JP4027585B2 - Physical quantity estimation device and road surface friction state estimation device - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、物理量推定装置及び路面摩擦状態推定装置に係り、より詳しくは、路面μ勾配等のタイヤと路面との間の滑り易さを示す物理量を推定する物理量推定装置と、該物理量推定装置によって推定された物理量に基づいて、タイヤの路面に対する摩擦状態を推定する路面摩擦状態推定装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
現在、ABS(Anti-lock Braking System)、TCS(Traction Control System)、空気圧低下警報システムなど、車両の性能や安全性を高めるシステムが開発されている。これらのシステムは、駆動時や制動時におけるタイヤと路面との間の滑り易さを示す物理量、例えば路面μ勾配を推定し、その推定値に基づいて様々な制御を行っている。
【0003】
この路面μ勾配は、スリップ率に対する路面摩擦力を示すμ−S特性の勾配であり、走行状態や路面状態によって変化するものである。そこで、従来より、路面μ勾配に基づいて路面の摩擦状態を判定する技術があった。
【0004】
この種の技術として、特願平11−315258号では、圧雪路やダート路など走行時に路面表層が崩壊する場合に車輪速の振動レベルが大きくなることに着目して、路面μ勾配と車輪速の振動レベルとに基づいて路面の摩擦状態を推定する技術が提案されている。
【0005】
しかしながら、特願平11−315258号で提案されている技術では、路面μ勾配は、走行する路面の滑り易さのほか、タイヤに付加される制動力又は駆動力に応じて変化する状態量であるため、制動時又は駆動時において当該技術を適用した場合、制動力又は駆動力に応じて路面μ勾配が小さくなる結果、推定される路面摩擦状態は、実際の状態に比較して滑り易い路面であるものと誤判定される場合がある、という問題点があった。
【0006】
一方、特願2000−314399には、タイヤの空気圧を推定することを主目的として、ブラッシュモデルに基づき制動時又は駆動時の路面μ勾配と制動力又は駆動力とに基づいて原点付近(スリップ率が略零)の路面μ勾配を推定する技術が記載されている。
【0007】
そこで、路面摩擦状態の推定精度を向上することを目的として、特願2000−314399に記載されている技術によって得られた路面μ勾配を、特願平11−315258号で提案されている技術に適用して路面摩擦状態を推定する技術も考えられるが、この技術には、次のような問題点があった。
【0008】
上記特願2000−314399に記載されている技術では、原点付近の路面μ勾配を推定する際のパラメータとして、タイヤと路面との間の最大路面摩擦係数μを必要としているが、路面の摩擦状態を推定することを目的とする場合には最大路面摩擦係数μは未知の値として扱う必要があり、単純には当該技術を特願平11−315258号で提案されている技術に適用することはできない。
【0009】
本発明は、上記事実に鑑み成されたものであり、最大路面摩擦係数を要することなくスリップ率が略零のときのタイヤと路面との間の滑り易さを示す物理量を推定することができる物理量推定装置と、制動時又は駆動時における路面摩擦状態を高精度に推定することができる路面摩擦状態推定装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
まず、本発明に係る物理量推定装置における物理量推定の原理について説明する。図13には、ブラッシュモデルにおける路面μ勾配(本発明の物理量に相当)と制駆動力の関係の一例が示されている。同図に示すように、路面μ勾配と制駆動力との関係は、路面μ勾配が小さくなる限界付近の領域を除く他の領域において、ほぼ1次関数で近似できることがわかる。
【0011】
従って、一例として図14に示すような、路面μ勾配が制駆動力の増加に伴って単調に減少する関数として表わされるモデルを仮定しておくことによって、制動時又は駆動時の路面μ勾配と、このときの制動力又は駆動力がわかれば、この点を通る上記モデルにおける直線(又は曲線)を描くことによって、原点付近の路面μ勾配を導出することが可能となる。なお、図15は、図14に示したモデルを用いた場合のスリップ速度と制駆動力の関係を示したものである。
【0012】
以上の原理に基づき、請求項1記載の物理量推定装置は、車輪速を検出する車輪速検出手段と、前記車輪速検出手段によって検出された車輪速に基づいて、タイヤと路面との間の滑り易さを示す物理量を推定する物理量推定手段と、車両の制動力又は駆動力を導出する制駆動力導出手段と、タイヤと路面との間の滑り易さを示す物理量が車両の制動力又は駆動力の増加に伴って単調減少する関数の傾きと、前記制駆動力導出手段によって導出された制動力又は駆動力によって示される車輪減速度とを乗算して得られた値に、前記物理量推定手段によって推定された物理量を加算することにより、前記物理量推定手段によって推定された物理量をスリップ率が略零のときの物理量となるように補正する物理量補正手段と、を備えている。
【0013】
請求項1記載の物理量推定装置によれば、車輪速検出手段によって車輪速が検出され、該検出された車輪速に基づき物理量推定手段によってタイヤと路面との間の滑り易さを示す物理量が推定される。なお、この物理量の推定には、既存のあらゆる推定手法を適用することができる。
【0014】
また、本発明では、制駆動力導出手段によって車両の制動力又は駆動力が導出(推定又は検出)され、物理量補正手段により、タイヤと路面との間の滑り易さを示す物理量が車両の制動力又は駆動力の増加に伴って単調減少する関数の傾きと、前記制駆動力導出手段によって導出された制動力又は駆動力によって示される車輪減速度とを乗算して得られた値に、前記物理量推定手段によって推定された物理量を加算することにより、前記物理量推定手段によって推定された物理量がスリップ率が略零のときの物理量となるように補正される。
【0015】
このように、請求項1に記載の物理量推定装置によれば、車輪速に基づいてタイヤと路面との間の滑り易さを示す物理量を推定し、車両の制動力又は駆動力を導出し、タイヤと路面との間の滑り易さを示す物理量が車両の制動力又は駆動力の増加に伴って単調減少する関数の傾きと、上記導出された制動力又は駆動力によって示される車輪減速度とを乗算して得られた値に、上記推定された物理量を加算することにより、上記推定された物理量をスリップ率が略零のときの物理量となるように補正しているので、最大路面摩擦係数を要することなくスリップ率が略零のときのタイヤと路面との間の滑り易さを示す物理量を推定することができる。
【0016】
なお、請求項1記載の発明のように、タイヤと路面との間の滑り易さを示す物理量が車両の制動力又は駆動力の増加に伴って単調減少する関数の傾きと、前記制駆動力導出手段によって導出された制動力又は駆動力によって示される車輪減速度とを乗算して得られた値に、前記物理量推定手段によって推定された物理量を加算することによって、簡易かつ短時間にスリップ率が略零のときのタイヤと路面との間の滑り易さを示す物理量を推定することができる。
【0017】
また、請求項2記載の発明のように、本発明のタイヤと路面との間の滑り易さを示す物理量は、前記制駆動力導出手段によって制動力を導出する場合は制動力勾配又は路面μ勾配であり、駆動力を導出する場合は駆動力勾配又は路面μ勾配であるものとすることができる。
【0018】
一方、上記目的を達成するために、請求項3記載の路面摩擦状態推定装置は、請求項1又は請求項2に記載の物理量推定装置と、前記車輪速検出手段によって検出された車輪速に基づいて車輪の振動の大きさを示す振動レベルを推定する振動レベル推定手段と、前記物理量補正手段によって補正された物理量と前記振動レベル推定手段によって推定された振動レベルとに基づいて、タイヤの路面に対する摩擦状態を推定する路面摩擦状態推定手段と、を備えている。
【0019】
請求項3記載の路面摩擦状態推定装置によれば、請求項1又は請求項2記載の物理量推定装置によって物理量が推定され、振動レベル推定手段により、上記物理量推定装置に備えられた車輪速検出手段によって検出された車輪速に基づいて車輪の振動の大きさを示す振動レベルが推定され、路面摩擦状態推定手段により、上記物理量推定装置に備えられた物理量補正手段によって補正された物理量と上記振動レベル推定手段によって推定された振動レベルとに基づいて、タイヤの路面に対する摩擦状態が推定される。
【0020】
このように、請求項3に記載の路面摩擦状態推定装置によれば、本発明に係る物理量推定装置によって推定された物理量、すなわちスリップ率が略零のときの物理量に基づいてタイヤの路面に対する摩擦状態を推定しているので、制動時又は駆動時における路面摩擦状態を高精度に推定することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態に係る路面摩擦状態推定装置10は、車両に設けられている車輪の回転速度を検出する車輪速センサ12と、車輪と路面との間の滑り易さを示す物理量である路面μ勾配を推定する路面μ勾配推定手段14と、車輪速センサ12から出力された車輪速信号を擬似的に微分するためのハイパスフィルタ16と、ハイパスフィルタ16から出力された信号に基づいて車両の制動力を推定する制動力推定手段18と、制動力推定手段18によって推定された制動力に基づいて路面μ勾配推定手段14により推定された路面μ勾配をスリップ率が略零であるときの路面μ勾配とするように補正する路面μ勾配補正手段20と、を備えている。
