JP4026701B2 - 量子暗号送信装置及び量子暗号送信方法 - Google Patents

量子暗号送信装置及び量子暗号送信方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、量子暗号における位相変調量取り出し防止方法及び手段に関するものである。
また、この発明は、量子暗号を生成する光信号伝送システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来技術を示した図である。
従来技術として、例えば、文献(Electronics Letters 34,(22),pp2116−2117,1998“Automated plug&play Quantum Key Distribution)に示された従来の鏡などを使ったパッシブ(Passive)な通信者が存在する量子暗号における構成である。
図6において量子暗号を生成する光信号伝送システムは、1対の量子暗号受信装置100と量子暗号送信装置200とこれらをつなぐ量子暗号通信路1とこれらを制御するインターフェース回路部160,260とコンピュータ150,250から構成される。量子暗号通信路1は具体的には通信用光ファイバを用いた光路である。
量子暗号受信装置100では、光子発生器2から光子が発生し、サーキュレータ6を通りカプラ5に導かれる。カプラ5に到達した光パルスは2つの光路を伝送することになる。
1つは偏光ビームスプリッタ90に直接至る「短光路」であり、もう1つは、位相変調器7、光ファイバ8を通り偏光ビームスプリッタ90に至る「長光路」である。こうして、パルスが2つに分岐されて時間差のある偏波面の異なる2連パルスとなって量子暗号通信路1を送信される。
いずれの光路を通過した光パルスも量子暗号通信路1を通り、量子暗号送信装置200に送られる。量子暗号送信装置200に到達した光子は、アッテネータ110、位相変調器120、ファラディーミラー130を順に通過する。ファラディーミラー130に到達した光子は反射されてもときた経路を戻るのだが、その際その偏波面を90度回転させられる。
往路において長光路を通った光子は位相変調器120において位相変調を受ける。
再び量子暗号通信路1を通って量子暗号受信装置100に戻った光子は偏光ビームスプリッタ90において2つの光路に分離される。ここで、2連光パルスは偏波面が異なっているため、往路において長光路を通った光パルスは復路では短光路を通り、往路において短光路を通った光パルスは復路では長光路を通ることになる。
つまり、鍵配送に用いられる光子は、往路と復路とで異なる光路を通過した光子である。
復路において長光路を通過する光子は位相変調器7において位相変調を受ける。往路に長光路、復路に短光路を選択した光子と往路に短光路、復路に長光路を選択した光子は同時にカプラ5に戻り、位相変調器7及び位相変調器120で受けた位相変調量の差に応じて干渉を起こすことになる。
干渉の結果、帰還した光子は光子検出器3と光子検出器4のどちらかで選択的に検出される。量子力学的な性質により2つの光子検出器において同時に検出されることはない。
なお、光子検出器4において検出されるべき光子は、サーキュレータ6により光子発生器2に導かれることなく光子検出器4に到達する。
ここで、量子暗号受信装置100と量子暗号送信装置200との間で量子暗号を共有するためには、1対の量子暗号受信装置100と量子暗号送信装置200との間で同期がとれている必要があるため、量子暗号受信装置100では、光子発生器2から光信号である光子の同期タイミングを検出し、量子暗号送信装置200では、カプラ20を介し光子検出器21から光信号である光子の同期タイミングを検出している。
【0003】
位相変調方式量子暗号は、光ファイバなどを使用した光学系で、前述のような2種類の同じ長さの光路を通ってきて位相のみが異なる光子の干渉を利用して物理的に系を構成している。通常の位相変調方式量子暗号における変調は、量子暗号受信装置100と量子暗号送信装置200との2者間で各々1つずつ位相変調器7,120を配し、希望の位相をかけて動作させる。
