JP4015271B2

JP4015271B2 - 広視野角偏光板及び液晶表示装置

Info

Publication number: JP4015271B2
Application number: JP12688298A
Authority: JP
Inventors: 雄二済木; 宮武　　稔
Original assignee: Nitto Denko Corp
Current assignee: Nitto Denko Corp
Priority date: 1998-04-20
Filing date: 1998-04-20
Publication date: 2007-11-28
Anticipated expiration: 2018-04-20
Also published as: JPH11305039A

Description

【０００１】
【発明の技術分野】
本発明は、透過型や反射型やそれら両用型の液晶表示装置等の視認特性の向上などに好適な広視野角偏光板に関する。
【０００２】
【発明の背景】
従来、プラスチックフィルムに透明微粒子を分散含有させたものやプラスチックフィルムの表面を粗面化してなる光拡散板と偏光板を積層した広視野角偏光板が知られていた。かかる広視野角偏光板は、液晶表示装置の視認側に配置して光拡散板を介し表示光を拡散して液晶表示装置の視野角を拡げることを目的とする。また位相差板からなる視野角補償板も知られていた。しかしながら、コントラストの低下や表示像のボケを招いて視認特性を低下させたり、視野角の拡大の点で満足できるものでないなどの問題点があった。
【０００３】
【発明の技術的課題】
本発明は、液晶表示装置の視認側に配置したときに、位相差による視野角補償機能と光拡散による視野角拡大機能を併せもち、コントラストの低下や表示像のボケを生じにくい広視野角偏光板やそれを用いた液晶表示装置の開発を課題とする。
【０００４】
【課題の解決手段】
本発明は、偏光板と面内の平均位相差が５０〜２００nmの延伸フィルムの重畳体からなり、その延伸フィルムがポリマー類と液晶類、等方性ポリマーと異方性ポリマー、又は異方性ポリマー同士による、延伸処理で複屈折特性が相違する領域を形成する組合せで得たフィルムの延伸処理で形成した複屈折特性相違の微小領域を分散含有して、その微小領域と他の部分との屈折率差△ｎ^１、△ｎ^２が直線偏光の最大透過率を示す軸方向に直交する方向において０．０３以上（△ｎ^１）で、かつ最大透過率の軸方向において０．０１以下（△ｎ^２）であると共に、当該延伸フィルムの△ｎ^１方向と遅相軸方向と偏光板の透過軸が平行関係にあることを特徴とする広視野角偏光板及びその広視野角偏光板を液晶セルの片側又は両側に有することを特徴とする液晶表示装置を提供するものである。
【０００５】
【発明の効果】
本発明における延伸フィルムは、直線偏光の最大透過率を示す軸方向（△ｎ²方向）では直線偏光をその偏光状態を良好に維持して透過すると共に、前記△ｎ²方向と直交する方向（△ｎ¹方向）では微小領域と他部分との屈折率差△ｎ¹に基づいて直線偏光を散乱し、５０〜２００nmの面内平均位相差を示してその遅相軸方向が当該△ｎ¹方向と平行関係にあるものである。従って、偏光板又は延伸フィルムの△ｎ²方向を透過した直線偏光は、その偏光状態を良好に維持して両方向に透過させることができ、延伸フィルムの△ｎ¹方向を透過した直線偏光は拡散させることができる。
【０００６】
前記の結果、広視野角偏光板の当該△ｎ²方向を液晶セルによる黒表示に対応させて、よって直線偏光の振動面が黒表示に直交する白表示には当該△ｎ¹方向を対応させて配置することにより、位相差による視野角補償と共に、黒表示は拡散なく、白表示は散乱拡散させて表示像を形成できて、コントラストの低下や表示像のボケを抑制でき、表示像も拡散できて広視野角で視認特性に優れる液晶表示装置を得ることができる。
【０００７】
【発明の実施形態】
本発明による広視野角偏光板は、偏光板と面内の平均位相差が５０〜２００nmの延伸フィルムの重畳体からなり、その延伸フィルムがポリマー類と液晶類、等方性ポリマーと異方性ポリマー、又は異方性ポリマー同士による、延伸処理で複屈折特性が相違する領域を形成する組合せで得たフィルムの延伸処理で形成した複屈折特性相違の微小領域を分散含有して、その微小領域と他の部分との屈折率差△ｎ^１、△ｎ^２が直線偏光の最大透過率を示す軸方向に直交する方向において０．０３以上（△ｎ^１）で、かつ最大透過率の軸方向において０．０１以下（△ｎ^２）であると共に、当該延伸フィルムの△ｎ^１方向と遅相軸方向と偏光板の透過軸が平行関係にあるものである。
