JP4037999B2 - ウェブサイト、ロボット型検索エンジン応答システム、ロボット型検索エンジン登録方法、記憶媒体及びプログラム伝送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信ネットワーク上に設けられた情報サイトにおいて、アクセス要求の送信元の種類に応じて異なる応答を行うシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、インターネット上には種々の情報を持つ多数のサイトが存在している。その中には、情報へのアクセスを制限しているものがある。例えば、会員制や閲覧料金の設定を行い、会員登録したり料金を支払ったりすることによってアクセス権限を取得したユーザにのみアクセスを認めるようなサイトである。
【0003】
ところで、インターネットにおいては、所望の情報を効率よく取得するために、検索エンジンが利用されている。
図17は、検索エンジンを用いた情報検索の様子を示す図である。
図17に示すように、検索エンジン210は、インターネット上に散在する情報をURLリストにリストアップしておき、ユーザ端末220からの検索要求に応じて検索結果を返す。検索方法としては、キーワードを用いた検索やカテゴリごとの分類に基づいて検索するものなど種々の方法がある。
また、検索エンジンにおける情報の取得方法についても、サイトからの要求によりリストに登録するものや、機械的にサイトを訪問して情報を取得するロボット型と呼ばれるものなどがある。
【0004】
このロボット型検索エンジンについてさらに説明する。
ロボット型検索エンジンでは、ロボットまたはcrawlerまたはspiderと呼ばれるソフトウェア(以下、単にロボットと称す)が、ウェブサーバから検索対象となるHTML文書をHTTPによって収集する。そして、収集結果に基づいてキーワード検索による全文検索サービスを提供する。以下に典型的なロボットの具体的な挙動を述べる。
1.HTML文書のURLリストから未収集のものを一つ選択する。
2.選択したURLにあるHTML文書を取得するため、WWWサーバにHTTP要求を送信する。
3.取得したHTML文書から索引、要約などを生成して記憶装置に保存、または破棄する。
4.取得したHTML文書にあるハイパーリンクから、HTML文書のURLを検出する。
5.検出されたURLを1.で述べたURLリストに追加する。
6.URLリストに未収集のものが残っていれば1.に戻る。
このようにして、ロボットはURLからURLへと渡り歩くように動作する。
【0005】
上述したロボット型検索エンジンでアクセス制限のあるサイトにアクセスした場合、ロボット型検索エンジンは、通常、当該サイトに対するアクセス権限を持っていないため、当該サイトの情報を取得することができない。したがって、所定のユーザの必要とする情報が所定のサイトに存在する場合でも、当該サイトがアクセス制限を行っており、所定のロボット型検索エンジンによるアクセスを拒絶している場合は、当該ユーザが当該ロボット型検索エンジンを介する検索によって当該サイトを発見することはできない。この様子を図18に示す。
【0006】
これをサイト側から見ると、ロボット型検索エンジンによってリストアップされないため、提供した情報を十分に広告できないことを意味する。
サイトについて不特定のユーザを対象とした広告を行う方法としては、ロボット型検索エンジンによるURLリストに登録する他に、人手を介してカテゴリ検索用のリストを作成するような検索エンジンに登録したり、広告用のウェブページを設けたり、バナー広告を設定するなどの方法がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、インターネット上に存在するサイトにおいて、アクセス制限がなされている場合、アクセス権限を持たないロボット型検索エンジンは当該サイトにおけるアクセスが制限された情報にアクセスできない。このため、当該情報は、当該ロボット型検索エンジンのURLリストにはリストアップされず、ユーザは、当該ロボット型検索エンジンを介して当該情報を検索することができない。このため、このようなサイトにおけるアクセスの制限された情報については、ロボット型検索エンジンのURLリストに登録されることによって、当該情報が存在することを広告することができなかった。
【0008】
また上述したように、ロボット型検索エンジンのURLリストに登録される他に、人手を介してURLリストを作成する検索エンジンに登録したり、広告用のウェブページやバナー広告を設定したりするといった広告方法がある。
しかしながら、今日、インターネットでは、所望の情報を検索するためにロボット型検索エンジンは広く利用されており、このURLリストに登録することは広告手段として非常に効果が高い。
また、上記他の広告方法は、検索エンジンに登録したり、ウェブページやバナー広告を設定したりするために手間を要する。また、提供する情報を更新する度に、サイト側から連絡するなどの作業が必要であった。ロボット型検索エンジンは、検索エンジンが自動的にサイトにアクセスして情報を取得するため、このような手間を要しない。
したがって、アクセス制限を行っているサイトにおいても、ロボット型検索エンジンに対して、アクセスが制限された情報そのものへのアクセスは認めないまでも、当該情報に関するメタ情報(当該情報に関するキーワードなど)を提供することができれば、ロボット型検索エンジンによる広告効果を享受できることとなる。
【0009】
さらに、ロボット型検索エンジンの他に、アクセス制限を行っているサイトへアクセス権限を持たないユーザがブラウザを介してアクセス要求を送信した場合においても、アクセスが制限されている当該情報そのものを提供することはできないが、当該情報の内容を紹介する文章などのメタ情報を提供することができれば、広告としての効果を期待できる。
【0010】
そこで本発明は、アクセス制限を行っているサイトにおいて、ロボット型検索エンジンからのアクセス要求に対しても、アクセスの制限された情報に関するメタ情報を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、アクセス制限を行っているサイトにおいて、アクセスを制限している情報へのアクセス要求を送信した主体のアクセス権限に応じて、適切な情報を選択的に提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
かかる目的のもと、本発明は、通信ネットワーク上に設けられたウェブサイトにおいて、この通信ネットワークを介して提供する情報を格納したデータ管理部と、受信したアクセス要求の送信元の種類を判別する送信元判別部と、この送信元判別部による判別結果に基づいて、データ管理部からこのアクセス要求の送信元の種類に応じた情報を取得し、このアクセス要求の送信元の種類に応じた応答を生成し返送する応答部とを備え、このデータ管理部は、アクセスが制限された主要情報と、この主要情報に関する情報であるメタ情報とを格納し、この応答部は、送信元判別部による判別の結果、アクセス要求の送信元がこの主要情報に対するアクセス権限を持たない場合に、このメタ情報を取得して応答を生成することを特徴としている。
