JP4001427B2 - 光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法 - Google Patents

光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ウェハ上に形成されているレジスト層にマスクパターンを転写するため、従来、光縮小投影露光装置が用いられている。この従来装置の原理的構成を図6に示す。また、図7及び図8は、従来方法の説明図である。
【0003】
図6に示すように、従来の光縮小投影露光装置では、実寸の5倍ないし10倍のパターンを有するガラスマスク92に光源90からコンデンサーレンズ91を介して光が当てられ、ガラスマスク92上に描かれているマスクパターン93が投影レンズ94で1/5倍ないし1/10倍に縮小されて、ウェハ96上のレジスト層に投影される。1ショットで露光できる領域が15mm×15mm前後であるため、ウェハ96の位置がウェハステージ95で順次水平方向に自動的に移動されて、レジスト層全体が露光される。
【0004】
通常は、ウェハ96には、所望の素子構成層とスクライブラインとが設けられているので、レジスト層の表面は凹凸面である。したがって、上述の露光工程に入る前に、1ショットで露光できる各領域で、光縮小投影露光装置の焦点合わせ作業を行う必要がある。図7及び8に示すように、ここで、ウェハ96とは、基板100と、この基板100上に形成されている所望の素子構成層101とを有している。そして、素子構成層101が形成されている領域を素子領域106とし、周知の如く、素子領域106間にスクライブライン107が設けられており、このスクライブライン107が設けられている領域をスクライブライン領域105とする。
【0005】
焦点合わせ作業とは、ウェハ96上に設けられたレジスト層102の、素子領域106における第2レジスト層部分103にマスクパターン93が鮮明に露光されるように、第2レジスト層部分103の表面に対して、光縮小投影露光装置の投影レンズ94の焦点を合わせる作業である。焦点合わせ作業には、第1工程と、必要に応じてこの第1工程に続いて行われる第2工程とが含まれる。
【0006】
第1工程は、フォーカスセンサ97を使用して、光縮小投影露光装置の投影レンズ94の焦点を、レジスト層102の表面上に設定する工程である。フォーカスセンサ97は、発光器98及び受光器99を具える。発光器98と受光器99とは、光縮小投影露光装置に対して固定されている。まず、ウェハ96をウェハステージ95に搭載させて、鉛直方向に対して暫定的に固定する。続いて、発光器98からレジスト層102の表面に向けて光を出射すると、レジスト層102の表面上の反射点PR で光が反射されて、この反射光は、受光器99に入射される。そして、受光器99でこの反射光の反射強度を測定する。受光器99に入射された光の反射強度は、ウェハ96を鉛直方向に移動させることにより漸次的に変化する。
【0007】
図7に示すように、受光器99によって測定された第2レジスト層部分103からの反射光の反射強度が最大であるとき、ウェハ96を固定する。受光器99によって測定された第2レジスト層部分103からの反射光の反射強度が最大であるときのレジスト層102の反射領域、すなわち光縮小投影露光装置の投影レンズ94の焦点が合った平面的な領域が、フォーカシング領域108である。受光器99によって測定された第2レジスト層部分103からの反射光の反射強度が最大であるとき、レジスト層102の、フォーカシング領域108における第2レジスト層部分103の表面は、光縮小投影露光装置の投影レンズ94の焦点に合っているか、または、この焦点を中心とした焦点深度FD内の空間領域に入る。
【0008】
或いは、図8に示すように、受光器99によって測定された、レジスト層102の、フォーカシング領域108における第1レジスト層部分104の表面からの反射光の反射強度が最大であるとすると、フォーカシング領域108は、スクライブライン領域105内にある。
【0009】
図8に示す例では、続く第2工程は、第2レジスト層部分103の表面が、光縮小投影露光装置の投影レンズの焦点を中心とした焦点深度の空間領域の外側に位置する場合、第2レジスト層部分103の表面が、光縮小投影露光装置の投影レンズ94の焦点に合うか、または、この焦点を中心とした焦点深度内の空間領域に入るように、ウェハ96を鉛直方向に沿って移動させる工程である。
【0010】