この同じ長さ光路で位相が、1つは位相変調器120でかけられた位相Φa、もう1つは位相変調器7でかけられた位相Φbとすると、その差Φa−Φbの値にしたがって光の干渉がおきる。位相変調方式量子暗号はこの干渉を利用している。
ここで、実際、同じ長さの2種類の光路を作り安定した干渉系を組むことは難しいため、上記に説明したような、ファラディーミラー130のような鏡などを使ったパッシブな通信者が存在する光学系を用いて量子暗号を構成し、安定した量子暗号システムの構築方法が多く用いられている。
鏡などを使ったパッシブな通信者が存在する光学系を用いた位相変調方式量子暗号における光パルスの流れを、改めて、1つの例である図6に示された構成を使って具体的に説明すると次の通りである。
【0004】
図6を用いて説明する。
光子発生器2(レーザー)からある繰り返し周波数で光子が発進され、それが受信者(ここではBob)である量子暗号受信装置100の光ファイバや光カプラであるカプラ5などの光学系などを通って時間差のある光パルスに変換され、2者間の通信路(例えば既設の光ファイバ)である量子暗号通信路1に到達する。
この後、送信者(ここではAlice)である量子暗号送信装置200の光学系に光パルスが入る。光パルスのうち片方のみ(実際は2連パルスの内、後の光パルス)に対して、鏡であるファラディーミラー130に反射される前または後に、情報が付加(例えば位相変調器120により位相変調)され、他方(実際は2連パルスの内、先の光パルス)には何も情報はのせられない。
2種の光パルスは、鏡で反射された後、送信者(ここではAlice)である量子暗号送信装置200の光学系から出力され、2者の通信路上を通って、受信者側(ここではBob)である量子暗号受信装置100の光学系に時間差のある2つの光パルスとして入っていく。
ここで、先程情報が載せられてない方のパルスのみに受信者(ここではBob)である量子暗号受信装置100の情報が付加(位相変調器7による位相変調で付加)される。
そして、この結果、2種の同じ光路長の異なる位相変調された光の干渉結果により量子暗号が実現される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の鏡(ファラディーミラー130)などを使ったパッシブな通信者が存在する量子暗号においては、量子暗号通信路1又は鏡などで反射される前の入力部に第三者が強い光(光パルス)を入射させ、反射された光を取り出すことにより、通信者の光子に載せている秘密の情報(ここでは例えば位相変調量)を読み出すシステム攻撃法(盗聴)が可能である。
このため、最初に盗聴者がいない状態で量子暗号のシステムの設定を行って、送信者が情報をのせた光パルスが通信路を流れる時に秘匿性が保たれるような光強度となるよう設定してシステム運用しても、上記のような悪意の第三者(盗聴者)によって強い光パルスを入射されて、通信者(例えば送信者Alice、受信者Bob)が全く気づかない状態のままで、位相変調量を取り出されてしまう可能性があるという問題点があった。このため鏡などを使ったパッシブな通信者が存在する量子暗号においては、システムの安全性が保証できないという問題点があった。
【0006】
この発明は、量子暗号システムにおいて、悪意の第三者(盗聴者)による位相変調量の不正読み取り(盗聴)の防止、すなわち確実に安全性を保障することを目的とする。
【0007】
また、この発明は、情報を伝送する光信号伝送システムにおいて、悪意の第三者(盗聴者)による盗聴の防止、すなわち確実に安全性を保障することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の光信号伝送装置は、
伝送路を通過する光信号をモニタする光モニタ部と、
上記光モニタ部によりモニタされた光信号に基づいて、所定の基準により上記光信号の盗聴の有無を検出する盗聴検出部と
を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の光信号伝送装置は、
