JP4017399B2 - レーザー切除ゾーン制限システム及び方法 - Google Patents

Description

【０００１】
発明の背景
関連出願の相互参照
この出願は、共有の仮出願番号第６０／１９９，６４１号（２０００年４月２５日提出）の“ＬＡＳＩＫ外科手術中のＬＡＳＩＫフラップ及びヒンジの保護用グラフィカルユーザーインターフェースの使用（Ｕｓｅ ｏｆ Ｇｒａｐｈｉｃａｌ Ｕｓｅｒ Ｉｎｔｅｒｆａｃｅ ｆｏｒ Ｐｒｏｔｅｃｔｉｏｎ ｏｆ ＬＡＳＩＫ Ｆｌａｐ ａｎｄ Ｈｉｎｇｅ ｄｕｒｉｎｇ ＬＡＳＩＫ Ｓｕｒｇｅｒｙ）”に基づく優先権を主張する。
【０００２】
発明の分野
本発明は、視覚収差矯正用システム及び方法、更に詳しくは切除に対する制限領域を決定するためのこのようなシステム及び方法に関する。
【０００３】
関連技術の説明
ＬＡＳＩＫ（ｌａｓｅｒ−ｉｎ−ｓｉｔｕ−ｋｅｒａｔｏｍｉｌｅｕｓｉｓ）は、一般的なタイプのレーザー視覚矯正法である。これは、広範囲の視覚矯正処方に対して極めて効果的な外来患者への処置となってきた。エキシマレーザーの使用により、眼の角膜の成形が高度に正確かつ予測可能となっている。ＬＡＳＩＫ処置前は、測定により事前に決められた矯正処方を与えるため、エキシマレーザーを校正及びガイド可能なように、眼の測定を行って角膜表面上の種々の場所から除去すべき角膜物質量を決めていた。ＬＡＳＩＫ処置前に、通常、マイクロケラトーム（ｍｉｃｒｏｋｅｒａｔｏｍｅ）を用いて角膜中に側面、頂部又は底部から薄く浅い切込みを入れ、ヒンジ型フラップを作っている。外科手術中、ヒンジ型フラップは開いていて、フラップはヒンジの上又は外側に位置し、この状態でエキシマレーザーを用い、予定の矯正処置に従って角膜組織を切除する。
【０００４】
切除は通常、米国特許第５，９８０，５１３号、同第５，８４９，００６号、同第５，６３２，７４２号及び米国出願番号第０９／５６６，６６８号（これらはこの出願と共有するもので、その開示内容はここに援用した）に記載されるようなレーザービーム配送兼アイトラック（ｅｙｅ ｔｒａｃｋ）システムにより、角膜の各（ｘ、ｙ）座標軸に沿って別々に行われる。
フラップの寸法は、ヒンジ又はフラップを切除する危険なしに、切除を実行するのに充分な寸法であることが好ましい。従来技術の方法では外科医は外科的器具又は部分コンタクトレンズ等により、望ましいことではないが、フラップ／ヒンジを切除するか、或いはフラップ／ヒンジをカバーしようとする選択ができた。しかし、これは所望としない切除した物質が角膜床に堆積する可能性がある。
その他、外科医は、以下に詳細に説明するような他の理由のため、切除から角膜領域を保護することを望んでいるかも知れない。更に、切除照射から眼の他の領域を保護することが望ましい。
【０００５】
発明の概要
したがって、本発明の目的は、切除用レーザー照射から、眼の選択された領域を保護するためのシステム及び方法を提供することである。
別の目的は、マイクロケラトームで作ったヒンジ及びフラップを保護するためのこのようなシステム及び方法を提供することである。
他の目的は、ソフトウエアで駆動するこのようなシステム及び方法を提供することである。
更なる目的は、グラフィカルユーザーインターフェースにより機能するこのようなシステム及び方法を提供することである。
これら及び他の目的は本発明により達成され、その一実施態様は、外科手術用放射照射から組織の一区域を保護するためのシステムを含む。該システムは、プロセッサーと、該プロセッサーと電子的に連絡する、入力手段、カメラ及び出力スクリーンとを含む。
【０００６】
プロセッサー上に配置したソフトウエアパッケージは、組織領域の画像を含んだカメラデータを受ける手段を有する。この組織領域は、治療用放射を受ける所望予定領域の少なくとも一部を含んでいる。ソフトウエアパッケージは、前記画像を伝送してスクリーン上に表示するための手段及び前記予定領域を指示する第一の目印を前記表示した画像上に重ねる手段も有する。また、放射から保護するための組織の所望区域の位置に関するデータを前記入力手段により受けると共に、該所望区域を指示する第二の目印を前記表示した画像の上に重ねる手段も含んでいる。