以上の第1工程と、必要に応じてこの第1工程及に続いて行われる第2工程を経て、焦点合わせ作業は完了する。焦点合わせ作業終了後、第2レジスト層部分103の表面は、光縮小投影露光装置の投影レンズ94の焦点を中心とした焦点深度内の空間領域に位置するから、第2レジスト層部分103に対して、鮮明にマスクパターン93を投影し、露光することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ウェハが具える素子の種類によって、素子領域の大きさが変わるから、素子領域の配列位置が変わり、その結果、ウェハの種類に応じて、スクライブライン領域の配列位置も変わる。しかも、ウェハの種類に応じて、第1レジスト層部分と、第2レジスト層部分との高低差も異なる。したがって、縮小露光すべきウェハの種類に応じて、スクライブライン領域での焦点合わせを行い、しかも、ウェハの種類毎に、第2レジスト層部分の表面を、光縮小投影露光装置の投影レンズの焦点を中心とした焦点深度の空間領域内の位置に設定するための、ウェハを鉛直方向に沿って移動させる量が異なっていた。ウェハの種類毎に、ウェハを鉛直方向に沿って移動させる量が異なると、手間がかかるだけでなく、この移動に関する光縮小投影露光装置の設定ミスは増える。その結果、露光作業の効率が落ちて、ウェハの生産性は下がる。
【0012】
そこで、ウェハの種類に依存せずに、光縮小投影露光装置の焦点合わせの決定をより簡単に行うことができる焦点合わせの方法の出現が望まれていた。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述した点に鑑み、発明者は、種々の実験を行い、様々の検討を行った結果、ウェハの種類が異なっていても、それぞれのウェハ自体のスクライブライン領域内にフォーカシング領域がおさまるようにウェハにスクライブラインを設定し、しかも、第1レジスト層部分の表面の高さと第2レジスト層部分の表面の高さとの高低差が、ウェハの種類によらず、同一実質的に同一となる場合を含む)となるように、必要に応じてレジスト層を設けておけば、いずれの種類のウェハに対しても、上述の第1工程で第1レジスト層部分の表面で焦点合わせを行った後、必要に応じて同一量の高低差だけウェハを鉛直方向に移動させることにより、第2工程での焦点合わせを達成できるという結論に至った。
【0014】
そこで、この発明の光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法は、まず、表面でのフォーカシング領域が、ウェハの素子領域間のスクライブライン領域内に定まるように、ウェハの素子領域を予め配列させておき、さらに、スクライブライン領域上に設けられたレジスト層である第1レジスト層部分の表面の高さと素子領域上に設けられたレジスト層である第2レジスト層部分の表面の高さとの高低差がウェハの種類によらずに同一となるように、スクライブライン領域上及び素子領域上に、レジスト層を予め設けておく。そして、レジスト層の、フォーカシング領域における第1レジスト層部分に対する焦点合わせを行う。
【0015】
上述のこの発明の方法によれば、スクライブライン領域の第1レジスト層部分の表面で焦点合わせを行う。このスクライブライン領域には、素子領域とは異なり、素子構成のための所望の層等は形成されていない。そのため、第1レジスト層部分の表面は、スクライブライン領域と素子領域との境界の傾斜領域を除き、広範囲にわたり平坦となっている。したがって、第1レジスト層部分の平坦な表面では、乱反射は生じないと考えられるため、フォーカスセンサの光源からの光の反射光に対する反射強度の最大値は、より確実にかつ容易に測定でき、よって焦点合わせを確実に行える。
【0016】
かも、この発明の方法によれば、異なる種類のウェハ間においても、第1レジスト層部分の表面の高さと、第2レジスト層部分の表面の高さとの高低差が、同一実質的に同一となる場合を含む)となる。そのため、第1レジスト層部分の表面で決定されたウェハ位置から、それぞれのウェハを上述の高低差分に対応する同一移動量(調節量)だけ一律に鉛直方向に移動させることによって、この移動後の第2レジスト層部分の表面の位置を焦点の合った位置であると決定できる。
【0017】
上述した第1レジスト層部分の表面の高さと、第2レジスト層部分の表面の高さとの高低差を、同一または実質的に同一にするために、好ましくは、第1レジスト層部分を、ウェハ面上に直接設けても良いし、或いは、好ましくは、第1レジスト層部分を、ウェハ面上にダミー膜を介在させて設けても良い。
【0018】
