JP3988663B2 - Non-tempered steel - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非調質鋼に関し、詳しくは、被削性及び破断分割性に優れるとともに引張強さが大きく耐疲労特性も良好で、自動車エンジンなどのコネクティングロッドの素材として好適な被削性、破断分割性及び耐疲労特性に優れた高強度の非調質鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車エンジンなどのコネクティングロッド(以下、コンロッドという)は、ピストンとクランクシャフトを連結するエンジン部品であり、爆発力を駆動軸に伝達する役割を担っている。このため、コンロッドには高い疲労限度(以下、疲労強度ともいい、σwの記号で表す)が要求される。特に、近年のエンジンの高出力化にともなって、コンロッドに要求される疲労強度はますます大きくなっている。また、コンロッドのボルト穴及び、ピストンやクランクシャフトと連結する部分は切削加工されるため、その素材には良好な被削性が要求される。
【0003】
JISに規定されたS48C等の機械構造用炭素鋼は、これに焼入れ−焼戻しのいわゆる調質処理を施せば、安定して大きな疲労強度が確保できる。このため、従来のコンロッドは、S48C等の機械構造用炭素鋼を調質処理して製造されてきた。
【0004】
しかしながら、最近の厳しい経済情勢を反映して、各種自動車部品の製造コスト低減の動きが活発化しており、この動きはエンジン部品であるコンロッドにおいても例外ではなくなってきている。このため、製造コストが嵩む焼入れ−焼戻しの調質処理を行うことなく、つまり非調質で、前記機械構造用炭素鋼を調質処理した場合と同等の疲労強度が得られるコンロッドに対する要望が大きくなり、一部の車種では採用され始めた。
【0005】
図1にコンロッドを示すが、従来のコンロッド1は、別の工程で熱間鍛造されたコンロッド本体2とコンロッドキャップ3に対して、切削加工によるボルト穴の加工と仕上げ整形加工を施し、その後でボルト4によって形状の複雑なクランクシャフトに結合して組み立てるという工程を経る必要がある。したがって、非調質化は達成できても、次に述べる「クラッキングコンロッド」ほどにはコスト低減の点で満足のいくものではない。
【0006】
つまり、最近では、非調質鋼化に加えて、更に一層の製造コスト低減のために、コンロッド本体2とコンロッドキャップ3の両者を熱間鍛造で一体成形した後、大端部5でコンロッド本体2とコンロッドキャップ3にクラッキング(分割)するいわゆる「クラッキングコンロッド」が検討されている。
【0007】
なお、上記のクラッキングには、一体成形材の分割したい部位である大端部5の穴(例えば図1におけるN部)に治具を挿入し、応力を負荷して破断させる方法が適用される。
【0008】
クラッキングされたコンロッド1(つまり、クラッキングコンロッド)は、クラッキングした際の破断面が平滑な脆性破面であれば、それをクランクシャフトと連結する際には、コンロッド本体2とコンロッドキャップ3とでクランクシャフトを挟み込んだ後、破断面を合わせ、コンロッド本体2とコンロッドキャップ3とをボルト4で連結するだけでよい。
【0009】
したがって、クラッキングコンロッドは、その破断面が平滑な脆性破面であれば、クランクシャフトを挟む部分である合わせ面の切削加工が不要になって製造コストを低減することができるし、破断面で連結が行われるために締結剛性すなわち強度に優れている。
【0010】
上記のクラッキングコンロッドについては、特許文献1に開示された質量%で0.7%程度のC(炭素)を含む非調質鋼を素材とするものが欧州で既に実用化されている。しかし、上記の欧州で実用化されたコンロッドは従来の機械構造用炭素鋼、例えばJISのS48Cを調質処理したコンロッドに比べて疲労強度が劣り、耐疲労特性の面では必ずしも産業界の要望に応えきれていない。
【0011】
そこで、欧州で実用化されているものと同等以上の破断分割性(以下、クラッキング性という)を有するとともに、非調質の状態で、例えばJISの機械構造用炭素鋼を調質処理したコンロッドより大きな疲労強度を有し、且つ、被削性にも優れた高強度のコンロッド用鋼に対する要望が極めて大きくなっている。
【0012】
特許文献2〜15には、鋼の化学組成を制御してクラッキング性を高めた「低延性非調質鋼」、或いは、化学組成と炭硫化物を制御してクラッキング性と被削性を高めた「低延性非調質鋼」が開示されている。しかし、この特許文献2〜15で提案されたいずれの非調質鋼も、必ずしも耐疲労特性に対する配慮がなされたものではない。
【0013】
特許文献16には、C含有量が重量%で0.2〜0.35%未満の低炭素域で、Mnの含有量を低減するとともに高V組成として延性の大きなフェライトを脆化させ、更に、粗大なTiC粒子を分散させることによって破断分離性を高めた「破断分離性と耐久強さに優れた機械構造用鋼」が開示されている。しかし、この公報で提案された機械構造用鋼は、被削性向上のために単にSを重量%で、0.01〜0.2%含有させただけのものであり、したがって、必ずしもコンロッドに要求される被削性を満足できるものではない。
【0014】
【特許文献1】
米国特許第5135587号公報
【特許文献2】
特開平9−3589号公報
【特許文献3】
特開平9−31594号公報
【特許文献4】
特開平9−111412号公報
【特許文献5】
特開平9−176785号公報
【特許文献6】
特開平9−176786号公報
【特許文献7】
特開平9−176787号公報
【特許文献8】
特開平11−50184号公報
【特許文献9】
特開平11−199967号公報
【特許文献10】
特開平11−199968号公報
【特許文献11】
特開平11−236643号公報
【特許文献12】
特開平11−286746号公報
【特許文献13】
特開平11−286750号公報
【特許文献14】
特開平11−302778号公報
【特許文献15】
特開2000−345298号公報
【特許文献16】
特開平11−315340号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、その目的は、被削性及び破断分割性に優れるとともに引張強さが大きく耐疲労特性も良好で、自動車エンジンなどのコンロッドの素材として好適な高強度の非調質鋼を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、下記(1)〜(8)に示す非調質鋼にある。
【0017】
(1)質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%及びN:0.002〜0.020%を含み、残部はFe及び不純物からなり、下記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80以上の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上であることを特徴とする非調質鋼。
【0018】
Ceq=C+(Si/10)+(Mn/5)+(5Cr/22)+1.65V−(5S/7)・・・・・▲1▼、ここで、▲1▼式中の元素記号は、その元素の質量%での鋼中含有量を表す。
【0019】
(2)質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%、N:0.002〜0.020%及びP:0.150%以下を含有し、残部はFe及び不純物からなり、前記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80以上の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上であることを特徴とする非調質鋼。
【0020】
