、屈曲ゾーンのうちの幾つかに取付柱56を含み、これら取付柱は取付点よりも大きなサイズの取付手段を提供するものである。
液体を隔壁20’の1つを越えて通過させるために、入口壁部68a(図9において水平に延在している)は1つの隔壁20’の近位端をその右側に位置するブロック66の近位端(この場合の端は図9の頂部)に接続して障害物を構成して、液体が壁部68aを迂回して壁部68aの左手縁部とブロック66の右手縁部との間を通ってフィルター・ユニットに浸透するようにする。各フィルター・ユニット50については、その形態はブロック66と隔壁20’との間のゾーン51aを含み、このゾーンは隔壁20’のすぐ上流(左方)でこの隔壁の全長に渡って位置して、液体は隔壁20’の全長に渡って配給されるようにしている。入口壁部68aと対称的に、各フィルター・ユニットは出口壁部68aを有し、これは左から右に水平に延在してブロック66の末位端をその右手に位置する隔壁の末位端この場合の端は図9の底部)に接続する。この出口壁部68aは液体がゾーン51aから下流へ流れることを防止して、隔壁20’を越えて通過するようにする。この隔壁の右側には液体回収ゾーン51bがあり、このゾーンはその上方部は壁部68aにより閉鎖され、その下方部は開かれてフィルター・ユニット50からの出口を構成して液体収集通路64bと導通する。
濾過される液体は入口通路61aを通って流れ、入口切欠き部62aに入って広がり、供給通路64aに入ってフィルター・ユニットを満たし、ゾーン51aの1つに入り、ゾーン51aの右手に位置する隔壁20’を乗り越え、隔壁20’の右手に位置するゾーン51bに流れ落ち、すべてのフィルター・ユニット50から集まる液体を回収する回収通路64bに入り、そして出口通路61bを介して回収される前に出口切欠き部62bに入る。
本発明のマイクロポンプのフィルターはシリコン・ミクロ加工技術を使用して構成される。即ち、隔壁20’並びにキャビティ又は溝13はシリコン・プレート12を加工して形成される。このミクロ加工は基体を酸化することにより、又は写真平版により行われる。この方法では、溝13はエッチングで形成することができ、隔壁は表面エッチングで得られる。液体が通過するスロットを構成する隔壁ゾーンはこの位置に形成される酸化物を除去することにより形成され、また、取付点はシリコン酸化物のものとして、これにフィルターのガラス・カバーを陽極溶接で接続することができる。
1個又はこれ以上のヘアピン状の屈曲隔壁20’を有するフィルターの適正実施例(図3及び9)においては、ポンプが液体注入される時に、ヘアピン状の屈曲隔壁の屈曲部に気泡が生ずる。この気泡はフィルターとして作用するヘアピン状の屈曲隔壁の長さを制約するという短所を有する。この現象は図9の場合により顕著である。この場合液体の流れの方向はヘアピン状の屈曲隔壁の全般方向に直角でなく、この方向に略平行に流れて、隔壁の両端の1つが他方よりも先に液体に接触することとなる。
ヘアピン状の屈曲隔壁20’の上流(図10の矢印P)に到着する液体の圧力と隔壁の頂部19上のスロットを通って毛管現象により前進(図10の矢印C)する液体の圧力との組合せ作用により、液体がヘアピン状の屈曲隔壁を満たす前にその屈曲部27の近くでこの隔壁の頂部に到着すると、前記屈曲部のくぼみで気泡が形成される。このような状況においては、すでに液体が充満したスロットを通って空気が逃げることができない。
この問題を解決するために、相互に組み合わせ可能な幾つかの解決策を提示した。
取付手段の幾つかを隔壁20’の両側に突出するように隔壁20’の頂部19の幅Iよりも広くすることができる。このような取付手段は図10に柱21’として示されており、これは第1の隔壁部材23に沿って規則的に分布され、この第1の隔壁部材23を横断して突出している。これら柱21’は隔壁20’の頂部19対向するスロットを毛管現象で流れる液体に対して障害物を構成する。何故なら、液体はこれらの柱を迂回して流れることとなり、これは毛管現象では不可能だからである。図8に示すように、柱21’は隔壁20’に対向して位置するガラス・プレート10又はいずれかのプレートに直接的に接続されるからである。
別の可能性としては、隔壁20’の長さの少なくとも一部に渡って、液体の圧力が液体をしてフィルターを通過させることができても、隔壁20’の表面は上記の毛管現象が不可能である疎水性とすることである。詳しくは、隔壁20’をその縦壁を除いて頂部19のみを疎水性とすることである。この目的のために、疎水性材料の層を隔壁20’の表面に配置することができ、或いはシリコン酸化物(疎水性)をシリコン隔壁20’の表面から、隔壁20’の長さの少なくとも一部に渡って除去することである。これにより、ポンプが液体注入されている間は、隔壁20’のシリコンは液体と接触状態となり、シリコンは疎水性であるので、毛管現象は遅延し、その後のシリコン酸化物の形成はポンプが一度液体注入されると、有害とはならない。この疎水性層はヘアピン状屈曲部の屈曲部27の端部を形成する第2の隔壁部材25の表面に配置するのが好ましい。
