JP4040475B2 - Micromechanical filter and portable information terminal - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波帯域で動作可能なマイクロメカニカルフィルタ及びこのマイクロメカニカルフィルタを用いた携帯型情報端末に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の無線通信技術はめざましい発展を遂げ、情報の高速伝送を目的とした開発が進められている。PHSシステムや第3世代携帯通信、無線LAN等の導入により、無線通信技術で用いられる周波数領域は2GHz前後のマイクロ波帯域が利用され、加入者数、端末数等も飛躍的に増大している。搬送波の周波数は更に高周波化が進められ、無線LANシステムの5GHz帯での商用化も開始された。
【0003】
この様なマイクロ波帯域の無線通信技術を利用した高周波通信機器においては小型化、軽量化が要求されている。特に、高周波通信機器を携帯型情報端末に利用する場合は、マイクロ波帯域の高周波(RF)信号を処理するRFフロントエンド部が、空洞共振器やLC回路の通過帯域特性を用いてフィルタリングしていたため、装置の小型化、薄型化に限界があった。特にLC回路に用いるコイル(インダクタ)の小型化は困難である。更に、コイル(インダクタ)には抵抗損失があるため、俊敏なフィルタ特性を得ることが出来ない欠点がある。
【0004】
一方、近年、半導体微細加工技術を用いて微細な機械構造を電子回路と一体化して作製するマイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム(MEMS)技術が脚光を浴びている。MEMS技術の応用は多岐にわたるが、その1つに微小なメカニカルフィルタ(以下では「マイクロメカニカルフィルタ」という。)がある。この様なマイクロメカニカルフィルタは小型で集積化が可能であることから通信分野への応用が期待されている。
【0005】
この様なMEMS技術を用いたマイクロメカニカルフィルタの一例として図11に示すような多結晶シリコンを用いたマイクロメカニカルフィルタが報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。図11では、Si3N4層とSiO2層よりなる絶縁層が形成されたSi基板(図示せず)に、不純物を添加した多結晶シリコン(以下において、「ドープド・ポリシリコン」という。)からなる固定電極101aと101bを両側の支点とし、ドープド・ポリシリコンからなる共振子102aと102bが両持ち梁状に形成されている。又、両持ち梁共振子102aの下には微小な距離dを隔てて入力用電極104aが、両持ち梁共振子102bの下には出力用電極104bが形成されている。更に両持ち梁共振子102aと102bとの間は結合子103により機械的に結合されている。図11に示すマイクロメカニカルフィルタにおいては、導電性の両持ち梁共振子102aと102bを固定電極101bを介して電圧Vpでバイアスし、入力用電極104aに交流信号v1を入力すると、両持ち梁共振子102aとの間にz方向の静電気力が生じる。交流信号v1の周波数が両持ち梁共振子102aの共振周波数に一致すると両持ち梁共振子102aは大きくz方向にたわみ振動し、その振動は結合子103を介して両持ち梁共振子102bに伝えられる。両持ち梁共振子102bが両持ち梁共振子102aと同一構造であれば、その共振周波数も同一であるため、結合子103により伝えられた振動により両持ち梁共振子102bも共振する。その結果、両持ち梁共振子102bと出力用電極104b間の静電容量が変化し、交流電流i2が流れることになる。結果として、入力交流電圧v1の周波数が両持ち梁共振子102a、102bの共振周波数に近いときにのみ出力交流電流i2が得られることになる。したがってこの素子を共振子の共振周波数f0を中心周波数とするバンドパスフィルタとみなすことが出来る。このフィルタの帯域は主に両持ち梁共振子102a、102bの寸法によって決り、良好なフィルタ特性を得るためには入力端を適切な値の抵抗R1、出力端を適切な値のR2によって終端する必要がある。
【0006】
【非特許文献1】
クラークT.C.グェン(Clark T.C. Nguyen):米国電子電気学会(IEEE)トランザクション・オン・マイクロウェーブ・セオリー・アンド・テクニックス( Transactions on Microwave Theory and Techniques),第47巻、第8号,1999年8月,p.1486
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図11に示したような従来のマイクロメカニカルフィルタは以下に述べるような大きな問題を有している。マイクロメカニカルフィルタを300MHz以上のマイクロ波帯域で使用するためには、共振子の共振周波数f0を高く、即ち、共振子の寸法を小さくする必要がある。両持ち梁共振子の長さをl、厚さをh、幅をwとすると、両持ち梁共振子の共振周波数f0は以下の式(1)で与えられる。即ち、
f0 ∝ h/l2 ・・・・・(1)
であるが、両持ち梁共振子がたわみ振動を行うためには、
h < l ・・・・・(2)
w < l ・・・・・(3)
である必要がある。
【0008】
一方、図11に示すマイクロメカニカルフィルタの入力側では、電圧→力の変換の静電変換トランスデューサー、出力側では、振動速度→電流の変換の静電変換トランスデューサーが構成されている。したがって、図11に示す終端抵抗R1とR2の値は、両持ち梁共振子と入出力電極間に形成される静電変換トランスデューサーの電気機械変換効率ηeの二乗に反比例する。即ち、
R1,R2 ∝ 1/ηe 2 ・・・・・(4)
である。電極幅weの静電変換トランスデュサーの静電容量を
C0 ≒ w・we/d ・・・・・(5)
として、静電変換トランスデューサーの電気機械変換効率ηeは、
ηe = Vp・C0/d ・・・・・(6)
で与えられる。以上のことから共振周波数f0を上げるために共振子の長さlを小さくすると、それに応じて共振子の幅wを小さくせねばならず、又、電極の幅weはlより小さいので、静電容量C0が小さくなることがわかる。結果として、電気機械変換効率ηeが小さくなり、ηeの二乗に反比例する終端抵抗R1,R2の値は非常に大きくなることがわかる。しかしながらマイクロメカニカルフィルタに接続する素子とのインピーダンス整合の条件から許される終端抵抗R1,R2の値は典型的には50Ω〜2kΩ程度であり、このことがマイクロメカニカルフィルタの高周波化を阻んでおり、従来報告されているマイクロメカニカルフィルタの通過周波数は高々100MHz〜200MHzであり、300MHz以上のマイクロ波帯域での動作は困難である。
【0009】
本発明は、上記した従来技術の欠点を除くためになされたものであって、その目的とするところは、小型で、マイクロ波帯域での高周波特性に優れた、マイクロメカニカルフィルタ及び携帯型情報端末を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の第1の特徴は、(イ)入力用共振子と、(ロ)この入力用共振子を高次の共振モードで振動させるように、入力用共振子に近接して配置された入力用駆動電極と、(ハ)入力用共振子に接続された結合子と、(ニ)この結合子に接続され、入力用共振子の振動により励振される出力用共振子と、(ホ)この出力用共振子の振動を静電容量の変化により検知するための検出用電極とを備え、入力用共振子の特定の高次のモードのみを利用して、特定の周波数のマイクロ波信号を通過させるマイクロメカニカルフィルタであることを要旨とする。周知のように「マイクロ波」とは、狭義には300MHz〜30GHzの電磁波を意味するが、本発明は300MHz〜5GHz程度のマイクロ波、特に1GHz〜5GHz程度のマイクロ波の領域で好適である。「入力用共振子の高次のモード」とは、図2(a)に示す入力用共振子の両端にのみノード(節)が存在する1次の共振モードよりも高次のモードの意である。即ち、図2(b)及び(c)に示すように、入力用共振子の内部に1以上の節が存在する振動モードが「入力用共振子の高次のモード」である。
【0011】
高次の振動モード(高次のモード)を利用する方法では、例えば3次の共振モードを利用した場合、入力信号の1次と2次の共振モードの周波数付近の周波数成分も通過する問題を考慮する必要がある。このため、特定の高次のモードのみを利用して、他の振動モードを抑制するには、具体的には以下のようにすれば良い。即ち、
入力用駆動電極を、入力用共振子を特定の高次の共振モードのみで振動させるように、高次の共振モードの節点を基準として配置し、出力用共振子を入力用共振子と同一構造とし、入力用共振子及び入力用駆動電極と同一位置関係で出力用共振子に対して検出用電極を配置すれば、特定の高次のモードのみを励振出来る。即ち、静電気力の分布を共振モードの節点を基準として設計し、入力用駆動電極の寸法と位置及びバイアス電圧を制御することにより、利用する高次共振モードよりも低次の共振モードの発生を抑圧することが出来る。
【0012】
或いは、出力用共振子を入力用共振子とは異なる構造とし、入力用共振子が振動する第1の高次の共振モードとは異なる次数の第2の高次の共振モードで振動し、且つ第1及び第2の高次の共振モードの共振周波数が一致するように検出用電極を配置しても、特定の高次のモードの周波数のみを通過させることが可能である。即ち、マイクロメカニカルフィルタを構成する出力用共振子と入力用共振子の形状を互いに異なるようにし、異なる次数の共振モードでの共振周波数を一致させることにより、素子全体としては両者の共振が一致する通過周波数でのみ信号を通過させることが出来る。
【0013】
この様にして利用する共振周波数よりも低い共振の影響を無くすことが出来るので、マイクロメカニカルフィルタの寸法を小さくすることなく、300MHz〜5GHz程度のマイクロ波領域への高周波化が達成出来る。しかも、この様なマイクロ波領域において、静電容量の低下による電気機械変換効率ηeの低下や終端抵抗が大きくなるという問題も発生しない。
