JP4039220B2 - 生活習慣病改善装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人が着座または起立した状態で搭乗する搭乗台を、搭乗台に搭乗した人の上体を傾かせる方向の力が作用するように定点の周囲で揺動駆動することによって、生活習慣病を改善させるような軽度の運動を他動的に与えることができる生活習慣病改善装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、糖尿病、肥満、高脂血症のような生活習慣病を予防ないし改善するには、ブドウ糖や脂肪などの代謝を促進させることが必要である。つまり、適度な負荷で運動を持続すれば生活習慣病を予防ないし改善することが可能である。
【0003】
この種の目的で使用されている運動補助装置には自転車漕ぎ運動を模擬する自転車エルゴメータが知られている。自転車エルゴメータは自転車漕ぎ運動を模擬するものであるから、体重が過剰であっても膝に対する負担が少ないという長所を有するものの、人が自発的に運動することを必要とするから運動意欲を持続させて運動を継続させるのが難しいという問題がある。
【0004】
また、現状では糖尿病を改善するための運動を処方する際に、ブドウ糖や脂肪の代謝を目的としてエネルギー量を酸素消費量に換算した指標を目標値に用いており、最大酸素摂取量の60〜70%の強度の運動が行われている。しかしながら、このように設定した目標値での運動は生活習慣病の改善を必要とする人にとっては比較的強負荷の運動であって、たとえば虚血性心疾患のような心臓に疾患を有する人、いきむことが危険である高血圧の人、変形性膝関節症のように整形外科的疾患を有する人などに対しては、運動強度が過大になりやすい。
【0005】
一方、本件出願人は従来から馬の鞍のように人が跨って着座する搭乗台を揺動させることによって、乗馬に近似した運動を室内でも可能とした運動補助装置を提案している(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。この運動補助装置は、いわゆる乗馬療法を室内で容易に実施可能とするものであって、揺動する搭乗台に着座した人が搭乗台から落下しないようにバランスをとることによって、搭乗台に着座した人の無意識のうちに各部の筋肉を緊張・弛緩させて腰部周辺を含む筋肉群を強化することを目的としている。つまり、他動的な運動を可能として運動意欲の持続を容易にし、しかも比較的軽度な運動を行わせることが可能になっている。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−4911号公報(第2−3頁、図1)
【特許文献2】
特開2002−219191号公報(第2頁、第4−5頁、図1、図12)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1および特許文献2に記載された装置は、腰痛の予防やバランス感覚の養成のために腰部周辺を含む筋肉群を強化するものであり、生活習慣病の改善に用いることについてはとくに考慮していないものである。つまり、特許文献1、特許文献2に記載された装置を生活習慣病の改善に利用するには、運動負荷を適正化するように配慮する必要がある。
【0008】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、生活習慣病である人にとって適正な運動負荷が得られるようにした生活習慣病改善装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、人が搭乗する搭乗台と、搭乗台に搭乗した人の上体を傾かせる方向の力が作用するように搭乗台を定点の周囲で揺動させる駆動装置と、搭乗台に搭乗する人に作用する加速度の最大値と平均値とをそれぞれ運動強度と消費エネルギとの指標に用い、搭乗台の揺動中において搭乗台に搭乗している人に作用する加速度の最大値と平均値とがそれぞれ搭乗台に搭乗する人の運動能力に合わせて設定した最大値と平均値とになるように駆動装置を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0010】
