JP3992835B2 - 誘導加熱調理器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミ、銅鍋等の低抵抗、非磁性鍋を加熱するのに適し、高効率で且つ異音の発生を抑えることが可能な誘導加熱調理器に関する。
【0002】
【従来の技術】
誘導加熱調理器は電磁誘導で加熱するため、従来、鉄鍋等の高抵抗の磁性鍋を加熱するのに用いられてきた。誘導加熱調理器においては本質的に鍋と加熱コイルの間に反発力が働くが、鉄鍋を加熱するときは加熱コイルと鉄鍋の間に大きな吸引力が働くため、実質的には反発力を無視できる。そのため調理中に鍋が移動したり、鍋と調理器筐体の間に発生する振動によって異音が発生したりすることは殆どなかった。そのため、鉄鍋を加熱する誘導加熱調理器において力率改善は効率を上げるなどの目的のためであり、必ずしも必要というわけではなかった。力率を改善する手段は、インバータを搭載した誘導加熱調理器においては、直流電源部の平滑コンデンサの容量を小さくしたり、リアクタを大容量にするものであった。力率改善を行ったとしても、従来は鉄鍋等の磁性鍋用に限定されていたため、力率改善は比較的容易であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の誘導加熱調理器には、次のような問題点があった。アルミ、銅鍋等の低抵抗、非磁性鍋を加熱したときには加熱コイルと鍋の間に大きな反発力が発生する。この反発力は、図15に示すように、入力電力が大きければ大きいほど増大する。また、直流電源電圧の変動が大きいとき、図16に示すように、インバータ電流の変動が大きくなる。したがって加熱コイルと鍋の間に働く反発力の変動が大きくなる。このときには鍋と調理器筐体の間で振動が起きるため、異音が発生したり、鍋が調理器筐体上を移動したりすることがある。本質的に鍋と加熱コイルの間に働く反発力の大きさを小さくすることはできない。しかし、反発力の大きさの変動を小さくすることは可能であり、直流電源部の平滑コンデンサの容量を大きくすることで直流電源電圧の変動を小さくすることができる。このとき反発力の大きさの変動は小さくなるが、力率は低くなってしまう。このため定格を満たす出力を得るためには大きな入力電力を与えなければならず、効率的ではない。したがってアルミ鍋等を加熱するときには直流電源電圧の変動を大きくせずに力率を改善する手段が望まれる。
【0004】
また、インバータを搭載した誘導加熱調理器は高調波電流を発生することがある。高調波電流の発生が大きいと電源側に多くの問題を引き起こす。集合住宅等で誘導加熱調理器を設置する場合などでは誘導加熱調理器単体での高調波電流の発生が小さくても、多くの誘導加熱調理器が同じ時間帯で使用されると高調波電流の総量は大きなものになる。さらに、この高調波電流の発生量は調理の条件によっても変化する。したがって鍋の種類、温度、大きさ、火力によって高調波の低減のための制御を行うことが必要である。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、第1に平滑コンデンサの容量を小さくせずに力率を改善し、高効率で且つ異音の発生を抑えることができて調理を快適且つ容易に行うことができ、第2に高調波電流の発生を小さくして集合住宅等で多数の誘導加熱調理器が同じ時間帯に使用されても電源系統に悪影響を及ぼすことがなく、第3にコストを低く抑えることができる誘導加熱調理器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、交流電源からの交流電圧を整流する整流手段、この整流手段に直列に接続されたリアクタ及び前記整流手段の整流出力を平滑する平滑コンデンサを備えた直流電源で前記交流電圧を直流電圧に変換し、この直流電圧を高周波インバータで高周波電力に変換して加熱コイルに供給し、非磁性鍋を含む被加熱体を加熱する誘導加熱調理器において、前記被加熱体の種類を検知する検知手段と、この検知手段の検知結果に基づいて前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する短絡手段とを有し、この短絡手段は、被加熱体がアルミ鍋の場合には銅鍋に比べて短絡パルス幅を長く設定することを要旨とする。この構成により、交流電源からの電流の導通期間が拡大して、平滑コンデンサの容量を小さくしなくても力率が改善され、直流電圧の変動が小さくなる。