伝送路を通過する光信号の位相を位相変調する位相変調方式を用いて量子暗号を生成する光信号伝送装置において、
上記伝送路を通過する光信号の内、所定の周波数域以外の周波数を有する光信号の通過を遮断する光フィルタ部を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の光信号伝送装置は、
伝送路を通過する光信号の位相を位相変調する位相変調方式を用いて量子暗号を生成する光信号伝送装置において、
上記伝送路を通過する光信号を発生する光信号発生部と、
上記光信号発生部により発生された光信号を所定の基準により監視する光源光チェック部と
を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、上記光信号伝送装置は、所定の強度の光信号を入力し、
上記光モニタ部は、上記所定の強度の光信号をモニタし、
上記盗聴検出部は、上記光モニタ部によりモニタされた上記光信号の強度を基準に上記光信号の盗聴の有無を検出することを特徴とする。
【0012】
また、上記光信号伝送装置は、所定の周期の光信号を入力し、
上記光モニタ部は、上記所定の周期の光信号をモニタし、
上記盗聴検出部は、上記光モニタ部によりモニタされた上記光信号の周期を基準に上記光信号の盗聴の有無を検出することを特徴とする。
【0013】
また、上記盗聴検出部は、上記光モニタ部によりモニタされた上記光信号の一定期間内のパルスの数を基準に上記光信号の盗聴の有無を検出することを特徴とする。
【0014】
本発明の光信号伝送システムは、
伝送路を通過する光信号をモニタする光モニタ部と、
上記光モニタ部によりモニタされた光信号に基づいて、所定の基準により上記光信号の盗聴の有無を検出する盗聴検出部と
を有する第1の光信号伝送装置と、
上記伝送路を通過する光信号を発生する光信号発生部と、
上記光信号発生部により発生された光信号を所定の基準により監視する光源光チェック部と
を有する第2の光信号伝送装置と
を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の光信号伝送システムは、
伝送路を通過する光信号をモニタする光モニタ部と、
上記光モニタ部によりモニタされた光信号に基づいて、所定の基準により上記光信号の盗聴の有無を検出する盗聴検出部と、
上記伝送路を通過する光信号の内、上記盗聴検出部により検出できない上記所定の周波数域以外の周波数を有する光信号の通過を遮断する光フィルタ部と
を有する第1の光信号伝送装置と、
上記伝送路を通過する光信号を発生する光信号発生部と、
上記光信号発生部により発生された光信号を所定の基準により監視する光源光チェック部と
を有する第2の光信号伝送装置と
を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の光信号伝送方法は、
伝送路を通過する光信号をモニタする光モニタ工程と、
上記光モニタ工程によりモニタされた光信号に基づいて、所定の基準により上記光信号の盗聴の有無を検出する盗聴検出工程と
を備えたことを特徴とする。
【0017】
本発明の光信号伝送方法は、
伝送路を通過する光信号をモニタする光モニタ工程と、
上記光モニタ工程によりモニタされた光信号に基づいて、所定の基準により上記光信号の盗聴の有無を検出する盗聴検出工程と、
上記伝送路を通過する光信号の内、上記盗聴検出工程により検出できない上記所定の周波数域以外の周波数を有する光信号の通過を遮断する光フィルタ工程と、
上記伝送路を通過する光信号を発生する光信号発生工程と、
上記光信号発生工程により発生された光信号を所定の基準により監視する光源光チェック工程と
を備えたことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1を示す構成図である。
