JP4037503B2 - 画像特徴抽出方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2枚の画像間の位置ずれを特徴づける画像上の特徴を抽出する画像特徴抽出方法、およびその方法が実施された画像特徴抽出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、2枚の画像間の位置の移動量を検出する技術が、ロボットの眼、あるいはマルチメディアにおける画像解析、画像認識等の分野で広く必要されており、例えば連続した時系列画像からの速度ベクトルの検出や2つのカメラ画像からの視差の検出などに適用されている。
【0003】
2枚の画像間の位置ずれを検出するにあたり、画像全体をまとめて処理するのでは演算量が膨大であり、また異なった対象領域を同一に扱うと精度の低下が問題となるため、その解決策として、画像を複数の小領域に分割し、各領域毎に独立に線分検出あるいは速度検出などの処理を行なう手法が採られている。この手法を用いれば、各小領域の演算量は大幅に小さくなり、それらの並列分散処理による高速化も可能となる。また画像間の必要な部分のみに処理を限定することで効率化を図ることもできる。
【0004】
上記の、画像を複数の小領域に分割して各小領域毎に演算を行なう手法に、ハフ変換を組み合わせた手法が提案されている。
図1は、画像を複数の小領域に分割し、ハフ変換を行なって2つの画像間の変位を求める手法の説明図である。
ここでは、画像1と画像2という、そこに描かれている画像(ここでは簡単のため直線1と直線2という2本の直線のみが描かれているものとする)が僅かにずれた2つの画像が用意され(A)、それら2つの画像それぞれから各小領域(ここでは各画像の中央の領域)が切り出され(B)、それぞれの小領域がハフ変換される(C)。ここでは、画像2は、画像1と比べ、図1(B)に矢印で示すベクトルだけそこに描かれている直線成分がずれた位置にあるものとする。
【0005】
図2は、ハフ変換の手法を示す模式図である。
ハフ変換は、図2(A)に示すように、直線成分を、位置(所定の原点0からの距離ρ)と方位θとであらわす変換方式であり、実際の演算にあたっては、図2(A)の画像(小領域)上の〇印の点は、その点を通る様々な直線成分に共通な点であることから、それら様々な直線成分の位置ρと方位θを図2(B)に〇印で示すように、ρ−θ平面上にプロットする(このプロットを、‘投票’と称する)。それらのプロット(投票)された点(〇印)の集合は、ある1つの正弦波の一部となる。同様に、図2(A)の×印、△印の点も、ρ−θ平面上では、各正弦波の一部(それぞれ×印、△印であらわす)としてあらわされる。そこでρ−θ平面上で〇,×,△の各印が重なる点、すなわち投票により獲得したポイントの高い点が、図2(A)に示す直線に対応することになる。
【0006】
ここでは、このような対応づけを、図2(A)の画像をx,yの各方向に所定のピッチ(分解能)で区切り、図2(B)の位置ρ,方位θについても所定の分解能を設定し、図2(A)の、ある所定のピッチで区切られた各点ごとに上記の対応づけ、すなわち投票を行なう。こうすることにより、図2(A)中に描かれた画像を複数の直線成分の集合とみなしたとき、それら複数の直線成分が、投票により獲得したポイントの高い複数の点に変換されたことになる。
【0007】
図1に戻って説明を続ける。
図1(C)では、各画像1,2のそれぞれから切り出された各小領域がハフ変換され、2本の直線1,2が2つの点に変換される。ここでは、ハフ変換後の2つの画像をそれぞれHC1 (ρ,θ),HC2 (ρ,θ)であらわす。ここで、画像1と画像2とでは画像は回転せず平行移動のみであるとすると、ハフ変換データHC1 (ρ,θ),HC2 (ρ,θ)上では、各直線1,2をあらわす点は、それら2つのハフ変換データHC1 (ρ,θ),HC2 (ρ,θ)上で同一の方位θ上の点となる。図1(C)では、2つのハフ変換データHC1 (ρ,θ),HC2 (ρ,θ)上で直線1,2をあらわす点は、同一の方位であって、位置ρ方向にそれぞれτ1 ,τ2 だけずれた点としてあらわされている。