また、ヘアピン状屈曲隔壁20’を、ポンプが液体注入されている時に、このヘアピン状屈曲隔壁の各屈曲部27の内側がキャビティ13の上流側で、液体が屈曲部27に近接する隔壁20’の頂部19に対向して位置するスロット部を満たす前に、液体で完全に充満されるように、形成し且つその大きさを決定することができる。このスロット部は少なくとも第2の隔壁部材25に対応する。これは隔壁20’の形状、輪郭、高さ、トータル幅、及び頂部の幅を選択して、液体がフィルターのスロットを毛管現象で流れる速度を最小とすればよいことである。
例えば、隔壁のトータル長さをさらに増大することができる。即ち、液体が毛管現象で流れる通路の長さを増大して毛管現象による流れの速度を減小させることである。一つの可能性として、隔壁20’の各屈曲部の長さの少なくとも一部をジグザグ形状、例えば、フラクタル・タイプのジグザグ形状とすることである。図11に示す参考例においては、隔壁20”の第1の隔壁部材23”はきついうねりのような相互に近接した屈曲部をもって曲がった形状である。
このジグザグ形状は液体が乗り越えて通過するセクションを増大することができることが判る。従って、ヘアピン状屈曲部23”の屈曲部の幾つかで気泡が発生しても、最小速度の濾過を得ることができる。
医学的に使用するためのマイクロポンプにおいては、特に腐食性の医学上の特定の液体に関しては、この液体に接触するガラスの表面に保護フィルムを設けることが好ましい。しかし、このフィルムはガラスの全露出面に正確に張りめぐらすことはできない。特にガラスとシリコンの陽極溶接による接着に近接したゾーンにおいては、保護フィルムを使用して完全な保護を得ることは不可能であるので、これらのゾーンは医学上の液体による腐食を受ける。
医学上の液体による腐食に晒された上記のゾーンを減少するためには、別の形式のフィルターを予想することができる。図12に示す参考例は半径流フィルター70である。このフィルター70は概して幅広の形状の溝73の中でシリコン・プレートの表面に形成されて入口穴72と出口穴74を有する。例えば、ジグザグ又は鋸歯状の隔壁20’’’は2つの穴の1つを囲む閉ループを形成し、他方の穴は隔壁20’’’の他方側に置かれる。同様な方法で、隔壁20’’’上又はこれの一側に配置された柱71はこの隔壁の頂部とこの隔壁20’’’に対向するガラス・プレート10の平面との間に一定の間隔が維持されるようにする。

Claims (24)

  1. ミクロ加工フィルターとポンプ室(9)とを有するマイクロポンプ(11)であって、前記フィルターは、液体供給手段と、液体収集手段と、プレート形成手段(10)と、シリコン・プレート形成手段(12、15)とを具備し、前記プレート形成手段(10)と前記シリコン・プレート形成手段(12、15)は相互に対向して、その間に液体を受容するための溝(13)を形成し、前記溝(13)は前記溝(13)の深さよりも小なる高さの少なくとも1つの横断方向の隔壁(20、20’)により部分的に閉鎖され、前記隔壁は前記溝(13)を前記隔壁に関して上流部と下流部とに分離し、前記シリコン・プレート形成手段(12、15)は前記プレート形成手段(10)に少なくとも部分的に漏れ防止されて固定され、前記溝(13)の前記下流部は前記ポンプ室(9)と導通し、前記シリコン・プレート形成手段(12、15)と、前記プレート形成手段(10)とから成るアッセンブリはサンドイッチ構造を構成するマイクロポンプにおいて、前記隔壁(20、20’)は、前記溝(13)内に連続し、前記マイクロポンプ(11)は、さらに、前記隔壁(20、20’)と前記プレート形成手段(10)との間に一定の間隔(E)を維持するための手段(21、56、71)を具備し、一定の間隔を維持するための前記手段(21、56、71)は、前記隔壁(20、20’)に対向する位置において前記プレート形成手段(10)に接続されることを特徴とするマイクロポンプ。
  2. 前記隔壁(20’)は、前記溝(13)の幅全体を横断して延在し、ヘアピン状の屈曲形状に屈曲されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロポンプ。
  3. 前記ポンプ室を形成する前記シリコン・プレート形成手段(12、15)と前記プレート形成手段(10)との固定は陽極溶接により施されることを特徴とする請求項2に記載のマイクロポンプ。
  4. 前記マイクロポンプ(11)は前記隔壁(20、20’)の下流側で前記ポンプ室(9)の上流側に位置する少なくとも1つの液体入口制御部材(30a、40a)を有することを特徴とする請求項3に記載のマイクロポンプ。