【0023】
車輪速センサ12が本発明の車輪速検出手段に、路面μ勾配推定手段14が本発明の物理量推定手段に、制動力推定手段18が本発明の制駆動力導出手段に、路面μ勾配補正手段20が本発明の物理量補正手段に、各々相当する。
【0024】
また、路面摩擦状態推定装置10は、車輪速センサ12から出力された車輪速信号から、少なくとも1つの共振点または少なくとも1つの反共振点を含む周波数が低周波数領域より大きい所定範囲の車輪速信号を抽出するバンドパスフィルタ22と、バンドパスフィルタ22によって抽出された車輪速信号に基づいて車輪の振動の大きさを表す物理量、本実施の形態では、振動レベルを演算する振動レベル演算手段24と、路面μ勾配補正手段20により導出された路面μ勾配と、振動レベル演算手段24により演算された振動レベルとに基づいて車輪の路面に対する摩擦状態を推定する路面摩擦状態推定手段26と、を備えている。
【0025】
振動レベル演算手段24が本発明の振動レベル推定手段に、路面摩擦状態推定手段26が本発明の路面摩擦状態推定手段に、各々相当する。
【0026】
車輪速センサ12は、各車輪の車輪速度に応じた車輪速信号ω1を生成して路面μ勾配推定手段14、ハイパスフィルタ16、及びバンドパスフィルタ22に供給する。
【0027】
路面μ勾配推定手段14は、図2に示すように、車輪速センサ12により検出された各車輪の車輪速信号ω1から路面外乱ΔTdを受けた車輪共振系の応答出力としての各車輪の車輪速振動Δω1を検出する前処理フィルタ14Aと、検出された車輪速振動Δω1を満足するような各車輪の伝達関数を最小自乗法によって同定する伝達関数同定手段14Bと、同定された伝達関数に基づいてタイヤと路面との間の摩擦係数μの勾配を各車輪毎に演算するμ勾配演算手段14Cと、を備えている。
【0028】
前処理フィルタ14Aは、本車輪共振系の共振周波数と予想される周波数を中心として一定の帯域の周波数成分のみを通過させるバンドパスフィルタや、該共振周波数成分を含む高帯域の周波数成分のみを通過させるハイパスフィルタなどで構成されている。ここでは、このバンドパスフィルタ或いはハイパスフィルタの周波数特性を規定するパラメータを一定値に固定している。
【0029】
なお、この前処理フィルタ14Aは、直流成分を除去したもの、すなわち車輪速信号ω1の回りの車輪速振動Δω1のみを抽出して出力する。
【0030】
ここで、前処理フィルタ14Aの伝達関数F(s)を(1)式とする。
【0031】
【数1】
【0032】
ただし、ciはフィルタ伝達関数の係数、sはラプラス演算子である。
【0033】
つぎに、伝達関数同定手段14Bが依拠する演算式を導出する。なお、前処理フィルタ14Aの演算を、伝達関数同定手段14Bの演算に含めて実施する。
【0034】
同定すべき伝達関数は、路面外乱ΔTdを加振入力として、このとき前処理フィルタ14Aにより検出された車輪速振動Δω1を応答出力とする2次のモデルとする。すなわち、(2)式の振動モデルを仮定する。
【0035】
【数2】
【0036】
ここに、vは車輪速信号を観測するときに含まれる観測雑音である。(2)式を変形すると、以下の(3)式を得る。
【0037】
【数3】
【0038】
最初に、(3)式に(1)式の前処理フィルタを掛けて得られた式を離散化する。このとき、Δω1、ΔTd、vは、サンプリング周期Ts毎にサンプリングされた離散化データΔω1(k)、ΔTd(k)、v(k)(kはサンプリング番号:k=1,2,3,・・・)として表される。また、ラプラス演算子sは、所定の離散化手法を用いて離散化することができる。本実施の形態では、一例として、以下の(4)式の双一次変換により離散化するものとする。なお、dは1サンプル遅延演算子である。
【0039】
【数4】
【0040】
前処理フィルタの次数mは2以上が望ましいので、演算時間も考慮してm=2とし、これによって(5)式(但し、(6)式から(9)式を満たす。)を得る。
【0041】
【数5】
【0042】
また、最小自乗法に基づいて、車輪速振動Δω1の各データから伝達関数を同定するために、(5)式を同定すべきパラメータに関して一次関数の形式となるように、(10)式(但し、(11)式を満たす。)のように変形する。なお、“T”を行列の転置とする。
【0043】
【数6】
【0044】
上式において、θが同定すべき伝達関数のパラメータとなる。
【0045】
伝達関数同定手段14Bは、検出された車輪速振動Δω1の離散化データを(10)式に順次当てはめた各データに対し、最小自乗法を適用することによって、未知パラメータθを推定し、これにより伝達関数を同定する。
【0046】
具体的には、検出された車輪速振動Δω1を離散化データΔω(k)(k=1,2,3,...)に変換し、該データをN点サンプルし、(12)式の最小自乗法の演算式を用いて、伝達関数のパラメータθを推定する。
【0047】
【数7】
【0048】
ここに、記号“^”の冠した量をその推定値と定義する。上記最小自乗法は、以下の漸化式である(13)式から(15)式によってパラメータθを求める逐次型最小自乗法として演算してもよい。
【0049】
【数8】
【0050】
ここに、ρは、いわゆる忘却係数で、通常は0.95〜0.99の値に設定する。このとき、初期値は、以下の(16)式のようにすればよい。
【0051】
【数9】
【0052】
また、上記最小自乗法の推定誤差を低減する方法として、種々の修正最小自乗法を用いてもよい。ここでは、補助変数を導入した最小自乗法である補助変数法を用いた例を説明する。この方法によれば、(10)式の関係が得られた段階でm(k)を補助変数として、以下の(17)式を用いて伝達関数のパラメータを推定する。
【0053】
【数10】
【0054】
また、逐次演算は、以下の(18)式から(20)式のようになる。
【0055】
【数11】
【0056】
補助変数法の原理は、以下の通りである。すなわち、(18)式に(17)式を代入すると、(21)式のようになる。
【0057】
【数12】
【0058】
(21)式の右辺第2項が零となるように補助変数を選べばθの推定値は、θの真値に一致する。そこで、補助変数として、ζ(k)=[−ξy1(k)−ξy2(k)]Tを式誤差r(k)と相関を持たないほどに遅らせたものを利用する。すなわち、
m(k)=[−ξy1(k−L)−ξy2(k−L)]T
とする。ただし、Lは遅延時間である。
【0059】
上記のようにして伝達関数を同定した後、μ勾配演算手段14Cは、路面μ勾配D0に関係する物理量を(22)式を用いて演算する。
【0060】
【数13】
【0061】
このように、路面μ勾配推定手段14は、(22)式によりμ勾配D0を演算することができる。
【0062】
一方、制動力推定手段18は、ハイパスフィルタ16によって擬似的に微分された車輪速信号ω1に基づいて、制動状態を示すものとして車輪減速度信号を演算し、該信号を路面μ勾配補正手段20に供給する。
【0063】
路面μ勾配補正手段20は、図14に示すような1次関数で近似した路面μ勾配と制駆動力との関係を示す直線の傾きSLを予め記憶している。なお、傾きSLは、一例としてブラッシュモデルにおける路面μ勾配と制駆動力との関係を示すデータを実験やコンピュータ・シミュレーション等によって得て、図13に示すようなグラフを作成し、当該グラフの略直線の部分(図13では、例えば制駆動力が0〜600(N)の範囲の部分)の傾きを求めること等によって得ることができる。なお、ここで、想定するモデルはブラッシュモデルに限らず、他の各種モデルを適用することができることは言うまでもない。
【0064】
そして、路面μ勾配補正手段20では、次の(23)式によって原点におけるスリップ率に対する制動力の勾配(路面μ勾配)KSを演算する。
【0065】
KS=D0+(SS×SL) ・・・(23)
ここで、SSは制動力推定手段18により供給された車輪減速度信号によって示される車輪減速度である。
【0066】
すなわち、本実施の形態に係る路面μ勾配補正手段20では、車輪減速度SSに傾きSLを乗算して得られた値を制動に伴う路面μ勾配の減少分であるものとし、当該値を路面μ勾配推定手段14によって推定された路面μ勾配D0に加算することによって、原点におけるスリップ率に対する路面μ勾配KSを導出している。
【0067】
このように、車輪減速度SSに傾きSLを乗算して得られた値を路面μ勾配推定手段14によって推定された路面μ勾配に加算することは、路面μ勾配と制動状態量(車輪減速度SS)との関係が図14に示すような1次関数で記述されていることを仮定し、制動力が零であるときの路面μ勾配を推定することを表している。
【0068】
ところで、車輪速信号ω1は、周波数に応じて分解すると、図3に示すように、2つの共振点と1つの反共振点を有する。2つの共振点のうち周波数が小さい側の共振点は、タイヤ慣性などに基づく前後共振点であり、周波数はf1(15〜20)Hzである。また、2つの共振点のうち周波数が高い側の共振点は、タイヤの空気圧やタイヤゴム弾性に基づく捩れ共振点であり、周波数はf3(35〜40)Hzである。そして、車輪速信号には、色々な信号に対して不感帯の反共振点を有し、周波数f2(20〜25)Hzである。本実施の形態に係るバンドパスフィルタ22は、車輪速信号ω1のうち、捩れ共振点(周波数f3)を含む所定範囲Δfの車輪速信号を抽出している。なお、バンドパスフィルタ22は、捩れ共振点以外の、前後共振点や反共振点を含む所定範囲Δfの車輪速信号を抽出するようにしてもよい。