【0014】
入力用共振子及び出力用共振子は、それぞれ両持ち梁構造のたわみ振動をしても良く、互いに半径の異なる円板形状で、それぞれ半径方向に拡がり振動をするようにしても良い。
【0015】
本発明の第2の特徴は、(イ)アンテナと、(ロ)入力用共振子、出力用共振子及び入力用共振子と出力用共振子とを接続する結合子を有し、入力用共振子及び出力用共振子の特定の高次のモードのみを利用して、アンテナから供給されるマイクロ波信号を通過させるマイクロメカニカルフィルタと、(ハ)局部発振器と、(ニ)マイクロメカニカルフィルタを通過した信号と局部発振器の信号とを混合するミキサとを備える携帯型情報端末であることを要旨とする。ここで、「入力用共振子及び出力用共振子の高次のモード」とは、図2(b)及び(c)に示すように、入力用共振子及び出力用共振子の内部に1以上の節が存在する振動モードである。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して、本発明の第1〜第3の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0017】
又、以下に示す第1〜第3の実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることが出来る。
【0018】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタは、図1に示すように、入力用共振子71と、この入力用共振子71を高次の共振モードで振動させるように、入力用共振子71に近接して配置された入力用駆動電極(51,52,91)と、入力用共振子71に接続された結合子10と、この結合子10に接続され、入力用共振子71の振動により励振される出力用共振子72と、この出力用共振子72の振動を静電容量の変化により検知するための検出用電極(53,54,92)とを備え、入力用共振子71の特定の高次のモードのみを利用して、特定の周波数のマイクロ波信号を通過させるマイクロメカニカルフィルタである。入力用共振子71及び出力用共振子72は、図1に示すように、両端をそれぞれ固定したドープド・ポリシリコンからなる両持ち梁構造をしている。
【0019】
図1では図示を省略しているが、このマイクロメカニカルフィルタは、図4(d)に示すように、Si基板31と、Si基板31の上部に配置された第1絶縁膜32と、第1絶縁膜32の上に配置された第2絶縁膜33が配置された構造を基体としている。即ち、入力用共振子71と出力用共振子72のそれぞれの両端を固定し両持ち梁構造を実現する接続電極41,42が、図4(d)に示す第1絶縁膜32と第2絶縁膜33とからなる複合膜上に配置されている。第1絶縁膜32と第2絶縁膜33とからなる複合膜により、この上に配置された接続電極41,42が、Si基板31と絶縁される。例えば、第1絶縁膜32としてシリコン酸化膜(SiO2膜)、第2絶縁膜33としてシリコン窒化膜(Si3N4膜)を用いることが可能である。
【0020】
接続電極41,42は、導電性材料であれば、種々の材料が採用可能である。入力用共振子71及び出力用共振子72と同様にドープド・ポリシリコンを採用するのが、製造工程が容易になるので好ましい。接続電極41,42の電気抵抗を下げ、電気機械変換効率ηeを向上するためには、金属が好ましく、製造工程を考慮すれば、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)等の高融点金属が、接続電極41,42として好ましい。或いは、接続電極41,42として、高融点金属のシリサイド(WSi2,TiSi2,MoSi2)等が採用可能である。
【0021】
図1に示すように、入力用共振子71の上下には微小な距離dを隔てて、入力用駆動電極として、入力用下部電極51,52と入力用上部電極91が形成されている。更に入力用共振子71と対をなす出力用共振子72に対しては、検出用電極として、出力用下部電極53,54と出力用上部電極92が図1に示すのように形成されている。又、入力用共振子71及び出力用共振子72との間は、梁状の結合子10により機械的に結合されている。
【0022】
入力用下部電極51,52、入力用上部電極91、出力用下部電極53,54及び出力用上部電極92は、導電性材料であれば、種々の材料が採用可能であり、ドープド・ポリシリコン、高融点金属、高融点金属のシリサイド等が採用可能である。製造工程を考慮すると、入力用下部電極51,52及び出力用下部電極53,54は、接続電極41,42と同一材料であるのが便利である。
【0023】
図1に示すマイクロメカニカルフィルタにおいては、導電性の入力用共振子71と出力用共振子72を接続電極42を介して電圧Vpでバイアスし、入力用上部電極91に交流信号v1を入力すると、入力用共振子71との間にz方向の静電気力が生じる。交流信号v1の周波数が入力用共振子71の共振周波数に一致すると入力用共振子71は大きくz方向にたわみ振動し、その振動は結合子10を介して出力用共振子72に伝えられる。出力用共振子72が入力用共振子71と同一構造であるので、その共振周波数も同一であるため、結合子10により伝えられた振動により出力用共振子72も共振する。その結果、出力用共振子72と出力用上部電極92間の静電容量が変化し、交流電流i2が流れることになる。結果として、入力交流電圧v1の周波数が入力用共振子71、出力用共振子72の共振周波数に近いときにのみ出力交流電流i2が得られることになる。したがって入力用共振子71と出力用共振子72の共通の周波数f0を通過周波数とするバンドパスフィルタとみなすことが出来る。
【0024】
第1の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタは、図2(c)及び図3に示した3次の振動モードの節の位置に、入力用下部電極51,52と入力用上部電極91との境界部が存在するように、電極配置が設計されている。同様に、3次の振動モードの節の位置に、出力用下部電極53,54と出力用上部電極92との境界部が存在するように、電極配置が設計されている。この様な電極配置にしておけば、後述の説明から明らかなように、1次と2次の共振を防止し、3次の共振のみを利用するマイクロメカニカルフィルタを実現出来、高周波化が達成される。
【0025】
図2は1次から3次までの共振時の振動モードを示している。図2(b)に示す2次の共振は図2(a)に示す1次共振の1.7倍、図2(c)に示す3次共振は図2(a)に示す1次共振の2.3倍の周波数である。特に、第1の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタは、3次共振のみを利用出来るように、入力用下部電極51,52と入力用上部電極91との境界部、及び出力用下部電極53,54と出力用上部電極92との境界部の位置が設計されており、入力信号の1次と2次の共振周波付近の周波数成分は通過しない。
【0026】
図3は入力用共振子71及び出力用共振子72の3次の振動モードの振動を説明するための図である。図3では、括弧内に出力用共振子72に対応する符号を付しているが、入力用共振子71と出力用共振子72とで動作は基本的に同じである。説明を簡単にするために入力用共振子71(出力用共振子72)は0電位とし、入力用下部電極51,52(出力用下部電極53,54)は直流電圧Vbバイアスされ、入力用上部電極91(出力用上部電極92)はVaでバイアスされて入力電圧v1が印加されているものとする。又、入力用共振子71(出力用共振子72)と入力用上部電極91(出力用上部電極92)のギャップをda、入力用共振子71(出力用共振子72)と入力用下部電極51,52(出力用下部電極53,54)のギャップをdbとする。このときの入力用共振子71(出力用共振子72)の長さ方向の座標をxとし、x方向に単位長さ当たりQ(x)exp(jωt)の分布力が加わっているとすると、入力用共振子71及び出力用共振子72のz方向の変位をξ(x)として、ξ(x)は振動論における周知の関係より、両持ち梁構造のたわみ振動の強制振動解として次式で与えられる。
【0027】
【数1】
ξ(x)=ΣAm・Ξm(x)・exp(jωt)/(ωm 2−ω2) ・・・・・(7)
ここでωmとΞm(x)はそれぞれm次(m=1,2,3,・・・・・)の共振における角振動数と規準固有関数である。Eを入力用共振子71(出力用共振子72)のヤング率、Iを入力用共振子71(出力用共振子72)の断面2次モーメント(=wh3/12)、ρを入力用共振子71(出力用共振子72)の密度、Aを入力用共振子71(出力用共振子72)の断面積(=wh)とすると、入力用共振子71(出力用共振子72)のm次の共振角振動数ωmは、式(8)で与えられる:
ωm=(αm/l)2(EI/ρA)1/2 ・・・・・(8)
式(8)における定数αmは、以下の式(9)の解として与えられる:
cosαm・coshαm=1 ・・・・・(9)
X=x/lとすると、入力用共振子71(出力用共振子72)のm次の規準固有関数Ξm(x)は、以下の式(10)で与えられる:
【数2】
Ξm(x)={(sinαm−sinhαm)(cosαmX−coshαmX)−(cosαm−coshαm)(sinαmX−sinhαmX)}/(sinαm−sinhαm) ・・・・・(10)
式(7)のAmは、分布力Q(x)を規準固有関数Ξm(x)でフーリエ展開表示した場合の係数で、次式(11)で与えられる。
【0028】
Am=∫Q(x)Ξm(x)dx/M ・・・・・(11)
式(11)で、Mは入力用共振子71(出力用共振子72)の質量である。電極51,52,91(53,54,92)の配置を図3のようにした場合、分布力Q(x)は入力用共振子71(出力用共振子72)の変位ξが小さければ、次式(12a)及び(12b)で与えられる。
【0029】
【数3】
Q(x)=ε0・w・Va/da 2・v1 (x1<x<1−x1) ・・・・・(12a)
=ε0・w・Vb/db 2・v1(0<x<x1,1−x1<x<l)・・・・・(12b)
ここでε0は真空の誘電率である。
【0030】
