JP4042594B2 - 画像処理方法および画像処理装置ならびに画像処理プログラム - Google Patents

画像処理方法および画像処理装置ならびに画像処理プログラム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は画像処理方法及び画像処理装置並びに画像処理プログラムに関する。特に、画像を正方形領域とし、その正方形領域を三角形領域に分割し、分割された三角形領域に対し画像処理行う画像処理方法および画像処理装置ならびに画像処理プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ネットワーク環境の普及により、画像のようなデータ量の多い情報も通信対象としてごく普通に用いられるようになってきており、様々な機器の上で画像を取り扱うことが一般的になっている。このとき、同一の画像データであっても、その出力機器の能力に対応し、その大きさ、解像度などを効率よく最適化することが要求されている。
【0003】
また、伝送能力の低い通信路で画像が送られる場合や大量の画像を閲覧するような場合においては、データ量を削減するために、あるいはユーザにとって意味のある部分を優先的に表示するために、画像の一部分のみの解像度を効率良く上げることが要求されている。
【0004】
特に、情報量をできるだけ保存しつつデータ量を削減するために、様々な方法が用いられている。この符号化方法としては、たとえば、RGBなど通常の色空間でのデータをそのまま用いる方法と、それを周波数分析した周波数空間でのデータを用いる方法の2種類に大別することができる。
【0005】
通常の色空間を用いる方法としては、特開平9−84002号公報に記載の技術、特開平9−191409号公報に記載の技術などがある。この特開平9−84002号公報に記載の技術は、その公報に記載された図1に見られるように、入力された画像を、所定の相関を有するオブジェクト領域へ分割し、そのオブジェクト領域のそれぞれを多角形で近似し、その内部を階層的に平面近似するものである。これは画像を構成するオブジェクト毎に最適な解像度を設定でき、またユーザが関心を持つであろうオブジェクトを優先的に伝送できるなどの利点がある。
【0006】
また、特開平9−191409号公報に記載の技術は、その公報の図8に見られるように、画像を三角形領域平面の集合として表現するものである。このため、相対的に少ない計算量、メモリ量での処理が可能であると考えられ、汎用機器、小型機器においての使用に利点がある。
【0007】
一方、周波数空間データを用いる方法としては、特開平11−298897号公報に記載の技術、特開2000−125294号公報に記載の技術などがある。
【0008】
特開平11−298897号公報に記載の技術は、JPEG2000規格と同様に、画像処理部分においては、ウェーブレット変換、あるいは、周波数領域で表現した画像データのオクターブ分割により、画像を表現するものであって、その公報に記載された図2および図3に見られるように、オクターブ分割により再帰的に縮小画像、つまり、画像の低周波数成分と、画像の高周波数成分とが分離される。このように、画像の周波数空間での処理を行うことにより、通常の座標空間でのデータの滑らかさが損なわれないようにすることができる。
【0009】
また、特開2000−125294号公報に記載の技術は、特開平11−298897号公報に記載の技術と同様であるが、ウェーブレット変換を主にはハードウェアにおいて実行することを意図したものである。この場合、処理速度などの改善が期待できる。
【0010】
【特許文献1】
特開平9−84002号公報
【特許文献2】
特開平9−191409号公報
【特許文献3】
特開平11−298897号公報
【特許文献4】
特開2000−125294号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、通常の色空間データを用いる方法である特開平9−84002号公報に記載の技術においては、オブジェクト領域抽出のための大きな計算量、また大きなメモリ量を必要とすると言う問題がある。また、オブジェクト領域抽出に失敗した場合の画像の劣化も非常に大きいものとなる。
【0012】
また、同様に通常の色空間データを用いる方法である特開平9−191409号公報に記載の技術においては、その公報に記載された図7、図11に見られるように、この画像の伝送には、3頂点の座標及び画像情報が必要であり、伝送される情報量が多いことになる。最悪の場合、元データの数倍のデータ量となる場合すら考えられる。また、この技術においては、部分的な解像度の改善、段階的な解像度の向上は非常に困難である。
【0013】
また、周波数空間でのデータを用いる方法である特開平11−298897号公報に記載の技術においては、処理を行うために非常に大きな計算量とメモリ量が必要とされる。これは、汎用的な装置、また小型情報機器などにおいては非常に大きな問題となる。
【0014】
同様に周波数空間でのデータを用いる方法の特開2000−125294号公報に記載の技術においては、この処理をソフトウェアで実行した場合の課題は、特開平11−298897号公報に記載の技術と同様である。また、この特開2000−125294号公報に記載の技術をハードウェアで実行した場合は、装置としての汎用性が損なわれると言う課題がある。
【0015】
そこで本発明は、より少ない計算量、メモリ量、データ量での画像符号化を可能とする画像処理方法および画像処理装置ならびに画像処理プログラムを実現することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、画像データの符号化および復号化を行うものであるが、その符号化および復号化を行うに際して、処理対象となる画像を正方形とすることが前提である。この画像の正方形化を行う際、処理対象画像を1つ以上の正方形領域に分割する方法、もう1つは処理対象画像を正方形に変形させることで1つの正方形領域を生成する方法が考えられるが、本発明では前者、すなわち、処理対象画像を1つ以上の正方形領域に分割する方法を採用する。
【0017】
まず、本発明の画像処理方法について言えば、この画像処理方法の符号化側は、処理対象となる画像を1つ以上の正方形領域に分割し、それぞれの正方形領域を再帰的に三角形領域に分割して、分割された三角形領域を符号化する画像処理方法であって、その画像処理手順として、処理対象となる画像を入力する画像入力ステップと、入力された画像を1つ以上の正方形領域に分割する正方形領域分割ステップと、分割されたぞれぞれの正方形領域を再帰的に三角形領域に分割する再帰的三角形領域分割ステップと、分割された三角形領域を平面近似した画素値と当該三角形領域の実際の画素値との誤差を求め、その誤差に基づいて当該三角形領域のそれ以降の分割を省略することができるか否かを判定するデータ省略可否判定ステップと、このデータ省略可否判定ステップの判定結果に基づいて符号化すべき三角形領域の符号化データを生成する符号化データ生成ステップと、生成された符号化データを出力する符号化データ出力ステップとを含むことを特徴としている。
【0018】
この画像処理方法において、前記再帰的に分割されたそれぞれの三角形領域を、その元となる正方形領域を根とする2分木で表現し、前記データ省略可否判定ステップは、処理対象の三角形領域の斜辺両端を結ぶ直線上の中点画素値を近似的な画素値とし、その近似的な画素値と当該三角形領域の実際の斜辺中点画素値との誤差の大きさが所定値未満であるか否かを判定する処理と、当該三角形領域が分割可能であるか否かを判定する処理とを含む処理をデータ省略可否処理として行い、このデータ省略可否処理を、前記処理対象の三角形領域を基点に、当該三角形領域を再帰的分割して得られる個々の三角形領域について順次行い、自身の三角形領域の誤差の大きさが所定値未満であると判定され、かつ、2分割されて生成された双方の三角形領域の誤差の大きさが所定値未満であると判定され、それが最終段の三角形領域にまで到達した場合に、当該処理対象となる三角形領域のそれ以上の分割が省略可能であることを示す情報を出力するようにしている。
【0019】
また、この画像処理方法において、前記データ省略可否判定処理によって、ある三角形領域のそれ以上の分割が省略可能とされた場合、三角形領域の分割省略を示す情報は、分割省略可能とされた最上位の三角形領域のみに付されるようにしている。
【0020】
また、本発明の画像処理方法において、その復号化側は、1つ以上の正方形領域に分割された画像のそれぞれの正方形領域が再帰的三角形領域分割処理され、その分割された三角形領域が符号化された符号化データを復号化する画像処理方法であって、その画像処理手順として、符号化データを入力する符号化データ入力ステップと、この符号化データ入力ステップに入力された符号化データを解析する符号化データ解析ステップと、この符号化データ解析ステップによる解析結果に基づいて、データ省略がなされているか否かを判定するデータ省略判定ステップと、このデータ省略判定ステップの判定結果に基づいて、再帰的に三角形領域を合成する再帰的三角形領域合成ステップと、合成された三角形領域により正方形領域を合成する正方形領域合成ステップと、合成された正方形領域から画像データを復元して出力する画像データ出力ステップとを含むことを特徴としている。
【0021】
この画像処理方法において、前記データ省略判定ステップが行うデータ省略がなされているか否かの判定は、データ省略の有無を示す情報に基づいて行い、ある三角形領域に対してデータ省略されていることを示す情報が与えられている場合には、当該三角形領域より下の階層の三角形領域全体を、そのデータ省略されていることを示す情報の付加された三角形領域の符号化データを用いて復号化するようにしている。
【0022】
また、本発明の画像処理装置において、その符号化側は、処理対象となる画像を1つ以上の正方形領域に分割し、それぞれの正方形領域を再帰的に三角形領域に分割して、分割された三角形領域を符号化する画像処理装置であって、その構成要素として、画像を入力する画像入力手段と、入力された画像を1つ以上の正方形領域に分割する正方形領域分割手段と、分割されたぞれぞれの正方形領域を再帰的に三角形領域に分割する再帰的三角形領域分割手段と、分割された三角形領域を平面近似した画素値と当該三角形領域の実際の画素値との誤差を求め、その誤差に基づいて当該三角形領域のそれ以降の分割を省略することができるか否かを判定するデータ省略可否判定手段と、このデータ省略可否判定手段の判定結果に基づいて符号化すべき三角形領域の符号化データを生成する符号化データ生成手段と、生成された符号化データを出力する符号化データ出力手段とを含むことを特徴としている。
【0023】
この画像処理装置において、前記再帰的に分割されたそれぞれの三角形領域を、その元となる正方形領域を根とする2分木で表現し、前記データ省略可否判定ステップは、処理対象の三角形領域の斜辺両端を結ぶ直線上の中点画素値を近似的な画素値とし、その近似的な画素値と当該三角形領域の実際の斜辺中点画素値との誤差の大きさが所定値未満であるか否かを判定する処理と、当該三角形領域が分割可能であるか否かを判定する処理とを含む処理をデータ省略可否処理として行い、このデータ省略可否処理を、前記処理対象の三角形領域を基点に、当該三角形領域を再帰的分割して得られる個々の三角形領域について順次行い、自身の三角形領域の誤差の大きさが所定値未満であると判定され、かつ、2分割されて生成された双方の三角形領域の誤差の大きさが所定値未満であると判定され、それが最終段の三角形領域にまで到達した場合に、当該処理対象となる三角形領域のそれ以上の分割が省略可能であることを示す情報を出力するようにしている。
【0024】
また、この画像処理装置において、前記データ省略可否処理によって、ある三角形領域のそれ以上の分割が省略可能とされた場合、三角形領域の分割省略を示す情報は、分割省略可能とされた最上位の三角形領域のみに付されるようにしている。
【0025】