の構成によれば、人に作用する加速度の最大値および平均値に着目して駆動装置を制御することにより、生活習慣病である人にとって適正範囲の負荷での運動が可能になり、軽負荷で安全な運動を継続することによってインスリン抵抗性を改善させることが可能になる。また、人が搭乗する搭乗台が駆動装置により揺動されるのであって、搭乗台に搭乗した人は姿勢反射によって筋肉を緊張・弛緩させることで他動的に運動が与えられるから、自発的ないし能動的に運動を行う場合に比較すると運動意欲を持続させやすく、生活習慣病を改善するための重要点である運動の継続が容易になる。しかも、人は搭乗台の上に搭乗しているだけで運動になるから、自転車漕ぎ運動のように主として大腿部のみの筋肉を局所的に使用するということがなく、多くの筋肉を使用することで代謝を高めながらも筋肉の局所的な疲労を少なくすることができる。
【0011】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記搭乗台は人が着座可能な形状に形成され、前記駆動装置は前記搭乗台を前後方向と左右方向との少なくとも一方向を含むように揺動させ、前記制御部は、前後方向と左右方向とのうち加速度の大きい方向について搭乗台の振幅と周期とにより前記加速度を規定して駆動装置を制御することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、水平面内で搭乗台が移動する際に生じる加速度で人の上体を傾かせる力が作用するのであって、姿勢を保とうとする姿勢反射によって種々の筋肉を緊張・弛緩させることができ、多くの筋肉に軽度の負荷を与えることができる。また、搭乗台を水平面内で移動させるように駆動装置を構成すればよいから、駆動装置として比較的簡単な構成のものを用いることが可能である。
【0013】
請求項3の発明では、請求項1の発明において、前記搭乗台は人が着座可能な形状に形成され、前記駆動装置は前記搭乗台を前後軸回り方向と左右軸回り方向との少なくとも一方向に揺動させ、前記制御部は、前後軸回り方向と左右軸回り方向とのうち加速度の大きい方向について搭乗台の傾斜角度により前記加速度を規定して駆動装置を制御することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、搭乗台に搭乗している人の上体を傾けるように搭乗台を傾けるから、重力加速度を利用して人の上体を傾かせることが可能になる。また、搭乗台を揺動させる周期が長くなっても加速度を作用させることができるから、アイソメトリック運動のような静的な筋運動を誘発させることが可能であり、椎間板ヘルニア、腰椎すべり症、変形膝関節症のように関節部位を短時間で瞬発的に動かすのが困難な人でも使用することが可能になる。
【0015】
請求項4の発明では、請求項2または請求項3の発明において、前記搭乗台は、着座した人が脛を載せるための足置きを両側面に備えることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、搭乗台に着座している人の脚の位置を安定に保つことができるから、脚の痛い人でも使用可能になる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に説明する実施形態では、馬の鞍のように人が跨る形で着座する搭乗台を用いる例を示すが、椅子のような形で人が着座する搭乗台、あるいは人が起立して搭乗する搭乗台を用いる場合でも同様の効果が期待できる。また、搭乗台を駆動する駆動装置には、特許文献1に記載されたパラレルメカニズムを用いる構成と、特許文献2に記載されたモータを用いる構成とのいずれでも用いることができる。
【0018】
(実施形態1)
本実施形態は、図1に示すように、人が着座するとともに駆動装置2により揺動駆動される搭乗台1を備える。搭乗台1は馬の鞍のように跨る形で着座するものであり、駆動装置2を収納した台座2aの上に設けられている。台座2aは一対の脚2bによって支持され、台座2aの両側面には搭乗台1に着座した人が脛を載せるための足置き2cが設けられる。駆動装置2は、搭乗台1を定点の周囲で前後方向と左右方向と前後軸回り方向と左右軸回り方向との少なくとも一方向に揺動させるものであって、1個または2個のモータを駆動源に用いモータの回転を搭乗台1の揺動に変換する伝達機構を介して搭乗台1に結合されている。ここに、定点とは台座2aに対して定位置である一点を意味する。前後軸の回りの揺動はいわゆるロールであり、左右軸の回りの揺動はいわゆるピッチになる。モータは一方向または両方向に回転駆動される。モータが一方向にのみ回転駆動される場合には搭乗台1を揺動させる周期のみを制御可能であって、モータが両方向に回転駆動される場合には搭乗台1を揺動させる周期と振幅とが制御可能になる。
【0019】