このような構成とすることにより、ロボット型検索エンジンにおけるロボットやアクセス権限を有しないユーザに対しても主要情報に関するメタ情報を提供することができる。
【0013】
ここで、この応答部は、送信元判別部により判別されたアクセス要求の送信元が通信ネットワーク上に設けられたロボット型検索エンジンにおけるロボットである場合に、メタ情報として主要情報に関するキーワードを含む応答を生成することを特徴としている。
このような構成とすれば、アクセスの制限された主要情報についても、検索エンジンにおけるキーワード索引を作成する上で必要なキーワードを取得できる点で好ましい。
【0014】
さらにここで、この送信元判別部は、通信ネットワーク上に設けられたロボット型検索エンジンのロボットとこのロボットがアクセス要求に付加するユーザ・エージェント・ヘッダとを対応付けて登録したユーザ・エージェント登録簿を備え、受信したアクセス要求に付加されているユーザ・エージェント・ヘッダの内容がこのユーザ・エージェント登録簿に登録されている場合に、このアクセス要求の送信元をロボット型検索エンジンのロボットと判別することを特徴としている。
このような構成とすれば、著名な検索エンジンのロボットに関しては確実にキーワードからなるメタ情報を提供できる点で好ましい。
【0015】
さらにまた、この送信元判別部は、主要情報に対するアクセス権限別にユーザを登録したユーザ登録簿を備え、受信したアクセス要求と共にクッキー情報として通知されるユーザIDがこのユーザ登録簿に登録されている場合に、このユーザ登録簿にて示されるこのユーザのアクセス権限の範囲を応答部に通知し、この応答部は、送信元判別部から受け取ったこのユーザのアクセス権限の範囲に応じて、メタ情報としてこのアクセス要求にて要求される主要情報の内容を説明するテキストデータを含む応答を生成することを特徴としている。
このような構成とすれば、アクセス権限を有しないユーザに対して、主要情報の内容を紹介できる点で好ましい。
【0016】
また、本発明は、通信ネットワーク上に設けられたウェブサイトにおいて、この通信ネットワークを介して有料で提供する情報を格納したデータ管理部と、受信したアクセス要求の送信元であるユーザがこの有料情報に対する料金を支払ったかどうかを判別する送信元判別部と、この送信元判別部による判別結果に基づいて、この有料情報に対する料金を支払ったユーザに対してはこの有料情報を返送し、この有料情報に対する料金を支払っていないユーザに対してはこの有料情報の代わりに、この有料情報に関する情報を無料で返送する応答部とを備えたことを特徴としている。
このような構成とすれば、有料情報に対して料金を支払っていないユーザに対して、無料でこの有料情報の内容を紹介できる点で好ましい。
【0017】
さらに、本発明は、通信ネットワーク上に設けられた情報サイトにアクセスし、この情報サイトにて提供される情報を取得する情報通信端末において、この情報サイトに対して、自己の識別情報と共にこの情報を取得するための要求を送信し、要求した情報が、この識別情報に応じて設定された自己のアクセス権限の範囲に含まれている場合は、この情報サイトから送信されたこの情報を取得し、要求した情報が、この識別情報に応じて設定された自己のアクセス権限の範囲に含まれていない場合は、この情報サイトから送信されたこの情報に関する情報であるメタ情報を取得することを特徴としている。
【0018】
また、本発明によれば、次のように構成されたロボット型検索エンジン応答システムを提供できる。すなわち、通信ネットワーク上に設けられたウェブサーバが受信したアクセス要求を解析してこのアクセス要求の送信元を判別する送信元判別部と、この送信元判別部により判別されたこのアクセス要求の送信元がロボット型検索エンジンのロボットである場合に、このアクセス要求にて要求されたウェブページソースの代わりに、このウェブページソースに関するキーワードをこのロボットに返送する応答部とを備えることを特徴としている。
【0019】
さらにまた、本発明によれば、通信ネットワーク上に設けられたウェブサイトにおいて、次のように構成されたロボット型検索エンジン登録方法を提供することができる。すなわち、この通信ネットワークを介して機械的にウェブサイトにアクセスしてこのウェブサイトに格納されているウェブページソースを取得し、ウェブページの検索用リストを作成するロボット型検索エンジンのロボットからのアクセス要求を受け付け、このアクセス要求にて要求されたウェブページソースの代わりに、このウェブページソースに関するキーワードをこのロボットに返送することを特徴としている。
【0020】
また、本発明は、コンピュータに実行させるプログラムをこのコンピュータの入力手段が読取可能に記憶した記憶媒体において、このプログラムは、通信ネットワーク上に設けられたウェブサーバが受信したアクセス要求を解析してこのアクセス要求の送信元を判別する処理と、判別されたアクセス要求の送信元がロボット型検索エンジンのロボットである場合に、当該アクセス要求にて要求されたウェブページソースの代わりに、当該ウェブページソースに関するキーワードを当該ロボットに返送する処理とを前記コンピュータに実行させることを特徴としている。
このような構成とすれば、このプログラムをインストールしたコンピュータにおいて、ロボット型検索エンジンのロボットによるアクセス要求に応じてウェブページソースの代わりにキーワード列を返送することができる。
さらにまた、本発明は、かかるプログラムを記憶する記憶手段と、この記憶手段からこのプログラムを読み出して送信する送信手段とを備えたプログラム伝送装置として提供することもできる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態におけるウェブサイトが接続されたネットワーク環境の構成例を示す図である。
図1において、符号10はウェブサイトであり、本実施の形態における情報提供サービスを実行する。符号20は一般的なロボット型の検索エンジンであり、機械的にウェブサイト10にアクセスし、キーワードなどの情報を取得してURLリストに登録する。符号30はユーザ端末であり、内蔵のウェブブラウザ31を用い、通信ネットワーク100を介して、ウェブサイト10にアクセスしたり、検索エンジン20にアクセスして所望の情報を含むウェブページを検索したりする。通信ネットワーク100は、インターネットやイントラネットなど、WWW(World Wide Web)を基本とした情報の交換を行うネットワークシステムである。
【0022】