式(10),(12a)及び(12b)を式(11)に代入し計算すると、フーリエ展開表示の係数Amは、
【数4】
Am=(ε0・w・v1/ρA)[(Va/da 2)∫IIΞm(x)dx
−(Vb/db 2)∫I +IIIΞm(x)dx] ・・・・・(13)
となる。ここでIは0<x<x1,IIはx1<x<1−x1,IIIは1−x1<x<lでの積分を示す。m=2のとき、規準固有関数Ξm(x)はx=1/2に関し反対称であるから、式(13)のすべての積分は0となる。即ち、フーリエ展開表示の係数A2=0である。
【0031】
一方、m=1のとき、
【数5】
A1=(ε0・w・v1/ρA)[(Va/da 2)∫IIΞ1(x)dx
−(Vb/db 2)∫I +IIIΞ1(x)dx] ・・・・・(14)
に、式(10)を代入して、x1/l=0.356に選ぶと、
【数6】
A1=(ε0・w・v1/ρA)[0.400(Va/da 2)−0.4311(Vb/db 2)] ・・・・・(15)
となる。x1/l=0.356は、図2(c)に示す3次の振動モードにおいて変位ξ(x)が0になる、いわゆる節の位置である。x1/l=0.356に選ぶことにより、効率よく3次共振を起こすことが出来る。
【0032】
この様に、特に電極51,52,91(53,54,92)の配置を示す座標x1をx1/l=0.356に選んだ場合でおけば、フーリエ展開表示の係数A1を0に出来る条件が存在する。例えば、入力用共振子71(出力用共振子72)と入力用下部電極51,52(出力用下部電極53,54)のギャップdbと、入力用共振子71(出力用共振子72)と入力用上部電極91(出力用上部電極92)のギャップdaを同じにしたときは、式(15)から、Va/Vb=0.927のときにA1が0になる。da=db条件は、後述するマイクロメカニカルフィルタ製造工程が容易になるので、好都合である。
【0033】
又、Va=Vb即ち、直流電源の数を減らすために入力用下部電極51,52(出力用下部電極53,54)と入力用上部電極91(出力用上部電極92)に対するバイアス電圧を同じにしたときにはda/db=1.04のときにA1が0になる。
【0034】
以上のように、ある条件下で、フーリエ展開表示の係数A1とA2を0に出来るということは、入力信号v1に1次共振の角振動数ω1と2次共振の角振動数ω2の成分が含まれていても共振が生じないことを意味している。したがって、図2(c)及び図3に示した3次の振動モードの節の位置(x1/l=0.356)に、入力用下部電極51,52(出力用下部電極53,54)と入力用上部電極91(出力用上部電極92)との境界部が存在するように、電極配置を設計しておけば、バイアス電圧の調整により1次と2次の共振が生ぜず、3次の共振のみを利用するマイクロメカニカルフィルタを実現することが出来る。
【0035】
実際上は、ギャップを一定にしたときのVa/Vb≒1であり、又、バイアス電圧を一定にしたときのda/db≒1であるから、バイアス電圧をVp=Va=Vb、ギャップをd=da=dbとしても良い。図1の構造例はこの場合である。
【0036】
本発明の第1の実施の形態によれば低次の共振が生じないため、高次振動を利用することが出来、マイクロメカニカルフィルタの寸法を、現在の微細加工技術の限界よりも、小さくすることなく高周波化が達成出来る。例えば、1〜5GHz程度のマイクロ波帯域の、若しくは更に高周波のマイクロ波帯域における動作を実現出来る。更に、1〜5GHz程度のマイクロ波帯域において、静電容量の低下による電気機械変換効率ηeの低下が生ぜず、終端抵抗R1,R2が大きくなるという問題を回避出来る。なお、第1の実施の形態は3次共振を用いるマイクロメカニカルフィルタの例であるが、同様の方法により他の高次共振を用いるマイクロメカニカルフィルタを実現することが可能である。例えば、5次の振動モードであれば、5次の振動モードの節の位置に3つの入力用下部電極(出力用下部電極)と2つの入力用上部電極(出力用上部電極)との境界部が存在するように設計すれば良い。
【0037】
図1のA−A’方向に沿った工程断面図である図4を用いて、第1の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタ製造方法を説明する。
【0038】
(イ) まずSi基板31上に第1絶縁膜32を形成し、更に、第1絶縁膜32の上に、第2絶縁膜33を形成する。例えば、第1絶縁膜32としては、Si基板31を熱酸化した熱酸化膜(SiO2膜)、第2絶縁膜33としてはCVD法で堆積した窒化膜(Si3N4膜)を用いることが可能である。次にCVD法によりノンドープ(不純物を添加しない)の多結晶シリコン膜(ノンドープ・ポリシリコン膜)を堆積し、この多結晶シリコン膜にリン(31P+)等の不純物イオンをイオン注入し、更にアニールして、導電性のドープド・ポリシリコン膜を形成する。この後、フォトリソグラフィ工程と反応性イオンエッチング(RIE)法を用いて、ドープド・ポリシリコン膜をパターニングし、図4(a)に示すように接続電極41,42、入力用下部電極51,52を形成する。したがって、図2(c)及び図3に示した3次の振動モードの節の位置(x1/l=0.356)に、入力用下部電極51,52の内側に位置するそれぞれの端部が存在するようにパターニングされる。図4(a)は、図1のA−A’方向に沿った工程断面図であるため、図示を省略しているが、第2絶縁膜33上の他の部分には、同様に、出力用下部電極53,54が形成されることは勿論である。したがって、図2(c)及び図3に示した3次の振動モードの節の位置(x1/l=0.356)に、出力用下部電極53,54の内側に位置するそれぞれの端部が存在するようにパターニングされる。なお、ドープド・ポリシリコン膜の代わりに、真空蒸着法、スパッタリング法、或いはCVD法等でW、Ti、Mo等の高融点金属を堆積し、この高融点金属をパターニングして、接続電極41,42、入力用下部電極51,52及び出力用下部電極53,54を形成しても良いことは勿論である。
【0039】
(ロ) 次に、接続電極41,42、入力用下部電極51,52及び出力用下部電極53,54の上部に第1犠牲膜34を堆積する。第1犠牲膜34として、例えば、CVD法によりシリコン酸化膜(SiO2膜)34を形成すれば良い。そして、フォトリソグラフィ工程とRIE法を用いて、図4(b)に示すようにパターニングし、接続電極41,42の一部露出させる。次にCVD法によりノンドープ・ポリシリコン膜を形成、次いで導電性を与えるために、31P+等の不純物イオンをイオン注入した後、図1の鳥瞰図及び図4(b)の断面図に示すように、RIEによりパターニングして、入力用共振子71及び出力用共振子72と結合子10を形成する。ノンドープ・ポリシリコン膜を形成後に不純物イオンをイオン注入して導電性にするのではなく、CVD時にフォスフィン(PH3)やアルシン(AsH3)等のドーパントガスを用いて、不純物元素を気相中からドープする方法で、ドープド・ポリシリコン膜を直接堆積しても良い。
【0040】
(ハ) 次に、第2犠牲膜35として、CVD法によりSiO2層を堆積する。次にCVD法によりドープド・ポリシリコン膜を形成、次いで導電性を与えるために不純物イオンをイオン注入した後、パターニングして、図4(c)に示すように、入力用上部電極91を形成する。即ち、3次の振動モードの節の位置(x1/l=0.356)に、入力用下部電極51,52と入力用上部電極91との境界部が存在するように、電極配置をパターニングする。図4(c)は、図1のA−A’方向に沿った工程断面図であるため、図示を省略しているが、他の部分に位置する出力用共振子72の上には、同様に出力用上部電極92が形成されることは勿論である。したがって、3次の振動モードの節の位置(x1/l=0.356)に、出力用下部電極53,54と出力用上部電極92との境界部が存在するように、電極配置をパターニングする。ノンドープ・ポリシリコン膜を形成後に不純物イオンをイオン注入して導電性にするのではなく、不純物元素を気相中からドープする方法で、ドープド・ポリシリコン膜を直接堆積しても良い。又、ドープド・ポリシリコン膜の代わりに、真空蒸着法、スパッタリング法、或いはCVD法等で、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、若しくはW、Ti、Mo等の高融点金属等を用いても良いことは勿論である。
【0041】
(ニ) 次に、フッ酸(HF)水溶液により第1犠牲膜34及び第2犠牲膜35としてのSiO2膜を、図4(d)に示すようにエッチング除去すれば、第1の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタが完成する。
【0042】
以上のように、第1の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタは極めて簡単な製造工程で製造可能である。
【0043】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタは、図5に示すように、入力用共振子71と、この入力用共振子71を高次の共振モードで振動させるように、入力用共振子71に近接して配置された入力用駆動電極(51,52,91)と、入力用共振子71に接続された結合子10と、この結合子10に接続され、入力用共振子71の振動により励振される出力用共振子73と、この出力用共振子73の振動を静電容量の変化により検知するための検出用電極(55,93)とを備え、入力用共振子71の特定の高次のモードのみを利用して、特定の周波数のマイクロ波信号を通過させるマイクロメカニカルフィルタである。図1と重複する内容は説明を省略するが、第2の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタにおいては、入力用共振子71と出力用共振子73の構造及び寸法は互いに同一ではない。即ち、入力用共振子71は最高次の3次共振モードを含む多モードの共振、出力用共振子73は最高次の2次共振モードを含む多モードの共振をするものである。このため入力用共振子71よりも出力用共振子73の長さが短くなっており、入力用共振子71の3次共振周波数f13と出力用共振子73の2次共振周波数f22は目的とするマイクロメカニカルフィルタの通過周波数f0に一致するように設定されている。
