JP4041851B2 - 花卉の日持ち性判定装置及び方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、花卉の日持ち性を判定する装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
切り花における日持ち性は、その商品性を決定する上で重要な要素である。例えばバラの場合は、ベントネック(首だれ)という現象が起こると切り花としての商品価値が無くなってしまう。また、切り花の出荷は開花ステージ3(図2参照)程度で行うが、開花ステージが短時間で進んだ場合、消費者に渡るまでに開花ステージ6または7といった状態になることがある。このように開花ステージが進んだ状態になると、観賞期間が短くなるという問題がある。さらに、開花ステージが短時間で進む個体は、ベントネックを起こしやすい傾向がある。
【0003】
従来より、切り花の日持ち性を非破壊で検査する技術はなく、収穫された切り花を低温貯蔵したり、鮮度保持剤を吸収させるなど日持ち性が良くなるような栽培方法に従い栽培することで、その商品価値を保っている。また、こうして栽培された切り花の日持ち性を保証するには、次の2つの方法がある。すなわち、(1)出荷品の一部をサンプリングし一定環境条件で日持ち性を実際に観察することにより間接的に保証する方法、及び(2)花弁に含まれる糖分などを分析することにより日持ち性を推測する方法である。
【0004】
【特許文献1】
特表2001−525928号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した2つの方法では、間接的な検査しか行えない。すなわち、上記(1)の方法では、出荷品の一部をサンプリングして実際の日持ち性を観察するので、この観察用サンプルは出荷することができない。また、上記(2)の方法では、花弁に含まれる糖分などを分析する際に分析用サンプルを破壊してしまうため、これも出荷することができない。従って、これらの方法では実際に出荷される個体を検査することができず、出荷される個体それぞれの日持ち性を直接保証することができなかった。
【0006】
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、出荷される個体のそれぞれを直接検査しその日持ち性を判定することができる花卉の日持ち性判定装置及び方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による花卉の日持ち性判定装置は、花卉の日持ち性を判定する装置であって、花卉の花弁または葉に励起光を照射する励起光源と、励起光源からの励起光に応じて花卉から発生する光の光量を測定する測定手段と、測定手段において測定された光量と花卉の日持ち性との相関に基づいて、花卉の日持ち性を判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明による花卉の日持ち性判定方法は、花卉の日持ち性を判定する方法であって、花卉の花弁または葉に励起光を照射する励起ステップと、励起ステップにおいて照射された励起光に応じて花卉から発生する光の光量を測定する測定ステップと、測定ステップにおいて測定された光量と花卉の日持ち性との相関に基づいて、花卉の日持ち性を判定する判定ステップとを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明者らは、花卉の日持ち性と花卉から発生する光の光量との間に、密接な相関があることを見出した。すなわち、本発明による花卉の日持ち性判定装置及び方法によれば、励起光を照射することにより花卉から発生する光の光量と花卉の日持ち性との相関に基づいて花卉の日持ち性を判定することによって、花卉の個体を破壊することなくその日持ち性を判定することが可能となる。従って、出荷される個体のそれぞれを直接検査しその日持ち性を判定することができる。
【0010】
また、花卉の日持ち性判定装置(方法)は、測定手段が(測定ステップにおいて)、花卉から発生する光としてクロロフィル蛍光及び遅延蛍光の光量を測定することを特徴としてもよい。クロロフィル蛍光及び遅延蛍光の光量と花卉の日持ち性との相関に基づいて花卉の日持ち性を判定することによって、花卉の日持ち性を好適に判定することができる。
【0011】