なお、図1には、本実施の形態を実現するウェブサイト10と、ロボット型の検索エンジン20のみが記載されているが、実際には、その他の一般のウェブサイトや、サイトからの要求に応じて人手を介してウェブサイトのURLをURLリストに登録する検索エンジンなどが通信ネットワーク100に接続されている。また、ユーザ端末30は、使用するユーザによって、ウェブサイト10に対するアクセス権限が異なる。そして、後述するように、ウェブサイト10は、ユーザ端末30のアクセス権限に応じた個別の対応を行う。また、ユーザ端末30は、ワークステーションやパーソナルコンピュータ、その他のコンピュータシステムや、PDA(Personal Digital Assistants)等を含む種々の情報通信端末にて実現される。ただし、ウェブサイト10に対するアクセス権限は、ユーザ端末30を構成する機器やウェブブラウザ31の種類ではなく、ユーザ端末30を使用するユーザに依存することとなる。
【0023】
図2は、本実施の形態におけるウェブサイト10の構成を説明する図である。図2を参照すると、ウェブサイト10は、通信ネットワーク100を介してサービスを行うためのウェブサーバ11と、ウェブサーバ11にて受信したアクセス要求の送信者を判別するためのユーザ・エージェント判別モジュール12、ユーザ・エージェント登録簿13及びユーザ登録簿14と、アクセス要求の送信者の種類に応じて応答を生成するための正式応答生成モジュール15、ゲストユーザ向けプレビュー用応答生成モジュール16、未登録ユーザ向けプレビュー用応答生成モジュール17及び検索エンジン用応答生成モジュール18と、ウェブサイト10が提供する情報を格納したデータ管理システム19とを備える。
【0024】
上記の構成において、ウェブサーバ11は、ユーザ端末30や検索エンジン20からのHTTP要求(アクセス要求)に応じてファイルやデータを提供する。なお、ウェブサーバ11自体は、通常のサーバ・ソフトウェアにより構築することができる。
【0025】
ユーザ・エージェント判別モジュール12は、CGI(Common Gateway Interface)やJava(登録商標)のサーブレットを用いてウェブサーバ11に実装され、ウェブサーバ11が受信したHTTP要求に基づいて、当該HTTP要求を送信した主体を判別する。判別にはHTTP要求のUser-Agentヘッダを参照する方法を用いる。
【0026】
HTTP要求には、通常、User-Agentヘッダというヘッダ情報が付加されており、ユーザ・エージェント自身が「自分はどういう素性のものであるか」を自己申告するための文字列が設定されることになっている。例えば、米国ネットスケープ・コミュニケーションズ社のNetscape Navigatorの場合は、図3に示すようなUser-Agentヘッダが付加される。図示のUser-Agentヘッダには3行目にあるように、「Mozilla/4.7 [ja] (Win98; I)」という値が設定されており、「マイクロソフト社のOS、Windows98(登録商標)上で動作しているNetscape(登録商標)ブラウザのバージョン4.7日本語版である」ということを示している。
【0027】
同様にして、ロボット型の検索エンジン20におけるロボットからのHTTP要求に関しても、当該ロボットが付加するUser-Agentヘッダの内容をウェブサイト10が知っているならば、HTTP要求中のUser-Agentヘッダを検証することで、当該HTTP要求を送信した主体が検索エンジン20のロボットであることを認識することができる。一般に、利用者の多い著名な検索エンジンのロボットに関しては、User-Agentヘッダの内容が公知であるため、これを参照してHTTP要求の送信主体が所定の検索エンジンのロボットであることを認識することは可能である。また、User-Agentヘッダの内容がウェブサイト10の知らないものである場合やHTTP要求にUser-Agentヘッダ自体が存在しない場合は、短時間に多くの要求を発行してウェブサーバ11に過度の負荷をかけるような「性質の悪い」ユーザ・エージェントである疑いもあるので、単に要求を拒絶することも可能である。
【0028】
さらに、ユーザ・エージェント判別モジュール12は、HTTP要求がユーザ端末30のウェブブラウザ31から送信されたものである場合、HTTP要求と共にクッキー(Cookie)情報として通知されるユーザIDを用いて、HTTP要求の送信主体をさらに細かく分類することもできる。HTTP要求の送信主体を細かく分類することによって、当該主体に応じて異なる情報を返送し、きめ細かい対応を行うことが可能となる。HTTP要求の送信主体をどれだけ細かく分類するかについては、ウェブサイト10の運営方針、提供する情報の種類や内容などに応じて任意に決定することができる。例えば、ユーザIDによる判別を行わず、検索エンジン20のロボットのみを判別して異なる対応を取るようにすることもできる。なお、クッキー情報のユーザIDを用いてユーザのアクセス権限を識別する手法は一例に過ぎず、ユーザからの登録番号の入力や登録手続き、料金の支払いといった手続きを待ってアクセス権限を確認するようにしても良い。
本実施の形態では、ウェブサイト10のデータ管理システム19に格納された情報に対して完全なアクセス権限を持つ正式ユーザと、部分的なアクセス権限を持つゲストユーザと、アクセス権限を持たない未登録ユーザと、検索エンジン20のロボットとを区別することとして、以下の説明を行う。
【0029】
ユーザ・エージェント登録簿13は、上述したUser-Agentヘッダを登録して保持する。ウェブサーバ11にてHTTP要求を受け取った場合に、ユーザ・エージェント判別モジュール12がユーザ・エージェント登録簿13と受信したHTTP要求に付加されているUser-Agentヘッダとを比較する。そして、当該User-Agentヘッダがユーザ・エージェント登録簿13に登録されていれば、当該HTTP要求の送信主体を検索エンジン20のロボットと判断する。
なお、User-Agentヘッダをランク付けしてユーザ・エージェント登録簿13に登録するなどの手段により、検索エンジン20を差別化することも可能である。例えば、ランクの高い検索エンジン20のロボット(A)に対しては毎回のアクセスのたびに情報を返送し、ランクの低い検索エンジン20のロボット(B)に対してはアクセスを拒絶したり、数回のアクセスに対して情報を1回返送したり、返送する情報量を減らしたりするといった対応を行うことができる。ランク付けの基準としては、検索エンジン20の利用者数や、ウェブサイト10が提携しているかどうかなど、任意の基準を設けることができる。
【0030】
