JP4032135B2 - 軟質および軟質領域を有する整形用キャスティング物品 - Google Patents
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Description
本発明は、整形用キャスティング材料に関する。
発明の背景
手足を折ったり傷つけたりした際の固定に用いる様々な整形用キャスティング材料が開発されている。この目的で最初に開発されたキャスティング材料としては、綿ガーゼメッシュ布帛からなるパリス包帯の石膏を、そのメッシュ布帛の開口部と表面に一体化させて用いるものであった。しかしながら、パリスギプスの石膏は、強度対重量比が低く、完成したギプスが非常に重くかさばるものとなってしまう等、それに付随する数多くの欠点がある。さらに、パリスギプスの石膏は、比較的長期間にわたって強度を発現するため、免荷状態を24から48時間にわたって避けることが必要となる。さらに、パリスギプスの石膏は一般に水に溶解するため、入浴、シャワーまたは水と接触するその他活動を避ける必要がある。
合成ポリイソシアネートプレポリマーが整形用キャスティング材料用の樹脂を生成するのに有用であることが分かったとき、この業界において大きな躍進があった。一般的に市販されている合成整形用キャスティング材料は、ポリイソシアネートプレポリマー樹脂を含浸させた編みガラス繊維布帛裏材料から構成されている。これらの整形用キャスティング材料は、強度対重量比が高い等、パリスギプスの石膏からは大きく進歩している。しかしながら、従来のキャスティング物品の編みガラス繊維布帛裏材料は、硬化時に非常に粗くなり、尖った端部を有するギプスを形成することがよくある。端部が尖っていると皮膚の擦過傷および/または衣類の引掻きなどが生じる可能性がある。その結果、健康管理者は端部に詰物材料を用いて、キャスティング物品が皮膚と接触しないようにしなければならない。
発明の概要
上記を鑑みると、業界に望まれているものは、合成整形用キャスティング材料の利点、すなわち、強度対重量比が高いけれども、尖った端部のない整形用キャスティング材料であることが理解されよう。かかる整形用キャスティング材料およびそれを作成する方法がここに開示および請求されている。
一般に、本発明の整形用キャスティングテープは、軟質キャスティング材料の縦方向に伸長した第1の領域と、第1の領域に接続された硬質キャスティング材料の縦方向に伸長した第2の領域とを含む。軟質および硬質キャスティング材料は、例えば、裏材料と一体化された軟質または硬質硬化性樹脂、裏材料と一体化された軟質または硬質熱可塑性材料または軟質または硬質の押出されたキャスティング材料を含んでいてもよい。
好ましい一実施形態において、本発明は、裏材料とこの裏材料と一体化された少なくとも1種類の硬化性樹脂とを含む整形用キャスティングテープを提供する。このキャスティングテープには、軟質キャスティング材料の縦方向に伸長した少なくとも1つの領域と、硬質キャスティング材料の縦方向に伸長した少なくとも1つの領域とが含まれる。軟質キャスティング材料の縦方向に伸長した領域と硬質キャスティング材料の縦方向に伸長した領域は異なる硬化性樹脂を含むのが好ましい。また、それらは2つの異なる裏材料を有していてもよい。
キャスティングテープは、軟質のキャスティング材料の1つまたは2つの端部領域を有しているのが最も好ましい。手足の周囲を包むと、軟質端部領域がギプスの軟質端部を形成する。通常の10cm幅のキャスティングテープについては、軟質端部領域は少なくとも幅0.5cmであるのが好ましい。
本発明はまた、軟質キャスティング材料の縦方向に伸長した少なくとも1つの領域と硬質キャスティング材料の縦方向に伸長した少なくとも1つの領域とを有する硬化性キャスティングテープを提供する工程と、キャスティングテープの硬化を開始する(例えば、キャスティングテープを水に付けることによって)工程と、任意で軟質領域がギプスの1つ以上の端部を覆うように包む工程と、キャスティングテープを硬化して整形用ギプスを形成させる工程とを含む整形用ギプスを作成する新規な方法についても記載している。
本発明はまた、これらの新規な整形用キャスティングテープを作成する新規な製造方法についても記載している。一実施形態において、これらの新規な方法には、布帛裏材料を提供する工程と、裏材料に異なる2種類の硬化性樹脂をコーティングして異なる硬度を有する2つの近接する縦方向に伸長した領域を形成する工程とが含まれる。
本発明はまた、例えば、裏材料と裏材料と一体化した少なくとも1種類の樹脂を含む改良された副木物品も提供する。一般に、副木物品は硬質中央領域と少なくとも1つの軟質端部領域とを有している。副木はさらに、周囲が軟質端部領域で囲まれた親指の穴を含んでいてもよい。
定義
「キャスティング材料」とは、一般に成形可能な第1の状態から、一般に成形不可能な第2の状態へ変化して、装着者に合わせることのできる支持具を形成することのできる材料(例えば、複合体材料、樹脂コートされたシート等)のことである。本発明の支持具は、少なくとも1つの「軟質領域」と少なくとも1つの「硬質領域」とを有することを特徴としている。軟質領域と硬質領域の第2の状態は、少なくとも1つの物理特性が異なり、硬質領域は軟質領域より少なくとも認識できる程度に、より剛性があり、弾性が少なく、硬い。「異なる硬度」とは、キャスティングテープまたは副木の軟質領域と硬質領域の間にある剛性、弾性または硬度の相対的な差(すなわち、2つの領域の第2の状態間の相対的な差)のことである。
「キャスティングテープ」とは、キャスティング材料の伸長した片のことである。本発明のキャスティングテープは使用前は任意でロールに巻きつけておいてもよく、縦方向に伸長した少なくとも1つの「軟質領域」と縦方向に伸長した少なくとも1つの「硬質領域」とを有することを特徴としている。軟質領域と硬質領域の第2の状態は、少なくとも1つの物理特性が異なり、硬質領域は、軟質領域より少なくとも認識できる程度に、より剛性があり、弾性が少なく、硬い。
キャスティング材料(例えば、キャスティングテープまたは副木)の「軟質領域」は、軟質キャスティング材料を含むキャスティング材料の領域である。「軟質キャスティング材料」とは、一般に成形可能な第1の状態から、一般に半剛体で、弾性のある、または軟らかい支持具を含む第2の状態に変化するキャスティング材料のことをいう。軟質キャスティング材料は、裏材料にコートされた軟質樹脂ばかりでなく軟質の押出されたキャスティング材料も含む。「軟質樹脂」は、裏材料にコートまたは適用して硬化させたとき、一般に、半剛体で、弾性のある、または軟らかい支持具を形成する硬化性樹脂系のことをいう。より好ましくは、従来のガラス繊維裏材料の端部にコートして硬化させたとき、軟質樹脂は装着者の肌を切ったり、および/または擦ったり、装着者を傷つけたりすることのない端部を与える。
キャスティング材料(例えば、キャスティングテープまたは副木)の「硬質領域」は、硬質キャスティング材料を含むキャスティング材料の領域である。「硬質キャスティング材料」とは、一般に成形可能な第1の状態から、一般に剛性で、弾性のない、または硬い支持具を含む第2の状態に変化するキャスティング材料のことをいう。硬質キャスティング材料は、裏材料にコートされた硬質樹脂ばかりでなく硬質の押出されたキャスティング材料も含む。「硬質樹脂」は、好ましくは裏材料にコートまたは適用して硬化させたとき、一般に、剛性で、弾性のない、または硬い支持具を形成する硬化性樹脂系のことをいう。より好ましくは、従来のガラス繊維裏材料の端部にコートして硬化させたとき、硬質樹脂は、支持具がその周囲を包む手足が通常運ぶ重さを支えることのできる剛性の支持具を与えるものである。
「硬化性樹脂系」とは、一般に流動性のある、または成形可能な未硬化の第1の状態から、一般に流動性のない、または成形不可能な硬化した第2の状態への状態変化を行うタイプの樹脂系のことをいう。
「裏材料」、「キャリア」および「スクリム」という用語は、1種類以上の硬化性樹脂がコートまたは何らかの手段により適用される構造体のことをいう。「布帛裏材料」は、ニット、織布または不織布材料を含む裏材料である。
「一体化された」という用語は、樹脂系と裏材料の緊密な関係のことをいい、例えば、樹脂の付いた裏材料をコートする、および/または裏材料に樹脂を含浸させることにより実現されるようなことである。
【図面の簡単な説明】
本発明は、以下の図面を参照するとより明白に理解することができるであろう。
図1は、キャスティングテープの各端部に沿って2つの軟質領域を有するキャスティングテープを一部巻き付けてないロールを示す。
図2は、キャスティングテープの一端部に沿って1つの軟質領域を有するキャスティングテープを一部巻き付けてないロールを示す。
図3は、キャスティングテープの各端部に沿って、そしてキャスティングテープの中心の3つの軟質領域を有するキャスティングテープを一部巻き付けてないロールを示す。
図4は、本発明のキャスティングテープを巻いた人間の腕を示す。
図5aは、副木の端部に沿って、そして親指の穴の周囲に軟質領域を有する副木物品を示し、図5bおよび5cは、図5aの副木物品を人間の腕に適合させた副木物品を示し、図5dは、人間の腕そして図5bおよび5cの副木物品の上に巻かれた上掛けの包帯を示す。
図6は、キャスティングテープの各端部に沿って2つの軟質領域を有する押出されたキャスティング物品を一部巻き付けていないロールを示す。
図7aは、端部強度を測定するときのキャスティング材料の環を支持するのに用いる試験固定具を示し、図7bは、図7aの試験固定具に配置された硬化したキャスティング材料の環を示す。
図8a−dは、2種類以上の樹脂を裏材料にコートするのに用いるスロットダイを示す。
図1において、一部ロール10に巻き付けていないキャスティングテープ20の透視図を示す。巻き付けていない部分のキャスティングテープ20には、中央領域12、第1の端部領域14および第2の端部領域16が示されている。一部巻き付けていないシートには、第1の端部15、第2の端部17および第1の終端部13が示されている。第2の終端部19は、ロールの芯の周囲に巻き付けてあり隠れている。第1の端部領域14と第2の端部領域16のうち少なくともどちらかが、中央領域12とは異なる硬度を示すのが好ましい。より好ましくは、第1の端部領域14と第2の端部領域16のうち少なくともどちらかが、軟質領域であって、中央領域12が硬質領域である。最も好ましい実施形態においては、第1の端部領域14と第2の端部領域16は両方とも軟質領域であり、中央領域12は硬質領域である。