また、本発明の画像処理装置において、その復号化側は、1つ以上の正方形領域に分割された画像のそれぞれの正方形領域が再帰的三角形領域分割処理され、その分割された三角形領域が符号化された符号化データを復号化する画像処理装置であって、その構成要素として、符号化データを入力する符号化データ入力手段と、この符号化データ入力手段に入力された符号化データを解析する符号化データ解析手段と、この符号化データ解析手段による解析結果に基づいて、データ省略がなされているか否かを判定するデータ省略判定手段と、このデータ省略判定手段の判定結果に基づいて、再帰的に三角形領域を合成する再帰的三角形領域合成手段と、合成された三角形領域により正方形領域を合成する正方形領域合成手段と、合成された正方形領域から画像データを復元して出力する画像データ出力手段と、を含むことを特徴としている。
【0026】
また、この画像処理装置において、前記データ省略判定ステップが行うデータ省略がなされているか否かの判定は、データ省略の有無を示す情報に基づいて行い、ある三角形領域に対してデータ省略されていることを示す情報が与えられている場合には、当該三角形領域より下の階層の三角形領域全体を、そのデータ省略されていることを示す情報の付加された三角形領域の符号化データを用いて復号化するようにしている。
【0027】
また、本発明の画像処理プログラムにおいて、その符号化側は、処理対象となる画像を1つ以上の正方形領域に分割し、それぞれの正方形領域を再帰的に三角形領域に分割して、分割された三角形領域を符号化する処理をコンピュータで実行するための画像処理プログラムであって、その画像処理プログラムは、処理対象となる画像を入力する画像入力ステップと、入力された画像を1つ以上の正方形領域に分割する正方形領域分割ステップと、分割されたぞれぞれの正方形領域を再帰的に三角形領域に分割する再帰的三角形領域分割ステップと、分割された三角形領域を平面近似した画素値と当該三角形領域の実際の画素値との誤差を求め、その誤差に基づいて当該三角形領域のそれ以降の分割を省略することができるか否かを判定するデータ省略可否判定ステップと、このデータ省略可否判定ステップの判定結果に基づいて符号化すべき三角形領域の符号化データを生成する符号化データ生成ステップと、生成された符号化データを出力する符号化データ出力ステップと含むことを特徴としている。
【0028】
この画像処理プログラムにおいて、前記再帰的に分割されたそれぞれの三角形領域を、その元となる正方形領域を根とする2分木で表現し、前記データ省略可否判定ステップは、処理対象の三角形領域の斜辺両端を結ぶ直線上の中点画素値を近似的な画素値とし、その近似的な画素値と当該三角形領域の実際の斜辺中点画素値との誤差の大きさが所定値未満であるか否かを判定する処理と、当該三角形領域が分割可能であるか否かを判定する処理とを含む処理をデータ省略可否処理として行い、このデータ省略可否処理を、前記処理対象の三角形領域を基点に、当該三角形領域を再帰的分割して得られる個々の三角形領域について順次行い、自身の三角形領域の誤差の大きさが所定値未満であると判定され、かつ、2分割されて生成された双方の三角形領域の誤差の大きさが所定値未満であると判定され、それが最終段の三角形領域にまで到達した場合に、当該処理対象となる三角形領域のそれ以上の分割が省略可能であることを示す情報を出力するようにしている。
【0029】
また、前記データ省略可否判定処理によって、前記データ省略可否処理によって、ある三角形領域のそれ以上の分割が省略可能とされた場合、三角形領域の分割省略を示す情報は、分割省略可能とされた最上位の三角形領域のみに付されるようにしている。
【0030】
また、本発明の画像処理プログラムにおいて、その復号化側は、1つ以上の正方形領域に分割された画像のそれぞれの正方形領域が再帰的三角形領域分割処理され、その分割された三角形領域が符号化された符号化データを復号化する画像処理方法であって、その画像処理手順として、符号化データを入力する符号化データ入力ステップと、この符号化データ入力ステップに入力された符号化データを解析する符号化データ解析ステップと、この符号化データ解析ステップによる解析結果に基づいて、データ省略がなされているか否かを判定するデータ省略判定ステップと、このデータ省略判定ステップの判定結果に基づいて、再帰的に三角形領域を合成する再帰的三角形領域合成ステップと、合成された三角形領域により正方形領域を合成する正方形領域合成ステップと、合成された正方形領域から画像データを復元して出力する画像データ出力ステップとを含むことを特徴としている。
【0031】
この画像処理プログラムにおいて、前記データ省略判定ステップが行うデータ省略がなされているか否かの判定は、データ省略の有無を示す情報に基づいて行い、ある三角形領域に対してデータ省略されていることを示す情報が与えられている場合には、当該三角形領域より下の階層の三角形領域全体を、そのデータ省略されていることを示す情報の付加された三角形領域の符号化データを用いて復号化するようにしている。
【0032】
このように本発明は、画像を正方形領域とした上で処理を行うものであり、その符号化側の発明によれば、処理対象となる画像データを符号化するに際して、処理対象の画像データを1つ以上の正方形領域に分割し、取り出された正方形を再帰的に三角形領域に分割し、得られたそれぞれの三角形領域の3頂点の画素情報(以下では画素値という)と斜辺中点の画素値を得るようにしている。このとき、再帰的分割処理によって得られるそれぞれの三角形の型は、元の正方形に対する分割の仕方を決めておけば、あとは分割順にしたがって自動的に決めることができる。また、それぞれの三角形の頂点の画素値は正方形の持っている画素値をそのまま継承でき、斜辺中点の画素値も元の正方形から求めることができる。そして、このような再帰的三角形分割処理による三角形の型と保持すべき画素値(斜辺中点画素値)を2分木で表現でき、その2分木に基づいて1次元化された符号化データとして出力することができる。
【0033】
これによれば、処理対象となる画像データを符号化する際、符号化を行う際に保持あるいは伝送すべきデータはごく少量ですみ、それによって、演算を大幅に簡略化することができるとともにメモリの使用量を大幅に減らすことができる。
【0034】
また、本発明ではそれに加えて、省略できる符号化データについてはそれを省略することでデータ量のより一層の削減を図るようにしている。このデータ省略を行う際、データ省略が可能か否かを判定する。このデータ省略可否判定は、処理対象の三角形領域を再帰的に2分割して得られた各三角形領域について再帰的に行い、自身の三角形領域の誤差の大きさが所定値未満であると判定され、かつ、2分割されて生成された双方の三角形領域の誤差の大きさが所定値未満であると判定され、それが最終段の三角形領域にまで到達した場合に、当該処理対象となる三角形領域より下位の三角形領域の符号化データ出力を省略可能であるとする。これによって、符号化データ量を削減することができる。
【0035】
また、データ省略可否処理によって、ある三角形領域より下位の三角形領域の符号化が省略可能とされた場合、三角形領域の符号化の省略を示す情報は、その最上位の三角形領域のみに付され、それよりも下位の三角形領域においては、その三角形領域が省略されていることを明示的に示す必要がないことも特徴の1つである。これは、本発明においては、それぞれの三角形領域の位置関係が自明であるため、上位の三角形領域においてそれ以上の分割省略を行った場合、それより下位のどの三角形領域が省略されているかが自明となるためであり、それによって、その省略された三角形領域において、その省略を示すためのデータを付加する必要がなくなる。
【0036】
また、本発明では、符号化側からの符号化データを復号する際は、分割省略がなされているか否かを判定して、その判定結果に基づいて、三角形領域の合成をおこなうようにしている。このとき、分割省略がなされているか否かの判定は、省略がなされた最上位の三角形領域に付された符号化の省略を示す情報に基づいて行い、ある三角形領域に対してデータ省略されていることを示す情報が存在する場合には、当該三角形領域より下の階層の三角形領域全体を、そのデータ省略されていることを示す情報の付加された三角形領域の符号化データを復号化するようにしているので、効率的な三角形領域の合成が行える。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、本発明の基礎となる技術として、処理対象となる画像を1つ以上の正方形領域に分割し、それぞれの正方形領域を再帰的に三角形領域に分割して、分割された三角形領域を符号化する画像処理と、それによって符号化された符号化データを復号化する画像処理について説明し、そのあとで、本発明において行われるデータ省略処理について説明する。
【0038】
図1は本発明に係る画像処理装置の符号化、すなわち、処理対象となる画像を1つ以上の正方形領域に分割し、それぞれの正方形領域を再帰的に三角形領域に分割して、分割された三角形領域を符号化する符号化側の構成を示すブロック図である。その構成を大きく分けると、画像データ入力手段1、正方形領域分割手段2、再帰的三角形領域分割手段3、三角形領域分割制御手段4、符号化データ生成手段5、符号化データ出力手段6を有した構成となっている。
【0039】
画像データ入力手段1は、図2に示すように、個々の画素データを入力する画素データ入力手段101と、入力された画素の色データを各色成分へ分離する色成分分離手段102と、分離された色データに基づき、たとえば、RGBからYUVデータへ変換する色変換手段103と、必要であるならばデータの間引きを行うデータ間引き手段104を有している。なお、この画像データ入力手段1に入力される画像データは、たとえば、カメラからの画像データ、ファイルからの画像データ、何らかの通信手段からの画像データなどが考えられる。
【0040】
再帰的三角形領域分割手段3は、少なくとも、複数種類の三角形型(これについては後述する)を記憶する形状型記憶手段31と、三角形の3つの頂点の画素値および斜辺中点画素値を記憶する頂点画素値記憶手段32と、三角形の斜辺中点の画素値を補う斜辺中点画素値取得手段33と、後述する規則(図11参照)を用いて三角形型を更新する形状型更新手段34と、三角形の3つの頂点の画素値および斜辺中点の画素値を更新する頂点画素値更新手段35とを有している。
【0041】
以下に図1で示した各構成要素の動作について詳細に説明する。
【0042】
本発明は、処理すべき画像データを正方形とし、それを再帰的に三角形領域へ分割してその三角形領域に対して画像処理を行う。たとえば、画像データ入力手段1から得られた画像データのある1つの色成分が図3(a)のようであるとする。本発明は、これを、図3(b)のように三角形領域の集合として表現する。
【0043】
このように、本発明では処理すべき画像データが正方形であることを前提に処理を行うが、画像データ入力手段1から得られる画像データは必ずしも正方形であるとは限らない。そこで、画像データが正方形ではない場合の処理について説明する。
【0044】
入力された画像データが正方形ではない場合、正方形領域分割手段2によって入力された画像データを1つ以上の正方形領域へ分割する。たとえば、入力された画像データが、図4(a)のような横長の長方形画像である場合、これを図4(b)で示すような複数の正方形領域へ分割する。この時、分割される正方形の1辺に含まれる画素数をLとすると、Lは2のN剰+1であることが望ましい。この理由は後述する。なお、Nは自然数である。
【0045】
このように、もともと正方形でない画像を正方形領域分割手段2によって正方形領域へ分割すると、図4(b)に示すように、画像の端部に重なる正方形部分には画像の存在しない空白部が生じる。また、一般的には、画像データの幅と高さは、Lの整数倍とはならない。この空白部に対する処理と画像データの幅と高さが、Lの整数倍とはならない場合の処理について図5のフローチャートと図6の画像例を参照しながら説明する。
【0046】
