JP4017404B2 - 比重分離装置 - Google Patents

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  • Separation Of Solids By Using Liquids Or Pneumatic Power (AREA)
  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は対象物の比重差を利用して対象物を分離する比重分離装置に関し、例えば廃棄物溶融スラグ等から銅等を分離する技術に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
都市ごみ焼却灰、シュレッダーダスト、産業廃棄物の埋立物等を原料とする廃棄物溶融スラグはアルミ、鉄、銅等の金属物質を含んでいる。この金属物は廃棄物溶融スラグの破砕物を土木建設用骨材や窯業原料として資源化する場合には不純物として存在するが、金属自体は有用なものであるので、金属を廃棄物溶融スラグから分離回収することができれば、廃棄物溶融スラグのより有効な再資源化を図ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、廃棄物溶融スラグには銅やSUS等の磁力選別が困難なものが含まれており、これらの成分が廃棄物溶融スラグの破砕物を土木建設用骨材や窯業原料として資源化する際に、品質を低下させる要因となっている。
【0004】
ところで、比重差を利用して対象物を分離する技術としては特開2001−17883公報に開示するものがある。これは、重力に対抗する付勢力を持った流れの場を形成する上向流路内に粒体スラグを置き、粒体スラグの各粒子が流れの場における作用流水の水流から受ける付勢力と自身が受ける重力との差分で上昇、あるいは落下させるものであり、流れの場における液流の付勢力の影響が比重の小さいものほど大きく、比重の大ききものほど小さいので、比重の小さいスラグ粒子が上方に浮上し、比重の大きい金属粒子が下方に沈降することで両者を分離するものである。
【0005】
本発明は上記した技術を発展させたものであり、比重差を利用して対象物を分離することで、例えば廃棄物溶融スラグ等から銅等の有用金属を効率良く回収することができる比重分離装置を提供することを目的とする。
【0006】
上記した課題を解決するために、請求項1に係る本発明の比重分離装置は、水平に対して所定角度に傾斜した回転軸心回りに回転し、円錐部を有する筒体をなす回転胴と、回転胴の下端側に位置する円錐部の頂部に形成した小径開口に接続する排出部と、回転胴の上端側の大径開口から回転胴内に挿入し、先端開口が円錐部の頂部に対向する分離対象物投入部と、分離対象物投入部の先端開口と円錐部の小径開口との間に配置する水流調整手段とを備え、回転胴は胴内で沈降した分離物を回転軸心回りの回転に伴って小径開口側へ送り出す螺旋溝を内周面に有し、排出部は小径開口に接続される反対端に給水手段を接続し、該給水手段が分離作用水を供給するとともに、途中に分離物を排出する分離物排出手段を接続してなり、水流調整手段は分離対象物投入部の先端開口に向けて拡径して開口した通水性を有するケーシング内に所定比重、所定形状をなして分離作用水の水流を所定流速に調整する抵抗体を保持してなるものである。
【0007】
上記した構成において、分離対象物投入部において大まかな分離を行い、水流調整手段において分離対象物投入部から流下する分離対象物を一旦受け止めて後に分離作用水の水流を作用させて分離することで短い搬送距離で高い分離性能を得ることができる。
【0008】
請求項2に係る本発明の比重分離装置は、分離対象物投入部は、先端開口が円錐部の頂部に対向し、水平に対して所定角度に傾斜した回転胴の軸心に対して同心もしくは回転胴の軸心よりも大きな所定角度に傾斜する姿勢に配置し、内部の流路と直交する断面形状において下部から上部に向けて流路断面が増加するものである。
【0009】
上記した構成により、分離対象物投入部は、適度な傾斜角度を有することで流路内に所定の速度勾配を実現して分離機能を発揮でき、断面形状が下部から上部に向けて流路断面が増加することでさらに適切な速度勾配を実現して分離機能を高められる。
【0010】
請求項3に係る本発明の比重分離装置は、回転胴が、円板状をなして外周縁と回転胴の内周面との間に所定間隙を空けて配置する複数の堰板を軸心方向に沿って適当間隔で配置するものである。
【0011】
上記した構成により、回転胴の回転による比重の大きなものの円滑な排出と堰板の存在による分離性能の向上を図ることができる。
請求項4に係る本発明の比重分離装置は、希釈水を供給する希釈水供給手段を回転胴内に挿入したものである。
【0012】