【0008】
そこで、次に、これら2つのハフ変換データHC1 (ρ,θ),HC2 (ρ,θ)について、位置ρ方向についての相関処理のための演算
HC1 (ρ,θ1 )*HC2 (ρ+τ,θ)
を実行する。ここで、相関処理のための演算*は、典型的には乗算を意味する。この演算(乗算)*は、HC1 (ρ,θ)のρ−θ平面における各点とHC2 (ρ+τ,θ)の、ρ−θ平面における各点との各ペア毎に行なわれる。その結果は、図1(D)(a)に示す、ρ,θ,τの三次元データとなる。そこで次に、このデータをρ方向に投影する。すなわち、
【0009】
【数3】
【0010】
を演算し、図1(D)(b)に示すような、位置ρの変位τと、方位θとの二次元データCC(τ,θ)を求める。
この図1(D)(b)には、図1(A)の画像1,2に示す2本の直線1,2に対応する2点P1 ,P2 しか示されていないが、同じ移動ベクトルを持つもっと多数の直線成分について同様の点を求めると、それらの点は1つの正弦波の一部に沿って並ぶ。
【0011】
そこで、次に逆ハフ変換を実行することにより、2つの画像1,2どうしの変位(移動ベクトル)が求められる。
尚、ここでは、2つの画像1,2からそれぞれ切り出した各1つの小領域内で演算を行なっているが、分割した小領域それぞれについて上記の処理を施せば、オプティカルフローあるいはデプスマップなどを得ることもできる。
【0012】
また、ここでは、2つの画像1,2間の画像の‘移動’を求めるものとし‘移動ベクトル’と表現したが、この移動ベクトルは、2つの画像1,2が視差をあらわす場合は‘視差ベクトル’とでも称すべきものであり、ここでは画像の‘移動’のみでなく、画像どうしの変位一般をあらわす言葉として‘移動ベクトル’と称する。以下も同様である。
【0013】
ここでは、2つの画像1,2を小領域に区切って演算のための小領域を切り出し、その切り出した小領域どうしで演算を行なっているため、演算量が大幅に低減される。
図3は、図1を参照して説明した手法を、2つの画像1,2間で、1つの小領域を超える大きな変位が生じ得る場合に応用した手法の説明図である。
【0014】
この場合、図1の場合と同様に2つの画像1,2を先ず小領域に分割し(図3(A))、異なった小領域RF0 ,RF1 を切り出し(図3(B))、それぞれの小領域にハフ変換を施して2つのハフ変換データHC1 (ρ,θ),HC2 (ρ,θ)を得る。
次に前述した(1)に基づいて相関処理
【0015】
【数4】
【0016】
を行なうが、このときの位置ρの変位として、
τ=τ0 +Δτ(Dx ,Dy ,θ) ……(2)
を採用する。ここでτ0 は、切り出された2つの小領域RF0 ,RF1 どうしの相対変位(Dx ,Dy )(図3(A)参照)の存在は無視したときの、ハフ変換データHC1 (ρ,θ),HC2 (ρ,θ)どうしのずれ量(図3(C)参照)である。また、Δτ(Dx ,Dy ,θ)は、切り出された2つの小領域RF0 ,RF1 どうしの相対変位(Dx ,Dy )と、直線成分の方位θとにより定まる、位置ρの変位であり、Δτ=Dx cosθ+Dy sinθであらわされる。すなわち、(2)式は、図1を参照して説明したときの変位τに相当する変位τ0 と、2つの小領域RF0 ,RF1 の相対変位と直線成分の方位θとにより定まる量Δτとの和として、
τ=τ0 +Δτ(Dx ,Dy ,θ)
=τ0 +Dx cosθ+Dy sinθ ……(3)
であらわされ、ここではこの(3)式であらわされる変位τを用いて(1)式に示す相関処理を行なう(図3(D))。
【0017】
これを逆ハフ変換すると(図3(E))、小領域のサイズを越えるような変位量を検出することができる。
図4は、2つの画像の小領域の模式図である。
図3では、画像1の小領域RF0 と、画像RF1 との間での相関処理を行なう例を示したが、より一般的には、図4に示すように、画像1の小領域RF0 と、画像2の複数の小領域RFij(i,j=1,2,……)それぞれとの間で上記の相関処理を施し、それらの相関処理結果を全て加算することで、任意の方向の広範囲の移動ベクトルを検出することができる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