(3)質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%、N:0.002〜0.020%及びCr:0.50%以下を含有し、残部はFe及び不純物からなり、前記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80以上の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上であることを特徴とする非調質鋼。
【0021】
(4)質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%及びN:0.002〜0.020%を含むとともに、Pb:0.30%以下、Te:0.30%以下、Ca:0.010%以下及びBi:0.30%以下から選択される1種以上を含有し、残部はFe及び不純物からなり、前記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80以上の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上であることを特徴とする非調質鋼。
【0022】
(5)質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%、N:0.002〜0.020%、P:0.150%以下及びCr:0.50%以下を含有し、残部はFe及び不純物からなり、前記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80以上の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上であることを特徴とする非調質鋼。
【0023】
(6)質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%、N:0.002〜0.020%及びP:0.150%以下を含むとともに、Pb:0.30%以下、Te:0.30%以下、Ca:0.010%以下及びBi:0.30%以下から選択される1種以上を含有し、残部はFe及び不純物からなり、前記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80以上の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上であることを特徴とする非調質鋼。
【0024】
(7)質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%、N:0.002〜0.020%及びCr:50%以下を含むとともに、Pb:0.30%以下、Te:0.30%以下、Ca:0.010%以下及びBi:0.30%以下から選択される1種以上を含有し、残部はFe及び不純物からなり、前記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80以上の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上であることを特徴とする非調質鋼。
【0025】
(8)質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%、N:0.002〜0.020%、P:0.150%以下及びCr:0.50%以下を含むとともに、Pb:0.30%以下、Te:0.30%以下、Ca:0.010%以下及びBi:0.30%以下から選択される1種以上を含有し、残部はFe及び不純物からなり、前記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80以上の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上であることを特徴とする非調質鋼。
【0026】
ここで、フェライト・パーライト組織とは、フェライトとパーライトの混合組織をいう。前記した各相は、光学顕微鏡や電子顕微鏡を用いた観察によって確認することができる。
【0027】
フェライトの硬さとしてのビッカース硬さは、0.09807Nの試験力で測定した値をいい、全硬さとしてのビッカース硬さは、98.07Nの試験力で測定した値をいう。
【0028】
また、全硬さとはランダムに4箇所測定した場合の平均値を指す。
【0029】
なお、本発明でいうフェライトには、セメンタイトとともにパーライトを形成するフェライトは含まない。
【0030】
以下、上記(1)〜(8)の非調質鋼に係る発明をそれぞれ(1)〜(8)の発明という。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、前記した目的を達成するために種々検討を行い、下記(イ)〜(ヘ)の知見を得た。
【0032】
(イ)クラッキング性と被削性がともに良好になる場合の鋼の組織はフェライト・パーライト組織である。
【0033】
(ロ)フェライト・パーライト組織におけるフェライトの硬さはクラッキング性、被削性及び耐疲労特性に影響する。
【0034】
(ハ)フェライト・パーライト組織におけるフェライトの割合が小さい場合には、σw(疲労強度)の上昇割合に対してTS(引張強さ)の上昇割合が大きくなりすぎ、被削性が低下することがある。
【0035】
(ニ)フェライト・パーライト組織におけるフェライトの硬さと全硬さの比が大きい場合には、クラッキング性、耐疲労特性及び被削性はいずれも良好である。
【0036】
(ホ)適正量のTiとVを複合添加することによって、従来のVを単独添加する非調質鋼に比べてフェライトを大幅に強化することができる。しかも、TiとVの複合添加によるフェライトの強化は、フェライト・パーライト組織における全硬さとフェライトの硬さとの差を小さくするので、上記したフェライトの硬さと全硬さの比が大きくなって、良好なクラッキング性、被削性及び耐疲労特性を確保することができる。
【0037】
(ヘ)前記▲1▼式で表されるC当量(つまりCeq)の値を大きくすればTS(引張強さ)を高くできるので大きなσw(疲労強度)が確保でき、更に、強度が大きい分クラッキング性は良好になる。
【0038】
前記(1)〜(8)の本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものである。
【0039】
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、各元素の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。
(A)鋼の化学組成
C:0.20〜0.40%、
Cは、鋼の強度を高める作用を有し、0.20%以上含有させることで効果が得られる。しかし、その含有量が0.40%を超えると、フェライト・パーライト組織におけるフェライトの割合が少なくなって、σw(疲労強度)の上昇割合に対してTS(引張強さ)の上昇割合が大きくなりすぎ、被削性が低下することがある。したがって、Cの含有量を0.20〜0.40%とした。なお、Cの含有量は0.20〜0.35%とすることが好ましい。
【0040】
Si:0.05〜1.50%
Siは、鋼の脱酸に有効であるとともに固溶強化によって鋼の強度を高める作用を有する。しかし、その含有量が0.05%未満では添加効果に乏しい。一方、Siを1.50%を超えて含有させても上記の効果は飽和しコストが嵩むばかりである。しかも、鋼の熱間加工性が低下する。したがって、Siの含有量を0.05〜1.50%とした。なお、Siの含有量は0.15〜0.90%とすることが好ましい。
【0041】
Mn:0.30〜2.00%
Mnは、鋼の脱酸作用を有するとともに、焼入れ性を高めて鋼の強度を向上させる作用を有する。これらの効果を得るためにはMnの含有量を0.30%以上とする必要がある。しかし、Mnの含有量が2.00%を超えると鋼の熱間加工性が低下する。更に、焼入れ性が高くなりすぎてベイナイト組織を生じ、クラッキング性及び被削性の低下をきたす。したがって、Mnの含有量を0.30〜2.00%とした。なお、Mnの含有量は0.30〜1.40%とすることが好ましく、0.60〜1.20%とすることが一層好ましい。