上述のこれらの発明の方法によれば、続く工程で、第1レジスト層部分の表面は、第2レジスト層部分の表面を、光縮小投影露光装置の投影レンズの焦点を中心とした焦点深度の空間領域内に位置決めするように、ウェハを移動させる際の基準面となる。
【0019】
この発明の実施に当たり、好ましくは、レジスト層の、素子領域における第2レジスト層部分の表面が、光縮小投影露光装置の投影レンズの焦点を中心とした焦点深度の空間領域内の位置にあるのが良い。
【0020】
上述のこの発明の方法によれば、第2レジスト層部分の表面が、光縮小投影露光装置の投影レンズの焦点を中心とした焦点深度の空間領域内の位置にあるから、ウェハを改めて移動させることなく、第2レジスト層部分に鮮明にマスクパターンを投影して、露光することができる。
【0021】
この発明の実施に当たり、好ましくは、第1レジスト層部分に対する焦点合わせ後に、レジスト層の、素子領域における第2レジスト層部分の表面が、光縮小投影露光装置の投影レンズの焦点を中心とした焦点深度の空間領域の外側に位置する場合、
第2レジスト層部分の表面が光縮小投影露光装置の投影レンズの焦点を中心とした焦点深度の空間領域内の位置にくるように、ウェハを鉛直方向に沿って移動させ、この移動により第2レジスト層部分に対する焦点合わせを行うのが良い。
【0022】
上述のこの発明の方法によれば、第2レジスト層部分の表面は光縮小投影露光装置の投影レンズの焦点を中心とした焦点深度の空間領域内の位置にくるから、その結果、第2レジスト層部分に鮮明にマスクパターンを投影して、露光することができる。
【0023】
この発明の実施に当たり、好ましくは、レジスト層が塗布されている一枚のウェハには、第2レジスト層部分の表面の高さが異なる複数の素子領域があり、
異なる複数の各素子領域間の、第1レジスト層部分の表面に対する、各第2レジスト層部分の表面の高さの差が、焦点深度以内の値にそれぞれあれば良い。
【0024】
上述のこの発明の方法によれば、必要に応じて鉛直方向にウェハを移動させて、第2レジスト層部分の各々の表面を、光縮小投影露光装置の投影レンズの焦点を中心とした焦点深度の空間領域内の位置にそれぞれ移動させることができる。したがって、第2レジスト層部分の各々に鮮明にマスクパターンを投影して、露光することができる。
【0025】
この発明の実施に当たり、好ましくは、異なる種類の各ウェハ間の、第1レジスト層部分の表面に対する、各第2レジスト層部分の前記表面の高さの差が、焦点深度以内の値にそれぞれあれば良い。
【0026】
上述のこの発明の方法によれば、ウェハの種類に関わらず、一定量だけ鉛直方向にウェハを移動させて、各種のウェハにおける第2レジスト層部分の表面を、光縮小投影露光装置の投影レンズの焦点を中心とした焦点深度の空間領域内に位置決めすることができる。よって、ウェハの種類に依存せず、一律にウェハの移動量を設定できるから、各種のウェハ毎に、上述の移動量を変える必要はない。したがって、焦点合わせ作業の効率が上がり、ウェハの生産性は向上する。
【0027】
この発明の実施に当たり、好ましくは、レジスト層の全表面の高低差が焦点深度以内の値にあるように、必要に応じて、レジスト層の、スクライブライン領域におけるレジスト層部分を、ウェハ面上にダミー膜を介在させて設けるのが良い。
【0028】
上述のこの発明の方法によれば、レジスト層の全表面の高低差は焦点深度以内の値にあるから、光縮小投影露光装置の投影レンズの焦点を、レジスト層の表面に任意に設定しても、第2レジスト層部分に鮮明にマスクパターンを投影し、露光することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して、この発明の光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法の実施の形態につき説明する。なお、各図は、この発明が理解できる程度に、各構成成分の形状、大きさ及び配置関係を概略的に示してあるにすぎず、したがって、この発明は、図示例に限定されるものではない。
【0030】
「第1の実施の形態」
まず、図1を参照して、この発明の光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法の第1の実施の形態につき説明する。
【0031】