ユーザ登録簿14は、上述したクッキー情報として通知されるユーザIDを登録して保持する。ユーザ登録簿14には、当該ユーザに与えられたアクセス権限ごとに区別してユーザIDを登録しておく。そして、ウェブサーバ11にてHTTP要求を受け取った場合に、ユーザ・エージェント判別モジュール12がユーザ登録簿14とHTTP要求と共に受信したクッキー情報のユーザIDとを比較する。そして、当該ユーザIDがユーザ登録簿14に登録されているかどうか、また登録されている場合には当該ユーザのアクセス権限の内容を判断する。なお、ユーザ登録簿14は必須の構成要件ではない。例えば、HTTP要求の送信主体が検索エンジン20のロボットかどうかを識別するだけで良い場合は、ユーザ・エージェント登録簿13を参照すれば足りるので、ユーザ登録簿14を設ける必要はない。
【0031】
正式応答生成モジュール15は、データ管理システム19に格納されている情報のうち、アクセス制御の対象となっている情報を含めてHTTP要求にて要求される全ての情報を取得し、当該HTTP要求の送信主体への応答を生成する。
ゲストユーザ向けプレビュー用応答生成モジュール16は、データ管理システム19に格納されているHTTP要求にて要求された情報のうち、ゲストユーザにアクセス権限が与えられている情報のみを取得し、また取得情報の正式な内容を説明するゲストユーザ向けのメタ情報を取得して、当該HTTP要求の送信主体への応答を生成する。
未登録ユーザ向けプレビュー用応答生成モジュール17は、データ管理システム19に格納されている情報のうち、アクセス権限を持たない未登録ユーザ向けのメタ情報を取得し、HTTP要求の送信主体への応答を生成する。
検索エンジン用応答生成モジュール18は、データ管理システム19に格納されている情報のうち、検索エンジン20のロボット向けのメタ情報を取得して、当該HTTP要求の送信主体であるロボットへの応答を生成する。
以上の各応答生成モジュール15乃至18にて取得される情報の内容や生成される応答については、後述する。なお、本実施の形態では、HTTP要求の送信主体の種類に応じて4種類の応答生成モジュールを設定したが、これらは必ずしも上記の4種類に限定されない。特に正式応答生成モジュール15以外のモジュールに関しては、アクセス権限の範囲を細かく設定し、これに対応してさらに多くの応答生成モジュールを設けても良いし、アクセス権限を持たないHTTP要求の送信主体用として単一の応答生成モジュールにて処理しても良い。
【0032】
データ管理システム19は、ウェブサイト10により提供されるサービスのための情報(デジタル・コンテンツやサービスを含む)を格納する。データ管理システム19に格納される情報には、ウェブサイト10が提供することを目的とした主要情報19aと、主要情報に関する情報であるメタ情報19bとがある。
主要情報19aには、アクセスが制限されている情報と制限されていない情報とがある。アクセスが制限されている情報は、アクセス権限を有するユーザのみが取得したり閲覧したりでき、アクセスが制限されていない情報は、全てのユーザが取得したり閲覧したりできる。また、アクセス権限の内容としては、アクセスが制限される全ての情報にアクセスが許される正式ユーザ、アクセスが制限される情報のうちの一部または品質を落としたコンテンツなど条件付きでアクセスが許されるゲストユーザなど、種々のアクセス権限を設定することができる。
【0033】
メタ情報19bは、アクセスが制限された主要情報19aに対するアクセス権限を持たないユーザに対して、当該主要情報19aの代わりに提供される情報である。その内容は、主要情報19aの内容を説明する文や、当該主要情報19aに関わるキーワードや、当該主要情報19aを取得したり閲覧したりするのに必要なアクセス権限の取得を促すメッセージなどであり、主としてテキストデータで構成される。
【0034】
具体的な例を挙げて説明する。
主要情報19aが物理学における相対性理論を学ぶための教育用素材であり、説明文、静止画像、動画像、音声のデータを含む場合を考える。そして、これらのデータのうち、静止画像を除く3種類のデータは正式ユーザにのみアクセスが認められ、静止画像は正式ユーザ及びゲストユーザにアクセスが認められているものとする。
【0035】
この場合、メタ情報19bとしては、これらの教育用素材のパッケージが相対性理論を学ぶための教材であり、説明文、静止画像、動画像、音声を含むことを説明する文や、相対性理論に関わる「アインシュタイン」「速度」「光」「重力」などのキーワードや、これらのコンテンツを閲覧するために必要なアクセス権限の取得方法(登録方法や料金の支払方法)及びそのための手続きを受け付けるページへのリンクなどが含まれる。
【0036】
また、ゲストユーザ向けのメッセージとして、ゲストユーザが閲覧できる情報が静止画像のみであることや、正式ユーザへの登録方法及び登録ページへのリンクなどをメタ情報19bに含むことができる。
さらに、未登録ユーザに対しても、静止画像の品質を落とした画像データを提供することとしている場合、ゲストユーザまたは正式ユーザとなれば品質の高い画像を閲覧できることを知らせるメッセージなどをメタ情報19bに含むことができる。
【0037】
図4は、本実施の形態による動作を説明するフローチャートである。
図4において、ウェブサイト10のウェブサーバ11がHTTP要求を取得すると(ステップ401)、ユーザ・エージェント判別モジュール12が当該HTTP要求の送信主体を示すユーザ・エージェントの種対を判別する(ステップ402)。ユーザ・エージェント登録簿13を参照してUser-Agentヘッダを検証することにより、当該HTTP要求のユーザ・エージェントが検索エンジン20のロボットであることが判明した場合、検索エンジン用応答生成モジュール18に制御が移行する。
【0038】
検索エンジン用応答生成モジュール18は、まず、データ管理システム19から、当該HTTP要求にて要求されているURLの情報に関するメタ情報19bを取得する(ステップ403)。ここでは、検索エンジン20のロボットに返送するメタ情報19bであるので、キーワードが主な内容となる。
次に、検索エンジン用応答生成モジュール18は、取得したメタ情報19bを用いて、当該HTTP要求の送信主体である検索エンジン20のロボットに返送する応答を生成し、ウェブサーバ11を介して返送する(ステップ404)。具体的には、ステップ403で取得したキーワードを羅列したHTML文書などである。
【0039】
ステップ402において、当該HTTP要求のユーザ・エージェントが検索エンジン20のロボットでないことが判明した場合、次に、ユーザ・エージェント判別モジュール12は、HTTP要求の送信主体から、クッキー情報を取得する(ステップ405)。そして、当該クッキー情報のユーザIDに基づいてユーザの種類(アクセス権限の有無及び範囲)を判別する(ステップ406)。これは、ユーザ・エージェント登録簿13に登録されていないUser-Agentヘッダを持つHTTP要求に関しては、全てユーザ端末30のウェブブラウザ31から送信されたものとして扱うことを意味する。ここで、当該HTTP要求の送信主体は、ユーザ・エージェント登録簿13に登録されていない検索エンジン20のロボットである可能性もある。しかし、その場合でも未登録ユーザとして扱うことにより、少なくともキーワード等の情報を含む応答が返されるので、特に不都合は生じない。