この結果、アルミ、銅などの低抵抗の非磁性鍋を加熱する場合において入力電力が大きいときでも加熱コイルと被加熱体間の反発力の変化が小さくなり、被加熱体と誘導加熱調理器筐体間の振動が抑えられて被加熱体の移動が防止されるとともに異音の発生が抑制される。また、力率が改善されることで高調波電流の発生が小さくなる。更に、鍋の種類によって短絡時間の制御を行う。例えば、銅鍋はアルミ鍋より電気抵抗が小さいため、同じ入力電力ならばアルミ鍋より銅鍋の方が大きなインバータ電流が流れるが、インバータ電流が小さくなるような要素が働いたときは、短絡時間を長くして力率が悪化しないようにしている。
【0008】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の誘導加熱調理器において、前記検知手段による検知時には、前記短絡手段による短絡は行わないことを要旨とする。この構成により、検知手段による被加熱体の種類等の負荷検知時には低電力を入力し、そのときの入力電流を調べることで負荷検知が可能である。一方、短絡手段による短絡時の入力電流は短絡電流であるため負荷にはあまり依存しない。そこで、負荷検知時には短絡手段による短絡を行わないことで、入力電流の全ての期間での値を負荷検出のための情報として使えるので、検知精度を上げることが可能となる。
【0009】
請求項3記載の発明は、上記請求項1記載の誘導加熱調理器において、前記検知手段による検知時に、前記交流電圧の半周期に1度だけ前記短絡手段による一定期間の短絡を行うことを要旨とする。この構成により、検知手段による被加熱体の種類等の負荷検知時には低電力を入力し、そのときのインバータ電流又は入力電流を調べることで検知が可能である。このときの入力電力は加熱するためのものではなく、被加熱体の種類等の負荷を検知するものであるから、小さければ小さいほどよい。そこで、この検知時に短絡手段を用いて短絡を行うことで力率を上げることができるため、短絡を行わないときよりも、入力電流を小さくすることが可能となる。
【0010】
請求項4記載の発明は、上記請求項1記載の誘導加熱調理器において、前記交流電圧の半周期に1度だけ前記短絡手段による短絡を行うことを要旨とする。この構成により、短絡回数が1度だけなので、制御容易性が得られ、この制御において、被加熱体である鍋の種類、大きさ又は加熱温度等に応じた短絡時間を設定することで、平滑コンデンサの容量を小さくしなくても力率が改善され、直流電圧の変動が小さくなって、鍋と誘導加熱調理器筐体間の振動が抑えられ、鍋の移動が防止されるとともに異音の発生が抑制される。
【0011】
請求項5記載の発明は、上記請求項1記載の誘導加熱調理器において、前記短絡手段により、前記交流電圧の半周期に複数回短絡を行うことを要旨とする。この構成により、短絡回数を増やすことで、力率がさらに改善される。したがって一層の高効率化とともに高調波電流の発生を一層小さくすることが可能となる。
【0012】
請求項6記載の発明は、上記請求項5記載の誘導加熱調理器において、前記交流電源からの入力電流の波形が正弦波に近似するように制御することを要旨とする。この構成により、力率が略1に近付く程度まで改善され、また発生する高調波電流を限りなくゼロに近付く程度まで抑えることが可能となる。
【0013】
請求項7記載の発明は、上記請求項1記載の誘導加熱調理器において、前記リアクタに防音処置を施してなることを要旨とする。この構成により、リアクタから発生する振動、騒音が抑えられて、異音の発生が、より少なくなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1乃至図11は、本発明の第1の実施の形態を示す図である。まず、図1を用いて誘導加熱調理器の構成を説明する。商用交流電源1の一方の出力端が、入力電力を設定する入力設定手段2及びリアクタ3を経て整流手段としてのダイオードブリッジ4の一方の入力端に接続されている。ダイオードブリッジ4の他方の入力端は商用交流電源1の他方の出力端に接続されている。また、ダイオードブリッジ4の一方の出力端は逆流防止用のダイオード8を介して平滑コンデンサ6の一端に接続され、平滑コンデンサ6の他端はダイオードブリッジ4の他方の出力端に接続されている。これらのリアクタ3、ダイオードブリッジ4及び平滑コンデンサ6により直流電源が構成されている。