図1(A)は、光縮小投影露光装置によっておおよそ1ショットで露光される範囲のウェハを上方から見たときの概略的平面図の一例を示し、図1(B)は、図1(A)の平面図をa−a線で切った断面図を示す。図1(A)では、ウェハ10の表面全体上に、レジスト層11が形成されている。実際には、レジスト層11の表面は、高低差の小さななだらかな凹凸面であるが、図1(B)では、この凹凸形状を強調するために、この凹凸形状の高低差をあえて大きくして、レジスト層11の表面を示してある。
【0032】
ここで、ウェハ10は、基板12と、基板12上に形成された2個の素子構成層13とを有する。また、素子構成層13が形成されている領域を素子領域17と称する。素子領域17間のウェハ領域は、スクライブライン領域18である。
【0033】
ところで、光縮小投影露光装置のウェハステージにウェハ10を搭載する位置は固定されてある。したがって、ウェハ10の種類によって素子領域17の配列が異なれば、光縮小投影露光装置の投影レンズに対するスクライブライン領域18の相対位置も変わってくる。
【0034】
そこで、第1の実施の形態を実施にするに当たり、まず、ウェハ10をウェハステージに搭載させたとき、フォーカシング領域19が、ウェハ10の素子領域17間のスクライブライン領域18内に定まるように、全ての種類のウェハ10の素子領域17を予め配列させておく。図1(A)に示す構成例では、フォーカシング領域19を、おおよそ1ショットで露光される領域のウェハ10のほぼ中央に位置させている。したがって、このウェハ10の構成例では、上述の1ショットで露光される領域のウェハ10のほぼ中央に、スクライブライン領域18がくるように、素子領域17を配置させている。
【0035】
そして、この構成例では、スクライブライン領域18にダミー膜14を設けている。このダミー膜14は、スクライブライン領域18の全域に設けても良く、或いは部分的に設けても良く、どちらにするかは設計上の問題である。しかし、好ましくは、ウェハ10上の焦点が合わせられる領域に、部分的にダミー膜14を設けるのが良い。
【0036】
そして、ダミー膜14が設けられたウェハ10の全面に、レジスト層11を設けてある。すなわち、第1レジスト層部分15を、ウェハ10面上にダミー膜14を介在させて設けている。しかも、この構成例では、図1(B)に示すように、ダミー膜14の厚さと、素子構成層13の厚さをほぼ等しくしているので、ダミー膜14上に形成されている第1レジスト層部分15の表面の高さと、素子構成層13上に形成されている第2レジスト層部分16の表面の高さはほぼ等しい。
【0037】
このように搭載してあるウェハ10を、光縮小投影露光装置のウェハステージに搭載する。
【0038】
そして、レジスト層11の部分のうち、フォーカシング領域19に設けられている第1レジスト層部分15に対する焦点合わせを行う。ここでは、ダミー膜14上の第1レジスト層部分15の表面に対し焦点合わせを行う。
【0039】
上述の第1の実施の形態の焦点合わせの決定方法によれば、スクライブライン領域18の第1レジスト層部分15の表面で焦点合わせを行う。このスクライブライン領域18には、素子領域17とは異なり、素子構成のための所望の層等は形成されていない。そのため、第1レジスト層部分15の表面は、スクライブライン領域18と素子領域17との境界の傾斜領域を除き、広範囲にわたり平坦となっている。また、ダミー膜14を設けた場合でも、ダミー膜14の上面は平坦面となる。したがって、ダミー膜14上の第1レジスト層部分15の平坦な表面では、乱反射は生じないと考えられるため、フォーカスセンサの光源からの光の反射光に対する反射強度の最大値を、より確実にかつ容易に測定でき、よって焦点合わせを確実に行える。
【0040】
上述した構成例では、レジスト層11の部分のうち、ダミー膜14上の第1レジスト層部分15と第2レジスト層部分16の高さは、基板12面からほぼ同一の高さとなっているので、第2レジスト層部分16の表面が光縮小投影露光装置の投影レンズの焦点を中心とした焦点深度FDの空間領域(基板面に垂直な方向に沿った範囲の領域)内に既に位置している。したがって、ウェハ10を改めて移動させることなく、第2レジスト層部分16に鮮明にマスクパターンを投影し、露光することができる。
【0041】
「第2の実施の形態」
次に、図2及び図3を参照して、この発明の光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法の第2の実施の形態につき説明する。
【0042】
