JP4019392B2 - レコードプレーヤ - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばディスクジョッキー(以下単にDJと略す)に用いるレコードプレーヤに関し、特にDJの演奏形態の一種であるオペレータの指操作によりレコード板を直接正回転および逆回転させて音を出力させるいわゆるスクラッチパフォーマンス操作に適合するレコードプレーヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
図1は、従来周知のレコードプレーヤを用いてスクッラチパフォーマンスの演奏操作状態を示す操作図である。従来よりレコードプレーヤ1は、記録されているレコード板の情報再生の手段として使用されて来た。しかし近年では、DJの演奏形態として、直接人為的にレコード板3に指先で正逆回転の操作を施すことによって、カートリッジ9を介して人工的な新たな音情報を創出するスクラッチパフォーマンスが行われている。この場合にはレコードプレーヤの音情報は、付属する他の各種音発生源からの音情報と混合され、新規な音源の世界を創造する手段として用いられる。すなわちレコードプレーヤ1があたかも単一の演奏楽器の如く使用される。
【0003】
図2(A)および(B)は、従来のHiFiオーディオ用のレコードプレーヤ1をこのようなスクラッチパフォーマンスとして使用する際の動作説明図である。同図(A)はターンテーブル2の上に載せたレコード板3の正回転操作時を、また同図(B)は逆回転操作時を示す。これらの図ではそれぞれ各カートリッジ9の針先10が受ける針圧の方向をベクトルで示している。またトーンアーム5はアーム軸6とカートリッジ9とで形成される。
【0004】
現在DJに幅広く利用されているレコードプレーヤ1は、元々HiFiオーディオ用のものとして開発されているため、同図(A)の正回転で使用した時に音質が最も良くなるように設計されている。そのため、トーンアーム5のアーム軸6を、枢支部8に設けた垂直な回転軸芯(支点)Pで水平方向に回動可能に保持すると共に、アーム軸6をS字型に湾曲させている。すなわち、このアーム軸6の軸線方向6′とカートリッジ9の軸方向9′との間にオフセット角度α(一般的には21.4°)を設けてカートリッジ9を内側方向に曲げ、トラッキンクエラー(追尾誤差)の補償を行う。またアーム軸6を支点P側に延長し、ここに針圧調整器7を設けて最適な針圧となる状態で再生するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしDJのスクラッチパフォーマンスの場合は、同図(A)および(B)のようにレコードの回転数も回転方向も任意に変化する。その際にカートリッジ9の針先10が受ける力は、正回転時には同図(A)に示すように接線方向の力Fとなり、逆回転時には同図(B)に示すように接線方向の力F′となる。各力F、F′の大きさは、それぞれ支点Pと針先10とを結ぶ直線であるX軸方向の分力F、F′と、これに垂直なY軸方向の分力F、F′に分けることができる。
【0006】
正回転時には図2(A)に示すように、針先10にはレコード板3の内径方向の針圧F1が追尾中に常時印加される。また逆回転時には全く逆方向である外径側方向の針圧F′が印加される。従ってスクラッチパフォーマンス時にレコード板3が正・逆転されると、内径側および外径側方向の力FおよびF′が繰り返し針先10に加わる。この力F、F′が大きくなって或る摩擦力を越えてレコード溝から飛び出す程度になると、溝から針先10が飛び出しいわゆる「針飛び現象」が発生する。この時には出力音声に乱れが発生し、聴衆に不快感を与える事になる。
【0007】