また、花卉の日持ち性判定装置は、測定手段が花卉における所定箇所のクロロフィル蛍光の光量を測定した後に、測定手段が該所定箇所における遅延蛍光の光量を測定するよう測定手段を制御する制御手段をさらに備えることを特徴としてもよい。また、花卉の日持ち性判定方法は、測定ステップにおいて、花卉における所定箇所のクロロフィル蛍光の光量を測定した後に、該所定箇所における遅延蛍光の光量を測定することを特徴としてもよい。これらの花卉の日持ち性判定装置及び方法によれば、同一の励起光によるクロロフィル蛍光及び遅延蛍光を同一箇所において測定するので、花卉の日持ち性をより正確に判定することができる。
【0012】
また、花卉の日持ち性判定装置(方法)は、判定手段が(判定ステップにおいて)、クロロフィル蛍光の光量と遅延蛍光の光量との比と花卉の日持ち性との相関に基づいて、花卉の日持ち性を判定することを特徴としてもよい。これによって、花卉の日持ち性をより正確に判定することができる。
【0013】
また、花卉の日持ち性判定装置(方法)は、花卉が、栽培中のバラまたは収穫されたバラであることを特徴としてもよい。
【0014】
また、花卉の日持ち性判定装置(方法)は、判定手段が(判定ステップにおいて)、花卉のベントネック及び開花ステージ進度のうち少なくとも一方を予測することにより日持ち性を判定することを特徴としてもよい。これによって、花卉の日持ち性を具体的に判定することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面とともに本発明による花卉の日持ち性判定装置及び方法の好適な実施形態について説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0016】
図1は、本発明による花卉の日持ち性判定装置(以下、判定装置という)の実施形態の構成を示すブロック図である。図1に示された判定装置1は、暗箱3、保持台5、励起光源7、カメラ9、及び制御器13を備えている。
【0017】
保持台5は、判定対象である花卉19を保持するための手段である。ここで、花卉19は例えばバラなどの切り花である。花卉19は、花弁19a及び葉19bを有している。花卉19は、葉のみを有する観賞用植物でもよい。また、本実施形態では切り花として収穫された観賞用植物を判定対象とするが、栽培中の観賞用植物を判定対象としてもよい。
【0018】
励起光源7は、花卉19の花弁19a及び葉19bのうち少なくとも一方に励起光Lを照射するための手段である。花卉19は、励起光源7から励起光Lを照射されることによって、クロロフィル蛍光CF(Chlorophyll Fluorescence)及び遅延蛍光DF(Delayed Fluorescence)を発生する。励起光源7はシャッタ11を有しており、シャッタ11を開けている間だけ、励起光Lが花卉19に照射される。また、カメラ9は、花卉19から発生したクロロフィル蛍光CFの光量Icf及び遅延蛍光DFの光量Idfを、花卉19を撮像することによって測定するための測定手段である。
【0019】
クロロフィル蛍光CF及び遅延蛍光DFは、650nm〜750nmの波長範囲にある。一方、励起光源7は、光合成に有効な400nm〜700nmの波長範囲の光を照射することによりクロロフィル蛍光CF及び遅延蛍光DFを発生させることができる。従って、波長650nmを境界波長とし、カメラ9としてこの境界波長より長い波長の光の像を撮像できるカメラを用いるとともに、励起光源7として境界波長より短い波長の励起光Lを照射できる光源を用いる。このような励起光源7及びカメラ9を用いることにより、励起光Lがカメラ9により測定されるのを防止する。なお、境界波長としては、例えば600nm〜700nmの範囲で任意に設定可能である。
【0020】
制御器13は、励起光源7及びカメラ9の動作を制御するための制御手段13aと、カメラ9において測定されたクロロフィル蛍光CFの光量Icf及び遅延蛍光DFの光量Idfと花卉19の日持ち性との相関に基づいて、花卉19の日持ち性を判定するための判定手段13bとを有する。制御器13は、例えばCPU及びハードディスクなどを備えており、ハードディスクに記憶されているプログラムをCPUが実行することにより制御手段13a及び判定手段13bを実現する。
【0021】
制御器13は、配線15を介して励起光源7と電気的に接続されており、励起光源7のシャッタ11の開閉を指示するための信号を制御手段13aから励起光源7へ送る。また、制御器13は、配線17を介してカメラ9と電気的に接続されており、撮像を指示するための信号を制御手段13aからカメラ9へ送る。そして、カメラ9が撮像した花卉19の画像を判定手段13bに取り込み、クロロフィル蛍光CFの光量Icf及び遅延蛍光DFの光量Idfを認識する。判定手段13bは、光量Icf及び光量Idfと花卉19の日持ち性との相関に基づいて、花卉19の日持ち性を判定する。ここでいう日持ち性の判定とは、例えば花卉19にベントネックが生じる時期を予測すること、及び開花ステージ進度を予測することである。これらのうち少なくとも一方を予測することにより、花卉19の日持ち性が判定される。