図2(A)及び図3(A)は、互いに異なるウェハ10について、光縮小投影露光装置によって1ショットで露光される範囲を上方から見たときの概略的平面図の一例をそれぞれ示し、図2(B)及び図3(B)は、図2(A)及び図3(A)を、それぞれb−b線及びc−c線で切った断面図をそれぞれ示す。実際には、各レジスト層11の表面は、それぞれ高低差の小さななだらかな凹凸面であるが、これらの凹凸形状を強調するために、上述の凹凸形状の高低差をあえて大きくして、図2(B)及び図3(B)のレジスト層11の表面はそれぞれ描かれている。図2(A)及び図3(A)では、各ウェハ10の表面全体上に、レジスト層11がそれぞれ形成されている。
【0043】
図2及び図3で説明する構成例において、図1で説明した構成例と共通する構成成分についての説明は、必要がある場合を除き、その重複説明を省略する。
【0044】
図2(A)及び図2(B)で示す構成例では、レジスト層11をウェハ10の上面に直接設けており、また、図3(A)及び図3(B)で示す構成例では、レジスト層11を、スクライブライン領域18にはダミー膜14を設けてから、ウェハ10の上面に設けている。
【0045】
図2(A)及び図2(B)に示す構成例では、ウェハ10を構成するそれぞれの素子構成層13の基板12の表面からの高さH1 が同一か実質的に同一である。そして、スクライブライン領域18にダミー膜14を設けずに、ウェハ10の全面に一様の膜厚でレジスト層11を設けてある。したがって、第1レジスト層部分15の表面と、第2レジスト層部分16の表面との高低差ΔH1 も、同一ウェハ10内では均一である。この場合には、第1レジスト層部分15の表面で、まず光縮小投影露光装置の焦点合わせを行う。そして、この面での焦点合わせの済んだ後に、この光縮小投影露光装置の焦点合わせ位置はそのままにして、ウェハ10を高低差ΔH1 に対応する移動量(調節量)ΔZ(=ΔH1 )だけ、基板12の表面に垂直な方向に沿って移動させて、第2レジスト層部分16の表面を光縮小投影露光装置の焦点にもたらす。この図2(A)及び図2(B)の構成例では、ウェハ10の上面に対して鉛直方向下方にウェハ10を移動させれば良い。勿論、この移動は、高低差ΔH1 と全く等しい移動量だけウェハ10を移動させるのが好ましいが、必ずしもその必要はなく、露光されるべき第2レジスト層部分16が、光縮小投影露光装置の投影レンズの焦点を中心とした焦点深度の空間領域内の位置にくるように、ウェハ10を動かせば良い。
【0046】
図3(A)及び図3(B)に示す構成例では、図2(A)及び図2(B)に示したウェハ10とは別の種類のウェハ10を示している。図3に示すウェハ10の場合には、基板12の表面からのそれぞれの素子構成層13の高さH2 が同一か実質的に同一であって、ウェハ10内では均一である。そして、この高さH2 は、図2のウェハ10の高さH1 よりも高い(H2 >H1 )。したがって、同一の光縮小投影露光装置で図2のウェハ10と図3のウェハ10に対し、個別に上述したような露光処理を行う場合、既に説明したことからも理解できるように、第2レジスト層部分16に対する焦点合わせのための、ウェハ10の移動量が互いに異なってしまう。そのため、図3のウェハ10の場合には、スクライブライン領域18にダミー膜14を設けて、図2及び図3のウェハ10に対して、同一または実質的に同一の移動量で済むようにしている。したがって、このダミー膜14の膜厚H3 としては、好ましくは、H2 −ΔH1 =H3 となるように、設定するのが良い。このように、図3のウェハ10には、素子領域17とスクライブライン領域18との間の、ウェハ10の上面側の高さ調整を予め行った後に、ウェハ10の上面側の全面に均一の膜厚でレジスト層11を形成してある。このように、高さ調整用のダミー膜14が形成されているウェハ10に設けたレジスト層11に生じた高低差をΔH2 とする。すなわち、第1レジスト層部分15の表面と、第2レジスト層部分16の表面との高低差がΔH2 である。
【0047】
前述した通り、この高低差ΔH2 は、ΔH1 と等しいのが理想的であるが、この高低差間の差δは、すなわちδ=| ΔH1 −ΔH2|は、光縮小投影露光装置の焦点深度以内の値であれば良い。このようにすれば、図3のウェハ10に対してもその移動量(調節量)ΔZをΔH1 とすれば良いので、図3の構成例の場合にも、第2レジスト層部分16の表面を、光縮小投影露光装置の焦点に合わせるためには、ウェハ10を基板12面に対して、垂直方向下方にΔZ(=ΔH1 )だけ移動させれば良い。この移動量は、図2のウェハ10の移動量と同一または実質的に同一の移動量である。
【0048】
