JP4001208B2 - 内視鏡下外科手術器具 - Google Patents

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Description

この発明は、内視鏡下外科手術器具に関するものであり、特に腹腔内への挿入部の先端に持針部を設けた持針器に関するものである。
外科手術の基本は剥離,切離,縫合結紮であり、内視鏡下外科手術においても縫合結紮手技は必要不可欠な技術である。従来、内視鏡下外科手術で持針器により縫合結紮を行なう場合、体外で縫合糸を結びそれを腹腔内に送り込み結紮を完成する体外結紮法と腹腔内で鉗子により結紮を行う体内結紮法が行われている。
体外結紮法は簡便な方法であるが、結紮に用いる器具に特殊な工夫が必要である。
体外結紮法では体外で形成した結紮部を腹腔内に挿入するために縫合組織に緊張がかかり組織を損傷する危険性がある。したがって、理想的な結紮法は体内結紮法となる。しかし、体内結紮法は腹腔内という限られた空間で、三次元的な鉗子動作を二次元モニター上で認識し結紮を行うために高度の技術を要求される手技である。
結紮を体内で行う場合、限られた空間では鉗子を用いた縫合糸のコントロールが難しく、この動作を遠近感の認識が難しい二次元モニター上で行う必要があり、この問題の解決のためには体内縫合結紮に用いる器具に工夫を要する。
そして、体内縫合結紮をするための器具も提案されている。
特開2003−220064号公報 特開平6−54855号公報
しかし、持針部とは別に係合手段を設ける方法は、結果として挿入部が太くなったり先端部が大きくなったりして取扱に不便が生じ、またその器具をうまく扱うには相当な熟練を要し、使える範囲が非常に限定されてしまう。
すなわち、結紮を腹腔内で素早く且つ簡単確実に行うようにするためには、従来使用して皆が慣れ親しんでいる持針器と大きな変更がなく、今までと同様な感覚で取り扱うことができるようにする必要がある。
また結紮を腹腔内で行う場合、従来は縫合糸の切断をするためには持針器に替えて剪刀を腹腔内に挿入して余分な縫合糸を切断していたが、このために縫合の完了には持針器から剪刀への器機の腹腔内への入れ替えのタスクが増え、煩雑なものとなっている。
持針器に糸を切断する機能を追加できればこの複雑なタスクは不要となり、鉗子の入れ替えに伴う臓器損傷の危険性も減少する。但し、持針器、補助鉗子にかかわらず、縫合結紮を行う鉗子では糸を把持してコントロールするために、この持針部や把持面に糸切断機能を追加すると誤って結紮時に糸を切断してしまう危険性や、腹腔内での針糸の持ち替え時の切断に危険性があり、特に後者は腹腔内での針を落下紛失する大きな危険性をはらんでいる。したがって、針糸の切断機能は持針部や把持面より離れている必要がある。
そこで、この発明にかかる内視鏡下外科手術器具は上記課題を解決するために、腹腔内への挿入部となる管状シャフト先端に可動ジョーと固定ジョーから構成した持針部を有する内視鏡下外科手術器具において、可動ジョーを遠隔操作により枢支軸により固定ジョーに対し回動可能とし、可動ジョーの枢支軸を挟み反対側の部分を糸係止部となるように形成するとともに、可動ジョーが開いたときには糸係止部が管状シャフトよりも外に突出し、可動ジョーが閉じたときには糸係止部が管状シャフトよりも外に突出しないようにし、また可動ジョーが閉じるときに、糸係止部と管状シャフトの間で縫合糸が切断されるように、可動ジョーと管状シャフトの接触部が鋏みとして機能するようにしたものである。
糸係止部に縫合糸を引っ掛けることにより簡単に縫合糸を結ぶことが可能となり、手術時間の短縮化と手術作業の容易化が図れる。すなわち、糸係止部に糸を引っ掛けることで縫合糸のコントロールを容易にし、二次元モニター上での遠近感の認識が糸係止部を縫合糸に接触させることでさらに容易となる。
また、可動ジョーが閉じるときに、糸係止部と管状シャフトの間で縫合糸が切断されるようにすることにより、結紮時に器具を持ち替えることなく余分な縫合糸を切断することができる。
管状シャフト先端に可動ジョーと固定ジョーから構成した持針部を設け、可動ジョーをハンドルによる遠隔操作により枢支軸により固定ジョーに対し回動可能とする。そして、可動ジョーの枢支軸を挟み反対側の部分に糸係止部を形成し、可動ジョーが開いた状態では糸係止部が管状シャフトよりも外に若干飛び出し、そこで縫合糸が引っ掛けられるようにする。
また、可動ジョーが閉じるときに、糸係止部と管状シャフトの間で縫合糸が切断されるように、可動ジョーと管状シャフトの接触部が鋏みとして機能するようにする。
次に、本発明にかかる内視鏡下外科手術器具の一実施例を、糸切断機能を有さない場合を図1〜図5に基づいて説明する。1は内視鏡下外科手術器具であり、挿入部となる管状シャフト2を挟み先端部には持針部3が、手元側には操作ハンドル4が設けてある。