上記した構成により、希釈水を供給することで分離性能の向上を図ることができる。
請求項5に係る本発明の比重分離装置は、排出部が、内管と外管の二重管構造をなし、内管および外管のそれぞれに別途に分離作用水を供給する給水手段を接続し、外管に分離物を排出する分離物排出手段を接続してなるものである。
【0013】
上記した構成により、排出部が内管と外管の二重管構造をなすことで内管による安定した分離作用水の供給と外管における分離性能の向上を図ることができる。
【0014】
請求項6に係る本発明の比重分離装置は、分離物排出手段は分離物を貯留する貯留部を有し、貯留部の入口側に第1バルブを有し、排出口側に第2バルブを有し、貯留部に第3バルブを介して水補給手段を接続してなるものである。
【0015】
上記した構成により、通常時には第1バルブを開栓し、第2バルブおよび第3バルブを閉栓した状態において回転胴から排出部に流下する分離物が分離物排出手段の貯留部に滞留する。分離物の排出時には給水手段から排出部に供給する分離作用水の流量および流速を増して回転胴から排出部へ分離物が流入することを抑制する状態で第1バルブを閉栓し、第2バルブを開栓して貯留部に滞留する分離物を排出する。その後に第2バルブを閉栓し、第3バルブを開栓して水補給手段から貯留部に水を充満させる。そして第3バルブを閉栓し、第1バルブを開栓し、給水手段から排出部に供給する分離作用水の流量および流速を通常状態に戻す。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図9において、比重分離装置1は円錐部2を有する筒体をなす回転胴3を有しており、回転胴3は可動台4の上にローラ4aを介して回転軸心回りに回転自在に保持している。回転胴3は下端側に位置する円錐部2の頂部に小径開口5を有し、上端側に大径開口6を有しており、小径開口5に接続した排出部7を軸受8を介して可動台4で保持し、排出部7に設けたスプロケット9をチェーン10を介して回転駆動するモータ11を可動台4に設けている。可動台4は前側部を回転軸12を介して固定台13で揺動自在に軸支し、後側部をシリンダー装置14で昇降自在に保持しており、シリンダー装置14の駆動により傾動して回転胴3を水平に対して所定角度に傾斜する姿勢に保持している。
【0017】
回転胴3は、図2に示すように、内周面3aに一条もしくは多条の螺旋溝15を有しており、螺旋溝15は胴内で沈降した分離物を回転軸心回りの回転に伴って小径開口5へ向けて送り出すものである。回転胴3の内部には円板状をなす複数の堰板16を回転軸心方向に沿って適当間隔で平行に配置しており、図5に示すように、堰板16は外周縁16aと回転胴3の内周面3aとの間に分離物の通路をなす所定間隙を空けて配置し、外周縁16aの複数箇所において回転胴3の内周面3aに固定している。
【0018】
回転胴3の内部には希釈水を供給する手段をなす希釈水供給管17を挿入しており、希釈水供給管17に連通する噴出部18を堰板16で区画した回転胴3の各部ごとに配置している。また、大径開口6の付近には散水管19を挿入しており、回転胴3の大径開口6の下側外部には排出ホッパー3bを設けている。
【0019】
分離対象物投入部20は上端側の大径開口6から回転胴3の内部に挿入し、先端開口21が円錐部2の頂部に対向しており、回転胴3の軸心に対して同心もしくは回転胴3の軸心より大きな所定角度に傾斜する姿勢に配置する。分離対象物投入部20はシュート部22が、図7に示すように、内部の流路と直交する断面形状において下部から上部に向けて流路断面が増加する構造を有しており、シュート部22の上端側にホッパー部23を設けている。シュート部22の断面形状は本実施の形態に限るものではなく、真円、楕円等の種々の形状がある。
【0020】
分離対象物投入部20の先端開口21と円錐部2の小径開口5との間には水流調整手段として、分離対象物投入部20の先端開口21に向けて拡径して開口する網等の通水性を有するケーシング24を配置するとともに、ケーシング24の内部に所定比重、所定形状の複数の流動性を有する抵抗体25を保持してなり、抵抗体25としては球、多角形、格子状等の種々のものがある。
【0021】
排出部7は内管26と外管27の二重管構造をなし、内管26および外管27にはそれぞれ別途に分離作用水を供給する手段をなす給水管28、29をバルブ30、31を介して接続している。給水管28、29は回転胴3の内部へ所定流速、所定水量の分離作用水を供給する。外管27はロータリージョイント27aを介して回転胴3に接続し、途中に透明管27bを配置している。排出部7は二重管構造に限らず、単管構造とすることも可能である。外管27には分離物を排出する手段をなす分離物排出管32を第1バルブ33aを介して接続し、分離物排出管32の下端側に第2バルブ33bを設けている。分離物排出管32は第1バルブ33a、第2バルブ33bの間が貯留部32aをなし、貯留部32aに第3バルブ33cを介して水補給管34を接続している。