このように、第1レジスト層部分15の表面に対する焦点合わせを行った後、両ウェハ10の種類に関わらず、一定量ΔZだけ鉛直下方にウェハ10を移動させて、両ウェハ10における第2レジスト層部分16の表面を、光縮小投影露光装置の投影レンズの焦点を中心とした焦点深度以内の空間領域にそれぞれ設定することができる。よって、両ウェハ10の種類に依存せず、一律にウェハ10の鉛直方向下方に対する移動量ΔZを設定できるから、各種のウェハ10毎に、鉛直方向に対する移動量を変える必要はない。したがって、焦点合わせ作業の効率が上がり、ウェハ10の生産性は向上する。
【0049】
「第3の実施の形態」
次に、図4を参照して、この発明の光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法の第3の実施の形態につき説明する。
【0050】
図4(A)は、光縮小投影露光装置によって1ショットで露光される範囲のウェハ10を上方から見たときの概略的平面図の一例を示し、図4(B)は、図4(A)の平面図をd−d線で切った断面図を示す。図4でも、実際には、レジスト層11の表面は、高低差の小さななだらかな凹凸面であるが、図4(B)でも、この凹凸形状を強調するために、上述の凹凸形状の高低差をあえて大きくして、レジスト層11を示してある。なお、図4中、図1〜図3で説明した構成例と共通する構成部分については、特に必要がある場合を除き、その重複説明を省略する。
【0051】
この第3の実施の形態では、基板12上に設けられている素子構成層13に高低差がある場合の構成例につき説明する。図4に示す構成例では、スクライブライン領域18の両側の素子構成層13、13の高さは、それぞれH4 及びH5 とある。そして、これら素子構成層13、13の表面の高低差Δh=H5 −H4 (H5 >H4 とする)であるとする。この場合、この高低差Δhは、光縮小投影露光装置の焦点深度以内の値である場合には、両素子構成層13、13上に設けられたレジスト層11の第2レジスト層部分16、16の表面の高低差も、この焦点深度以内の値とすることができる。したがって、両第2レジスト層部分16、16に対して、一括露光処理で露光することができる。
【0052】
そのために、まず、スクライブライン領域18にダミー膜14を設ける。この場合、ダミー膜14の高さは、高低どちらの素子構成層13、13の高さH4 またはH5 に一致させても良い。しかし、好ましくは、低い方の素子構成層13の表面の高さH4 と一致させておくのが良い。このように、ダミー膜14を形成した後、ウェハ10の上面側全面に膜厚均一のレジスト層11を設ける。この場合、第1レジスト層部分15と第2レジスト層部分16の最大高低差ΔH3 はΔhとなる。そして、第1レジスト層部分15に対して焦点合わせを行う。この第1レジスト層部分15の表面に焦点が合えば、その面よりも高い第2レジスト層部分16の表面は、この焦点時の焦点深度内の高さにあるので、全ての第2レジスト層部分16の領域に焦点が合っていることになる。この場合には、ウェハ10を移動させないで、そのまま露光させればよい。
【0053】
この素子構成層13、13の最大許容高低差Δhmax は、焦点深度の値に対応する。その場合には、ダミー膜14の高さは、最大焦点深度の1/2の値と設定すれば良い。なお、この第3の実施の形態では、ダミー膜14を設けた例につき説明した。しかし、図2に示した構成例の場合と同様に構成して、ダミー膜14を設けずに、ウェハ10を移動させるように構成しても良い。
【0054】
この第3の実施の形態の構成例では、第1レジスト層部分15の表面に対する焦点合わせを行った時点で、第2レジスト層部分16の各々の表面が、光縮小投影露光装置の投影レンズの焦点を中心とした焦点深度以内の空間領域にそれぞれ既に含まれる。したがって、第2レジスト層部分16に上述の焦点を合わせるためにウェハ10をあらためて移動させることなく、第2レジスト層部分16の各々に鮮明にマスクパターンを投影し、露光することができる。
【0055】
「第4の実施の形態」
まず、図5を参照して、この発明の光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法の第4の実施の形態につき説明する。
【0056】
図5(A)は、光縮小投影露光装置によって1ショットで露光される範囲のウェハ10を上方から見たときの概略的平面図の一例を示し、図5(B)は、図5(A)の平面図をe−e線で切った断面図を示す。図5でも、実際には、レジスト層11の表面は、高低差の小さななだらかな凹凸面であるが、図5(B)でも、この凹凸形状を強調するために、上述の凹凸形状の高低差をあえて大きくして、レジスト層11を示してある。なお、図5中、図1〜図4で説明した構成例と共通する構成部分については、特に必要がある場合を除き、その重複説明を省略する。