図2において、一部ロール110に巻き付けていないキャスティングテープ120の透視図を示す。巻き付けていない部分のキャスティングテープ120には、中央領域112と第1の端部領域114が示されている。一部巻き付けていないシートには、第1の端部115、第2の端部117および第1の終端部113が示されている。第2の終端部119は、ロールの芯の周囲に巻き付けてあり隠れている。第1の端部領域114は、中央領域112とは異なる硬度を示す。より好ましい実施形態においては、第1の端部領域114は軟質領域であり、中央領域112は硬質領域である。
図3において、一部ロール210に巻き付けていないキャスティングテープ220の透視図を示す。一部巻き付けていないキャスティングテープ220のシートには、中央領域212、第1の端部領域214、任意で第2の端部領域216および任意で第3の領域218が示されている。巻き付けていない部分には、第1の端部215、第2の端部217および第1の終端部213が示されている。第2の終端部219は、ロールの芯の周囲に巻き付けてあり隠れている。第1の端部領域214、第2の端部領域216または第3の領域218のうち少なくとも一つが、中央領域212とは異なる硬度を示すのが好ましい。好ましい実施形態においては、第1の端部領域214、第2の端部領域216および第3の領域218はいずれも軟質領域であり、中央領域212は硬質領域である。
図4に、本発明のキャスティングテープを巻いた人間の腕を示す。図4に示す通り、キャスティングテープ20には中央領域12およびテープの長さ方向に延びている少なくとも1つの端部領域14がある。所望であれば、異なる硬度を有する第2の端部領域16を任意で用いてもよい。キャスティングテープ20を図示したA部分のように螺旋パターンで巻くと、端部領域14、16は、近接した1回以上の巻付け、または一層以上の層の中央領域12で重なる。しかしながら、所望であれば、近接した1回以上の巻付け、または一層以上の層の端部領域14、16が端部領域14、16を覆ってもよい。これは、例えば、キャスティング端部22、24、26および28でも起こる。所望であれば、図4のキャスティングテープを用いて、親指の周囲を巻くとき、24でテープを半分折るとよい。このように折り畳むと、中央領域の一部(図3の218)が2つ折りのテープの端部となり、各端部に沿って軟質領域を有するテープ220を与えるので好ましい。
図5aは中央領域312と副木物品310の周囲に沿って、親指の穴311の周囲に軟質領域314を有する副木物品310を示す。図5bおよび5cは、人間の腕に適合させた図5aの副木物品310を示す。副木物品310を装着する前に、任意で詰物材料330を腕に巻く、または装着する。図5dは、人間の腕そして図5bおよび5cの副木物品310の上に巻かれた上掛けの包帯340を示し、これによって副木物品310を腕に固定する。
図6に、2つの軟質領域をもつ押出されたキャスティング物品またはキャスティングテープ420を示す。図6において、一部ロールに巻き付けていないキャスティングテープ420の透視図を示す。一部巻き付けていない押出されたシートのキャスティングテープ420には、中央領域412、第1の端部領域414および第2の端部領域416が示されている。巻き付けていない部分には、第1の端部415、第2の端部417および第1の終端部413が示されている。第2の終端部419は、ロールの芯の周囲に巻き付けてあり隠れている。第1の端部領域414と第2の端部領域416のうち少なくともどちらかが、中央領域412とは異なる硬度を示すのが好ましい。より好ましくは、第1の端部領域414と第2の端部領域416のうち少なくともどちらかが、軟質領域であって、中央領域412が硬質領域である。最も好ましい実施形態においては、第1の端部領域414と第2の端部領域416は両方とも軟質領域であって、それぞれ軟質キャスティング材料の少なくとも1つの押出された要素を含み、中央領域412は硬質領域であって、硬質キャスティング材料の少なくとも1つ、好ましくは複数の押出された要素を含む。
図7aは、端部強度を測定するときのキャスティング材料740の環を支持するのに用いる試験固定具700を示す。固定具は、基体710、基体710に対して45度の角度で配置された下部支持体720および下部支持体720に対して90度の角度で配置された側部支持体724から構成されている。図7bに示す通り、キャスティング材料740の環は、下部支持体720に対して配置された環の第1の端部741によって試験固定具700にセットされる。キャスティング材料740の円筒環の側部の一部が側部支持体742に立てかけられる。側部支持体724は、キャスティング材料740の環の半径に適合する機械加工された表面を有している。円筒状プローブ744を、キャスティング材料740の環の上部前縁742に対して押し付ける。円筒状プローブ744は、インストロン機のような試験装置746に取り付けられている。
図8aに、2種類以上の樹脂を裏材料にコートするのに用いるスリーピースのスロットダイ800の側面図を示す。ダイには、2つの外側プレート820aと820b、そして中間プレート810がある。図8bおよび8cに示す通り、外側プレート820aおよび820bは、複数のボルト穴812を備えている。外側プレート820aはさらに送り穴824、826および828を備えている。中間プレート810は複数のボルト穴812と、送り穴824、826および828とそれぞれ通ずるテーパのフローキャビティ814、816および818を備えている。テーパのフローキャビティは、樹脂の流れを導いて、コーティング幅EとCを与えるものである。
本発明は、本明細書に添付された請求項に規定された特定の原理および/または概念を利用するものである。本発明に属するキャスティング業界の当業者であれば、これらの原理および/または概念が、本明細書において説明の目的で利用される実施形態そのものとは異なる様々な実施形態を説明することができることを理解されよう。これらの理由から、本明細書に記載された本発明は説明のための実施形態のみに限定されるものとは解釈されず、添付の請求項によってのみ解釈されるものとする。
発明の詳細な説明
本発明は、異なる硬度を有する少なくとも2つの領域を備えた硬化可能な整形用支持物品を提供する。現在の好ましい一実施形態において、支持材料は、硬化または活性剤に晒すと硬化する少なくとも一液樹脂系と一体化された(例えば、含浸させた、またはコートした)可撓性シート材料を含む。支持材料は、使用する前は樹脂が硬化または活性剤と接触するのを防ぐパッケージング手段をさらに含むのが好ましい。本発明はまた、支持材料を適用する方法および支持材料から形成された硬化した装具に関する。本発明はさらに、支持材料を作成する方法に関する。
変形実施形態において、支持材料は、冷やすと第1の成形可能な状態から第2の形状保持状態に変化する少なくとも1つの熱可塑性材料と一体化された(例えば、含浸させた、またはコートした)可撓性シート材料を含む。さらなる変形実施形態において、支持材料は熱可塑性材料か粘性硬化性材料のいずれかの押出されたシート材料を含む。
好ましくは、整形用支持物品は、2つの異なる硬化性樹脂と一体化された布帛裏材料を含む整形用キャスティングテープの形態である。硬い方の第1の硬化性樹脂は、布帛裏材料の中央領域と一体化されており、軟らかい方の第2の硬化性樹脂は布帛裏材料の少なくとも1つの端部領域と一体化されている。より好ましくは、キャスティングテープは、従来の「硬い」硬化性樹脂の中央領域と、「軟らかい」硬化性樹脂の2つの端部領域を有している。手足の周囲を包むと、軟らかい方の端部領域が重なって、軟らかくて快適な端部の硬化したギプスを形成する。
この代わりに、整形用支持材料は、布帛裏材料に含浸またはコートされた単一の樹脂を含むキャスティングテープの形態であってもよい。この実施形態において、布帛裏材料そのものは、少なくとも2つの異なる材料または同種の材料の2つの異なる構造体を含む。例えば、布帛は、異なる2つの種類のヤーンを用いたニットであってもよい。第1の種類のヤーン(例えば、ガラス繊維)を用いて布帛の中央領域を形成し、第2の軟らかい種類のヤーン(例えば、ポリエステル、綿、レーヨン、ポリオレフィン、ポリウレタン等)を用いて布帛の少なくとも1つの端部領域を形成してもよい。端部ヤーンが軟らかいと、高いモジュラスのガラス繊維中央ヤーンに比べて、低いモジュラスの硬化した布帛が得られる。布帛は、この代わりに単一種類のヤーンを用いたニットであってもよいが、布帛の第1の領域が多少なりとも硬化性樹脂を吸収するような構成とする。例えば、ウェールヤーンの樹脂吸収容量を、ウェールヤーン中の繊維の数を増減させることによって調整する。この構成の場合、多少の樹脂が特定のウェールに向かい、その結果、樹脂の含浸された硬化した布帛の硬度が異なることとなる。
所望であれば、これらの技術を組み合わせて用いてもよい。例えば、整形用支持材料を、2つの異なる材料を含む布帛裏材料上に含浸またはコートされた2つの異なる樹脂を含むキャスティングテープの形態としてもよい。
上述した通り、1種類以上の硬化性樹脂を裏材料と一体化させてもよい。現在の好ましい一実施形態において、キャスティングテープは2つの異なる硬化性樹脂配合を含む。硬い方の第1の硬化性樹脂配合を用いてキャスティングテープの中央領域をコートし、軟らかい方の第2の硬化性樹脂配合を用いて、キャスティングテープの少なくとも1つの端部領域をコートする。第1および第2の樹脂配合は同一、例えば、同一の化学種であってもよく、それぞれの硬化したときの物理特性が異なるだけでもよい(例えば、両樹脂とも水硬化性のイソシアネート官能基を有する樹脂であってもよい。)。この代わりに、第1および第2の樹脂配合は異なる化学種であってもよい。2つの樹脂は相溶性があって、例えば、キャスティングテープの近接した層が重なって2つの樹脂配合が接触したときに互いに良好に接着するのが好ましい。2つの樹脂は同一の基本的な化学特性を有しているのがより好ましい。
キャスティング材料の硬質領域に用いる硬化性樹脂は、整形用ギプスの機能面での要件を満足するような硬化性樹脂であるのが好ましい。樹脂は毒性がなく(例えば、患者、またはギプスをしている人に有害な毒性蒸気が、硬化の際に大量に出ない)、皮膚刺激のないもの(例えば、化学刺激や硬化中に過剰に発熱しない)でなければならないのは明白である。さらに、樹脂は硬化剤と十分に反応して、ギプスが適用されたら、確実にそして即時に硬化する一方、ギプスを適用して形作るのに十分な作業時間を与えないほど反応性があるものであってはならない。キャスティング材料ははじめは、柔軟で成形可能で、自身に接着するものでなければならない。ギプスを適用し終わった後、短い間に、装着者の活動によりギプスが受ける荷重と応力を支持するだけの十分な剛性と強度とならなければならない。
