JP4040957B2 - シリカ配合化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧料に関し、さらに詳しくは、化粧持続性を有し、皮膜の酸素透過性が高く、塗布時の伸びがあり、塗布数時間経過後においても、しっとりし、厚ぼったくなく、べたつかず、かつ、突っ張らない、使用性に優れた化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、サンスクリーン剤、ファンデーション、口紅、マスカラ、アイライナー、ネイルエナメル等の化粧料において、その化粧崩れや化粧移りを防止するため、種々の皮膜形成剤が用いられている。これは、これらの化粧料による化粧膜が、汗、皮脂等によるヨレや滲み、手や衣服の摩擦によるはがれ等の化粧崩れ、コップや煙草への付着等の化粧移りを生じやすいものであり、使用性の面からも、日常の紫外線防止のためにも、化粧持ちの良いものが望まれているからである。そして、特に、高温多湿の夏季やスポーツ時には、より耐水性、化粧持続性のあるものが渇望されている。そこで、かかる化粧崩れ等を防止する目的で、皮膜形成能を有する合成樹脂エマルションや油溶性樹脂等が用いられてきた。
【0003】
しかしながら、化粧料に配合された合成樹脂エマルションや油溶性樹脂は、その形成する皮膜により、ある程度化粧崩れ等を防止する効果があるものの、当該合成樹脂による皮膜は、もともと酸素通気性の乏しいものであるため、これを多量に化粧料に配合すると、皮膚表面に形成された皮膜により、スムースな皮膚の呼吸が妨げられる。そして、皮肉なことに、ひたすら創美や美白を追求して、念入りに化粧を施した女性が、化粧の主目的である審美感、心地よさ、及び、心のやすらぎ等を得るどころか、当該化粧膜のため、重苦しく不快な圧迫感を我慢しなければならないという大きな問題があった。
【0004】
このように、より優れた化粧持ち等を目的として、配合する樹脂量を増加させればさせるほど、塗布時(化粧時)の化粧料の伸びが悪くなり、塗布数時間後、不快なべとつき感や強固な皮膜であるために肌が突っ張る(つっぱり感)等が増加するという矛盾は、化粧する女性にとっては、触感上、官能上、看過しえない問題となっている。
【0005】
また、従来、サンスクリーンクリーム、ファンデーション、洗顔フォーム、シャンプー等の化粧料においては、仕上がり感や使用感を向上させるために、フィラーとしてシリカ、特に球状シリカを化粧料に配合・使用することは公知である(特許文献1、特許文献2)。しかしながら、当該球状シリカは、化粧料にある種の使用感を付与することはできるが、それ自体皮膜を形成する能力はないため、基本的に化粧崩れを防止する作用はほとんど奏されるものではなかった。また、合成樹脂エマルション等の多量の使用による上記したつっぱり感等の問題も、ほとんど改善されていない。
【0006】
【特許文献1】
特許第2942428号公報
【特許文献2】
特開平7−242125号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
かくして本発明の課題は、化粧持続性を有し、かつ、皮膜の酸素透過性が高く、塗布時の良好な伸び、塗布数時間後にあっても、厚ぼったくなく、しっとりし、べたつかず、突っ張らない化粧料を提供することである。
【0008】
本研究者らは、かかる観点から鋭意検討した結果、本発明者らが先に提案した、特定の薄片状の形態を有する葉状シリカは、それ自体高い皮膜を形成する能力を有するため、これを化粧料に配合することにより、その自己造膜性により、当該化粧料に高い化粧持続性を付与でき、一方、基本的に上記合成樹脂エマルションを大量に使用することを不要にするので、皮膜の酸素透過性が高く、塗布時の良好な伸び、塗布数時間後、厚ぼったくなく、しっとりし、べたつかず、突っ張らない化粧料を実現できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に従えば、以下の発明が提供される。
【0010】
〔1〕 鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し、複数枚重なって形成される葉状シリカ2次粒子を配合してなることを特徴とする化粧料。
【0011】
〔2〕 前記化粧料に配合する葉状シリカ2次粒子の厚さが、0.001〜3μmであり、また、アスペクト比が、少なくとも10以上である〔1〕に記載の化粧料。
【0012】
〔3〕 前記化粧料に配合する葉状シリカ2次粒子が、粉体状である〔1〕に記載の化粧料。
【0013】
〔4〕 前記化粧料に配合する葉状シリカ2次粒子が、水中に1〜30質量%の濃度で分散したスラリー状である〔1〕に記載の化粧料。
【0014】
〔5〕 前記化粧料に配合する葉状シリカ2次粒子が、有機媒体中に1〜20質量%の濃度で分散したスラリー状である〔1〕に記載の化粧料。
【0015】
〔6〕 さらに皮膜形成能を有する高分子物質の1種または2種以上を配合してなる〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の化粧料。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明の特徴とするところは、化粧料のフィラーとして、自己造膜性のある特定の形態のシリカ、すなわち、鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し、複数枚重なって形成される葉状シリカ2次粒子を配合する点にある。
【0018】
(葉状シリカ2次粒子)
まず本発明に用いられる葉状シリカ2次粒子について説明する。
当該葉状シリカ粒子2次粒子は、薄片1次粒子を基本構成単位とし、当該1次粒子同士が、互いに面間が平行的に配向して複数枚重なって形成される葉状シリカから実質的になる、積層構造の粒子形態を有する葉状シリカである。
【0019】
この薄片1次粒子は、きわめて薄い鱗片状シリカであって、その厚さが0.001〜0.1μmのものである。かかる薄片1次粒子は、互いに面間が平行的に配向して1枚または複数枚重なった葉状シリカ2次粒子を形成するが、当該2次粒子の厚さは、0.001〜3μm、好ましくは0.005〜2μmであり、厚さに対する葉状シリカ2次粒子(板)の最長長さの比(アスペクト比)は、少なくとも10、好ましくは30以上、さらに好ましくは50以上のものであり、厚さに対する葉状シリカ2次粒子(板)の最小長さの比は、少なくとも2、好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上を有するような鱗片状のシリカである。なお、当該2次粒子は、融着することもなく互いに独立に存在している。
【0020】
葉状シリカ2次粒子の厚さが0.001μm未満とあまり薄い場合には、粒子の機械的強度が不十分となり好ましくない。一方、厚さが3μmより大きくなると、化粧料に配合した場合、白浮き等を生じ不自然な仕上がり感となる。厚さに対する最長長さの比10より小さい場合、及び最小長さの比が2より小さい場合には、造膜性が低下するという理由で好ましくない。また、それぞれの上限は特に規定するものではないが、前者は300以下、好ましくは200以下が実際的であり、後者は150以下、好ましくは100以下が実際的である。
【0021】
上記のように、本発明に云う葉状シリカ2次粒子の厚さ及び長さは、特に断らないかぎり、その2次粒子についての平均値を意味する。
【0022】
本発明において、葉状とは、粒子が実質的に薄い板状の形態を有しているものであればよく、これがさらに、部分的又は全体的に曲がったり、ねじれたりしてもよい。
【0023】
本発明における、葉状シリカ2次粒子は、その形態に起因してきわめて特異な自己造膜性を有し、常温においても容易に強固なシリカ皮膜を形成しうる。例えば、本発明で用いる葉状シリカ2次粒子の水分散液は、これをガラス基体上等に塗布し、常温で乾燥すると、皮膜形成剤や造膜助剤等を使用することなしに硬化し、容易に強靱な塗膜が形成される。この塗膜は、極めて強固であり、容易には剥離することはない。この自己造膜性が、後記するように、化粧料に配合した場合、重要な作用効果を奏するのである。