駆動装置2はマイコンを主構成要素とする制御部3により制御される。制御部3は搭乗台1の揺動の周期や振幅を変化させるように駆動装置2を制御する。つまり、制御部3は搭乗台1に搭乗した人の上体を傾かせるような加速度が生じるように駆動装置2を制御する。ここに、駆動装置2は、搭乗台1に搭乗した人に作用する加速度の最大値が0.50〜2.0m/sの範囲内の規定最大値になり、かつ加速度の平均値が0.10〜0.75m/sの範囲内の規定平均値になるように制御される。たとえば、搭乗台1を前後方向にのみ往復移動させる場合には、定点に対する前後の移動距離が±20mmになり、かつ平均周期が約1秒になるように駆動装置2を制御する。このとき、搭乗台1の人に作用する加速度の平均値は約0.3m/sになる。上述した加速度の最大値および平均値の範囲の下限値は運動能力が比較的低い人に適用され、運動能力が比較的高い人であれば上述した加速度の最大値および平均値の範囲の上限値を適用することができる。
【0020】
人に作用する加速度の最大値(規定最大値)および平均値(規定平均値)を上述の範囲内で設定することによって、生活習慣病を改善するための適正値に設定することができる。すなわち、搭乗台1に搭乗している人(以下、「使用者」という)は、搭乗台1が揺動するときに生じる加速度によって上体が傾くから姿勢反射によって姿勢を保とうとするのであって、このときに各種の筋肉の緊張・弛緩が誘発される。ここで、自発的ないし積極的に運動する場合には、筋肉の使用によって酸素消費量が増大するのであるが、本実施形態のような軽度の負荷を与えて他動的に運動させると、酸素使用量はあまり増加させることなく筋肉を使用させることができる。生体エネルギ源の一つであるブドウ糖は75%が筋肉群で消費されるから、筋肉の使用によってエネルギが消費されるのである。すなわち、本実施形態の装置を用いて運動させると、糖輸送能力が高まることにより酸素消費量の大幅な増加を伴わずに代謝が亢進する。
【0021】
これは、生体内における以下の機序によると考えられる。図2に示すように、運動による生体内の機序は、他動的に運動が促されることによって誘発される自動的な筋運動(運動覚刺激−筋・神経系動員プロセス(以下では、「刺激反応プロセス」という)P1)と、運動により誘発される代謝機能(代謝プロセスP2)とに分けて考えることができる。刺激反応プロセスP1では、筋紡錘や腱器官などの体性感覚受容器11が運動覚刺激を受けると、運動覚刺激は筋感覚神経を通して脊髄(後核)に伝達される。脊髄では運動覚刺激を折り返して筋肉を作用させる(反射)とともに視床を通して大脳の体性感覚野に運動覚刺激を伝達する。大脳内では連合運動野において高次の運動方法を構築し、運動野に運動を指示する。体性感覚野から運動野に至る過程では小脳、大脳基底核、視床が関与し、視床下部および脳下垂体を通して代謝プロセスP2に指示を与える。また、運動野への運動の指示に際しては、もともとの筋肉の動きや筋感覚に基づいて小脳が筋肉の動きを微調整する。運動野からは脊髄(前核)を通して筋肉および筋紡錘を作用させる。
【0022】
筋肉を作用させるエネルギには、まず筋肉内に存在しているグリコーゲンを利用し、このグリコーゲンが枯渇すると代謝プロセスP2によって血中ブドウ糖を使用するようになる。さらに、血中ブドウ糖が減少すると、次には肝臓、脾臓、視床下部が反応してホルモン系、自立神経系を制御し、肝臓や脂肪からブドウ糖や遊離脂肪酸(FFA)を供給するようになる。こうして、ブドウ糖や遊離脂肪酸がATPに変換され、ATPを用いることにより筋肉および神経を動かすエネルギが得られる。
【0023】
ここで、筋肉の運動による糖利用を考えると、通常のインスリンによるブドウ糖の代謝は、図3に示す右側の経路で行われる。つまり、インスリン感受性が亢進し(S3)、インスリン依存性のGLUT4のトランスロケーションが生じ(S4)、その後、糖輸送が亢進し(S5)、糖が利用されるのである(S6)。このように、インスリンによってブドウ糖を筋細胞内に取り込むGLUT4が活性化される。
【0024】
一方、筋肉を運動させると図3の左側の経路が強化される。とくに、筋肉の運動により(S1)、インスリン非依存性のGLUT4のトランスロケーションが生じる(S2)経路が強化される。言い換えると、筋肉の運動によって筋細胞内の一酸化窒素やAMPキナーゼが活性化され、インスリン依存性のGLUT4とは別に存在するインスリン非依存性のGLUT4が活性化、あるいは量的に増加し、筋細胞にブドウ糖を取り込むことにより糖輸送が亢進する(S5)。インスリン非依存性のGLUT4の活性化(S2)およびインスリン依存性のGLUT4の活性化(S4)は加算的な効果であって、図3のS1→S2の経路が強化されると、インスリン分泌が亢進されてインスリンによるブドウ糖の代謝の経路(S3→S4→S5→S6)も強化される。このように、運動を行うと筋肉内に存在する一酸化窒素やAMPキナーゼの効能で、ブドウ糖が積極的に筋細胞内に取り込まれ、糖輸送能力が高まることで代謝が亢進するのである。