【0022】
ここで、図2は、花卉19として例えばバラを判定対象とした場合の、開花ステージを示す図である。バラの開花ステージは、概ね9段階に分かれている。そのうち、図2には、開花ステージ3から開花ステージ9までの開花状態が示されている。開花ステージが進むにつれてバラの花弁が開いていき、やがて露心する。
【0023】
また、図3は、クロロフィル蛍光CFの光量Icf及び遅延蛍光DFの光量Idfと花卉19(バラ、品種「パレオ」)の日持ち性との相関を表すグラフである。このグラフでは、光量Idfと光量Icfとの比(Idf/Icf)を横軸にとり、光量Icf及びIdfを測定してから開花ステージ6に達するまでの日数を縦軸にとっている。このグラフでは、予め測定された花卉19のサンプルにおける花弁19aでの値が複数プロットされており(プロット23)、このプロット23に基づいて検量線21が決定されている。すなわち、この検量線21は、花卉19の花弁19aにおける判定値(Idf/Icf)の値と開花ステージ6までの日数との相関を表している。
【0024】
制御器13の判定手段13bは、測定された判定値(Idf/Icf)の値が検量線21の何処に位置するかを判断し、測定された花卉19の開花ステージ6までの日数を予測することにより、花卉19の日持ち性を判定する。なお、クロロフィル蛍光CFの光量Icf及び遅延蛍光DFの光量Idfと花卉19の日持ち性との相関を表すグラフは図3に示されたものに限らず、例えば判定値(Idf/Icf)の値と所定の度合いのベントネックが生じるまでの日数との相関グラフであってもよい。なお、検量線21の導出方法については後述する。
【0025】
暗箱3は、保持台5、励起光源7、及びカメラ9を内部に有している。暗箱3は、外部からの光を遮光することができるとともに、その内部温度が、花卉19の状態を一定に保つための定温庫と同じ温度になるよう保たれている。
【0026】
図4は、定温庫25の構成を示す概略図である。定温庫25は、その内部の温度が一定温度(例えば25度)に保たれており、照明装置27及び容器29を有している。容器29は、花卉19を活けるための手段であり、その内部に花卉19のための活け水31が入っている。活け水31は例えば蒸留水であり、切り花用の鮮度保持剤を含まないことが好ましい。また、照明装置27は、一定照度(例えば1000ルクス)の光を常時点灯している。この定温庫25は、花卉19を判定装置1にセットする前に、花卉19の内部状態を安定させるために使用される。
【0027】
以上、本実施形態による花卉の日持ち性判定装置1の構成を説明した。次に、本発明による花卉の日持ち性判定方法の実施形態について説明する。この判定方法は、上記した判定装置1を用いて好適に実施することができる。なお、以下の説明においては、まず判定対象である花卉19を判定する方法について述べ、次に本方法で用いられる検量線21の導出方法について述べる。
【0028】
図5は、本実施形態による花卉の日持ち性判定方法を示すフローチャートである。図5を参照すると、本判定方法では、まず花卉19を定温庫25に保管する(ステップS1)。このとき、定温庫25内を一定温度に保つとともに、花卉19には一定照度の光を照射し、活け水31として蒸留水を与える。
【0029】
続いて、花卉19を判定装置1の保持台5にセットする(ステップS2)。このとき、暗箱3の蓋を閉め、外部の光が暗箱3内部に入らないようにする。また、暗箱3内部の温度を定温庫25内部の温度と同一に保つ。そして、制御器13の制御手段13aから配線15を介して励起光源7に指示を送り、励起光源7のシャッタ11を開いて花卉19の花弁19a及び葉19bに励起光Lを照射し始める(ステップS3、励起ステップ)。このとき、花卉19に励起光Lを照射すると同時に、花卉19の花弁19a及び葉19bからはクロロフィル蛍光CFが発生する。
【0030】
続いて、制御器13の制御手段13aから配線17を介してカメラ9に指示を送り、花卉19から発生しているクロロフィル蛍光CFをカメラ9において撮像することにより、クロロフィル蛍光CFの光量Icfを測定する(ステップS4、測定ステップ)。このとき、カメラ9は、花卉19の花弁19a及び葉19bのうち、予め検量線21が得られている所定箇所を撮像するとよい。また、このとき、カメラ9による撮像を所定の時間(例えば10秒間)継続して行い、日持ち性を判定するために充分な光量を確保する。そして、カメラ9により撮像されたクロロフィル蛍光CFによる画像を制御器13の判定手段13bへ取り込み、クロロフィル蛍光CFの光量Icfを認識する。