図5は正方形領域分割処理手段2が行う正方形領域分割処理手順を説明するフローチャートであり、まず、分割すべき正方形領域の1辺値としてLを入力する(ステップS1)。ただし、上述したように、Lは2のN剰+1とする(Nは自然数)とする。ここで、当該画像の幅WがLの整数倍ではないとき、当該画像の幅がLの整数倍となるまで0を挿入する(ステップS2)。また、同様に、当該画像の高さHがLの整数倍ではないとき、当該画像の高さHがLの整数倍となるまで0を挿入する(ステップS3)。
【0047】
図6は、ある横長の画像に対し、図5で説明した正方形領域分割処理を施した例である。この図6からもわかるように、当該画像の幅WはLの整数倍ではないので、当該画像の幅がLの整数倍であるとして、その余白部に0を補填している。同様に、当該画像の高さHはLの整数倍ではないので、当該画像の高さHがLの整数倍であるとして、その余白部に0を補填している。
【0048】
この図5および図6で説明した例は、画像の幅方向および高さ方向をLの整数倍として、それによって生じる余白部に0を補填するようにした例について説明したが、それ以外にも、たとえば、JPEGなどの処理に見られるように、幅方向においては、当該画像における最も右側の列の画素値を繰り返し、また高さ方向においては、当該画像における最も下側の行の画素値を繰り返すと言うようなものであってもよい。また、JPEG2000などに見られるように、幅方向においては、当該画像における最も右側の列で画像値を折り返す、また高さ方向においては、当該画像における最も下側の行で画像値を折り返すと言うようなものであってもよい。
【0049】
なお、これ以降の処理は、JPEGなどと同様に、この分割された正方形領域のそれぞれにおいて独立した処理となるので、一般性を損なうことなく、画像データは正方形であるとして説明を続ける。
【0050】
次に上述したように正方形領域に分割されたそれぞれの正方形を三角形に分割する処理について説明する。この三角形に分割する処理は、再帰的三角形領域分割手段3によって行われる。この再帰的三角形領域分割手段3は、それぞれの正方形領域を再帰的に三角形領域へ分割するもので、たとえば、図7(a),(b)に示すように、ある1つの正方形領域は、2つの三角形に分割される。そして、この図7(a),(b)では図示されていないが、分割された三角形はさらにそれぞれ三角形に分割される。
【0051】
この正方形を三角形に分割する方法は二通りあり、その第1の方法としては図7(a)示すような分割の仕方であり、第2の方法としては図7(b)に示すような分割の仕方である。
【0052】
すなわち、正方形の4つの角部の画素値をa,b,c,dとしたとき、図7(a)は第1の方法によって2つの三角形に分割し、図7(b)は第2の方法によって2つの三角形に分割した例であり、これら第1および第2の方法を用いて分割されることによって生成される三角形の型を、それぞれの図中で示したように、#1、#2、#3、#4と表すことにする。
【0053】
ところで、この図7(a),(b)のように分割された三角形を再帰的に分割して得られる三角形は合計で8種あり、その8種類のそれぞれを図8に示すように、#1、#2、#3、#4、#5、#6、#7、#8の型番号を付す。なお、この図8に示される各三角形のそれぞれの頂点に付されたa,b,cはそれぞれその位置における画素値を表しており、また、それぞれの斜辺に付されたdは、その斜辺中点位置における画素値を表すが、これについては後に説明する。
【0054】
このような再帰的三角形領域分割されたそれぞれの三角形の型(三角形型)は相互に関連つけることができる。たとえば、図9に示すように、#6の型の三角形を分割すると、#1と#4の型の三角形が生成される。つまり、本発明の再帰的三角形領域分割処理において、分割処理後の3角形の型は、その元となる三角形の型から自動的に定まるので、出力データの中に三角形の型を保存する必要はない。
【0055】
ところで、上述した図7により正方形を三角形に分割する方法(第1の方法および第2の方法)について説明をしたが、このとき、正方形の4頂点の位置の画素値がどのようにして三角形に継承されるのかを説明する。
【0056】
ここで、正方形の4頂点の画素値がa,b,c,dであったとすると、この正方形の4頂点の画素値a,b,c,dの継承パタンとしては図7(a),(b)で説明した分割の仕方によって2種類がある。
【0057】
図10はこの継承規則を示したものである。たとえば、正方形が図7(a)のような方法(第1の方法)で三角形に分割されたとすると、図10の上段に示すように、分割前(正方形)の型をここでは#0と表すものとすると、この正方形の4頂点の画素値(a,b,c,d)は、三角形分割において得られた#1型の三角形の画素値として(a,b,c,−)が継承され、#2型の三角形の画素値として(b,c,d,−)が継承される。
【0058】
一方、正方形が図7(b)のような方法(第2の方法)で三角形分割されたとすると、図10の下段に示すように、分割前(正方形)の型をここでも#0と表すものとすると、この正方形の4頂点の画素値(a,b,c,d)は、三角形分割において得られた#3型の三角形の画素値として(a,c,d,)が継承され、#4型の三角形の画素値として(a,b,d,−)が継承される。
【0059】
なお、本発明においては、それぞれの三角形の3頂点の画素値に加え、三角形の斜辺中点の画素情報も加えた4つの画素値を考慮するが、図10の中で、ハイフン「−」で示した部分が斜辺中点の画素値であり、このハイフンはそれが不明であること、あるいは、その画素値の設定を必要とすることを示している。
【0060】
図11は図8で示した8種類の三角形をさらに分割したときの画素値の継承規則を示すものであり、この図11に示されるように、分割前にある型(#1から#8)であった三角形は、それを分割すると、それぞれ2つの型の三角形となるが、そのときの画素値はこの図11に示すように継承される。なお、この図11においても、ハイフン「−」で示した部分が斜辺中点の画素値であり、このハイフンはそれが不明であること、あるいは、その画素値の設定を必要とすることを示している。
【0061】
この図11によれば、たとえば、頂点の画素値がa,b,c、斜辺中点の画素値がdである#6型の三角形を分割すると、#1型と#4型の2つの三角形に分割され(図9参照)、#1型の三角形の画素値は(a,d,c,−)、#4型の三角形の画素値は(c,d,b,−)となる。
【0062】
以上の再帰的三角形分割処理のまとめを図12により説明する。ある1つの正方形を、たとえば、#1と#2の型の三角形に分割するものとする。この、#1と#2の型の三角形は、#1型についてはさらに#5型と#6型に分割され、#2型についてはさらに#7型と#8型に分割される。この分割された三角形は、さらに、より小さな三角形に分割される。なお、この再帰的な分割処理は、斜辺中点に画素が存在する限りは次々と分割可能であるが、分割限界に達しなくても所定の段階で分割処理を終了することも可能である。どの段階まで分割するかは予め設定しておくことができる。
【0063】
上述した再帰的三角形分割処理は、図13に示すような2分木で表現することができる。図13において、○の中の数字は三角形の型を示す。最も上部の内部に数字の無い○を正方形とし、これをルート(根)Rとした2分木が生成される。
【0064】
ルートRから生成される2つのノード(節)N11,N12の三角形型は、図7(a),(b)の2つの分割方法(第1の方法または第2の方法)に対応しているが、これが決定されてしまえば、それぞれのノードを2分割してできる三角形は、図11に示すような継承規則により一意に定まる。たとえば、#1型を持つ三角形は、図11からわかるように、#5型と#6型の三角形に2分される。同様に、#5型を持つ三角形は、図11からわかるように、#1型と#3型の三角形に2分される。
【0065】
以降、記述の簡略化のため、三角形型がT、3頂点の画素値がa,b,cであって、斜辺中点の画素値がdである三角形を、T(a,b,c,d)と表す。たとえば、三角形型が#6でその3頂点の画素値がa,b,cであって、斜辺中点の画素値がdである三角形は、#6(a,b,c,d)で表され、それは、#1(d,b,c,−)と#4(a,d,c,−)へ分割されるというように表される。
【0066】
この例から明らかなように、このそれぞれの三角形を分割した後の三角形において、ハイフンで示した不定である斜辺中点の画素値を補うことにより、図11の継承規則を用いて三角形領域分割を再帰的に行うことができる。
【0067】
これは、前述の従来技術の項で引用した特開平9−191409号公報に記載された技術のように、一つの三角形を表現するために、3つの頂点のX座標値が3個、Y座標値が3個、3つの頂点の画素値として3個の合計9個の画素情報を必要としそれを保持する必要のあるものに比較して、ワーストケースにおいて、1/9のデータ量である。
【0068】
以上より、図1に示した再帰的三角形領域分割手段3は、少なくとも、#1型1から#8型の8通りの三角形型を記憶する形状型記憶手段31と、三角形の3つの頂点の画素値および斜辺中点の画素値を記憶する頂点画素値記憶手段32と、三角形の斜辺中点画素値を補う斜辺中点画素値取得手段33と、図11に示す継承規則用いて三角形型を更新する形状型更新手段34と、三角形の3つの頂点の画素値および斜辺中点の画素値を更新する頂点画素値更新手段35により、再帰的に三角形領域を分割することができる。
【0069】
以上の再帰的三角形領域分割処理を具体的な数値例を用いて説明する。説明を簡単にするために、図14に示すように、1辺の画素数LがL=3(この場合は、Lが2のN乗+1であるという条件において、N=1とした場合である)の正方形を例にとる。なお、図14において、それぞれの画素を黒丸で表し、それぞれの画素に付された数値はその画素における画素値を表している。
【0070】
このような正方形に対し、図7(a)で示したような方法(第1の方法)で2分割したとすると、図15(a)に示すように、2つの三角形に分割される。この左上の三角形は、#1型の三角形であり、その頂点の画素値は(3,9,1)であるので、#1(3,9,1,−)と表され、これに斜辺中点の画素値7を補うことにより、#1(3,9,1,7)という情報を生成することができる。
【0071】
このような情報が生成されたら、この情報を用い、図16のフローチャートに示す手順で分割後の三角形を得る。すなわち、現在の型情報を用いて図11で示した継承規則の検索を行い、分割後の2つの三角形の情報を求める(ステップS21)。そして、図11で示した継承規則の情報に基づき、現三角形の4つの画素値の並べ替えを行い、2つの新三角形を得る(ステップS22)。
【0072】
つまり、この例では、図17に示すように、#1(3,9,1,7)の情報を有する三角形は、#5(3,7,1,−)と、#6(3,9,7,−)に分割されることになる。これを示したものが、図15(a),(b)であり、#1(3,9,1,−)の情報を有する三角形は、その斜辺中点に7の画素値を補填し、それを2分割すると、#5(3,7,1,−)の情報を有する三角形と#6(3,9,7,−)の情報を有する三角形が得られる。以降、これら三角形のそれぞれの斜辺中点の画素値として、図15(c)に示すように、#5型の三角形については5を補填し、#6型の三角形T12については4を補填するという処理を行うことにより再帰的三角形領域分割を行う。
【0073】
以上の図14から図17で説明した処理は、図18に示すような2分木で表現できる。この図18の2分木表現も図13で示した2分木表現と同様に、2分木の○の中に示した三角形型は、その上位の型から一意に定まるために、データとして出力する必要はなく、その○の下に示した斜辺中点の画素値のみを補うことにより、より下位の三角形領域分割を行うことができる。
【0074】
この図18は、図14で示した正方形を三角形領域分割する場合の2分木表現であり、ルートRに相当する正方形は図14からもわかるように、その4頂点の画素値は(3,9,1,8)であって、このような正方形を図15(a),(b),(c)で説明したような三角形領域分割処理を行ったものである。