【0042】
S:0.040〜0.130%
Sは、MnやTiとともに硫化物を形成して鋼の被削性を高める作用を有する。この効果を得るには、Sの含有量を0.040%以上とする必要がある。しかし、Sの含有量が0.130%を超えると、鋼の熱間加工性が低下することがある。したがって、Sの含有量を0.040〜0.130%とした。なお、本発明に係る非調質鋼は強度が大きい分被削性が低下する場合があるので、十分な熱間加工性を確保するとともに良好な被削性を安定且つ確実に得るためには、Sの含有量は0.100%を超えて0.130%までとすることが好ましい。
【0043】
V:0.10〜0.50%
Vは、本発明において重要な元素である。すなわち、Vはフェライト中に炭窒化物として析出して強度を向上させる作用を有する他に、後述するTiと複合して添加することによってクラッキング性を高める作用を有する。こうした効果を得るには、Vの含有量を0.10%以上とする必要がある。しかし、Vを0.50%を超えて含有させても前記した効果の増大はほとんどなく、コストが極めて大きくなってしまう。したがって、Vの含有量を0.10〜0.50%とした。なお、Vの含有量は0.10〜0.35%とすることが好ましく、0.15〜0.35%とすることが一層好ましい。
【0044】
Ti:0.10%を超えて0.50%まで
Tiは、本発明において重要な元素である。すなわち、TiはVと同様にフェライト中に炭窒化物として析出して強度を高め、更に、Vと複合して添加することによってフェライトを大幅に強化する作用を有する。このフェライトの強化は、フェライト・パーライト組織における全硬さとフェライトの硬さとの差を小さくするので、良好なクラッキング性が確保でき、更に、フェライトの強化は疲労亀裂発生の抑制につながるため大きな疲労強度を確保することもできる。また、Tiには硫化物を形成して被削性を改善する作用もある。前記した効果を顕著に得るためには、Tiを0.10%を超えて含有させる必要がある。しかし、Tiの含有量が0.50%を超えると熱間加工性の低下を招く。したがってTiの含有量を0.10%を超えて0.50%までとした。なお、Tiの含有量は0.10%を超えて0.30%までとすることが好ましい。
【0045】
Al:0.002〜0.100%
Alは、鋼の脱酸剤として有効な元素である。本発明の特徴のひとつは上述したようにTiとVの複合添加であるが、Tiは脱酸力が強いため酸化物を形成してしまい、炭窒化物を形成する割合が相対的に減少してしまう。そのため、TiがVとともにフェライトを強化する作用が低下する。また、Tiの歩留りを低下させて製造コストの上昇を招くことが懸念される。Alを添加する理由は、Alで鋼を脱酸して脱酸の安定化を図ると同時に、炭窒化物を形成してフェライトの強化に効くTiを確保し、Tiの歩留まり低下を防ぐという意味も兼ねている。そのために必要なAlの含有量は0.002%以上であるが、0.100%でその効果は飽和する。したがってAlの含有量を0.002〜0.100%とした。Alの含有量は0.002〜0.050%とすることが好ましい。
【0046】
なお、上述のAlで鋼を脱酸して脱酸の安定化を図ると同時に、TiがVとともにフェライトを強化する作用を確保し、また、Tiの歩留まり低下を防ぐためには、例えば、Alで十分脱酸してからTiを添加する、すなわち、添加順序をAl、Tiの順とするのがよい。
【0047】
N:0.002〜0.020%
Nは、V及びTiと炭窒化物を形成して鋼の強化に寄与する。この効果を得るには、Nは0.002%以上の含有量が必要である。しかし、Nを0.020%を超えて含有させても上記の効果は飽和する。したがって、Nの含有量を0.002〜0.020%とした。
【0048】
Ceqの値:0.80以上
一般に、前記▲1▼式で表されるCeqの値(つまり、C当量の値)はTS(引張強さ)と相関を有し、Ceqの値が大きい場合にはTSも大きくなって大きなσw(疲労強度)が得られ、更に、強度が大きい分クラッキング性が良好になる。特に、Ceqの値が0.80以上の場合のクラッキング性は良好である。したがって、前記▲1▼式で表されるCeqの値を0.80以上とした。なお、コンロッドに要求される強度にもよるが、Ceqの上限値は良好な被削性の確保という点からほぼ1.30程度である。
【0049】
前記(1)の発明に係る非調質鋼は、上記のCからNまでの元素と、残部がFe及び不純物からなり、前記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80以上の化学組成を有する鋼である。
【0050】
前記(2)の発明に係る非調質鋼は、クラッキング性を一層高めることを目的として、上記(1)の発明の鋼のFeの一部に代えて、P:0.150%以下を含有させた化学組成を有する鋼である。
【0051】
上記のPは結晶粒界に偏析して鋼を脆化させ、クラッキング性を一層高める作用を有するので、以下に述べる範囲内で含有させてもよい。
【0052】
P:0.150%以下
Pは、添加すれば結晶粒界に偏析して鋼を脆化させるため、コンロッドのクラッキングの際の破面を平滑な脆性破面とするのに有効である。この効果を確実に得るには、Pは0.04%以上の含有量とすることが望ましい。しかし、Pを過度に添加すると、鋼の熱間加工性が低下し、特に、その含有量が0.150%を超えると熱間加工性の低下が著しくなる。したがって、Pを添加する場合には、その含有量を0.150%以下とするのがよい。なお、Pの含有量は0.100%以下とするのが一層よい。
【0053】
前記(3)の発明に係る非調質鋼は、強度を高めることを目的として、前記(1)の発明の鋼のFeの一部に代えて、Cr:0.50%以下を含有させた化学組成を有する鋼である。
【0054】
上記のCrは鋼の焼入れ性を向上させて強度を高める作用を有するので、以下に述べる範囲内で含有させてもよい。
【0055】
Cr:0.50%以下
Crは、添加すれば、鋼の焼入れ性を向上させて強度を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、Crは0.02%以上の含有量とすることが望ましい。しかし、その含有量が0.50%を超えるとベイナイト組織を生じ、クラッキング性及び被削性の低下をきたす。したがって、Crを添加する場合には、その含有量を0.50%以下とするのが好ましい。Crの含有量を0.30%以下とするのが更に好ましい。
【0056】
前記(4)の発明に係る非調質鋼は、被削性を一層高めることを目的として、前記(1)の発明の鋼のFeの一部に代えて、Pb:0.30%以下、Te:0.30%以下、Ca:0.010%以下及びBi:0.30%以下から選択される1種以上を含有させた化学組成を有する鋼である。
【0057】
上記のPbからBiまでのいずれの元素も鋼の被削性を高める作用を有するので、PbからBiまでの元素は、以下に述べる範囲内でそれぞれを単独で含有させてもよいし、2種以上を複合して含有させてもよい。
【0058】
Pb:0.30%以下
Pbは、鋼の被削性を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、Pbは0.02%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.30%を超えると熱間加工性の低下を招く。したがって、Pbを添加する場合には、その含有量を0.30%以下とするのがよい。
【0059】
Te:0.30%以下
Teは、鋼の被削性を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、Teは0.002%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.30%を超えると熱間加工性の低下を招く。したがって、添加する場合のTeの含有量は0.30%以下とするのがよい。