図1において、500は、モニタ(光モニタ部の一例である)である。本実施の形態では、1対の量子暗号受信装置100と量子暗号送信装置200との間で、例えば、インターフェース回路部160,260間で同期をとっているため、図6に示したカプラ20と光子検出器21とを省略している。その他の構成は図6と同様である。
【0019】
量子暗号受信装置100(光信号伝送装置の一例であり、また、第2の光信号伝送装置の一例である)では、光子発生器2(光信号発生部の一例である)から光子が発生し、伝送路を通過してサーキュレータ6を通りカプラ5に導かれる。カプラ5に到達した光パルスは2つの光路を伝送することになる。
1つは偏光ビームスプリッタ90に直接至る「短光路」(伝送路の一例である)であり、もう1つは、位相変調器7、光ファイバ8を通り偏光ビームスプリッタ90に至る「長光路」(伝送路の一例である)である。偏光コントローラ140は、光パルスの偏波面を調整する。
いずれの光路を選択した光パルスも量子暗号通信路1を通り、量子暗号送信装置200(光信号伝送装置の一例であり、また、第1の光信号伝送装置の一例である)に送られる。量子暗号送信装置200に到達した光子は、アッテネータ110、位相変調器120(位相変調部の一例である)、ファラディーミラー130を順に伝送路を通過する。ファラディーミラー130に到達した光子は反射されてもときた経路を戻るのだが、その際その偏波面を90度回転させられる。
往路において長光路を通った光子は位相変調器120において位相変調を受ける。
再び量子暗号通信路1を通って量子暗号受信装置100に戻った光子は偏光ビームスプリッタ90において偏波面の方向により2つの光路に分離される。ここで、2連光パルスは偏波面が異なっているため、往路において長光路を通った光パルスは復路では短光路を通り、往路において短光路を通った光パルスは復路では長光路を通ることになる。
つまり、鍵配送に用いられる光子は、往路と復路とで異なる光路を通過した光子である。
復路において長光路を通過する光子は位相変調器7において位相変調を受ける。往路に長光路、復路に短光路を選択した光子と往路に短光路、復路に長光路を選択した光子は同時にカプラ5に戻り、位相変調器7及び位相変調器120で受けた位相変調量の差に応じて干渉を起こすことになる。
干渉の結果、帰還した光子は光子検出器3と光子検出器4のどちらかで選択的に検出される。量子力学的な性質により2つの光子検出器において同時に検出されることはない。
なお、光子検出器4において検出されるべき光子は、サーキュレータ6により光子発生器2に導かれることなく光子検出器4に到達する。
ここで、本来、アッテネータ110により光子の数を減衰させ、単一光子の状態あるいはそれに準じた微弱光にすることにより、量子暗号受信装置100に光子が届く前に、他者(盗聴者)が光子を取り出すことにより位相変調量を取り出す(盗聴する)と量子暗号受信装置100が受信すべき光子が存在しなくなり、盗聴者が存在することが判明してしまうことになる。また、光子を取り出し再送しようとしても、未知の量子状態を観測して全く同じものを再生、再送することができないという物理の基本原理を量子暗号は利用している。このため、盗聴者が存在することが判明してしまう。
しかしながら、量子暗号通信路1又は量子暗号送信装置200におけるファラディーミラー130で反射される前の入力部に強い光(光パルス)を入射させ、反射された光を取り出すことにより、通信者の光子に載せている秘密の情報(ここでは例えば位相変調量)を読み出すシステム攻撃法(盗聴)が可能である。
図2は、光パルスの状態を示す図である。
図2において、201aは、短光路を通って量子暗号受信装置100から出力された光パルス、201bは、長光路を通って量子暗号受信装置100から出力された光パルスである。また、図2において、202aは、短光路を通った光パルスとタイミング同期して盗聴者が強い光(光パルス)を入射させた後の光パルス、202bは、長光路を通った光パルスとタイミング同期して盗聴者が強い光(光パルス)を入射させた後の光パルスである。