このためDJによる演奏希望者が近年増大する一方であるにも拘わらず、この針飛びを防ぎながら、レコード板3を高速度で正回転と逆回転との間で変化させるには相当の熟練を要する演奏技術となる。従って多くの演奏希望者があるにもかかわらず演奏者数が増えないという問題があった。当然このことは、レコードプレーヤ1と共に用いられる音声付属機器類の普及を制限する原因ともなっていた。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、スクラッチパフォーマンス操作によってレコード板を正回転および逆回転に回転方向を急に変化させた際に、カートリッジの針先が受ける内側および外側方向の分力を可能な限り抑制することにより、針飛び現象を阻止し、しかも熟練者に限定されることなく未熟な演奏者にも充分使いこなすことのできるレコードプレーヤを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によればこの課題は、ターンテーブルに載せられかつレコード溝の有効幅の中心部分までの半径R が予め決まっているレコード板をオペレータの指操作により直接正回転および逆回転させて音を出力させるスクラッチパフォーマンス操作に適合するディスクジョッキー用のレコードプレーヤにおいて、
回転軸芯Cを中心にして回転駆動されるターンテーブルと、
ターンテーブルの外側に位置する回転軸芯Pを中心にして水平方向に回動可能に支持され、平面視でこの回転軸芯Pとレコード板のレコード溝に追従する針とを結ぶ直線上に位置するアーム軸と、
アーム軸の回動端に保持され、レコード板のレコード溝に追従する針によって音信号を検出するカートリッジと、
アーム軸の回転中心Pよりも反カートリッジ側に延長された延長部に取付けられ上下方向の回転軸芯Pvより下方に位置する針圧調整用の重りと、
とを備え、
アーム軸の回転軸芯Pを、針がレコード溝の有効幅aの中間付近に位置する時にターンテーブルの回転軸芯Cと針とを通る直線Bに直交しかつ針を通る直線上に位置させると共に、アーム軸の上下方向の回動を可能にする回転軸芯Pvをレコード板の上面より上方に位置させかつアーム軸の回転軸芯Pよりもカートリッジ側に偏位させたことを特徴とするレコードプレーヤ、により達成される。
【0010】
本発明は、レコード板を指操作によって正逆回転させた時の針飛びを抑制するため、カートリッジの針先が受ける内側方向および外側方向の分力を可能な限り抑制する様にターンテーブル上のレコード溝とアーム軸の支点Pの位置関係を規定したものである。従って原理的には、最も良好な実施形態は、ターンテーブルの回転軸芯Cから針を通って放射方向にのびる直線B上におけるレコード溝の始点Rおよび終点Sと、トーンアームの回転中心(回転軸芯)即ち支点Pとの三者がP点を頂点とする二等辺三角形にすれば良い。また直線B上のレコード溝の中間点Qと支点Pとを結ぶ直線PQが、中間点Qを通り直線Bに直交する直線上またはこの直線に近い平行線上に位置すれば、支点Pはターンテーブルに隣接してもまた離隔して配置しても良い。
【0011】
レコード板とターンテーブルとの間に滑りシートを介在させ、ターンテーブルを正方向に一定回転速度で回転させつつレコード板だけ指先で逆転させることができる。この時にはレコード板を滑りシート上で滑らせたりレコード板と滑りシートをターンテーブル上で滑らせることになる。なおレコード板とターンテーブルとを共に指先で逆転させるものであってもよい。
【0012】
アーム軸の回転軸芯Pは、ターンテーブルの回転軸芯Cと針とを通る直線Bに直交しかつレコード溝の有効幅aの中間点Qと針とを通る直線上に位置させることができる。またこの直線Bに直交しかつ有効幅aをこの中間点Qと共に半径方向に略四等分する点a、aの間を通る直線上に位置させれば、十分な効果が得られる。
【0013】