【0057】
ここで説明する構成例では、素子構成層13のそれぞれの高さが同一とし、それぞれのスクライブライン領域18に、ダミー膜14を、このスクライブライン領域18をほぼ埋め込むように、素子構成層13からは一定の距離を離させて設けている。このダミー層14の高さは、この構成例では、素子構成層13の高さと一致させてある。そして、このダミー層14を含むウェハ10の上面全体に、膜厚が均一のレジスト層11が設けられている。よって、この構成例では、第1レジスト層部分15は、基板12上にダミー膜14を介して設けられている。そして、第1及び第2レジスト層部分15及び16の表面の高さは、同一または実質的に同一である。したがって、図5に示すように、レジスト層11の全表面には、実質的に凹凸が存在しないか、或いは、凹凸が存在したとしても、その高低差が焦点深度以内の値にくるように、このレジスト層11が形成されている。
【0058】
この第4の構成例では、レジスト層11の全表面の高低差が焦点深度以内にあるから、光縮小投影露光装置の投影レンズの焦点を、レジスト層11の表面に任意に設定しても、第1レジスト層部分15の表面はもとより、レジスト層11の表面の任意の箇所に設定しても、第2レジスト層部分16に鮮明にマスクパターンを投影し、露光することができる。
【0059】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、この発明の光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法によれば、フォーカシング領域をスクライブライン領域内に設定することによって、スクライブライン領域における第1レジスト層部分の表面は、素子領域における第2レジスト層部分の表面を、光縮小投影露光装置の焦点を中心とする焦点深度の空間領域内の位置に設定する際の基準面となる。この発明の方法によれば、異なる種類のウェハ間においても、その第1レジスト層部分の表面の高さと、第2レジスト層部分の表面の高さとの高低差が、同一(実質的に同一となる場合を含む)となる。そのため、第1レジスト層部分の表面で決定されたウェハ位置から、それぞれのウェハを上述の高低差分に対応する同一移動量(調節量)だけ一律に鉛直方向に移動させることによって、この移動後の第2レジスト層部分の表面の位置を焦点の合った位置であると決定できる。したがって、焦点合わせの決定をより簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態で使用されるレジスト層及びダミー膜を有するウェハの一例を示した図である。
【図2】この発明の第2の実施の形態で使用されるレジスト層を有するウェハの一例を示した図である。
【図3】この発明の第2の実施の形態で使用されるレジスト層及びダミー膜を有するウェハの一例を示した図である。
【図4】この発明の第3の実施の形態で使用されるレジスト層及びダミー膜を有するウェハの一例を示した図である。
【図5】この発明の第4の実施の形態で使用されるレジスト層及びダミー膜を有するウェハの一例を示した図である。
【図6】光縮小投影露光装置の概略的構造を示した図である。
【図7】反射点PR が素子領域106内にあるウェハの一例を示した図である。
【図8】反射点PR がスクライブライン領域105内にあるウェハの一例を示した図である。
【符号の説明】
10:ウェハ
11:レジスト層
12:基板
13:素子構成層
14:ダミー膜
15:第1レジスト層部分
16:第2レジスト層部分
17:素子領域
18:スクライブライン領域
19:フォーカシング領域
90:光源
91:コンデンサーレンズ
92:ガラスマスク
93:マスクパターン
94:投影レンズ
95:ウェハステージ
96:ウェハ
97:フォーカスセンサ
98:発光器
99:受光器
107:スクライブライン

Claims (8)

  1. 光縮小投影露光装置のフォーカスセンサの光源からの光をウェハ上のレジスト層の表面にフォーカスさせ、該表面からの反射光の強度の測定の結果に基づいて焦点合わせを決定するに当たり、
    前記表面でのフォーカシング領域が、前記ウェハの素子領域間の、素子構成のための層が形成されていないスクライブライン領域内に定まるように、該ウェハの前記素子領域を予め配列させておき、