光パルス202a又は202bは、量子暗号送信装置200において、通信者により秘密の情報が載せられて量子暗号送信装置200を出力する。盗聴者は、光パルス202a又は202bから秘密の情報を読み出す。秘密の情報が読み出された残りの光子(光パルス)は、量子暗号受信装置100が受信すべき光子となる。
これにより、上記のような悪意の第三者(盗聴者)によって強い光パルスを入射されて、通信者(例えば送信者Alice、受信者Bob)が全く気づかない状態のままで、位相変調量を取り出されてしまう可能性がある。
そこで、量子暗号送信装置200における伝送路を通過する光信号をモニタ500によりモニタし、モニタ500によるモニタ情報に基づいて量子暗号送信装置200における伝送路に、一定の強度の光パルスが来ているか、また、予定以上の強い(強度の大きい)光(光パルス)を入射していないかをインターフェース回路部260とコンピュータ250(盗聴検出部の一例である)により検出する。
また、量子暗号送信装置200におけるファラディーミラー130で反射される前の入力部に光子発生器2により一定期間に発生した光パルスよりも多い光パルスを入射させることにより、例えば、位相変調器120の位相変調タイミングが物理的な制約からパルス幅よりも大きいような現実的な場合、位相変調作動の時間内に別のパルスが位相変調器120を通過してしまえば、通信者の光子に載せている秘密の情報(ここでは例えば位相変調量)を読み出すシステム攻撃法(盗聴)が可能である。これにより、上記のような悪意の第三者(盗聴者)によって光パルスを入射されて、通信者(例えば送信者Alice、受信者Bob)が全く気づかない状態のままで、位相変調量を取り出されてしまう可能性がある。
図3は、光パルスの状態を示す図である。
図3において、301aは、短光路を通って量子暗号受信装置100から出力された光パルス、301bは、長光路を通って量子暗号受信装置100から出力された光パルスである。すなわち、光パルス301a,301bは、量子暗号受信装置100から出力された決まったパルスタイプ(例えば、2連パルス)である。また、図3において、302a,302bは、盗聴者により入射された光パルスである。
光パルス301a又は301bは、量子暗号送信装置200において、通信者により秘密の情報が載せられて量子暗号送信装置200を出力する。また、光パルス302a,302bは、量子暗号送信装置200において、位相変調器120の位相変調を行うタイミング幅が物理的な制約からパルス幅よりも大きくなってしまう場合で、盗聴者が意図的に入射させた光パルス302a,302bがこの位相変調のタイミング幅の中に入っていれば、通信者により秘密の情報が載せられて量子暗号送信装置200を出力する。盗聴者は、光パルス302a,302bから秘密の情報を読み出す。秘密の情報が読み出された残りの光子(光パルス301a,301b)は、量子暗号受信装置100が受信すべき光子となる。
そこで、量子暗号送信装置200における伝送路を通過する光信号をモニタ500によりモニタし、モニタ500によるモニタ情報に基づいて量子暗号送信装置200における伝送路に、量子暗号受信装置100から出力された決まったパルスタイプ(例えば、所定の時間間隔の2連パルス)で来ているか、また、一定期間に発生した光パルスよりも多い数の光パルスを入射していないかをインターフェース回路部260とコンピュータ250(盗聴検出部の一例である)により検出する。
これにより、通信者以外(盗聴者)からの情報の取り出しを防ぐことができる。例えば、入射パルス幅(例えば、50psec)に対して、位相変調の電圧印加幅が物理的制約で大きいような現実的場合(例えば、数〜数百nsec)や、電圧印加幅とパルス幅が同じ理想的な場合でも、ともに、通信者以外(盗聴者)からの情報の取り出しを防ぐことができる。
【0020】
ここで、図1において、モニタ500は、アッテネータ110と位相変調器120との間に設置されているが、盗聴者が光(光パルス)を入射し、光(光パルス)を取り出すまでの経路(光路)上であれば、どこに設置されてもよい。例えば、量子暗号送信装置200内の光路上、又は量子暗号通信路1上であってもよい。
【0021】
実施の形態2.