本システムの特定の実施態様では、組織は眼を含み、また所望の予定領域は角膜の少なくとも一部を含む。これは限定として意図するものではなく、内部組織、皮膚等の代替組織部位もこのシステムのグラフィカルユーザーインターフェースを用いて照射することができる。
【０００７】
本発明の外科手術用放射の照射から組織の一区域を保護する方法は、組織領域の画像を受けてこの画像を表示する工程を含む。この表示された画像の上に、前記所望予定領域を指示する第一の目印を重ねる。放射から保護するための組織の所望区域の位置についてのデータを受け、この所望区域を指示する第二の目印を前記表示した画像の上に重ねる。
好ましい実施態様では、本方法は、上記に説明したシステムを眼の上で使用する。
操作の方法及び機構に関する本発明の特徴は、本発明の他の目的及び利点と共に、添付の図面と組合せて用いた以下の説明から一層良く理解されよう。図面は図解及び説明の目的のためで、本発明の限定の定義として意図するものではないことを明確に理解すべきである。本発明によって達成されたこれらの目的及び他の目的並びに得られる利点は、以下の説明を添付の図面と組合せて読めば、いっそう充分に明らかとなろう。
【０００８】
好ましい実施態様の詳細な説明
以下に、本発明の好ましい実施態様を図１〜３により説明する。
図１に、光学的測定及び矯正処置を行うためのシステム１０の好例のレイアウトを示す。このレイアウトは、限定として意図するものではなく、当該技術分野に精通する者ならばレーザー切除を行うようにした代替システムも予想できる。アイトラッカー（ｅｙｅ ｔｒａｃｋｅｒ）兼レーザービーム配送ユニット９４は、例えばプロセッサー１３と電子的に連絡するマウス１５のような入力デバイスにより、オペレーターから入力を受ける手段を有するグラフィカルディスプレー１４と電子的に連絡するプロセッサー１３を含む。
以下に説明する各種の条件下では、眼の一部は、切除ビームから“保護する（ｓｃｒｅｅｎ）”のが望ましいことがある。図３に示すグラフィカルユーザーインターフェース５０の例では、切除ゾーン２０は網目状陰影領域で示した。好ましい実施態様では、図示のグラフィカルユーザーインターフェース５０は、眼に対し優れたコントラストを与えるためカラーであり、切除ゾーン２０は、眼に対し目立つような色、例えば黄色を含んでいる。
【０００９】
この図面のフラップ及びヒンジは、眼２２の下方左手の四分円に沿って作ったもので、その一部２３は切除ゾーン２０内にある。この部分２３を保護するため、マウス１５を用いて保護区域２４を決定し、プロセッサー１３上に配置したソフトウエアパッケージ２５に入力し、保護区域２４を創る。カラースクリーン１４上の保護区域２４も、青色のようなコントラストのあるカラーである。次に、ソフトウエアパッケージ２５は、エキシマレーザーのこの区域２４での発射を防止することにより、切除ビームが保護区域２４に当るのを防止する。フラップ及びヒンジが切除ゾーン２０を横切らないほどフラップが充分大きければ、保護区域２４の決定は必要としない。ソフトウエアパッケージは更に、放射を受ける所望の修正領域を計算することが可能であり、この修正領域は切除ゾーンから切除ゾーンと保護区域との交差領域を差し引いたものである。ソフトウエアパッケージは更に、この修正領域についての位置データを提供する。
本発明の好ましい実施態様では、レーザーパルスの限度（ｆｉｎｉｔｅ ｅｘｔｅｎｔ）を補償するためにも、保護区域２４に隣接する別の区域を構成（ｃｏｎｆｉｇｕｒａｔｉｏｎ）パラメーターによって保護する。このような別の区域がなければ、保護区域２４の丁度外側で発射されたレーザーショットは、なお保護領域２４内丁度の領域を或る程度まで切除できる。同様に、結膜又は強膜のような角膜外領域は、例えばショットの少なくとも一部が角膜よりも拡大できないような大きな中心を外れた治療により、所望としない照射から保護できる。