  5. 前記ポンプ室(9)は前記シリコン・プレート形成手段(12、15)と前記プレート形成手段(10)との間に形成されることを特徴とする請求項4に記載のマイクロポンプ。
  6. 前記隔壁(20、20’)と前記溝(13)とは前記シリコン・プレート形成手段(12)の表面を加工して形成されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のマイクロポンプ。
  7. 前記隔壁(20、20’)は前記シリコン・プレート形成手段(12)の平らな表面に直角な方向に対して面取りされて傾斜する側壁を有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のマイクロポンプ。
  8. 前記溝(13)には少なくとも2つの隔壁(20、20’)が平行に配置され、前記溝(13)には、少なくとも2つの前記隔壁のための液体供給手段(61a、62a、64a)と、少なくとも2つの前記隔壁のための液体収集手段(64b、62b、61b)とが設けられることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のマイクロポンプ。
  9. 前記液体供給手段と前記液体収集手段はそれぞれ入口通路(61a)と出口通路(61b)とを具備し、前記入口通路及び前記出口通路の底部は前記隔壁(20’)の基部よりも低いことを特徴とする請求項1又は8に記載のマイクロポンプ。
  10. 前記液体供給手段と前記液体収集手段は、少なくとも二つの前記隔壁の間で均一に配給されることを可能とするように形成された液体配給手段(62a、62b)を具備し、前記液体配給手段は深溝(62a、62b)を具備することを特徴とする請求項8に記載のマイクロポンプ。
  11. 前記深溝(62a、62b)の底部は少なくとも二つの前記隔壁の基部よりも低いレベルであることを特徴とする請求項10に記載のマイクロポンプ。
  12. 少なくとも二つの前記隔壁は、少なくとも二つの前記隔壁の間を直接的に通過するのを防止する隔離手段(66、68a、68b)を具備することを特徴とする請求項8に記載のマイクロポンプ。
  13. 前記一定の間隔を維持するための前記手段は前記隔壁を前記プレート形成手段(10)に接続するように形成された取付手段(21、56)を具備し、前記プレート形成手段(10)は前記隔壁の基部を担持する前記シリコン・プレート形成手段(12、15)に一定の間隔で対向することを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のマイクロポンプ。
  14. 前記ヘアピン状の屈曲形状の幅(L)は1mmより小さいことを特徴とする請求項2に記載のマイクロポンプ。
  15. 前記ヘアピン状の屈曲形状(20’)に屈曲された隔壁は少なくとも1mmの長さ(D)に渡って延在することを特徴とする請求項2に記載のマイクロポンプ。
  16. 2つの相隣る前記ヘアピン状の屈曲形状の部分間の幅(d)は20μm乃至200μmの範囲内であることを特徴とする請求項2に記載のマイクロポンプ。
  17. 前記隔壁(20、20’)の頂部(I)の幅は1μm乃至20μmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロポンプ。
  18. 前記プレート形成手段(10)はガラスで形成されることを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載のマイクロポンプ。
  19. 前記取付手段(21’)のうちの少なくとも幾つかは、前記隔壁(20’)の頂部(19)の幅(I)よりも大きな幅であり、前記隔壁(20’)の両側に突出すことを特徴とする請求項13に記載のマイクロポンプ。
  20. 前記隔壁(20’)の長さの少なくとも一部に渡って、前記隔壁(20’)の表面が疎水性であることを特徴とする請求項2に記載のマイクロポンプ。
  21. 前記隔壁(20’)は、前記隔壁(20’)のヘアピン状の屈曲形状の各屈曲部(27)の内側が前記溝(13)の上流側において、前記隔壁(20’)の頂部(19)に近接して対向して位置するスロット部が液体で充満する前に、液体で完全に充満するような大きさであることを特徴とする請求項2に記載のマイクロポンプ。
  22. 前記隔壁(20”)の各ヘアピン状の屈曲部形状の長さの少なくとも一部(23”)はジグザグ形状であることを特徴とする請求項2に記載のマイクロポンプ。
  23. 前記隔壁(20′′′)は、前記溝(13)に形成された入口穴又は出口穴を取り囲むことを特徴とする請求項1に記載のマイクロポンプ。
  24. 前記隔壁(20、20”)は、前記溝(13)の幅全体を横断して延在することを特徴とする請求項1に記載のマイクロポンプ。
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