【0040】
クッキー情報にて識別されたユーザがユーザ登録簿14に登録されていない場合、及びクッキーが設定されていない場合は、未登録ユーザ、すなわちデータ管理システム19に格納されているアクセスの制限された主要情報19aに対して全くアクセス権限を持たないユーザと判断し、未登録ユーザ向けプレビュー用応答生成モジュール17に制御が移行する。
【0041】
未登録ユーザ向けプレビュー用応答生成モジュール17は、まず、データ管理システム19から、当該HTTP要求にて要求されているURLの情報に関するメタ情報19bを取得する(ステップ407)。ここでは、未登録ユーザに返送するメタ情報19bであるので、キーワードの他、主要情報19aに関する説明文やアクセス権限の取得方法(登録方法)等が含まれる。
次に、未登録ユーザ向けプレビュー用応答生成モジュール17は、取得したメタ情報19bを用いて、当該HTTP要求の送信主体である未登録ユーザのユーザ端末30に返送する応答を生成し、ウェブサーバ11を介して返送する(ステップ408)。具体的には、ステップ407で取得した説明文やキーワードを記載し、ゲストユーザ登録を受け付けるページへのリンクを含むHTML文書などである。
【0042】
ここでさらに、当該HTTP要求を送信した未登録ユーザが、ウェブサイト10からの応答に応じてゲストユーザへの登録を受け付けるページに遷移し、登録の申し込みを行ったとする(ステップ409)。この登録申し込みは、HTTP要求として未登録ユーザ向けプレビュー用応答生成モジュール17に送られる。未登録ユーザ向けプレビュー用応答生成モジュール17は、当該未登録ユーザのユーザIDをゲストユーザとしてユーザ登録簿14に登録し(ステップ410)、さらにこのユーザIDを含むクッキー情報を発行するためのHTTP応答を当該ユーザのユーザ端末30に送る(ステップ411)。
【0043】
ステップ406において、HTTP要求から取得したクッキー情報のユーザIDがゲストユーザとしてユーザ登録簿14に登録されていたならば、当該HTTP要求の送信主体をゲストユーザと判断し、ゲストユーザ向けプレビュー用応答生成モジュール16に制御が移行する。
【0044】
ゲストユーザ向けプレビュー用応答生成モジュール16は、まず、データ管理システム19から、当該HTTP要求にて要求されているURLの情報に関するメタ情報19bを取得する(ステップ412)。ここでは、ゲストユーザに返送するメタ情報19bであるので、キーワードの他、主要情報19aに関する説明文や正式ユーザへの登録方法等が含まれる。
次に、ゲストユーザ向けプレビュー用応答生成モジュール16は、取得したメタ情報19bを用いて、当該HTTP要求の送信主体であるゲストユーザのユーザ端末30に返送する応答を生成し、ウェブサーバ11を介して返送する(ステップ413)。具体的には、ステップ407で取得した説明文やキーワードを記載し、正式ユーザへの登録(ユーザ登録)を受け付けるページへのリンクを含むHTML文書などである。
【0045】
ここでさらに、当該HTTP要求を送信したゲストユーザが、ウェブサイト10からの応答に応じてユーザ登録を受け付けるページに遷移し、登録の申し込みを行ったとする(ステップ414)。この登録申し込みは、HTTP要求としてゲストユーザ向けプレビュー用応答生成モジュール16に送られる。ゲストユーザ向けプレビュー用応答生成モジュール16は、当該ゲストユーザのユーザIDを正式ユーザとしてユーザ登録簿14に登録する(ステップ415)。これ以降、当該ユーザは全ての主要情報19aに対してアクセス権限を有する正式ユーザとして扱われることとなる。
【0046】
また、ステップ406において、HTTP要求から取得したクッキー情報のユーザIDが正式ユーザとしてユーザ登録簿14に登録されていたならば、当該HTTP要求の送信主体を正式ユーザと判断し、正式応答生成モジュール15に制御が移行する。そして、正式応答生成モジュール15は、データ管理システム19から、当該HTTP要求により要求されたURLのコンテンツを取得し(ステップ416)、ウェブサーバ11を介して当該HTTP要求の送信主体であるユーザのユーザ端末30に返送する(ステップ417)。
【0047】
以上のようにして、HTTP要求の発信主体及びそのアクセス権限の範囲に応じて生成された個別的な応答が、当該HTTP要求の発信主体に対して返送されることとなる。これにより、主要情報19aに対してアクセス権限を有するユーザは、要求した主要情報19aを全て取得することができ、アクセス権限を有しないユーザは、要求した主要情報19aに関するメタ情報19bを取得することができる。また、主要情報19aに対して部分的にアクセス権限を有するユーザは、アクセス権限を有する範囲の主要情報19aとアクセス権限を有しない主要情報19aに関するメタ情報19bとを取得できる。アクセス権限を有しない主要情報19aに対してもメタ情報19bとして当該主要情報19aに関する情報を取得できるため、ユーザがさらにアクセス権限を取得するべきかどうかを判断するための指標を与えることができる。
また、検索エンジン20のロボットは、アクセスが制限されている主要情報19aに対してもキーワードからなるメタ情報19bを取得できる。このため、ウェブサイト10は、検索エンジン20を利用して情報検索を行うユーザに対して当該主要情報19aに関する情報を提供し、広告することができる。
【0048】
次に、本実施の形態の具体的な実施例について説明する。ここでは、登録ユーザに対してインターネットを通じて遠隔教育用の教材を有償で提供するサービスの例を示す。
このサービスを提供するプロバイダのウェブサイト10であるwww.dummy.comにおいて、ウェブサーバ11を介して教材をウェブページソースであるHTMLドキュメントで提供する。教材は、画像・動画・音声の素材へのリンクを含む。すなわち、これらの教材及び素材が主要情報19aである。教材および素材のファイルは、ユーザ端末30のウェブブラウザ31により、それぞれ以下のURLで参照できるように配置する。
教材: http://www.dummy.com/edu.html
画像: http://www.dummy.com/image.gif
動画: http://www.dummy.com/movie.mov
音声: http://www.dummy.com/narration.au
【0049】
各教材および素材に対して、概要、キーワード、分類名、および重要度をテキストで記述したメタ情報19bを用意する。重要度の意味は後述する。
図5は、上記の教材及び素材に対するメタ情報19bの例である。
【0050】
教材をアクセスするユーザ・エージェントは、検索エンジン20のロボットの場合と、ユーザがユーザ端末30において使用するウェブブラウザ31の場合とがあるものとする。