【0044】
第2の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタにおいては、図2に示す各々の共振における振動モードに対応して効率よく共振を起こせるように、入力用共振子71に対し、入力用駆動電極として2つの入力用下部電極51,52と1つの入力用上部電極91が配置されている。一方、出力用共振子73に対しては、検出用電極として1つの出力用下部電極55と1つの出力用上部電極93が配置されている。第1の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタで説明したように、2次共振モードは1次共振モードの1.7倍、3次共振モードは1次共振モードの2.3倍の共振周波数であり、2次、3次の共振モードの共振周波数が整数倍に増大するものではない。このため、図6(a)に示す入力用共振子71における1次共振モードの共振周波数f11,2次共振モードの共振周波数f12と、図6(b)に示す出力用共振子73における1次共振モードの共振周波数f21は一致することがない。
【0045】
しかしながら、第2の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタでは、図6(a)に示す入力用共振子71の3次モードの共振周波数f13と図6(b)に示す出力用共振子73の2次モードの共振周波数f22とが共振周波数が一致するように設計されている。入力信号v1に入力用共振子71の1次と2次の共振周波数成分が含まれており、入力用共振子71が多モードで共振したとしても、出力用共振子73は入力用共振子71の1次共振モードの共振周波数f11,2次共振モードの共振周波数f12とでは共振しないため、結局、素子全体としては両者の共振が一致する通過周波数f0=f13=f22でのみ信号が通過することになる。
【0046】
第2の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタにおいては、第1の実施の形態と異なり、共振子と電極のギャップ長やバイアス電圧を設定し、静電気力の分布を制御することにより単一振動モードで励振するのではなく、多モードで振動する入力用共振子71と出力用共振子73の構造(形状)及び寸法を変えて、両者の低次共振周波数をずらすことにより目的以外の低次の共振の影響を無くしている。この様に多モードで振動する共振子を用いても、第1の実施の形態と単一振動モードで励振する振動子を用いたマイクロメカニカルフィルタと同様な、1〜5GHz程度のマイクロ波帯域における動作を実現出来る。
【0047】
第2の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタの製造方法の説明は、第1の実施の形態と重複するため省略する。
【0048】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタは、図7に示すように、両端をそれぞれ固定したドープド・ポリシリコンからなる円板状の入力用共振子74及び出力用共振子75と、入力用共振子74と出力用共振子75とを接続する結合子10を備えている。入力用共振子74と出力用共振子75は図7(a)中、x−y平面内において広がり振動を行う。ここで、「広がり振動」とは、入力用共振子74をなす円の半径r1及び出力用共振子75をなす円の半径r2が変化するような2次元の伸縮振動である。
【0049】
第3の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタは、図7(b)に示すように、Si基板31と、Si基板31の上部に配置された第1絶縁膜32と、第1絶縁膜32の上に配置された第2絶縁膜33が配置された構造を基体としている。即ち、入力用共振子74と出力用共振子75のそれぞれの中央部を固定し円板状構造を実現する接続電極45が、図8(d)に示す第1絶縁膜32と第2絶縁膜33とからなる複合膜上に配置されている。第1絶縁膜32と第2絶縁膜33とからなる複合膜により、この上に配置された接続電極45が、Si基板31と絶縁される。例えば、第1絶縁膜32としてシリコン酸化膜(SiO2膜)、第2絶縁膜33としてシリコン窒化膜(Si3N4膜)を用いることが可能である。
【0050】
接続電極45は、導電性材料であれば、種々の材料が採用可能である。入力用共振子74及び出力用共振子75と同様にドープド・ポリシリコンを採用するのが、製造工程が容易になるので好ましい。接続電極45の電気抵抗を下げ、電気機械変換効率ηeを向上するためには、金属が好ましく、製造工程を考慮すれば、W、Ti、Mo等の高融点金属が、接続電極45として好ましい。或いは、接続電極45として、高融点金属のシリサイド(WSi2,TiSi2,MoSi2)等が採用可能である。
【0051】
図7(a)に示すように、入力用共振子74の左右には微小な距離dを隔てて、入力用駆動電極61,62が形成されている。入力用駆動電極61,62と第2絶縁膜33との間には図7(b)に示すように、入力用下地電極56,57が形成されている。更に入力用共振子74と対をなす出力用共振子75に対しては、出力用検出電極63,64が図7(a)に示すように形成されている。図示を省略しているが、出力用検出電極63,64と第2絶縁膜33との間には、図7(b)に示すと同様に、出力用下地電極が形成されている。又、入力用共振子74及び出力用共振子75との間は、梁状の結合子10により機械的に結合されている。
【0052】
入力用駆動電極61,62、及び出力用検出電極63,64は、導電性材料であれば、種々の材料が採用可能であり、ドープド・ポリシリコン、高融点金属、高融点金属のシリサイド等が採用可能である。製造工程を考慮すると、入力用駆動電極61,62及び出力用検出電極63,64は、入力用共振子74及び出力用共振子75と同一材料であるのが便利である。入力用下地電極56,57と接続電極45とは、同一材料であるのが製造工程を考慮すれば便利である。
【0053】
第3の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタにおいては共振周波数を高くしやすい円板上の入力用共振子74と出力用共振子75を使用している。広がり振動の共振モードでは第1の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタのように、静電気力の分布を制御して、低次の共振モードの発生を無くすことは出来ない。このため第2の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタと同様に第3の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタにおいては入力用共振子74と出力用共振子75の寸法、即ち、円の半径rを変えてある。入力用共振子74は2次共振モードを、出力用共振子75は3次共振モードを利用しようとするものである。
【0054】
このため入力用共振子74よりも出力用共振子75の半径が長くなっており、入力用共振子74の2次共振周波数と出力用共振子75の3次共振周波数は通過周波数f0に一致するように設定されている。
【0055】
第3の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタにおいても通過周波数f0より低い周波数では共振周波数は一致することがなく、入力用共振子74の2次共振周波数と出力用共振子75の3次共振周波数で初めて両者の共振が一致する。このため、結合子10の伸縮振動(x方向に棒の長さが変化するような振動)を介し、第2の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタと同様に、素子全体としては両者の共振が一致する共振周波数f0でのみ信号が通過することになる。第3の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタにおいては第2の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタと同様に共振子の形状を変えて両者の低次共振周波数をずらすことにより低次の共振の影響を無くすことが出来、第1の実施の形態と同様に、1〜5GHz程度のマイクロ波帯域における動作を実現出来る。
【0056】
図7(a)のA−A’方向に沿った工程断面図である図8を用いて、第3の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタ製造方法を説明する。
【0057】
(イ) まずSi基板31上に第1絶縁膜32を形成し、更に、第1絶縁膜32の上に、第2絶縁膜33を形成する。例えば、第1絶縁膜32としては、Si基板31を熱酸化した熱酸化膜(SiO2膜)、第2絶縁膜33としてはCVD法で堆積したSi3N4膜を用いることが可能である。次にCVD法によりノンドープ・ポリシリコン膜を堆積し、この多結晶シリコン膜に31P+等の不純物イオンを注入 し、更にアニールして、導電性のドープド・ポリシリコン膜を形成する。この後、フォトリソグラフィ工程とRIE法を用いて、ドープド・ポリシリコン膜をパターニングし、図8(a)に示すように接続電極45、入力用下地電極56,57を形成する。図8(a)は、図7(a)のA−A’方向に沿った工程断面図であるため、図示を省略しているが、第2絶縁膜33上の他の部分には、同様に、出力用下地電極が形成されることは勿論である。なお、ドープド・ポリシリコン膜の代わりに、真空蒸着法、スパッタリング法、或いはCVD法等でW、Ti、Mo等の高融点金属を堆積し、この高融点金属をパターニングして、接続電極45、入力用下地電極56,57及び出力用下地電極電極等を形成しても良いことは勿論である。
【0058】