【0060】
Ca:0.010%以下
Caは、鋼の被削性を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、Caは0.0005%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.010%を超えると熱間加工性の低下を招く。したがって、Caを添加する場合には、その含有量を0.010%以下とするのがよい。
【0061】
Bi:0.30%以下
Biは、鋼の被削性を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、Biは0.03%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.30%を超えると熱間加工性の低下を招く。したがって、添加する場合のBiの含有量は0.30%以下とするのがよい。
【0062】
前記(5)の発明に係る非調質鋼は、クラッキング性を一層高めること及び強度を高めることを目的として、前述の(1)の発明の鋼のFeの一部に代えて、P:0.150%以下及びCr:0.50%以下を含有させた化学組成を有する鋼である。
【0063】
前記(6)の発明に係る非調質鋼は、クラッキング性を一層高めること及び被削性を一層高めることを目的として、前述の(1)の発明の鋼のFeの一部に代えて、P:0.150%以下とともに、Pb:0.30%以下、Te:0.30%以下、Ca:0.010%以下及びBi:0.30%以下から選択される1種以上を含有させた化学組成を有する鋼である。
【0064】
前記(7)の発明に係る非調質鋼は、強度を高めること、及び被削性を一層高めることを目的として、前述の(1)の発明の鋼のFeの一部に代えて、Cr:0.50%以下とともに、Pb:0.30%以下、Te:0.30%以下、Ca:0.010%以下及びBi:0.30%以下から選択される1種以上を含有させた化学組成を有する鋼である。
【0065】
前記(8)の発明に係る非調質鋼は、クラッキング性を一層高めること、強度を高めること及び被削性を一層高めることを目的として、前述の(1)の発明の鋼のFeの一部に代えて、P:0.150%以下及びCr:0.50%以下とともに、Pb:0.30%以下、Te:0.30%以下、Ca:0.010%以下及びBi:0.30%以下から選択される1種以上を含有させた化学組成を有する鋼である。
(B)非調質鋼の組織
本発明に係る非調質鋼の組織は、フェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織とする必要がある。
【0066】
先ず、フェライト・パーライト組織とするのは、クラッキング性と被削性をともに良好にするためである。マルテンサイト、ベイナイトやオーステナイトを含む組織のクラッキング性は低く、更に、フェライト・パーライト組織に比べて被削性にも劣る。ここで、既に述べたように、「フェライト・パーライト組織」とはフェライトとパーライトの混合組織を指す。
【0067】
フェライト・パーライト組織において、固溶及び/又は析出によって強化されたフェライトの割合を40%以上とすることで、良好な「疲労強度−被削性」バランスを確保することができる。
【0068】
したがって、本発明に係る非調質鋼においては、その組織をフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織とした。なお、フェライト・パーライト組織におけるフェライトの割合の上限は90%程度である。
【0069】
ここで、或る相の体積割合は面積割合に等しいことが知られており、したがって、上記フェライトが組織に占める割合は、例えば、通常の2次元的な評価方法、すなわち、光学顕微鏡や電子顕微鏡を用いた観察によって求めたフェライトの割合から決定すればよい。
(C)フェライトの硬さ及びフェライトの硬さと全硬さの比
本発明に係る非調質鋼は、その硬さに関し、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上でなければならない。
【0070】
すなわち、フェライト・パーライト組織におけるフェライトの硬さはクラッキング性、被削性及び耐疲労特性に影響し、フェライトの硬さをHv250以上とすることが良好な、クラッキング性、被削性及び耐疲労特性を確保するための条件となる。また、フェライト・パーライト組織における全硬さとフェライトの硬さとの差を小さくすること、換言すればフェライトの硬さと全硬さの比を大きくすること、特に、上述の比を0.80以上と大きくすること、によって優れたクラッキング性、良好な耐疲労特性及び優れた被削性を確保することができる。
【0071】
したがって、本発明に係る非調質鋼においては、フェライト・パーライト組織におけるフェライトの硬さをビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比を0.80以上とした。
【0072】
ここで、フェライトの硬さとしてのビッカース硬さは、0.09807Nの試験力で測定した値をいい、全硬さとしてのビッカース硬さは、98.07Nの試験力で測定した値をいうこと、また、全硬さがランダムに4箇所測定した場合の平均値を指すことは既に述べたとおりである。
【0073】
ここで、本発明におけるフェライトには、セメンタイトとともにパーライトを形成するフェライトは含まないことも既に述べたとおりである。
【0074】
前記(A)項に記載の化学組成を有する鋼は、Alで鋼を脱酸して脱酸の安定化を図ると同時に、TiがVとともにフェライトを強化する作用を確保し、また、Tiの歩留まり低下を防ぐために、例えば、Alで十分脱酸してからTiを添加する、すなわち、添加順序をAl、Tiの順として溶製された後に鋼塊や鋼片とされる。そして次に、鋼塊や鋼片のままで、或いは更に通常の方法で熱間での圧延及び/又は鍛造を施された後で、例えば、鍛造のための加熱温度を1200〜1350℃、鍛造仕上げ温度を800℃を超えて1300℃まで、鍛造後の800〜600℃における冷却速度を100〜150℃/分とした熱間鍛造と冷却によって、コンロッド本体2とコンロッドキャップ3がつながった一体物に成形され、更に、ボルト穴加工を施された後、大端部5でコンロッド本体2とコンロッドキャップ3にクラッキングされる。次いで、分割されたコンロッド本体2及びコンロッドキャップ3はボルト4でクランクシャフトに結合されて組み立てられる。
【0075】
なお、上述の熱間鍛造条件における温度と冷却速度は鋼片や一体物成形材の表面における値であり、800〜600℃の温度域を上記のように冷却した後の冷却は特に制限されるものではない。
【0076】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。
【0077】
【実施例】
表1及び表2に示す化学組成を有する鋼を真空溶解炉を用いて溶製し、鋼塊とした。なお、鋼1〜18については、Alで十分脱酸してからTiを添加(つまり、AlとTiの添加順序はAl、Tiの順)して溶製した後、鋳造した。一方、鋼19は、成分調整した最後にAlを添加(つまり、添加順序がTi、Alの順)し、その後直ちに鋳造した。表1及び表2において、鋼1〜11及び鋼17〜19は化学組成が本発明で規定する範囲内の本発明例の鋼であり、鋼12〜16、鋼20及び鋼21は成分のいずれかが本発明で規定する含有量の範囲から外れた比較例の鋼である。なお、比較例の鋼のうち鋼20と鋼21はそれぞれ、JISのS48Cに相当する鋼と特許文献1で開示され欧州で既に実用化されているクラッキングコンロッド用鋼に相当する鋼である。
【0078】
【表1】

Figure 0003988663
【0079】
【表2】
Figure 0003988663
【0080】
次いで、これらの本発明例の鋼及び比較例の鋼を通常の方法によって鋼片とした後、鋼1〜16及び鋼21については鍛造のための加熱温度を1250℃、鍛造仕上げ温度を1050℃として直径20mmの丸棒に熱間鍛造し、鍛造終了後は800〜600℃における冷却速度を110℃/分として冷却し、600℃を下回る温度域は通常の大気中放冷とした。