図３のグラフィカルユーザーインターフェース５０は、予定領域の中心を示す目印として、角膜２８の端部の上に横たわる概略円形部分２７及び十字線２９を含むレチクル２６も有し、その交差点３０は一般に角膜の中心点に位置している。寸法及び位置の情報を与えるデータ３１も供給される。
【００１０】
眼のフラップ及びヒンジ領域の保護の他に、本発明を下記の場合に使用することも考えられる。
・中心外し（ｄｅｃｅｎｔｒａｔｉｏｎ）のための再治療中に起る可能性があるような場合の組織の既存の治療ゾーンへの再照射の回避。
・未完の治療を完成するための再手術中の組織への再照射の回避。
・照射によって望ましくない臨床結果となるような傷跡がある組織又は薄い領域へのレーザー照射の回避。
・老眼の改善のため複数焦点の角膜を創ることが望ましいような場合の治療の複数ゾーンの決定及び創作。
・中央周辺での近視治療及び距離矯正の中心ゾーンの切除による複数焦点角膜の決定及び創作。
・角膜の中心の距離矯正からスタートして、距離矯正及び近視（ｎｅａｒ）矯正の交互の環（ａｎｎｕｌｉ）を切除することによる複数焦点角膜の決定及び創作。
・中心距離ゾーン、中央距離矯正の中央周辺ゾーン及び近視矯正の外側ゾーンの切除による複数焦点角膜の決定及び創作。
その他、当該技術分野に精通する者ならば、本発明のシステム及び方法が腫瘍の局部照射、リトトリプシー（ｌｉｔｈｏｔｒｙｐｓｙ）、皮膚の切傷（ｄｉｓｆｉｇｕｒｅｍｅｎｔ）除去、又は焼傷（ｃａｕｔｅｒｉｚａｔｉｏｎ）のような他の放射治療との併用にも適合するものと認識するであろう。
【００１１】
以上の説明で、或る種の用語を簡潔、明確及び理解のため使用したが、これらの用語は説明の目的に使用し、広く解釈するように意図したものであるから、従来技術の要件を越えた不必要な限定を意味するものではない。更に、ここで図示し、説明した装置の実施態様は、例示のためであり、本発明の範囲は、構成の正確な詳細にまで限定されない。
以上、本発明を説明したが、その好ましい実施態様の構成、操作及び使用、並びにこれにより得られた有利な新規で有用な結果、新規で有用な構成、更には当該技術分野に精通する者ならば自明なそれらの合理的機械的均等物は付属の特許請求の範囲に記載した。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明システムの概略図。
【図２】データの流れについての論理的フローダイヤグラム。
【図３】本発明の好例のグラフィカルユーザーインターフェースを示す。
【符号の説明】
１０‥‥本発明のシステム
１３‥‥プロセッサー
１４‥‥グラフィカルディスプレー
２０‥‥切除ゾーン
２２‥‥眼
２４‥‥保護区域
２５‥‥ソフトウエアパッケージ
２６‥‥レクチル
２８‥‥角膜
５０‥‥グラフィカルユーザーインターフェース

Claims (25)

1. プロセッサーと；
   該プロセッサーと全て電子的に連絡する、入力手段、カメラ及び出力スクリーンと；
   該プロセッサー上に配置したソフトウエアパッケージと；
   を含み、該ソフトウエアパッケージは、
   （ａ）治療用放射を受ける所望予定領域の少なくとも一部を含む組織領域の画像を含んだカメラデータを受けること、
   （ｂ）前記画像を伝送してスクリーン上に表示すること、
   （ｃ）前記予定領域を指示する第一の目印を前記表示した画像の上に重ねること、
   （ｄ）放射から保護する組織の所望区域の位置に関するデータを前記入力手段により受けること、及び
   （ｅ）前記放射から保護する組織の所望区域を指示する第二の目印を前記表示した画像の上に重ねること、
   が可能である、外科手術用放射を制限するシステム。
2. 前記ソフトウエアパッケージは更に、放射を受ける所望の修正領域を計算することが可能であり、該修正領域は、前記予定領域から該予定領域と前記放射から保護する組織の所望区域との交差領域を差し引いたものである請求項１に記載のシステム。
3. 前記プロセッサーの上に更に、前記放射から保護する組織の所望区域に放射を照射することを制限できるソフトウエアパッケージを配置した請求項２に記載のシステム。