【0069】
振動レベル演算手段24は次式より定まる車輪速信号の振動レベルG(N)を演算する。なお、バンドパスフィルタ22の出力はω(k)である。
【0070】
【数14】
【0071】
なお、振動レベル演算手段24は、実際には、演算タイミング毎に、
【0072】
【数15】
【0073】
の漸化式を逐次的に演算する。このように、振動レベル演算手段24で振動レベルを演算するのは次の理由からである。すなわち、図7に示すように、アスファルト路を走行中に突起を乗り越した場合には車輪速信号が小さくなり、この時に推定された路面μ勾配の推定値が小さくなって低μ路における路面μ勾配の推定値とほぼ同様な値となり、突起乗り越し時に低μ路を走行していると判定する場合がある。このように、路面μ勾配は、突起乗り越し等により、適正に推定されない場合がある。
【0074】
一方、このようにして得られた振動レベルと路面μ勾配の推定値とを、アスファルト路面、低μ路路面においてプロットすると、図4に示すようにアスファルト路面と低μ路路面とでは明確に区別されて認識されるとともに、アスファルト路面中に突起を乗り越したとしても、低μ路における領域と明確に区別されて認識される。上記事実に鑑み、種々の路面状態毎に振動レベルと路面μ勾配との推定値との関係を求めたところ、図5に示すように、振動レベルと路面μ勾配の推定値とは各路面状態、例えば低μ路、アスファルト路、石畳路、圧雪路、砂利・非整地路毎に領域毎に明確に区別されて認識出来ることが実験の結果得られた。すなわち、例えば、圧雪路は路面μ勾配の推定値としては高μ路(アスファルト路、石畳路)より若干小さい値となっているが、振動レベルの違いによって領域に差が表れている。砂利道等は更に振動レベルが高い領域にあるが、路面μ勾配の推定値は高μ路より低い値となっている。
【0075】
そこで、路面摩擦状態推定手段26は、振動レベル演算手段24により演算された振動レベル及び路面μ勾配補正手段20により補正された路面μ勾配の推定値と、上記路面状態毎の両者の関係(図5参照)と、に基づいて、車輪の路面に対する摩擦状態を推定する。
【0076】
ところで、本実施の形態では、バンドパスフィルタ22は、車輪速信号ω1のうち、2つの共振点の何れか一方の共振点の車輪速信号または、反共振点の車輪速信号を抽出する。すなわち、図3に示すように、周波数が低周波数領域より大きい車輪速信号を検出するようにしている。このように周波数が低周波数領域より大きい車輪速信号を検出するようにしているのは、図3に示すように周波数が低周波数領域より小さい車輪速信号は誤差が大きいため影響が大きくなり、路面摩擦状態を精度よく推定することが出来ないためである。
【0077】
すなわち、図6には、アスファルト路、低μ路を走行したときの車輪速信号の周波数特性が示されている。なお、低μ路は、アスファルト路に比較して凹凸が非常に小さくなっている。
【0078】
40Hz付近にある共振特性を見ると、低μ路はアスファルト路に比較して振動レベルが小さくなっており、路面の凹凸をよく反映していることが理解できる。また、共振の強さも小さくなっており、本手法によって低μ路であることが推定できる。
【0079】
低周波数領域(5Hz以下)の振動成分をみると、この領域では、振動レベルは路面μ勾配の逆数に比例して大きくなるため、低μ路の低周波数領域の車輪速信号の振動レベルは、アスファルト路の低周波数領域の車輪速信号の振動レベルより大きくなっている。
【0080】
よって、低周波数領域の車輪速信号に基づいて振動レベル及び路面μ勾配を演算して路面状態を推定すると、次のような問題が生ずる。
【0081】
すなわち、低周波数領域の振動成分は、路面μ勾配に依存し、実路面の凹凸状態を反映していない。このため、路面判定用のマップ作成には多くの適合工数が必要となる。
【0082】
また、低周波数領域の車輪速信号には、車両のロール、ピッチング運動による振動成分も含まれているため、走行条件によっては路面状態を精度よく判定することができない場合がある。
【0083】
更に、上記理由から、判定マップは、タイヤや車両の物理パラメータに応じて用意しなければならないが、タイヤ交換等により車両の緒元を変更したときは対応が困難であり、場合によっては路面状態の判定ができない虞がある。
【0084】
一方、本実施の形態では、低周波数領域より大きい領域の車輪速信号を対象としているため、上記問題が発生せず、路面状態を精度よく判定することができる。
【0085】
図8には、制動時の高μ路と低μ路における時間経過に伴う車輪速の変化(図8(A))と、このときの高μ路と低μ路における路面μ勾配補正手段20による補正前の路面μ勾配(すなわち、路面μ勾配推定手段14によって推定された路面μ勾配)の変化(図8(B))と、路面μ勾配補正手段20による補正後の路面μ勾配の変化(図8(C))とが示されている。
【0086】
図8(B)に示すように、制動状態に応じた補正を行わない場合、制動時には路面μ勾配が小さくなって、路面状態による違いが小さくなっていることがわかる。この場合、高μ路における制動時の路面μ勾配は、低μ路とほぼ同じレベルまで落ち込む結果、路面摩擦状態推定手段26では低μ路であるものと誤判定されてしまうことになる。
【0087】
これに対して、路面μ勾配補正手段20による路面μ勾配の補正を実施した場合には、図8(C)に示すように、制動に伴う路面μ勾配の減少が補償され、ほぼ一定値(定常走行状態の路面μ勾配)が得られている。従って、この場合には、高μ路における制動時の路面μ勾配は、低μ路と比較して十分大きなレベルとなっており、路面摩擦状態推定手段26では適切に高μ路であるものと判定される。
【0088】
なお、車輪速センサ12、路面μ勾配推定手段14、ハイパスフィルタ16、制動力推定手段18、路面μ勾配補正手段20によって構成される部分が本発明の物理量推定装置に相当する。
【0089】
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係る路面摩擦状態推定装置10では、車輪速に基づいて路面μ勾配を推定し、車両の制動力を導出し、路面μ勾配と車両の制動力又は駆動力との間の関係を示すモデルと、上記推定された路面μ勾配と、上記導出された制動力と、に基づいて、上記推定された路面μ勾配をスリップ率が略零のときの物理量となるように補正しているので、最大路面摩擦係数を要することなくスリップ率が略零のときの路面μ勾配を推定することができる。
【0090】
また、本実施の形態に係る路面摩擦状態推定装置10では、上記モデルとして、路面μ勾配が車両の制動力又は駆動力の増加に伴って単調減少する関数として表わされるモデルを適用しているので、簡易かつ短時間にスリップ率が略零のときの路面μ勾配を推定することができる。
【0091】
また、本実施の形態に係る路面摩擦状態推定装置10では、スリップ率が略零のときの路面μ勾配に基づいてタイヤの路面に対する摩擦状態を推定しているので、制動時又は駆動時における路面摩擦状態を高精度に推定することができる。
【0092】
なお、本実施の形態では、本発明の物理量として路面μ勾配推定手段14によって路面μ勾配を推定する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、路面μ勾配と等価的に扱うことのできる物理量として、例えば、スリップ率またはスリップ速度と制動力との関係を表す曲線の接線の傾きである制動力勾配、スリップ率またはスリップ速度と駆動力との関係を表す曲線の接線の傾きである駆動力勾配等を適用することもできる。
【0093】
以下、一例として、本発明の物理量として制動力勾配を適用する場合の、該制動力勾配の推定手順について説明する。なお、ここで説明する推定手順は、路面外乱から車輪速までの伝達特性を1次遅れモデルに近似し、この1次遅れモデルの周波数応答から車輪速の時系列データに基づいて帯域周波数を推定し、推定した帯域周波数から制動力勾配を推定するようにしたものである。
【0094】
図9に示すように、この場合の形態の一例は、車輪速信号ω1が示す車輪速の時系列データに基づいて、路面外乱から車輪速までの伝達特性を1次遅れモデルに近似したときの該モデルの周波数応答を表すゲイン線図において、ゲインが一定値から変化するときの周波数を帯域周波数(車輪速周波数特性量)として推定する帯域周波数推定手段14A’と、予め記憶された帯域周波数と制動力勾配との関係を表すマップに基づいて、推定された帯域周波数に対する制動力勾配を推定する制動力勾配推定手段14B’と、を含んで構成されている。
【0095】
なお、図9では、1つの車輪についての構成を示したが、例えば4輪自動車等の複数の車輪を持つ車両の場合には、各々の車輪について図示した構成が設けられる。
【0096】
帯域周波数推定手段14A’では、全ての周波数を含む外乱である白色外乱が路面からタイヤに入力したと仮定し、最小自乗法を用いて1次遅れモデルの帯域周波数を同定した。
【0097】
図10は、帯域周波数を同定するためのアルゴリズム、図11は、車輪フルモデルに白色外乱を加えたときに図10のアルゴリズムによって同定される帯域周波数と対応する1次遅れモデルのゲイン線図を示したものである。
【0098】