【0081】
一方、鋼17及び鋼18については鍛造のための加熱温度を1300℃、鍛造仕上げ温度を1200℃として直径20mmの丸棒に熱間鍛造し、鍛造終了後は800〜600℃における冷却速度を110℃/分として冷却し、600℃を下回る温度域は通常の大気中放冷とした。また、鋼19については鍛造のための加熱温度を1150℃、鍛造仕上げ温度を1000℃として直径20mmの丸棒に熱間鍛造し、鍛造終了後は800〜600℃における冷却速度を110℃/分として冷却し、600℃を下回る温度域は通常の大気中放冷とした。
【0082】
なお、比較例の鋼のうちJISのS48Cに相当する鋼である鋼20については、1250℃に加熱後通常の方法で熱間鍛造して得た直径20mmの丸棒に、1100℃に加熱して油焼入れ後500℃で焼戻しする調質処理を施した。
【0083】
このようにして得た直径が20mmの丸棒から各種の試験片を採取して、ミクロ組織、ビッカース硬さ(以下、Hv硬さという)、引張特性、耐疲労特性、衝撃特性及び被削性を調査した。
【0084】
すなわち、前記した各丸棒から鍛錬軸に垂直な面を観察面とするミクロ試験片を切り出し、鏡面研磨してナイタル腐食した後、倍率を400倍とした光学顕微鏡で観察して、ミクロ組織の判定を行った。
【0085】
上記のようにして観察した組織がフェライト・パーライトであったものについて、更に、通常の方法で画像解析し、フェライト・パーライト組織におけるフェライトの割合を測定した。組織がフェライト・パーライトであったものについては、フェライトのHv硬さ(αHv)を0.09807Nの試験力で測定した。
【0086】
また、各丸棒から鍛錬軸に垂直な面を試験面とする試験片を切り出して鏡面研磨した後、全硬さとしてのHv硬さ(THv)を98.07Nの試験力で測定した。
【0087】
引張特性は、各丸棒から平行部の直径が7mmのJIS14A号引張試験片を切り出し、通常の方法により室温で引張試験を行い、TS(引張強さ)を測定した。
【0088】
耐疲労特性は、各丸棒から平行部の直径が8mmの小野式回転曲げ疲労試験片を切り出し、通常の方法により室温で回転曲げ疲労試験を行い、σw(疲労強度)を測定した。なお、JISのS48C相当鋼である鋼20に、「1100℃油焼入れ−500℃焼戻し」の調質処理を施した試験番号20のσwより30MPa以上大きいσwが得られた場合、つまり490MPa以上のσwが得られた場合に耐疲労特性が良好と判断した。
【0089】
衝撃特性は、各丸棒からJIS Z 2202(1998)に記載の幅10mmのVノッチ試験片を切り出し、通常の方法により室温でシャルピー衝撃試験を行い、衝撃値を測定した。この幅10mmのVノッチ試験片を用いた室温でのシャルピー衝撃値(vERT)は、クラッキング性を評価する1つの指標となり得るもので、その値が小さいほどクラッキング性が良好といえる。このため、欧州で既に実用化されているクラッキングコンロッド用鋼に相当する鋼である鋼21を用いた試験番号21の衝撃値である「7.0J/cm2 」を基準性能とし、これ以下の衝撃値が得られた場合に衝撃特性が低く、したがって、クラッキング性が良好と判断した。
【0090】
被削性は、丸棒から10mm×10mmの断面を有する板状試験片を切り出し、深さ10mmの貫通孔をドリルで穿孔し、孔を100個あけた後のドリルのコーナー摩耗量(ドリル最外周部の摩耗量)を測定して評価した。なお、欧州で既に実用化されているクラッキングコンロッド用鋼に相当する鋼である鋼21を用いて穿孔試験した試験番号21の場合の上記コーナー摩耗量を基準性能とし、その50%未満のコーナー摩耗量の場合に被削性が良好と判断した。
【0091】
穿孔試験条件は次に示すとおりである。
【0092】
ドリル:SKH51の直径8mmのストレートシャンクドリル、
回転数:754rpm、
送り:0.15mm/rev、
潤滑:水溶性潤滑剤。
【0093】
なお、調質処理したJISのS48C相当鋼である鋼20の丸棒については被削性試験を行わなかった。
【0094】
表3に上記の各試験結果をまとめて示す。表3におけるαHv及びTHvはそれぞれ、ビッカース硬さでのフェライトの硬さ及び全硬さを表し、また、vERTが幅10mmのVノッチ試験片を用いた室温でのシャルピー衝撃値を表すことは既に述べたとおりである。被削性の欄における「◎」、「○」、「△」及び「×」はそれぞれ、コーナー摩耗量が鋼21を穿孔試験した場合のコーナー摩耗量の25%未満、25%以上50%未満、50〜100%及び100%を超えることを示す。
【0095】
なお、試験番号13においては、フェライト面積率が小さいため0.09807Nの試験力では圧子がパーライトにもかかってフェライト単独の硬さを測定することができなかった。
【0096】
【表3】
Figure 0003988663
【0097】
表3から明らかなように、本発明で定める化学組成、組織、フェライトの硬さ及びフェライトの硬さと全硬さの比を有する試験番号1〜11の場合は、いずれも目標とする被削性、クラッキング性及び耐疲労特性が得られている。すなわち、ドリルのコーナー摩耗量は、鋼21を用いて穿孔試験した試験番号21の場合の摩耗量の50%未満(マークで「◎」又は「○」)であり、被削性は良好である。クラッキング性を評価する1つの指標となり得るvERTは、同じく鋼21を用いた試験番号21の場合のvERTである7.0J/cm2 を下回り、したがって、クラッキング性は良好である。更に、σwは490MPaを上回る500〜525MPaで、耐疲労特性も良好である。
【0098】
上記試験番号のうちでも、試験番号4及び試験番号6〜11の被削性は一段と良好なことが明らかである。
【0099】
これに対して、試験番号12〜16の場合は、少なくとも化学組成が本発明で規定する条件から外れているため、被削性、クラッキング性及び耐疲労特性のいずれか1つ以上において目標に達していない。
【0100】
JISのS48C相当鋼である鋼20を調質処理した試験番号20の場合は、vERTが鋼21を用いた試験番号21の場合のvERTである7.0J/cm2 を上回り、少なくともクラッキング性に劣る。
【0101】
また、欧州で既に実用化されているクラッキングコンロッド用鋼に相当する鋼である鋼21を用いた試験番号21の場合は、σwが490MPaを下回り、耐疲労特性が目標に達していない。
【0102】
一方、試験番号17及び試験番号18の場合は、鋼17及び鋼18は本発明で定める化学組成を有するものの、組織が本発明で規定する条件から外れている。このため、試験番号17の場合は、被削性に劣るし、試験番号18の場合は、クラッキング性及び被削性に劣っている。
【0103】
試験番号19の場合、鋼19は本発明で定める化学組成を有するものの、Ti及びVによる十分なフェライトの強化がなされておらず、ビッカース硬さでのフェライトの硬さ(αHv)及びフェライトの硬さと全硬さの比(αHv/THv)が本発明で規定する条件から外れている。このためvERTが7.0J/cm2 を上回ってクラッキング性に劣っているし、σwも445MPaと低く耐疲労特性も目標に達していない。
【0104】
【発明の効果】
本発明の非調質鋼は、被削性、破断分割性(クラッキング性)及び耐疲労特性に優れているので、自動車エンジンなどのクラッキングコンロッドの素材として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンロッドの詳細を示す図である。
【符号の説明】
1:コンロッド、
2:コンロッド本体、
3:コンロッドキャップ、
4:ボルト、