(ロ) 次に、接続電極45、入力用下地電極56,57及び出力用下地電極(図示省略)の上部に犠牲膜36を堆積する。犠牲膜36として、例えば、CVD法によりSiO2膜36を形成すれば良い。そして、フォトリソグラフィ工程とRIE法を用いて、図8(b)に示すようにパターニングし、接続電極45の一部、及び入力用下地電極56,57の一部を露出させる。
【0059】
(ハ) 次にCVD法によりノンドープ・ポリシリコン膜を形成、次いで導電性を与えるために、不純物イオンを注入した後、図7(a)の平面図及び図8(c)の工程断面図に示すように、RIEによりパターニングして、入力用共振子74、出力用共振子75、結合子10、入力用駆動電極61,62、及び出力用検出電極63,64を形成する。ノンドープ・ポリシリコン膜を形成後に不純物イオンを注入して導電性にするのではなく、CVD時にPH3やAsH3等のドーパントガスを用いて、不純物元素を気相中からドープする方法で、ドープド・ポリシリコン膜を直接堆積しても良い。
【0060】
(ニ) 次に、HF水溶液により犠牲膜36を、図8(d)に示すようにエッチング除去すれば、第3の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタが完成する。
【0061】
以上のように、第3の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタは極めて簡単な製造工程で製造可能である。
【0062】
(携帯型情報端末)
図9には、第1〜第3の実施の形態で説明したマイクロメカニカルフィルタを、高周波(RF)フィルタ11及び中間周波数(IF)フィルタ12として備える携帯型情報端末の受信回路を示す。
【0063】
図9に示す携帯型情報端末の受信回路は、RFフロントエンド部として、第1〜第3の実施の形態で説明したマイクロメカニカルフィルタを用いたRFフィルタ11、RFフィルタ11に接続されたミキサ18、ミキサ18に接続された局部発振器19を備える。ミキサ18は、RFフィルタ11の出力するRF信号と局部発振器19の出力するRF信号とを混合し、例えば200MHz〜500MHzの中間周波数(IF)の信号を生成する。RFフィルタ11にはアンテナスイッチ17を介して、第1アンテナ15及び第2アンテナ16が接続されている。図9において、2本の、第1アンテナ15及び第2アンテナ16が接続されているがこれは例示であり、アンテナの本数は2本に限定されない。ミキサ18で混合された第1アンテナ15及び第2アンテナ16が受信したRF信号と局部発振器19の出力するRF信号とは、第1〜第3の実施の形態で説明したマイクロメカニカルフィルタを用いたIFフィルタ12に伝達される。
【0064】
IFフィルタ12には、増幅器20が接続され、増幅器20には、I/Q復調回路を備えるレシーバLSIチップ3が接続されている。レシーバLSIチップ3には、共振器28を備えたIQ発信器27が接続されている。IFフィルタ12により、第1アンテナ15及び第2アンテナ16が受信したRF信号と局部発振器19の出力するRF信号との差の周波数が抽出され、増幅器20により、差の周波数であるIF信号が増幅され、安定化される。このIF信号は、レシーバLSIチップ3により直交位相復調され、互いに90°位相がずれたI信号及びQ信号が生成される。レシーバLSIチップ3が備えるミキサ21及びミキサ22において、更に低周波、例えば10MHz以下のベースバンドI信号及びベースバンドQ信号がそれぞれ生成される。ベースバンドI信号及びベースバンドQ信号は、それぞれ、増幅器23,24で増幅された後、ベースバンドフィルタ13,14に入力される。ベースバンドフィルタ13,14を介したベースバンドI信号及びベースバンドQ信号は、更に、A−D変換器25,26でディジタル信号に変換され、図示を省略したディジタルベースバンドプロセッサ(DBBP)に入力される。即ち、ベースバンドフィルタ13及びベースバンドフィルタ14を介してそれぞれ抽出されたベースバンドI信号及びベースバンドQ信号は、A−D変換器25及びA−D変換器26により、ディジタルのベースバンドI信号及びベースバンドQ信号となり、ディジタルベースバンドプロセッサ(DBBP)により信号処理される。
【0065】
図10は、携帯型情報端末の送信回路2を示す。送信回路2のベースバンド処理部にはディジタルベースバンドプロセッサ(DBBP)からのディジタルのベースバンドI信号及びベースバンドQ信号をアナログ信号に変換するD−A変換器65,66がそれぞれ備えられている。ディジタルのベースバンドI信号及びベースバンドQ信号は、D−A変換器65及びD−A変換器66により、アナログのベースバンドI信号及びベースバンドQ信号となり、ベースバンドフィルタ61及びベースバンドフィルタ62を介して、変調器LSIチップ5の増幅器88,89に入力される。
【0066】
変調器LSIチップ5は、増幅器88,89と、増幅器88,89に接続されたミキサ85,86を備える。変調器LSIチップ5は、更に、発振器60及び移相器87を備える。ミキサ85及びミキサ86には、発振器60からの搬送波のRF周波数が、移相器87により互いに90°位相がずらされて供給される。増幅器88,89の出力は、ミキサ85,86において発振器60からの搬送波のRF周波数と混合され、変調される。変調器LSIチップ5は、更に、加算器84及び加算器84の出力に接続された増幅器83を備える。ミキサ85及びミキサ86の出力は、加算器84に入力され、加算器84の出力は増幅器83に入力される。増幅器83の出力は、送信回路2のRFフロントエンド部を構成するMMIC4に供給される。MMIC4には多段接続されたマイクロ波用パワートランジスタ81,82を備え、RF増幅後、アンテナスイッチ17を介して、第1アンテナ15及び第2アンテナ16に供給される。
【0067】
図9及び図10に示す携帯型情報端末においては、空洞共振器やインダクタを用いたLC回路の代わりに、小型のマイクロメカニカルフィルタを、RFフィルタ11及びIFフィルタ12として用いているので、小型薄型、且つ低消費電力の1〜5GHz程度のマイクロ波帯域で使用可能な携帯型情報端末が実現出来る。勿論、図9のベースバンドフィルタ13,14、或いは図10のベースバンドフィルタ61,62等の、低周波領域におけるフィルタ等にも適用可能であるが、本発明のマイクロメカニカルフィルタの高周波特性を鑑みれば、300MHz以上、特に1〜5GHz程度のマイクロ波帯域におけるフィルタに用いるのが好適である。
【0068】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1〜第3の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0069】
例えば共振子の振動次数はここで示した2次及び3次に限定されない。又、使用する振動もここで示した両持ち梁のたわみ振動や円板の広がり振動に限定されない。例えば円板のたわみ振動などを利用しても良い。
【0070】
この様に、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、小型で、300MHz以上、特に1〜5GHz程度のマイクロ波帯域における高周波特性に優れたマイクロメカニカルフィルタ及び携帯型情報端末を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタの構造図である。
【図2】高次の共振を説明するための図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の効果を説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタの製造方法を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタの構造図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタの動作を説明するための各振動モードを示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタの構造図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係るマイクロメカニカルフィルタの製造方法を示す図である。
【図9】第1〜第3の実施の形態で説明したマイクロメカニカルフィルタを、高周波(RF)フィルタ及び中間周波数(IF)フィルタとして備える携帯型情報端末の受信回路を示す模式図である。
【図10】図9に対応する携帯型情報端末の送信回路を示す模式図である。
【図11】従来のマイクロメカニカルフィルタの構造図である。
【符号の説明】
2…送信回路
3…レシーバLSIチップ
4…MMIC
5…変調器LSIチップ
10…結合子
11…RFフィルタ
12…IFフィルタ
13,14…ベースバンドフィルタ
15…第1アンテナ
16…第2アンテナ
17…アンテナスイッチ
19…局部発振器
20…増幅器
21,22…ミキサ
25,26…A−D変換器
27…IQ発信器
28…共振器
31…Si基板
32…第1絶縁膜
33…第2絶縁膜
34…第1犠牲膜
35…第2犠牲膜
36…犠牲膜
41,42,45…接続電極
51,52…入力用下部電極
53,54,55…出力用下部電極
56,57…入力用下地電極
60…発振器
61,62…入力用駆動電極
63,64…出力用検出電極
65,66…D−A変換器
71,74…入力用共振子
72,73,75…出力用共振子
81,82…マイクロ波用パワートランジスタ
83…増幅器
84…加算器
85,86…ミキサ
87…移相器
88,89…増幅器
91…入力用上部電極
92,93…出力用上部電極
101a…固定電極
101b…固定電極
102a,102b…共振子
103…結合子
104a…入力用電極
104b…出力用電極
R1,R2…終端抵抗[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a micromechanical filter operable in a microwave band and a portable information terminal using the micromechanical filter.