持針部2は可動ジョー5と固定ジョー6から構成してあり、可動ジョー5と固定ジョー6の接触面にはそれぞれ持針用の凹凸溝などが形成してある。そして、固定ジョー6は管状シャフト2に固定されている。なお、固定ジョー6は管状シャフト2と機能的には一体となっていてもよく、また物理的に一体となっていてもよい。固定ジョー6部分が可動ジョー5との間で持針部2として機能すればよいのである。
管状シャフト2の先端側は上下方向に中央部分にU字形の空間部7が形成してあり、可動ジョー5のハンドル4側部分に細く延出させた軸支部8がこの空間部7を移動可能となっている。そして、可動ジョー5はこの軸支部8において枢支軸9により回動可能に軸支されている。10は可動ジョー5の軸支部8の若干上に連結し、他端がハンドル4に連結してある可動ジョー5開閉用のワイヤである。
可動ジョー5の軸支部8の先端には糸係止部11が設けてある。糸係止部11は、可動ジョー5が開いた状態では、管状シャフト2よりも外に突出し、縫合糸を引っ掛けることができるようにしてある。また可動ジョー5を閉じた状態では、糸係止部11は管状シャフト2よりも外に飛び出さないようにしてある。本器具の体内への出し入れをスムーズにするとともに、糸係止部11で不用意に身体を傷つけたりすることを防ぐために、糸係止部11は必要な時のみ管状シャフト2より突出するようにしておくのである。
12は糸抜け出し空隙であり、可動ジョー5が閉じた状態で、糸係止部11と管状シャフト2の間に縫合糸が自由に移動できる程度に設けた空隙である。結紮完了後に可動ジョー5を閉じたまま、縫合糸を管状シャフト2と糸係止部11の間から外せるようにするためである。
次に、上記内視鏡下外科手術器具の使用方法について説明する。管状シャフト2先端の持針部3の可動ジョー5と固定ジョー6で糸をつけた針を挟持し、所望箇所を縫合する。そして、縫合完了後に糸係止部11で縫合糸を引っ掛けて内視鏡下外科手術器具1を体外側へ引っ張るようにして結紮し、結び目ができたら内視鏡外科手術器具1を体内側へ押し入れるようにして糸係止部11から縫合糸を抜け出させる。そして、新たな縫合箇所で同様な操作を繰り返す。
次に、本発明にかかる内視鏡下外科手術器具の一実施例を、糸切断機能を有する場合を図6〜図9に基づいて説明する。糸切断機能を除き基本的構成は上記実施例1と同じであるので、相違箇所についてのみ説明する。
13は管状シャフト2と可動ジョー5の糸係止部11により糸切断機能を有するようにした鋏である。可動ジョー5の糸係止部11と管状シャフト2が摺動する箇所に刃面がそれぞれ形成してあり、可動ジョー5が閉じる時に糸係止部11と管状シャフトの間で糸が切断できるように構成してある。本実施例の場合は上記実施例1と異なり、管状シャフト2と糸係止部11の間に糸抜け出し空隙12は設けない。
次に、上記内視鏡下外科手術器具の使用方法について説明する。管状シャフト2先端の持針部3の可動ジョー5と固定ジョー6で糸をつけた針を挟持し、所望箇所を縫合する。そして、縫合完了後に図8に示すように糸係止部11で縫合糸を引っ掛けて内視鏡下外科手術器具1を体外側へ引っ張るようにして結紮し、結び目ができたら図9に示すように可動ジョー5を閉じると管状シャフト2と糸係止部11により構成した鋏13により余分な縫合糸は切断されることになる。そして、新たな縫合箇所で同様な操作を繰り返す。
簡単な操作により縫合糸の結紮が行うことができ、各種内視鏡下の外科手術において利用可能である。また操作方法が簡単であるので簡単に習熟することができ、各種の医療レベルにおいて利用することができる。
本発明の内視鏡下外科手術器具の正面図である。 可動ジョーが閉じた状態の持針部の拡大図である。 可動ジョーが開いた状態の持針部の拡大図である。 持針部の拡大底面図である。 図4のA−A線断面図である。 本発明の内視鏡下外科手術器具の他例の持針部拡大正面図である。 図7の底面図である。 糸係止部で縫合糸を係止した状態を示す説明図である。 糸係止部と管状シャフトより構成した鋏で縫合糸を切断した状態を示す説明図である。
符号の説明
1 内視鏡下外科手術器具
2 管状シャフト
3 先端部
4 ハンドル
5 可動ジョー
6 固定ジョー
7 空間部
8 軸支部
9 枢支軸
10 ワイヤ
11 糸係止部
12 糸抜け出し空隙
13 鋏

Claims (1)

  1. 腹腔内への挿入部となる管状シャフト先端に可動ジョーと固定ジョーから構成した持針部を有する内視鏡下外科手術器具において、可動ジョーを遠隔操作により枢支軸により固定ジョーに対し回動可能とし、可動ジョーの枢支軸を挟み反対側の部分を糸係止部となるように形成するとともに、可動ジョーが開いたときには糸係止部が管状シャフトよりも外に突出し、可動ジョーが閉じたときには糸係止部が管状シャフトよりも外に突出しないようにし、また可動ジョーが閉じるときに、糸係止部と管状シャフトの間で縫合糸が切断されるように、可動ジョーと管状シャフトの接触部が鋏みとして機能するようにしたことを特徴とする内視鏡下外科手術器具。
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