HTTP要求の送信元が検索エンジン20のロボットである場合、当該ロボットは、www.dummy.comのサイトを巡回して教材edu.htmlのURLを取得し、そのHTTP返答から検索用のキーワード索引を作成する。一般に、このキーワード抽出の手段は、検索エンジンのサイトによって異なるが、本実施の形態はその手段に依存しない。しかしながら、代表的なロボットのキーワード抽出の手段は周知であることが多い。したがって、望ましくはキーワードがロボットに抽出されやすい形式でHTTP返答を作成する。例えば、タイトル・タグにキーワードを入れる、先頭のパラグラフにキーワードを入れる、などの方法を用いることができる。
【0051】
HTTP要求の送信元がユーザ端末30のウェブブラウザ31の場合、アクセス権限の有無及び範囲によって、未登録ユーザ、ゲストユーザ、登録ユーザに分けて処理を行う。ウェブサイト10のユーザ登録簿14には、それぞれユーザのユーザIDとパスワードとを登録してある。ゲストユーザは、教材の概要とその一部を体験版として示してユーザ登録を勧誘するために用意されたユーザIDを使うユーザである。
【0052】
以上の条件で、ウェブサイト10のウェブサーバ11は、教材の取得を要求するHTTP要求を受信すると、当該HTTP要求をユーザ・エージェント判別モジュール12に渡す。
ユーザ・エージェント判別モジュール12は、ユーザ・エージェント登録簿13及びユーザ登録簿14を参照して、要求されたURLとユーザの種別を判別する。
例えば、教材edu.htmlへの参照に対して、ウェブサーバ11を介して図6に示すHTTP要求を受け取ったものとする。ユーザの種別を知るためには、2行目のUser-Agentヘッダフィールドに記述されたユーザ・エージェント識別情報(ここでは<User#Agent>)と、5行目にCookieヘッダフィールドに記述されたクッキー情報(ここではuserid=<User#ID>)とを使用する。
【0053】
まず、検索エンジン20のロボットと、ユーザ端末30のウェブブラウザ31とを区別するために、ユーザ・エージェント登録簿13を参照する。図7にこの場合のユーザ・エージェント登録簿13の例を示す。図6に示したHTTP要求のUser-Agentタグに記述されたクライアント識別情報<User#Agent>をユーザ・エージェント登録簿13と照会することにより、当該HTTP要求の送信元が検索エンジン20のロボットであるか、ユーザ端末30のウェブブラウザ31かを判定する。上述したように著名な検索エンジン20やウェブブラウザ31のユーザ・エージェントは既知であることが多いので、ほとんどのHTTP要求は、このユーザ・エージェント登録簿13によって送信主体がロボットかウェブブラウザ31かを区別できる。
【0054】
また、HTTP要求の送信元がユーザ端末30のウェブブラウザ31である場合に、アクセス権限に基づくユーザの種類を区別するために、ユーザ登録簿14を使用する。図8にこの場合のユーザ登録簿14の例を示す。そして、図6に示したHTTP要求において、クッキー情報としてUser#IDタグに記述されたユーザID<User#ID>をユーザ登録簿14と照会することにより、ユーザの種類を判別する。クッキー情報がHTTP要求に含まれていなければ未登録ユーザ、クッキー情報すなわちユーザIDがHTTP要求に含まれておりかつユーザ登録簿14にゲストユーザとして登録されていればゲストユーザ、登録ユーザとして登録されていれば登録ユーザというように区別できる。
【0055】
ユーザ・エージェント判別モジュール12は、HTTP要求の送信元の種類または送信元であるユーザの種類に応じて、送信元が検索エンジン20のロボットである場合は検索エンジン用応答生成モジュール18を、未登録ユーザの使用するウェブブラウザ31である場合は未登録ユーザ向けプレビュー用応答生成モジュール17を、ゲストユーザの使用するウェブブラウザ31である場合はゲストユーザ向けプレビュー用応答生成モジュール16を、登録ユーザの使用するウェブブラウザ31である場合は正式応答生成モジュール15を呼び出す。
以下、各場合に分けて説明する。
【0056】
1)HTTP要求の送信元が検索エンジン20のロボットの場合
HTTP要求の送信元が検索エンジン20のロボットの場合、ユーザ・エージェント判別モジュール12は、要求されたURLを検索エンジン用応答生成モジュール18に送る。検索エンジン用応答生成モジュール18は、そのURLのドキュメントに含まれる素材に対応するメタ情報19bを検索し、キーワードおよび分類名のみを含むHTTP応答を生成し、ウェブサーバ11を介して当該HTTP要求の送信元である検索エンジン20のロボットに送信する。
図9は、この場合におけるHTTP応答の例である。
【0057】
検索エンジン20のサイトにおいて、検索エンジン20のロボットは、このHTTP応答の<body>タグのテキストからキーワードを抽出してキーワード索引を作成し、URLリストを作成する。
図10は、この場合におけるURLとキーワードとを対応させたURLリストの例である。
検索エンジン20は、検索エンジン20により所望の情報を検索しようとするユーザが入力するキーワードを受け取り、キーワード索引からそのキーワードを含むURLを検索する。検索結果として、例えば図11に示すように、得られたURLをリンクとして含むHTTP応答を作成し、当該ユーザのウェブブラウザ31に返す。
【0058】
2)HTTP要求の送信元がユーザ端末30のウェブブラウザ31の場合
HTTP要求の送信元がウェブブラウザ31の場合、ユーザ・エージェント判別モジュール12は、送信元からクッキー情報を取得し、ユーザ登録簿14を参照して、当該HTTP要求を送信したユーザの種類を判定する。クッキーが設定されていない場合、および設定されたユーザがユーザ登録簿14に存在しない場合は、未登録ユーザと判定する。
【0059】
2−1)未登録ユーザの場合
未登録ユーザの場合、ユーザ・エージェント判別モジュール12は未登録ユーザ向けプレビュー用応答生成モジュール17に対して、要求された教材のURLと未登録ユーザへの応答生成指示を渡す。未登録ユーザ向けプレビュー用応答生成モジュール17は、指示されたURLで参照される各素材に対応したメタ情報19bを検索し、教材の概要とその一部を体験版として示してユーザ登録を勧誘するための広告を含むHTTP応答を生成し、当該HTTP要求の送信元であるユーザ端末30のウェブブラウザ31に返送する。
図12は、この場合におけるHTTP応答の例である。
【0060】
図12のHTTP応答において、9行目のタグに含まれるad.htmlは、教材の体験版とユーザ登録勧誘の広告を含むドキュメントのURLであり、未登録ユーザに対してゲストユーザのアカウントを発行するフォームを含む。ユーザは9行目のタグによってウェブブラウザ31に表示されるハイパーリンクをクリックすると、ad.htmlにページ遷移し、ゲストユーザへの申込みを行うことができる。この申込みはHTTP要求として未登録ユーザ向けプレビュー用応答生成モジュール17に送られる。未登録ユーザ向けプレビュー用応答生成モジュール17は、新規ユーザID(以下andersonとする)をユーザ登録簿14に登録し、さらにこのユーザIDを含むクッキー情報を発行するためのHTTP応答をウェブブラウザ31に返送する。