5:大端部[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to non-tempered steel, and in particular, machinability and fracture splitting properties are excellent and tensile strength is large and fatigue resistance is also good, and machinability suitable as a material for connecting rods such as automobile engines, The present invention relates to a high-strength non-tempered steel excellent in fracture splitting and fatigue resistance.
[0002]
[Prior art]
A connecting rod (hereinafter referred to as a connecting rod) such as an automobile engine is an engine component that connects a piston and a crankshaft, and plays a role of transmitting explosive force to a drive shaft. For this reason, the connecting rod is required to have a high fatigue limit (hereinafter also referred to as fatigue strength, represented by the symbol σw). In particular, with the recent increase in engine output, fatigue strength required for connecting rods is increasing. Moreover, since the bolt hole of a connecting rod and the part connected with a piston and a crankshaft are cut, the material requires good machinability.
[0003]
If the carbon steel for machine structure such as S48C defined in JIS is subjected to a so-called tempering treatment of quenching and tempering, a large fatigue strength can be secured stably. For this reason, the conventional connecting rod has been manufactured by tempering carbon steel for mechanical structures such as S48C.
[0004]
However, reflecting the recent severe economic situation, the movement of reducing the manufacturing cost of various automobile parts has become active, and this movement is no exception in the connecting rod which is an engine part. For this reason, there is a great demand for a connecting rod that can obtain the same fatigue strength as when the carbon steel for mechanical structure is tempered without tempering without quenching or tempering, which increases the manufacturing cost. It has begun to be adopted in some car models.
[0005]
Although the connecting rod is shown in FIG. 1, the conventional connecting rod 1 is subjected to bolt hole processing and finish shaping by cutting on the connecting rod body 2 and the connecting rod cap 3 that have been hot-forged in another process, It is necessary to go through a process of connecting and assembling a crankshaft having a complicated shape with the bolt 4. Therefore, even though non-tempering can be achieved, it is not as satisfactory in terms of cost reduction as the “cracking connecting rod” described below.
[0006]
That is, recently, in order to further reduce manufacturing costs in addition to non-heat treated steel, both the connecting rod body 2 and the connecting rod cap 3 are integrally formed by hot forging, and then the connecting rod body is formed at the large end 5. So-called “cracking connecting rods” that are cracked (divided) into 2 and connecting rod caps 3 are being studied.
[0007]
For the above cracking, a method is applied in which a jig is inserted into a hole (for example, the N portion in FIG. 1) of the large end portion 5 which is a portion to be divided of the integrally molded material, and a fracture is caused by applying stress. .
[0008]
If the cracked connecting rod 1 (that is, the cracking connecting rod) is a brittle fracture surface with a smooth fracture surface when cracked, the connecting rod body 2 and the connecting rod cap 3 are cranked when connected to the crankshaft. After sandwiching the shaft, it is only necessary to match the fracture surfaces and connect the connecting rod body 2 and the connecting rod cap 3 with the bolts 4.