4. 前記ソフトウエアパッケージは更に、前記修正領域についての位置データを提供することが可能である請求項３に記載のシステム。
5. 前記第一及び第二の目印が、テクスチャー付きグラフィックからなる請求項１に記載のシステム。
6. 前記第一及び第二の目印が、組織に対しコントラストを付けるために選択された異なる色を有する請求項１に記載のシステム。
7. 前記ソフトウエアパッケージが更に、前記予定領域の中心を示す目印を前記表示した画像上に重ねることが可能である請求項１に記載のシステム。
8. 前記目印が、十字線を有し、その交差点は予定領域の中心を含む請求項７に記載のシステム。
9. 前記ソフトウエアパッケージは更に、スクリーン上に予定領域についての寸法及び位置の情報を表示することが可能である請求項１に記載のシステム。
10. 前記入力手段は、前記組織の所望区域を表わすスクリーン上の領域を指定できる請求項１に記載のシステム。
11. 前記入力手段が、マウスからなる請求項１０に記載のシステム。
12. プロセッサーと；
    該プロセッサーと全て電子的に連絡する、入力手段、カメラ及び出力スクリーンと；
    該プロセッサー上に配置したソフトウエアパッケージと；
    を含み、該ソフトウエアパッケージは、
    レーザー切除放射を受ける眼の角膜の所望予定領域の少なくとも一部を含む眼領域の画像を含んだカメラデータを受けること、
    前記画像を伝送してスクリーン上に表示すること、
    前記予定領域を指示する第一の目印を前記表示した画像の上に重ねること、
    放射から保護する眼の所望区域の位置に関するデータを前記入力手段により受けること、及び
    前記眼の所望区域を指示する第二の目印を前記表示した画像の上に重ねること、
    が可能である、外科手術用レーザー切除放射が眼の一区域に当るのを防止するシステム。
13. 前記ソフトウエアパッケージは更に、放射を受ける所望の修正領域を計算することが可能であり、該修正領域は、前記予定領域から該予定領域と前記眼の所望区域との交差領域を差し引いたものである請求項１２に記載のシステム。
14. 前記眼の所望区域が、角膜の切除前に創られたフラップ及びヒンジの区域を含む請求項１３に記載のシステム。
15. 前記ソフトウエアパッケージは更に、前記修正領域についての位置データを提供することが可能である請求項１４に記載のシステム。
16. 前記眼の所望区域が、角膜外領域、予備処置で治療した角膜の一部、及び傷跡があるか薄い角膜の一部の少なくとも１つを含む請求項１３に記載のシステム。
17. 前記予定領域が角膜の第一の領域を含み、前記眼の所望区域が該第一の領域とは異なる角膜の第二の領域を含む請求項１３に記載のシステム。
18. 前記プロセッサーの上に更に、レーザービーム配送システムとインターフェースすると共に、該配送システムの設置場所を管理する手段を有する第二ソフトウエアパッケージを配置した請求項１３に記載のシステム。
19. 前記第一及び第二の目印が、テクスチャー付きグラフィックからなる請求項１２に記載のシステム。
20. 前記第一及び第二の目印が、眼に対しコントラストを付けるために選択された異なる色を有する請求項１２に記載のシステム。
21. 前記ソフトウエアパッケージが更に、前記予定領域の中心を示す目印を前記表示した画像上に重ねることが可能である請求項１２に記載のシステム。
22. 前記目印が、概略円形のレチクル及び十字線を有し、該レチクルは角膜に対し包囲する関係で位置することが可能であり、該十字線の交差点は、前記予定領域の中心を含む請求項２１に記載のシステム。
23. 前記ソフトウエアパッケージが更に、スクリーン上に予定領域についての寸法及び位置の情報を表示することが可能である請求項１２に記載のシステム。
24. 前記入力手段は、前記眼の所望区域を表わすスクリーン上の領域を指定できる請求項１２に記載のシステム。
25. 前記入力手段が、マウスからなる請求項２４に記載のシステム。