図13は、このクッキー情報を発行するHTTP応答の例である。ウェブブラウザ31は、このHTTP応答を受信すると、4行目のSet-Cookieヘッダフィールドの値userid=andersonを自己のユーザIDとして記憶する。
なお、ゲストユーザへの登録がなされたことに伴い、図8に示したユーザ登録簿14は、図14に示すように更新される。
【0061】
2−2)ゲストユーザの場合
ゲストユーザ「anderson」となったユーザが教材のURLへのアクセスを要求するHTTP要求を送信すると、当該HTTP要求にはクッキー情報が含まれる。ユーザ・エージェント判別モジュール12は、当該クッキー情報を参照して送信元のクライアント識別情報を得る。ユーザ登録簿14を参照してandersonがゲストユーザであることが確認された場合、ユーザ・エージェント判別モジュール12は、ゲストユーザ向けプレビュー用応答生成モジュール16に対して、要求された教材のURLとゲストユーザへの応答生成指示を渡す。ゲストユーザ向けプレビュー用応答生成モジュール16は、URLで参照されるそれぞれの素材に対応したメタ情報19bを検索し、重要度がある一定基準より低い素材に対応したURLのみを含むHTTP応答を生成し、当該HTTP要求の送信元であるユーザ端末30のウェブブラウザ31に返送する。
図15は、この場合におけるHTTP応答の例である。
【0062】
ここで、重要度とは、当該主要情報19aが、当該ユーザの持つアクセス権限の範囲に含まれるかどうかを判断するための指標となる値である。すなわち、主要情報19aに対して、図5に示したメタ情報19bのように重要度が設定されている場合(教材:B、静止画:C、動画:A、音声:B、なお、重要度のランクはAが最も高く、B、Cと続くものとする)、ゲストユーザには重要度B以下の主要情報19aのみがHTTP応答として渡される。そして、重要度Aの主要情報19aに関しては、当該主要情報19aの代わりにこの情報に関するメタ情報19bが渡されることとなる。
したがって、ユーザがedu.htmlというURLにアクセスしようとする場合、すなわち、edu.htmlのHTTP要求が送られてきた場合、図15に示す例では、動画の重要度Aが基準Bよりも高いため、HTTP応答には動画そのもののURLの代わりにメタ情報19bであるAbstractの情報を含めている。また、このHTTP応答には、ユーザ登録フォームを含むcontact.htmlが含まれている。
【0063】
ユーザが、ウェブブラウザ31を介してユーザ登録フォームによりユーザIDとパスワードを送信すると、ユーザ・エージェント判別モジュール12は、受信したユーザIDとパスワードの組を登録ユーザとしてユーザ登録簿14に追加する。図16は、ユーザ登録が行われた場合のユーザ登録簿14の例を示す。
【0064】
2−3)HTTP要求の送信元が登録ユーザの場合
HTTP要求の送信元が登録ユーザの場合は、ユーザ・エージェント判別モジュール12は、正式応答生成モジュール15に対して、要求された教材のURLと登録ユーザへの応答生成指示を渡す。正式応答生成モジュール15は、edu.htmlをそのままHTTP応答として要求元に配信する。
【0065】
以上のようにして、ウェブサイト10に格納された主要情報19aに対してアクセス制限が設定されている場合であって、アクセス権限を有しないユーザ・エージェントから当該主要情報19aにアクセスするHTTP要求を受け取った場合、ウェブサイト10は、当該主要情報19aの代わりに当該主要情報19aに関するメタ情報19bをHTTP応答として返送することができる。これにより、ウェブサイト10は、当該主要情報19aに関する情報をHTTP要求の送信元に提供できるため、当該主要情報19aのアクセス権限の取得を促すことができる。また、HTTP要求の送信元がアクセス権限を持たないユーザである場合は、少なくとも、当該主要情報19aの内容を説明する情報などを取得できるため、全く情報が得られないということはないし、必要であればアクセス権限を取得して当該主要情報19aを取得することも可能となる。
さらに、HTTP要求の送信元がロボット型の検索エンジン20におけるロボットである場合は、本来アクセスできない主要情報19aに関するメタ情報19bが得られるので、当該主要情報19aを検索リストに加えることができる。したがって、当該主要情報19aを検索エンジン20にて検索することが可能となり、ウェブサイト10の側から見れば、主要情報19aを広告することができる。
【0066】
また、上述の例では、ユーザがユーザ登録することにより主要情報19aへのアクセス権限を取得する場合について説明したが、主要情報19aを有料で提供する場合にも、本実施の形態を利用することができる。
すなわち、適当な課金システムを採用し、情報料(閲覧料金等)を支払ったユーザに対して当該主要情報19aへのアクセスを認める場合、料金を支払っていないユーザに対しては、当該主要情報19aの代わりに当該主要情報19aのメタ情報19bを返送する。この場合、ユーザ・エージェント判別モジュール12において、HTTP要求の送信元であるユーザが当該主要情報19aに対する料金を支払ったユーザであるかどうかを判別することとなる。
このようなシステムとすれば、ウェブサイト10にとっては有料情報である当該主要情報19aを広告することができ、またユーザにとっては、少なくとも当該有料情報に関する情報を無償で取得できることとなる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、アクセス制限を行っているサイトにおいて、ロボット型検索エンジンからのアクセス要求に対しても、アクセスの制限された情報に関するメタ情報を提供することが可能となる。
【0068】
また、本発明によれば、アクセス制限を行っているサイトにおいて、アクセスを制限している情報へのアクセス要求を送信した主体のアクセス権限に応じて、適切な情報を選択的に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態におけるウェブサイトが接続されたネットワーク環境の構成例を示す図である。
【図2】 本実施の形態におけるウェブサイトの構成を説明する図である。
【図3】 本実施の形態において用いるHTTP要求のUser-Agentヘッダの例を示す図である。
【図4】 本実施の形態による動作を説明するフローチャートである。
【図5】 本実施の形態において用意される主要情報としての教材及び素材に対するメタ情報の例を示す図である。
【図6】 HTTP要求の例を示す図である。
【図7】 本実施の形態におけるユーザ・エージェント登録簿の例を示す図である。