以下の開示は、主に、本発明の現在の好ましい実施形態に関するものであり、水硬化性イソシアネート官能基を有するプレポリマーが硬化性樹脂として用いられている。他の適した硬化性樹脂については後述してある。
本発明に用いるのに現在のところより好ましいとされるいくつかの硬化性樹脂は、水硬化性イソシアネート官能基を有するプレポリマーである。この種の適した系は、例えば、米国特許第4,131,114号、第4,376,438号、第4,433,680号、第4,411,262号、第4,433,680号および第4,502,479号に開示されている。現在のところより好ましいとされる樹脂系は、米国特許第4,667,661号および米国特許出願第07/376,421号および第08/320,917号に開示されている。
本明細書において用いる水硬化性イソシアネート官能基を有するプレポリマーとは、ポリイソシアネート化合物と反応性水素化合物またはオリゴマー(例えば、「ポリオール」)から誘導されたプレポリマーのことである。反応性水素化合物は、例えば、Carl R.Noller著「Chemistry of Organic Compounds」第6章、121-122頁(1957年)に記載されているようなよく知られたZerevitinov試験による活性水素を有する化合物である。プレポリマーは水、例えば、水蒸気や好ましくは液状の水に晒した際に硬化するのに十分なイソシアネート官能基を有するを有している。
イソシアネートとポリオールの反応により形成されたポリイソシアネートプレポリマーを用いるのが現在のところ好ましい。
適したイソシアネートは、例えば、米国特許第4,376,438号、第4,433,680号および第4,502,479号に開示されており、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネートおよびこれらイソマーの混合物;4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびこれらイソマーと、可能な少量の2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート(典型的な市販のジフェニルメタンジイソシアネート)の混合物;および芳香族ポリイソシアネートおよびアニリンとホルムアルデヒドの縮合生成物のホスゲン化より誘導されるような混合物が挙げられる。トルエンジイソシアネート(TDI)のような揮発性の高い材料より、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)のような揮発性の低いイソシアネートを用いるのが好ましい。適した市販のイソシアネート出発材料としては、「ISONATE」2143L(ダウケミカル製)、「MONDUR」MRS(Mobay Chem.Co.,(ペンシルバニア州、ピッツバーグ))および「PAPI」(ダウケミカル)が挙げられる。
プレポリマー系に用いるのに適したポリオールとしては、ポリアルキレン酸化物(例えば、ポリエチレン酸化物およびポリブチレン酸化物)、ポリプロピレンエーテルグリコール(Arco Chemicalより「ARCOL PPG」という商品名で、そしてBASF Wyandotteより「PLURACOL」という商品名で入手可能)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(例えば、Quaker Oats Co.製「POLYMEG」またはE.I.Du Pont de Nemours, Co.,(デラウェア州、ウィルミントン)製「TERATHANE」)、ポリカプロラクトンジオール(例えば、ユニオンカーバイド製「TONE」シリーズのポリオール)およびポリエステルポリオール(例えば、Hooker Chemical Co.、Ruco部門より入手可能な「RUCOFLEX」ポリオールのようなジカルボン酸とジオールのエステル化により得られるヒドロキシル末端ポリエステル)が挙げられる。一般に、低分子量のポリオールを用いると、硬化した樹脂の剛性が増す。
本発明のキャスティング材料に有用な「硬質樹脂」としては、ダウケミカル社より入手可能なISONATETM2143L(約73%のMDIを含有するジ−およびトリ−イソシアネートの混合物)として知られているイソシアネートおよびArco ChemicalよりARCOL PPG725として入手可能なポリプロピレン酸化物ポリオールが用いられる。材料の貯蔵寿命を長くするために、0.01から1.0重量パーセント(樹脂の総重量に対して)の塩化ベンゾイルまたはその他の適した安定化剤を含有させるのが好ましい。
現在の好ましい硬質樹脂を形成するために、当業者に知られた従来のポリウレタン反応条件下でイソシアネートとポリオールを互いに反応させる。反応物質のNCO:OH比は好ましくは1.5:1から7:1、より好ましくは2.5:1から4.5:1である。
一般に、樹脂の硬度は、反応物質の「官能基」の調整により影響される。官能基を増やすにつれて、すなわち、二官能基を有する材料に対して多官能基を有する材料の相対量が増えるにつれて、硬度が増大する。また、一般に、樹脂の硬度は、与えられたNCO:OH比について反応物質の「当量」の調整により影響される。当量が増えるにつれて、すなわち、ポリオールの当量が増えるにつれて、硬度が増大する。
NCO:OH比が2.5:1から4.5:1の現在の好ましい硬質樹脂を形成するために、プレポリマーの理論的なイソシアネート当量(グラム樹脂/当量イソシアネート)は、約1000グラム未満が好ましく、より好ましくは約500グラム未満、最も好ましくは約400グラム未満である。好ましくは、プレポリマーの理論的なポリオール当量は、約1000グラム未満が好ましく、より好ましくは約500グラム未満、最も好ましくは約400グラム未満である。当然のことながら、これらの量は、可塑剤のような補助剤を含有していたり、異なるNCO:OH比または平均官能基の反応物質を用いるため、樹脂によって異なる。
キャスティングテープの1つ以上の領域、すなわち、1つまたは両方の端部領域は、「軟質樹脂」でコートされているのが好ましい。本発明に用いるのに現在のところより好ましいいくつかの軟質樹脂は、例えば、米国特許第4,968,542号に開示されているような水硬化性イソシアネート官能基を有するプレポリマーである。本発明の支持材料に用いるのに適した、そして現在のところ最も好ましい軟質樹脂としては、ポリオールと過剰のポリイソシアネートの反応により調製される水蒸気硬化性ポリウレタンプレポリマーが挙げられる。出発材料は、米国特許第4,376,438号、第4,433,680号、第4,502,479号および第4,667,661号に記載されているような業界によく知られている、剛性(または「硬い」)ポリウレタンキャスティング材料を形成するのに用いるものと同じ化学種のものであってもよい。しかしながら、プレポリマーのイソシアネート当量、NCO:OH比および/またはポリオールの平均ヒドロキシ当量を変えると軟質領域を半剛体の特性にすることができる。
さらに、他の活性水素材料を単一で、またはポリオールと共に用いて、本発明に有用な軟質樹脂を生成してもよい。第1級および第2級アミン、カルボン酸およびチオールが例示される。これらのような材料を用いるとき、活性水素成分の全体の当量は、好ましくは少なくとも400グラム、最も好ましくは少なくとも100グラムとする。
適したイソシアネートとしては前に開示したものが挙げられる。好ましいものとしては、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびこれらイソマーと、可能な少量の2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート(典型的な市販のジフェニルメタンジイソシアネート)の混合物が挙げられる。適した市販のイソシアネート出発材料としては、「ISONATE」2143L(ダウケミカル社)、「MONDUR」MRS(Mobay Chem.Co.,(ペンシルバニア州、ピッツバーグ))および「PAPI」(ダウケミカル社)が挙げられる。
硬化した支持装具における剛性および弾性の程度は、通常、ポリオールまたはポリオール混合物の平均ヒドロキシ当量に影響される。ヒドロキシ当量の選択はまた、よく知られているように分子構造およびイソシアネートの種類にも依存している。
プレポリマー樹脂系に用いるのに適したポリオールとしては、アルキレン酸化物の縮合物から誘導されるポリアルキレンエーテル(Arco Chemicalより「ARCOL PPG」という商品名で、そしてBASF Wyandotteより「PLURACOL」という商品名で入手可能なもの)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(Quaker Oats Co.製「POLYMEG」)、ポリカプロラクトンポリオールおよびポリエステルポリオール(例えば、Hooker Chemicals Co.、Ruco部門より入手可能な「RUCOFLEX」ポリオールのようなジカルボン酸とジオールのエステル化により得られるヒドロキシル末端ポリエステル)が挙げられる。一般に、高分子量ポリオールを用いると、硬化した樹脂の剛性が減少する。
本発明の支持材料の端部領域に用いるのに特に好ましい樹脂は、ダウケミカル製「ISONATE」2143Lとして知られているイソシアネート(約73重量%のジフェニルメタンジイソシアネートを含有するイソシアネート化合物の混合物)およびArco Chemical製のARCOL LHT-28およびPPG425として入手可能なポリプロピレン酸化物ポリオールの混合物である。材料の貯蔵寿命を長くするために、約0.02から0.1重量パーセントの塩化ベンゾイルおよび/またはその他の適した安定化剤(例えば、約0.05から0.25重量パーセントのレベルのブチル化ヒドロキシトルエンのような酸化防止剤)を含有させるのが好ましい。
当業者に知られた従来のポリウレタン反応条件下でイソシアネートとポリオールを互いに反応させる。反応物質のNCO:OH比は好ましくは1.5:1から7:1、より好ましくは2.5:1から4.5:1である。