図5は、画像上の直線とその画像の小領域を示した模式図である。
図2を参照して説明したように、位置ρや方位θにはそれぞれ所定のピッチ(分解能)が設定されて‘投票’によりハフ変換が行なわれるが、ここでは、図5に示す直線の方位θABが設定された分解能に応じたディスクリートな方位θA とθB との間の中間的な方位であるとする。具体的には、例えば、図5に示す直線の方位θABが、θAB=35°であり、ここでは10°単位で方位が設定されており、したがってθAB=35°は、10°おきに設定された方位のうちの、θA =30°とθB =40°との中間であるとする。
【0019】
ここで、この図5に示す画像のうち、時刻t1 における画像と時刻t2 における画像との相関処理を行なうことを考える。
時刻t1 では、この図5に破線で示すように、この画像上の直線は、小領域RF0 の原点を通っており、時刻t2 では、この画像上の直線は図5に実線で示す位置に移動したものとし、ここでは、相関演算のために、時刻t1 の画像からは小領域RF0 を切り出し、時刻t2 の画像からは、2つの小領域RF1 ,RF2 が切り出されたものとする。
【0020】
図6は、各小領域RF0 ,RF1 ,RF2 それぞれについてのハフ変換後のデータを示す図であり、図6(A),(B),(C)は、それぞれ、時刻t=t1 における小領域RF0 のハフ変換データHC01(ρ,θ)、時刻t=t2 における小領域RF1 のハフ変換データHC21(ρ,θ)、時刻t=t2 における小領域RF2 のハフ変換データHC22(ρ,θ)である。
【0021】
図2を参照して説明したように、ハフ変換は‘投票’により行なわれるが、図5に示す直線は方位θABであって、ディスクリートに設定された方位θA とθB との中間的な方位であるため、投票の結果、図6に示すように方位θA と方位θB とに票が分かれる結果となる。
図7は、図6(A)に示す領域RF0 のハフ変換データHC10(ρ,θ)と、図6(B),(C)に示す2つの小領域RF1 ,RF2 のハフ変換データHC21(ρ,θ),HC22(ρ,θ)それぞれとの各相関処理結果を、1つのθ−τ平面上に重ねて示した図である。
【0022】
2点P1 ,P2 は、図6(A)に示すハフ変換データHC10(ρ,θ)と図6(B)に示すハフ変換データHC21(ρ,θ)との相関処理結果であり、2点P3 ,P4 は、図6(A)に示すハフ変換データHC10(ρ,θ)と図6(C)に示すハフ変換データHC22(ρ,θ)との相関処理結果である。
ここでは、図5に示す一本の直線に関する、時刻t1 と時刻t2 の2つの画像間の相関処理を行なっており、方位θをディスクリートには設定せずに連続した値と考えたときは、理論上、4点P1 〜P4 がその一本の直線に対応する1点に集中するはずであるが、実際には、図7に示すように複数の点に分かれる結果となる。この原因は、直線がディスクリートに設定された方位θA とθB との中間的な方位θABを持つことに起因して、図6に示すように、各小領域のハフ変換データに2つのピークがあらわれること、および、相関処理の際の位置ρの変位τとして、前述した(3)式の変位が設定されるが、角度θA と角度θB とでは、
τ(θ=θA )=τ0 +Dx cosθA +Dy sinθA ……(4)
τ(θ=θB )=τ0 +Dx cosθB +Dy sinθB ……(5)
すなわち、
τ(θ=θA )≠τ(θ=θB ) ……(6)
となってしまい、θの分解能が不十分なためにこの値にずれが生じることになることにある。
【0023】
この図7に示すような複数の点に分かれた状態の相関データを逆ハフ変換しても、二次元移動ベクトルを正確に決定することは難しい。
この二次元移動ベクトルを正確に決定するための単純な手段は、方位θの分解能を細かく設定することである。しかしながら、方位θの分解能を細かく設定すると、図2を参照して説明した‘投票’方式によるハフ変換演算や、相関処理演算の演算量が大きく増大する結果となり好ましくない。