【０００８】
本発明による広視野角偏光板の例を図１、図２に示した。１が複屈折特性相違の微小領域ｅを分散含有する延伸フィルム、３が偏光板であり、２は必要に応じての接着層である。延伸フィルム１は、１枚のフィルムよりなっていてもよいし、図２に例示の如くかかる延伸フィルム１１，１３，１５，１７の重畳体からなっていてもよい。なお１２，１４，１６は接着層である。
【０００９】
複屈折特性が相違する微小領域ｅを分散含有する延伸フィルム１の形成は、例えばポリマー類や液晶類等の透明性に優れる適宜な材料の１種又は２種以上を、延伸処理で複屈折特性が相違する領域を形成する組合せで用いて延伸フィルムを形成する方式（特開平９−２７４１０８号公報）にて行うことができる。
【００１０】
前記の組合せとしては、ポリマー類と液晶類の組合せ、等方性ポリマーと異方性ポリマーの組合せ、異方性ポリマー同士の組合せがあげられる。微小領域の分散分布性などの点より、相分離する組合せが好ましく、組合せる材料の相溶性により分散分布性を制御することができる。相分離は、例えば非相溶性の材料を溶媒にて溶液化する方式や、相溶性の材料を加熱溶融下に混合する方式などの適宜な方式で行うことができる。
【００１１】
前記においてポリマー類と液晶類や、等方性ポリマーと異方性ポリマーの組合せでは、任意な延伸温度、延伸倍率にて目的の延伸フィルムを形成することができる。一方、異方性ポリマー同士の組合せではそれらポリマーのガラス転移点をＴｇ₁、Ｔｇ₂、延伸温度をＴとしたとき、Ｔｇ₁＜Ｔ≦Ｔｇ₂の範囲では任意な延伸倍率にて、Ｔ≦Ｔｇ₁、Ｔｇ₂の範囲では上記△ｎ²方向の屈折率が上記した△ｎ²を満足する延伸倍率にて目的の延伸フィルムを形成することができる。
【００１２】
なお異方性ポリマーでは延伸方向の屈折率変化の特性に基づいて正負に分類されるが、本発明においては正負いずれの異方性ポリマーも用いることができ、正同士や負同士、あるいは正負の組合せのいずれにても用いうる。また延伸処理の点よりは、脆性ポリマーよりも延び性に優れるポリマーが好ましく用いうる。
【００１３】
前記したポリマー類の例としては、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの如きポリエステル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体（ＡＳ樹脂）の如きスチレン系ポリマー、ポリエチレンやポリプロピレン、シクロ系ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィンやエチレン・プロピレン共重合体の如きオレフィン系ポリマー、カーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレートの如きアクリル系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、あるいはそれらのブレンド物があげられる。
【００１４】
また、二酢酸セルロースや三酢酸セルロースの如きセルロース系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミドの如きアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、あるいはそれらのブレンド物などもポリマー類の例としてあげられる。
【００１５】
また液晶類の例としては、シアノビフェニル系やシアノフェニルシクロヘキサン系、シアノフェニルエステル系や安息香酸フェニルエステル系、フェニルピリミジン系やそれらの混合物の如き室温又は高温でネマチック相やスメクチック相を呈する低分子液晶、あるいは室温又は高温でネマチック相やスメクチック相を呈する液晶ポリマーなどがあげられる。
【００１６】
延伸処理対象のフィルムは、例えばキャスティング法や押出成形法、射出成形法、ロール成形法、流延成形法などの適宜な方式にて得ることができ、モノマー状態で展開しそれを加熱処理や紫外線等の放射線処理などにより重合してフィルム状に製膜する方式などにても得ることができる。
【００１７】