【0031】
続いて、制御器13の制御手段13aから励起光源7に信号を送ることにより、励起光源7のシャッタ11を閉じる(ステップS5)。シャッタ11を閉じると、励起光Lが花卉19に照射されなくなり、暗箱3内は暗黒となる。このとき、花卉19の花弁19a及び葉19bからは、遅延蛍光DFが発生する。シャッタ11を閉じた直後、制御手段13aからカメラ9に指示を送り、花卉19から発生している遅延蛍光DFをカメラ9において撮像することにより、遅延蛍光DFの光量Icfを測定する(ステップS6、測定ステップ)。このとき、クロロフィル蛍光CFを撮像し終えてから1秒以内に遅延蛍光DFの撮像を開始することが好ましい。また、このとき、カメラ9は、花卉19の花弁19a及び葉19bのうち、クロロフィル蛍光を撮像した所定箇所と同一の箇所を撮像するとよい。また、このとき、カメラ9による撮像を所定の時間(例えば30秒間)継続して行い、日持ち性を判定するために充分な光量を確保する。そして、カメラ9により撮像された遅延蛍光DFによる画像を制御器13の判定手段13bへ取り込み、遅延蛍光DFの光量Idfを認識する。
【0032】
続いて、制御器13の判定手段13bにおいて判定値(Idf/Icf)を求める(ステップS7)。すなわち、カメラ9により撮像したクロロフィル蛍光CFの画像及び遅延蛍光DFの画像に基づいて認識したそれぞれの光量Icf及びIdfの比を求め、これを判定値とする。そして、花卉19の品種に応じて予め用意された検量線21を用いて、判定値に基づき花卉19の日持ち性を判定する。このとき、日持ち性の判定方法として、例えば開花ステージ6といった開花状態までの日数、または所定の度合いのベントネックが生じるまでの日数を予測する(ステップS8、判定ステップ)。
【0033】
図6は、検量線21の導出方法を示すフローチャートである。花卉19としては様々な品種が存在し、各品種それぞれに応じて検量線21も全く異なる。従って、検量線21を、判定対象となる花卉19の品種毎に以下の方法により予め導出する。
【0034】
図6を参照すると、まず、判定対象の花卉19と同じ品種の花卉をサンプルとして複数本用意する。そして、用意した各サンプルを定温庫25(図4参照)内に保管する(ステップS11)。このとき、各サンプルを切り花として収穫してから速やかに定温庫25内へ保管することが好ましい。また、このとき、各サンプルの温度や吸水状態などの内部状態が安定するまで(例えば30分間)、各サンプルを定温庫25内へ保管する。
【0035】
続いて、定温庫25から各サンプルを取り出し、判定装置1の保持台5にセットする。そして、各サンプルそれぞれについて、図5に示した判定方法のうちステップS2〜S7により判定値(Idf/Icf)を求める(ステップS12)。判定値を測定した後、各サンプルを再び定温庫25内に戻す(ステップS13)。
【0036】
続いて、定温庫25内の各サンプルそれぞれについて、毎日所定の時刻に、開花ステージ進度(進み具合)を調査する(ステップS14)とともに、ベントネックの発生度を調査する(ステップS15)。このとき、開花ステージ進度については、例えば図2に示された開花ステージを参考にして判断する。また、ベントネックの発生度については、例えば発生度の段階を0(ベントネック無し)、1(軽度のベントネック)、2(中度のベントネック)、3(甚度のベントネック)として各サンプルそれぞれのベントネック状態を判断する。そして、開花ステージ進度及びベントネックの発生度の調査を、検量線21を求めるのに必要な所定の日数繰り返し行う(ステップS16)。
【0037】
続いて、各サンプルそれぞれについて、所定日数調査して得られた開花ステージ進度及びベントネック発生度と判定値(Idf/Icf)とに応じて図3に示された座標軸上にプロットする。そして、各サンプルそれぞれのプロット位置を近似する直線を求め、これを検量線21とする(ステップS17)。以上の方法により、花卉19の品種に応じた検量線21が求まる。
【0038】
なお、判定値(Idf/Icf)の精度は花卉19の品種により花弁19aと葉19bとでは異なるため、花弁19a及び葉19bそれぞれについて判定値を求め、判定値と日持ち性とがより高い相関関係を有する部位における検量線21をその品種の検量線21として用いるとよい。