まず、図10に基づいて帯域周波数を同定するためのアルゴリズムについて説明する。ステップ300において車輪速センサ12で検出された車輪速度の時系列データに白色外乱を加えたデータを取り込み、ステップ302において2次のバタワスフィルタを用いて、例えば2Hzのハイパスフィルタと例えば20Hzのローパスフィルタからなるフィルタによる前処理を行う。車輪速信号をハイパスフィルタに入力してハイパスフィルタ処理することにより、車輪の加速度の定常成分が除去され、ローパスフィルタ処理することにより車輪速信号の平滑化処理を行うことができる。
【0099】
次のステップ304において、オンライン最小自乗法を用いて前処理された車輪速の時系列データから帯域周波数の時系列データを推定する。まず、車輪速センサ12によって、サンプル時間τ毎に離散化して検出された車輪速の時系列データをステップ302のフィルタによる前処理後の車輪速の時系列データをω [k](kはサンプル時間τを単位とするサンプル時刻であり、k=1,2,・・・)とし、以下のステップ1及びステップ2を繰り返すことにより、検出された車輪速度の時系列データから制動力勾配の時系列データを推定する。
ステップ1:
【0100】
【数16】
【0101】
なお、(24)式のφ[k]は、1サンプル時間での車輪速度の変化量にサンプル時間τを乗算した値(車輪速の変化に関する物理量)であり、(25)式のy[k]は、1サンプル時間の車輪速度の変化量(ω[k−1]−ω[k−2]、ω[k]−ω[k−1])の1サンプル時間での変化量(ω[k−1]−ω[k−2]−(ω[k]−ω[k−1]))(車輪速度の変化の変化に関する物理量)である。
ステップ2:
【0102】
【数17】
【0103】
という漸化式から推定値θ、すなわち、制動力勾配を推定する。ただし、(27)、(28)式のλは過去のデータを取り除く度合いを示す忘却係数(例えばλ=0.98)であり、Tは行列の転置を示す。
【0104】
なお、(26)式のθ[k]は、車輪速度の変化に関する物理量の履歴及び車輪速度の変化の変化に関する物理量の履歴を表す物理量である。
【0105】
なお、上記ではオンライン最小自乗法を用いて帯域周波数を推定する例について説明したが、補助変数法等他のオンライン同定法を用いて帯域周波数を推定することもできる。
【0106】
上記のようにして推定された1次遅れモデルにおける帯域周波数の推定結果の例を図11に示す。また、図11のゲイン線図より理解されるように、近似された1次遅れモデルのゲインは、制動力勾配が300Ns/m以外では、車輪フルモデルのゲイン線図の定常ゲインと反共振点(40Hz付近)におけるゲインを通過する特性として同定されており、低次元化により15Hz付近のサスペンション前後共振と40Hz付近のタイヤ回転振動の共振特性とが無視されている。また、制動力勾配が300Ns/mと小さいときには、1次遅れモデルでは反共振点を通過していないことから共振は表れず、1次遅れモデルの振動特性と車輪フルモデルの特性とが良く一致していることが理解できる。これは、制動力勾配が300Ns/m以下の限界付近の制動領域においては、サスペンション前後共振やタイヤ回転振動による共振の影響が小さく、車輪減速度運動モデルが支配的になっているためである。したがって、このような限界付近では、車輪運動は以下の車輪減速度運動モデルで近似できると考えられる。
【0107】
【数18】
【0108】
ただし、νwは車輪速度(m/s)、wは路面外乱、kは制動力勾配(Ns/m)、RCはタイヤ有効半径(m)、Jは車両慣性モーメントであり、νwの係数は帯域周波数を表している。
【0109】
ところで、上記(29)式は、限界領域において、帯域周波数ω0と制動力勾配との間に、
【0110】
【数19】
【0111】
という関係があることを示している。
【0112】
また、低スリップ領域においては、最小自乗法の適用により図12の関係が導き出せる。この図は、車輪フルモデルにおける制動力勾配と白色外乱を加えたときの車輪速データから同定された帯域周波数との関係を示したものである。なお、図12の帯域周波数は、単位を[rad/s]で表した。制動力勾配は、帯域周波数が増加するに従って単調増加している。この図12の帯域周波数と制動力勾配との関係をマップとして制動力勾配推定手段14B’のメモリに記憶しておき、マップを用いて車輪速信号に基づいて帯域周波数推定手段14A’で推定された帯域周波数に対応する制動力勾配を演算することにより、帯域周波数の推定(同定)結果から制動力勾配を推定することが可能になる。
【0113】
また、本実施の形態では、路面μ勾配と制駆動力との関係を図14に示すように、1次関数で近似した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、路面μ勾配が制駆動力の増加に伴って単調に減少する関係であれば、2次関数以上の多項式やマップ等によって記述する形態とすることもできる。この場合も本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0114】
【発明の効果】
請求項1又は請求項2に記載の物理量推定装置によれば、車輪速に基づいてタイヤと路面との間の滑り易さを示す物理量を推定し、車両の制動力又は駆動力を導出し、タイヤと路面との間の滑り易さを示す物理量が車両の制動力又は駆動力の増加に伴って単調減少する関数の傾きと、上記導出された制動力又は駆動力によって示される車輪減速度とを乗算して得られた値に、上記推定された物理量を加算することにより、上記推定された物理量をスリップ率が略零のときの物理量となるように補正しているので、最大路面摩擦係数を要することなくスリップ率が略零のときのタイヤと路面との間の滑り易さを示す物理量を推定することができる、という効果が得られる。
【0115】
また、請求項3記載の路面摩擦状態推定装置によれば、本発明に係る物理量推定装置によって推定された物理量、すなわちスリップ率が略零のときの物理量に基づいてタイヤの路面に対する摩擦状態を推定しているので、制動時又は駆動時における路面摩擦状態を高精度に推定することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る路面摩擦状態推定装置10の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係る路面μ勾配推定手段の構成を示すブロック図である。
【図3】車輪速信号の周波数と振幅との関係を示したグラフである。
【図4】車輪速信号の振動レベルと路面μ勾配との、アスファルト路及び低μ路の関係を示したグラフである。
【図5】車輪速信号の振動レベルと路面μ勾配との路面状態毎の関係を示したグラフである。
【図6】車輪速信号の周波数特性を示した図である。
【図7】低μ路を走行する前に突起を乗り越したときの路面μ勾配推定値の変化を表すグラフである。
【図8】(A)は制動時の高μ路と低μ路における時間経過に伴う車輪速の変化を、(B)はこのときの高μ路と低μ路における路面μ勾配補正手段20による補正前の路面μ勾配の変化を、(C)はこのときの路面μ勾配補正手段20による補正後の路面μ勾配の変化を、各々示すグラフである。
【図9】制動力勾配を推定する場合の構成例を示すブロック図である。
【図10】図9の構成において帯域周波数を推定するアルゴリズムを示す流れ図である。
【図11】1次遅れモデルの路面外乱から車輪速までの周波数応答を示すゲイン線図である。
【図12】帯域周波数と制動力勾配との関係を示す線図である。
【図13】ブラッシュモデルにおける路面μ勾配と制駆動力の関係の一例を示すグラフである。
【図14】本発明の原理の説明に供する図であり、路面μ勾配が制駆動力に応じて単調に減少するモデルの一例を示すグラフである。
【図15】図14のモデルを用いたときのスリップ速度と制駆動力の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 路面摩擦状態推定装置
12 車輪速センサ(車輪速検出手段)
14 路面μ勾配推定手段(物理量推定手段)
16 ハイパスフィスタ
18 制動力推定手段(制駆動力導出手段)
20 路面μ勾配補正手段(物理量補正手段)
22 バンドパスフィルタ
24 振動レベル演算手段(振動レベル推定手段)
26 路面摩擦状態推定手段[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a physical quantity estimation apparatus and a road surface friction state estimation apparatus, and more specifically, a physical quantity estimation apparatus that estimates a physical quantity indicating slipperiness between a tire and a road surface such as a road surface μ gradient, and the physical quantity estimation apparatus It is related with the road surface friction state estimation apparatus which estimates the friction state with respect to the road surface of a tire based on the physical quantity estimated by this.