【0025】
上述したように、本実施形態の構成では、搭乗台1に搭乗している人を揺らすことによって、体幹、下肢を中心として上体を傾かせることができ、結果的に全身の筋運動を誘発することができる。つまり、本実施形態の構成では、運動は他動的かつ軽負荷であるから、体力の弱い使用者あるいは生活習慣病を有する使用者であっても比較的長い時間にわたって無理なく運動を継続することが可能になる。一般に、代謝プロセスP2において遊離脂肪酸を消費するには、筋肉内のグリコーゲンおよび血中ブドウ糖を消費する必要があるから15〜20分以上の運動の継続が必要とされており、本実施形態の構成では運動が他動的かつ軽負荷であるから、運動をたとえば15〜30分間継続することが可能であり、生活習慣病の改善に役立つ運動が可能になるのである。
【0026】
以下に本実施形態の根拠となる実験結果について説明する。図4は本実施形態と同様の装置を用い、安静時と加速度の平均値を0.25m/s、0.35m/s、0.5m/sの3段階に設定した場合とで15分間の運動を継続した場合の酸素消費量の計測結果を示したものであり、Aは若年者3名の平均値、Bは高齢者4名の平均値、Cは全体の平均値を示している。酸素消費量の単位は、運動時の酸素消費量と安静時の酸素消費量との比である〔Mets〕を用いている。したがって、縦軸は消費エネルギの指標になる。図4から明らかなように、15分間の運動による消費エネルギの平均値は1.5〔Mets〕程度であり、3km/hの速度での歩行に相当する消費エネルギになる。また、この運動は他動的であるとともに、自転車漕ぎ運動のように大腿部付近の筋肉だけを局所的に用いるのではなく、全身の筋肉を広範囲に亘って用いるから、運動負荷が少なく心拍数を増加させることなくエネルギを消費することが可能になっている。
【0027】
また、本実施形態と同様の装置を用いて半年間の臨床訓練を行った結果、糖尿病患者の「インスリン抵抗性」に改善がみられた。すなわち、インスリン抵抗性の指標であるHOMA−Rが3.12±0.54から2.01±0.92に有意に低下した。ここに、「インスリン抵抗性」とは、ホルモンの一種であるインスリンが正常に作用しない状態であって、糖尿病、肥満、高脂血症、高血圧、動脈硬化などの生活習慣病の元になると考えられている。このメカニズムは、図5に示す通りであって、運動不足、肥満、過食あるいは遺伝因子によってインスリン抵抗性があると、インスリン作用によるブドウ糖取り込みが低下し、結果的に高インスリン血症が誘発される。高インスリン血症は、中心性肥満、糖質代謝異常、高血圧症、膵β細胞の疲弊をもたらし、膵β細胞の疲弊は2型糖尿病(NIDDM)を誘発する。その結果、糖質代謝異常、高血圧症、2型糖尿病(NIDDM)などから、動脈硬化症(たとえば、虚血性心疾患、脳血管障害)、最小血管症(たとえば、腎症、網膜症)などを誘発することになる。このように、インスリン抵抗性があると各種の生活習慣病が誘発されると考えられている。したがって、上述したように本実施形態の装置を半年間用いることによってHOMA−Rが低下したことから、生活習慣病の改善に役立つことがわかる。
【0028】
次に、本実施形態と同様の装置を用いて、搭乗台1の加速度と運動負荷との関係を評価した。まず、搭乗台1の揺動をピッチとロールに制限し、姿勢反射が生じない程度の振幅で平均周期を1秒に設定したところ、背中、腰部、腹部において筋電の測定結果が図6のようになった。この場合、姿勢反射が生じないような振幅であるから搭乗台1を揺動させる平均周期が比較的短いものの筋電の振幅は小さくなっている。つまり、筋肉の作用が少なく運動効果は少ないと考えられる。
【0029】
搭乗台1に図6と同様にピッチとロールを与えるとともに、搭乗台1を前後方向にも揺動させた場合の筋電の測定結果を図7に示す。ピッチとロールとに関する振幅および平均周期は図6と同様に設定してあり、前後方向の揺動については平均周期を2秒に設定してある。図7によれば図6の場合に対して若干の変化はみられるものの、筋の放電はほとんどみられず、このような動作でも運動効果は少ないと考えられる。
【0030】