【0075】
このように、処理対象となる画像データに対し、最初の正方形の4頂点の画素値、それを最初に3角形分割したときの三角形の型、分割された三角形の斜辺中点の画素値の連鎖の3種のデータによって、正方形領域の画像を表現することができる。
【0076】
なお、このデータのうち、正方形を最初に三角形に分割する際、図7(a),(b)の第1の方法または第2の方法のいずれかで行うかを固定することは可能である。また、正方形領域の1辺に含まれる画素数Lは、2のN剰+1(Nは自然数)となるような条件を満たすようにすると、分割された三角形の斜辺中点には必ず画素が存在する。このため、処理を容易にするためには、正方形領域の1辺に含まれる画素数Lが2のN剰+1(Nは自然数)であることが望ましい。
【0077】
以上のような処理の結果、たとえば図19に示すように、ある画像が複数の正方形領域に分割されている場合、そのそれぞれの正方形領域は、図20に示されるような複数の2分木に変換されることになる。
【0078】
ところで、2分木として表現された画像データを、伝送、記録するためには、それを1次元のデータ列に変換する必要がある。その順序には幾つもの方法が考えられるが、たとえば、以下のような2種の方法も可能である。
【0079】
図21は、2分木の幅方向優先の出力方法を示したものである。これは数字の下にアルファベットA,B,C,・・・で示した順番(アルファベット順)にデータが1次元化される。たとえば、最初に、ルートRとして正方形のデータ(4頂点の画素値)Aが出力され、その後、このルートRの下位の同じ深さのノードN11、N12のデータ(斜辺中点の画素値)B,Cが出力され、さらに、その後、ノードN11,N12の下位の同じ深さのノードN21,N22,N23,N24のデータ(斜辺中点の画素値)D,E,F,Gが出力される。
【0080】
図22は、この方法により1次元化されたデータの結果を示すものであり、アルファベットA,B,C,・・・の順に、それぞれのアルファベットA.B,C,・・・に対応した画素値が出力される。
【0081】
図23は、2分木の深さ方向優先の出力方法を示したものである。これも図21と同様にアルファベットA,B,C,・・・で出力の順番を示してある。この場合、ルートRのデータAを出力したあと、ノードN11のデータBを出力し、その後は、それの下位にあたるノードN21のデータCの出力が行われる。このように、2分木の底に到達するまでの出力が行われると、ノードN22のデータDの出力が行われる。そして、今度は、ノードN12のデータEの出力が行われ、続いて、そのノードN12の下位にあたるノードルN23のデータFを出力するというようなデータ出力順序となる。
【0082】
図24は、この方法により1次元化されたデータの結果を示すものであり、アルファベットA,B,C,・・・の順に、それぞれのアルファベットA.B,C,・・・に対応した画素値が出力される。
【0083】
以上のようにして、処理対象となる画像データの符号化処理が終了する。これによって符号化されたデータは、たとえば、図21または図23示されるような2分木のデータ構造となっており、その2分木に基づいて、図22または図24のようなデータ形式で出力される。
【0084】
以上説明した符号化処理をフローチャートにまとめたものが図25である。各部の詳細については説明済みであるので、ここでは概略を説明する。
【0085】
図25において、まず、正方形領域分割処理を行う(ステップS31)。これは、図3から図6で説明したように、処理対象となる画像データを1つ以上の正方形領域へ分割する処理であり、この正方形領域分割処理によって得られたそれぞれの正方形について符号化処理を行うが、すべての正方形領域を符号化したか否かを判断し(ステップS32)、すべての正方形に対してすでに符号化されていれば処理が終了したものとするが、符号化されていなければ、その正方形の4頂点画素値を出力する(ステップS33)。
【0086】
そして、三角形分割処理が終了したか否かを判断し(ステップS34)、終了していれば、ステップS32に戻り、終了していなければ、すべての三角形を符号化したかを判断する(ステップS35)。ここで、すべての三角形の符号化が終了していなければ、斜辺中点の画素値を出力し(ステップS36)、三角形領域更新処理を行い(ステップS37)、ステップS35に戻る。
【0087】
そして、すべての三角形の符号化が終了し、かつ、三角形分割処理が終了し、さらに、すべての正方形領域の符号化が終了していれば、その画像に対する符号化処理を終了する。
【0088】
以上の説明は処理対象となる画像データを符号化する処理についての説明であるが、そのおおまかな処理としては、処理対象の画像データを正方形領域として取り出し、取り出された正方形を再帰的に三角形領域に分割し、得られたそれぞれの三角形領域の3頂点の画素値と斜辺中点の画素値を得るようにしている。このとき、再帰的分割処理によって得られるそれぞれの三角形の型は、元の正方形を2分割の仕方を決めておけば、以降は分割順に従って自動的に決めることができる。また、それぞれの三角形の頂点の画素値は正方形の持っている画素値をそのまま継承できるので、斜辺中点の画素値を元の正方形から求めれば、画像全体を図18に示すような2分木で表現でき、それを図21と図22または図23と図24に示すように1次元化して出力することができる。
【0089】
このような処理を行うことにより、処理対象となる画像データを表現するために保持すべきデータはごく少量ですみ、それによって、演算を大幅に簡略化することができるとともにメモリの使用量を大幅に減らすことができる。
【0090】
次に、符号化されたデータを復号化する処理について説明する。図26は本発明の基礎となる画像処理装置の復号化側の構成を示すブロック図である。この復号化側の構成としては、大きく分けると、符号化データ入力手段11、符号化データ解析手段12、再帰的三角形領域合成手段13、三角形領域合成制御手段14、正方形領域合成手段15、画像データ出力手段16を有している。
【0091】
再帰的三角形領域合成手段13は、少なくとも、分割された三角形の型(前述の符号化の説明においては#1型から#8型の8種類としているので、ここでも#1型から#8型の8種類とする)の三角形型を記憶する形状型記憶手段131と、三角形の3つの頂点の画素値および斜辺中点画素値を記憶する頂点画素値記憶手段132と、三角形の斜辺中点の画素値を補う斜辺中点画素値取得手段133と、前述の図11の継承規則を用いて三角形型を更新する形状型更新手段134と、三角形の3つの頂点の画素値および斜辺中点の画素値を更新する頂点画素値更新手段135とを有している。
【0092】
また、符号化データ入力手段11は、図1で示した符号化データ出力手段6からの符号化データ(たとえば、図22や図24に示したような符号化データ)を、伝送路や記憶媒体から入力する。この符号化データ入力手段11に入力される符号化データとしては、図27(a)に示されるように、最初に、正方形の4頂点の画素値が入力される。たとえば、符号化データとして図24を例にとれば、まず、図24で示す符号化データにおける下線部Aの部分が読み込まれ、正方形の4頂点の画素値(3、9、1、8)が復元される。その後、図24の下線部Bに対応する画素値(7)が読み込まれ、図27(a)に示すような2分木の太線の部分が復元される。またそれは、正方形領域の太線部分に対応する。以降、次々にデータ(画素値)が読み込まれ、図27(b),(c)のように、データの2分木の太線部分が復元され、それによって、正方形領域の太線部分が復元される。
【0093】
図28は、図27の処理内容をプログレッシブな復元の立場から説明したものである。図22で示す符号化データフォーマットによれば、最初に図28(a)のように2分木の上位層のみが復元され、続いて、同図(b)のように2分木の次の階層が復元され、さらに、同図(c)のように2分木のさらに次の階層が復元されというように、2分木の階層ごとに順次復元され、最終的には同図(d)に示すように、2分木の底までの復元がなされる。
【0094】
これによって、処理対象となる画像は、2分木の階層ごとの復元に伴って、順次、大きく、あるいは、解像度が上がったものとなる。
【0095】
なお、たとえば、図28(a)のようなデータ量が少なく小さい画像をそのまま最終画像と同じように拡大しようとすると、解像度の小さい画像となる。すなわち、これは、画像の見え方と言う観点で言えば、画像全体を縮小表示したものであると考えることができる。あるいは、画像サイズを元データと同じとした場合は、それを低い解像度で示したものであると考えることもできる。
【0096】
仮に、画像全体を低い解像度で表現したものであると考える場合、各々の三角形領域は拡大されることになる。この時、三角形領域の内部は、その3頂点の画素値を用いて平面として内挿することにより求めることもできる。勿論、その周辺の三角形領域のデータを用いて、より高次の推定を行うことも可能である。
【0097】
3頂点の画素値を用いて平面として内挿する場合は、図29のような方法を用いることが可能である。この図29について簡単に説明する。三角形の3頂点への位置ベクトルをa,b,c(a,b,cそれぞれの上に→が付される)とし、その頂点における画素値をA,B,Cとする。ここで、画素値を求めるべき位置(pとする)の位置ベクトルをp(pの上に→が付される)とし、この位置ベクトルp(pの上に→が付される)が、
Figure 0004042594
で与えられるものとする。なお、画素値を求めるべき位置pがその三角形領域の内部であるためには、x、y、zは0以上の実数または重み係数であり、かつ、
x+y+z=1 (2)
の条件を満たす必要がある。このx,y,zを用い、位置pにおける画素値Pは、
P=xA+yB+zC (3)
により求められる。
【0098】
ところで、前述の実施形態1における図21、図22または図23、図24で示したデータの1次元化方法は、画像データの内容とは無関係なものである。しかし、符号化方法あるいは記憶媒体からのデータの読み出し方法を変えることにより、関心領域あるいはROI(Region Of Interest)を優先的に高画質化することができる。
【0099】
たとえば、図30に示すように、2分木の中の斜線を施した部分を優先的に伝送あるいは読み出すとする。仮に、この2分木の階層の深い部分が、図31に示すように、本発明の実施形態1および実施形態2の説明で用いている画像例としての猿の顔画像の目の部分であるとする。そうすると、図30の2分木の浅い階層の復元処理では図32(a)のように、画像全体が低解像度で復元されたものが、階層が深くなるに連れ、図32(b)のように、先ず目の部分から高解像度化が進行し、最終的に、図32(c)のように全体が高解像度化されるというような表示が可能である。勿論、このような表示は途中の段階で中止することもできる。
【0100】
このように、2分木で表されるデータの伝送あるいは読み出し順に、関心領域あるいはROIに基づいて優先度を設定することによって、画像全体の中のある特定部分のみをいち早く高解像度で表示させることができる。
【0101】
これによって、多数の画像データの中から所望とする画像データを検索したり画像データの分類を行うような場合、個々の画像の特徴的な部分のみをいち早く高解像度で表示させることができるので、検索や分類を効率よく行うことができる。また、このとき、個々の画像の内容がわかった段階で表示処理を中止し、それ以降の表示処理を行わないようにすることもできる。
【0102】
以上説明した復号化処理をフローチャートにまとめたものが図33である。各部の詳細については説明済みであるので、ここでは概略を説明する。
【0103】
図33において、まず、すべての正方形領域を復号化したか否かを判断し(ステップS41)、すべての正方形領域の復号化が終了していなければ、その正方形の4頂点画素値を復号する(ステップS42)。そして、三角形合成処理が終了かを判断し(ステップS43)、終了していれば、ステップS41に戻り、終了していなければ、すべての三角形を合成したかを判断する(ステップS44)。そして、すべての三角形の合成が終了していなければ、斜辺中点の画素値を復号し(ステップS45)、三角形領域合成処理を行い(ステップS46)、ステップS44に戻る。