【0024】
本発明は、上記事情に鑑み、演算量を僅かな増加に押えつつ2つの画像間の正確な変位を求めることができるように、それら2つの画像の相違をあらわす特徴を抽出する画像特徴抽出方法、およびその方法を実施した画像特徴抽出装置を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の画像特徴抽出方法は、
2枚の画像それぞれが複数に分割されてなる領域について、その領域に対応する画像データを、それぞれ所定の分解能をもつ、直線成分の位置ρと方位θ1 とをパラメータとするパラメータ平面上のデータHC(ρ,θ1 )に変換し、
上記2枚の画像それぞれについて1つずつ選択されてなる2つの領域からなるペアについて、そのペアを構成する2つの領域に関するパラメータ平面上の2つのデータHC1 (ρ,θ1 ),HC2 (ρ,θ1 )間の位置ρの方向についての相関処理を実行して相関データを求めるにあたり、第1の相関データ
【0026】
【数5】
【0027】
但し、*は相関処理のための演算
τ1 =τ0 +Δτ(Dx ,Dy ,θ1 ) …… (8)
τ0 は、ペアを構成する2つの領域どうしの変位を無視したときの相関処理のための位置ρの変位、
Δτ(Dx ,Dy ,θ1 )は、ペアを構成する2つの領域どうしの変位と、直線成分の方位θ1 とに起因する位置ρの変位をあらわす。
を求めるとともに、求められた第1の相関データCC1 (θ1 ,τ1 )と、その方位θ1 の近傍における、方位θ1 の分解能よりも細かい分解能を有する1つ以上の方位θ2i(i=1,2,…,n;1≦n)とを用いて、1つ以上の第2の相関データ
CC2i(θ2i,τ2i)=CC1 (θ1 ,τ1 )
(i=1,2,…,n;1≦n) ……(9)
但し、τ2i=τ0 +Δτ(Dx ,Dy ,θ2i) ……(10)
を求めて、これら複数の相関データCC1 (θ1 ,τ1 ),CC2i(θ2i,τ2i)を統合することにより、直線成分の位置の変位τと、直線成分の、方位θ1 の分解能よりも分解能が向上した方位θとをパラメータとしてもつ相関データCC(θ,τ)を求めることを特徴とする。
【0028】
ここで、本発明における、直線成分の位置ρと方位θとをパラメータとするパラメータ平面上のデータHC(ρ,θ)に変換する手法としては、典型的には、前述のハフ変換の手法を採用することができるが、ハフ変換に限られるものではなく、画像を様々な角度θに投影することにより位置ρと方位θとであらわす、いわゆる投影処理により、データHC(ρ,θ)を求めてもよい。
【0029】
また、本発明における、相関処理のための演算*は、典型的には乗算であるが、乗算に限られず、2つのデータHC1 (ρ,θ1 )とHC2 (ρ,θ1 )との‘似ている’程度をあらわす演算であればよい。例えば演算として減算を採用すると、値が最小となる点が最も‘似ている’ことになる。
本発明の画像特徴抽出方法は、パラメータ平面上のデータに変換する手法としてハフ変換を使用した場合、(7),(8)式までは図3(A)〜(D)を参照して説明した手法と同一であり、そのままでは、図5〜図7を参照して説明した問題点をそのまま含んでいる。そこで、(7)式により一旦求めた第1の相関データCC1 (θ1 ,τ1 )を、(9),(10)式の演算により、新たな点(θ2i,τ2i)に再プロットする。こうすることにより、θ2iを十分細かく設定した場合、例えば図7に示すような複数に分かれた点が1つに集まる点(θ,τ)が存在し、正確な移動ベクトルを求めることができる。
【0030】
ここで、上記本発明の画像特徴抽出方法において、上記第1および第2の相関データCC1 (θ1 ,τ1 ),CC2 (θ2i,τ2i)(i=1,2,…,n;1≦n)を求める処理を、ペアを構成する2つの領域のうちの一方の領域が同一の領域であることが許容された複数のペアそれぞれについて実行するとともに、各ペアに関して求められた第1および第2の相関データCC1 (θ1 ,τ1 ),CC2 (θ2i,τ2i)(i=1,2,…,n;1≦n)を複数のペアにわたって統合することにより、相関データCC(θ,τ)を求めることが好ましい。