[0002]
[Prior art and problems to be solved by the invention]
Currently, systems that improve vehicle performance and safety, such as ABS (Anti-lock Braking System), TCS (Traction Control System), and air pressure drop warning system, have been developed. These systems estimate a physical quantity indicating the slipperiness between the tire and the road surface during driving or braking, for example, a road surface μ gradient, and perform various controls based on the estimated value.
[0003]
This road surface μ gradient is a gradient of the μ-S characteristic indicating the road surface friction force with respect to the slip ratio, and changes depending on the traveling state and the road surface state. Therefore, there has conventionally been a technique for determining the frictional state of the road surface based on the road surface μ gradient.
[0004]
As this type of technology, Japanese Patent Application No. 11-315258 pays attention to the fact that the vibration level of the wheel speed increases when the road surface layer collapses during traveling such as a snowy road or a dirt road. A technique for estimating the frictional state of the road surface based on the vibration level of the vehicle has been proposed.
[0005]
However, in the technique proposed in Japanese Patent Application No. 11-315258, the road surface μ gradient is a state quantity that changes according to the braking force or driving force applied to the tire in addition to the slipperiness of the traveling road surface. Therefore, when the technology is applied at the time of braking or driving, the road surface μ gradient is reduced according to the braking force or driving force. As a result, the estimated road friction state is more slippery than the actual state. There is a problem that it may be misjudged to be.
[0006]
On the other hand, in Japanese Patent Application No. 2000-314399, the main purpose is to estimate the tire air pressure, based on the brush model or the road surface μ gradient during braking or driving and the vicinity of the origin based on the braking force or driving force (slip rate). Describes a technique for estimating a road surface μ gradient of approximately zero).
[0007]
Therefore, for the purpose of improving the estimation accuracy of the road surface friction state, the road surface μ gradient obtained by the technique described in Japanese Patent Application No. 2000-314399 is used in the technique proposed in Japanese Patent Application No. 11-315258. A technique for estimating the road surface friction state by applying this technique is also conceivable, but this technique has the following problems.
[0008]
In the technique described in the above Japanese Patent Application No. 2000-314399, the parameter for estimating the road surface μ gradient near the origin requires the maximum road surface friction coefficient μ between the tire and the road surface. When the purpose is to estimate the maximum friction coefficient μ, it is necessary to treat the maximum road surface friction coefficient μ as an unknown value. Simply applying this technique to the technique proposed in Japanese Patent Application No. 11-315258 Can not.
[0009]
The present invention has been made in view of the above facts, and can estimate a physical quantity indicating the slipperiness between the tire and the road surface when the slip ratio is substantially zero without requiring the maximum road surface friction coefficient. It is an object of the present invention to provide a physical quantity estimation device and a road surface friction state estimation device capable of accurately estimating a road surface friction state during braking or driving.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
First, the principle of physical quantity estimation in the physical quantity estimation apparatus according to the present invention will be described. FIG. 13 shows an example of the relationship between the road surface μ gradient (corresponding to the physical quantity of the present invention) and the braking / driving force in the brush model. As shown in the figure, it can be seen that the relationship between the road surface μ gradient and the braking / driving force can be approximated by a linear function in other regions except the region near the limit where the road surface μ gradient becomes small.
[0011]
Accordingly, as an example, as shown in FIG. 14, by assuming a model in which the road surface μ gradient is represented as a function that monotonously decreases with an increase in braking / driving force, the road surface μ gradient during braking or driving is If the braking force or driving force at this time is known, it is possible to derive the road surface μ gradient near the origin by drawing a straight line (or curve) in the model passing through this point. FIG. 15 shows the relationship between the slip speed and the braking / driving force when the model shown in FIG. 14 is used.
[0012]
Based on the above principle, the physical quantity estimation device according to
[0013]
According to the physical quantity estimation device of
[0014]
In the present invention, the braking force or driving force of the vehicle is derived (estimated or detected) by the braking / driving force deriving unit, and the physical quantity correcting unitThe slope of the function in which the physical quantity indicating the ease of slipping between the tire and the road surface monotonously decreases as the braking force or driving force of the vehicle increases, and the braking force or driving force derived by the braking / driving force deriving means By adding the physical quantity estimated by the physical quantity estimation means to the value obtained by multiplying the indicated wheel deceleration,The physical quantity estimated by the physical quantity estimating means is corrected so as to be a physical quantity when the slip ratio is substantially zero.
[0015]
Thus, according to the physical quantity estimation device according to
[0016]
Claims1A function in which the physical quantity indicating the slipperiness between the tire and the road surface monotonously decreases as the braking force or driving force of the vehicle increases as in the invention describedThe physical quantity estimated by the physical quantity estimating means is added to a value obtained by multiplying the slope of the vehicle by the braking force derived by the braking / driving force deriving means or the wheel deceleration indicated by the driving force.Therefore, it is possible to estimate a physical quantity indicating the ease of slipping between the tire and the road surface when the slip ratio is substantially zero in a short time.
[0017]
Claims2As described, the physical quantity indicating the slipperiness between the tire and the road surface of the present invention is a braking force gradient or a road surface μ gradient when the braking force is derived by the braking / driving force deriving means, When the force is derived, it may be a driving force gradient or a road surface μ gradient.
[0018]
Meanwhile, in order to achieve the above object,3The road surface friction state estimating apparatus described in claim 1Or claim 2The physical quantity estimating device according to
[0019]
Claim3According to the road surface friction state estimating apparatus described in
[0020]
Thus, the claim3According to the road surface friction state estimating device described in the above, the friction state with respect to the road surface of the tire is estimated based on the physical amount estimated by the physical amount estimating device according to the present invention, that is, the physical amount when the slip ratio is substantially zero. The road surface friction state during braking or driving can be estimated with high accuracy.
[0021]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described in detail with reference to the drawings.
[0022]
As shown in FIG. 1, a road surface friction
[0023]
The wheel speed sensor 12 is the wheel speed detecting means of the present invention, the road surface μ gradient estimating means 14 is the physical quantity estimating means of the present invention, the braking force estimating means 18 is the braking / driving force deriving means of the present invention, and the road surface μ gradient correcting means. 20 corresponds to the physical quantity correction means of the present invention.
[0024]
Further, the road surface friction
[0025]
The vibration level calculation means 24 corresponds to the vibration level estimation means of the present invention, and the road surface friction state estimation means 26 corresponds to the road surface friction state estimation means of the present invention.