【0024】
なお、このような葉状シリカ2次粒子が、さらに3次元的に不規則に重なりあって形成される間隙を有するシリカの凝集体粒子(シリカ3次粒子)自体は、例えば特開平11−29317号に提案されている方法で、容易に得られるが、少なくとも自己皮膜形成性を有するものではなく、このものを化粧料に配合したとしても、本発明の目的である、造膜性(化粧持続性)は、ほとんど発現しないものである。
【0025】
さらに云えば、従来より、シリカゲルは、化粧料のフィラーとしてよく知られているものであるが、形態が球状や不定形状の非晶質多孔質粒子であるシリカゲル粒子は、これを水スラリーとして、基体上に塗布・乾燥すると、一応塗膜は形成されるものの、この塗膜は、本発明で用いられる葉状シリカ2次粒子水分散液からなる塗膜とは、似ても似つかない極端に脆弱な塗膜であって、手で軽く触れただけでぱらぱらと崩れてしまうものである。この点本発明における葉状シリカ2次粒子とは、著しい対照をなしているのである。
【0026】
なお、本発明で使用する葉状シリカ2次粒子のこの強い自己造膜性及び形成された皮膜の強固性は、次のような理由によるものと考えられる。
【0027】
すなわち、当該葉状シリカ2次粒子の水分散液を基体上に塗布・乾燥して形成された塗膜断面のSEM写真を検討すると、葉状シリカ2次粒子は、基本的には葉状シリカ2次粒子どうしが平行的に積層されて構成されているが、より具体的には、その粒子形態がそれぞれ適度の曲がりを有し、曲がった状態で配向し、密に重なりあっていることが明瞭に認められる。このように互いに曲がって波状に密に重なっているので、長手方向(面方向)には摺動し難いと考えられる。また、粒子表面には多数の微量な凹凸が形成されているので、これらが互いに鉤のように絡みあって、あたかもアンカーやマジックファスナー(登録商標)のような係止作用を示しているため、断面方向(長手方向に垂直な方向)にも固定され、全体として強固な膜が形成されているものと思われる。
【0028】
また、当該2次粒子は、薄片状の1次粒子が重なって形成されているものであるが、この薄片1次粒子同士は、通常の手段では、この構成単位の個々の薄片にまで、完全に剥離することが困難な程度に互いに強固に結合一体化して葉状シリカ2次粒子を構成している。これが当該2次粒子を構成単位(すなわち所謂ビルディング・ブロック)として形成されているため、当該葉状シリカ2次粒子を配合した本発明の化粧料が極めて化粧持続性に優れている理由であると考えられる。
【0029】
(葉状シリカ2次粒子の調製)
本発明で用いる葉状シリカ2次粒子は、物質としては所謂シリカ−X、シリカ−Yとして知られているものであり、すでに述べたように、微小な鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が並行的に配向し、複数枚重なって葉状の形状をなしている粒子である。
【0030】
葉状シリカ2次粒子は、活性ケイ酸、シリカゾル、エアロジル、シリカヒドロゲル、シリカゲル(シリカキセロゲル)等を出発物質として、これらをアルカリ金属の存在下で水熱処理する方法により、まず、葉状シリカ2次粒子がさらに3次元的に不規則に重なり合って形成されたシリカ3次凝集体粒子(3次粒子)を生成させ、次いで各種の解砕処理や乾燥等の後処理を行うことによって、当該3次粒子を解砕し、葉状シリカ2次粒子を得るという方法により調製することができる。3次粒子を経ずして直接2次粒子を製造することは、現在のところ困難である。
【0031】
水熱処理によって凝集した3次粒子を製造する方法としては、すでに公知であり、例えば、Hydemannらの方法(Beytr. Minaral. Petrogr.,10,242-259(1964))、Mitsyuk.B.A.らの方法(Geochem. Int. 13, 101-111(1976))、北原らの方法(Proc. Inst. Symp. Hydrotherm. React. 1st(1983))や、本発明者らが、特開平11−29317号、特開2001−163613号等において提案した方法のいずれもが好適に用いられる。以下、本発明者らによる方法を中心に、3次粒子、さらにはこれを後処理して葉状シリカ2次粒子を製造する方法について述べるが、無論これらに限定されるものではない。
【0032】
本発明において化粧料に配合する葉状シリカ2次粒子の量は、化粧料の種類や使用環境等により変更しうるものであるが、通常、当該化粧料に対し、固体粒子として、0.01〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%程度である。
【0033】
また、葉状シリカの形態は、当該対象とする化粧料の種類に応じて、水スラリー状、粉体状、有機媒体スラリー状のいずれかの形態を選択して配合することが好ましい。以下、それぞれについて順次説明する。
【0034】
(水スラリー状葉状シリカ2次粒子)
まず、葉状シリカ2次粒子が水中に分散した、水スラリー状のシリカ2次粒子の調製について述べる。葉状シリカの水スラリーは、後記実施例に示すように、O/W型サンスクリーンクリーム等の水系の化粧料に配合する場合に好ましい形態である。
【0035】
上記シリカヒドロゲル等の出発物質の水熱処理は、オートクレーブ等の加熱圧力容器中で加熱することにより行われ、シリカ3次凝集体粒子が得られるが、当該シリカ−Xやシリカ−Y等の単一相を短時間で得るため、温度範囲としては好ましくは150〜220℃、さらに好ましくは160〜200℃が用いられる。必要な水熱処理の時間は、水熱処理の温度や種晶の添加の有無等により変わりうるが、通常、3〜50時間、好ましくは、5〜40時間程度である。
【0036】
かくして水スラリー状で得られたシリカ3次凝集体粒子を、ベルトフィルター等の固液分離・水洗装置を用いて水洗・固液分離して、さらに水でリパルプし、SiO2 濃度1〜30質量%の水スラリーとし、これを湿式粉砕装置(解砕装置)、例えば湿式ビーズミル、湿式ボールミル、薄膜旋回型高速ミキサーに供給して、シリカ3次凝集体粒子を解砕処理して葉状シリカ2次粒子の水スラリーを得ることができる。ここで、湿式ビーズミルとしては、直径0.2〜1.0mmのアルミナ又はジルコニア等の媒体ビーズを用いるが特に望ましい。
【0037】
化粧料に配合する場合の水スラリーとしての葉状シリカ2次粒子は、水中に1−30質量%、好ましくは1〜20質量%の濃度で分散した水スラリーであることが望ましい。なお、以下述べる殺菌剤を添加した場合であっても、このスラリー濃度を維持することが好ましい。
【0038】
なお、本発明における葉状シリカ2次粒子は、その自己造膜性が損なわれない限り、一部に薄片状1次粒子、または3次凝集体粒子が混合しているものであってもかまわない。
【0039】
(殺菌剤)
本発明における葉状シリカ2次粒子の水スラリーは、基本的には、そのまま化粧料に配合することができる。ただし、その保存中や化粧料への配合中、さらには配合後に菌の混入による増殖を防ぐため、適当な殺菌剤を添加することが好ましい。使用しうる殺菌剤としては、殺菌、静菌、抗菌作用があり、かつ、化粧料に配合する上で皮膚等に対する問題を生じないような物質であれば、特に限定することなく、従来公知のものがいずれも好適に用いることができる。なお、ここに云う殺菌剤とは、いわゆる抗菌剤をも包含する広義の意義で使用する。
【0040】
使用しうる殺菌剤としては、例えば、安息香酸、サリチル酸、プロピオン酸、デヒドロ酢酸、ソルビン酸、ホウ酸、キトサン、石炭酸等の有機酸及びその塩類;メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類;没食子酸オクチル、没食子酸プロピル等の没食子酸エステル類;及び
【0041】
塩化ベンザルコニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化アリキルジアミノエチルグリシン、塩化セチルピリジウム、塩化クロルヘキシジン、臭化アルキルイソキノリウム、グルコン酸クロルヘキシジン等の4級カチオン性物質;イソプロピルメチルフェノール、オルトフェニルフェノール、フェニルフェノール、クレゾール等のフェノール化合物;フェノキシエタノール、エタノール、イソプロパノール、1,3ブチレングリコール、1,2ペンタンジオール、プロピレングリコール等の低級アルコール類;さらに