【0031】
こうすることにより、図4を参照して説明したように、任意の方向の広範囲の移動ベクトルを検出することができる。
本発明の画像特徴抽出方法では、上記のようにして求めた相関データCC(θ,τ)が、上記2枚の画像どうしの相対的な二次元変位τx ,τy をパラメータとするパラメータ平面上のデータV(τx ,τy )に変換される。
【0032】
また、上記目的達成する本発明の画像特徴抽出装置は、
2枚の画像それぞれが複数に分割されてなる領域について、その領域に対応する画像データを、それぞれ所定の分解能をもつ、直線成分の位置ρと方位θ1 とをパラメータとするパラメータ平面上のデータHC(ρ,θ1 )に変換する変換部と、
上記2枚の画像それぞれについて1つずつ選択されてなる2つの領域からなるペアについて、そのペアを構成する2つの領域に関するパラメータ平面上の2つのデータHC1 (ρ,θ1 ),HC2 (ρ,θ1 )間の位置ρの方向についての相関処理を実行して相関データを求める相関処理部とを備え、
相関処理部が、第1の相関データ
【0033】
【数6】
【0034】
但し、*は相関処理のための演算
τ1 =τ0 +Δτ(Dx ,Dy ,θ1 ) ……(8)
τ0 は、ペアを構成する2つの領域どうしの変位を無視したときの相関処理のための位置ρの変位、
Δτ(Dx ,Dy ,θ1 )は、ペアを構成する2つの領域どうしの変位と、直線成分の方位θ1 とに起因する位置ρの変位をあらわす。
を求めるとともに、求められた第1の相関データCC1 (θ1 ,τ1 )と、その方位θ1 の近傍における、方位θ1 の分解能よりも細かい分解能を有する1つ以上の方位θ2i(i=1,2,…,n;1≦n)とを用いて、1つ以上の第2の相関データ
CC2i(θ2i,τ2i)=CC1 (θ1 ,τ1 )
(i=1,2,…,n;1≦n) ……(9)
但し、τ2i=τ0 +Δτ(Dx ,Dy ,θ2i) ……(10)
を求めて、これら複数の相関データCC1 (θ1 ,τ1 ),CC2i(θ2i,τ2i)を統合することにより、直線成分の位置の変位τと、直線成分の、方位θ1 の分解能よりも分解能が向上した方位θとをパラメータとしてもつ相関データCC(θ,τ)を求めるものであることを特徴とする。
【0035】
ここで、上記本発明の画像特徴抽出装置において、さらに、相関データCC(θ,τ)を、上記2枚の画像どうしの相対的な二次元変位τx ,τy をパラメータとするパラメータ平面上のデータV(τx ,τy )に変換する逆変換部と、
そのデータV(τx ,τy )に基づいて、上記2枚の画像間の相対的な変位をあらわす二次元ベクトルを求めるベクトル演算部とを備えることが好ましい。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態における画像特徴抽出方法は、その途中段階までは前述した従来例と同様であり、以下、その従来例と重なる部分については既に参照済の図を参照しながら簡単に説明し、それに次いで、本実施形態の画像特徴抽出方法に独自の点について説明する。
【0037】
図5に示す直線は、その方位θABが、ディスクリートに設定された2つの方位θA とθB との中間的な方位であり、このとき、時刻t=t1 における小領域RF0 、t=t2 における2つの領域RF1 ,RF2 の各ハフ変換データHC10(ρ,θ)、HC21(ρ,θ),HC22(ρ,θ)上には、図5に示す一本の直線に対応して2つの方位θA ,θB にそれぞれ1つずつ、合計2つの点があらわれる。
【0038】
このとき、図6(A)のハフ変換データHC10(ρ,θ)と、図6(B),(C)の各ハフ変換データHC21(ρ,θ),HC22(ρ,θ)それぞれとの間で相関処理を行ない、それら2つの相関処理結果を重ねると、図7に示すような4つの点があらわれる結果となる。
ここでは、上記の演算で求めた相関データをCC1 (θ1 ,τ1 )と表記する。ここで、θ1 は、図2を参照して説明した、ハフ変換の際に設定された分解能をもつ方位であり、τ1 は、その方位θ1 とハフ変換の際に設定された分解能をもつ変位τ0 とを用いて、前述した(3)式すなわち、