そして、ダイオードブリッジ4の両出力端の間に力率改善のための短絡手段としてのトランジスタ7が接続されている。トランジスタ7がオンしたとき、ダイオードブリッジ4及びリアクタ3を介して商用交流電源1が短絡される。ダイオード8はトランジスタ7がオンしたとき、平滑コンデンサ6の両端子間が短絡されないように作用する。9は高周波インバータ、10は加熱コイル、11は共振コンデンサ、12は被加熱体としての鍋である。直流電源からの直流電圧を高周波インバータ9で高周波電力に変換して加熱コイル10に供給し、鍋12を誘導加熱するようになっている。5は制御回路であり、制御回路5は、入力設定手段2の設定値、商用交流電源1からの入力電流、高周波インバータ9から出力されるインバータ電流、鍋12の種類、大きさ又は加熱温度の少なくとも何れかを検知し、その検知結果に基づいてトランジスタ7を制御する。
【0017】
上述のように構成された誘導加熱調理器による鍋12の加熱動作を図2のフローチャートを用いて説明する。まず、200Wを入力する(ステップ101)。このとき、力率を改善して低入力電力でインバータ電流と入力電流を調べるため、制御回路5は交流電圧の半周期毎に幅が1.8msのパルスでトランジスタ7を短絡させる。そして鍋12が調理器筐体上にあるか、正しく置かれているか、鍋12の種類、大きさ、加熱温度、入力設定手段2の設定値を検出するため、入力電流とインバータ電流を調べる(ステップ102)。この調べた結果から負荷である鍋12を推定し(ステップ103)、加熱できるかどうかを判断する(ステップ104)。加熱できるときには、後述する図3〜図8の各フローチャートにしたがって短絡パルス幅を算出する(ステップ105)。即ち、鍋12の種類、大きさ、そして温度によってインバータ電流が異なる。アルミ鍋のときは銅鍋のときよりも電気抵抗が大きいため、インバータ電流は小さい。また鍋12の大きさが大きく、鍋温度が高いときは電気抵抗が大きくなるため、インバータ電流は小さくなる。インバータ電流が小さいときは平滑コンデンサ6の放電時間が長くなるため、直流電源電圧の変動が小さくなり、力率が悪化する。したがってインバータ電流を小さくする要素が働いたときは、短絡時間を長くするように制御する。入力電流は入力設定手段2の設定値等により変化するが、入力電流が増加したときはリアクタ3を介しての商用交流電源1の短絡時間を長くすることで力率を改善する。このようにしてトランジスタ7の短絡パルス幅を決定した後、5秒間加熱する(ステップ106)。この動作を繰り返す。
【0018】
次に、短絡パルス幅の決定法を、図3〜図8の各フローチャートを用いて順に説明する。
【0019】
図3のフローチャートを用いて、鍋12の種類による短絡パルス幅の決定法を説明する。インバータ電流値により鍋12の種類を検出する(ステップ201)。アルミ鍋のときは銅鍋より電気抵抗が大きく、インバータ電流は小さくなる。インバータ電流が小さいときは平滑コンデンサ6の放電時間が長くなるため、直流電源電圧の変動が小さくなり、力率が悪化する。このため、銅鍋の場合は短絡パルス幅を2.0msに決定し(ステップ202)、アルミ鍋の場合は、これより長く2.2msに決定する(ステップ203)。
【0020】
図4のフローチャートを用いて、鍋12の大きさによる短絡パルス幅の決定法を説明する。鍋12の直径が大きくなると負荷が大きくなるから、インバータ電流は小さくなる。したがって前記と同様に力率が悪化するから、短絡パルス幅は鍋12の直径に応じて、それぞれ次のように決定する。鍋12の直径が10cm以下のときは1.8ms(ステップ301,302)、鍋12の直径が10cm〜15cmでは1.9ms(ステップ303,304)、鍋12の直径が15cm〜20cmでは2.0ms(ステップ305,306)、鍋12の直径が20cm以上では2.1msに決定する(ステップ307)。
【0021】
図5のフローチャートを用いて、鍋12の加熱温度による短絡パルス幅の決定法を説明する。鍋12の温度が上昇すると鍋の電気抵抗が増加するから、インバータ電流は小さくなる。したがって前記と同様に力率が悪化するから、短絡パルス幅は鍋12の温度に応じて、それぞれ次のように決定する。鍋12の温度が150度以下のときは1.6ms(ステップ401,402)、鍋12の温度が150度〜180度では1.7ms(ステップ403,404)、鍋12の温度が180度〜200度では1.8ms(ステップ405,406)、鍋12の温度が200度〜220度では1.9ms(ステップ407,408)、鍋12の温度が220度以上では2.0msに決定する(ステップ409)。