【0042】
感光素101号、201号、301号、401号等の感光素類;ヒノキチオール、ビサボロール、ベタイン等の天然由来抗菌物質;
【0043】
その他、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、レゾルシン、トリブロムサラン、メチルクロロイソチアゾロン、メチルイソチアゾロン、イミダゾリジニウムウレア、トリクロロカルバニリド、ハロカルバン、チモール、チラム、トリクロサン、ラウロイルサコシンナトリウム、ウンデシレン酸モノエタノールアミド等が例示されるが、これに限定されるものではない。
【0044】
殺菌剤の添加量は、殺菌剤の種類、効力、及び対象とする化粧料の種類等によって異なりうるが、通常、葉状シリカ2次粒子水スラリー中の濃度として、0.01〜30質量%が好ましく、さらに好ましくは0.03〜20質量%が用いられる。添加量が上記の値よりあまり少ない場合には、殺菌作用が不十分であり、逆に必要以上に過大の場合は、化粧料の使用感を損なう等のため、いずれも好ましくない。
【0045】
(粉体状シリカ2次粒子)
粉体状のシリカ2次粒子は、上記水スラリー状のシリカ2次粒子を適当な乾燥機器により脱水、乾燥することにより、調製することができる。
【0046】
すなわち、殺菌剤を添加しない葉状シリカ2次粒子の水スラリーを、好ましくは充分希釈して、シリカ分濃度として1−5質量%に調整し、粒子同士が乾燥時に互いに接触して凝集・固着することのない、適当な乾燥機により乾燥すればよい。かかる乾燥機としては、気流乾燥機によってもよいが、最も好ましくは、スプレー乾燥機(噴霧乾燥機)であって、これを用いて噴霧乾燥することにより、葉状シリカ2次粒子の粉末を得ることが出来る。
【0047】
(有機媒体スラリー状の葉状シリカ2次粒子)
また、葉状シリカ2次粒子が有機媒体中に分散した、有機媒体スラリーは、上記殺菌剤を添加しない葉状シリカ2次粒子の水スラリーより、次のごとくして得られる。
【0048】
すなわち、当該水スラリーに、水溶性及び/又は、非水溶性の有機媒体、さらに必要に応じて、界面活性物質も添加し混合した後、蒸発等の方法で水を除去(脱水処理)し、シリカ粒子を有機媒体物質中へ移行させることにより、水スラリーを、有機媒体スラリーへと転換させることができる。
【0049】
かくして、当該操作中に、水中に分散されていた葉状シリカ2次粒子は相移動して、有機液状物質の中へ、水中に存在していたときと同様な状態で高度に分散される。かかる、脱水処理(媒体置換)は、転換しようとする有機媒体(有機溶剤)の性状に応じて好適な方法を適用することができ、特定の方法に限定されるものではない。例えば、蒸発、蒸留(減圧)、水蒸気蒸留(共沸)、濾過濃縮、遠心分離濃縮等の単位操作が適用でき、それぞれの単位操作に準じて一般的に工業化されている工業的化学装置が使用できる。
【0050】
特に、水と当該有機媒体が二層を形成するような場合は、蒸留操作により、留出した蒸気を凝縮し、二層に分離した後、有機相のみを蒸留装置内に還流させる操作を続けることにより、系内の水分を有機媒体で完全に置換することが可能である。ここで蒸留操作中に、新たな有機媒体を供給することも好ましい操作である。
【0051】
有機媒体スラリー状の葉状シリカ2次粒子を化粧料に配合する場合、有機媒体中に1−20質量%、好ましくは1〜10質量%の濃度で分散したスラリーとすることが望ましい。
【0052】
(有機媒体)
有機媒体スラリーを形成するための有機媒体は、液状のもので、蒸留等の分離操作により水と分離でき、また有機媒体系スラリー中において、分散質であるシリカ粒子を安定的に分散し、当該有機媒体系スラリーの取扱い上の便宜のため、適度な沸点や粘度を有するものであり、特に化粧料に配合した場合、皮膚等に問題を生じせしめないものであれば、特に限定するものではなく、例えば以下のものが使用しうる。すなわち、
【0053】
エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール(t−ブチルアルコール)、2−メチル−1−プロパノール(イソブチルアルコール)、ペンタノール等の一価アルコール類;
【0054】
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類;
【0055】
ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン等の脂肪族炭化水素類;
【0056】
ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン等の芳香族炭化水素類;
【0057】
アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ピナコロン、ジエチルケトン、ブチロン、ジイソプロピルケトン等の脂肪族ケトン類;
【0058】
アセトフェノン、プロピオフェノン、ブチロフェノン、バレロフェノン、ベンゾフェノン、ジベンジルケトン、2−アセトナフトン等の芳香族ケトン類;
【0059】
エチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、イソブチルエーテル、n−アミルエーテル、イソアミルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソブチルエーテル、メチルn−アミルエーテル、メチルイソアミルエーテル、エチルプロピルエーテル等の脂肪族エーテル類;
【0060】
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;
【0061】
アニソール、フェネトール、フェニルエーテル、ベンジルエーテル等の芳香族エーテル類;
【0062】
ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソブチル、ギ酸n−アミル、ギ酸イソアミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸n−アミル、プロピオン酸粗アミル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、酪酸n−アミル、酪酸イソアミル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等の脂肪酸エステル類;
【0063】
安息香酸メチル、安息香酸エチル、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸プロピル、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸プロピル、サリチル酸ブチル、フタル酸メチル、フタル酸エチル等の芳香族エステル類;
【0064】
テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、ジクロロプロパン、クロルベンゼン等の塩素化炭化水素類;
【0065】
1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R−134a)等のフッ素化炭化水素類;
【0066】
1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン(R−123)、モノクロロジフルオロメタン(R−22)等の塩素含有フッ素化炭化水素類;
【0067】
ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、γ−ブチロラクトン、β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトン、スルホラン、エチレンジアミン等の所謂双極性非プロトン溶媒が好ましいものとして挙げられる。
【0068】
(葉状シリカ2次粒子の特性)
本発明における葉状シリカ2次粒子について念のためその特徴的な物性をまとめておく。
【0069】