【0039】
以上に説明した本実施形態による花卉の日持ち性判定装置及び方法が有する効果について説明する。発明者らは、花卉19に励起光Lを照射したときに発生する光の光量(例えば遅延蛍光DFの光量Idf)と、花卉19の日持ち性(例えば該光量を測定してから開花ステージ6に達するまでに要した日数)との間に、高い相関関係が存在することを見出した。例えば、花卉19から発生する遅延蛍光DFの光量Idfが大きい場合には、開花が遅くその結果として切り花としての鑑賞期間が長くなる。
【0040】
本実施形態による判定装置1及び判定方法では、励起光Lを照射することにより花卉19から発生する遅延蛍光DFの光量Idfと花卉19の日持ち性との相関に基づいて花卉19の日持ち性を判定している。これによって、花卉19の個体を破壊するなどの影響を与えずに各個体の日持ち性を判定することが可能となる。従って、本判定装置1及び判定方法によれば、出荷される花卉19の個体のそれぞれを直接検査してその日持ち性を判定し、保証することができる。なお、特許文献1に開示されている方法は、果実及び野菜について、測定時点での成熟度を評価する方法であり、日持ち性を判定するものではない。
【0041】
また、本実施形態による判定装置1及び判定方法では、カメラ9が、花卉19から発生する光のうちクロロフィル蛍光CFの光量Icf及び遅延蛍光DFの光量Idfを測定している。判定装置1及び判定方法はこれらの光の光量を利用することが好ましく、クロロフィル蛍光CFの光量Icf及び遅延蛍光DFの光量Idfと花卉19の日持ち性との相関(例えば図3参照)に基づいて花卉19の日持ち性を判定することによって、花卉19の日持ち性を好適に判定することができる。
【0042】
また、本実施形態による判定方法では、ステップS4において、花卉19における所定箇所のクロロフィル蛍光CFの光量Icfを測定した後に、ステップS6において、該所定箇所における遅延蛍光DFの光量Idfを測定している。また、本実施形態による判定装置1は、この判定方法を実現するための制御手段13aを備えている。判定装置1及び判定方法は、クロロフィル蛍光CFの光量Icf及び遅延蛍光DFの光量Idfをこのように測定することが好ましい。これによって、同一の励起光Lにより発生したクロロフィル蛍光CF及び遅延蛍光DFそれぞれの光量を同一箇所において測定するので、クロロフィル蛍光CF及び遅延蛍光DFの測定条件が同一になり、花卉19の日持ち性をより正確に判定することができる。
【0043】
また、本実施形態による判定装置1及び判定方法では、制御器13の判定手段13bが、クロロフィル蛍光CFの光量Icfと遅延蛍光DFの光量Idfとの比(Idf/Icf)と花卉19の日持ち性との相関(図3参照)に基づいて、花卉19の日持ち性を判定している。遅延蛍光DFの光量Idfは、種々の要因、例えば花卉19における測定面積、励起光Lの照射条件、花弁19aの色素、及び花卉19の表面状態などの影響を受ける。これに対し、発明者らは、励起光Lによって発生するクロロフィル蛍光CFの光量Icfと遅延蛍光DFの光量Idfとの比を評価対象とすることにより、上記した各要因による影響がキャンセルされた検量線21を得ることに成功した。従って、判定装置1及び判定方法では、光量Icfと光量Idfとの比(Idf/Icf)を用いて花卉19の日持ち性を判定することが好ましく、これによって、花卉19の日持ち性をより正確に判定することができる。
【0044】
また、本実施形態による判定装置1及び判定方法では、制御器13の判定手段13bが、花卉19の開花ステージ進度を予測することにより該花卉19の日持ち性を判定してもよく、また、花卉19のベントネックを予測することにより該花卉19の日持ち性を判定してもよい。これらの双方または少なくとも一方により花卉19の日持ち性を判定することによって、花卉19の日持ち性を具体的に判定することができる。
【0045】
本発明による花卉の日持ち性判定装置及び方法は、上記した実施形態に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、日持ち性の判定に用いる光はクロロフィル蛍光CF及び遅延蛍光DFに限らず、花卉19の日持ち性と相関を有する光であれば、該花卉19の日持ち性を好適に判定することができる。
【0046】
【発明の効果】
本発明による花卉の日持ち性判定装置及び方法によれば、出荷される個体のそれぞれを直接検査しその日持ち性を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による花卉の日持ち性判定装置の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】花卉として例えばバラを判定対象とした場合の、開花ステージを示す図である。