【0022】
以下、上記した構成における作用を説明する。運転時には、モータ11による駆動によってチェーン10およびスプロケット9を介して回転胴3を回転軸心回りに回転駆動する。バルブ30、31を適当開度に開栓して給水管28、29から分離作用水を供給する。給水管28の分離作用水は内管26を通して直接に回転胴3の内部へ流入、給水管29の分離作用水は後述する分離物に対抗しながら外管27を通して回転胴3の内部へ流入し、円錐部2の小径開口5で合わさってケーシング24に向けて噴出する。
【0023】
分離対象物は例えば前処理等によって所定粒径以下に破砕された溶融スラグ等であり、比重および粒径の異なるスラグ粒子、銅、鉄等の金属粒子が混在している。この分離対象物を搬送水とともに分離対象物投入部20のホッパー部23からシュート部22に供給する。
【0024】
図7に示すように、シュート部22では搬送水の流速はシュート部22の内面に近い程に摩擦抵抗で遅くなり、内面から遠い流路の中心側および流路断面積の大きい上部側程に速くなる速度勾配が存在するので、比重の小さいものほど水流の付勢力の影響を大きく受けて上方を流れ、比重の大きいものほど水流の付勢力の影響が小さくて下方に沈降して流れ、シュート部22において分離対象物が上下に大まかに分離される。
【0025】
図8に示すように、シュート部22から円錐部2のケーシング24に流入した分離対象物は抵抗体25およびケーシング24に受け止められてシュート部22の軸心方向に沿った速度がなくなり、分離作用水の水流の付勢力を受けて全体が上方へ持ち上げられる。このとき、バルブ30、31の制御および抵抗体25の存在によって所定流速に調整された分離作用水の水流により、比重の小さいものが上方へ持ち上げられ、比重の大きいものが沈降して分離される。分離された比重の大きいものはケーシング24の網目を通って回転胴3の内周面に沈降し、回転胴3の回転に伴って螺旋溝15が回転軸心周りに旋回することで小径開口5へ向けて搬送され、小径開口5から排出部7の外管27へ流入する。
【0026】
分離作用水は円錐部2の小径開口5から大径開口6に向けて流れ、回転胴3の内周面に近い程に摩擦抵抗で遅くなり、内周面から遠い上部側程に速くなる速度勾配が存在する。このため、分離作用水の流れに乗って移動する分離対象物は、比重の小さいものほど水流の付勢力の影響を大きく受けて上方を流れ、比重の大きいものほど水流の付勢力の影響が小さくて早期に沈降し、所定高さの堰板16に阻止されて沈降する。
【0027】
沈降した比重の大きいものは回転胴3の回転に伴って螺旋溝15が回転軸心周りに旋回することで小径開口5へ向けて搬送され、小径開口5から排出部7へ流入する。比重の小さいものは分離作用水で搬送されて大径開口6から排出ホッパー3bへ流れ出る。大径開口6へ達する前に沈降した比重の小さいものは回転胴3の回転に伴って上方へ持ち上げられ、再び分離作用水の流れに乗って大径開口6へ向けて移動する。比重の大きなものは回転胴3の回転に伴って上方へ持ち上げられても早期に沈降し、堰板16を超えることがない。
【0028】
希釈水供給管17を通して供給する希釈水は噴出部18から堰板16によって区画された各領域に流入し、各区画領域において分離作用水中の分離対象物の濃度を希釈し、分離対象物の流動性を高めて分離性能を高くする。また、散水管19からの散水は大径開口6付近において分離作用水中の分離対象物の濃度を希釈し、分離対象物の流動性を高めて分離性能を高くする。
【0029】
図9に示すように、排出部7では外管27を流れる分離作用水の流速に対して比重の大きなものがその流れに抗して流下し、比重の小さいものが分離作用水に持ち上げられて排出部7から円錐部2に戻されることで分離精度が向上する。
【0030】
分離物排出管32は通常時には第1バルブ33aを開栓し、第2バルブ33bおよび第3バルブ33cを閉栓した状態にあり、回転胴3から外管27に流下する比重の大きなものは分離物排出管32に流下して貯留部32aに滞留する。分離物の排出時にはバルブ31を操作して給水管29から外管27に供給する分離作用水の流量および流速を増して回転胴3から排出部7へ分離物が流入することを抑制する状態で第1バルブ33aを閉栓し、第2バルブ33bを開栓して貯留部32aに滞留する分離物を排出する。その後に第2バルブ33bを閉栓し、第3バルブ33cを開栓して水補給管34から貯留部32aに水を充満させる。そして第3バルブ33cを閉栓し、第1バルブ33aを開栓し、バルブ31を操作して給水管29から外管27に供給する分離作用水の流量および流速を通常状態に戻す。