当該シリカ2次粒子におけるシリカのX線回折のスペクトルとしては、米国のASTM(American Society for Testing and Materials)に登録されているカード(以下単にASTMカードと称する。)番号16−0380に該当する2θ=4.9°、26.0°、及び28.3°の主ピークを特徴とするシリカ−X及び/またはASTMカード番号31−1233に該当する2θ=5.6°、25.8°及び28.3°の主ピークを特徴とするシリカ−Yからなるシリカである。上記以外のピークとしては、シリカ−Xの場合は、ASTMカード番号31−1234、37−0386、シリカ−Yの場合は、ASTMカード番号35−63、25−1332などのピークが認められるものである。
【0070】
上記特性は、シリカが配合されたある化粧料を入手した場合の、当該シリカの分離・同定に有用である。すなわち、当該シリカをSEMやTEMで観察してこれが本発明で規定する特定の粒径、アスペクト比を有する葉状シリカ2次粒子であること、さらに、そのX線回折スペクトルにより、これがASTMカード番号に該当する本発明で規定する物質であることを確認することができる。
【0071】
(対象化粧料)
本発明において、葉状シリカ2次粒子が配合される対象の化粧料としては、スキンケア化粧料、メイクアップ化粧料、頭髪化粧料、清浄用化粧料、基礎化粧料、日焼け・日焼け止め化粧料、アイライナー化粧料、爪化粧料、口唇化粧料、口腔化粧料、入浴用化粧料に好適に使用できる。
【0072】
すなわち、より具体的な化粧料としては、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、エッセンス、サンスクリーン剤(サンスクリーンクリーム(O/W型又はW/O型)等)、サンオイル等のスキンケア化粧料;油性ケーキファンデーション、乳化ファンデーション(O/W型又はW/O型)、ケーキファンデーション等のファンデーション、白粉、化粧下地、アイシャドー、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、ネイルエナメル、オーバーコート剤、口紅、頬紅、リップグロウ、プレストパウダー等のメイクアップ化粧料;ヘアクリーム、シャンプー、リンス、コンディショナー、ヘアジェル、ヘアスタイリング、ヘアトリートメント、ヘアリキッド、整髪料等の毛髪用化粧料;洗顔フォーム、シャンプー、クレンジング、パック、ピールオフパックなどの清浄用化粧料などが挙げられ、その剤型は、液状、乳液状、固形状、ペースト状、ジェル状等の形態を適宜選択することができる。
【0073】
(皮膜形成性高分子物質)
本発明においては、葉状シリカ2次粒子とともに、皮膜形成能を有する皮膜形成性高分子物質を化粧料に配合することが好ましい。
【0074】
ただし、本発明においては、葉状シリカ2次粒子の有する自己造膜性によるシリカの皮膜形成発現をその主たる作用効果とする。すなわち、あくまでシリカ2次粒子を必須の配合成分とし、皮膜形成性の高分子物質は、当該葉状シリカ2次粒子の皮膜形成作用を補助する成分として位置づけられ、配合されるものである。従って、本発明における皮膜形成性高分子物質は、これを配合する場合においても、従来これを単独で使用していた場合に比較して、はるかに少量の添加でよいのである。
【0075】
本発明に用いられる皮膜形成能を有する高分子物質としては、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、カルボキシビニルポリマー、オレフィン・無水マレイン酸共重合体又はその塩、エポキシ樹脂、ビニルピロリドン系ポリマー、及びその他のポリマーが挙げられ、例えば、以下のものが好ましいものとして例示される。例えば、
【0076】
アクリル樹脂としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸アミド、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸ナトリウム、架橋型ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸ナトリウム、アクリル酸・スチレン・メタクリル酸アンモニウム共重合体、アクリル酸・スチレン共重合体、アクリル酸・メタクリル酸アミド共重合体、アクリル酸アルキル・スチレン共重合体、アクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸エチル・アクリル酸アミド・アクリル酸共重合体、アクリル酸エチル・アクリル酸ブチル共重合体、アクリル酸エチル・メタクリル酸エチル共重合体、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・アクリル酸共重合体、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル共重合体、アクリル酸エチル・メタクリル酸共重合体、アクリル酸オクチル・スチレン共重合体、アクリル酸オクチル・酢酸ビニル共重合体、アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル・アクリル酸オクチルアミド共重合体、アクリル酸ブチル・ヒドロキシメタクリル酸エチル共重合体、アクリル酸ブチル・ヒドロキシメタクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル共重合体、アクリル酸ブチル・メタクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル・酢酸ビニル共重合体、アクリル酸メチル・アクリル酸エチル共重合体、アクリル酸メチル・スチレン共重合体、アクリル酸メトキシエチル・アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸ブチル共重合体、アクリル酸メトキシエチル・アクリル酸ヒドロキシエチル共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン、メタクリル酸・スチレン共重合体、メタクリル酸・メタクリル酸ブチル共重合体、メタクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル・アクリル酸ブチル・アクリル酸オクチル共重合体等が;
【0077】
シリコーン樹脂としては、アルキル変性シリコーン、オキサゾリン変性シリコーン、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、トリメチルシロキシケイ酸、高重合メチルポリシロキサン等が;
【0078】
アルキッド樹脂としては、イソフタル酸系アルキッド樹脂、エポキシ変性フタル酸系アルキッド樹脂、コハク酸系アルキッド樹脂、シクロヘキサン系アルキッド樹脂、シクロヘキセン系アルキッド樹脂、フタル酸系アルキッド樹脂、ロジン変性マレイン酸系アルキッド樹脂等が;
【0079】
カルボキシビニルポリマーとしては、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、それらのカルシウム塩若しくはカリウム塩等が;
【0080】
オレフィン・無水マレイン酸共重合体又はその塩としては、エチレン・無水マレイン酸共重合体、イソブチレン・無水マレイン酸ナトリウム共重合体等が;
【0081】
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂オレイン酸エステル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂ステアリン酸エステル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂リシノレイン酸エステル、エポキシ樹脂牛脂脂肪酸エステル、エポキシ樹脂鯨油脂肪酸エステル等が;
【0082】
ビニルピロリドン系ポリマーとして、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・スチレン共重合体、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体、ジエチル硫酸ビニルピロリドン、N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体等が;