【0104】
そして、すべての正方形領域の復号化が終了していれば(ステップS41)、正方形領域合成処理を行い(ステップS47)、復号化処理を終了する。
【0105】
このステップS47による正方形領域合成処理された画像データは、図26で示した画像データ出力手段16によって出力処理される。この画像データ出力手段16は、図34に示すように、色データ入力手段161、間引きデータ復元手段162、色変換手段163、画素データ復元手段164を有した構成となっており、復元された画像データから、画像幅、画像高さを正方形の1辺の整数倍にするために補填されたデータを取り除き、元の画像を出力する。なお、この画像データ出力手段16が行う画像データ出力処理には、ノイズ低減処理であるとか、何らかの後処理などが含まれても良い。
【0106】
次にこれまで説明した画像処技術を基に、本発明の画像処理方法および画像処理装置ならびに画像処理プログラムについて説明する。
【0107】
本発明では、上述したような画像処理技術において、画像データのより一層の削減を実現するものである。以下、詳細に説明する。
【0108】
図35は本発明の画像処理装置の符号化側の構成を示すもので、その構成を大きく分けると、画像データ入力手段1、正方形領域分割手段2、再帰的三角形領域分割手段3、三角形領域分割制御手段4、符号化データ生成手段5、符号化データ出力手段6、データ省略可否判定手段10(近似誤差判定手段7とデータ省略判定出力手段8からなる)を有した構成となっている。
【0109】
この図35の構成は図1で示した構成に対して、三角形領域分割制御手段4と符号化データ生成手段5との間に、データ省略可否判定手段10としての近似誤差判定手段7とデータ省略判定出力手段8とが設けられている点が異なるだけで、その他は図1と同じ構成であるので、同一構成要素についての説明はここでは省略する。
【0110】
図36は画像を1つ以上の正方形領域に分割して、分割されたそれぞれの正方形領域の符号化を行う処理手順を示すもので、図37は分割されたある1つの正方形領域内における符号化手順を示すものであり、これらのフローチャートは、先に説明した本発明の基礎となる画像処理技術における符号化処理の説明に用いた図25のフローチャートを、画像を1つ以上の正方形領域に分割して、それぞれの正方形領域の符号化を行う処理手順と、分割されたある1つの正方形領域内における符号化を行う処理手順とに分けて示すものである。
【0111】
この図37の処理手順は基本的には図25と同じであるが、図37では、切り出されたある1つの正方形領域内を符号化する処理において、再帰的分割処理により得られる三角形領域を平面近似した画素値と実際の画素値との差異を誤差として取得し、その誤差の大きさに基づいて以降の再帰的三角形領域分割を制御する処理が追加されている。なお、平面近似された画素値と実際の画素値との誤差を取得する処理についての詳細は後述する。
【0112】
図36において、まず、正方形領域分割処理を行う(ステップS51)。これは、図3から図6で説明したように、処理対象となる画像データを1つ以上の正方形領域へ分割する処理であり、この正方形領域分割処理によって得られたそれぞれの正方形について符号化処理を行うが、すべての正方形領域を符号化したか否かを判断し(ステップS52)、すべての正方形に対してすでに符号化されていれば符号化処理が終了したものとするが、すべての正方形領域の符号化がなされていなければ、その正方形領域の4頂点画素値を出力し(ステップS53)、その正方形領域内の符号化処理(図37参照)を行う(ステップS54)。
【0113】
図37はある1つの正方形領域内の符号化処理手順であり、まず、ある1つの正方形領域における2分木の全階層について符号化したかを判断し(ステップS61)、全階層の符号化が終了していれば符号化処理を終了し、全階層の符号化が終了していなければ、三角形領域更新処理を行い(ステップS62)、その階層のすべての三角形領域を符号化したかを判断する(ステップS63)。
【0114】
ここで、その階層のすべての三角形領域の符号化が終了していれば、ステップS61に戻る。また、その階層のすべての三角形領域の符号化が終了していなければ、その三角形領域(現在、符号化処理対象となっている三角形領域)がそれよりも上位の階層で分割省略済みとされた三角形領域であるか否かを判定し(ステップS64)、分割省略済みとされた三角形領域であればステップS63に戻り、なければ、分割省略済みとされた三角形領域でなければその三角形領域内の最大近似誤差値を取得する処理(これについては後述する)を行う(ステップS65)。
【0115】
このステップS65における三角形領域内の最大近似誤差値を取得する処理を行った結果、得られた誤差が所定値未満か否かを判定し(ステップS66)、所定値未満である場合は分割省略可であることを示す情報を出力し(ステップS67)、所定値以上である場合には、分割省略不可であることを示す情報を出力する(ステップS68)。
【0116】
そして、その三角形領域の斜辺中点画素値を取得し(ステップS69)、その取得した斜辺中点画素値を出力し(ステップS70)、ステップS63に戻り、その階層のすべての三角形の符号化が終了していなければ、ステップS63以降の処理を繰り返し、その階層のすべての三角形領域の符号化が終了していれば、ステップS61に戻って、全階層の符号化を終了したか否かを判断し、全階層の符号化を終了していれば、符号化処理を終了し、全階層の符号化を終了していなければ、ステップS62以降の処理を繰り返す。
【0117】
図38は本発明に係る画像処理装置の復号化側の構成を示すブロック図である。この復号化側の構成としては、大きく分けると、符号化データ入力手段11、符号化データ解析手段12、再帰的三角形領域合成手段13、三角形領域合成制御手段14、正方形領域合成手段15、画像データ出力手段16、データ省略判定手段17を有している。
【0118】
この図38の構成は図26で示した構成に対して、符号化データ解析手段12と三角形領域合成制御手段14との間に、符号化データ解析手段12の解析結果に基づいて、データ省略がなされているか否かを判定するデータ省略判定手段17が設けられている点が異なるだけで、あとは、図26と同じであるので、同一構成要素については同一符号を付すことでその説明はここでは省略する。
【0119】
図39および図40は本発明の復号化処理手順を説明するためのフローチャートであり、図39は分割されたすべての正方形領域の復号化を行う処理手順を示すもので、図40はある1つの正方形領域における復号化手順を示すものである。
【0120】
なお、これら図39および図40のフローチャートは、先に説明した本発明の基礎となる画像処理技術における復号化処理の説明に用いた図33のフローチャートを、分割されたすべての正方形領域の復号化を行う処理手順と、ある1つの正方形領域内における復号化を行う処理手順とに分けて示すものであり、基本的な処理は図33と同じであるが、図40に示すある1つの正方形領域内を復号化する処理において、現在処理対象となっている三角形領域が上位の階層で分割省略済みとされた三角形領域であるか否かを判定する処理が追加されている。
【0121】
図39において、まず、すべての正方形領域を復号化したか否かを判断し(ステップS71)、すべての正方形領域の復号化が終了していれば、正方形領域合成処理を行って(ステップS72)、復号化処理を終了し、すべての正方形領域の復号化が終了していなければ、その正方形の4頂点画素値を復号し(ステップS73)、その正方形領域内の合成処理(図40参照)を行う(ステップS74)。
【0122】
図40はある1つの正方形領域の復号化処理を示すもので、まず、全階層を復号化したかを判断し(ステップS81)、全階層の復号化が終了していれば復号化処理を終了し、全階層の復号化が終了していなければ、その階層(現在処理対象となっている階層)のすべての三角形を合成したかを判断する(ステップS82)。
【0123】
そして、その階層のすべての三角形の合成が終了していなければ、その三角形領域(現在、符号化処理対象となっている三角形領域)がそれよりも上位の階層で分割省略済みとされた三角形領域であるか否かを判定し(ステップS83)、分割省略済みとされた三角形領域であれば、ステップS82に戻って、当該階層の他の三角形領域について上述同様の処理を行ない、分割省略済みとされた三角形領域でなければ、データ入力を行なってその三角形領域の斜辺中点画素値を復号(ステップS84)したのち、ステップS82に戻る。
【0124】
そして、当該階層のすべての三角形について処理を終了していれば、その階層の三角形領域合成処理を行い(ステップS85)、ステップS81に戻る。
【0125】
次に本発明の画像処理における符号化および復号化ついて具体例を参照しながら説明する。この符号化および復号化についての説明で用いる2分木を図41に示す。
【0126】
この図41に示す2分木は、ある1つの正方形領域について図42(a)〜(d)に示すような三角形領域分割処理を行った場合に生成されるものであり、ここでは、説明の都合上、2分木を構成するそれぞれの三角形に付される符号(型番号)は、これまでの説明で用いた2分木(たとえば、図13など)とは異なった符号が付されている。
【0127】
この場合、正方形を2分割して得られた第1階層の2つの三角形領域に#10,#11の型番号を付し、この第1階層の三角形領域#10,#11をそれぞれ2分割して得られた第2階層の4つの三角形領域に#20,#21,#22,#23の型番号を付し、この第2階層の三角形領域#20,#21,#22,#23#をそれぞれ2分割して得られた第3階層の8つの三角形領域に#30,#31,#32,#33,#34,#35,#36,#37の型番号を付し、この第3階層の8つの三角形領域#30,#31,#32,#33,#34,#35,#36,#37をそれぞれ2分割して得られた第4階層の16個の三角形領域に#40,#41,#42,・・・,#49,#4a,#4b,#4c,#4d,#4e,#4fの型番号を付すことにする。
【0128】
このような第1階層から第4階層の4つの階層で構成される2分木として表現された画像データを、1次元のデータ列に変換する。ここでは、図43で示すように2分木の幅方向優先の出力方法によって、データ(各三角形領域の斜辺中点画素値)を出力、すなわち、第1階から第4階層において、それぞれの階層ごとに太線で示す矢印方向に沿ってデータ(各三角形領域の斜辺中点画素値)を出力すると、図44のような1次元のデータ列が得られる。
【0129】
この図44に示すデータは、本発明が行なおうとするデータ省略処理は未だなされていない状態であるが、この時点においても、従来技術(たとえば、特許文献2として挙げた特開平9−191409など)と比べると、データ量は大幅に少なくなっていることは前述した通りである。
【0130】
ここで、本発明の課題でもあるデータ省略の具体例について説明する。このデータ省略を行うために、データ省略が可能であるか否かを判定するためのデータ省略判定処理を行う。以下、この処理について詳細に説明する。
【0131】
図45は再帰的分割されて得られたある1つの三角形領域(これを仮に図42の#10の三角形領域とする)内のそれぞれの位置における画素値を示すもので、本来は2次元の平面上におけるそれぞれの位置に対する画素値を考えることになるが、ここでは説明を簡単にするために、三角形領域内のそれぞれの位置における画素値を模式的1次元で表した例で説明する。
【0132】
図45(a),(b),(c)における曲線はその三角形領域内のそれぞれの位置における実際の画素値の変化曲線であり、直線はそれを平面近似したもの(平面近似直線という)である。
【0133】