図4は、実施の形態2を示す構成図である。
図4において、600は、狭帯域フィルタ(光フィルタ部の一例である)である。本実施の形態では、1対の量子暗号受信装置100と量子暗号送信装置200との間で、例えば、インターフェース回路部160,260間で同期をとっているため、図6に示したカプラ20と光子検出器21とを省略している。その他の構成は図6と同様である。
【0022】
また、動作は、実施の形態1と同様である。
ここで、本来、所定の周波数の光信号、または、所定の周波数の光信号と所定の周波数とはかけ離れた周波数の光信号を用いて光信号伝送を行なっている場合には、アッテネータ110により光子の数を減衰させることにより、量子暗号受信装置100に光子が届く前に、他者(盗聴者)が光子を取り出すことにより位相変調量を取り出す(盗聴する)と量子暗号受信装置100が受信すべき光子が存在しなくなり、盗聴者が存在することが判明してしまうことになる。また、所定の周波数とはかけ離れた周波数の光信号には、必要な情報が乗っていないため、他者(盗聴者)が光子を取り出すことにより位相変調量を取り出しても(盗聴しても)意味がない。
しかしながら、量子暗号送信装置200におけるファラディーミラー130で反射される前の入力部に所定の周波数とはかけ離れたとはいえない周波数の異なる光(光パルス)を入射させることにより、通信者の光子に載せている秘密の情報(ここでは例えば位相変調量)を読み出すシステム攻撃法(盗聴)が可能である。これにより、上記のような悪意の第三者(盗聴者)によって周波数の異なる光パルスを入射されて、通信者(例えば送信者Alice、受信者Bob)が全く気づかない状態のままで、位相変調量を取り出されてしまう可能性がある。
そこで、量子暗号送信装置200の入力部に、広いブロック周波数を持つ狭帯域フィルタ600を設置し、所定の周波数域以外の周波数を有する光信号の通過を遮断する。
これにより、通信者以外(盗聴者)からの情報の取り出しを防ぐことができる。
【0023】
また、本実施の形態2は、実施の形態1と共に実施してもよい。モニタ500によりモニタできないような周波数の光を用いられた場合、または、インターフェース回路部260とコンピュータ250により検出する検出できないような周波数の光を用いられた場合にも、上記と同様に、通信者以外(盗聴者)からの情報の取り出しを防ぐことができる。
【0024】
実施の形態3.
図5は、実施の形態3を示す構成図である。
図5において、700は、光量チェック部(光源光チェック部の一例である)である。本実施の形態では、1対の量子暗号受信装置100と量子暗号送信装置200との間で、例えば、インターフェース回路部160,260間で同期をとっているため、図6に示したカプラ20と光子検出器21とを省略している。その他の構成は図6と同様である。
【0025】
また、動作は、実施の形態1と同様である。
ここで、本来、送信者(Alice)である量子暗号送信装置200側から情報がのった光パルスが量子暗号通信路1を通って受信者(Bob)である量子暗号受信装置100側へ送信されるとき、アッテネータ110により光子の数を減衰させることにより、量子暗号受信装置100に光子が届く前に、他者(盗聴者)が光子を取り出すことにより位相変調量を取り出す(盗聴する)と量子暗号受信装置100が受信すべき光子が存在しなくなり、盗聴者が存在することが判明してしまうことになる。
しかしながら、量子暗号受信装置100における光子発生器2により発生する光信号である光子の量が光子発生器2の不完全さ(ゆらぎ)から所定の強度より多く発生してしまうことがあると、アッテネータ110により光子の数を減衰しきれず、通信者が複数の光子に秘密の情報(ここでは例えば位相変調量)をのせてしまい、これらの情報を読み出される(盗聴される)場合が考えられる。
これにより、悪意の第三者(盗聴者)によって、通信者(例えば送信者Alice、受信者Bob)が全く気づかない状態のままで、位相変調量を取り出されてしまう可能性がある。
そこで、量子暗号受信装置100における光子発生器2の出力側に、光量チェック部700を設置し、所定の光子数以外の光子が発生されていないか監視する。
例えば、レーザー(光子発生器2)を有する通信者(例えばBob)の側で、レーザーから光子を発した直後で出力を定期的にモニタし、光子をシステム的に多めに出さないようにチェックする。