【0083】
その他の樹脂、ポリマーとして、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ビニルメチルエーテル・マレイン酸エチル共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸ブチル共重合体、スチレン・メチルスチレン・インデン共重合体、トルエンスルホンアミド樹脂、ポリビニルブチラート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル・クロトン酸共重合体、酢酸ビニル・スチレン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。
【0084】
これらの樹脂は、単独で、又は2種以上を適宜組み合せて使用することができる。
【0085】
なお、上記皮膜形成性高分子のうち、本発明における葉状シリカ2次粒子と併用することが特に好ましいものは、例えば、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、トリメチルシロキシケイ酸等のシリコーン樹脂、ポリビニルアルコール等が挙げられ、これらを従来に比較してずっと少ない範囲で配合し、併用することで、より酸素透過性が高く、ベタツキがなく、かつ皮膜強度のある化粧膜を形成することができる。
【0086】
これら皮膜形成性高分子物質の化粧料への配合量は、それほど多量に添加する必要はなく、使用感や安定性の点から、0.001〜30質量%、特に0.005〜20質量%が好ましい。
【0087】
(化粧料の基本成分)
本発明における化粧料に使用する構成成分としては、化粧料に一般的に用いられているものであれば、本発明の目的を損なわない範囲で、目的に応じて適宜使用できる。
【0088】
例えば、着色顔料、光輝性顔料、有機粉体、無機粉体、表面処理粉体、タール系色素、油剤、樹脂、界面活性剤、紫外線吸収剤、香料、保香剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、保湿剤、美容成分、増粘剤、生理活性成分、溶剤等の通常化粧料に配合される基本成分を、いずれも配合・使用することが可能である。
【0089】
具体的には、以下のものが例示される。
すなわち、粉体としては、タルク、カオリン、セリサイト、マイカ、シリカ、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、セラミクスパウダー、ナイロンパウダー、シリコンパウダー、ポリエチレンパウダー、アクリルパウダー、微結晶性セルロース、ウレタンパウダー、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料;
【0090】
酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、紺青、酸化チタン被覆雲母、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、着色酸化チタン被覆雲母等のパール顔料;
【0091】
アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、黄色401号及び青色404号等の有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の無機粉体、有機粉体、無機着色顔料、金属粉末顔料、有機着色顔料及びこれら粉体表面をシリコーン、フッ素、金属石鹸等により表面を被覆した表面処理粉体等が使用され、
【0092】
油相成分として、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、セレシン、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、オレイルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸−2−オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリ−2-エチルヘキサン酸グリセリル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸−2−オクチルドデシル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセロール、オレイン酸−2−オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、トリイソステアリン酸グリセロール、トリヤシ油脂肪酸グリセロール、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ホホバ油、ミツロウ、ラノリン、オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の各種炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、油脂類のエステル類、ロウ類、油脂、シリコーン油等;
【0093】
界面活性剤として、高級脂肪酸石けん、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオキシエチレン付加高級脂肪族アルコール、ポリオキシエチレン付加高級脂肪酸、ポリオキシエチレン付加アルキルフェノール、ポリオキシエチレン付加ソルビタン高級脂肪酸エステル、グリセリン高級脂肪酸エステル、ソルビタン高級脂肪酸エステル、ショ糖高級脂肪酸エステル、レシチン等のアニオン、カチオン、両性、非イオンなどの界面活性剤等が挙げられる。
【0094】
また、保湿剤として、アミノ酸類、NMF成分、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、PCAソーダ等;高分子物質として、コラーゲン、コラーゲン誘導体、ケラチン分解物等のタンパク質、キチン及びその誘導体、キトサン及びその誘導体、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、カラギーナン、プルラン、ペクチン、デキストリン、マルメロ、寒天、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリグルタミン酸メチル、ポリグルタミン酸エチル、アルギン酸ナトリウム及びカリウム、アクリル樹脂及びその誘導体、アルキル変性シリコーン、オキサゾリン変性シリコーン、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、トリメチルシロキシケイ酸、高重合メチルポリシロキサン、セルロース誘導体、アルキッド樹脂及びその誘導体、カルボキシビニルポリマー及びその誘導体またはその塩、オレフィン・無水マレイン酸共重合体又はその塩、エポキシ樹脂及びその誘導体、ビニルピロリドン及びその誘導体等;さらに
【0095】
クエン酸アセチルトリブチル等の可塑剤等;
オキシベンゾン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸、パラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、パラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル、サリチル酸オクチル、サリチル酸ホモメンチル等の各種ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体等の紫外線吸収剤;
【0096】
トコフェロール類、BHT、BHA、没食子酸エステル類等の酸化防止剤;エチレンジアミン四酢酸などの金属イオン封鎖剤;香料等の通常化粧料に配合される他成分を配合することが可能である。
【0097】