アーム軸の回転軸芯Pは次のように決めてもよい。すなわちターンテーブルの回転軸芯Cから有効幅aの中間点Qまでの距離Rを半径とする第1仮想円Wと、ターンテーブルおよびアーム軸の各回転軸芯C、P間の距離Dを直径とする第2仮想円Dとの交差点Qを通り、かつこの交差点Qとターンテーブルの回転軸芯Cを通る直線Bに直交する直線上にこの回転軸芯Pを決めるものである。
【0014】
最も好ましいのは直線B上のレコード溝の始点Rおよび終点Sと、回転軸芯Pとがこの回転軸芯Pを頂点とする二等辺三角形となるようにするものである。この回転軸芯Pは交差点Qからできるだけ離すのがよい。すなわちアーム軸を十分に長くする。このようにすればレコード溝の始点Rおよび終点Sにおけるトラッキングエラーを小さくすることができる。
【0015】
この発明では、アーム軸は回転軸芯P側に延長し、この延長部に針圧調整装置を配設したので、針圧調整するのに都合がよい。またアーム軸の上下方向の回転を可能にする水平な回転軸芯Pvは、レコード板の上面より高い位置に設定したので、後記するようにレコード板の逆回転時における針圧を正回転時よりも増大させることができ、逆転時の針飛びを防ぐ効果が大きくなる。なおこの逆転時の針圧は針先からこの回転軸芯Pvまでの距離が小さいほど、換言すればアーム軸の長さが短いほど増加する。一方前記した水平方向の回転を可能にする回転軸芯Pはターンテーブルからできるだけ遠くするのが望ましい。従ってこの発明ではこれらの要求を満たすために、上下方向の回動を可能にする水平な回転軸芯Pvを水平方向の回動を可能にする垂直な回転軸芯Pよりもカートリッジ側に偏位させたものである
【0016】
またこの発明では針圧調整装置、重心が上下方向の回転軸芯Pvよりも下方に位置する重りとした。このために回転軸芯Pvの両側に位置する針先と重り(の重心)がこの回転軸芯Pvより共に下方に位置することになるから天秤状(やじろべえ状)にバランスがとれることになる。従って針先に加わるサイドフォースが重りを左右方向(アーム軸に直交する方向)に振動させるように作用するが、重りの重量によりこの振動を抑制することができる。この結果正・逆転の変化時に針先に発生するサイドフォースを抑制し、針飛びを防ぐ効果が一層大きくなる。
【0017】
【実施態様】
図3は、本発明のレコードプレーヤ1のターンテーブル2およびトーンアーム5の配置と動作状況を示す説明図である。図3Aは、トーンアーム5の針10がレコード溝3′の始点Rにある状態を、図3Bはトーンアーム5の針10がレコード溝の実質的な中間点Qにある状態を、さらに図3Cはトーンアーム5の針10がレコード溝の終点Sにある状態を示す。これらの図にはターンテーブル2が正回転(実線の矢印で示す)時に針先10に作用する力を実線で、また逆回転(点線の矢印で示す)時に針先10に作用する力を破線でそれぞれベクトル表示する。
【0018】
本実施態様のレコードプレーヤ1においては、ターンテーブル2、トーンアーム5、針圧調節器7、カートリッジ9、針先10等の各機能はHiFiオーディオ用のプレーヤのもつ各機能とほぼ同じであるが、構造において特徴的な相違点が存在する。
【0019】
HiFiオーディオ用のものに比較して、本発明のレコードプレーヤ1が持つ第一の相違点は、図2および図3から明白なとおり、トーンアーム5の構造と、トーンアーム5およびターンテーブル2の相対位置関係にある。第二の相違点は、ターンテーブル2とレコード板3との間に、摩擦係数の小さな滑りシート又は滑りマット2′が配置される事である。従来は両者間にスリップを生じさせない摩擦係数の大きいゴム材による固定マットが敷かれたのに対し、DJ用のレコードプレーヤ1では積極的に指操作によりレコード板3を正逆回転させるためである。
【0020】
本発明は、前者のトーンアーム5の構造とターンテーブル1との相対位置関係を規定するものである。即ち図3の各図に示すトーンアーム5は、枢支部8に設けた支点(回転軸芯)Pを中心にしてアーム軸6が水平方向に回転可能に枢支されている。このアーム軸6はレコード溝3′上にまで延伸しその一端(回動端)にはカートリッジ9が固定されている。またこのアーム軸6の他端側は支点Pより延出し、この延出部分にはカートリジ9の針先10の針圧を調整するための重りからなる針圧調整器7が設けられている。