[0026]
The wheel speed sensor 12 is a wheel speed signal ω corresponding to the wheel speed of each wheel.1Is supplied to the road surface μ gradient estimation means 14, the high pass filter 16, and the band pass filter 22.
[0027]
As shown in FIG. 2, the road surface μ gradient estimating means 14 is configured to detect the wheel speed signal ω of each wheel detected by the wheel speed sensor 12.1To road surface disturbance ΔTdSpeed oscillation of each wheel as a response output of the wheel resonance system1A preprocessing filter 14A for detecting the wheel speed and the detected wheel speed vibration Δω1The transfer function identifying means 14B for identifying the transfer function of each wheel that satisfies the above-mentioned conditions by the least square method, and calculating the gradient of the friction coefficient μ between the tire and the road surface for each wheel based on the identified transfer function Μ gradient calculating means 14C.
[0028]
The pre-processing filter 14A passes a band-pass filter that passes only a certain frequency component centered on the resonance frequency expected of the wheel resonance system, or a high-frequency component including the resonance frequency component. It is composed of a high-pass filter and the like. Here, the parameter that defines the frequency characteristics of the band-pass filter or high-pass filter is fixed to a constant value.
[0029]
The pre-processing filter 14A has a DC component removed, that is, a wheel speed signal ω.1Wheel speed vibration around the wheel1Extract only and output.
[0030]
Here, the transfer function F (s) of the preprocessing filter 14A is represented by equation (1).
[0031]
[Expression 1]
[0032]
Where ciIs a coefficient of the filter transfer function, and s is a Laplace operator.
[0033]
Next, an arithmetic expression on which the transfer function identification unit 14B depends is derived. The calculation of the preprocessing filter 14A is included in the calculation of the transfer function identification unit 14B.
[0034]
The transfer function to be identified is road surface disturbance ΔTdAs the vibration input, the wheel speed vibration Δω detected by the preprocessing filter 14A at this time1Is a quadratic model with a response output. That is, the vibration model of equation (2) is assumed.
[0035]
[Expression 2]
[0036]
Here, v is an observation noise included when the wheel speed signal is observed. When the equation (2) is modified, the following equation (3) is obtained.
[0037]
[Equation 3]
[0038]
First, the equation obtained by applying the preprocessing filter of equation (1) to equation (3) is discretized. At this time, Δω1, ΔTd, V is the sampling period TsDiscretized data Δω sampled every time1(K), ΔTd(K), v (k) (k is a sampling number: k = 1, 2, 3,...). The Laplace operator s can be discretized using a predetermined discretization technique. In the present embodiment, as an example, the discretization is performed by bilinear transformation of the following equation (4). Note that d is a one-sample delay operator.
[0039]
[Expression 4]
[0040]
Since the order m of the pre-processing filter is desirably 2 or more, m = 2 is set in consideration of the calculation time, thereby obtaining Expression (5) (however, Expression (6) to Expression (9) are satisfied).
[0041]
[Equation 5]
[0042]
Also, based on the least square method, the wheel speed vibration Δω1In order to identify the transfer function from each of the data of (5), the equation (5) is transformed into the form of a linear function with respect to the parameter to be identified as in the equation (10) (however, the equation (11) is satisfied). To do. In addition, "T"Is the transpose of the matrix.
[0043]
[Formula 6]
[0044]
In the above equation, θ is a parameter of the transfer function to be identified.
[0045]
The transfer function identification unit 14B detects the detected wheel speed vibration Δω.1The unknown parameter θ is estimated by applying the method of least squares to each data obtained by sequentially applying the discretized data to the equation (10), thereby identifying the transfer function.
[0046]
Specifically, the detected wheel speed vibration Δω1Is converted into discretized data Δω (k) (k = 1, 2, 3,...), The data is sampled at N points, and the transfer function is calculated using the least squares arithmetic expression of equation (12). Parameter θ is estimated.
[0047]
[Expression 7]
[0048]
Here, the amount of the symbol “^” is defined as the estimated value. The least square method may be calculated as a sequential least square method for obtaining the parameter θ by the following recurrence formulas (13) to (15).
[0049]
[Equation 8]
[0050]
Here, ρ is a so-called forgetting factor, and is usually set to a value of 0.95 to 0.99. At this time, the initial value may be expressed by the following equation (16).
[0051]
[Equation 9]
[0052]
Various modified least square methods may be used as a method for reducing the estimation error of the least square method. Here, an example using an auxiliary variable method that is a least square method with an auxiliary variable introduced will be described. According to this method, the parameter of the transfer function is estimated using the following equation (17), with m (k) as an auxiliary variable, when the relationship of equation (10) is obtained.
[0053]
[Expression 10]
[0054]
Further, the sequential calculation is expressed by the following equations (18) to (20).
[0055]
## EQU11 ##
[0056]
The principle of the auxiliary variable method is as follows. That is, substituting equation (17) into equation (18) yields equation (21).
[0057]
[Expression 12]
[0058]
If an auxiliary variable is selected so that the second term on the right side of equation (21) is zero, the estimated value of θ matches the true value of θ. Therefore, as an auxiliary variable, ζ (k) = [− ξy1(K) -ξy2(K)]TIs delayed so as not to correlate with the equation error r (k). That is,
m (k) = [− ξy1(KL) -ξy2(KL)]T
And However, L is a delay time.
[0059]
After the transfer function is identified as described above, the μ gradient calculation means 14C performs the road surface μ gradient D0Is calculated using the equation (22).
[0060]
[Formula 13]
[0061]
As described above, the road surface μ gradient estimating means 14 calculates the μ gradient D by the equation (22).0Can be calculated.
[0062]
On the other hand, the braking force estimation means 18 generates a wheel speed signal ω pseudo-differentiated by the high-pass filter 16.1Based on the above, a wheel deceleration signal is calculated as indicating the braking state, and the signal is supplied to the road surface μ
[0063]
The road surface μ gradient correction means 20 stores in advance a linear gradient SL indicating the relationship between the road surface μ gradient approximated by a linear function as shown in FIG. 14 and the braking / driving force. Note that the slope SL is obtained by, for example, obtaining data indicating the relationship between the road surface μ gradient and the braking / driving force in the brush model by experiments, computer simulations, and the like, creating a graph as shown in FIG. It can be obtained by determining the slope of a straight line portion (in FIG. 13, for example, a portion where the braking / driving force is in the range of 0 to 600 (N)). Here, it is needless to say that the assumed model is not limited to the brush model, and other various models can be applied.
[0064]
In the road surface μ gradient correction means 20, the braking force gradient (road surface μ gradient) K with respect to the slip ratio at the origin is given by the following equation (23).SIs calculated.
[0065]
KS= D0+ (SS × SL) (23)
Here, SS is the wheel deceleration indicated by the wheel deceleration signal supplied by the braking force estimating means 18.
[0066]
That is, in the road surface μ gradient correction means 20 according to the present embodiment, the value obtained by multiplying the wheel deceleration SS by the slope SL is assumed to be a decrease in the road surface μ gradient accompanying braking, and this value is used as the road surface. Road surface μ gradient D estimated by the μ gradient estimation means 140Is added to the road surface μ gradient K against the slip rate at the origin.SIs derived.
[0067]
In this way, adding the value obtained by multiplying the wheel deceleration SS by the slope SL to the road surface μ gradient estimated by the road surface μ gradient estimating means 14 means that the road surface μ gradient and the braking state quantity (wheel deceleration) SS) is assumed to be described by a linear function as shown in FIG. 14, and the road surface μ gradient is estimated when the braking force is zero.
[0068]
By the way, wheel speed signal ω1When decomposed according to frequency, as shown in FIG. 3, it has two resonance points and one anti-resonance point. The resonance point on the lower frequency side of the two resonance points is a front-rear resonance point based on tire inertia or the like, and the frequency is f1(15-20) Hz. The resonance point on the higher frequency side of the two resonance points is a torsional resonance point based on tire air pressure or tire rubber elasticity, and the frequency is f.Three(35-40) Hz. The wheel speed signal has a dead zone anti-resonance point with respect to various signals, and has a frequency f.2(20-25) Hz. The bandpass filter 22 according to the present embodiment has a wheel speed signal ω1Among them, the torsional resonance point (frequency fThree) Including a predetermined range Δf is extracted. Note that the bandpass filter 22 may extract a wheel speed signal in a predetermined range Δf including front and rear resonance points and antiresonance points other than the torsional resonance point.