本発明の化粧料を調製するのに特に制限はなく、対象化粧料に適した形態(粉体状、水スラリー状、有機媒体スラリー状)の葉状シリカ2次粒子を配合することを除いては、公知の調製法を適宜適用することができる。
【0098】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ただし、これらはあくまで例示であり、本発明の技術的範囲がこれらにより、限定的に解釈されるものではない。
すなわち、本発明が適用される化粧料の種類、その構成成分については、以下の実施例に記載されたものに限定されるものではなく、また、通常化粧料に配合・使用される成分は、すべてなんらの制限なく含有することができる。
以下の実施例、比較例において、各成分の配合量は、特に断りなきかぎり、すべて質量%である。
【0099】
〔参考例1〕(葉状シリカ2次粒子の凝集したシリカ3次凝集体粒子の製造)
SiO2 /Na2 O=3.0(モル比)、SiO2 濃度21.0質量%であるケイ酸ナトリウム水溶液2000ml/minと、硫酸濃度20.0質量%の硫酸水溶液とを、放出口を備えた容器内に別個の導入口から導入して瞬間的に均一混合して、放出口から空中に放出される液のpHが7.5〜8.0になるように2液の流量比を調整し、均一混合されたシリカゾル液を放出口から連続的に空気中に放出させた。放出された液は、空気中で球形液滴となり、放物線を描いて約1秒間滞空する間に空中でゲル化した。落下地点には、水を張った水槽を置いておき、ここに落下せしめて熟成させた。
【0100】
熟成後、当該水槽のpHを6に調整し、さらに十分水洗して、シリカヒドロゲルを得た。得られたシリカヒドロゲル粒子は、粒子形状が球形であり、平均粒子径が6mmであった。このシリカヒドロゲル粒子中のSiO2 質量に対する水の質量比率は、4.55倍であった。
【0101】
上記シリカヒドロゲル粒子を、ダブルロールクラッシャーを用いて平均粒子径2.5mmに粗粉砕し、水熱処理を行い、以下のごとくしてシリカ3次凝集体粒子を得た。
【0102】
容量50000mlのオートクレーブ(電気加熱式、アンカ−型撹拌羽根付き)に、系内の総SiO2 /Na2 Oモル比が12.0になるように、上記粒径2.5mmのシリカヒドロゲル(SiO2 18質量%)23.7kg及びケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2 28.75質量%、Na2 O9.3質量%、SiO2 /Na2 O=3.17(モル比))5.5kgを仕込み、これにイオン交換水を10.7kgを加え、50rpmで撹拌しながら185℃で8時間水熱処理を行った。系内の総シリカ濃度は、SiO2 として15質量%であった。
【0103】
水熱処理後のスラリーは、濾布式竪型遠心分離機(東興機械社製、TU−18型)を用いて濾過水洗を行い、有姿含水率69.7質量%(固形分濃度30.3質量%)のシリカの湿ケーキを得た。
【0104】
湿ケーキ状の生成粒子の形態をSEMで観察したところ、葉状シリカ2次粒子が3次元的に凝集したシリカ3次凝集体粒子が形成されていることが観察された。またレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−920型)により粒子径を測定したところ、平均粒径は7.2μmであった。
【0105】
〔参考例2〕(葉状シリカ2次粒子の水スラリーの製造)
参考例1で得られた湿ケーキ1000g( 固形分濃度:30.3質量%) にイオン交換水1020gを加えて、再度シリカ3次凝集体粒子の水スラリー(固形分15質量%、pH 7.2)202gを調製した。
【0106】
次に、この水系スラリーを、媒体撹拌ビーズミル(シンマルエンタープライゼズ社製、ダイノーミルKDL−PILOT A型 (ベッセル容量1.4L、直径0.5mmジルコニアビーズ70%充填) )でシャフト回転数3400rpm、流量10L/hで3回通過させ、解砕・分散化を行い葉状シリカ2次粒子の水スラリーを得た。得られた葉状シリカ2次粒子の水スラリーの固形分濃度は、15質量%であった。
【0107】
次いで、この葉状シリカ2次粒子の水スラリーに、殺菌剤としてエタノールおよびメチルパラペンを、それぞれ5質量%および0.15質量%の濃度になるよう添加した。殺菌剤添加後の水スラリー中の微粒子の粒子径を測定した結果、平均粒子径は、1.55μmであった。またSEMで観察されるこの葉状粒子の平均厚さ0.06μmに対し、当該厚さに対する板の平均最長長さは、5.4μmであり、アスペクト比は90、板の平均最小長さは1.6μmで、アスペクト比は27であった。
【0108】
ちなみに、殺菌剤を添加していない葉状シリカ2次粒子の水スラリーと、上記のごとくして殺菌剤を添加した同水スラリーに、一般性菌を約10万個/g添加した。2週間後に、当該一般性菌数を測定したところ、殺菌剤無添加の場合には、ほぼ同じ値が得られたのに対し、殺菌剤を添加した場合には、一般性菌数は0個/gであった。
【0109】
〔参考例3〕(葉状シリカ2次粒子粉体の製造)
参考例1で得られた湿ケーキ1000g( 固形分濃度:30.3質量%) にイオン交換水7500gを加え、再度シリカ3次凝集体粒子の水スラリー(固形分3.7質量%、pH 7.2)を8500g調製した。
【0110】
これをスプレー乾燥機に供給して、熱風温度300℃の条件で噴霧乾燥を行い、300gの粉体を得た。この粉体の平均粒子径は、1.8μmであり、SEMで観察されるこの葉状粒子の平均厚さは0.07μmで、当該厚さに対する板の平均最長長さは、5.0μmでそのアスペクト比は71、板の平均最小長さは1.8μmで、アスペクト比は30であった。
【0111】
〔参考例4〕(葉状シリカ2次粒子の有機媒体スラリーの製造)
有機媒体としてメチルイソブチルケトン(以下、MIBKと略称することがある。)を使用して、葉状シリカ2次粒子の有機媒体スラリーを製造した。すなちわ、参考例2に示した湿式解砕後の葉状シリカ2次粒子の水スラリー(ただし、殺菌剤を添加していないもの。)25g( 固形分濃度:15質量%) にMIBK161gを加えて手でよく混合し、水とMIBKの混合スラリーを調製した。
【0112】
次に、この混合スラリー中の水を共沸留去するため、ロータリーエバポレーター(東京理化器械社製、N型)を使い、常圧単蒸留を行った。すなわち、当該混合スラリー186gを500mlナスフラスコに仕込んで、油浴150℃の条件で30分間蒸留し、共沸組成で留出する蒸気を冷却液化して受槽中で2相に分離させ、上相(MIBK相)と下相(水相)の分離液を得た。
【0113】
受槽中では、水相は、上相(MIBK相)の中を小球状で分離・沈降し下相(水相)と合一するので、水の留出状況が明確に確認できる。脱水が進行するにつれて、この分離小球(水相)が次第に少なくなり、脱水が終了に近づくと、当該ナスフラスコ内の蒸留釜残は次第に粘調になって、フラスコ壁面へのスラリー付着量が増大する。そこでさらにMIBKを32ml追加し、脱水を完全に遂行せしめた。
【0114】
留出液の総量は、139gであり、上相(MIBK相)は120.3g、下相(水相)は18.7gであった。各相の密度測定の結果、上相中の水は2%、下相(水相)中の水は98.1%と推定され、留出水分量は21gと推算される。原料の水スラリー中の水分は、約21.3gであるから、ほぼ全量が留出したと判断された。
【0115】
一方、蒸留残液として、半透明白色乳液状の有機媒体スラリー(MIBKスラリー)47gを得た。このスラリーの固形分濃度を赤外線照射式水分計(ケット社製、FD−600)で測定すると7.9質量%であり、含水率をカールフィッシャー式水分計(京都電子社製、MK−AS型)で測定すると、0.28質量%であった。
【0116】
一方、粒子形状をSEMで観察すると、葉状のシリカ2次粒子形状であることが観察された。
【0117】
また、当該有機媒体スラリー中の微粒子の粒子径を測定した結果、平均粒子径は、1.62μmであった。SEMで観察されるこの葉状粒子の平均厚さは0.065μmで、当該厚さに対する板の平均最長長さは、5.3μmでそのアスペクト比は85、板の平均最小長さは1.7μmで、アスペクト比は26であった。得られた葉状シリカ2次粒子のMIBK分散液の固形分濃度は、15質量%であった。
【0118】