τ1 =τ0 +Dx cosθ1 +Dy sinθ1 ……(3)’
に基づいて計算された変位である。
【0039】
次に、方位θ1 の近傍で、方位θ1 よりも細かな分解能を持つ方位θ2i(i=1,2,…,n)を設定する。例えば方位θ1 を10°おきに設定したとき、方位θ2iは例えば1°おきに設定される。このようにして設定したθ2i(i=1,2,…,n)を用いて、
τ2i=τ0 +Dx cosθ2i+Dy sinθ2i
を求め、上記のCC1 (θ1 ,τ1 )のデータを、θ−τ平面上の、(θ2i,τ2i)の点に再プロットする。この再プロットするデータをCC2 (θ2i,τ2i)と表記する。
【0040】
図8は、このようにして再プロットしたθ−τ平面を示す模式図である。
ここでは、方位θ1 の分解能Δθの半分の領域について、同一のデータCC1 (θ1 ,τ1 )を再プロットする。具体的には、図8に則して説明すると、θA −Δθ/2≦θ<θA +Δθ/2の領域ではθA に関して求めたCC1 (θA ,τA )(但しτA =τ0 +Dx cosθA +Dy cosθA )を再プロットし、CC1 (θB ,τB )(但しτB =τ0 +Dx cosθB +Dy sinθB )を再プロットする。
【0041】
このような再プロットを行なうと、正しい方位θABにおいて一点に集まることになる。その一点については、投票の原理に基づき、2つの点に分かれた各票数が合わさった票数となる。
このような操作を行なうことにより、正しい方位θABと正しい変位τABとで定まる座標点(θAB,τAB)にピークを持った、θ方向に高い分解能を持つ相関データCC(θ,τ)が得られる。
【0042】
そこで、このようにして求めた相関データCC(θ,τ)に逆ハフ変換を施すことにより、図3(E)に示す移動ベクトルを正確に求めることができる。
図9は、本発明の画像特徴抽出装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。
画像入力部10には、画像が時系列的に順次に入力され、画像分割部20では、入力された各画像が複数の小領域に分割され、ハフ変換部30では、各小領域毎の画像にハフ変換が施される。1次元フィルタ部40では、そのハフ変換された画像に、必要に応じて、例えば微分処理等の1次元フィルタ処理が施される。ここで、このハフ変換後の画像に対しフィルタ処理を施すのは、ハフ変換後の画像に1次元フィルタ処理を施すことでハフ変換前の画像に二次元フィルタ処理を施したことと同等のフィルタ効果が期待できるからである。1次元フィルタ部40を経由したハフ変換データHC(ρ,θ)は、ρθデータ格納部50に一旦格納される。
【0043】
相関処理部60の小領域選択部61では、一時には、上記のようにしてρθデータ格納部50に格納された時系列的な2つの画像それぞれについて1つずつの小領域のペアを選択し、ρθデータ入力部62には、ρθデータ格納部50から、そのペアを構成する2つの小領域のρθデータHC1 (ρ,θ),HC2 (ρ,θ)が読み出されて入力される。
【0044】
相関処理部60の相関値計算部63では、ρθデータ入力部に入力された2つの小領域に関するρθデータHC1 (ρ,θ),HC2 (ρ,θ)に相関処理が施され、第1の相関データ
【0045】
【数7】
【0046】
但し、τ1 =τ0 +Dx cosθ1 +Dy sinθ1
が求められる。
この求められた相関データCC1 (θ1 ,τ1 )は、相関データ格納部70の、座標点(θ1 ,τ1 )に対応する領域に格納される。
次いで、θ,τ計算部65では、方位θ1 よりも分解能の高い方位θ2i(i=1,2,…,n)が設定され、その方位θ2iを用いて
τ2i=τ0 +Dx cosθ2i+Dy sinθ2i