図45(a)は#10の三角形領域全体を平面近似した場合あり、この場合は平面近似直線と実際の変化曲線との最大誤差Dmaxを求めると、図45(a)のような最大誤差Dmaxが得られる。この最大誤差Dmaxを所定値(D0とする)と比較し、Dmax<D0あれば、それ以上の分割は省略できることを示す情報を出力し、Dmax≧D0であればそれ以降の分割省略は不可であることを示す情報を出力する。
【0134】
この場合、Dmax≧D0であるとする。これによって、分割省略不可であることを示す情報が出力され、その三角形領域はその斜辺中点画素値で図45(b)に示すように2分割され#20と#21の三角形領域が生成される。
【0135】
そして、この図45(c)のように2分割されて生成された#20と#21の三角形領域それぞれについて上述同様平面近似して、それぞれの最大誤差Dmaxを求め、それぞれの最大誤差Dmaxと所定値D0とを比較すると、この場合、#20の三角形領域の最大誤差DmaxはDmax≧D0であって、#21の三角形領域の最大誤差DmaxはDmax<D0であったとする。
【0136】
したがって、この場合は、#20の三角形領域に対しては分割省略不可であることを示す情報が出力され、#21の三角形領域に対しては分割省略可であることを示す情報が出力される。
【0137】
これによって、この場合は、#20の三角形領域はその斜辺中点画素値で図45(c)に示すように2分割され、#30と#31の三角形領域が生成される。一方、#21の三角形領域は分割省略可とされるのでそれ以降の分割は行われない。
【0138】
そして、この図45(c)のように2分割されて生成された#30と#31の三角形領域それぞれについて、上述同様、平面近似して、それぞれの最大誤差Dmaxを求め、それぞれの最大誤差Dmaxと所定値D0とを比較すると、この場合、#30と#31の三角形領域の最大誤差DmaxはともにD0>Dmaxであったとする。したがって、この場合は、#30と#31の三角形領域に対してはともに分割省略可であることを示す情報が出力され、それ以降の分割処理は行われない。
【0139】
ところで、上述の説明は、ある1つの三角形領域を模式的に1次元として説明したが、実際には三角形領域は2次元で現されるので、最大誤差を求めるには三角形領域全体から求める必要がある。すなわち、三角形領域の2次元平面上における各位置の実際の画素値と平面近似画素値との誤差を計算し、その中から最大誤差を求める必要がある。
【0140】
ここで、図29で説明したように、3頂点a,b,c上のデータ(画素値)をそれぞれA,B,Cとすると、位置pの画素値は、x,y,zとA,B,Cを用いて、前述した(3)式のように求めることができる。よって、位置ベクトルpを変数とし、pの位置での画素値をI(p)とし、その位置での平面近似画素値をP(p)とするとき、それぞれの位置pにおける誤差(自乗誤差)Errは下記の(4)式のように求めることができる。なお、関数P(p)は、前述の(1)式、(2)式、(3)式の関係を模式的に示したものである。
Figure 0004042594
ただし、この(4)式を直接に実行すると、多くの計算量を要する。そこで、再帰的三角形領域分割で用いる斜辺中点のみで誤差を求めて、その誤差が所定値未満であるか否かの判定を行う。この方法について以下に説明する。
【0141】
図46は図29に対し、斜辺中点のみで誤差Errを求める方法を説明するもので、その斜辺中点における誤差Errは下記に示す(5)式によって求めることができる。
【0142】
Err=〔P−{(A+C+1)>>1}〕 (5)
この(5)式において、Pは斜辺中点における実際の画素値、AとCは斜辺の両端の画素値である。また、>>1は右1ビットシフトを示し、これはA+Cを2で割り算、つまり、AとCの平均を取ることを意味している。なお、A+Cに1を加えてA+C+1としているのは1ビットシフトに先立ち、丸め演算を行うためである。
【0143】
この(5)式は、斜辺中点における実際の画素値と斜辺の両端を直線で結んだときの斜辺両端の画素値の平均値(これを近似画素値という)との差の二乗を誤差Errとして求めるものである。
【0144】
このようにして、(5)式を計算することによって、ある三角形領域の斜辺中点における実際の画素値と近似画素値との誤差Errが求められ、その誤差Errと所定値とを比較した結果、誤差Errが所定値より小さいと判定された場合、その斜辺中点画素値は、近似画素値である(A+B+1)>>1に置き換えられる。そして、その三角形領域を当該斜辺中点で2分割し、それによって得られた2つの三角形領域の双方に対し、同様の処理、つまり、(5)式を計算して誤差Errを求め、誤差Errが所定値未満であるか否かを判定する処理を行う。
【0145】
図47(a)〜(d)はこの処理をより詳細に説明するもので、この図47において、白丸はすでに誤差判定の済んだ点であり、黒丸はそれぞれの段階で誤差判定する点を示している。この図47(a)〜(d)のように、再帰的三角形領域分割処理の進行に連れて、分割されて得られたそれぞれの三角形領域の斜辺中点が元の三角形領域内に次々と生成され、それぞれの斜辺中点について誤差判定を行うことによって、結局は、元の三角形領域内全体を誤差判定したのと同等となる。
【0146】
このように、再帰的な三角形領域分割処理の進行に沿って、分割されたそれぞれの三角形領域の斜辺中点の画素値とその近似画素値との比較を行ってその誤差を求める処理を行う。これによって、それぞれの三角形領域においては斜辺中点のみの誤差を求める処理であるが、三角形領域の細分化に伴って逐次的に誤差を求める処理がなされるので、最終的には、ある三角形領域の内部のすべての点においても実際の画素値と近似画素値との誤差を求めることができる。
【0147】
また、このような処理を行うことによって、処理対象となる点pが現在処理中の三角形領域内にあるか否かの判断や、係数x、y、zを求める演算処理、点pを変数とする(4)式のような乗算を含む多くの演算量を必要とする演算を行う必要がなくなる。すなわち、本発明で用いる(5)式は、二乗の他には加減算とシフトのみで行われる簡単な演算で済む。
【0148】
図48は図46および図47で説明した誤差の評価手順を用いたデータ省略可否処理を説明するフローチャートであり、その手順を説明する。まず、判定する三角形領域のデータ、つまり、2分木における当該三角形領域に対応するノードを入力し(ステップS91)、その三角形領域の斜辺両端の画素値をAとCとしたとき、(A+C+1)>>1によって求められる画素値とその斜辺中点画素値Pとの誤差Errを(5)式によって求める(ステップS92)。
【0149】
そして、求められた誤差Errが所定値未満であるか否かを判定し(ステップS93)、所定値以上であると判定された場合は、省略不可であることを示す情報を返す(ステップS94)。ここで、誤差Errが所定値未満であると判定された場合は、現在処理中の三角形領域がそれ以上分割可能であるか否かを判定し(ステップS95)、分割不可であると判定された場合は、省略可能であることを示す情報を出力する(ステップS99)。また、分割可能であると判定された場合は、その斜辺中点画素値を、仮に、(A+C+1)>>1として、その三角形領域を2分割する(ステップS96)。
【0150】
そして、2分割された双方の三角形領域おいて符号化データの出力を省略できるか否かの判定を行う(ステップS97)。このステップS97におけるデータ省略可否の判定処理は、分割されて生成された2つの三角形領域それぞれについて、ステップS91からの処理を再帰的に読み出して行うもので、この再帰的なデータ省略判定処理を行った結果、双方の三角形領域ともに省略可能か否か(誤差Errが所定値未満か否か)を判定し(ステップS98)、双方の三角形領域がともに省略可能であると判定された場合は、省略可能を示す情報を返す(ステップS99)。一方、双方の三角形領域のいずれかまたは双方が省略可能でないと判定された場合は、省略不可能を示す情報を返す(ステップS94)。
【0151】
この図48の処理手順の具体例を図49の2分木を用いて説明する。今、図49の2分木における#21の三角形領域に注目し、この#21の三角形領域を基点に図48の処理手順に沿って処理を行うとする。
【0152】
この#21の三角形領域について、ステップS91以降の処理を行い、(5)式によって求められた誤差Errが所定値未満と判定されたとする(ステップS93)。ここで、当該三角形領域は分割可能であるので、その斜辺中点画素値を(A+C+1)>>1としてその三角形領域を2分割する(ステップS95,S96)。
【0153】
そして、その2分割によって生成された#32と#33の2つの三角形領域のそれぞれについて、上述したような再帰的なデータ省略可判定処理を行う。すなわち、#32の三角形領についてステップS91以降の処理を行った結果、求められた誤差Errが所定値未満と判定され、また、#33の三角形領についてステップS91以降の処理を行った結果、求められた誤差Errが所定値未満と判定されたとすると、これら#32と#33の双方の三角形領域がともに省略可能と判定され(ステップS98)、#21の三角形領域が省略可能であることを示す情報を返す(ステップS99)。なお、この時点では#21の三角形領域が省略可能であることはまだ確定していない。
【0154】
そして、今度は、これら#32と#33のそれぞれの三角形領域についてこれらの三角形領域が分割可能か否かを判定し(ステップS95)、この場合、これら#32と#33のそれぞれの三角形領域は分割可能であるので、その斜辺中点画素値を(A+C+1)>>1としてその三角形領域を2分割する(ステップS96)。これによって、#32の三角形領域に対しては#44と#45の2つの三角形領域と、#33の三角形領域に対しては#46と#47の2つの三角形領域とが生成される。
【0155】
そして、まず、#44と#45の2つの三角形領域のそれぞれについて、上述したようなデータ省略判定処理を行う。すなわち、#44の三角形領についてステップS91以降の処理を行った結果、求められた誤差Errが所定値未満と判定され、また、#45の三角形領についてステップS91以降の処理を行った結果、求められた誤差Errが所定値未満と判定されたとすると、これら#44と#45の双方の三角形領域がともに省略可能と判定され(ステップS98)、#32の三角形領域が省略可能であることを示す情報を返す(ステップS99)。なお、この時点では、#32の三角形領域が省略可能であることはまだ確定していない。
【0156】
同様に、#46と#47の2つの三角形領域のそれぞれについて、上述したような再帰的な省略判定処理を行う。すなわち、#46の三角形領についてステップS91以降の処理を行った結果、求められた誤差Errが所定値未満と判定され、また、#47の三角形領についてステップS91以降の処理を行った結果、求められた誤差Errが所定値未満と判定されたとすると、これら#46と#47の双方の三角形領域がともに省略可能と判定され(ステップS98)、#33の三角形領域が省略可能であることを示す情報を返す(ステップS99)。なお、この時点では、#33の三角形領域が省略可能であることはまだ確定していない。
【0157】
そして、これら#44、#45、#46、#47のそれぞれの三角形領域についてこれらの三角形領域が分割可能か否かをそれぞれ判定したところ(ステップS95)、この場合、これらの三角形領域は分割不可能であるので、その段階で、省略可能であることを示す情報を返す。
【0158】
このようにして、2分木の最終階層までの処理が終了すると、この場合、#21の三角形領域はその誤差Errが所定値未満で、かつ、それを2分割して得られた#32と#33の三角形領域もそれぞれの誤差Errが所定値未満であり、さらに、#32を2分割して得られた#44と#45の2つの三角形領域と#32を2分割して得られた#46と#47の2つの三角形領域の誤差Errがそれぞれ所定値未満であると判定される。
【0159】