一般に、樹脂の軟らかさは、反応物質の「官能基」の調整により影響される。官能基を増やすにつれて、すなわち、二官能基を有する材料に対して多官能基を有する材料の相対量が増えるにつれて、軟らかさは減少する。しかしながら、材料の弾性または反発弾性はやや増大する。また、一般に、樹脂の軟らかさは、与えられたNCO:OH比について反応物質の「当量」の調整により影響される。当量が増えるにつれて、すなわち、ポリオールの当量が増えるにつれて、軟らかさが増大する。
NCO:OH比が2.5:1から4.5:1の現在の好ましい軟質樹脂を形成するために、プレポリマーの理論的なイソシアネート当量は、約400グラムを超えることが好ましく、より好ましくは約500グラム、最も好ましくは約1000グラムを超える。好ましくは、プレポリマーの理論的なポリオール当量は、約400グラムを超えるのが好ましく、より好ましくは約500グラム、最も好ましくは約1000グラムを超える。当然のことながら、これらの量は、可塑剤のような補助剤(一般に、硬化した樹脂の剛性を減少させる)を含有していたり、異なるNCO:OH比または平均官能基の反応物質を用いるため、樹脂によって異なる。
水硬化剤に晒した1種類以上の樹脂の反応性は、適した適量の触媒を用いることによって調節することができる。反応性は、(1)樹脂表面に硬質フィルムが即時に形成されて樹脂の塊への水の浸透を妨げる、または(2)ギプスがそれを適用して形作るのが完了する前に固まってしまうほど大きくてはいけない。米国特許第4,705,840号に記載されている通りに調製した4−[2−[1−メチル−2−(4−モルホリニル)エトキシ]エチル]−モルホリン(「MEMPE」)および米国特許第4,433,680号に記載されている通りに調製した2,2’ジモルホリノジエチルエーテル(「DMDEE」)を約0.05から約5重量パーセント(樹脂の総重量に対して)の濃度で用いると良い結果が得られている。本発明の硬化した支持装具を作成するためには、硬化剤に晒す、すなわち、水に浸漬した後、約2.5から18分の硬化時間が好ましい。より好ましくは、硬化時間は約3から10分、最も好ましくは約3から5分である。
一般に、キャスティングテープの硬質領域において、樹脂の発泡は最小限にしなければならない。というのは、ギプスの表面の平滑性に悪影響を及ぼし、ギプスの全体の強度を下げるためである。発泡は、例えば、水がイソシアネート基と反応する結果、二酸化炭素が放出されるときに生じる。発泡を減少させる一つの方法は、プレポリマー中のイソシアネート基の濃度を下げることであるが、反応性、加工性および極限強さのためには、イソシアネート基は適度な濃度とすることが必要である。樹脂の容量が少なければ(すなわち、樹脂のコーティング重量が軽ければ)発泡も少ないが、強度や耐剥離性のようなギプスの所望の特性のためには適当な樹脂容量が必要とされる。発泡を抑えるのに充分といえる方法は、シリコーンアンチフォームA(ダウコーニング)またはアンチフォーム1400シリコーン液体(ダウコーニング)のような発泡抑制剤を樹脂に添加することである。ダウコーニングのアンチフォーム1400のようなシリコーン液体を約0.05から1.0重量パーセントの濃度で用いるのが特に好ましい。欧州特許出願公開EPO 0 407 056に開示されているような疎水性ポリマー粒子の安定分散液を含有する水硬化性樹脂を、発泡を抑えるために用いてもよい。
所望であれば、樹脂の発泡をキャスティングテープの軟質領域に利用することができる。例えば、発泡は、キャスティングテープの端部領域の剛性を下げるのに望ましい影響を与える。テープの少なくとも1つの端部領域を発泡抑制剤を含有しない樹脂でコートしたり(樹脂の硬化中に発泡が自然に生じる)、その領域をユニオンカーバイド製GR-5Mトリトン界面活性剤のような発泡剤を含有する樹脂でコートすることにより発泡を調整することができる。
硬化前および硬化中のキャスティング材料の粘性を下げ、許容できる強度と積層強度のギプスを形成できるよう、米国特許第4,667,661号および第4,794,937号に記載されているような潤滑剤を一種類または複数の樹脂に添加するのが好ましい。これは、端部領域に軟質樹脂を用いるときに特に当てはまる。これらの樹脂は、剛性ギプスを形成するのに用いるものよりもさらに粘着性のある傾向にある。適した潤滑剤としては、樹脂系に共有結合する親水性基;界面活性剤、複数の疎水性基からなるポリマーおよびポリシロキサンを含有する硬化性樹脂と相溶性のない添加剤;およびこれらの組み合わせが挙げられる。所望であれば、米国特許出願第08/404,242号に開示されているような分離した一時的なライナーと組み合わせて用いてもよい。
ポリウレタンプレポリマー樹脂系の粘着性を消失させる好ましい方法は、その系に潤滑剤、特に、界面活性剤を添加することである。好ましい界面活性剤は、プレポリマー系の3から6重量パーセントとなる量の酸化プロピレンと酸化エチレンのブロックコポリマー、または23℃で固体の酸化ポリエチレンである。特に好ましいのは、ヒドロキシ官能基を有するポリエチレン酸化物末端ポリプロピレン酸化物(BASF Wyandotteより「Pluronic」という商品名で販売されている)である。
可塑剤を樹脂に添加して、硬化した樹脂の硬度を調整してもよい。適した可塑剤は、業界によく知られており、硬化した物品に所望のレベルの軟らかさを与える量で軟質樹脂に添加するのが好ましい。可塑剤は未硬化のキャスティングテープの貯蔵安定性や、材料の物理または毒性特性に何らかの負の影響を与えないのが好ましい。適した可塑剤としては、モンサントケミカル社製ブチルベンゾールファレート、Sanicizer160のような材料が挙げられる。
現在の好ましい樹脂は、ポリイソシアネートとポリオールの反応により形成される上述のウレタン樹脂である。ポリウレタン、シアノアクリレートエステル、エポキシ樹脂およびトリアルコキシ−またはトリハロ−シラン基で両末端が封鎖されたプレポリマーをはじめとする、業界に知られた他の水硬化性樹脂(任意で水蒸気感応性触媒と結合された)も適している。
水を用いて、整形用キャスティングテープの硬化を行うのが最も簡便で、安全かつ整形外科医や医療キャスティングスタッフにとって慣れているが、水硬化性のこれら以外の樹脂系も用いることができる。好ましい樹脂は、水に高度に分散可能でなくてもよい。適した水活性および代替の硬化性樹脂としては、水蒸気硬化性ポリウレアプレポリマー、シラン、シロキサン、エポキシ、アクリレート、ポリ硫化物およびポリエステル官能基を有する材料が挙げられる。例えば、アクリレートおよび懸垂ビニルのような特定の活性オレフィンといった光硬化性材料も候補として挙げられる。
適した樹脂としては、包帯を、グリシジルメタクリレートとビスフェノールA(4,4’−イソプロピリデンジフェノール)の縮合物から誘導されたビス−メタクリレートエステルのような二官能基を有するアタリレートやメタクリレートに含浸させている、米国特許第3,908,644号に開示されているものが挙げられる。樹脂は、第3級アミンと有機過酸化物の溶液で濡らした際に硬化する。この代わりに、米国特許第3,630,194号は、整形用テープをアクリルアミドモノマーに含浸させることを提案している。この重合は、包帯を酸化還元剤(レドックス開始剤系として業界に知られている)の水溶液に浸漬することによって開始される。
本発明に含まれる樹脂としては、米国特許第5,423,735号に開示されているような水硬化性アルコキシシラン末端オリゴマーも挙げられる。
本発明に含まれる樹脂としてはまた、係属中の米国特許出願第08/008,678号および第08/008,743号に開示されているような水反応性液体有機金属化合物が挙げられる。これらの樹脂は、通常、水反応性液体有機金属化合物と有機ポリマーからなる。
硬化性樹脂のレオロジーは、所望のコーティング重量で樹脂を裏材料に容易にコートでき、保管中に「溜まらない」よう調整するのが望ましい。より好ましくは、2つの異なる樹脂を用いるとき、キャスティングテープの異なる領域の独特の硬化した物理特性を損なわないよう、異なる樹脂が望ましくないマイグレーションを起こさないようにするのが望ましい。これは、例えば、マイグレーションに耐える形態で1種類以上の樹脂を提供することにより実現される。
本発明の支持材料に用いる可撓性シート材料は、少なくとも一部が樹脂に含浸されるよう多孔性であるのが好ましい。多孔性シート材料はまた、硬化した装具の空気循環と、装具下からの水分の蒸発を促す。これは、患者の快適さおよび装具下にある健康な皮膚の維持にも役立つ。
適した可撓性シート材料としては、ポリアミド、ポリエステル、綿、レーヨン、ポリオレフィン等のような天然または合成繊維から構成される織布またはニット布帛が例示される。好ましいシート材料は、ガラス繊維またはポリエステルの伸縮自在のニット布帛である。適したガラス繊維布帛は、米国特許第4,502,479号、第4,609,578号、第4,668,563号および第5,014,403号および米国特許出願第07/976,402号および第08/008,751号に開示されている。特に好ましいこのタイプのシートは、米国特許第4,609,578号(Reed)に開示された伸縮自在の熱硬化布帛である。
支持材料に用いる好ましいシート材料は、例えば、約5cmから15cmの幅の様々な幅のロールに巻き付けられた一般に長くて狭い布帛片(テープ)である。布帛を、支持材料の約30から90重量パーセントの量の硬化性樹脂材料に含浸させる。好ましい実施形態においては、ガラス繊維布帛を用いて、含浸させた支持材料の40から60重量パーセントである。「含浸」という用語は、樹脂が完全に布帛の糸または繊維にそしてその周囲に完全に混じった状態を説明するのに用いられるものであって、樹脂がファイバーにある程度まで吸収されたことを必ずしも示すものではない。通常、樹脂溶液は、布帛の接触しているフィラメント間の毛管状の間隙へ流れ込んで、硬化の際に布帛へ結合する。
布帛に適用される樹脂成分は、中間層積層結合を形成するのに十分な量としなければならないが、好ましくは多孔性を塞がない程度にする。過剰の樹脂成分はまた、樹脂の粘性および滴下のために支持材料を扱いにくくさせる。
所望であれば、布帛は、2種類の異なるウェールヤーンを用いたニットであってもよい。第1の種類のヤーン(例えば、ガラス繊維)を用いて布帛の中央領域を形成し、それより軟らかい第2の種類のヤーン(例えば、ポリエステル)を用いて、布帛の少なくとも1つの端部領域を形成してもよい。端部ヤーンが軟らかいと、高いモジュラスの中央ヤーンに比べて、低いモジュラスの硬化した端部領域が得られる。布帛は、この代わりに単一種類のヤーンを用いたニット、または布帛の第1の領域が多少なりとも硬化性樹脂を吸収するように処理されたものであってもよい。例えば、ウェールヤーンの樹脂吸収容量を、ウェールヤーンの繊維の数を増減させることによって調整する。この構成の場合、多少の樹脂が特定のウェールに向かい、その結果、硬化した布帛の硬度が異なることとなる。