【0022】
図6のフローチャートを用いて、入力設定手段2の設定による短絡パルス幅の決定法を説明する。入力設定手段2の設定を増加させて入力電流が増大したときは短絡パルス幅を大きくして力率を改善する。即ち、入力設定手段2の設定が 「弱」のときは1.6ms(ステップ501,502)、入力設定手段2の設定が「中」のときは1.8ms(ステップ503,504)、入力設定手段2の設定が「強」のときは2.0msに決定する(ステップ505)。
【0023】
図7のフローチャートを用いて、入力電流による短絡パルス幅の決定法を説明する。入力電流が増大したときは短絡パルス幅を大きくすることで力率を改善する。即ち、入力電流が2.5A以下のときは1.8ms(ステップ601,602)、入力電流が2.5A〜5Aのときは2.0ms(ステップ603,604)、入力電流が5A〜7.5Aのときは2.1ms(ステップ605,606)、入力電流が7.5A以上のときは2.2msに決定する(ステップ607)。
【0024】
図8のフローチャートを用いて、インバータ電流による短絡パルス幅の決定法を説明する。インバータ電流が小さくなるような要素が働いたときは、短絡パルス幅を大きくして力率が悪化しないようにする。したがって、インバータ電流が10A以下のときは2.0ms(ステップ701,702)、インバータ電流が10A〜20Aのときは1.9ms(ステップ703,704)、インバータ電流が20A〜30Aのときは1.8ms(ステップ705,706)、インバータ電流が30A以上のときは1.7msに決定する(ステップ707)。以上、図3から図8のフローチャートで異なる短絡時間が得られたときは、その中で最大の短絡時間を選ぶ。
【0025】
図9は、制御回路5で1回の短絡を行うときのトランジスタ7の制御波形を示している。商用交流電源1からの交流電圧Vを監視し、その半周期に1度だけリアクタ3を介して商用交流電源1を短絡するようにトランジスタ7を制御する。このトランジスタ7を制御するパルスが半周期に1回のときの効果を述べる。鍋12の種類、大きさ、加熱温度、そして入力設定手段2の設定値は入力電流とインバータ電流から推定することができる。しかしインバータ電流と入力電流はある程度入力を与えないと検知することはできない。この段階では鍋12が調理器筐体上にない場合や、正しく設置されていない場合、加熱できない種類の鍋12を加熱しようとしている場合が考えられる。このときに大きな入力電力が加えられると高周波インバータ9におけるパワートランジスタが破壊されることがある。またここでの入力は加熱に関与しないため、できるだけ電力を小さくした方がよい。そこで、この負荷である鍋12を検知するときでも短絡手段であるトランジスタ7を用いて短絡を行うことで、力率が改善され、低入力電力でインバータ電流と入力電流を検出することができる。この状態では鍋12の種類や大きさ、まして鍋12があるかどうかはわからないため、短絡パルス幅は固定する。そして入力電力も小さいためパルス幅は1.8msで、交流電圧の半周期に1度だけ与える。そして、負荷検知の結果を基にして前記図3から図8のフローチャートにしたがって短絡時間が決定される。鍋12の種類、大きさ、温度といったインバータ電流を変化させる要素は、インバータ電流が減少させる方向に働いたときには短絡時間を長くさせる。入力設定手段2の設定値といった入力電流を変化させる要素は、入力電流が増加する方向に働いたときに短絡時間を長くする。図3から図8のフローチャートで異なる短絡時間が得られたときは、最大値を短絡時間として選ぶ。鍋12を検知するときに得られた短絡パルス幅で、加熱状態の短絡制御をすることで調理の内容に応じて短絡時間は最適に保たれる。したがって、いかなる調理においても力率改善が最適な状態で行われる。このため騒音、振動等で調理に支障をきたしたり、他人に迷惑を及ぼすことのない誘導加熱調理器を実現できる。高調波電流も減少するから集合住宅等に多数設置することが可能になる。
【0026】