微小領域の均等分布性に優れる延伸フィルムを得る点などよりは、溶媒を介した材料の混合液をキャスティング法や流延成形法等にて製膜する方式が好ましい。その場合、溶媒の種類や混合液の粘度、混合液展開層の乾燥速度などにより微小領域の大きさや分布性などを制御することができる。ちなみに微小領域の小面積化には混合液の低粘度化や混合液展開層の乾燥速度の急速化などが有利である。
【００１８】
延伸処理対象のフィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には延伸処理性などの点より１μm〜３mm、就中５μm〜１mm、特に１０〜５００μmとされる。延伸処理は、例えば一軸や二軸、逐次二軸やＺ軸などの適宜な方式にて行うことができる。就中、微小領域の制御性などの点より一軸又は二軸による延伸処理方式が好ましい。なおフィルムの形成に際しては、例えば分散剤や界面活性剤、紫外線吸収剤や色調調節剤、難燃剤や離型剤、酸化防止剤などの適宜な添加剤を配合することができる。
【００１９】
本発明において用いる延伸フィルムは、微小領域とその他の部分との屈折率差△ｎ^１、△ｎ^２が直線偏光の最大透過率を示す軸方向に直交する方向において０．０３以上（△ｎ^１）であり、かつその最大透過率の軸方向において０．０１以下（△ｎ^２）に制御すると共に、面内の平均位相差を５０〜２００nmに制御して、その△ｎ^１方向と遅相軸方向とが平行関係にあるものである。
【００２０】
前記の屈折率差とすることにより、△ｎ^１方向での散乱性に優れ、△ｎ^２方向での偏光状態の維持性に優れるものとすることができる。また前記の位相差とすることにより、視野角を補償することができる。偏光状態の維持性などの点より△ｎ^２方向における屈折率差△ｎ^２は、小さいほど好ましく、０．０１以下の屈折率差△ｎ^２とされる。
【００２１】
従って上記した延伸処理は、延伸フィルムにおける微小領域とその他の部分との屈折率差を△ｎ²方向において小さくし、視野角を補償するための位相差を上記した所定範囲とするための操作として位置付けすることもできる。
【００２２】
延伸フィルムにおける微小領域は、前記散乱効果等の均質性などの点より可及的に均等に分散分布していることが好ましい。また微小領域の大きさも可及的に均等であることが好ましい。液晶表示装置等に適用した場合の後方反射によるコントラストの低下防止や波長依存による着色防止等の視認特性の向上などの点より、微小領域における△ｎ¹方向の好ましい長さは、０．０５〜５００μm、就中０．１〜２５０μm、特に１〜１００μmである。なお微小領域の△ｎ²方向の長さについては特に限定はない。
【００２３】
前記において微小領域が通例ドメインの状態で延伸フィルム中に存在する点よりは、１〜１００μm²、就中２〜９０μm²、特に５〜８０μm²の大きさの微小領域であることが一般的に好ましい。延伸フィルムに占める微小領域の割合は、△ｎ¹方向の散乱性などの点より適宜に決定しうるが、一般にはフィルム強度なども踏まえて延伸フィルムの片表面における微小領域の表面積割合に基づいて１〜９５％、就中５〜８０％、特に１０〜７０％とされる。微小領域の形状については特に限定はない。
【００２４】
図２に例示の如く延伸フィルムは、２層以上の重畳体としても用いうるが、そ重畳化は厚さ増加以上の相乗的な散乱効果を発揮させることができて有利である。重畳処理は、散乱効果の拡大などの点より△ｎ¹方向が上下の層で平行関係となるように行うことが好ましい。
【００２５】
重畳する延伸フィルムは、△ｎ¹又は△ｎ²が同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。なお△ｎ¹方向等における上下の層での平行関係は、可及的に平行であることが好ましいが、作業誤差によるズレなどは許容される。また△ｎ¹方向等にバラツキがある場合には、その平均方向に基づく。
【００２６】
前記の重畳体における延伸フィルムは、単に重ね置いた状態にあってもよいが、△ｎ¹方向等のズレ防止や各界面への異物等の侵入防止などの点よりは、図２に例示の如く接着層１２等を介して接着されていることが好ましい。その接着には、例えばホットメルト系や粘着系などの適宜な接着剤を用いうる。
【００２７】
反射損を抑制する点よりは、延伸フィルムとの屈折率差が可及的に小さい接着層が好ましく、延伸フィルムやその微小領域を形成するポリマーにて接着することもできる。透明性や耐候性や耐熱性等による広視野角偏光板の光学特性の維持性などの点よりは、アクリル系粘着層による接着処理が特に好ましい。