【0021】
ここにアーム軸6は従来のようにS字型に曲げられることがなく直線状である。しかも図2の場合と相違して、平面視でアーム軸6の軸線方向6′とカートリッジ9のもつ軸方向9′との間のオフセット角αが零となっている。従ってカートリッジ9の軸方向9′はアーム軸6の軸線方向6′と一致して、平面視でトーンアーム5は一直線状のストレート型の構造となっている。またこのアーム軸6はパイプ状で十分に剛性が大きい。例えばアルミニュームパイプと真ちゅうパイプの2重構造とすることにより、不用な振動の伝達を抑制し、耐ハウリング性能を向上させることができる。
【0022】
レコード板3の正回転時には、図3(A)に示すように針先10にはレコード溝3′の始点Rの位置で力(摩擦力)fがR点での接線方向に加わる。この接線方向は、アーム軸6の軸線方向すなわちX軸方向との間に角度差θを持つ。この力 により、X軸方向の分力fR2と、これに垂直な方向すなわちY軸方向の内側分力fR1とが発生する。図3(B)に示すように、針先10がレコード溝3′の有効幅の実質的な中間点Qに位置する時には、力fが発生する。アーム軸6の支点Pは溝3′の接線方向の直線上に配置されているため、アーム軸6に垂直なY軸方向の分力は零となっている。更に図3(C)に示すように針先10が溝3′の終点Sに位置する時には、力fは接線方向に加わる。アーム軸6のX軸方向との間に負の角度差θを生じ、X軸方向の分力fS2とこれに垂直なY軸方向の外側分力fS1が発生する。
【0023】
またレコード板3が逆回転する時は、図3(A)、3(B)、3(C)の各図に示す通り、カートリッジ9の針先10に加わる力の方向および大きさとその各分力は、上述した正回転時の場合と全く逆になり、各図に破線で示すベクトルとなる。この各図から明白な通り、アーム軸6に対して垂直なY軸方向の分力は、正回転時では実線で示すfR1およびfS1となり、逆回転時では破線で示すf′R1およびf′S1となり、これらは互いに逆の方向に現れる。しかし、これ等の各分力の大きさは、従来のHiFiオーディオ用のトーンアーム(図2参照)を用いる場合に比較すると、その大きさはいずれも半減ないしそれ以下になる。
【0024】
即ち本発明のレコードプレーヤ1では、レコード溝3′の接線方向とアーム軸6の軸線方向との角度差を従来のθに比べて著しく小さいθないしθに抑制することが可能となる。特にレコード溝3′の実質的な有効幅の中心位置Qの周囲では、この角度差が略零となる。このため正回転時と逆回転時にトーンアーム5自体に作用する内側および外側方向の分力が大きくなるのをほぼ完全に防止することができる。すなわち各ベクトル力fR1、f′R1、f′S1、f′S1はいずれも十分に小さくなる。このため各ベクトル力は、図2に示す従来のトーンアーム5のアーム軸6が受ける内外方向のベクトルF、F′のように大きな量になることはない。このため針飛び現象をきわめて有効に阻止できることが可能になる。
【0025】
図4は、トーンアーム5とターンテーブル2との位置関係を更に詳略に説明するための拡大図である。本発明では、ターンテーブル2の回転軸芯Cと針10を通る放射方向のレコード中心線B上に、レコード溝3′の始点R、中間点Q、終点Sを定める。またこの中間点Qに針10を置いた状態で、この中間点Qにおいてレコード溝3′の接線方向とアーム軸6の軸線方向とが平面視で互いに一致するようにトーンアーム5の針10を位置決めしている。従って、レコード中心線Bとこのアーム軸6の軸線方向とが中間点Qにおいて直交する。このことは中間点Qすなわち針10は、ターンテーブル2およびトーンアーム5の各回転軸芯CおよびP間の距離Dを直径とする仮想円(第2仮想円)Dの周上にあることを意味する。