これによって、この2分木の最下層の#44と#45の三角形領域がともに省略可能であるので、その上位の#32の三角形領域も省略可能であることが確定し、また、2分木の最下層の#46と#47の三角形領域がともに省略可能であるので、その上位の#33の三角形領域も省略可能であることが確定し、これら、#32と#33の三角形領域がともに省略可能であるので、その上位の#21の三角形領域も省略可能であることが確定する。これによって、#21は以降の分割が省略される。これを示したものが図50である。
【0160】
また、図49で示す2分木において、#23の三角形領域に注目し、この#23の三角形領域を基点に図48の処理手順に沿って処理を行う例を図51を参照しながら簡単に説明する。
【0161】
この#23の三角形領域について、ステップS91以降の処理を行い、(5)式によって求められた誤差Errが所定値未満と判定されたとする。ここで、当該三角形領域は分割可能であるので、その斜辺中点画素値を(A+C+1)>>1としてその三角形領域を2分割する。
【0162】
そして、その2分割によって生成された#36と#37の2つの三角形領域のそれぞれについて、再帰的な省略判定処理を行う。すなわち、#36の三角形領についてステップS91以降の処理を行い、その結果、求められた誤差Errが所定値未満と判定され、また、#37の三角形領についてステップS91以降の処理を行った結果、求められた誤差Errが所定値以上であると判定されたとすると、この場合は、ステップS98において双方の三角形領域がともに省略可能と判定されないので、省略不可能であることを示す情報を返す(ステップS94)。
【0163】
一方、ステップS93において誤差Errが所定値未満であると判定された#36の三角形領域は、ステップS95において分割可能か否かが判定され、この場合、分割可能であるので、その斜辺中点画素値を(A+C+1)>>1としてその三角形領域を2分割する(ステップS96)。これによって、#36の三角形領域を2分割した#4cと#4dの2つの三角形領域が生成される。
【0164】
そして、#4cと#4dの2つの三角形領域のそれぞれについて、上述したような再帰的な省略判定処理を行う。すなわち、#4cの三角形領についてステップS91以降の処理を行った結果、求められた誤差Errが所定値未満と判定され、また、#4dの三角形領についてステップS91以降の処理を行った結果、求められた誤差Errが所定値未満と判定されたとすると、これら#4cと#4dの双方の三角形領域がともに省略可能と判定され(ステップS98)、#36の三角形領域が省略可能であることを示す情報を返す(ステップS99)。なお、この時点では、#36の三角形領域が省略可能であることはまだ確定していない。
【0165】
そして、これら#4cと#4dの三角形領域それぞれについて、これらの三角形領域が分割可能か否かをそれぞれ判定したところ(ステップS95)、この場合、これらの三角形領域は分割不可能であるので、その段階で、省略可能であることを示す情報を返す。
【0166】
このようにして、#23を起点に2分木の最終階層までの処理が終了すると、この場合、#36の三角形領域が省略可能、#4cと#4dの三角形領域がともに省略可能と判定され、この結果、#4cと#4dの三角形領域がともに省略可能であるので、その上位の#36の三角形領域も省略可能であることが確定し、#36以下の三角形領域はすべて省略することができる。
【0167】
図52は上述したように、#21の三角形領域よりも下の階層の三角形領域と#36の三角形領域よりも下の階層の三角形領域が省略された2分木を示すものであり、それを1つの正方形領域で示したものが図53(a)〜(d)である。
【0168】
この図53によれば、#21の三角形領域(斜線の施された領域)はそれよりあとの分割は省略され、また、#36の三角形領域(斜線の施された領域)もそれよりあとの分割が省略されており、これらの領域はその三角形領域、すなわち、#21の三角形領域の符号化データと#36の三角形領域の符号化データがそれぞれ対応する領域の符号化データとして出力される。
【0169】
以上のような処理によって省略された2分木のデータを図54のようなデータ読み出しが行われることによって1次元のデータ配列を生成することができる。この図54は図53に示した2分木を第1階層から第4階層までそれぞれの階層ごとに図示の太線矢印で示すような方向にデータ読み出しを行う例を説明する図であり、これを縦に並べて示したものが図55である。
【0170】
この図55は先に説明した図44の1次元化されたデータ配列(上述したデータ圧縮処理がなされていない場合の1次元化されたデータ配列)に対応するものである。この図55の右端に示される四角で囲った“0”または“1”の1ビットのデータは、対応する三角形領域のそれ以上の分割が省略されているか否かを示すもので、“0”が与えられた三角形領域はそれ以降において分割省略がなされていないことを示し、“1” が与えられた三角形領域はそれ以降において分割省略がなされていることを示している。
【0171】
たとえば、#10、#11,#20の三角形領域は“0”が与えられ、#21の三角形領域は“1”が与えられている。同様に、#30、#31、#34、#35の三角形領域は“0”が与えられ、#36の三角形領域は“1”が与えられている。以下、#40以降の三角形領域はすべて“0”が与えられている。
【0172】
これは、#21と#35の三角形領域はそれ以降の分割が省略されていることを示し、それ以外の三角形領域は分割省略がなされていないことを示している。したがって、#21の三角形領域はその第3階層以下の符号化データ(第3階層においては#32と#33、第4階層においては#44、#45、#46、#47)は出力されず、#21の三角形領域の符号化データが用いられる。
【0173】
同様に、#36の三角形領域は第4階層の符号化データ(#4c、#4d)は出力されず、#36の三角形領域の符号化データが用いられる。
【0174】
この図55で示す1次元化されたデータ配列を図44で示した1次元化されたデータ配列と比較すると、より多くのデータが省略されていることがわかり、データ圧縮率がより高いものとなっている。
【0175】
また、この図55からもわかるように、ある三角形領域(たとえば、#21の三角形領域や#36の三角形領域)においてそれ以降の分割省略がなされた場合、それよりも下位の三角形領域においては、その三角形領域が省略されていることを明示的に示す必要がないことも特徴の1つである。これは、本発明においては、それぞれの三角形領域の位置関係が自明であるため、上位の三角形領域においてそれ以上の分割省略を行った場合、それより下位のどの三角形領域が省略されているかが自明となるためであり、それによって、その省略された三角形領域において、その省略を示すためのデータの付加は不要となる。
【0176】
そして、この図55で示す符号化データは復号化側に送られて復号化される。この復号化処理は、図39および図40で示したフローチャートに沿った処理手順で復号化されるが、その要部についてのみ説明すると、この場合、図55で示した分割省略の有無を示す情報(“0”または“1”)を符号化データ解析手段12の解析結果に基づいてデータ省略判定手段17が調べる。そして、その結果、現在、復号化対象の三角形領域の上位の三角形領域で分割省略がなされていないことを示す“0”が与えられていれば、その三角形領域についてはデータ入力を行って斜辺中点画素値を復号化し、上位の三角形領域で分割省略がなされていることを示す“1”が与えられていれば、当該三角形領域より下の階層の三角形領域全体を、そのデータ省略されていることを示す情報“1”の付加された三角形領域の符号化データを用いて復号化する。なお、この全体的な復号化処理については、前述の本発明の基礎となる画像処理技術の説明の中でなされているので、それについての説明は省略する。
【0177】
なお、本発明は上述の各実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、上述した符号化データ(図55で示す1次元化されたデータ)を所定の暗号化鍵を用いて暗号化してそれを復号化側に送信し、復号化側ではその暗号化された符号化データを所定の復号化鍵を用いて復号化するということもできる。
【0178】
たとえば、この暗号化として、2分木の各階層ごとの符号化データを階層に対応して用意された暗号化鍵を用いて暗号化する。これによって、各階層ごとのそれぞれの三角形領域のデータ(斜辺中点画素値)がその階層に用意された暗号化鍵で暗号化されたデータとして出力することができる。そして、このような符号化側からの暗号化データを復号化する際は、2分木の各階層に対応して用意された復号化鍵を取得して各階層ごとに復号するようにする。これによって、各階層対応の復号化鍵によってそれぞれの階層に応じた解像度の画像が復元されるので、たとえば、第2階層までの復号化鍵しか取得できなかった場合には、第2階層に対応した解像度での画像しか得ることができず、また、第3階層までの復号化鍵を取得すれば、第3階層までの解像度の画像を得ることができるというように、どの階層までの復号化鍵を取得したかによって、その階層に応じた解像度の画像を得ることができる。
【0179】
これによって、たとえば、画像データの閲覧システムなどにおいて、ユーザが閲覧できる階層(解像度)を制限することができ、閲覧する解像度に応じた課金の設定などを行うことができる。また、著作権の保護の目的などにも適用することができるといった効果が得られる。
【0180】
また、本発明は以上説明した本発明を実現するための処理手順が記述された処理プログラムを作成し、その処理プログラムをフロッピィディスク、光ディスク、ハードディスクなどの記録媒体に記録させておくこともでき、本発明は、その処理プログラムの記録された記録媒体をも含むものである。また、ネットワークから当該処理プログラムを得るようにしてもよい。
【0181】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、三角形領域内を平面近似した画素値と実際の画素値との誤差が所定値より小さいとき、この領域を平面で近似し、以降のデータ出力を省略するようにしている。これにより、出力される符号化データ量を削減することができる。本発明は、基本的には、通常の座標空間での処理と同様であるが、処理対象となる画像を1つ以上の正方形領域に分割し、それぞれの正方形領域を再帰的に三角形領域に分割して、分割された三角形領域を符号化する画像処理技術(本発明の基礎となる画像処理技術)を用いることにより、符号化の後処理としてのデータ省略操作が可能となり、これによって、計算量を少なくすることができ、データ削減に要する処理量を少なくすることができる。また、本発明は再帰的三角形領域分割と同時処理でのデータ省略操作も可能となり、これらによって、たとえば、リアルタイム処理などにおいて、データ省略操作を途中出中断し、それまでの結果を符号化出力とすることも可能である。
【0182】
また、復号化側では、分割省略がなされているか否かを判定して、その判定結果に基づいて、三角形領域の合成をおこなうようにしている。このとき、分割省略がなされているか否かの判定は、省略がなされた最上位の三角形領域に付された符号化の省略を示す情報に基づいて行い、ある三角形領域に対してデータ省略されていることを示す情報が存在する場合には、当該三角形領域より下の階層の三角形領域全体を、そのデータ省略されていることを示す情報の付加された三角形領域の符号化データを復号化するようにしているので、効率的な三角形領域の合成が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の基礎となる画像処理技術についての符号化側の構成図である。
【図2】 図1で示した画像データ入力手段の構成を説明する図である。
【図3】 処理対象画像が正方形である場合、その画像を三角形に分割した例を示す図である。
【図4】 処理対象画像が正方形でない場合、その画像を複数の正方形領域に分割した例を示す図である。
【図5】 画像を複数の正方形領域に分割する際の分割処理手順を説明するフローチャートである。
【図6】 画像を複数の正方形領域に分割する際に生じる空白部分へ画素値0を補填する例を説明する図である。