ロール形態の樹脂コートされた布帛片は、プラスチックコアに巻き付け、水蒸気や酸素を透過しないパッケージ内に密閉するのが好ましい。水蒸気硬化性樹脂の場合には、使用直前にパッケージを開いて、ロールを水道水に約5から30秒間完全に浸漬する。これは、水が多孔性材料に浸透し、空気を置換するのに十分な時間である。樹脂が充填される布帛に開口部を生じさせるほど樹脂容量が多くない限りは、この構成では充分すぎるほどの水がロールに吸収される。ロールを水中で絞って入り込んだ空気を水と置換してもよい。材料を包む間に巻いてあるロールをほどくとき、過剰の水分が露出した樹脂表面を新たにコートして、材料を完全に濡らして硬化を早める。これに代わる方法によれば、浸漬せずに材料を包んで、スプレーまたは濡れたタオルを当てることにより大気の水分または水を与えて、プレポリマーを硬化する。
支持材料を適用する前に、保護のための詰物を任意で患者の手足の周りに配置する。詰物は、管状ストッキネット、例えば、身体部位の周囲を包むことのできる伸長した片や包帯のような他の従来の形態とする。
詰物を適切な位置に配置したら、標準的なキャスティング材料の適用と同様の方法で、湿らせた支持材料で手足の周囲、そして保護用詰物を覆うように包む。材料はまた、剛性の合成または石膏ギプスの成形と同様に形作る。図4の部分Aに示すように螺旋パターンで巻き付けると、端部領域が近接する1層以上の層の中央領域で重なる。従って、ギプスの強度は、この領域においては大幅に損なわれることはない。しかしながら、端部領域は、ギプスの端部近くの近接する1層以上の層の端部領域に対して重ねて、硬化したギプスの軟質端部を形成するのが好ましい。
たいていの用途について適切に支持および/または固定する硬化した装具を形成するには、通常、8層以下の支持材料で十分である。
本発明の硬化した支持装具は、合成樹脂で形成された従来の剛性ギプスに比べて可撓性と弾性のある端部という特徴を有している。
変形実施形態において、支持材料は、熱可塑性材料または粘性硬化性材料のいずれかの押出されたシート材料から構成される。適した押出されたシート材料は、米国同時係属特許出願第08/048,891号、第08/391,111号、第08/391,712号および第08/449,505号に開示されている。本発明によれば、押出されたシートは、異なる硬化または硬質特性を有する少なくとも2片の押出された材料を用いて形成される。
押出しプロセスにより、NOMADマット(3M製、米国特許第4,351,683号に記載されている)に見られるような不規則な形状を含むかなり多くの構成で製品を作成することができる。この代わりに、孔あきシートを、連続した孔のないフィルムとして押出して、穿孔またはドリルにより孔をあけて孔あきシートを形成することができる。現在好ましい押出された孔あきシートは、米国特許B1 4,631,215号、B1 4,634,485号に開示された「Z−ウェブ」プロセス、または米国特許第4,384,022号に開示された「スパイラル」プロセスにより形成される。他の適したプロセスである「Conwed」プロセスは、2組のストランドを有する押出された網状結合であり、ほぼ直角に互いに交差して分子が配向している(例えば、米国特許第2,919,467号、第3,252,181号および第4,152,479号に記載されている)。
Z−ウェブプロセスは、様々な密度の孔および厚さを有する様々なウェブを作成することができ、設定および維持が比較的容易であるため最も好ましい。Z−ウェブプロセスは、もともとダイフェースオリフィスに対する異なる圧力降下により動作するものであり、異なる押出物のフロー速度が「ジグザク」すなわちZ−ウェブパターンを形成する。典型的なウェブパターンを図6に示す。Z−ウェブプロセスにより形成される物品は、次のような手順により製造される。
(1)第1の速度で、第1のフィラメント形成用押出し可能なプラスチックの塊を押出して、直線状に間隔をあけて平行に並んだ複数のエレメントを作成する、
(2)好ましくは少なくとも約2のアスペクト比の断面となるように、好ましくはその幅より薄い第2のフィラメント形成用押出し可能なプラスチックの塊を押出す(第1の押出し速度より速い第2の速度で、そして間隔をあけて近接した連続した平行なエレメント間で)。波打ったエレメントを、幅方向の各対向面が直線状の連続した平行なエレメントの一つに対向するように配置し、プラスチックの塊は、エレメントが互いに接触する点で互いに接合する第1の粘着状態と、押出された接合形状を維持するのにエレメントが十分に完全な構造を有する第2の物理状態とを有しており、接合に続く後者の状態により、ウェブの変形と孔の封鎖が生じないようにする。
(3)エレメントは、接触点で接合するのに十分な粘性を有していて、波打ったエレメントの片側にある平行なエレメント間を接触させることによって、波打つエレメントを薄さ方向に波打たせる。十分に近接した他の近接した平行なエレメントを維持して、その平行なエレメントと波打った波打ちエレメントの間をさらに接触させてかかる波打ちとそれに伴う接触を繰り返し、それによって、対向する側に配列された頂点を備えた波打ちエレメントを有する物品を提供する。このとき、波打ちエレメントの片側の頂点は、平行なエレメントの一つに接合され、波打ちエレメントの他方の側の頂点は、他の近接する平行エレメントに接合されている。
(4)プラスチックの塊の第2の物理状態への変化を変更または可能とする。
Z−ウェブプロセスにより作成されたウェブは、織ったウェブに外観が似ている。テープ形状における適当な通気性を確保するために、Z−ウェブプロセスにより作成されるウェブは、好ましくは1cm2当たり7.75から77.50個の孔、より好ましくは1cm2当たり15.50から62.00個の孔、最も好ましくは1cm2当たり23.25から38.75個の孔を有している。本明細書においては、皮膚により生成される水蒸気がギプスから自然に逃げるような十分な多孔性を有するギプスは、「通気可能」または「通気する」と呼んでいる。Z−ウェブ構成について、図6に示したように孔は三角または折曲状形の孔として定義される。好ましいZ−ウェブギプスは、SCOTCHCAST PLUS(3M(ミネソタ州、セントポール)製)といった典型的なガラス繊維キャスティングテープのように通気可能である。水蒸気透過およびキャスティング材料を通過する気流は、上述の特許出願に記載されている通りに試験する。好ましくは、本発明のギプスは、パリス材料の石膏または従来のガラス繊維キャスティング材料に匹敵する気流と水蒸気透過を有している。
スパイラルプロセスもまた、様々な密度の孔および厚さを有する様々なウェブを作成することができ、設定および維持が比較的容易であるため好ましい。スパイラルプロセスもまた、もともとダイフェースオリフィスに対する異なる圧力降下により動作するものであり、異なる押出物の塊のフロー速度がスパイラルパターンを形成する。Z−ウェブプロセスと対照的に、スパイラルプロセスは、1個以上の内部オリフィスと各内部オリフィスを囲む複数(少なくとも3個)の外部オリフィスを有するダイを用いる。ダイの配列により、複数の直線状の平行な外部「ケージ」フィラメントがその周囲を囲むスパイラル形状の内部押出し物を有する1個以上のフィラメントの束を備えたウェブが作成される。オリフィスの大きさおよび断面形状がそれらから押出されるフィラメントの大きさと形状を決める。内部オリフィスと外部オリフィスの間に与えられた空間について、スパイラルコアフィラメントのピッチは内部および外部孔からの相対的な材料の流れにより決まる。すなわち、速度の差が増大するにつれてピッチが減少する。
Nomadプロセスは、米国特許第4,351,683号に記載されている。このプロセスにより、内部が絡み合った、連続して縮れたフィラメントによる弾性のある開いた繊維状ウェブを形成することができる。この方法は、エレメントを接触点で互いに接合させる、粘性のある第1の状態と、エレメントが押出された接合形状を維持するのに十分に完全な構造を有する、第2の物理状態を有する粘性のある材料のフィラメントの束を押出すものである。接合に続く後者の状態は好ましくはもはや生じず、フィラメントが接触表面に落ちるように束を整列させ、生成したウェブを押出し速度より遅い速度で前進させる。
スパイラルまたはNomadプロセスにより作成されたウェブは適当な通気性、好ましくはZ−ウェブ材料と同程度の通気性を提供するために十分な数の孔を有しているのが好ましい。しかしながら、スパイラルウェブの配列およびNomadウェブの不規則な性質のため、単位面積当たりの孔の数を正確に数えるのは難しい。これらウェブの通気性を定量化する代替の方法は、ウェブの孔体積を計算することである。スパイラルまたはNomadプロセスにより作成された適したウェブは、適当な通気性を有するような十分なパーセントの孔体積を有している。より好ましいウェブは、Z−ウェブ材料または3M製のSCOTCHCAST PLUSのような典型的なガラス繊維キャスティングテープにより提供されるのと同等の通気性を有している。本明細書において用いるウェブの「孔体積」は、まず既知の体積のウェブの重量を測定してウェブの密度を求めることにより求められる。ウェブのその面積における押出し物の体積を、測定したウェブ重量を押出し物の密度で割ることによって計算される。押出し物の体積を、ウェブの面積にその平均厚さをかけて計算されたウェブ体積で割って、マットにおける押出し物を分数で表わして、これから1を引き、100をかけると孔のパーセント体積が得られる。ウェブの厚さは、Ames(Waltham、マサチューセッツ州)型番2の厚さ計を用いて求める。
良好な馴染み易さ、成形性および取り扱い性を確実なものとし、適切な強度を与えるために、テープの厚さは、0.25から8.0mm、より好ましくは0.5から4.0mm、最も好ましくは0.75から2.00mmとする。整形用副木は、多層の薄めのテープから形成でき、より厚めの形態に直接押出すことができる。直接押出した材料は、1cm2(または等価の孔体積)当たり1.55から46.5個の孔を有し、2.54から12.70mm、より好ましくは5.08から8.89mmの厚さを有する。