    さらに、前記スクライブライン領域上に設けられた前記レジスト層である第1レジスト層部分の表面の高さと前記素子領域上に設けられた前記レジスト層である第2レジスト層部分の表面の高さとの高低差がウェハの種類によらずに同一となるように、前記スクライブライン領域上及び前記素子領域上に、前記レジスト層を予め設けておき、
    前記レジスト層の、前記フォーカシング領域における前記第1レジスト層部分に対する焦点合わせを行うことを特徴とする光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法。
  2. 請求項1に記載の光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法において、
    前記第1レジスト層部分を、前記ウェハ面上に直接設けることを特徴とする光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法。
  3. 請求項1に記載の光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法において、
    前記第1レジスト層部分を、前記ウェハ面上にダミー膜を介在させて設けることを特徴とする光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法。
  4. 請求項2または3に記載の光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法において、
    前記第1レジスト層部分に対する焦点合わせ後に、前記レジスト層の、前記素子領域における前記第2レジスト層部分の前記表面が、前記光縮小投影露光装置の投影レンズの焦点を中心とした焦点深度の空間領域内の位置にあることを特徴とする光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法。
  5. 請求項2または3に記載の光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法において、
    前記第1レジスト層部分に対する焦点合わせ後に、前記レジスト層の、前記素子領域における前記第2レジスト層部分の前記表面が、前記光縮小投影露光装置の投影レンズの焦点を中心とした焦点深度の空間領域の外側に位置する場合、
    前記第2レジスト層部分の前記表面を前記光縮小投影露光装置の投影レンズの焦点を中心とした焦点深度の空間領域内に位置決めするように、前記ウェハを移動させて、前記第2レジスト層部分に対する焦点合わせを行うことを特徴とする光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法。
  6. 請求項4または5に記載の光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法において、
    前記レジスト層が塗布されている一枚の前記ウェハには、前記第2レジスト層部分の前記表面の高さが異なる複数の前記素子領域があり、
    異なる複数の各前記素子領域間の、前記第1レジスト層部分の前記表面に対する、各前記第2レジスト層部分の前記表面の高さの差が、前記焦点深度以内の値にそれぞれあることを特徴とする光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法。
  7. 請求項5に記載の光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法において、
    異なる種類の各前記ウェハ間の、前記第1レジスト層部分の前記表面に対する、各前記第2レジスト層部分の前記表面の高さの差が、前記焦点深度以内の値にそれぞれあることを特徴とする光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法。
  8. 請求項1に記載の光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法において
    前記レジスト層の全表面の高低差が焦点深度以内の値にあるように、必要に応じて、前記スクライブライン領域における前記第1レジスト層部分を、前記ウェハ面上にダミー膜を介在させて設けることを特徴とする光縮小投影露光装置の焦点合わせ決定方法。
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