【図7】 ある1つの正方形を2つの三角形に分割する2つの方法(第1の方法と第2の方法)について説明する図である。
【図8】 ある1つの正方形を2分割して2つの三角形を得て、さらに、その2つの三角形を再帰的に分割して得られた三角形の8種類の型を示す図である。
【図9】 図8で示した三角形の型が相互に関連つけられることを説明する図である。
【図10】 図7で示した2つの分割方法によって分割された三角形と元の正方形との画素値の継承規則を示す図である。
【図11】 図8で示した8種類の型をそれぞれ2分割して得られた三角形の型とその画素値の継承規則を示す図である。
【図12】 ある1つの正方形を第1の方法で2分割して得られた2つの三角形をさらに2分割して得られる三角形の型を示す図である。
【図13】 ある1つの正方形を第1の方法で2分割して得られた2つの三角形をさらに2分割し、それをさらに2分割して得られる三角形の型を2分木で表現した図である。
【図14】 図1で示した符号側の具体的な処理を説明するために一辺の画素数が3で、それぞれの画素に具体的な数値(画素値)を与えた図である。
【図15】 図14を用いて三角形領域の再帰的分割処理を行う例を説明する図である。
【図16】 図15で示した三角形領域の再帰的分割処理手順を説明するフローチャートである。
【図17】 図15で示した三角形領域の再帰的分割処理手順を行う際の求めるべき画素値を図11に示す継承規則を参照して得る処理を説明する図である。
【図18】 図15から図17で示した処理を2分木で表現した図であり、図13の2分木表現に斜辺中点の画素値を加えた図である。
【図19】 処理対象画像を複数の正方形領域に分割した例を示す図である。
【図20】 図19で得られた正方形領域それぞれを2分木で表現した例を説明する図である。
【図21】 ある1つの2分木で表現される画像データを符号化する順序の一例を説明する図である。
【図22】 図21で説明した符号化手順によって符号化されたデータ例を示す図である。
【図23】 ある1つの2分木で表現される画像データを符号化する順序の他の例を説明する図である。
【図24】 図23で説明した符号化手順によって符号化されたデータ例を示す図である。
【図25】 本発明の基礎となる画像処理技術についての符号化処理手順を説明するフローチャートである。
【図26】 本発明の基礎となる画像処理技術についての復号化側の構成図である。
【図27】 図22の符号化データを復号化する手順を説明する図である。
【図28】 図27の復号化手順を実際の画像の復元を例にとって説明する図である。
【図29】 画像データを復号化する際の三角形内部にデータを補間する処理の一例を説明する図である。
【図30】 画像データを復号化する際、ある特定の領域(たとえば関心領域)を優先的に高解像度で複合する処理を説明する図である。
【図31】 図30におけるある特定の領域を処理対象となる画像に対応させた例を示す図である。
【図32】 図30による復号化手順によって復元される画像の復元度合い変化を示す図である。
【図33】 本発明の基礎となる画像処理技術についての復号化処理手順を説明するフローチャートである。
【図34】 図26で示した画像データ出力手段の構成を説明する図である。
【図35】 本発明の画像処理装置の符号化側の実施形態を説明する構成図である。
【図36】 本発明の符号化側の処理手順を説明するフローチャートであり、正方形領域分割とその符号化手順を説明するフローチャートである。
【図37】 本発明の符号化側の処理手順を説明するフローチャートであり、分割されたある1つの正方形領域内の符号化手順を説明するフローチャートである。
【図38】 本発明の画像処理装置の復号化側の実施形態を説明する構成図である。
【図39】 本発明の復号化側の処理手順を説明するフローチャートであり、それぞれの正方形領域の復号化と正方形領域の合成処理手順を説明するフローチャートである。
【図40】 本発明の復号化側の処理手順を説明するフローチャートであり、分割されたある1つの正方形領域内の復号化手順を説明するフローチャートである。
【図41】 本発明の実施形態の具体例を説明するための2分木の例を示す図である。
【図42】 図41に示す2分木に対応する再帰的三角形領域分割例を示す図である。
【図43】 図41の2分木で表現される画像データを符号化する順序を説明する図である。
【図44】 図43に示す順序で符号化されたデータを縦方向に並べたデータ配列を示す図である。
【図45】 再帰的分割されて得られたある1つの三角形領域内のそれぞれの位置における画素値の変化を1次元的に表し、それを直線近似した図である。
【図46】 斜辺中点の画素値に対する近似誤差を説明するための図である。
【図47】 ある三角形領域を再帰的三角形領域分割処理することによって、斜辺中点のみにおける誤差判定であってもその三角形領域全体の誤差判定が可能であることを説明する図である。
【図48】 本発明が行うデータ省略可否処理を説明するフローチャートである。
【図49】 図48のフローチャートによる処理の具体例を図41の2分木の#21の三角形領域を用いて説明する図である。
【図50】 図49の2分木において#21の三角形領域についてデータ省略判定を行った結果のデータ省略例を示す図である。
【図51】 図48のフローチャートによる処理の具体例を図41の2分木の#23の三角形領域を用いて説明する図である。
【図52】 図50の2分木において、さらに、#23の三角形領域についてデータ省略可否を行った結果のデータ省略例を示す図である。
【図53】 図52のデータ省略結果をある1つの四角形領域として示す図である。
【図54】 図52に示すデータ省略がなされた2分木において符号化データ出力例を説明する図である。
【図55】 図54による符号化データを縦に並べたデータ配列を示す図である。
【符号の説明】
1 画像データ入力手段
2 正方形領域分割手段
3 再帰的三角形領域分割手段
4 三角形領域分割制御手段
5 符号化データ生成手段
6 符号化データ出力手段
7 近似誤差判定手段
8 データ省略判定出力手段
10 データ省略可否判定手段
11 符号化データ入力手段
12 符号化データ解析手段
13 再帰的三角形領域合成手段
14 三角形領域合成制御手段
15 正方形領域合成手段
16 画像データ出力手段
17 データ省略判定手段
31 形状型記憶手段
32 頂点画素値記憶手段
33 斜辺中点画素値取得手段
34 形状型更新手段
35 頂点画素値更新手段
#1〜#8 三角形型

Claims (3)

  1. 処理対象となる画像を1つ以上の正方形領域に分割し、それぞれの正方形領域を再帰的に三角形領域に分割して、分割された三角形領域を符号化する画像処理方法であって、前記画像処理方法の画像処理手順として、
    処理対象となる画像を入力する画像入力ステップと、
    前記入力された画像を1つ以上の正方形領域に分割する正方形領域分割ステップと、
    前記分割されたれぞれの正方形領域を再帰的に三角形領域に分割する再帰的三角形領域分割ステップと、
    前記再帰的に分割されたそれぞれの三角形領域を、前記三角形領域の元となる正方形領域を根とする2分木で表現し、処理対象の三角形領域の斜辺両端を結ぶ直線上の中点画素値を近似的な画素値とし、前記近似的な画素値と当該三角形領域の実際の斜辺中点画素値との誤差の大きさが所定値未満であるか否かを判定する処理と、当該三角形領域が分割可能であるか否かを判定する処理とを含む処理をデータ省略可否判定処理として行い、前記データ省略可否判定処理を、前記処理対象の三角形領域を基点に、当該三角形領域を再帰的分割して得られる個々の三角形領域について順次行い、自身の三角形領域の誤差の大きさが所定値未満であると判定され、かつ、2分割されて生成された双方の三角形領域の誤差の大きさが所定値未満であると判定され、前記三角形領域を再帰的分割して得られる個々の三角形領域が最終段の三角形領域にまで到達した場合に、当該処理対象となる三角形領域のそれ以上の分割が省略可能であることを示す情報を出力するデータ省略可否判定ステップ
    前記データ省略可否判定ステップの判定結果に基づいて符号化すべき三角形領域の符号化データを生成する符号化データ生成ステップと、
    生成された符号化データを出力する符号化データ出力ステップと、
    を含むことを特徴とする画像処理方法。
  2. 処理対象となる画像を1つ以上の正方形領域に分割し、それぞれの正方形領域を再帰的に三角形領域に分割して、分割された三角形領域を符号化する画像処理装置であって、前記画像処理装置の構成要素として、
    画像を入力する画像入力手段と、
    前記入力された画像を1つ以上の正方形領域に分割する正方形領域分割手段と、
    前記分割されたれぞれの正方形領域を再帰的に三角形領域に分割する再帰的三角形領域分割手段と、
    前記再帰的に分割されたそれぞれの三角形領域を、前記三角形領域の元となる正方形領域を根とする2分木で表現し、処理対象の三角形領域の斜辺両端を結ぶ直線上の中点画素値を近似的な画素値とし、前記近似的な画素値と当該三角形領域の実際の斜辺中点画素値との誤差の大きさが所定値未満であるか否かを判定する処理と、当該三角形領域が分割可能であるか否かを判定する処理とを含む処理をデータ省略可否判定処理として行い、前記データ省略可否判定処理を、前記処理対象の三角形領域を基点に、当該三角形領域を再帰的分割して得られる個々の三角形領域について順次行い、自身の三角形領域の誤差の大きさが所定値未満であると判定され、かつ、2分割されて生成された双方の三角形領域の誤差の大きさが所定値未満であると判定され、前記三角形領域を再帰的分割して得られる個々の三角形領域が最終段の三角形領域にまで到達した場合に、当該処理対象となる三角形領域のそれ以上の分割が省略可能であることを示す情報を出力するデータ省略可否判定手段と、
    前記データ省略可否判定手段の判定結果に基づいて符号化すべき三角形領域の符号化データを生成する符号化データ生成手段と、
    生成された符号化データを出力する符号化データ出力手段と、
    を含むことを特徴とする画像処理装置。
  3. 処理対象となる画像を1つ以上の正方形領域に分割し、それぞれの正方形領域を再帰的に三角形領域に分割して、分割された三角形領域を符号化する処理をコンピュータで実行する画像処理プログラムであって、前記画像処理プログラムは、
    処理対象となる画像を入力する画像入力ステップと、
    前記入力された画像を1つ以上の正方形領域に分割する正方形領域分割ステップと、
    前記分割されたれぞれの正方形領域を再帰的に三角形領域に分割する再帰的三角形領域分割ステップと、
    前記再帰的に分割されたそれぞれの三角形領域を、前記三角形領域の元となる正方形領域を根とする2分木で表現し、処理対象の三角形領域の斜辺両端を結ぶ直線上の中点画素値を近似的な画素値とし、前記近似的な画素値と当該三角形領域の実際の斜辺中点画素値との誤差の大きさが所定値未満であるか否かを判定する処理と、当該三角形領域が分割可能であるか否かを判定する処理とを含む処理をデータ省略可否判定処理として行い、前記データ省略可否判定処理を、前記処理対象の三角形領域を基点に、当該三角形領域を再帰的分割して得られる個々の三角形領域について順次行い、自身の三角形領域の誤差の大きさが所定値未満であると判定され、かつ、2分割されて生成された双方の三角形領域の誤差の大きさが所定値未満であると判定され、前記三角形領域を再帰的分割して得られる個々の三角形領域が最終段の三角形領域にまで到達した場合に、当該処理対象となる三角形領域のそれ以上の分割が省略可能であることを示す情報を出力するデータ省略可否判定ステップと、
    前記データ省略可否判定ステップの判定結果に基づいて符号化すべき三角形領域の符号化データを生成する符号化データ生成ステップと、
    生成された符号化データを出力する符号化データ出力ステップと、
    を含むことを特徴とする画像処理プログラム。
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