これにより、通信者以外(盗聴者)からの情報の取り出しを防ぐことができる。
また、システムとして、情報が付加されて通信路(伝送路)を伝送される場合の光強度を十分小さく(パルス当り光子1個、または、0.1個レベル)設定するが、レーザーの不安定性さから、光強度が大きくなってしまい安全性が保証できない状況にあるといった状況を解消することができる。
【0026】
また、本実施の形態3は、実施の形態1と共に実施してもよい。これにより、光の強度をモニタするにおいて、強度の大きい光信号をモニタした場合に、光子発生器2により発生された光信号ではなく、通信路(伝送路)途中での光信号の入射(侵入)などかどうかを区別、判断することができる。
【0027】
また、本実施の形態3は、実施の形態1と実施の形態2と共に実施してもよい。これにより、より、確実に通信者以外(盗聴者)からの情報の取り出しを防ぐことができる。
【0028】
以上のように、量子暗号における量子暗号方式及び装置は、外部から入射してくる光パルスをモニタする処理手段を備えたことを特徴とする。
【0029】
また、量子暗号における量子暗号方式及び装置は、外部から入射してくる光パルスの入力部に決まった波長帯の光のみを通すような波長フィルタ処理手段を備えたことを特徴とする。
【0030】
また、量子暗号における量子暗号方式及び装置は、光発振部で発振した光の強度を定期的にモニタして多く発振してしまうことを防ぐ処理手段を備えたことを特徴とする。
【0031】
また、量子暗号における量子暗号方式及び装置は、上記外部から入射してくる光パルスをモニタする処理手段と決まった波長帯の光のみを通すような波長フィルタ処理手段とを同時に有することを特徴とする。
【0032】
また、量子暗号における量子暗号方式及び装置は、上記外部から入射してくる光パルスをモニタする処理手段と光発振部で発振した光の強度を定期的にモニタして多く発振してしまうことを防ぐ処理手段とを同時に有することを特徴とする。
【0033】
また、量子暗号における量子暗号方式及び装置は、上記外部から入射してくる光パルスをモニタする処理手段と決まった波長帯の光のみを通すような波長フィルタ処理手段と光発振部で発振した光の強度を定期的にモニタして多く発振してしまうことを防ぐ処理手段とを同時に有することを特徴とする。
【0034】
また、量子暗号における量子暗号方式及び装置は、上記決まった波長帯の光のみを通すような波長フィルタ処理手段と光発振部で発振した光の強度を定期的にモニタして多く発振してしまうことを防ぐ処理手段とを同時に有することを特徴とする。
【0035】
以上のように、鏡などを使ったパッシブな通信者が存在する量子暗号においては、パッシブな通信者の内部に入射光モニタ部、波長フィルタ部を追加し、また、光発生装置を所有する通信者の内部に光発生装置後の光量モニタ部を追加することで、悪意の第三者(盗聴者)によって強い光パルスを入射されて、通信者(例えば送信者Alice、受信者Bob)が気づかないままで、位相変調量を取り出せないようにすることができる。この結果、実システムの安全性が保証できるという効果がある。
【0036】
また、上記実施の形態1,2,3は、量子暗号システムに限られるわけではなく、情報を伝送する光信号伝送システムにおいて、悪意の第三者(盗聴者)による盗聴の防止、すなわち確実に安全性を保障することができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明により、量子暗号システムにおいて、悪意の第三者(盗聴者)による位相変調量の不正読み取り(盗聴)の防止、すなわち確実に安全性を保障することができるという効果がある。
また、この発明は、情報を伝送する光信号伝送システムにおいて、悪意の第三者(盗聴者)による盗聴の防止、すなわち確実に安全性を保障することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1を示す構成図である。
【図2】 光パルスの状態を示す図である。
【図3】 光パルスの状態を示す図である。
【図4】 実施の形態2を示す構成図である。
【図5】 実施の形態3を示す構成図である。
【図6】 従来技術を示した図である。
【符号の説明】