【0026】
即ち図4に示すように、ターンテーブル2に載せたレコード板3はそのレコード溝3′の有効幅L が予め決まっていて、中間点Qは、レコード溝3′の有効幅Lの距離aの半分(L=L=L/2)の中間点を意味するので、ターンテーブル2の回転軸芯Cからこの有効幅の中心部分までの半径Rは一義的に定まる量である。ターンテーブル2の回転軸芯Cからの距離Rを半径とする第1仮想円Wと、上述した各回転軸芯CおよびP間の距離Dを直径とする第2仮想円Dとの交差点Qは中間点Qとなる。従ってトーンアーム5の枢支部8の支点Pに結ぶ直線PQ上ないしその延長線上にトーンアーム5のアーム軸6が配置されれば、レコード溝3′の中心部近傍では、レコード溝3′の接線方向とアーム軸6の軸線方向との角度差を常に略零に抑えることが可能になる。この事は図3(B)に示すとおり、中間点Qおよびその周囲では、アーム軸6の先端部が受ける内外方向の分力もほぼ零になることを意味する。
【0027】
なおレコード溝3′の始点Rおよび終点Sでは、それぞれトーンアーム5のアーム軸6の先端は互いに逆方向の僅かな分力を受ける。この分力の大きさを更に小さくするには、図5に示す通り、トーンアーム5の仮想支点Pの位置を溝の中間点Qの位置から十分に離隔すればよい。すなわち支点Pの位置を、P<P<Pのように遠く配置すれば良い。
【0028】
本実施態様のレコードプレーヤ1では、ターンテーブル2に対するトーンアーム5の相対位置を選定する際に、レコード溝3′の中間点Qでの接線方向とトーンアーム5の軸線方向との角度差を零とした例を開示した。しかし本出願人は、レコード溝3′の中間点Qから内側および外側に偏心させて上述した直線PQを平行移動させた位置にトーンアーム5を配置した場合の針飛び現象の発生状況を調べた。
【0029】
その結果、図4に示す通り、回転軸芯Cと針先10とを通るレコード中心線Bレコード溝3′の有効幅a間を放射方向に略四等分して得たレコード中心線上の点a3からa4までの中央有効幅aの範囲の領域内で直交する直線上にアーム軸6の回転軸芯Pを位置させることにより、相当の割合で針飛びの現象を抑制できることの確認が得られた。即ち、点aを通る平行線P′Q′から点aを通る平行線P″Q″の領域で、トーンアーム5の枢支部8を移動させて支点Pの位置をレコード中心線Bに平行な平行線B′B′上で移動して実験を行った。その結果、この支点PがP′からP″までの領域内にあれば、ストレート型のアーム軸6を上述した直線PQと平行に設置することにより、スクラッチパフォーマンスの操作に対し相当有効に針飛びの現象を阻止できることが判明した。
【0030】
なお、トーンアーム5のアーム軸6の長さについては、望ましくは図5に示す通り直線PQ線上またはその延長線上にあれば十分に長くして支点Pを遠くしても良い。また針10の位置についても逆にQ側の延長線上に多少偏位させても良い。例えば、図3の実施態様では、図4の交差点Qと支点Pを結ぶ直線PQ上の交差点Q側の延長上にカートリッジ9の針先10を多少偏位させた例で開示している。従って、「特許請求の範囲」に記述される技術思想に基づき当業者が容易に創作し得る範囲において任意に変更しても本権利範囲に包含されるものである。
【0031】
図6は実施態様をさらに詳細に説明する図、図7は対比例を説明する図である。前記図3〜5ではアーム軸6の水平方向の回動を可能にする垂直な回転軸芯Pの位置について説明した。しかし実際のトーンアーム5は上下方向にも回動する。この実施態様では、この上下方向の回動を可能にする水平な回転軸芯Pvの位置を適切に設定することにより、前記図3〜5に示した装置の効果を一層大きくすることを可能にする。そのためにまず回転軸芯Pvの高さを針先10よりも高く設定したものである。
【0032】