図10は、制御回路5で2回以上短絡を行うときのトランジスタ7の制御波形を示している。商用交流電源1からの交流電圧Vを監視し、その半周期に2回もしくはそれ以上リアクタ3を介して商用交流電源1を短絡するようにトランジスタ7を制御する。このトランジスタ7の短絡制御を2段階にしたとき、高周波インバータ9に流れる電流の立上がりは1回のときと比べて滑らかにすることができる。こうすることで力率が1パルスのときよりさらに改善され、調理性能を改善することができる。また高調波電流も減少するから集合住宅等にさらに多数設置することが可能になる。
【0027】
図11は、制御回路5で2回以上短絡を行うときで、入力電流を監視して、入力電流の波形が正弦波に近似するように制御する場合のトランジスタ制御波形と入力電流波形を示している。入力電流を監視し、電流波形が正弦波になるようにトランジスタ7のスイッチングを制御するときは、力率がほぼ1に改善される。したがって、平滑コンデンサ6の容量によっては直流電源の電圧変動を極めて小さくすることができ、前記図16からインバータ電流の変化が小さくなるので反発力の変動が小さくなり、調理性能を改善することができる。また高調波電流も減少するから集合住宅等にさらに多数設置することが可能になる。
【0028】
上述したように、本実施の形態によれば、回路構成上は、逆流防止用のダイオード8を付けなければならず、入力電流が大きいときには、このダイオード8での損失が問題になるが、ダイオードブリッジ4が1つだけで済むので回路構成が簡単になり、コストを低く抑えることができる。そして、短絡手段としてのトランジスタ7を設けたことで、平滑コンデンサ6の容量を小さくしなくても力率が改善され、直流電源電圧の変動を小さくすることができる。そのため、入力電力が大きいときでも反発力の変化を小さくすることができる。したがって鍋12と調理器筐体の間で振動を抑えることができ、異音が発生することや鍋12が調理器筐体上を移動したりすることを抑制することができる。このため少ない入力電力で効率よく定格を満たす出力を得ることができる。高周波インバータを搭載した誘導加熱調理器は高調波電流を発生することがあるが、本実施の形態の誘導加熱調理器は、力率が改善されるので、高調波電流の発生を小さくすることができる。そのため集合住宅等で誘導加熱調理器が複数設置され、同じ時間帯で使用されても電源系統に悪影響を及ぼすことがなくなる。
【0029】
図12には、本発明の第2の実施の形態を示す。本実施の形態の誘導加熱調理器では、リアクタ3とダイオードブリッジ4の中間点と商用交流電源1の他方の出力端との間に力率改善のためのトランジスタ7がダイオードブリッジ13を介して接続されている。この回路構成では、前記第1の実施の形態の回路構成と比べると、ダイオードブリッジが2個必要になるため、その分コストが上がるが、逆流防止用のダイオードが不要になり、入力電流が大きいときでも損失を抑えることができる。平滑コンデンサ6の容量を小さくせずに力率を改善し、高効率で且つ異音の発生を抑える等の作用は、前記第1の実施の形態の場合と略同様である。
【0030】
図13及び図14には、本発明の第3の実施の形態を示す。本実施の形態では、リアクタ3におけるコア14の部分の振動を抑えるため、その剛性を上げ、またリアクタ3と基盤の間に振動を吸収するゴムやスプリング等の振動吸収手段15を取り付けている。さらにリアクタ3本体を防音材16で覆っている。即ち、振動吸収手段15及び防音材16により、リアクタ3に防音処置を施している。そして、上記第1又は第2の実施の形態の回路において図14のような波形の信号でトランジスタ7を制御する。2つ目のパルスは1つ目のパルスに比べて極めて短く、殆ど電流波形に影響を与えることはない。リアクタ3の振動はリアクタ3の固有振動数に依存している部分が大きいと考えられる。トランジスタ7に対し、パルスの開始時期は、1回目のパルスの一定時間後(例えば1μs後)から次の力率改善動作が始まる一定時間前(例えば1μs前)まで変化させることで決定する。これで騒音の大きさがある限度値を下回れば、このまま動作させる。限度値を上回るようであれば、さらにもう一度短いパルスを加える。このときのパルスの開始時期とパルス幅は騒音が最も小さくなるようにパルス開始時期とパルス幅を変化させて設定される。この動作を騒音の大きさがある限度値を下回るか、予め設定された回数のパルスを与えるまで繰り返す。この操作によりパルス幅と回数を決定できる。
【0031】