【００２８】
本発明による広視野角偏光板は、図１、図２に例示の如く延伸フィルム１と偏光板３を有する重畳体からなるが、その偏光板には適宜なタイプのものを用いうる。すなわち偏光板では、吸収型タイプや散乱型タイプ、あるいは反射型タイプなどの各種のものがあるが、本発明においてはそのいずれのタイプも用いうる。
【００２９】
ちなみに前記偏光板の具体例としては、ポリビニルアルコール系フィルムや部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムの如き親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて延伸した吸収型タイプの偏光板、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物の如きポリエン配向フィルムがあげられる。
【００３０】
また前記偏光フィルムの片面又は両面に耐水性等の保護目的で、プラスチックの塗布層やフィルムのラミネート層等からなる透明保護層を設けた保護タイプの偏光板もあげられる。
【００３１】
さらに前記の透明保護層に、例えば平均粒径が０．５〜５μmのシリカやアルミナ、チタニアやジルコニア、酸化錫や酸化インジウム、酸化カドミウムや酸化アンチモン等の導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋ポリマー等の有機系微粒子等の透明微粒子を含有させて表面に微細凹凸構造を付与した散乱型タイプの偏光板もあげられる。
【００３２】
加えて、表面に微細凹凸構造を付与したものであることもある前記の透明保護層に、例えば金属の蒸着層やメッキ層、金属粉末含有の樹脂層や金属箔などからなる反射層を付設した反射型タイプの偏光板などもあげられる。
【００３３】
なお偏光板としては、輝度やコントラストの向上を図る点などより、上記した二色性物質含有の吸収型偏光板などの如く偏光度の高いもの就中、光透過率が４０％以上で、偏光度が９５．０％以上、特に９９％以上のものが好ましく用いられる。
【００３４】
本発明による広視野角偏光板の実用に際しては、適宜な光学部品ないし光学層を必要に応じて付加した重畳体とすることもできる。その重畳体は、偏光板を含めて単に重ね置いたものであってもよいが、ズレ防止や各界面への異物等の侵入防止などの点より必要に応じ接着層等を介して密着処理したものであることが好ましい。その必要に応じての接着層としては、上記した延伸フィルムの重畳の場合に準じうる。
【００３５】
広視野角偏光板に重畳する光学部品ないし光学層については、特に限定はなく、例えば位相差板や導光板等のバックライト、反射板や多層膜等からなる偏光分離板、液晶セルや防眩処理層、反射防止層などの適宜なものであってよい。
【００３６】
ちなみに前記位相差板の具体例としては、上記の延伸フィルムで例示したポリマー類からなる延伸フィルムや液晶ポリマー、就中、捩じれ配向の液晶ポリマーなどからなるものがあげられる。用いる位相差板は、例えば１／４波長板や１／２波長板、一軸や二軸等による延伸フィルムタイプやさらに厚さ方向にも分子配向させた傾斜延伸フィルムタイプ、液晶ポリマータイプ、視野角や複屈折による位相差を補償するタイプ、それらを積層したタイプのものなどの各種のものを用いうる。
【００３７】
また導光板の具体例としては、透明な樹脂板の側面に（冷，熱）陰極管等の線状光源や発光ダイオード、ＥＬ等の光源を配置し、その樹脂板に板内を伝送される光を拡散や反射、回折や干渉等により板の片面側に出射するようにしたものなどがあげられる。導光板を含む広視野角偏光板の形成に際しては、光の出射方向を制御するためのプリズムシート等からなるプリズムアレイ層、均一な発光を得るための拡散板、線状光源からの出射光を導光板の側面に導くための光源ホルダなどの補助手段を導光板の上下面や側面などの所定位置に必要に応じ１層又は２層以上を配置して適宜な組合せ体とすることができる。反射板としては、上記した反射型偏光板で例示した反射板ないし反射層などがあげられる。
【００３８】
一方、防眩処理層は、広視野角偏光板ないし液晶表示層等を視認する場合に、その表面で外光が反射して広視野角偏光板等の透過光ないし表示像の視認を阻害することの防止などを目的に付設されるものである。防眩処理層（ノングレア層）は、例えば透明微粒子の含有による表面微細凹凸構造の樹脂層、サンドブラスト加工やエンボス加工による表面微細凹凸構造シート等の如く適宜な方式で表面を微細凹凸構造化したものなどとして得ることができる。従って防眩処理層は、広視野角偏光板等の表面に付加した光学層などとしても形成することができる。