図6で針先10に加わる荷重すなわちレコード板3の静止時にレコード板3に加わる荷重をmgとする。アーム軸6の枢支部8にはアーム軸6の水平方向の回動を可能にする回転軸芯Pと、上下方向の回動を可能にする回転軸芯Pvとが設けられている。
【0033】
この実施態様では回転軸芯PvはPよりもカートリッジ9側に偏位している。また回転軸芯Pvは針先10の高さ、換言すればレコード板3の上面の高さよりもlだけ上方に偏位している。
【0034】
この場合にレコード板3が正・逆転すれば、針先10に水平方向に正の摩擦力F、負の摩擦力Fが作用する。これらは同じ大きさで向きが逆である。これらの力F、Fの方向は回転軸芯Pvに対してlだけ偏位しているから、アーム軸6に回転軸芯Pvを中心とする回転力すなわちトルクT、Tを発生させる。ここにT=F・l、T=F・lである。
【0035】
このトルクT、Tは針先10に上下方向の力F・l/L、F・l/Lを加える。ここにLは針先10から回転軸芯Pvまでの距離である。このため針先10には正回転時にf=mg−F・l/Lの力が下向きに加わる。同様に逆転時には針先10にはf=mg+F・l/Lの力が下向きに加わる。
【0036】
通常は正転時に針圧fが適正値となるように針圧調節器(重り)が設定されるから、逆転時の針圧fは正転時の針圧fよりも(F+F)l/L大きくなる。このため逆転時の針飛びが防止されることになり、正転時には設定された適正な針圧fとなる。また回転軸芯Pvを針先10と同じ高さに設定すれば、トルクT、Tが共にゼロとなるから、f=mg、f=mgとなり、正逆転時の針圧を同じにすることができ、一層好ましい。
【0037】
ここでこの実施態様の効果を図7に示す対比例と比較する。この図7に示すものでは、アーム軸6の上下方向の回動を可能にするための回転軸芯Pvを針先10よりもlだけ下方に位置させた。この場合には正逆転時のトルクT、Tの向きが図6に示したものに対して逆向きになる。従って針圧は正転時にf=mg+F・l/L、逆転時にf=mg−F・l/Lとなる。正転時の針圧を適正値に設定した場合には逆転時の針圧は−(F+F)l/Lだけ減少することになる。このため逆転時の針圧が減少し、針飛びが発生し易くなることが解る。
【0038】
図8は実施態様をさらに詳細に説明する図である。図8の(A)は側面図、(B)はその模式図、(C)はアーム軸6をカートリッジ側から見た正面図である。この実施態様はアーム軸6の回転軸芯Pv側の延長部に重り7Aを設けたものである。ここに回転軸芯Pvは前記図6で示した実施態様と同様に針先10よりも11だけ高い位置に配設する。また重り7Aはこの回転軸芯Pvよりも下方に偏位している。この実施態様では重り7Aを針先10と同一高さに設定している。
【0039】
このような配置により、図8(B)に示すような天秤状(やじろべえ状)にバランスさせることが可能になる。すなわち針先10に加わる針圧fと重り7Aは共に回転軸芯Pvより低いからである。この場合に針先10にインサイドフォースfやアウトサイドフォースfが図8(C)に示すように作用すれば、これらの力f、fはアーム軸6を捩る方向に加わることになる。しかし重り7Aがあるためにこのようなアーム軸6の捩り方向の振動が抑制される。このため図3で説明した内側分力や外側分力による捩れが抑制され、針飛びが防止され得る。すなわち前記図3〜5に示した実施態様や図6に示した実施態様にこの図8に示す実施態様を組合せることにより、針飛びを一層確実に防ぐことが可能になる。
【0040】
【発明の効果】
本発明では、レコードプレーヤを用いてDJの演奏形態のスクラッチパフーマンスによりレコード板を正回転あるいは逆回転に回転方向を頻繁に激しく変化させても、レコードプレーヤ自体が予め針飛びの現象を抑制する構造に配慮されているので、従来のように熟練度を要しない初心者でも満足のいくDJ演奏を達成できる。このためDJの演奏人口の拡大を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来のHiFiオーディオ用レコードプレーヤを用いたDJ演奏の実施状態を示す動作説明図