[0069]
The vibration level calculation means 24 calculates the vibration level G (N) of the wheel speed signal determined by the following equation. The output of the band pass filter 22 is ω (k).
[0070]
[Expression 14]
[0071]
It should be noted that the vibration level calculation means 24 is actually at each calculation timing.
[0072]
[Expression 15]
[0073]
Are sequentially calculated. Thus, the vibration level is calculated by the vibration level calculation means 24 for the following reason. That is, as shown in FIG. 7, when the vehicle rides over the protrusion while traveling on the asphalt road, the wheel speed signal becomes small, and the estimated value of the road surface μ gradient estimated at this time becomes small and the road surface μ on the low μ road becomes small. The value is almost the same as the estimated value of the gradient, and it may be determined that the vehicle is traveling on a low μ road when overriding the protrusion. As described above, the road surface μ gradient may not be properly estimated due to overpasses or the like.
[0074]
On the other hand, when the vibration level and the estimated value of the road surface μ gradient are plotted on the asphalt road surface and the low μ road surface, the asphalt road surface and the low μ road surface are clearly distinguished as shown in FIG. In addition, even if a protrusion is passed over the asphalt road surface, it is clearly distinguished from the region on the low μ road. In view of the above facts, the relationship between the vibration level and the estimated value of the road surface μ gradient is obtained for each of various road surface conditions. As shown in FIG. As a result of experiments, for example, low μ roads, asphalt roads, cobblestone roads, snow-capped roads, gravel / non-graded roads can be clearly distinguished and recognized for each region. That is, for example, the snowy road has a slightly smaller value than the high μ road (asphalt road, cobblestone road) as an estimated value of the road surface μ gradient, but a difference appears in the region due to the difference in vibration level. Gravel roads and the like are in a region where the vibration level is higher, but the estimated value of the road surface μ gradient is lower than that of the high μ road.
[0075]
Accordingly, the road surface friction state estimating means 26 has a relationship between the vibration level calculated by the vibration level calculating means 24 and the estimated value of the road surface μ gradient corrected by the road surface μ
[0076]
By the way, in the present embodiment, the bandpass filter 22 has the wheel speed signal ω.1Of these, the wheel speed signal at one of the two resonance points or the wheel speed signal at the anti-resonance point is extracted. That is, as shown in FIG. 3, a wheel speed signal having a frequency larger than the low frequency region is detected. The wheel speed signal having a frequency larger than the low frequency region is detected in this way because the wheel speed signal having a frequency smaller than the low frequency region has a large error as shown in FIG. This is because the frictional state cannot be accurately estimated.
[0077]
That is, FIG. 6 shows the frequency characteristics of the wheel speed signal when traveling on asphalt roads and low μ roads. The low μ road has very small irregularities compared to the asphalt road.
[0078]
Looking at the resonance characteristics in the vicinity of 40 Hz, it can be understood that the vibration level of the low μ road is smaller than that of the asphalt road, and the unevenness of the road surface is well reflected. In addition, the strength of resonance is also small, and it can be estimated that this method is a low-μ road.
[0079]
Looking at the vibration component in the low frequency region (5 Hz or less), in this region, the vibration level increases in proportion to the reciprocal of the road surface μ gradient, so the vibration level of the wheel speed signal in the low frequency region of the low μ road is It is larger than the vibration level of the wheel speed signal in the low frequency region of the asphalt road.
[0080]
Therefore, when the road surface state is estimated by calculating the vibration level and the road surface μ gradient based on the wheel speed signal in the low frequency region, the following problem occurs.
[0081]
That is, the vibration component in the low frequency region depends on the road surface μ gradient and does not reflect the uneven state of the actual road surface. For this reason, a lot of man-hours are required to create a map for road surface determination.
[0082]
In addition, since the wheel speed signal in the low frequency region includes vibration components due to rolling and pitching motion of the vehicle, the road surface state may not be accurately determined depending on traveling conditions.
[0083]
Furthermore, for the above reasons, the judgment map must be prepared according to the physical parameters of the tires and the vehicle, but it is difficult to respond when the vehicle specifications are changed by changing the tires, etc. There is a possibility that it cannot be determined.
[0084]
On the other hand, in the present embodiment, since the wheel speed signal in a region larger than the low frequency region is targeted, the above problem does not occur, and the road surface state can be accurately determined.
[0085]
FIG. 8 shows changes in wheel speed over time on a high μ road and a low μ road during braking (FIG. 8A), and road surface μ gradient correction means 20 on the high μ road and low μ road at this time. Changes in the road surface μ gradient before correction by the road surface (that is, the road surface μ gradient estimated by the road surface μ gradient estimation means 14) (FIG. 8B), and changes in the road surface μ gradient corrected by the road surface μ gradient correction means 20 (FIG. 8C) is shown.
[0086]
As shown in FIG. 8B, it can be seen that when the correction according to the braking state is not performed, the road surface μ gradient is reduced during braking, and the difference depending on the road surface state is reduced. In this case, the road surface μ gradient at the time of braking on the high μ road drops to substantially the same level as that on the low μ road, and as a result, the road surface friction state estimating means 26 erroneously determines that the road surface is a low μ road.
[0087]
On the other hand, when the road surface μ
[0088]
The portion constituted by the wheel speed sensor 12, the road surface μ gradient estimation means 14, the high-pass filter 16, the braking force estimation means 18, and the road surface μ gradient correction means 20 corresponds to the physical quantity estimation device of the present invention.
[0089]
As described above in detail, in the road surface friction
[0090]
Further, in the road surface friction
[0091]
Further, in the road surface friction
[0092]
In the present embodiment, the case where the road surface μ
[0093]
Hereinafter, as an example, a procedure for estimating the braking force gradient when the braking force gradient is applied as a physical quantity of the present invention will be described. The estimation procedure described here approximates the transfer characteristics from road disturbance to wheel speed to a first-order lag model, and estimates the band frequency based on the time-series data of the wheel speed from the frequency response of this first-order lag model. Then, the braking force gradient is estimated from the estimated band frequency.
[0094]
As shown in FIG. 9, an example of the form in this case is the wheel speed signal ω1In the gain diagram representing the frequency response of the model when the transfer characteristic from the road surface disturbance to the wheel speed is approximated to a first-order lag model based on the time-series data of the wheel speed indicated by, the gain changes from a constant value Band frequency estimation means 14A ′ for estimating the current frequency as a band frequency (wheel speed frequency characteristic amount), and a map representing the relationship between the band frequency stored in advance and the braking force gradient, with respect to the estimated band frequency Braking force gradient estimating means 14B ′ for estimating the braking force gradient.
[0095]
Although FIG. 9 shows the configuration for one wheel, for example, in the case of a vehicle having a plurality of wheels such as a four-wheeled vehicle, the configuration shown for each wheel is provided.
[0096]
In the band frequency estimation means 14A ', it is assumed that a white disturbance, which is a disturbance including all frequencies, is input to the tire from the road surface, and the band frequency of the first-order lag model is identified using the least square method.
[0097]
FIG. 10 shows an algorithm for identifying the band frequency, and FIG. 11 shows a gain diagram of the first-order lag model corresponding to the band frequency identified by the algorithm of FIG. 10 when white disturbance is applied to the wheel full model. It is shown.
[0098]
First, an algorithm for identifying a band frequency will be described based on FIG. In step 300, data obtained by adding white disturbance to the time series data of the wheel speed detected by the wheel speed sensor 12 is fetched. In
[0099]
In the
Step 1:
[0100]
[Expression 16]
[0101]
In the equation (24), φ [k] is a value obtained by multiplying the change amount of the wheel speed in one sample time by the sample time τ (physical quantity related to the change in wheel speed), and y [k] in the equation (25). ] Represents the change amount (ω [k-1] −ω [k−2], ω [k] −ω [k−1]) of the wheel speed change during one sample time (ω [k−1] −ω [k−2]). k−1] −ω [k−2] − (ω [k] −ω [k−1])) (physical quantity related to change in wheel speed change).
Step 2:
[0102]
[Expression 17]
[0103]
From the recurrence formula, the estimated value θ, that is, the braking force gradient is estimated. However, λ in the equations (27) and (28) is a forgetting coefficient (for example, λ = 0.98) indicating the degree to which past data is removed, and T indicates transposition of the matrix.
[0104]
In the equation (26), θ [k] is a physical quantity representing a history of physical quantities related to changes in wheel speed and a history of physical quantities related to changes in wheel speed.