【００３９】
反射防止膜は、広視野角偏光板ないし液晶セルを透過する光の反射損の防止や、前記の防眩処理層と同様に、広視野角偏光板ないし液晶表示層等に入射する光の表面反射による視認阻害の防止などを目的に付設されるものであり、例えばシート等に干渉性の単層又は多層の蒸着膜を付与する方式などにより形成される。従って反射防止膜も広視野角偏光板等の表面に付加した光学層などとしても形成することができる。
【００４０】
本発明による広視野角偏光板を形成する重畳体は、上記の如く延伸フィルムと偏光板以外の光学部品ないし光学層を１種又は２種以上用いたものであってもよい。また例えば位相差板等の同種の光学部品等を２層以上積層したものであってもよく、その場合、光学部品等の特性は同じであってもよいし、相違していてもよい。
【００４１】
広視野角偏光板を形成する延伸フィルムは、重畳体の片外面や両外面、重畳体を形成する光学部品等の片面や両面などの重畳体の外部や内部の適宜な位置に１層又は２層以上が配置されていてよい。従って広視野角偏光板は、それを形成する延伸フィルムと偏光板が隣接したものであってもよいし、それらの間に他の光学部品等が介在したものであってもよい。
【００４２】
本発明において広視野角偏光板を形成する延伸フィルムと偏光板の配置関係は、延伸フィルムの透過・散乱特性を有効に活用する点などより、図３に矢印で例示した如く、延伸フィルム１の△ｎ¹方向、従って遅相軸方向と偏光板３の透過軸Ｔとが平行関係となるように配置される。その平行関係は、上記した延伸フィルムを重畳する場合に準じうる。
【００４３】
前記により、偏光板又は延伸フィルムの△ｎ²方向を透過した直線偏光をその偏光状態を良好に維持した状態で両方向に透過させることができると共に、延伸フィルムの△ｎ¹方向を透過した直線偏光を散乱拡散でき、液晶セルによる黒表示に当該△ｎ²方向を対応させた、従って直線偏光の振動面が黒表示に直交する白表示には当該△ｎ¹方向を対応させた広視野角偏光板の配置にて、黒表示は拡散なく、白表示は散乱拡散させた表示像を形成でき、本発明の目的を実現することができる。
【００４４】
本発明による広視野角偏光板は、上記した特長を有することより透過型や反射型、あるいは透過・反射両用の液晶表示装置の形成などに好ましく用いうる。その液晶表示装置の例を図４、図５に示した。３，３１が偏光板、４が液晶セル、５が鏡面反射板である。図４は透過型のものを例示しており、図５は反射型のものを例示している。なお図４の透過型においては、偏光板３１側の視認背面側に通例配置されるバックライトシステムの図示が省略されている。
【００４５】
延伸フィルム１と偏光板３からなる広視野角偏光板は、その延伸フィルムの△ｎ¹方向が、従って偏光板の透過軸Ｔが液晶セル４の黒表示に対応するように配置されている。なお前記の図例では、広視野角偏光板が液晶セル４の視認側に延伸フィルム１を内側にして配置されており、この配置関係が視認特性などの点より一般に好ましいが、例えば反射型では偏光板３を内側に配置する方式や、透過型では液晶セル４の視認背面側に広視野角偏光板を配置する方式などの如く、広視野角偏光板の配置位置は、適宜に決定することができる。
【００４６】
液晶表示装置は一般に、偏光板、液晶セル、反射板又はバックライト、及び必要に応じての光学部品等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成される。本発明においては、上記した広視野角偏光板を用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じて形成することができる。
【００４７】
従って液晶表示装置の形成に際しては、上記した光学部品や光学層を付加した広視野角偏光板とする場合の如く、例えば視認側の表面に設ける防眩処理層や反射防止膜、保護層や保護板、あるいは液晶セルと視認側等の偏光板の間に設ける位相差補償板などの適宜な光学部品ないし光学層を適宜な位置に１層又は２層以上配置することができる。
【００４８】
前記の位相差補償板は、上記したように複屈折の波長依存性などを補償して視認性を向上させることなどを目的とするものであり、視認側又は／及び視認背面側の偏光板と液晶セルの間等に配置される。なお位相差補償板としては、波長域などに応じて上記した位相差板などの適宜なものを用いうる。また位相差補償板は、２層以上の位相差層からなっていてもよい。