本発明の第1の実施形態において、押出されたキャスティングテープまたは副木は熱可塑性孔あきウェブとして提供される。この実施形態は、キャスティングにおいて環境にやさしく害のない代替品を提供するものである。熱可塑性キャスティングテープは、制御されたアモルファス相レオロジーを有する、少なくとも2種類の異なる熱可塑性ポリマー片から構成される押出された孔あきウェブを含むのが好ましい。第1のポリマー組成物は、室温まで冷やすと軟質キャスティング材料を形成し、第2のポリマー組成物は、室温まで冷やすと硬質キャスティング材料を形成する。好ましくは、軟質キャスティング材料は、キャスティングテープの少なくとも1つの端部を形成する。
本発明に用いるのに適した熱可塑性ポリマーは、ギプス適用中に患者および/または技術者に快適に耐えうる温度で軟化または溶融するようなポリマーである。この温度は、約90℃未満、好ましくは約75℃未満と考えられる。ただし、おそらく、これより幾分高い温度も許容できるであろう(特に、キャスティング材料と皮膚の直接の接触を避けるような状況においては)。適した熱可塑性ポリマーとしては、ポリウレタン(特に、半結晶ポリエステルポリオールベースのポリウレタン)、ポリエチレン、エチレンビニルアセテート、シスおよびトランスポリイソプレン、ポリカプロラクトンのようなポリエステル等が挙げられる。本発明に用いるのに現在好ましい熱可塑性ポリマーは、半結晶ポリエステルである。ポリカプロラクトンおよびポリカプロラクトンの混合物は特に好ましい。
本発明の第2の実施形態において、押出されたキャスティングテープまたは副木は、粘性硬化性樹脂の孔あきシートとして提供される。この実施形態は、非常に良好な馴染み易さを有し、製造が安価な製品を提供するものである。本実施形態のキャスティング材料は、扱いにくい使い捨てライナーまたは布帛裏材料を好ましくは必要としないものであり、適用し易い成形可能な滑りのいい材料を提供する。
粘性硬化性樹脂キャスティングテープは、長い期間にわたって周囲温度における流れを防ぐ状態とすることができるだけの十分な粘度または降伏応力を有する好ましくは水硬化性の硬化性樹脂を含む押出された孔あきウェブを含むのが好ましい。押出された粘性硬化性樹脂キャスティングテープは裏材料がない(または軽量裏材料を有する)のが好ましい。従って、テープの馴染み易さと取り扱いについては、硬化性樹脂成分の粘度により主として決まる。樹脂のレオロジー特性を調整することによって、現在の合成キャスティングテープよりも安価に製造できる優れた馴染み易さと成形性を備えた製品が実現される。
樹脂の硬化は、水に晒す、または従来の遊離基機構により開始してもよい。水硬化性樹脂は、最も簡便で臨床医によく知られているため好ましい。従って、以下の説明では水硬化性樹脂に焦点を当てているが、その他の手段により硬化する材料も適していると理解される。
本発明の重要な技術的特徴は、好ましくは水硬化性の硬化性樹脂系の開発であり、これにより適当なダイから押出した後、粘性のある、または高降伏応力状態までゲル化させることができる。本明細書において用いる「ゲル」または「ゲル化された」という用語は、長い期間にわたって周囲温度における流れを防ぐ状態とすることができる十分に高い降伏応力を有する、またはそれを発現する材料のことを指す。好ましい材料は、押出された孔または空隙の実質的な部分が破壊したり崩壊することなく、少なくとも0.0175N/mm幅、より好ましくは少なくとも0.0875N/mm幅および最も好ましくは0.175N/mm幅を超える張力に耐えるほどウェブの完全性が十分である点でゲル化する。好ましい材料は、0.1rad/secで少なくとも0.1dyne/cm2および1.0rad/secで1dyne/cm2の貯蔵または弾性係数G’を有している。より好ましくはG’はRheometrics Dynamic Analyzer型番RDA-IIのような平行板流量計を用いて求めると0.1rad/secで少なくとも1dyne/cm2および1.0rad/secで10dyne/cm2である。周囲温度で硬化する樹脂については、G’は25℃の不活性雰囲気中で求める。熱可塑性樹脂については、G’はキャスティング材料の適用に用いる溶融温度より5度高い温度で求める。
「ゲル化した」樹脂系は、無機および有機充填材および樹脂の複合体を形成することによっても得られる。樹脂中の適した充填材の濃度(すなわち、「充填材充填量」)は、充填材の嵩密度および用いる充填材および特定の樹脂の比重によって異なる。適した充填材充填量は、適切な複合体強度および良好なウェブの完全性を確実にするほど十分に高いが、複合体が容易に破断したり、砕けたり、または押出しにくいほど高くないレベルを選択することによって求められる。充填材充填量はまた、臨床医が手袋なしでその材料を患者の手足に適用できるほど十分に多いのが好ましい。
本発明の本実施形態のキャスティング材料に用いる硬化性樹脂は、整形用ギプスの機能的な要件を満たす硬化性樹脂であれば何でもよい。樹脂は、硬化中にギプスを適用する患者または人物に有害となる毒性蒸気を大量に出さない、そしてまた、硬化中の化学刺激または過剰な熱の生成により皮膚に刺激を与えないという意味では非毒性でなければならないのは明らかである。さらに、樹脂は、適用したらギプスを即時に硬化させるほど、硬化剤と十分に反応性がなければならないが、ギプスを適用して形作るのに十分な作業時間がとれないほど反応性があってはならない。最初は、キャスティング材料は撓み性と成形性があって、自身に接着しなければならない。ギプス適用の完了後、短い間に、ギプスが装着者の活動により受ける荷重と応力を支持するのに十分なほど剛性で強度のあるものとならなければならない。軟質領域の場合には、少なくとも半剛体でならなければならない。このように、この材料は、粘弾性状態(すなわち、長い期間にわたって周囲温度における流れを防ぐ状態とするために十分に高い降伏応力を有する材料)から固体状態へ割に短時間で状態変化しなければならない。好ましい樹脂は水で硬化するようなものである。現在好ましいのは、本明細書に記載したようなポリイソシアネートとポリオールの反応により硬化したウレタン樹脂である。
本発明の材料および組成物は、副木、テープおよびプリフォームされた形状をはじめとして、様々な構成に製造することができる。
上述した通り、支持材料に用いるのに好ましいシート材料は、例えば、幅約5cmから約15cmの様々な幅のロールに成形された一般に細長い布帛片(テープ)である。同様に、支持装具は、様々な幅のロールに成形された一般に細長いテープである。適した硬化した支持物品は、中央領域と異なる硬度を有する少なくとも1つの端部領域を有している。好ましい硬化した支持物品は2つの軟質端部領域を有している。
整形用キャスティング包帯として用いるには、端部領域は、硬化したキャスティング包帯が装着者の皮膚を擦ったり切ったりしない、とにかく装着者に傷を与えない「軟質」端部を与えるよう十分な幅であるのが好ましい。典型的な10cm幅のキャスティング包帯については、端部領域は好ましくは少なくとも幅0.5cm、より好ましくは少なくとも幅1cm、最も好ましくは少なくとも幅1.5cmである。硬化したキャスティング包帯が支持装具がその周囲を覆う手足が通常支える重量を支持することのできる固い支持装具を提供するよう、端部領域は十分に狭いのが好ましい。典型的な10cm幅のキャスティング包帯については、端部領域は好ましくは幅4cm未満、より好ましくは幅3cm未満、最も好ましくは幅2cm未満である。
典型的な市販の合成整形用キャスティング材料は、ポリイソシアネートプレポリマー樹脂を含浸させた編みガラス繊維布帛を含む。典型的な編みガラス繊維布帛は、1cm幅当たり約4から7のウェールを含む。従って、幅10cmのキャスティング包帯は、一般的に約40から70のウェールを含む。幅10cmのガラス繊維キャスティング包帯については、端部領域は好ましくは少なくとも2ウェール、より好ましくは少なくとも5ウェール、最も好ましくは少なくとも7ウェール含む。さらに、かかるキャスティング包帯については、端部領域は好ましくは20ウェール未満、より好ましくは15ウェール未満、最も好ましくは10ウェール未満含む。ウェールの「含有」は、軟質領域を与える特定の樹脂でウェールがコートされること、または軟質の領域を与える特定のヤーンを用いてウェールが形成されること、もしくは両方の機構を組み合わせたことを意味している。
本発明は、動物の身体の一部に当てる整形用副木を形成するのに適した物品に関する。副木として製造するとき、材料は、予めカットされたスラブ(図5a−dに示されるような)または連続した長径形態で提供してもよい。軟質端部領域は、副木の長径方向に延びていても、または副木の両端に位置していても、またその両方であってもよい。例えば、矩形副木材料は、副木の四つ足すべての周囲、そして任意の付属の穴、例えば、親指の穴近くに軟質領域を有しているのが好ましい。さらに、副木には、カバーおよび/または詰物をしてもしなくてもよい。本発明に用いるのに適したカバーおよび詰物は、米国特許第5,027,803号および第4,899,738号に記載されている。副木には、片側または両側に詰物材料をしてもよい。
本発明の現在の好ましい実施形態によれば、撓み性のある、好ましくは伸縮自在の、非常にコンフォーマブルな基体を含む単体ブランクが提供される。このブランクは、第1の方向においては、身体部分の長さ方向に充分に伸長するような寸法とし、第2の方向においては、身体部分の周囲に部分的に十分に、ただし好ましくは完全にではなく、伸長するような寸法とする。この場合、ブランクは、第2の方向において、骨折したてや軟組織損傷の結果、通常生じるはれにも適合しつつ、身体部分を支持および固定するのに必要とされる範囲まで身体部分を覆うような寸法とする。
ブランクは、裏材料と、裏材料に含浸された水硬化性イソシアネート官能基を有するプレポリマー樹脂とを含むのが好ましい。
図5aは、適用する前の本発明の整形用副木物品の好ましい前腕の実施形態の平面図である。図5bは、前腕の副木に固定および形成するために成形された図5aの整形用副木物品の片側の透視図である。図5cは、図5bの整形用副木物品の反対側の透視図である。図5dは、副木物品の前腕への馴染み易さと取り付けをよりよくするために、副木物品の周囲を任意で包む包帯をさらに示した、図5bの実施形態の透視図である。
図5aを参照すると、単体ブランクの形態の本発明の好ましい前腕の整形用副木物品310の平面図が示されている。この物品、すなわちブランク310は、一般に、撓み性シートを含み、好ましくは、図5b−dに示されるように、物品310の装着者の前腕への適用を促すために親指の穴311が形成されている。図5aの物品310は、最初は矩形で構成されており、図5bおよび5cに示すように患者に合わせて成形される。これに関しては、シート材料の物理特性により成形が容易になるのが好ましい。