[0009]
Therefore, if the cracking connecting rod has a brittle fracture surface with a smooth fracture surface, cutting of the mating surface, which is the part sandwiching the crankshaft, is unnecessary, and the manufacturing cost can be reduced, and the cracking connecting rod can be connected at the fracture surface. Therefore, the fastening rigidity, that is, the strength is excellent.
[0010]
As for the above-mentioned cracking connecting rod, a material made of non-heat treated steel containing about 0.7% by mass of C (carbon) disclosed in Patent Document 1 has already been put into practical use in Europe. However, the above-mentioned connecting rods put into practical use in Europe are inferior in fatigue strength to conventional mechanical structural carbon steels such as connecting rods tempered with JIS S48C. I have not responded.
[0011]
Therefore, it has a fracture splitting property (hereinafter referred to as cracking property) that is equal to or better than that put into practical use in Europe, and in a non-tempered state, for example, from a connecting rod tempered carbon steel for mechanical structures of JIS. There is an increasing demand for high strength steel for connecting rods having high fatigue strength and excellent machinability.
[0012]
In Patent Documents 2 to 15, “low ductility non-tempered steel” with improved cracking property by controlling the chemical composition of steel, or improved cracking property and machinability by controlling the chemical composition and carbon sulfide. In addition, “low ductility non-tempered steel” is disclosed. However, none of the non-heat treated steels proposed in Patent Documents 2 to 15 has been considered for fatigue resistance.
[0013]
In Patent Document 16, in a low carbon region having a C content of 0.2% to less than 0.35% by weight, the content of Mn is reduced, and ferrite having high ductility as a high V composition is further embrittled. In addition, “steel for machine structure excellent in break separation property and durability” in which break separation property is improved by dispersing coarse TiC particles is disclosed. However, the steel for machine structural use proposed in this publication simply contains S in an amount of 0.01 to 0.2% by weight in order to improve machinability. It does not satisfy the required machinability.
[0014]
[Patent Document 1]
US Pat. No. 5,135,587
[Patent Document 2]
JP-A-9-3589
[Patent Document 3]
JP-A-9-31594
[Patent Document 4]
Japanese Patent Laid-Open No. 9-111412
[Patent Document 5]
JP-A-9-176785
[Patent Document 6]
JP-A-9-176786
[Patent Document 7]
JP-A-9-176787
[Patent Document 8]
Japanese Patent Laid-Open No. 11-50184
[Patent Document 9]
Japanese Patent Laid-Open No. 11-199967
[Patent Document 10]
Japanese Patent Laid-Open No. 11-199968
[Patent Document 11]
JP-A-11-236643
[Patent Document 12]
JP-A-11-286746
[Patent Document 13]
JP-A-11-286750
[Patent Document 14]
JP-A-11-302778
[Patent Document 15]
JP 2000-345298 A
[Patent Document 16]
JP 11-315340 A
[0015]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention has been made in view of the above-mentioned present situation, and its purpose is excellent in machinability and fracture splitting property, has high tensile strength and good fatigue resistance, and is suitable as a material for connecting rods such as automobile engines. It is to provide high strength non-tempered steel.
[0016]
[Means for Solving the Problems]
The gist of the present invention resides in the non-heat treated steel shown in the following (1) to (8).
[0017]
(1) By mass%, C: 0.20 to 0.40%, Si: 0.05 to 1.50%, Mn: 0.30 to 2.00%, S: 0.040 to 0.130% V: 0.10 to 0.50%, Ti: more than 0.10% to 0.50%, Al: 0.002 to 0.100% and N: 0.002 to 0.020% The balance is composed of Fe and impurities, the chemical composition of which Ceq value represented by the following formula (1) is 0.80 or more, and the structure is a ferrite pearlite structure in which the ratio of ferrite is 40% or more. A non-tempered steel characterized in that the hardness of the ferrite is 250 or more in terms of Vickers hardness and the ratio of the hardness of the ferrite to the total hardness is 0.80 or more.
[0018]
Ceq = C + (Si / 10) + (Mn / 5) + (5Cr / 22) + 1.65V- (5S / 7) (1) where the element symbol in the formula (1) is Represents the content in steel in mass% of the element.
[0019]
(2) By mass%, C: 0.20 to 0.40%, Si: 0.05 to 1.50%, Mn: 0.30 to 2.00%, S: 0.040 to 0.130% , V: 0.10 to 0.50%, Ti: more than 0.10% to 0.50%, Al: 0.002 to 0.100%, N: 0.002 to 0.020% and P : The content is 0.150% or less, the balance is Fe and impurities, the Ceq value expressed by the formula (1) is 0.80 or more, and the structure has a ferrite ratio of 40% or more. A non-tempered steel having a ferrite-pearlite structure, wherein the hardness of the ferrite is 250 or more in terms of Vickers hardness, and the ratio of the hardness of the ferrite to the total hardness is 0.80 or more.
[0020]
(3) By mass%, C: 0.20 to 0.40%, Si: 0.05 to 1.50%, Mn: 0.30 to 2.00%, S: 0.040 to 0.130% , V: 0.10 to 0.50%, Ti: more than 0.10% to 0.50%, Al: 0.002 to 0.100%, N: 0.002 to 0.020% and Cr : 0.50% or less, with the balance being Fe and impurities, with a chemical composition having a Ceq value of 0.80 or more represented by the above formula (1), and the proportion of ferrite being 40% or more A non-tempered steel having a ferrite-pearlite structure, wherein the hardness of the ferrite is 250 or more in terms of Vickers hardness, and the ratio of the hardness of the ferrite to the total hardness is 0.80 or more.
[0021]
(4) By mass%, C: 0.20 to 0.40%, Si: 0.05 to 1.50%, Mn: 0.30 to 2.00%, S: 0.040 to 0.130% V: 0.10 to 0.50%, Ti: more than 0.10% to 0.50%, Al: 0.002 to 0.100% and N: 0.002 to 0.020% And at least one selected from Pb: 0.30% or less, Te: 0.30% or less, Ca: 0.010% or less, and Bi: 0.30% or less, with the balance being Fe and impurities. Thus, the Ceq value represented by the above formula (1) has a chemical composition of 0.80 or more and the structure is a ferrite pearlite structure in which the ratio of ferrite is 40% or more, and the hardness of the ferrite is Vickers hardness. 250 or more and the ratio of ferrite hardness to total hardness is 0.80 or more. Non-heat treated steel to.