[0002]
[Prior art]
In recent years, wireless communication technology has made remarkable progress, and development aimed at high-speed transmission of information is being promoted. With the introduction of PHS systems, third-generation mobile communications, wireless LANs, etc., the frequency band used in wireless communication technology uses the microwave band around 2 GHz, and the number of subscribers, the number of terminals, etc. are dramatically increasing. . The frequency of the carrier wave has been further increased, and commercialization of the wireless LAN system in the 5 GHz band has also started.
[0003]
High frequency communication devices using such wireless communication technology in the microwave band are required to be smaller and lighter. In particular, when a high-frequency communication device is used for a portable information terminal, an RF front-end unit that processes a high-frequency (RF) signal in a microwave band performs filtering using the passband characteristics of a cavity resonator or an LC circuit. For this reason, there has been a limit to reducing the size and thickness of the device. In particular, it is difficult to reduce the size of a coil (inductor) used in an LC circuit. Furthermore, since the coil (inductor) has a resistance loss, there is a drawback that agile filter characteristics cannot be obtained.
[0004]
On the other hand, in recent years, micro electro mechanical system (MEMS) technology, in which a fine mechanical structure is integrated with an electronic circuit by using a semiconductor microfabrication technology, has attracted attention. There are various applications of MEMS technology, and one of them is a micro mechanical filter (hereinafter referred to as “micro mechanical filter”). Such a micro mechanical filter is expected to be applied to the communication field because it is small and can be integrated.
[0005]
As an example of a micromechanical filter using such a MEMS technology, a micromechanical filter using polycrystalline silicon as shown in FIG. 11 has been reported (for example, see Non-Patent Document 1). In FIG. 11, SiThreeNFourLayers and SiO2Fixed electrodes 101a and 101b made of polycrystalline silicon (hereinafter referred to as "doped polysilicon") with an impurity added to a Si substrate (not shown) on which an insulating layer made of layers is formed are fulcrums on both sides. The resonators 102a and 102b made of doped polysilicon are formed in a doubly supported beam shape. An input electrode 104a is formed below the both-end beam resonator 102a with a minute distance d, and an output electrode 104b is formed below the both-end beam resonator 102b. Further, the doubly-supported beam resonators 102 a and 102 b are mechanically coupled by a connector 103. In the micromechanical filter shown in FIG. 11, the conductive doubly-supported beam resonators 102a and 102b are connected to the voltage V through the fixed electrode 101b.pAnd the AC signal v is applied to the input electrode 104a.1, An electrostatic force in the z direction is generated between the double-supported beam resonator 102a. AC signal v1Is equal to the resonance frequency of the double-supported beam resonator 102 a, the double-supported beam resonator 102 a is flexibly vibrated in the z direction, and the vibration is transmitted to the double-supported beam resonator 102 b through the coupler 103. If the cantilever resonator 102 b has the same structure as the doubly-supported resonator 102 a, the resonance frequency is also the same, so that the cantilever resonator 102 b resonates due to the vibration transmitted by the connector 103. As a result, the capacitance between the doubly-supported beam resonator 102b and the output electrode 104b changes, and an alternating current i2 flows. As a result, the input AC voltage v1The output AC current i2 can be obtained only when the frequency is close to the resonance frequency of the double-supported beam resonators 102a and 102b. Therefore, this element is connected to the resonance frequency f of the resonator.0Can be regarded as a band-pass filter having a center frequency. The band of this filter is mainly determined by the dimensions of the doubly-supported beam resonators 102a and 102b.1, Set the output end to an appropriate value R2Must be terminated by
[0006]
[Non-Patent Document 1]
Clark T. C. Clark TC Nguyen: Institute of Electronics and Electrical Engineers (IEEE) Transactions on Microwave Theory and Techniques, Vol. 47, No. 8, August 1999, p. . 1486
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
However, the conventional micromechanical filter as shown in FIG. 11 has a big problem as described below. In order to use the micromechanical filter in the microwave band of 300 MHz or higher, the resonance frequency f of the resonator is used.0Needs to be high, that is, the size of the resonator needs to be small. If the length of the double-supported beam resonator is l, the thickness is h, and the width is w, the resonance frequency f of the double-supported beam resonator0Is given by the following equation (1). That is,
f0 H h / l2 (1)
However, in order for the doubly-supported beam resonator to bend and vibrate,
h <l (2)
w <l (3)
Need to be.
[0008]
On the other hand, on the input side of the micromechanical filter shown in FIG. 11, an electrostatic conversion transducer for voltage → force conversion is formed, and on the output side, an electrostatic conversion transducer for vibration speed → current conversion is configured. Therefore, the termination resistor R shown in FIG.1And R2Is the electromechanical conversion efficiency η of the electrostatic transducer formed between the doubly-supported beam resonator and the input / output electrodeseInversely proportional to the square of. That is,
R1, R2 ∝ 1 / ηe 2 (4)
It is. Electrode width weThe capacitance of the electrostatic transducer
C0 ≒ w ・ we/ D (5)
The electromechanical conversion efficiency η of the electrostatic transducereIs
ηe = Vp・ C0/ D (6)
Given in. From the above, the resonance frequency f0If the length l of the resonator is reduced to increase the width, the width w of the resonator must be reduced accordingly, and the width w of the electrodeeIs less than l, so the capacitance C0It turns out that becomes small. As a result, electromechanical conversion efficiency ηeBecomes smaller and ηeTermination resistance R inversely proportional to the square of1, R2It can be seen that the value of becomes very large. However, the termination resistance R allowed from the condition of impedance matching with the element connected to the micromechanical filter1, R2The value of is typically about 50Ω to 2 kΩ, which prevents the high frequency of the micromechanical filter. The conventionally reported passing frequency of the micromechanical filter is at most 100 MHz to 200 MHz, which is higher than 300 MHz. Operation in the microwave band is difficult.
[0009]
The present invention has been made to eliminate the above-described drawbacks of the prior art, and an object of the present invention is to provide a micromechanical filter and a portable information terminal that are small in size and excellent in high-frequency characteristics in a microwave band. The purpose is to provide.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, the first feature of the present invention is that (a) an input resonator and (b) an input resonator so as to vibrate the input resonator in a higher-order resonance mode. (C) a coupler connected to the input resonator, and (d) an output connected to the coupler and excited by the vibration of the input resonator. A resonator and (e) a detection electrode for detecting the vibration of the output resonator by a change in capacitance, and using only a specific higher-order mode of the input resonator The gist of the present invention is that it is a micromechanical filter that allows a microwave signal having a predetermined frequency to pass therethrough. As is well known, “microwave” means an electromagnetic wave of 300 MHz to 30 GHz in a narrow sense, but the present invention is suitable for a microwave of about 300 MHz to 5 GHz, particularly in a microwave region of about 1 GHz to 5 GHz. “Higher-order mode of the input resonator” means a higher-order mode than the first-order resonance mode in which nodes (nodes) exist only at both ends of the input resonator shown in FIG. is there. That is, as shown in FIGS. 2B and 2C, a vibration mode in which one or more nodes exist inside the input resonator is a “high-order mode of the input resonator”.
[0011]
In the method using the higher order vibration mode (high order mode), for example, when the third order resonance mode is used, the frequency component near the frequency of the first and second order resonance modes of the input signal also passes. It is necessary to consider. For this reason, in order to suppress other vibration modes using only a specific higher-order mode, specifically, the following may be performed. That is,
The input drive electrode is arranged based on the node of the higher order resonance mode so that the input resonator vibrates only in a specific higher order resonance mode, and the output resonator has the same structure as the input resonator. If the detection electrode is arranged with respect to the output resonator in the same positional relationship as the input resonator and the input drive electrode, only a specific higher-order mode can be excited. In other words, the electrostatic force distribution is designed with reference to the nodes of the resonance mode, and the dimensions and position of the input drive electrode and the bias voltage are controlled, thereby generating a lower-order resonance mode than the higher-order resonance mode used. It can be suppressed.