物品310のシートは、適した裏材料材料と裏材料と一体化した硬化性樹脂を含むのが好ましい。適した裏材料材料としては、ニット、織布または不織布布帛材料、連続気泡フォームシート等が挙げられる。
図5a−dの前腕副木の実施形態については、シートは幅約17.8cm、長さ30.5cm、厚さ1.3cmであるのが現在のところ好ましい。下肢の実施形態については、幅約25.4cm、長さ96cm、厚さ約1.3cmの気泡シートが現在のところ好ましい。しかしながら、ここに挙げた正確な寸法は、処置される個人各人の手足のサイズによって異なるものと理解される。
整形用副木物品310は、患者の前腕に従って寸法を合わせ、より精密に適合させるために適用前に成形してもよい。親指の穴311は、物品310の対応する部分を穿孔または切り取ることにより形成される。
物品310を前腕に実際に適用する前に、副木と患者の前腕の望ましくない接着または接触を防ぐために、可撓性ストッキネットまたはギプス詰物330を患者の前腕に巻くのが好ましい。例えば、Broadway Knitting Mills(90021、カリフォルニア州、ロスアンジェルス、サクラメントストリート2152)より入手可能な運動ソックスマシンで作製された片側にロフトを付けられた管状布帛のような管状詰物材料がこの目的に用いられる。
図5a−dの副木は、まず、図5aの物品310の樹脂を水で活性化させることにより形成される。次に、患者の左手または右手を開口311に通し、矩形物品の長辺端部を患者の前腕の縦方向に合わせる。物品を、円形に成形、または前腕の周囲に、図5bおよび5cに示した位置に配置する。この場合、樹脂含浸シートは、患者の前腕周囲に良好に適合する良好な圧縮成形性または馴染み易さを有している。
物品310は、最も長い方向においては、副木により固定される前腕の長さを伸長させるのに十分な寸法とする。他の方向においては、物品310は、前腕のはれに適合するような寸法とする。これは、前腕の周囲に部分的に、ただし完全にではなく、伸長するように物品310を構成することにより行なわれるのが好ましい。この場合、前腕のはれに適合するために、整形用副木310は、好ましくは前腕の周囲の約40%から約90%、最も好ましくは前腕の周囲の約60%から約75%伸長させる。このように部分的に覆うことにより、傷ついた前腕のはれにゆとりをもたせつつ、適切に固定をして治癒を促進する。
しかしながら、副木物品は、所望であれば前腕を完全に囲むような周囲方向に構成することもできるものと理解される。このような場合に、はれに適合させるためには、副木物品において縦方向に破断が残っていることが重要である。このように、現在は好ましい実施形態ではないが、副木物品は、最長端部が近接する、または副木がはれに適合できるよう膨張するように、端部を封止することなく、最長端部が実際にやや重なるように、接触する(端部を封止せずに)まで前腕の周囲を単に包むだけでもよい。端部の封止を防ぐ手段としては、重なった端部の間に挿入させる非接着層を用いることが挙げられる。
整形用副木物品310は、固定手段により支えられて樹脂が硬化している間に定位置に固定するのが好ましい。例えば、図5dに図示された伸縮包帯340のような巻き付け手段を用いて、生成される整形用副木が前腕によく馴染むように硬化中に前腕の周囲に物品310を固定する。右腕が図示されているが、副木物品310は、左腕にも等しく適用されるものと理解される。
適用後、物品310は、ほとんどしわを生じることなく、硬化中(ただし樹脂の硬化前)に容易に調整したり、位置を変えることができる。さらに、硬化して、副木がその意図する目的に適うようになったら、伸縮包帯をほどき、副木を押し上げることにより、副木を患者の前腕から取り去ることができる。図5a−dに図示された一般にU字型の前腕副木310は、優れた強度と破損に対する抵抗力を示すことが分かっている。
まとめると、本発明の整形用副木物品310は、(1)物品を水に晒して樹脂の硬化を開始し、(2)過剰の水を手で絞り、(3)整形用副木物品を、前腕に適用した平編またはギプスパッドに適切に配置し、(4)所望の形状に整形用物品を成形し、そして(5)樹脂が硬化するにつれて、例えば、伸縮包帯またはその他固定手段を副木物品と前腕の周囲に包んで、定位置に副木を固定することにより、定位置に副木を保持することによって、前腕に適用することができる。
本発明の所望のキャスティング物品は、充填材またはその他添加剤を含んでいてもよい。本発明に用いるのに適した充填材としては、米国特許出願第08/463,993号に記載されているような無機または有機微粒子または繊維状材料が挙げられる。着色した顔料充填材および充填材の配合物もまた適している。
好ましい微粒子充填材は、500μm未満、より好ましくは200μm未満、最も好ましくは120μm未満の平均粒径を有している。本明細書で用いる「平均粒径」は、粒子と同一の体積の球の直径として定義されている。
ウェブの完全性または複合体強度を高めるために、マイクロファイバー(米国特許出願第08/248,341号、第08/008,755号に記載されているようなもの)を樹脂に添加してもよい。好ましいファイバーは、25から5,000μm、より好ましくは30から1,000μm、最も好ましくは30から500μmの平均長さを有している。
水硬化性樹脂と共に用いるのに好ましい充填材およびマイクロファイバーはまた、非常に低い水分含量を有している。好ましくは、充填材またはマイクロファイバーは、4重量%未満の吸収された水、より好ましくは1重量%未満の吸収された水、最も好ましくは0.5重量%未満の吸収された水を含む。充填材またはマイクロファイバー試料中の吸収された水の量は、オーブン中で試料を加熱して試料の重量損失を測定することにより求められる。水分の量の多い充填材またはマイクロファイバーについては、樹脂を混ぜる前に材料を乾燥させるのが好ましい。
所望であれば、樹脂の接合、混合のし易さおよび相溶性を高めるために、充填材またはマイクロファイバーに、シラン、チタネート、ジルコネート等を用いて表面処理を施してもよい。充填材またはマイクロファイバーを樹脂に混ぜる前、またはイン・サイチュで表面処理を行ってもよい。例えば、後の反応のために充填材またはマイクロファイバーと共に表面処理剤を樹脂に混ぜてもよい。
未硬化のキャスティング材料の貯蔵安定性は、適した成分を選択するときに重要な要因である。貯蔵安定性とは、通常の保管状態における劣化に耐える最終製品の能力のことである。例えば、イソシアネート官能基を有するポリウレタンプレポリマーを含む生成物については、かかる標準貯蔵状態としては、25℃で水分のない貯蔵が挙げられる。キャスティング材料の貯蔵安定性は、周囲温度(25℃)で保管したときに1年を超えるのが好ましく、より好ましくは3年を超える、最も好ましくは5年を超えるものとする。硬化性樹脂を含有するキャスティング材料の貯蔵安定性はまた、周囲温度での安定性を予想するために高温(49℃)で試験してもよい。好ましいキャスティング材料は、49℃で4週間耐性があり、より好ましいキャスティング材料は、49℃で8週間耐性があり、最も好ましいキャスティング材料は、49℃で12週間耐性がある。
特に、ガラス泡のような多くの市販の充填材は塩基性(すなわち、アルカリ)であり、イソシアネート官能基を有するポリウレタンプレポリマー中で望ましくない副反応を生じる恐れがある。これらの副反応は、樹脂を早期に硬化させたり、全く硬化させないようにしてしまう。好ましい任意の充填材は、樹脂材料の貯蔵安定性を損なわないように選択する。イソシアネート官能基を有するポリウレタンプレポリマーを用いるときは、系は、任意の充填材が塩基性でなく、塩基性不純物を含有しないものを用いる方がよい。塩基度は、イソシアネート官能基を有する樹脂系との副反応(三量体化、アロファナートの形成およびビウレットの形成のような)を起こす可能性があり、生成物の貯蔵安定性が制限される恐れがある。充填材の塩基度の悪影響は、充填材を適当な酸で洗う、および/または中和したり、酸安定化剤を樹脂に添加することにより最小にすることができる。
樹脂系はまた、装飾の目的で、染料や顔料、もしくはその両方を用いて着色することができる。蛍光顔料を用いてもよい。さらに、この代わりに、本発明の副木またはギプスを、材料に圧痕を残すことのできる盛り上げた文字および/または図を含む装飾または情報を与えるようなシートで包んでもよい。さらに、本発明の材料は、適した染料または顔料を用いて、転写印刷、顔料印刷またはインクジェット印刷のような直接または間接印刷方法により印刷してもよい。
色を用いて、「軟質領域」と「硬質領域」に輪郭をつけるのも好都合である。例えば、硬質樹脂から目視により明確に差異をつけられるようなやり方で軟質樹脂に着色してもよい。この代わりに、キャリア布帛の一部を着色して、軟質と硬質領域に輪郭を付けてもよい。いずれにしても、異なる色により、所望であれば軟質領域の位置合わせを促進することができる。
米国特許出願第08/404,242号に記載されているような一過性の水溶性ウェブをテープの近接層を分離するライナーとして用いてもよい(例えば、テープがロールとして提供されるとき)。
以下の実施例は、本発明の理解を促すために提供されるものであり、その範囲を限定するものではない。特に指定しない限り、部およびパーセントはすべて重量当たりである。
実施例
実施例1
硬質中央領域と異なる幅の2つの軟質端部領域を有するキャスティング物品
ガラス繊維布帛は、米国特許第4,609,578号に記載されている方法に従って編まれた。ガラス繊維布帛は、幅7.938cm(31/8インチ)であり、41ウェールのECDE 75 1/0ガラス繊維ヤーンであった。
2種類の異なる液体イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー樹脂で生成した布帛をコートすることにより試料のキャスティングテープを作製した。第1の樹脂は表1aに記載した通りの「硬質樹脂」であった。第2の樹脂は表1bに記載した通りの「軟質樹脂」であった。
コーティングは、第1および第2の樹脂をそれぞれキャスティングテープの中央および端部領域に向けられるスリーピースのスロット供給ダイを用いて行なわれた。図8a−dを参照のこと。この代わりに、同時係属米国特許出願第08/672,014号「複数流体ストリーム押出し用ダイ」に記載された変形のコーティング装置を用いてもよい。コートされたキャスティングテープは約43.5重量パーセントの樹脂を有していた。