本実施の形態によれば、コア14の剛性を上げることでリアクタ3の振動を抑えることができる。また振動が発生しても基盤との間にゴムやスプリング等の振動吸収手段15を取り付けたことで振動が他の部分に伝わるのを防ぐことができる。またリアクタ3そのものを防音材16で覆うことでリアクタ3で発生した音を外に出さないようにすることができる。こうすることで力率改善をして調理性能を高いレベルで保ちつつ騒音を出さないようにすることができる。力率改善のためのパルスを与えたとき、その立ち上がりと立ち下がりで、リアクタ3のコイルに振動が発生する。そこでこの立ち下がり時に発生する振動が打ち消されるように、力率改善パルスの直後にパルスを与える。こうすることでリアクタ3の余計な振動を抑えることができる。したがって力率改善をすることで調理性能を高くしたままで、2次的に発生する騒音を防ぐことができる。さらにこの消音のパルスの回数を2回以上にすると消音の効果は増加する。またリアクタ3の構造変更等による防音対策では経年変化によりその防音性能が低下するおそれがあるが、このパルスを与える方法では経年変化が発生することはない。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、リアクタを介して交流電源を短絡する短絡手段を具備させたため、平滑コンデンサの容量を小さくしなくても力率が改善されて高効率とすることができ、また直流電圧の変動が小さくなることから、アルミ、銅などの低抵抗の非磁性鍋を加熱する場合において入力電力が大きいときでも加熱コイルと被加熱体間の反発力の変化を小さくすることができ、被加熱体と誘導加熱調理器筐体間の振動を抑えることができて被加熱体の移動を防止することができるとともに異音の発生を抑制することができる。特に、前記被加熱体の種類を検知する検知手段を有し、この検知手段の検知結果に基づいて前記短絡手段を制御するようにしたため、例えば、被加熱体がアルミ鍋の場合のようにインバータ電流が小さくなるような要素が働いたときは、短絡時間を銅鍋の場合に比べて長くして力率が悪化しないようにすることで、平滑コンデンサの容量を小さくしなくても、どのような調理においても力率を高い状態に保つことができて高効率とすることができる。したがって、調理を快適、且つ容易に行うことができる。また、力率が改善されることで高調波電流の発生が小さくなり、集合住宅等で多数の誘導加熱調理器が同じ時間帯に使用されても電源系統に悪影響を及ぼすことがなくなる。
【0034】
請求項2記載の発明によれば、前記検知手段による検知時には、前記短絡手段による短絡は行わないようにしたため、入力電流の全ての期間での値を被加熱体の種類等検出のための情報として使えるので、検知精度を上げることができ、加熱時における短絡手段の制御を高精度で行うことができる。
【0035】
請求項3記載の発明によれば、前記検知手段による検知時に、前記交流電圧の半周期に1度だけ前記短絡手段による一定期間の短絡を行うようにしたため、検知手段による検知時において力率が上がり、低入力電力で効率よく被加熱体の種類等検出を行うことができる。したがって省エネを実現することができる。
【0036】
請求項4記載の発明によれば、前記交流電圧の半周期に1度だけ前記短絡手段による短絡を行うようにしたため、短絡回数が1度だけなので、この制御を行うための回路構成を単純にすることができる。このため、コストを低く抑えつつ快適、且つ容易に調理を行える誘導加熱調理器を実現することができる。
【0037】
請求項5記載の発明によれば、前記短絡手段により、前記交流電圧の半周期に複数回短絡を行うようにしたため、力率がさらに改善されて一層の高効率化とともに高調波電流の発生を一層小さくすることができる。したがって、調理を一層快適、且つ容易に行うことができるとともに他人に迷惑を及ぼすことがない。
【0038】
請求項6記載の発明によれば、前記交流電源からの入力電流の波形が正弦波に近似するように制御するようにしたため、力率が略1に近付く程度まで改善されて一層高効率化することができる。また発生する高調波電流を限りなくゼロに近付く程度まで抑えることができて、さらに電源系統に悪影響を及ぼすことがなくなる。
【0039】
請求項7記載の発明によれば、前記リアクタに防音処置を施したため、リアクタから発生する振動、騒音が抑えられて、異音の発生を、より少なくすることができる。したがって、調理を一層快適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る誘導加熱調理器の第1の実施の形態を示す回路図である。