〔実施例1〜4〕、〔比較例1〜3〕(O/W型サンスクリーンクリーム)
参考例で製造した葉状シリカ2次粒子(水分散液)を添加した場合、及び添加しない場合について、O/W型サンスクリーンクリームを調製し、以下のごとく評価した。
【0119】
(a)処方
表1に示す処方(O/W型サンスクリーンクリーム処方)に従った。
【0120】
(b)製造方法
表1中の配合成分(1)〜(8)を均一に加熱混合し、これに成分(9)を添加し均一に分散する。
配合成分(1)〜(9)の混合物に、さらに配合成分(10)〜(17)を加え、乳化後、室温まで冷却し、目的のサンスクリーンクリームを得る。
【0121】
(c)上記製造方法に従い、表1に示した処方により、実施例1〜4および比較例1〜3のO/W型サンスクリーンクリームを調製した。
得られたO/W型サンスクリーンクリームについて、下記(d)に示す評価方法により評価を行った。結果を表2に示した。
【0122】
【表1】
【0123】
(d)評価方法
得られたO/W型サンスクリーンクリームの性能試験における評価方法は、以下のとおりである。
【0124】
(イ)化粧持続性:
O/W型サンスクリーンクリームを塗布して、ガラスプレートに20μmの厚みの塗布膜を形成し、室温にて15分間乾燥後、水流下に10分間放置後、状態を観察し下記基準により評価した。
【0125】
〇:状態変化が見られない。
△:僅かに剥離している。
×:完全に剥離している。
【0126】
(ロ)塗布時の伸び:
O/W型サンスクリーンクリームによりパネラー10名による使用テストを行い、下記の<5段階絶対評価>を行い、その平均点をさらに下記の<4段階評価>にて行った。
【0127】
<5段階絶対評価>
(評 点)
良 い : 5 点、
やや良い : 4 点、
普 通 : 3 点、
やや悪い : 2 点、
悪 い : 1 点
【0128】
<4段階評価>
(評点)
◎: 4点以上、
○: 3点以上4点未満、
△: 2点以上3点未満、
×: 2点未満
【0129】
(ハ)密閉感:
パネラー10名による使用テストを行い、塗布後2〜3時間後に各項目について、下記の<5段階絶対評価>を行い、その平均点をさらに上記の<4段階評価>にて行った。
【0130】
<5段階絶対評価>
(評 点)
密閉感等が全くない: 6 点、
密閉感等がない: 5 点、
密閉感等が普通にある: 3 点、
密閉感等がややある: 2点、
密閉感等が常にある: 1 点
【0131】
(ニ)べとつき:
上記(ハ)と同様に、パネラー10名による使用テストを行い、同様に評価した。
【0132】
(ホ)つっぱり感:
上記(ハ)と同様に、パネラー10名による使用テストを行い、同様に評価した。
【0133】
【表2】
【0134】
(e)結果と考察
O/W型サンスクリーンクリームのような、一般的にO/W型乳化物は、外相が油相となるw/o型より使用性が優れるという利点があるが、一方、外相が水相であるため、汗などによる化粧持続性に問題がある。そのため、化粧持続性を向上させるため、通常皮膜形成性高分子が配合されるが、あまり配合すると密閉感、べとつき、つっぱり感等の使用性が悪化するため、従来、当該使用性との兼ね合いで、十分満足いく量を配合することが出来なかった。
【0135】
本発明によれば、かかる皮膜形成性高分子の添加量をあまり増加させなくても、O/W型乳化物の使用性での特性を維持したまま、従来の問題点である化粧持続性を改良することが出来ることが確認された。
【0136】
また、本発明における葉状シリカ2次粒子は、それ自身皮膜形成性を有するものであり、かつ、当該皮膜は、無機物による皮膜であるため、従来の高分子の皮膜とは異なり、塗布後2〜3時間経過しても、さらっとした仕上がりであり、密閉感、べとつき、つっぱり感がない。
【0137】
〔実施例5〕(油性ケーキファンデーション)
参考例3で製造した葉状シリカ2次粒子(粉末)を添加した場合について油性ケーキファンデーションを調製し、評価した。
【0138】
(a)処方
表3に示す処方に従った。
【0139】
(b)製造方法
表3中の配合成分(1)〜(6)を均一に粉砕する。次ぎに配合成分(7)〜(15)を加熱混合し、成分(1)〜(6)を加え均一に撹拌する。
撹拌物を脱泡後、トレイに流し込み、室温まで徐冷して、目的の油性ケーキファンデーションを得る。
【0140】
(c)結果と考察
本発明による油性ケーキファンデーションは、良好な化粧持続性を有し、伸びがよく、かつ、基本的にそれ自身皮膜形成能を有する葉状シリカ2次粒子の皮膜が形成されるため、ワックス皮膜特有の油っぽい使用感がなく、塗布後2〜3時間ご経過しても、密閉感、べとつき、つっぱり感がない、さらっとした仕上がりであった。
【0141】
【表3】
【0142】
〔実施例6〕(O/W型乳化ファンデーション)
参考例2で製造した葉状シリカ2次粒子(水分散液)を添加した場合についてO/W型乳化ファンデーションを調製し、評価した。
【0143】
(a)処方
表4に示す処方に従った。
【0144】
(b)製造方法
表4中の配合成分(1)〜(7)を加熱溶融し、これに撹拌混合した成分(8)〜(9)を加え均一に分散する。これに、加熱溶融した成分(10)〜(16)を徐々に加えて乳化を行い、室温まで撹拌冷却して、目的のO/W型乳化ファンデーションを得る。
【0145】
(c)結果と考察
本発明によるO/W型乳化ファンデーションは、伸びが良く、O/W型であるにも関わらず、自己皮膜形成性を有する葉状シリカ2次粒子の無機皮膜による良好な化粧持続性を有し、塗布後2〜3時間後経過しても、密閉感、べとつき、つっぱり感がない、さらっとした仕上がりであった。
【0146】
【表4】
【0147】
〔実施例7〕(アイライナー)
参考例2で製造した葉状シリカ2次粒子(水分散液)を添加した場合についてアイライナーを調製し、評価した。
【0148】
(a)処方
表5に示す処方に従った。
【0149】
(b)製造方法
表5中の配合成分(1)〜(8)を加熱溶融し、これに撹拌混合した成分(9)〜(10)を加え均一に分散した後、冷却して、目的のアイライナーを得る。
【0150】
(c)結果と考察
本発明によるアイライナーは、汗や涙などに対して強固な化粧膜を維持し、伸びが良く、自己皮膜形成性を有する葉状シリカ2次粒子の皮膜により、酢酸ビニル樹脂エマルションの密閉感、べとつき、つっぱり感が改善され、さらっとした仕上がりであった。
【0151】
【表5】
【0152】
〔実施例8〕(口紅)
参考例3で製造した葉状シリカ2次粒子(粉末)を添加した場合について口紅を調製し、以下の以下のごとく評価した。
【0153】
(a)処方
表6に示す処方に従った。
【0154】
(b)製造方法
表6中の配合成分(1)〜(11)を加熱溶融混合し均一に撹拌する。
撹拌物を脱泡後、モールドに流し込み、急冷し、目的の口紅を得る。
【0155】
(c)結果と考察
本発明による口紅は、衣服やカップなどへ移りにくく、密閉感、べとつき、つっぱり感がなく、さらっとした仕上がりであった。
【0156】
【表6】
【0157】
〔実施例9〕(溶剤型ネイルエナメル)
参考例4で製造した葉状シリカ2次粒子(MIBK分散液)を添加した場合について溶剤型ネイルエナメルを調製し、評価した。
【0158】
(a)処方
表7に示す処方に従った。
【0159】
(b)製造方法
表7中の配合成分(1)〜(11)を均一に混合し、これに成分(12)〜(17)を添加し均一に分散し、目的の溶剤型ネイルエナメルを得る。
【0160】
(c)結果と考察
本発明による溶剤型ネイルエナメルは、JIS 5600の鉛筆強度測定法により鉛筆強度を測定した結果、葉状シリカ2次粒子未配合品と比較し、耐久性が著しく向上することが確認された。また、皮膜形成性の樹脂を配合した場合と異なり、糸引きがないため、伸びが良く、形成した皮膜は、酸素透過性に優れるため、密閉感がなく、さらっとした仕上がりであった。
【0161】
【表7】
【0162】
〔実施例10〕(W/O型マスカラ)
参考例3で製造した葉状シリカ2次粒子(粉末)を添加した場合についてW/O型マスカラを調製し、評価した。
【0163】
(a)処方
表8に示す処方に従った。
【0164】
(b)製造方法