【0031】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、分離対象物投入部において大まかな分離を行い、水流調整手段において分離対象物投入部から流下する分離対象物を一旦受け止めて後に分離作用水の水流を作用させて分離することで短い搬送距離で高い分離性能を得ることができる。
【0032】
分離対象物投入部は、適度な傾斜角度を有することで流路内に所定の速度勾配を実現して分離機能を発揮でき、断面形状が下部から上部に向けて流路断面が増加することでさらに適切な速度勾配を実現して分離機能を高められる。
【0033】
回転胴の回転による比重の大きなものの円滑な排出と堰板の存在による分離性能の向上を図ることができ、希釈水を供給することで分離性能の向上を図ることができる。排出部が内管と外管の二重管構造をなすことで内管による安定した分離作用水の供給と外管における分離性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における比重分離装置を示す全体断面図である。
【図2】同比重分離装置の要部拡大図である。
【図3】同比重分離装置の側面図である。
【図4】同比重分離装置の要部拡大図である。
【図5】図1のA-A矢視断面図である。
【図6】図1のB-B矢視断面図である。
【図7】シュート部の断面図である。
【図8】同比重分離装置の作用を示す説明図である。
【図9】同比重分離装置の作用を示す説明図である。
【符号の説明】
1 比重分離装置
2 円錐部
3 回転胴
3a 内周面
3b 排出ホッパー
4 可動台
4a ローラ
5 小径開口
6 大径開口
7 排出部
8 軸受
9 スプロケット
10 チェーン
11 モータ
12 回転軸
13 固定台
14 シリンダー装置
15 螺旋溝
16 堰板
16a 外周縁
17 希釈水供給管
18 噴出部
19 散水管
20 分離対象物投入部
21 先端開口
22 シュート部
23 ホッパー部
24 ケーシング
25 抵抗体
26 内管
27 外管
27a ロータリージョイント
27b 透明管
28、29 給水管
30、31 バルブ
32 分離物排出管
32a 貯留部
33a 第1バルブ
33b 第2バルブ
33c 第3バルブ
34 水補給管

Claims (6)

  1. 水平に対して所定角度に傾斜した回転軸心回りに回転し、円錐部を有する筒体をなす回転胴と、回転胴の下端側に位置する円錐部の頂部に形成した小径開口に接続する排出部と、回転胴の上端側の大径開口から回転胴内に挿入し、先端開口が円錐部の頂部に対向する分離対象物投入部と、分離対象物投入部の先端開口と円錐部の小径開口との間に配置する水流調整手段とを備え、回転胴は胴内で沈降した分離物を回転軸心回りの回転に伴って小径開口側へ送り出す螺旋溝を内周面に有し、排出部は小径開口に接続される反対端に給水手段を接続し、該給水手段が分離作用水を供給するとともに、途中に分離物を排出する分離物排出手段を接続してなり、水流調整手段は分離対象物投入部の先端開口に向けて拡径して開口した通水性を有するケーシング内に所定比重、所定形状をなして分離作用水の水流を所定流速に調整する抵抗体を保持してなることを特徴とする比重分離装置。
  2. 分離対象物投入部は、先端開口が円錐部の頂部に対向し、回転胴の軸心に対して同心もしくは回転胴の軸心よりも大きな所定角度に傾斜する姿勢に配置し、内部の流路と直交する断面形状において下部から上部に向けて流路断面が増加することを特徴とする請求項1に記載の比重分離装置。
  3. 回転胴は、円板状をなして外周縁と回転胴の内周面との間に所定間隙を空けて配置する複数の堰板を軸心方向に沿って適当間隔で配置することを特徴とする請求項1又は2に記載の比重分離装置。
  4. 希釈水を供給する希釈水供給手段を回転胴内に挿入したことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の比重分離装置。
  5. 排出部は、内管と外管の二重管構造をなし、内管および外管の基端側にそれぞれに別途に分離作用水を供給する給水手段を接続し、外管の途中に分離物を排出する分離物排出手段を接続してなることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の比重分離装置。
  6. 分離物排出手段は分離物を貯留する貯留部を有し、貯留部の入口側に第1バルブを有し、排出口側に第2バルブを有し、貯留部に第3バルブを介して水補給手段を接続してなることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の比重分離装置。
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