キャスティングテープの中央の縦方向に伸長した領域を、第1の「硬質」樹脂でコートした。キャスティングテープの2つの縦方向に伸長した端部領域は、表1cに示す通り5つの異なる幅の第2の「軟質」樹脂でコートした。2つの対照のキャスティングテープを、同種の、ただし軟質樹脂(対照「S」)または硬質樹脂(対照「H」)のいずれかをテープの全幅にコートしたガラス繊維布帛を用いて作成した。
環強度を、以下の手順に記載された通りに測定した。樹脂コートされた材料のロールを、保管パウチから取り出して、そのロールを温度が約27℃の水に約30秒間完全に浸すことによって、6層の樹脂コートされた材料層を含む円筒環を形成した。形成された環の幅は用いた樹脂コートされた材料の幅と同一、すなわち7.938cmであった。樹脂コートされた材料のロールを水から取り出し、薄いストッキネット(3M合成ストッキネットMS02のような)でカバーした直径5.08cmのマンドレルの周囲をその材料で包み、材料の幅1センチメートル当たり約45グラムの制御された巻き付け張力を用いて6枚の完全に単一な層を形成した。水から取り出した後30秒間、各筒を完全に巻き付けた。
水への初期の浸漬から約20分後、硬化した筒をマンドレルから取り出した。水への初期の浸漬から24−72時間後の環強度を求めた。すなわち、これらの試料を、試験の前、25℃±2℃で55%±5%の相対湿度の制御された雰囲気中で少なくとも24時間にわたって硬化させた。
適切なときに、各筒を例えばインストロン計測器のような市販の試験機にて固定具に配置して、その外形に沿って、そして軸に平行に圧縮加重を円筒環試料にかけた。円筒環を縦方向に固定具の2つの下部バー(バーの幅1.9cm、高さ1.3cm、長さ15.2cm)の間を約4cm離してその間に配置した。バーの内部端部を機械加工して、半径0.31cmの曲面を形成した。第3のバー(幅0.63cm、高さ2.5cm、長さ15.2cm)を筒の上部を覆うように中心に、そして軸に平行に置いた。この第3のバーの下部または接触端部を機械加工して、半径0.31cmの曲面を形成した。第3のバーを約5cm/分の速度で筒に対して曲げて押すように下げた。筒を押す間にかかる最大のピーク力を「環強度」として記録した。これは、この特定の場合には、「乾燥強度」(筒の単位長さ当たりの力、すなわちニュートン/cmで表わされる)である。各材料について、少なくとも5つの試料を試験し、加えた平均のピーク力を計算して、乾燥した「環強度」として記録した。環強度の試験の結果を表1dに示す。
上記のデータによれば、環強度が端部の軟質樹脂の量に関係していることがわかる。一般に、環強度は、軟質端部の幅が増えるにつれて減少する。しかしながら、テープの両端部が軟質樹脂を含むときは許容できる環強度が得られる。さらに、包んだギプスの大部分については、軟質領域が近接層の硬質領域と重なることが予想される。上述の2種類の樹脂のテープから作成されたギプスを、手足の周囲に巻くと、骨折を固定するのに適当な強度以上のものが得られると考えられる。
本発明の好ましいキャスティング製品は、70N/cmを超える、より好ましくは80N/cmを超える、最も好ましくは100N/cmを超える環強度を有する材料から作成された硬質中央領域を有している。本発明の好ましいキャスティング製品は、70N/cmを超える、より好ましくは80N/cmを超える、最も好ましくは100N/cmを超える全体の環強度を有している。
環の剥離を以下の手順に記載された通りに測定した。樹脂コートされた材料のロールを、保管パウチから取り出して、温度が約27℃の水にそのロールを約30秒間完全に浸すことによって、6層の樹脂コートされた材料層を含む円筒環を形成した。形成された環の幅は用いた樹脂コートされた材料の幅と同一、すなわち7.938cmであった。樹脂コートされた材料のロールを水から取り出し、薄いストッキネット(3M合成ストッキネットMS02のような)でカバーした直径5.08cmのマンドレルの周囲をその材料で包み、材料の幅1センチメートル当たり約45グラムの制御された巻き付け張力を用いて6枚の完全に単一な層を形成した。約15.24cmの自由端を保持して、ロールの平衡を失わせた。水から取り出した後30秒間、各筒を完全に巻き付けた。
水への初期の浸漬から約15から20分後、硬化した筒をマンドレルから取り出し、水への初期の浸漬から30分後の剥離強度を求めた。
剥離強度の測定は、試験機、すなわち、インストロン型番1122のジョーに円筒状試料の自由端を配置し、筒がスピンドルの軸の周りを自由に回転できるように筒の中空コアにスピンドルを通すことにより行った。インストロン機を作動させて、試料の自由端を約127cm/分の速度で引っ張った。円筒の最初の33センチメートルにわたって、包まれた層を剥離するのに必要とされる平均の力を、試料の幅当たりの力(ニュートン/cm幅)で記録した。各材料について、少なくとも5つの試料を試験し、平均の剥離力を計算して、「剥離強度」として記録した。剥離強度試験の結果を表1eに示す。
上述のデータによれば、剥離強度が軟質樹脂の量に関係していることがわかる。一般に、剥離強度は、軟質端部の幅が増えるにつれて少しずつ減少する。しかしながら、テープの両端部が軟質樹脂を含むときには許容できる剥離強度が得られる。さらに、包んだギプスの大部分については、軟質領域が近接層の硬質領域と重なることが予想される。上述のテープから作成されたギプスを、手足の周囲に巻くと、適切な剥離強度が得られる。
本発明の好ましいキャスティング製品は、4N/cmを超える、より好ましくは5N/cmを超える、最も好ましくは6N/cmを超える全体の剥離強度を有している。
実施例2
様々な市販のキャスティング物品のテーパー剛性
いくつかの市販のキャスティングテープを下記に記載した通りに測定して、相対的なテーパー剛性を求めた。剛性値は、ASTM規格番号D5342-93に記載された手順に従って、テレダインTaber V-5剛性試験機(テレダイン(ニューヨーク州、Tonawanda)より入手可能)を用いて求めた。
各試料についてキャスティング材料が巻いてある単一のプライをほどき、ポリエチレンフィルムのシートの上に平らに置いて、周囲条件(すなわち、30−40%RH、21℃)で約48時間にわたって硬化させた。硬化したら、テレダインTaber「Triple Cut Shear」(テレダイン(ニューヨーク州、Tonawanda)より入手可能)を用いて試験片を幅3.81cm、長さ6.985cmの矩形試料に切断した。試料の長さ側は、キャスティングテープの長さに垂直であった。すなわち、剛性値は、キャスティングテープのクロスウェブ剛性値を反映している。各試験片の3つの試料を試験した。平均結果を表2aに示す。
上記のデータによれば、キャスティング製品の全体の剛性が、用いる裏材料布帛のモジュラスまたは樹脂の種類のいずれかに関係していることがわかる。本発明の好ましいキャスティング製品は、約0.01から90、より好ましくは5から75、最も好ましくは10から50のテーバー剛性を有する材料から作成された少なくとも1つの軟質端部領域を有している。本発明の好ましいキャスティング製品は、90を超える、より好ましくは100、最も好ましくは150を超える、そして最良には250を超えるテーバー剛性値を有する材料から作成された硬質中央領域を有している。
実施例3
様々なキャスティング物品の端部剛性
いくつかの市販のキャスティングテープと本発明の1つのキャスティングテープを以下に記載した通りに測定して、相対的な端部剛性を求めた。
以下の手順に記載された通りに端部の剛性を測定した。樹脂コートされた材料のロールを、保管パウチから取り出して、そのロールを温度が約27℃の水に約30秒間完全に浸すことによって、3層の樹脂コートされた材料層を含む円筒環を形成した。形成された環の幅は用いた樹脂コートされた材料の幅と同一であった。樹脂コートされた材料のロールを水から取り出し、薄いストッキネット(3M合成ストッキネットMS02のような)でカバーした直径5.08cmのマンドレルの周囲をその材料で包み、材料の幅1センチメートル当たり約45グラムの制御された巻き付け張力を用いて3枚の完全に単一な層を形成した。水から取り出した後30秒間、各筒を完全に巻き付けた。
水への初期の浸漬から約20分後、硬化した筒をマンドレルから取り出した。水への初期の浸漬から24−72時間後の端部剛性を求めた。これらの試料を、試験の前、25℃±2℃で55%±5%の相対湿度の制御された雰囲気中で少なくとも24時間にわたって硬化させた。
各筒を例えばインストロン計測器のような市販の試験機にて固定具に配置した。図7aおよび7bを参照のこと。固定具は、環を加重面に対して45度の角度で支持した。直径1.27cmのプローブを用いて、円筒環試料の前縁に圧縮加重をかけた。試料および固定具の位置を図7bに示してある。
試料の前縁3mmを圧縮するように試験機をプログラムした。その点で機械は停止し、力の読取りがなされた。筒の端部を押す間にかかる最大のピーク力を「端部剛性」(力、すなわちニュートンで表わされる)として記録した。各材料について、少なくとも5つの試料を試験し、加えた平均のピーク力を「端部剛生」として記録した。試験の結果を表3aに示す。
上記のデータによれば、キャスティング製品の端部剛性は、用いる裏材料布帛のモジュラスまたは樹脂の種類のいずれかに関係している。本発明の好ましいキャスティング製品は、本明細書に記載された通りに試験したときに、約20未満、より好ましくは10未満、最も好ましくは5未満の端部剛性値を有している。
本発明の様々な修正および変形は、本発明の範囲および技術思想から逸脱することなく当業者に明白であり、本発明は、本明細書に規定した説明のための実施形態に限定されないものと理解される。
Claims (3)
- 軟質キャスティング材料の縦方向に伸長した第1の領域と、前記第1の領域に結合した硬質キャスティング材料の縦方向に伸長した第2の領域とを含んでなり、前記軟質キャスティング材料が、裏材料と一体化された軟質硬化性樹脂を含んでなり、前記硬質キャスティング材料が、裏材料と一体化された硬質硬化性樹脂を含んでなることを特徴とする、整形用キャスティングテープ。
- 前記軟質キャスティング材料の縦方向に伸長した領域と前記硬質キャスティング材料の縦方向に伸長した領域とが、異なる硬化性樹脂を含んでなる、請求項1に記載の整形用キャスティングテープ。
- 前記軟質キャスティング材料の縦方向に伸長した領域と、前記硬質キャスティング材料の縦方向に伸長した領域とが、異なる裏材料を含んでなる、請求項1又は2に記載の整形用キャスティングテープ。
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