【図8】 本実施の形態におけるユーザ登録簿の例を示す図である。
【図9】 検索エンジンのロボットに対して返送するHTTP応答の例を示す図である。
【図10】 検索エンジンにて作成されるURLリストの例を示す図である。
【図11】 検索エンジンを用いて情報検索を行った場合の検索結果の例を示す図である。
【図12】 本実施の形態における未登録ユーザに対して返送するHTTP応答の例を示す図である。
【図13】 クッキー情報を発行するHTTP応答の例を示す図である。
【図14】 ゲストユーザへの登録により図8のユーザ登録簿が更新された様子を示す図である。
【図15】 本実施の形態におけるゲストユーザに対して返送するHTTP応答の例を示す図である。
【図16】 ユーザ登録により図14のユーザ登録簿が更新された様子を示す図である。
【図17】 検索エンジンを用いた情報検索の様子を示す図である。
【図18】 検索エンジンでアクセスの制限された情報を検索できない様子を示す図である。
【符号の説明】
10…ウェブサイト、11…ウェブサーバ、12…ユーザ・エージェント判別モジュール、13…ユーザ・エージェント登録簿、14…ユーザ登録簿、15…正式応答生成モジュール、16…ゲストユーザ向けプレビュー用応答生成モジュール、17…未登録ユーザ向けプレビュー用応答生成モジュール、18…検索エンジン用応答生成モジュール、19…データ管理システム、19a…主要情報、19b…メタ情報、20…検索エンジン、30…ユーザ端末、31…ウェブブラウザ
Claims (10)
- 通信ネットワーク上に設けられたウェブサイトにおいて、
前記通信ネットワークを介して提供する情報を格納したデータ管理部と、
受信したアクセス要求の送信元が、前記通信ネットワーク上に設けられたロボット型検索エンジンにおけるロボットであるかどうかを判別する送信元判別部と、
前記送信元判別部による判別結果に基づいて、前記データ管理部から前記アクセス要求の送信元の種類に応じた情報を取得し、前記アクセス要求の送信元の種類に応じた応答を生成し返送する応答部とを備え、
前記データ管理部は、アクセスが制限された主要情報と、当該主要情報に関するキーワードを含むメタ情報とを格納し、
前記応答部は、前記送信元判別部による判別の結果、アクセス要求の送信元が前記ロボットである場合に、前記メタ情報を取得して前記応答を生成することを特徴とするウェブサイト。 - 前記送信元判別部は、
前記通信ネットワーク上に設けられたロボット型検索エンジンのロボットと当該ロボットがアクセス要求に付加するユーザ・エージェント・ヘッダとを対応付けて登録したユーザ・エージェント登録簿を備え、
受信したアクセス要求に付加されているユーザ・エージェント・ヘッダの内容が前記ユーザ・エージェント登録簿に登録されている場合に、当該アクセス要求の送信元をロボット型検索エンジンのロボットと判別することを特徴とする請求項1に記載のウェブサイト。 - 通信ネットワーク上に設けられたウェブサーバが受信したアクセス要求を解析して当該アクセス要求の送信元がロボット型検索エンジンのロボットであるかどうかを判別する送信元判別部と、
前記送信元判別部により判別された前記アクセス要求の送信元が前記ロボットである場合に、当該アクセス要求にて要求されたアクセス制限されたウェブページソースの代わりに、当該ウェブページソースに関するキーワードを当該ロボットに返送する応答部とを備えることを特徴とするロボット型検索エンジン応答システム。 - 前記送信元判別部は、
前記通信ネットワーク上に設けられたロボット型検索エンジンのロボットと当該ロボットがアクセス要求に付加するユーザ・エージェント・ヘッダとを対応付けて登録したユーザ・エージェント登録簿を備え、
受信したアクセス要求に付加されているユーザ・エージェント・ヘッダの内容が前記ユーザ・エージェント登録簿に登録されている場合に、当該アクセス要求の送信元をロボット型検索エンジンのロボットと判別することを特徴とする請求項3に記載のロボット型検索エンジン応答システム。 - 通信ネットワーク上に設けられたウェブサイトが、
前記通信ネットワークを介して機械的にウェブサイトにアクセスして当該ウェブサイトに格納されているウェブページソースを取得し、ウェブページの検索用リストを作成するロボット型検索エンジンのロボットからのアクセス要求を受け付けたかどうかを判別し、
前記ロボットからのアクセス要求を受け付けた場合に、前記アクセス要求にて要求されたアクセス制限されたウェブページソースの代わりに、当該ウェブページソースに関するキーワードを当該ロボットに返送することを特徴とするロボット型検索エンジン登録方法。 - 前記アクセス要求にて要求されたウェブページソースがアクセス制御されており、前記ロボットのアクセスを許容しない場合に、前記ウェブページソースの代わりに前記キーワードを返送することを特徴とする請求項5に記載のロボット型検索エンジン登録方法。
- コンピュータに実行させるプログラムを当該コンピュータの入力手段が読取可能に記憶した記憶媒体において、
前記プログラムは、
通信ネットワーク上に設けられたウェブサーバが受信したアクセス要求を解析して当該アクセス要求の送信元がロボット型検索エンジンのロボットであるかどうかを判別する処理と、
判別された前記アクセス要求の送信元が前記ロボットである場合に、当該アクセス要求にて要求されたアクセス制限されたウェブページソースの代わりに、当該ウェブページソースに関するキーワードを当該ロボットに返送する処理とを前記コンピュータに実行させることを特徴とする記憶媒体。 - 前記プログラムは、
前記アクセス要求にて要求されたウェブページソースがアクセス制御されており、前記ロボットのアクセスを許容しない場合に、前記ウェブページソースの代わりに前記キーワードを返送することを特徴とする請求項7に記載の記憶媒体。 - コンピュータに、
通信ネットワーク上に設けられたウェブサーバが受信したアクセス要求を解析して当該アクセス要求の送信元がロボット型検索エンジンのロボットであるかどうかを判別する処理と、判別された前記アクセス要求の送信元が前記ロボットである場合に、当該アクセス要求にて要求されたアクセス制限されたウェブページソースの代わりに、当該ウェブページソースに関するキーワードを当該ロボットに返送する処理とを実行させるプログラムを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から前記プログラムを読み出して当該プログラムを送信する送信手段とを備えたことを特徴とするプログラム伝送装置。 - 前記プログラムは、
前記アクセス要求にて要求されたウェブページソースがアクセス制御されており、前記ロボットのアクセスを許容しない場合に、前記ウェブページソースの代わりに前記キーワードを返送することを特徴とする請求項9に記載のプログラム伝送装置。
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