【図2】上記第1の実施の形態の加熱動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】上記第1の実施の形態において鍋の種類による短絡パルス幅の決定法を説明するためのフローチャートである。
【図4】上記第1の実施の形態において鍋の大きさによる短絡パルス幅の決定法を説明するためのフローチャートである。
【図5】上記第1の実施の形態において鍋の加熱温度による短絡パルス幅の決定法を説明するためのフローチャートである。
【図6】上記第1の実施の形態において入力設定手段の設定による短絡パルス幅の決定法を説明するためのフローチャートである。
【図7】上記第1の実施の形態において入力電流による短絡パルス幅の決定法を説明するためのフローチャートである。
【図8】上記第1の実施の形態においてインバータ電流による短絡パルス幅の決定法を説明するためのフローチャートである。
【図9】上記第1の実施の形態において1パルスでトランジスタを制御する場合の制御波形を示す図である。
【図10】上記第1の実施の形態において2パルスでトランジスタを制御する場合の制御波形を示す図である。
【図11】上記第1の実施の形態において入力電流の波形が正弦波に近似するように制御する場合の制御波形を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態を示す回路図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態においてリアクタに防音処置を施した状態を示す図である。
【図14】上記第3の実施の形態において消音パルスを含むパルスでトランジスタを制御する場合の制御波形を示す図である。
【図15】従来の誘導加熱調理器において入力電力と加熱コイル−鍋間に発生する反発力との関係を示す図である。
【図16】従来の誘導加熱調理器において直流電源電圧の変動により発生するインバータ電流の変動を示す図である。
【符号の説明】
1 商用交流電源
2 入力設定手段
3 リアクタ
4 ダイオードブリッジ(整流手段)
5 制御回路
6 平滑コンデンサ
7 トランジスタ(短絡手段)
9 高周波インバータ
10 加熱コイル
15 振動吸収手段(防音処置)
16 防音材(防音処置)
Claims (7)
- 交流電源からの交流電圧を整流する整流手段、この整流手段に直列に接続されたリアクタ及び前記整流手段の整流出力を平滑する平滑コンデンサを備えた直流電源で前記交流電圧を直流電圧に変換し、この直流電圧を高周波インバータで高周波電力に変換して加熱コイルに供給し、非磁性鍋を含む被加熱体を加熱する誘導加熱調理器において、前記被加熱体の種類を検知する検知手段と、この検知手段の検知結果に基づいて前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する短絡手段とを有し、この短絡手段は、被加熱体がアルミ鍋の場合には銅鍋に比べて短絡パルス幅を長く設定することを特徴とする誘導加熱調理器。
- 前記検知手段による検知時には、前記短絡手段による短絡は行わないことを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
- 前記検知手段による検知時に、前記交流電圧の半周期に1度だけ前記短絡手段による一定期間の短絡を行うことを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
- 前記交流電圧の半周期に1度だけ前記短絡手段による短絡を行うことを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
- 前記短絡手段により、前記交流電圧の半周期に複数回短絡を行うことを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
- 前記交流電源からの入力電流の波形が正弦波に近似するように制御することを特徴とする請求項5記載の誘導加熱調理器。
- 前記リアクタに防音処置を施してなることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
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