【図2】従来のレコードプレーヤの動作説明図
【図3】本発明の実施態様のレコードプレーヤを示す構成説明図
【図4】この実施態様におけるターンテーブルとトーンアームとの配置説明図
【図5】本発明の他の実施態様を示す概念構成図
【図6】実施態様を説明する図
【図7】比較例を示す図
【図8】実施態様を説明する図
【符号の説明】
1 レコードプレーヤ
2 ターンテーブル
3 レコード板
4 回転軸芯
5 トーンアーム
6 アーム軸
7 針圧調節器
7A 重り
8 枢支部
9 カートリッジ
10 針または針先
C ターンテーブルの回転軸芯
P 支点(アーム軸の水平方向の回動を可能にする回転軸芯)
Pv アーム軸の上下方向の回動を可能にする回転軸芯

Claims (7)

  1. ターンテーブルに載せられかつレコード溝の有効幅の中心部分までの半径R が予め決まっているレコード板をオペレータの指操作により直接正回転および逆回転させて音を出力させるスクラッチパフォーマンス操作に適合するディスクジョッキー用のレコードプレーヤにおいて、
    回転軸芯Cを中心にして回転駆動されるターンテーブルと、
    ターンテーブルの外側に位置する回転軸芯Pを中心にして水平方向に回動可能に支持され、平面視でこの回転軸芯Pとレコード板のレコード溝に追従する針とを結ぶ直線上に位置するアーム軸と、
    アーム軸の回動端に保持され、レコード板のレコード溝に追従する針によって音信号を検出するカートリッジと、
    アーム軸の回転中心Pよりも反カートリッジ側に延長された延長部に取付けられ上下方向の回転軸芯Pvより下方に位置する針圧調整用の重りと、
    とを備え、
    アーム軸の回転軸芯Pを、針がレコード溝の有効幅aの中間付近に位置する時にターンテーブルの回転軸芯Cと針とを通る直線Bに直交しかつ針を通る直線上に位置させると共に、アーム軸の上下方向の回動を可能にする回転軸芯Pvをレコード板の上面より上方に位置させかつアーム軸の回転軸芯Pよりもカートリッジ側に偏位させたことを特徴とするレコードプレーヤ。
  2. 請求項1において、レコード板とターンテーブルの間に介在され、少なくとも一方の面の摩擦係数が小さくレコード板の逆回転を容易にする滑りシートを有するレコードプレーヤ。
  3. 請求項1または2において、アーム軸の回転軸芯Pは、ターンテーブルの回転軸芯Cと針とを通る直線Bに直交しかつレコード溝の有効幅aの中間点Qを通る直線上に位置するレコードプレーヤ。
  4. 請求項1または2において、アーム軸の回転軸芯Pは、ターンテーブルの回転軸芯Cと針とを通る直線Bに直交しかつレコード溝の有効幅aを中間点Qと共に半径方向に略四等分する2つの点aおよびaの間を通る直線上に位置するレコードプレーヤ。
  5. アーム軸の回転軸芯Pは、ターンテーブルの回転軸芯Cからレコード溝の有効幅a間の略中間点Qまでの距離Rを半径とする第1仮想円Wと、ターンテーブルおよびアーム軸の各回転軸芯CおよびPの距離Dを直径とする第2仮想円Dとの交差点Qを通り、かつこの交差点Qとターンテーブルの回転軸芯Cとを通る直線Bに直交する直線上に位置する請求項1のレコードプレーヤ。
  6. ターンテーブルの回転軸芯Cと針とを通る直線B上のレコード溝の始点Rおよび終点Sと、アーム軸の回転軸芯Pとが回転軸芯Pを頂点とする二等辺三角形を形成する請求項1〜3,5のいずれかのレコードプレーヤ。
  7. 請求項1〜6のいずれかにおいて、アーム軸の回転軸芯Pの位置を針から充分離れた位置に配置してなるレコードプレーヤ。
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