が求められ、相関データ格納部70の、θ1 −Δθ/2≦θ <θ1 +Δθ/2の範囲の各座標点(θ2i,τ2i)に、座標点(θ1 ,τ1 )に格納されたデータCC1 (θ1 ,τ1 )と同一のデータが格納される。その際、その新たな座標点(θ2i,τ2i)に既に値が格納されていたときは、その既に格納されていた値と、座標点(θ1 ,τ1 )に格納されたデータCC1 (θ1 ,τ1 )とが加算されて、その座標点(θ2i,τ2i)に格納される。こうすることにより、相関データ格納部70内に、分解能の高い方位θをパラメータに持つ相関データCC(θ,τ)が生成される。
【0047】
このようにして、相関データ格納部70内に相関データCC(θ,τ)が生成されると、その生成された相関データ(θ,τ)は逆ハフ変換部80に送られて逆ハフ変換が施され、さらにピーク検出部90(本発明にいうベクトル演算部の一例に相当する)において移動ベクトルが求められる。ここでは、上記のようにして相関データ格納部70に方位分解能が高められた相関データCC(θ,τ)が生成され、その方位分解能の高い相関データに基づいて、逆ハフ変換、ピーク検出を行なっているため、高精度の移動ベクトルが求められる。
【0048】
ここで、相関演算部60における、分解能の高い方位θをパラメータとして持つ相関データCC(θ,τ)を求めるための演算量、データ処理量の増加分は、ハフ変換部30で同じレベルの高分解能の方位θを設定してハフ変換を行なう場合の演算量、データ処理量の増加と比べ極めて僅かである。すなわち、本実施形態によれば、高精度の移動ベラトルを高速に求めることができる。
【0049】
尚、ここでは、順次入力される画像の「移動」を求めたが、例えば視差のように、同時に得られた2つの画像に基づいてそれらの画像どうしの変位量を求める場合も同様に適用できる。
また、上記実施形態は、本発明にいう、直線成分の位置ρと方位θ1 とをパラメータとするパラメータ平面上のデータHC(ρ,θ1 )に変換する手法の例としてハフ変換を採用した例であるが、本発明では、ハフ変換に代えて、投影処理など、他の変換手法を用いてもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、演算量の僅かな増加で、画像の正確な特徴抽出を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像を複数の小領域に分割し、ハフ変換を行なって2つの画像間の変位を求める手法の説明図である。
【図2】ハフ変換の手法を示す模式図である。
【図3】図1を参照して説明した手法を、2つの画像1,2間で、1つの小領域を超える大きな変位が生じ得る場合に応用した手法の説明図である。
【図4】2つの画像の小領域の模式図である。
【図5】画像上の直線とその画像の小領域を示した模式図である。
【図6】各小領域RF0 ,RF1 ,RF2 それぞれについてのハフ変換後のデータを示す図である。
【図7】図6(A)に示す領域RF0 のハフ変換データHC10(ρ,θ)と、図6(B),(C)に示す2つの小領域RF1 ,RF2 のハフ変換データHC21(ρ,θ),HC22(ρ,θ)それぞれとの各相関処理結果を、1つのθ−τ平面上に重ねて示す図である。
【図8】再プロットしたθ−τ平面を示す模式図である。
【図9】本発明の画像特徴抽出装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 画像入力部
20 画像分割部
30 ハフ変換部
40 1次元フィルタ部
50 ρθデータ格納部
60 相関処理部
61 小領域選択部
62 ρθデータ入力部
63 相関値計算部
64 θ,τ計算部
70 相関データ格納部
80 逆ハフ変換部
90 ピーク検出部
Claims (5)
- 2枚の画像それぞれが複数に分割されてなる領域について、その領域に対応する画像データを、それぞれ所定の分解能をもつ、直線成分の位置ρと方位θ1とをパラメータとするパラメータ平面上のデータHC(ρ,θ1)に変換し、
前記2枚の画像それぞれについて1つずつ選択されてなる2つの領域からなるペアについて、該ペアを構成する2つの領域に関するパラメータ平面上の2つのデータHC1(ρ,θ1),HC2(ρ,θ1)間の位置ρの方向についての相関処理を実行して相関データを求めるにあたり、第1の相関データ
τ1=τ0+Δτ(Dx,Dy,θ1)