【００４９】
前記において広視野角偏光板は、液晶セルの片側又は両側の適宜な位置に１層又は２層以上を配置でき、その配置に際しては上記した如く隣接の光学部品などと積層一体化した広視野角偏光板として用いることができる。また液晶表示装置についてもそれを形成する各部品は、図例の如く上記本発明による広視野角偏光板等に準じて接着層２１，２２を介し接着一体化されていることが好ましい。
【００５０】
【実施例】
実施例１
ＡＳ樹脂３００部（重量部、以下同じ）を含有する１８重量％ジクロロメタン溶液とシアノ系ネマチック液晶（チッソ社製、ＧＲ−４１）１００部を混合し、キャスト法にて厚さ２０μmのフィルムを得たのち、それを１．２倍に延伸処理して、屈折率差△ｎ¹が０．２０で、△ｎ²が０．００７であり、面内の平均位相差が１１０nmでその遅相軸が△ｎ¹方向と一致した延伸フィルムを形成し、その延伸フィルムと市販の全光線透過率が４１％で透過光の偏光度が９９％の偏光板を△¹方向と透過軸が一致するようにアクリル系粘着層を介し接着して広視野角偏光板を得た。
【００５１】
次に前記の広視野角偏光板を延伸フィルムを内側にして、その△²方向が黒表示に対応するようにアクリル系粘着層を介し液晶セルに接着し、セルの他面にアクリル系粘着層を介し偏光板を接着して透過型の液晶表示装置（図４）を得た。なお前記の延伸フィルムにおいて、シアノ系ネマチック液晶からなるドメイン部分は、均等分布性よく粒子状で分散しており、そのドメインを偏光顕微鏡により２００倍で観察して位相差による着色に基づきその平均径を求めた結果、約１μmであった。
【００５２】
比較例１
延伸フィルムを用いた広視野角偏光板を用いずに、偏光板のみを用いたほかは実施例１に準じて液晶表示装置を得た。
【００５３】
比較例２
延伸フィルムに代えて、透明微粒子を含有して面内の平均位相差が５nmの光拡散板を用いた（広視野角）偏光板を得て、それを用いたほかは実施例１に準じて液晶表示装置を得た。
【００５４】
比較例３
延伸フィルムとして、ポリカーボネートフィルムを一軸延伸した面内の平均位相差が１１５nmのものを用いて（広視野角）偏光板を得て、それを用いたほかは実施例１に準じて液晶表示装置を得た。
【００５５】
評価試験
実施例、比較例で得た液晶表示装置をその（広視野角）偏光板側を視認側として、バックライト上に配置し、コントラスト、表示像のボケ、光の拡散性と視野角の広さを良好、普通、不良の三段階で評価した。
【００５６】
前記の結果を次表に示した。

【００５７】
表より、実施例ではコントラストの低下や表示像のボケを発生することなく、光が良好に拡散されて広い視野角が達成されていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図１】広視野角偏光板例の断面図
【図２】他の広視野角偏光板例の断面図
【図３】広視野角偏光板における延伸フィルムと偏光板の配置関係の説明図
【図４】液晶表示装置例の断面図
【図５】他の液晶表示装置例の断面図
【符号の説明】
１：延伸フィルム
１１，１３，１５，１７：延伸フィルム
ｅ：微小領域
１２，１４，１６：接着層
２，２１，２２：接着層
３，３１：偏光板
４：液晶セル
５：鏡面反射板

Claims

偏光板と面内の平均位相差が５０〜２００nmの延伸フィルムの重畳体からなり、その延伸フィルムがポリマー類と液晶類、等方性ポリマーと異方性ポリマー、又は異方性ポリマー同士による、延伸処理で複屈折特性が相違する領域を形成する組合せで得たフィルムの延伸処理で形成した複屈折特性相違の微小領域を分散含有して、その微小領域と他の部分との屈折率差△ｎ^１、△ｎ^２が直線偏光の最大透過率を示す軸方向に直交する方向において０．０３以上（△ｎ^１）で、かつ最大透過率の軸方向において０．０１以下（△ｎ^２）であると共に、当該延伸フィルムの△ｎ^１方向と遅相軸方向と偏光板の透過軸が平行関係にあることを特徴とする広視野角偏光板。
請求項１に記載の広視野角偏光板を液晶セルの片側又は両側に有することを特徴とする液晶表示装置。
請求項２において、偏光板と延伸フィルムがアクリル系粘着層を介し液晶セルに接着された液晶表示装置。
請求項２又は３において、視認側の表面に防眩処理層又は反射防止層を有する液晶表示装置。