そこで、図7の測定に対する条件のうち前後方向の揺動の平均周期を1秒に変更したところ、図8に示すように、腹筋において有意差で放電がみられ、運動効果を得られることがわかった。図8に示す条件では、人体に作用する加速度の平均値は0.3m/s程度になっている。つまり、0.3m/s程度の加速度を与えるように搭乗台1を揺動させることによって、運動効果が生じることがわかった。
【0031】
ちなみに、搭乗台1を前後方向に±20mmの振幅で揺動させるとともに、搭乗台1を揺動させる平均周期を変化させたときの計測結果を図9に示す。図9は4人の測定結果であり、横軸は搭乗台1を揺動させる際の平均周波数(平均周期の逆数)であって、縦軸は搭乗台1を揺動させる平均周期を1秒としたときの筋電量の総和を100とするときの筋電量の指数である。また、図中においてAvは安静時における4人の筋電量の平均値を示す。平均周波数が0.8Hzであるときには平均周波数が1Hzであるときに比較すると筋電量は約半分になる。つまり、平均周波数を適宜に調節することによって運動負荷を調節することが可能である。
【0032】
本実施形態では、駆動装置2としてモータの回転を伝達機構によって搭乗台1の揺動に変換する構成であって、伝達機構にはクランクなどを用いてモータの回転運動を直進運動に変換することを想定していたが、図10に示すような構成の駆動装置2を用いることも可能である。この駆動装置2は、パラレルリンクロボットと呼ばれるものであって、搭乗台1を架台4に対して複数本(6本)のリンク2dで支持するとともに、各リンク2dに付設され正逆に回転するモータ2eを用いて各リンク2dを個別に伸縮させることによって、搭乗台1を揺動させる構成になっている。各リンク2dの各一端はそれぞれ搭乗台1と架台4とにユニバーサルジョイント2fを介して結合される。この構成ではリンク2dの伸縮によって、6自由度(つまり、前後方向、左右方向、上下方向、前後軸回り方向、左右軸回り方向、上下軸回り方向)で搭乗台1を揺動させることが可能になる。
【0033】
(実施形態2)
実施形態1において用いた駆動装置2は、搭乗台1を定点の周囲で前後方向と左右方向と前後軸回り方向と左右軸回り方向との少なくとも一方向に揺動させるという条件を満たしていれば、搭乗台1の揺動方向についてとくに制限がないものであったが、本実施形態は搭乗台1の揺動方向を前後方向と左右方向との少なくとも一方向を含むように設定したものである。また、制御部3は、前後方向と左右方向とのうち加速度の大きい方向について搭乗台1の加速度の最大値が0.50〜2.0m/sの範囲内の規定最大値になりかつ平均値が0.10〜0.75m/sの範囲内の規定平均値になるように駆動装置2を制御する。
【0034】
本実施形態は、水平面内で搭乗台1が移動する際に生じる加速度に着目して人の上体を傾かせるものであり、最小構成では搭乗台1を水平面内で移動させるように駆動装置2を構成すればよいから、駆動装置2の構成が簡単になる。他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0035】
(実施形態3)
本実施形態は、搭乗台1の揺動方向に前後軸回り方向と左右軸回り方向との少なくとも一方向が含まれるようにしたものである。制御部3は、前後軸回り方向と左右軸回り方向とのうち加速度の大きい方向について搭乗台1の傾斜角度の最大値を2.8〜11.4度の範囲内の規定角度になるように駆動装置2を制御する。つまり、図11のように搭乗台1を所定の角度θだけ傾斜させることによって人Mに加速度αを作用させるのである。
【0036】
本実施形態は、搭乗台1を傾けることによって搭乗台1に搭乗している人の上体を傾けるから、重力加速度を利用して人の上体を傾かせることが可能になる。実施形態1において説明したように、加速度の最大値は0.50〜2.0m/sの範囲内の規定最大値にするのであって、上述した範囲の規定角度であればこの条件を満たすことができる。本実施形態の構成では人に作用させる加速度の最大値を0.1m/s程度に設定するとすれば、約6度の傾斜があればよいことになる(Arcsin6°≒0.1)。このように、適宜角度で傾斜させれば人に加速度を作用させることができるから、搭乗台を揺動させる平均周期を長くしても人の上体を傾けることができ、アイソメトリック運動のような静的な筋運動を誘発させることも可能になる。つまり、椎間板ヘルニア、腰椎すべり症、変形膝関節症のように関節部位を短時間で瞬発的に動かすのが困難な使用者でも使用することが可能になる。他の構成および動作は実施形態1と同様である。
【0037】
【発明の効果】