[0012]
Alternatively, the output resonator has a structure different from that of the input resonator, vibrates in a second higher-order resonance mode having a different order from the first higher-order resonance mode in which the input resonator vibrates, and Even if the detection electrodes are arranged so that the resonance frequencies of the first and second higher-order resonance modes match, it is possible to pass only the frequency of a specific higher-order mode. That is, by making the output resonator and the input resonator constituting the micromechanical filter different from each other, and matching the resonance frequencies in the resonance modes of different orders, the resonance of both of the elements as a whole matches. A signal can be passed only at the pass frequency.
[0013]
Since the influence of resonance lower than the resonance frequency to be used can be eliminated in this way, the frequency can be increased to a microwave region of about 300 MHz to 5 GHz without reducing the size of the micromechanical filter. Moreover, in such a microwave region, the electromechanical conversion efficiency η due to the decrease in capacitanceeThere is no problem of lowering the resistance or increasing the termination resistance.
[0014]
The input resonator and the output resonator may each bend and vibrate flexibly, or may have a disk shape with different radii and spread in the radial direction.
[0015]
The second feature of the present invention is that (a) an antenna, (b) an input resonator, an output resonator, and a coupler connecting the input resonator and the output resonator are provided. A micromechanical filter that passes a microwave signal supplied from an antenna using only a specific higher-order mode of the resonator and the output resonator, (c) a local oscillator, and (d) a micromechanical filter The gist of the present invention is that it is a portable information terminal comprising a mixer that mixes the processed signal and the signal of the local oscillator. Here, “the higher-order modes of the input resonator and the output resonator” means that one or more of the input resonator and the output resonator are present inside the input resonator and the output resonator, as shown in FIGS. This is a vibration mode in which there are knots.
[0016]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Next, first to third embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings. In the following description of the drawings, the same or similar parts are denoted by the same or similar reference numerals. However, it should be noted that the drawings are schematic, and the relationship between the thickness and the planar dimensions, the ratio of the thickness of each layer, and the like are different from the actual ones. Therefore, specific thicknesses and dimensions should be determined in consideration of the following description. Moreover, it is a matter of course that portions having different dimensional relationships and ratios are included between the drawings.
[0017]
The first to third embodiments described below exemplify apparatuses and methods for embodying the technical idea of the present invention, and the technical idea of the present invention is the component parts. The material, shape, structure, arrangement, etc. are not specified below. The technical idea of the present invention can be variously modified within the scope of the claims.
[0018]
(First embodiment)
As shown in FIG. 1, the micromechanical filter according to the first embodiment of the present invention includes an
[0019]
Although not shown in FIG. 1, this micromechanical filter includes a
[0020]
The
[0021]
As shown in FIG. 1, input
[0022]
The input
[0023]
In the micromechanical filter shown in FIG. 1, a
[0024]
The micromechanical filter according to the first embodiment includes the input
[0025]
FIG. 2 shows vibration modes at the time of resonance from the first order to the third order. The secondary resonance shown in FIG. 2 (b) is 1.7 times the primary resonance shown in FIG. 2 (a), and the tertiary resonance shown in FIG. 2 (c) is the primary resonance shown in FIG. 2 (a). 2.3 times the frequency. In particular, the micromechanical filter according to the first embodiment has a boundary between the input
[0026]
FIG. 3 is a diagram for explaining the vibration of the third-order vibration mode of the
[0027]
[Expression 1]
ξ (x) = ΣAm・ Ξm(X) · exp (jωt) / (ωm 2−ω2(7)
Where ωmAnd nephewm(X) are an angular frequency and a standard eigenfunction in m-th order resonance (m = 1, 2, 3,...), Respectively. E is the Young's modulus of the input resonator 71 (output resonator 72), and I is the second-order moment (= wh) of the cross section of the input resonator 71 (
ωm= (Αm/ L)2(EI / ρA)1/2 (8)
Constant α in equation (8)mIs given as the solution of equation (9) below:
cosαm・ Coshαm= 1 (9)
If X = x / l, the m-th order standard eigenfunction の of the input resonator 71 (output resonator 72)m(x) is given by the following equation (10):
[Expression 2]
Ξm(x) = {(sinαm−sinhαm) (CosαmX-coshαmX)-(cosαm−coshαm) (SinαmX-sinhαmX)} / (sinαm−sinhαm) (10)
A in equation (7)mIs the distribution eigenfunction Q (x)m(X) is a coefficient in the case of Fourier expansion display, and is given by the following equation (11).
[0028]
Am= ∫Q (x) Ξm(X) dx / M (11)
In Expression (11), M is the mass of the input resonator 71 (output resonator 72). When the arrangement of the
[0029]
[Equation 3]
Q (x) = ε0・ W ・ Va/ Da 2・ V1 (X1<X <1-x1(12a)
= Ε0・ W ・ Vb/ Db 2・ V1(0 <x <x1, 1-x1<X <l) (12b)
Where ε0Is the dielectric constant of the vacuum.
[0030]
When the equations (10), (12a) and (12b) are substituted into the equation (11) and calculated, the coefficient A of Fourier expansion display is obtained.mIs
[Expression 4]
Am= (Ε0・ W ・ v1/ ΡA) [(Va/ Da 2∫IIΞm(X) dx
-(Vb/ Db 2∫I + IIIΞm(X) dx] (13)
It becomes. Where I is 0 <x <x1, II is x1<X <1-x1, III is 1-x1Indicates integration with <x <l. When m = 2, the standard eigenfunction ΞmSince (x) is antisymmetric with respect to x = 1/2, all integrals in equation (13) are zero. That is, Fourier expansion display coefficient A2= 0.
[0031]
On the other hand, when m = 1,
[Equation 5]
A1= (Ε0・ W ・ v1/ ΡA) [(Va/ Da 2∫IIΞ1(X) dx
-(Vb/ Db 2∫I + IIIΞ1(X) dx] (14)
Substituting Equation (10) into x1If you choose /l=0.356,
[Formula 6]
A1= (Ε0・ W ・ v1/ ΡA) [0.400 (Va/ Da 2) -0.4311 (Vb/ Db 2]] (15)
It becomes. x1/L=0.356 is a so-called knot position where the displacement ξ (x) becomes 0 in the third-order vibration mode shown in FIG. x1By selecting /l=0.356, the third order resonance can be efficiently generated.
[0032]
In this way, the coordinates x indicating the arrangement of the
[0033]
Va= VbThat is, when the bias voltages for the input
[0034]
As described above, the coefficient A of the Fourier expansion display under a certain condition1And A2Can be set to 0 means that the input signal v1The angular frequency ω of the primary resonance1And the angular frequency ω of the secondary resonance2This means that resonance does not occur even if this component is included. Therefore, the position of the node (x in the third-order vibration mode shown in FIGS.1/L=0.356) so that there is a boundary between the input
[0035]
In practice, V is constant when the gap is constant.a/ Vb≒ 1 and d when bias voltage is constanta/ DbSince ≈1, the bias voltage is Vp= Va= Vb, The gap is d = da= DbIt is also good. The structural example of FIG. 1 is this case.
[0036]
According to the first embodiment of the present invention, since lower-order resonance does not occur, higher-order vibration can be used, and the size of the micromechanical filter is made smaller than the limit of the current microfabrication technology. High frequency can be achieved without any problem. For example, an operation in a microwave band of about 1 to 5 GHz or a higher frequency microwave band can be realized. Furthermore, in the microwave band of about 1 to 5 GHz, the electromechanical conversion efficiency η due to the decrease in capacitanceeTermination resistance R1, R2Can be avoided. The first embodiment is an example of a micromechanical filter that uses third-order resonance, but a micromechanical filter that uses another higher-order resonance can be realized by a similar method. For example, in the case of the fifth-order vibration mode, the boundary between three input lower electrodes (output lower electrodes) and two input upper electrodes (output upper electrodes) at the node of the fifth-order vibration mode Should be designed to exist.
[0037]
The micromechanical filter manufacturing method according to the first embodiment will be described with reference to FIG. 4 which is a process cross-sectional view along the A-A ′ direction of FIG. 1.
[0038]
(A) First, the first insulating
[0039]
(B) Next, the first
[0040]
(C) Next, as the second sacrificial film 35, SiO is formed by a CVD method.2Deposit layers. Next, a doped polysilicon film is formed by a CVD method, and then impurity ions are ion-implanted to give conductivity, followed by patterning to form an input
[0041]
(D) Next, SiO as the first
[0042]
As described above, the micromechanical filter according to the first embodiment can be manufactured by an extremely simple manufacturing process.