表8中の配合成分(1)〜(2)を加熱溶融し、これに撹拌混合した成分(3)〜(5)を加え均一に分散する。これに加熱溶融した(6)〜(8)を徐々に加え乳化を行い、室温まで撹拌冷却し、さらに(9)を加え、全体を均一として、目的のW/O型マスカラを得る。
【0165】
(c)結果と考察
本発明によるW/O型マスカラは、汗や涙などに対して強固な化粧膜を維持し、伸びが良く、自己皮膜形成性を有する葉状シリカ2次粒子の皮膜により、W/O乳化型特有の密閉感、べとつきを改善し、さらっとした仕上がりであった。
【0166】
【表8】
【0167】
〔実施例11〕(ヘアジェル)
参考例2で製造した葉状シリカ2次粒子(水分散液)を添加した場合について、ヘアジェルを調製し、評価した。
【0168】
(a)処方
表9に示す処方に従った。
【0169】
(b)製造方法
表9中の配合成分(1)、(3)を(10)の一部に分散させる。また、成分(10)の残部に、成分(2)、(4)〜(9)を溶解する。両者を撹拌下に混合して目的のヘアジェルを得る。
【0170】
(c)結果と考察
本発明によるヘアジェルは、毛髪への伸び及び皮膜形成性の葉状シリカ2次粒子の造膜効果によりヘアスタイリングを維持し、水溶性高分子独特のべとつきを軽減しさらっとした仕上がり感となった。
【0171】
【表9】
【0172】
〔実施例12〕(化粧水)
参考例2で製造した葉状シリカ2次粒子(水分散液)を添加した場合について、化粧水を調製し、評価した。
【0173】
(a)処方
表10に示す処方に従った。
【0174】
(b)製造方法
表10中の配合成分(1)〜(10)を室温で均一に撹拌・混合し、目的の化粧水を得る。
【0175】
(c)結果と考察
本発明による化粧水の基本的な効果は、皮膜形成性を有する葉状シリカ2次粒子の造膜効果による化粧持続性であり、化粧水に配合することで当該葉状シリカ2次粒子の密閉効果と、さらに当該葉状シリカ2次粒子表面シラノール基に若干の水分を保持することで、保水性に優れ、さらっとした仕上がり感となることが確認された。
【0176】
【表10】
【0177】
〔実施例13〕(クリーム)
参考例2で製造した葉状シリカ2次粒子(水分散液)を添加した場合について、クリームを調製し、評価した。
【0178】
(a)処方
表11に示す処方に従った。
【0179】
(b)製造方法
表11中の配合成分(1)〜(7)を加熱溶融する。これに成分(8)〜(13)を徐々に添加して乳化し、室温まで冷却して目的のクリームを得る。
【0180】
(c)結果と考察
本発明によるクリームは、実施例12記載の化粧水と同様に、その基本的な効果は、皮膜形成性を有する葉状シリカ2次粒子の造膜効果による化粧持続性であり、クリームに配合することで当該葉状シリカ2次粒子の密閉効果と、さらに当該葉状シリカ2次粒子表面シラノール基に若干の水分を保持することで、保水性に優れ、さらっとした仕上がり感となることが確認された。
【0181】
【表11】
【0182】
〔実施例14〕(ピールオフパック)
参考例2で製造した葉状シリカ2次粒子(水分散液)を添加した場合について、ピールオフパックを調製し、評価した。
【0183】
(a)処方
表12に示す処方に従った。
【0184】
(b)製造方法
表12中の配合成分(1)〜(8)を加熱混合する。これに撹拌混合した成分(9)〜(10)を添加し、均一に分散する。当該分散物に、成分(11)〜(13)を加えて加熱溶解後、室温まで冷却する。さらに、成分(14)を添加して全体を均一にし、目的のピールオフパックを得る。
【0185】
(c)結果と考察
本発明によるピールオフパックは、皮膜形成性の葉状シリカ2次粒子の有する造膜効果により、強い皮膜が得られると共に、実施例12記載の化粧水同様、ピールオフパックに配合することで当該葉状シリカ2次粒子の密閉効果が付与され、また、葉状シリカ2次粒子表面シラノール基に若干の水分を保持することで、保水性に優れ、しっとりした使用感が得られた。
【0186】
【表12】
【0187】
〔実施例15〕(洗顔フォーム)
参考例3で製造した葉状シリカ2次粒子(粉末)を添加した場合について洗顔フォームを調製し、評価した。
【0188】
(a)処方
表13に示す処方に従った。
【0189】
(b)製造方法
表13中の配合成分(1)〜(11)を加熱混合し均一に溶解する。これに成分(12)〜(14)を添加し、室温まで冷却する。その後適用な容器に充填し、目的の洗顔フォームを得る。
【0190】
(c)結果と考察
本発明による洗顔フォームは、泡立ちが良く、使用性、経時安定性のいずれも良好であった。
【0191】
すなわち、本発明による洗顔フォームの基本的な効果は、配合した皮膜形成性の葉状シリカ2次粒子の造膜効果による化粧持続性であるが、さらに配合された当該シリカ2次粒子間の間隙に空気を抱き込み、あわ立ちがよくなるため、洗浄後のヌルツキが少なく、さっぱりとした使用感となった。
【0192】
なお、特許文献1には、球状シリカを配合することによる同様の効果が記載されているが、本発明の洗顔フォームのほうがずっと泡立ち使用感共に良好であった。
【0193】
【表13】
【0194】
〔実施例16〕(シャンプー)
参考例3で製造した葉状シリカ2次粒子(粉末)を添加した場合についてシャンプーを調製し、評価した。
【0195】
(a)処方
表14に示す処方に従った。
【0196】
(b)製造方法
表14中の配合成分(1)〜(9)を加熱混合し均一に溶解して室温まで冷却し、目的のシャンプーを得る。
【0197】
(c)結果と考察
本発明によるシャンプーは、実施例15の洗顔フォームと同様に泡立ちが良く、使用性、経時安定性のいずれも良好であった。
【0198】
すなわち、実施例15の洗顔フォームと同様に、配合された当該シリカ2次粒子間の間隙に空気を抱き込み、あわ立ちがよくなるため、洗浄後のヌルツキが少なく、さっぱりとした使用感となった。
【0199】
なお、特許文献1に球状シリカを配合することによる同様の効果が記載されているが、本発明のシャンプーのほうが泡立ち使用感共に良好であった。
【0200】
【表14】
【0201】
【発明の効果】
本発明の化粧料には、上記実施例にも示したように、自己造膜性を有する葉状シリカ2次粒子が配合されているため、従来問題となっている皮膜形成性高分子物質特有の密閉感による厚ぼったさ、べとつき、つっぱるなどの使用感が大幅に改善され、本発明に従えば、化粧持続性、使用性に優れた化粧料が提供される。
Claims (6)
- 葉状シリカ2次粒子を配合した化粧料であって、当該葉状シリカ2次粒子が、シリカ3次凝集体粒子の水スラリーを湿式ビーズミル、湿式ボールミル、及び薄膜旋回型高速ミキサーから選択される湿式粉砕装置に供給して、当該シリカ3次凝集体粒子を湿式解砕処理して得られるものであり、鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し、複数枚重なって形成される積層構造の粒子形態を有し、かつ、強固なシリカ皮膜を形成しうる自己造膜性を有する当該葉状シリカ2次粒子を配合してなることを特徴とする化粧持続性に優れた化粧料。
- 前記化粧料に配合する積層構造の粒子形態を有し、かつ、自己造膜性を有する前記葉状シリカ2次粒子の厚さが、0.001〜3μmであり、また、アスペクト比が、少なくとも10以上である請求項1に記載の化粧料。
- 前記化粧料に配合する積層構造の粒子形態を有し、かつ、自己造膜性を有する前記葉状シリカ2次粒子が、粉体状である請求項1に記載の化粧料。
- 前記化粧料に配合する積層構造の粒子形態を有し、かつ、自己造膜性を有する前記葉状シリカ2次粒子が、水中に1〜30質量%の濃度で分散したスラリー状である請求項1に記載の化粧料。
- 前記化粧料に配合する積層構造の粒子形態を有し、かつ、自己造膜性を有する前記葉状シリカ2次粒子が、有機媒体中に1〜20質量%の濃度で分散したスラリー状である請求項1に記載の化粧料。
- さらに皮膜形成能を有する高分子物質の1種または2種以上を、積層構造の粒子形態を有し、かつ、自己造膜性を有する前記葉状シリカ2次粒子の補助成分として配合してなる請求項1〜5のいずれかに記載の化粧料。
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