請求項1の発明の構成によれば、搭乗台に搭乗する人に作用する加速度の最大値および平均値に着目して駆動装置を制御することにより搭乗台を揺動させるから、生活習慣病である使用者にとって適正範囲の負荷での運動が可能になり、軽負荷で安全な運動を継続することによってインスリン抵抗性を改善させることが可能になるという利点がある。また、使用者は搭乗台の揺動に対して姿勢反射によって筋肉を緊張・弛緩させるのであって、他動的に運動が与えられるから、自発的ないし能動的に運動を行う場合に比較すると運動意欲を持続させやすく、生活習慣病を改善するための重要点である運動の継続が容易になる上に、自転車漕ぎ運動のように主として大腿部のみの筋肉を局所的に使用するということがなく、多くの筋肉を使用することで代謝を高めながらも筋肉の局所的な疲労を少なくすることができるという利点がある。
【0038】
請求項2の発明は、人が着座する搭乗台を前後方向と左右方向との少なくとも一方向を含む複数方向に揺動させ、前後方向と左右方向とのうち加速度の大きい方向について搭乗台の振幅と周期とにより加速度を規定して駆動装置を制御するから、水平面内で搭乗台が移動する際に生じる加速度で人の上体を傾かせる力が作用し、姿勢を保とうとする姿勢反射によって種々の筋肉を緊張・弛緩させることができ、多くの筋肉に軽度の負荷を与えることができる。
【0039】
請求項3の発明は、人が着座する搭乗台を前後軸回り方向と左右軸回り方向との少なくとも一方向に揺動させ、前後軸回り方向と左右軸回り方向とのうち加速度の大きい方向について搭乗台の傾斜角度により加速度を規定して駆動装置を制御するので、重力加速度を利用して人に加速度を作用させるのであって、搭乗台を揺動させる周期が長くなっても加速度を作用させることができるから、アイソメトリック運動のような静的な筋運動を誘発させることが可能であり、椎間板ヘルニア、腰椎すべり症、変形膝関節症のように関節部位を短時間で瞬発的に動かすのが困難な使用者でも使用可能になるという利点がある。
請求項4の発明は、着座した人が脛を載せるための足置きを搭乗台の両側面に設けているから、搭乗台に着座している人の脚の位置を安定に保つことができて、脚の痛い人でも使用可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1を示し、(a)は外観斜視図、(b)はブロック図である。
【図2】運動による代謝促進プロセスを示す図である。
【図3】運動による糖利用のプロセスを示す図である。
【図4】搭乗台の加速度と消費したエネルギとの関係を示す図である。
【図5】インスリン抵抗性と生活習慣病との関係を示す図である。
【図6】筋電の測定結果を示す図である。
【図7】筋電の測定結果を示す図である。
【図8】筋電の測定結果を示す図である。
【図9】搭乗台の揺動周波数と筋電量との関係を示す図である。
【図10】同上に用いるパラレルメカニズムを示す側面図である。
【図11】本発明の実施形態3の原理説明図である。
【符号の説明】
1 搭乗台
2 駆動装置
3 制御部

Claims (4)

  1. 人が搭乗する搭乗台と、搭乗台に搭乗した人の上体を傾かせる方向の力が作用するように搭乗台を定点の周囲で揺動させる駆動装置と、搭乗台に搭乗する人に作用する加速度の最大値と平均値とをそれぞれ運動強度と消費エネルギとの指標に用い、搭乗台の揺動中において搭乗台に搭乗している人に作用する加速度の最大値と平均値とがそれぞれ搭乗台に搭乗する人の運動能力に合わせて設定した最大値と平均値とになるように駆動装置を制御する制御部とを備えることを特徴とする生活習慣病改善装置。
  2. 前記搭乗台は人が着座可能な形状に形成され、前記駆動装置は前記搭乗台を前後方向と左右方向との少なくとも一方向を含むように揺動させ、前記制御部は、前後方向と左右方向とのうち加速度の大きい方向について搭乗台の振幅と周期とにより前記加速度を規定して駆動装置を制御することを特徴とする請求項1記載の生活習慣病改善装置。
  3. 前記搭乗台は人が着座可能な形状に形成され、前記駆動装置は前記搭乗台を前後軸回り方向と左右軸回り方向との少なくとも一方向に揺動させ、前記制御部は、前後軸回り方向と左右軸回り方向とのうち加速度の大きい方向について搭乗台の傾斜角度により前記加速度を規定して駆動装置を制御することを特徴とする請求項1記載の生活習慣病改善装置。
  4. 前記搭乗台は、着座した人が脛を載せるための足置きを両側面に備えることを特徴とする請求項2または請求項3記載の記載の生活習慣病改善装置。
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