[0043]
(Second Embodiment)
As shown in FIG. 5, the micromechanical filter according to the second embodiment of the present invention includes an
[0044]
In the micromechanical filter according to the second embodiment, the
[0045]
However, in the micromechanical filter according to the second embodiment, the third-order mode resonance frequency f of the
[0046]
In the micromechanical filter according to the second embodiment, unlike the first embodiment, the gap length and the bias voltage between the resonator and the electrode are set, and the electrostatic force distribution is controlled to control the single vibration mode. In this case, the structures (shapes) and dimensions of the
[0047]
The description of the method for manufacturing the micromechanical filter according to the second embodiment is omitted because it overlaps with the first embodiment.
[0048]
(Third embodiment)
As shown in FIG. 7, the micromechanical filter according to the third embodiment of the present invention includes a disk-shaped
[0049]
As shown in FIG. 7B, the micromechanical filter according to the third embodiment includes a
[0050]
Various materials can be used for the
[0051]
As shown in FIG. 7A,
[0052]
The
[0053]
In the micromechanical filter according to the third embodiment, an
[0054]
For this reason, the radius of the output resonator 75 is longer than that of the
[0055]
Also in the micromechanical filter according to the third embodiment, the pass frequency f0At lower frequencies, the resonance frequencies do not coincide with each other, and the resonances of the
[0056]
A micromechanical filter manufacturing method according to the third embodiment will be described with reference to FIG. 8 which is a process cross-sectional view along the A-A ′ direction in FIG.
[0057]
(A) First, the first insulating
[0058]
(B) Next, a
[0059]
(C) Next, after forming a non-doped polysilicon film by the CVD method and then implanting impurity ions to give conductivity, the plan view of FIG. 7A and the process cross-sectional view of FIG. As shown, patterning is performed by RIE to form an
[0060]
(D) Next, if the
[0061]
As described above, the micromechanical filter according to the third embodiment can be manufactured by an extremely simple manufacturing process.
[0062]
(Portable information terminal)
FIG. 9 shows a receiving circuit of a portable information terminal provided with the micromechanical filter described in the first to third embodiments as a high frequency (RF)
[0063]
The receiving circuit of the portable information terminal shown in FIG. 9 includes an
[0064]
An
[0065]
FIG. 10 shows the
[0066]
The
[0067]
In the portable information terminal shown in FIGS. 9 and 10, small micromechanical filters are used as the
[0068]
(Other embodiments)
As described above, the present invention has been described according to the first to third embodiments. However, it should not be understood that the description and drawings constituting a part of this disclosure limit the present invention. From this disclosure, various alternative embodiments, examples and operational techniques will be apparent to those skilled in the art.
[0069]
For example, the vibration order of the resonator is not limited to the second and third orders shown here. Further, the vibration to be used is not limited to the flexural vibration of the both-end supported beam and the spreading vibration of the disc shown here. For example, a flexural vibration of a disk may be used.
[0070]
As described above, the present invention naturally includes various embodiments not described herein. Therefore, the technical scope of the present invention is defined only by the invention specifying matters according to the scope of claims reasonable from the above description.
[0071]
【The invention's effect】
According to the present invention, it is possible to provide a micromechanical filter and a portable information terminal that are small in size and excellent in high-frequency characteristics in a microwave band of 300 MHz or higher, particularly about 1 to 5 GHz.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a structural diagram of a micromechanical filter according to a first embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a diagram for explaining higher-order resonance.
FIG. 3 is a diagram for explaining the effect of the first exemplary embodiment of the present invention.
FIG. 4 is a diagram showing a method for manufacturing the micromechanical filter according to the first embodiment of the present invention.
FIG. 5 is a structural diagram of a micromechanical filter according to a second embodiment of the present invention.
FIG. 6 is a diagram showing each vibration mode for explaining the operation of the micromechanical filter according to the second embodiment of the present invention.
FIG. 7 is a structural diagram of a micromechanical filter according to a third embodiment of the present invention.
FIG. 8 is a diagram showing a method for manufacturing a micromechanical filter according to a third embodiment of the present invention.
FIG. 9 is a schematic diagram showing a receiving circuit of a portable information terminal including the micro mechanical filter described in the first to third embodiments as a high frequency (RF) filter and an intermediate frequency (IF) filter.
10 is a schematic diagram showing a transmission circuit of a portable information terminal corresponding to FIG. 9;
FIG. 11 is a structural diagram of a conventional micromechanical filter.
[Explanation of symbols]
2 ... Transmission circuit
3. Receiver LSI chip
4 ... MMIC
5. Modulator LSI chip
10 ... Connector
11 ... RF filter
12 ... IF filter
13, 14 ... Baseband filter
15 ... 1st antenna
16 ... second antenna
17 ... Antenna switch
19 ... Local oscillator
20 ... Amplifier
21,22 ... Mixer
25, 26 ... A-D converter
27 ... IQ transmitter
28: Resonator
31 ... Si substrate
32. First insulating film
33. Second insulating film
34. First sacrificial film
35. Second sacrificial film
36 ... Sacrificial film
41, 42, 45 ... connecting electrodes
51, 52 ... Lower electrode for input
53, 54, 55 ... Lower electrode for output
56, 57... Base electrode for input
60 ... Oscillator
61, 62 ... Input drive electrodes
63, 64 ... output detection electrode
65, 66 ... DA converter
71, 74 ... input resonators
72, 73, 75 ... output resonators
81, 82 ... microwave power transistors
83 ... Amplifier
84 ... Adder
85, 86 ... Mixer
87 ... Phase shifter
88, 89 ... amplifier
91 ... Upper electrode for input
92, 93 ... Upper electrode for output
101a ... fixed electrode
101b ... fixed electrode
102a, 102b ... resonators
103 ... Connector
104a ... Input electrode
104b ... Output electrode
R1, R2 ... Terminating resistors
Claims (4)
該入力用共振子を第1の高次の共振モードで振動させるように、前記入力用共振子に近接して配置された入力用駆動電極と、
前記入力用共振子に接続された結合子と、
該結合子に接続され、前記入力用共振子の振動により励振され、前記第1の高次の共振モードとは異なる次数の第2の高次の共振モードで振動するように、前記入力用共振子とは異なる構造をなす出力用共振子と、
該出力用共振子の振動を静電容量の変化により検知するための検出用電極
とを備え、互いに異なる次数の共振モードで振動している前記入力用共振子と前記出力用共振子の共振周波数が一致するように、前記検出用電極の位置関係を配置し、前記一致した共振周波数のマイクロ波信号を通過させることを特徴とするマイクロメカニカルフィルタ。An input resonator;
An input drive electrode disposed proximate to the input resonator so as to vibrate the input resonator in a first higher-order resonance mode;
A coupler connected to the input resonator;
The input resonance is connected to the coupler, excited by the vibration of the input resonator, and oscillated in a second higher-order resonance mode having a different order from the first higher-order resonance mode. An output resonator having a different structure from the child;
A detection electrode for detecting the vibration of the output resonator by a change in capacitance, and the resonance frequency of the input resonator and the output resonator oscillating in resonance modes of different orders The micromechanical filter is characterized in that the positional relationship of the detection electrodes is arranged so that they coincide with each other, and the microwave signal having the coincident resonance frequency is passed.
入力用共振子、該入力用共振子を第1の高次の共振モードで振動させるように、前記入力用共振子に近接して配置された入力用駆動電極、前記入力用共振子に接続された結合子、該結合子に接続され、前記入力用共振子の振動により励振され、前記第1の高次の共振モードとは異なる次数の第2の高次の共振モードで振動するように、前記入力用共振子とは異なる構造をなす出力用共振子、該出力用共振子の振動を静電容量の変化により検知するための検出用電極を有し、前記アンテナから供給されるマイクロ波信号を通過させるマイクロメカニカルフィルタと、
局部発振器と、
前記マイクロメカニカルフィルタを通過した信号と前記局部発振器の信号とを混合するミキサ
とを備え、前記マイクロメカニカルフィルタは、互いに異なる次数の共振モードで振動している前記入力用共振子と前記出力用共振子の共振周波数が一致するように、前記検出用電極の位置関係を配置し、前記一致した共振周波数のマイクロ波信号を通過させることを特徴とする携帯型情報端末。An antenna,
An input resonator, an input drive electrode disposed close to the input resonator, and connected to the input resonator so as to vibrate the input resonator in a first higher-order resonance mode Coupled to the coupler , excited by the vibration of the input resonator, and oscillated in a second higher-order resonance mode having a different order from the first higher-order resonance mode, A microwave signal supplied from the antenna, having an output resonator having a structure different from that of the input resonator, a detection electrode for detecting vibration of the output resonator by a change in capacitance A micromechanical filter that passes through,
A local oscillator,
The micromechanical filter a signal that has passed through the e Bei a mixer for mixing the signal of the local oscillator, the micromechanical filter, for the output and the input resonator is vibrating varies in order resonance mode of each other as the resonant frequency of the resonator coincide, portable information terminal, wherein the positional relationship between the detection electrode disposed, characterized Rukoto passed through a microwave signal of the matched resonant frequency.
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