[0105]
In addition, although the example which estimates a band frequency using the online least square method was demonstrated above, a band frequency can also be estimated using other online identification methods, such as an auxiliary variable method.
[0106]
An example of band frequency estimation results in the first-order lag model estimated as described above is shown in FIG. Further, as understood from the gain diagram of FIG. 11, the gain of the approximated first-order lag model is the steady-state gain and antiresonance point of the gain diagram of the wheel full model when the braking force gradient is other than 300 Ns / m. It is identified as a characteristic that passes the gain at (around 40 Hz), and the resonance characteristics of the suspension longitudinal vibration near 15 Hz and the tire rotation vibration around 40 Hz are ignored due to the reduction in dimensions. In addition, when the braking force gradient is as small as 300 Ns / m, the first-order lag model does not pass through the anti-resonance point, so resonance does not appear, and the vibration characteristics of the first-order lag model and the characteristics of the wheel full model are excellent. I can understand what I do. This is because in the braking region in the vicinity of the limit where the braking force gradient is 300 Ns / m or less, the influence of resonance due to the suspension longitudinal resonance and tire rotation vibration is small, and the wheel deceleration motion model is dominant. Therefore, it is considered that the wheel motion can be approximated by the following wheel deceleration motion model in the vicinity of such a limit.
[0107]
[Expression 18]
[0108]
Where νwIs wheel speed (m / s), w is road disturbance, k is braking force gradient (Ns / m), RCIs the tire effective radius (m), J is the vehicle moment of inertia, νwThe coefficient of represents the band frequency.
[0109]
By the way, the above equation (29) is obtained by calculating the band frequency ω in the limit region.0And the braking force gradient,
[0110]
[Equation 19]
[0111]
It shows that there is a relationship.
[0112]
In the low slip region, the relationship shown in FIG. 12 can be derived by applying the method of least squares. This figure shows the relationship between the braking force gradient in the wheel full model and the band frequency identified from the wheel speed data when white disturbance is applied. The unit of the band frequency in FIG. 12 is represented by [rad / s]. The braking force gradient increases monotonically as the band frequency increases. The relationship between the band frequency and the braking force gradient in FIG. 12 is stored as a map in the memory of the braking force gradient estimating unit 14B ′, and is estimated by the band frequency estimating unit 14A ′ based on the wheel speed signal using the map. By calculating the braking force gradient corresponding to the band frequency, the braking force gradient can be estimated from the band frequency estimation (identification) result.
[0113]
Further, in the present embodiment, the case where the relationship between the road surface μ gradient and the braking / driving force is approximated by a linear function as shown in FIG. 14 is described, but the present invention is not limited to this, As long as the road surface μ gradient is monotonously decreased as the braking / driving force increases, the road surface μ gradient may be described by a polynomial or a map having a quadratic function or higher. Also in this case, the same effect as in the present embodiment can be obtained.
[0114]
【The invention's effect】
Claim 1Or claim 2According to the described physical quantity estimation device, the physical quantity indicating the slipperiness between the tire and the road surface is estimated based on the wheel speed, the braking force or driving force of the vehicle is derived,The slope of the function in which the physical quantity indicating the slipperiness between the tire and the road surface monotonously decreases as the braking force or driving force of the vehicle increases, and the wheel deceleration indicated by the derived braking force or driving force. By adding the estimated physical quantity to the value obtained by multiplying bySince the estimated physical quantity is corrected so that it is the physical quantity when the slip ratio is approximately zero, the slippage between the tire and the road surface when the slip ratio is approximately zero without requiring the maximum road friction coefficient. The effect that the physical quantity which shows this can be estimated is acquired.
[0115]
Claims3According to the described road surface friction state estimation device, because the physical amount estimated by the physical amount estimation device according to the present invention, that is, the friction state with respect to the road surface of the tire is estimated based on the physical amount when the slip ratio is substantially zero, The effect that the road surface friction state during braking or driving can be estimated with high accuracy is obtained.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a block diagram showing a configuration of a road surface friction
FIG. 2 is a block diagram showing a configuration of road surface μ gradient estimation means according to the embodiment.
FIG. 3 is a graph showing the relationship between the frequency and amplitude of a wheel speed signal.
FIG. 4 is a graph showing the relationship between the vibration level of the wheel speed signal and the road surface μ gradient for asphalt roads and low μ roads.
FIG. 5 is a graph showing a relationship between a vibration level of a wheel speed signal and a road surface μ gradient for each road surface state.
FIG. 6 is a diagram showing frequency characteristics of a wheel speed signal.
FIG. 7 is a graph showing a change in a road surface μ gradient estimated value when a protrusion is climbed before traveling on a low μ road.
8A shows changes in wheel speed over time on a high μ road and a low μ road during braking, and FIG. 8B shows road surface μ gradient correction means 20 on the high μ road and low μ road at this time. (C) is a graph showing the change in the road surface μ gradient before correction by the road surface μ, and the change in the road surface μ gradient after correction by the road surface μ gradient correction means 20 at this time.
FIG. 9 is a block diagram illustrating a configuration example when a braking force gradient is estimated.
10 is a flowchart showing an algorithm for estimating a band frequency in the configuration of FIG. 9;
FIG. 11 is a gain diagram showing a frequency response from road disturbance to wheel speed in a first-order lag model.
FIG. 12 is a diagram showing a relationship between a band frequency and a braking force gradient.
FIG. 13 is a graph showing an example of a relationship between a road surface μ gradient and a braking / driving force in a brush model.
FIG. 14 is a graph for explaining the principle of the present invention, and is a graph showing an example of a model in which the road surface μ gradient monotonously decreases according to the braking / driving force.
15 is a graph showing the relationship between slip speed and braking / driving force when the model of FIG. 14 is used.
[Explanation of symbols]
10 Road friction state estimation device
12 Wheel speed sensor (wheel speed detection means)
14 Road surface μ gradient estimation means (physical quantity estimation means)
16 High Pass Fista
18 Braking force estimating means (braking / driving force deriving means)
20 Road surface μ gradient correction means (physical quantity correction means)
22 Bandpass filter
24 Vibration level calculation means (vibration level estimation means)
26 Road surface friction state estimation means
Claims (3)
前記車輪速検出手段によって検出された車輪速に基づいて、タイヤと路面との間の滑り易さを示す物理量を推定する物理量推定手段と、
車両の制動力又は駆動力を導出する制駆動力導出手段と、
タイヤと路面との間の滑り易さを示す物理量が車両の制動力又は駆動力の増加に伴って単調減少する関数の傾きと、前記制駆動力導出手段によって導出された制動力又は駆動力によって示される車輪減速度とを乗算して得られた値に、前記物理量推定手段によって推定された物理量を加算することにより、前記物理量推定手段によって推定された物理量をスリップ率が略零のときの物理量となるように補正する物理量補正手段と、
を備えた物理量推定装置。Wheel speed detecting means for detecting the wheel speed;
Physical quantity estimation means for estimating a physical quantity indicating the slipperiness between the tire and the road surface based on the wheel speed detected by the wheel speed detection means;
Braking / driving force deriving means for deriving braking force or driving force of the vehicle;
The slope of the function in which the physical quantity indicating the slipperiness between the tire and the road surface monotonously decreases as the braking force or driving force of the vehicle increases, and the braking force or driving force derived by the braking / driving force deriving means. By adding the physical quantity estimated by the physical quantity estimating means to the value obtained by multiplying the indicated wheel deceleration, the physical quantity estimated by the physical quantity estimating means is the physical quantity when the slip ratio is substantially zero. Physical quantity correction means for correcting to be,
A physical quantity estimation device comprising:
前記車輪速検出手段によって検出された車輪速に基づいて車輪の振動の大きさを示す振動レベルを推定する振動レベル推定手段と、
前記物理量補正手段によって補正された物理量と前記振動レベル推定手段によって推定された振動レベルとに基づいて、タイヤの路面に対する摩擦状態を推定する路面摩擦状態推定手段と、
を備えた路面摩擦状態推定装置。The physical quantity estimation device according to claim 1 or 2,
Vibration level estimation means for estimating a vibration level indicating the magnitude of wheel vibration based on the wheel speed detected by the wheel speed detection means;
Road surface friction state estimation means for estimating a friction state with respect to a road surface of a tire based on the physical quantity corrected by the physical quantity correction means and the vibration level estimated by the vibration level estimation means;
A road surface friction state estimation device.
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