【図3】クロロフィル蛍光の光量及び遅延蛍光の光量と花卉(バラ、品種「パレオ」)の日持ち性との相関を表すグラフである。
【図4】定温庫の構成を示す概略図である。
【図5】本実施形態による花卉の日持ち性判定方法を示すフローチャートである。
【図6】検量線の導出方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…判定装置、3…暗箱、5…保持台、7…励起光源、9…カメラ、11…シャッタ、13…制御器、13a…制御手段、13b…判定手段、15、17…配線、19…花卉、19a…花弁、19b…葉、21…検量線、23…プロット、25…定温庫、27…照明装置、29…容器、31…水、CF…クロロフィル蛍光、DF…遅延蛍光、L…励起光。

Claims (12)

  1. 花卉の日持ち性を判定する装置であって、
    前記花卉の花弁または葉に励起光を照射する励起光源と、
    前記励起光源からの前記励起光に応じて前記花卉から発生する光の光量を測定する測定手段と、
    前記測定手段において測定された前記光量と前記花卉の日持ち性との相関に基づいて、前記花卉の日持ち性を判定する判定手段と
    を備えることを特徴とする花卉の日持ち性判定装置。
  2. 前記測定手段が、前記花卉から発生する光としてクロロフィル蛍光及び遅延蛍光の光量を測定することを特徴とする請求項1に記載の花卉の日持ち性判定装置。
  3. 前記測定手段が前記花卉における所定箇所の前記クロロフィル蛍光の前記光量を測定した後に、前記測定手段が該所定箇所における前記遅延蛍光の前記光量を測定するよう前記測定手段を制御する制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の花卉の日持ち性判定装置。
  4. 前記判定手段が、前記クロロフィル蛍光の前記光量と前記遅延蛍光の前記光量との比と前記花卉の日持ち性との相関に基づいて、前記花卉の日持ち性を判定することを特徴とする請求項2または3に記載の花卉の日持ち性判定装置。
  5. 前記花卉が、栽培中のバラまたは収穫されたバラであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の花卉の日持ち性判定装置。
  6. 前記判定手段が、前記花卉のベントネック及び開花ステージ進度のうち少なくとも一方を予測することにより日持ち性を判定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の花卉の日持ち性判定装置。
  7. 花卉の日持ち性を判定する方法であって、
    前記花卉の花弁または葉に励起光を照射する励起ステップと、
    前記励起ステップにおいて照射された前記励起光に応じて前記花卉から発生する光の光量を測定する測定ステップと、
    前記測定ステップにおいて測定された前記光量と前記花卉の日持ち性との相関に基づいて、前記花卉の日持ち性を判定する判定ステップと
    を備えることを特徴とする花卉の日持ち性判定方法。
  8. 前記測定ステップにおいて、前記花卉から発生する光としてクロロフィル蛍光及び遅延蛍光の光量を測定することを特徴とする請求項7に記載の花卉の日持ち性判定方法。
  9. 前記測定ステップにおいて、前記花卉における所定箇所の前記クロロフィル蛍光の前記光量を測定した後に、該所定箇所における前記遅延蛍光の前記光量を測定することを特徴とする請求項8に記載の花卉の日持ち性判定方法。
  10. 前記判定ステップにおいて、前記クロロフィル蛍光の前記光量と前記遅延蛍光の前記光量との比と前記花卉の日持ち性との相関に基づいて、前記花卉の日持ち性を判定することを特徴とする請求項8または9に記載の花卉の日持ち性判定方法。
  11. 前記花卉が、栽培中のバラまたは収穫されたバラであることを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の花卉の日持ち性判定方法。
  12. 前記判定ステップにおいて、前記花卉のベントネック及び開花ステージ進度のうち少なくとも一方を予測することにより日持ち性を判定することを特徴とする請求項7〜11のいずれか一項に記載の花卉の日持ち性判定方法。
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