1 量子暗号通信路、2 光子発生器、3,4,21 光子検出器、5,20カプラ、6 サーキュレータ、7,120 位相変調器、8 光ファイバ、90 偏光ビームスプリッタ、100 量子暗号受信装置、110 アッテネータ、130 ファラディーミラー、140 偏光コントローラ、200 量子暗号送信装置、201a,201b,202a,202b,301a,301b,302a,302b 光パルス、500 モニタ、600 狭帯域フィルタ、700 光量チェック部、160,260 インターフェース回路部、150,250 コンピュータ。

Claims (5)

  1. 量子暗号受信装置から出力されて伝送路を通過する光パルスの位相を位相変調する量子暗号送信装置において、
    上記量子暗号受信装置から出力される光パルスは、所定のパルスタイプの光パルスであり、
    上記量子暗号送信装置は、
    上記伝送路を通過する光パルスのパルスタイプをモニタする光モニタ部と、
    上記光モニタ部によりモニタされた上記光パルスのパルスタイプが、上記量子暗号受信装置から出力される所定のパルスタイプと一致するか否かを検出する検出部
    を備えたことを特徴とする量子暗号送信装置。
  2. 量子暗号受信装置から出力されて伝送路を通過する光パルスの位相を位相変調する量子暗号送信装置において、
    上記量子暗号受信装置から出力される光パルスは、一定期間内において所定のパルス数の光パルスであり、
    上記量子暗号送信装置は、
    上記伝送路を通過する光パルスの一定期間内のパルス数をモニタする光モニタ部と
    記光モニタ部によりモニタされた一定期間内のパルス数が、上記量子暗号受信装置が一定期間内に出力する所定のパルス数よりも多いか否かを検出する検出部と
    を備えたことを特徴とす量子暗号送信装置。
  3. 量子暗号受信装置から出力されて伝送路を通過する光パルスの位相を位相変調する量子暗号送信装置において、
    上記量子暗号受信装置から出力される光パルスは、所定のパルスタイプの光パルスであり、
    上記量子暗号送信装置は、
    上記伝送路を通過する光パルスのパルスタイプをモニタする光モニタ部と、
    上記光モニタ部によりモニタされた上記光パルスのパルスタイプが、上記量子暗号受信装置から出力される所定のパルスタイプと一致するか否かを検出する検出部と、
    上記伝送路を通過する光パルスの内、あらかじめ決められた周波数域と適合する周波数を有する光パルスを通過させ、あらかじめ決められた周波数域と適合しない周波数を有する光パルスの通過を遮断する光フィルタ部と
    を有する量子暗号送信装を備えたことを特徴とする量子暗号送信装置
  4. 量子暗号受信装置から出力されて伝送路を通過する光パルスを位相変調する量子暗号送信装置の量子暗号送信方法において、
    上記量子暗号受信装置から出力される光パルスは、所定のパルスタイプの光パルスであり、
    上記量子暗号送信方法は、
    上記伝送路を通過する光パルスのパルスタイプをモニタする光モニタ工程と、
    上記光モニタ工程によりモニタされた上記光パルスのパルスタイプが、上記量子暗号受信装置から出力される所定のパルスタイプと一致するか否かを検出する検出工程
    を備えたことを特徴とする量子暗号送信方法。
  5. 量子暗号受信装置から出力されて伝送路を通過する光パルスを位相変調する量子暗号送信装置の量子暗号送信方法において、
    上記量子暗号受信装置から出力される光パルスは、所定のパルスタイプの光パルスであり、
    上記量子暗号送信方法は、
    上記伝送路を通過する光パルスのパルスタイプをモニタする光モニタ工程と、
    上記光モニタ工程によりモニタされた上記光パルスのパルスタイプが、上記量子暗号受信装置から出力される所定のパルスタイプと一致するか否かを検出する検出工程と、
    上記伝送路を通過する光パルスの内、あらかじめ決められた周波数域と適合する周波数を有する光パルスを通過させ、あらかじめ決められた周波数と適合しない周波数を有する光パルスの通過を遮断する光フィルタ工程
    を備えたことを特徴とする量子暗号送信方法。
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