τ0は、ペアを構成する2つの領域どうしの変位を無視したときの相関処理の ための位置ρの変位、
Δτ(Dx,Dy,θ1)は、ペアを構成する2つの領域どうしの変位と、
直線成分の方位θ1とに起因する位置ρの変位をあらわす。
を求めるとともに、求められた第1の相関データCC1(θ1,τ1)と、該方位θ1の近傍における、該方位θ1の分解能よりも細かい分解能を有する1つ以上の方位θ2i(i=1,2,…,n;1≦n)とを用いて、1つ以上の第2の相関データ
CC2i(θ2i,τ2i)=CC1(θ1,τ1)
(i=1,2,…,n;1≦n)
但し、τ2i=τ0+Δτ(Dx,Dy,θ2i)
を求めて、これら複数の相関データCC1(θ1,τ1),CC2i(θ2i,τ2i)を投票することにより、直線成分の位置の変位τと、直線成分の、方位θ1の分解能よりも分解能が向上した方位θとをパラメータとしてもつ相関データCC(θ,τ)を求めることを特徴とする画像特徴抽出方法。 - 前記第1および第2の相関データCC1(θ1,τ1),CC2(θ2i,τ2i)(i=1,2,…,n;1≦n)を求める処理を、ペアを構成する2つの領域のうちの一方の領域が同一の領域であることが許容された複数のペアそれぞれについて実行するとともに、各ペアに関して求められた第1および第2の相関データCC1(θ1,τ1),CC2i(θ2i,τ2i)(i=1,2,…,n;1≦n)を複数のペアにわたって投票することにより、前記相関データCC(θ,τ)を求めることを特徴とする請求項1記載の画像特徴抽出方法。
- 前記相関データCC(θ,τ)を、前記2枚の画像どうしの相対的な二次元変位τx,τyをパラメータとするパラメータ平面上のデータV(τx,τy)に変換することを特徴とする請求項1又は2記載の画像特徴抽出方法。
- 2枚の画像それぞれが複数に分割されてなる領域について、その領域に対応する画像データを、それぞれ所定の分解能をもつ、直線成分の位置ρと方位θ1とをパラメータとするパラメータ平面上のデータHC(ρ,θ1)に変換する変換部と、
前記2枚の画像それぞれについて1つずつ選択されてなる2つの領域からなるペアについて、該ペアを構成する2つの領域に関するパラメータ平面上の2つのデータHC1(ρ,θ1),HC2(ρ,θ1)間の位置ρの方向についての相関処理を実行して相関データを求める相関処理部とを備え、
該相関処理部が、第1の相関データ
τ1=τ0+Δτ(Dx,Dy,θ1)
τ0は、ペアを構成する2つの領域どうしの変位を無視したときの相関処理の ための位置ρの変位、
Δτ(Dx,Dy,θ1)は、ペアを構成する2つの領域どうしの変位と、
直線成分の方位θ1とに起因する位置ρの変位をあらわす。
を求めるとともに、求められた第1の相関データCC1(θ1,τ1)と、該方位θ1の近傍における、該方位θ1の分解能よりも細かい分解能を有する1つ以上の方位θ2i(i=1,2,…,n;1≦n)とを用いて、1つ以上の第2の相関データ
CC2i(θ2i,τ2i)=CC1(θ1,τ1)
(i=1,2,…,n;1≦n)
但し、τ2i=τ0+Δτ(Dx,Dy,θ2i)
を求めて、これら複数の相関データCC1(θ1,τ1),CC2i(θ2i,τ2i)を投票することにより、直線成分の位置の変位τと、直線成分の、方位θ1の分解能よりも分解能が向上した方位θとをパラメータとしてもつ相関データCC(θ,τ)を求めるものであることを特徴とする画像特徴抽出装置。 - 前記相関データCC(θ,τ)を、前記2枚の画像どうしの相対的な二次元変位τx,τyをパラメータとするパラメータ平面上のデータV(τx,τy)に変換する逆変換部と、
該データV(τx,τy)に基づいて、前記2枚の画像間の相対的な変位をあらわす二次元ベクトルを求めるベクトル演算部とを備えたことを特徴とする請求項4記載の画像特徴抽出装置。
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JPH11213153A JPH11213153A (ja) | 1999-08-06 |
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