[0022]
(5) By mass%, C: 0.20 to 0.40%, Si: 0.05 to 1.50%, Mn: 0.30 to 2.00%, S: 0.040 to 0.130% , V: 0.10 to 0.50%, Ti: Over 0.10% to 0.50%, Al: 0.002 to 0.100%, N: 0.002 to 0.020%, P : 0.150% or less and Cr: 0.50% or less, with the balance being Fe and impurities, the chemical composition having a Ceq value of 0.80 or more represented by the above formula (1), Ferrite / pearlite structure with a ferrite ratio of 40% or more, further, the ferrite hardness is 250 or more in terms of Vickers hardness, and the ratio of ferrite hardness to total hardness is 0.80 or more. Non-tempered steel.
[0023]
(6) By mass%, C: 0.20 to 0.40%, Si: 0.05 to 1.50%, Mn: 0.30 to 2.00%, S: 0.040 to 0.130% , V: 0.10 to 0.50%, Ti: more than 0.10% to 0.50%, Al: 0.002 to 0.100%, N: 0.002 to 0.020% and P : 0.150% or less, Pb: 0.30% or less, Te: 0.30% or less, Ca: 0.010% or less, and Bi: 0.30% or less The balance is Fe and impurities, the chemical composition of Ceq represented by the above formula (1) is 0.80 or more, and the structure is a ferrite pearlite structure in which the proportion of ferrite is 40% or more. The hardness of the ferrite is 250 or more in terms of Vickers hardness, and the ratio of the hardness of the ferrite to the total hardness is 0. Microalloyed steels, wherein greater than or equal to zero.
[0024]
(7) By mass%, C: 0.20 to 0.40%, Si: 0.05 to 1.50%, Mn: 0.30 to 2.00%, S: 0.040 to 0.130% , V: 0.10 to 0.50%, Ti: more than 0.10% to 0.50%, Al: 0.002 to 0.100%, N: 0.002 to 0.020% and Cr Including: 50% or less, Pb: 0.30% or less, Te: 0.30% or less, Ca: 0.010% or less and Bi: 0.30% or less, The balance is composed of Fe and impurities, and has a chemical composition with a Ceq value of 0.80 or more represented by the above formula (1), and the structure is a ferrite / pearlite structure in which the proportion of ferrite is 40% or more. Has a Vickers hardness of 250 or more, and the ratio of ferrite hardness to total hardness is 0.80. Microalloyed steels, which is a top.
[0025]
(8) By mass%, C: 0.20 to 0.40%, Si: 0.05 to 1.50%, Mn: 0.30 to 2.00%, S: 0.040 to 0.130% , V: 0.10 to 0.50%, Ti: Over 0.10% to 0.50%, Al: 0.002 to 0.100%, N: 0.002 to 0.020%, P : 0.150% or less and Cr: 0.50% or less, Pb: 0.30% or less, Te: 0.30% or less, Ca: 0.010% or less and Bi: 0.30% or less It contains one or more selected, the balance consists of Fe and impurities, the chemical composition with a Ceq value of 0.80 or more represented by the above formula (1), and the proportion of ferrite is 40% or more In a certain ferrite pearlite structure, the hardness of the ferrite is more than 250 in terms of Vickers hardness, Microalloyed steels, characterized in that it is To the ratio of the total hardness less than 0.80.
[0026]
Here, the ferrite-pearlite structure refers to a mixed structure of ferrite and pearlite. Each phase described above can be confirmed by observation using an optical microscope or an electron microscope.
[0027]
The Vickers hardness as the hardness of ferrite refers to a value measured with a test force of 0.09807N, and the Vickers hardness as a total hardness refers to a value measured with a test force of 98.07N.
[0028]
Moreover, total hardness refers to the average value when four places are measured at random.
[0029]
In addition, the ferrite referred to in the present invention does not include ferrite that forms pearlite together with cementite.
[0030]
Hereinafter, the inventions related to the non-heat treated steels (1) to (8) are referred to as inventions (1) to (8), respectively.
[0031]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The present inventors have made various studies in order to achieve the above-described object, and obtained the following findings (a) to (f).
[0032]
(B) The structure of steel when both cracking and machinability are good is a ferrite pearlite structure.
[0033]
(B) Ferrite hardness in the ferrite-pearlite structure affects cracking properties, machinability and fatigue resistance.
[0034]
(C) When the proportion of ferrite in the ferrite / pearlite structure is small, the rate of increase in TS (tensile strength) is too large relative to the rate of increase in σw (fatigue strength), and machinability may decrease. is there.
[0035]
(D) When the ratio of the hardness of the ferrite to the total hardness in the ferrite / pearlite structure is large, the cracking property, fatigue resistance and machinability are all good.
[0036]
(E) By adding a proper amount of Ti and V in combination, ferrite can be significantly strengthened compared to conventional non-heat treated steel to which V is added alone. Moreover, the strengthening of ferrite by the combined addition of Ti and V reduces the difference between the total hardness and the hardness of ferrite in the ferrite-pearlite structure, so the ratio of the hardness of the ferrite described above and the total hardness is large and good. Good cracking, machinability and fatigue resistance can be ensured.
[0037]
(F) Since the TS (tensile strength) can be increased by increasing the value of the C equivalent (that is, Ceq) represented by the above formula (1), a large σw (fatigue strength) can be secured, and the strength is increased. Cracking property is improved.
[0038]
The present inventions (1) to (8) have been completed based on the above findings.
[0039]
Hereinafter, each requirement of the present invention will be described in detail. In addition, "%" display of the content of each element means "mass%".
(A) Chemical composition of steel
C: 0.20 to 0.40%,
C has the effect | action which raises the intensity | strength of steel and an effect is acquired by making it contain 0.20% or more. However, if the content exceeds 0.40%, the proportion of ferrite in the ferrite / pearlite structure decreases, and the increase rate of TS (tensile strength) increases with respect to the increase rate of σw (fatigue strength). Too much, machinability may be reduced. Therefore, the content of C is set to 0.20 to 0.40%. The C content is preferably 0.20 to 0.35%.
[0040]
Si: 0.05 to 1.50%
Si is effective for deoxidizing steel and has an effect of increasing the strength of the steel by solid solution strengthening. However, if the content is less than 0.05%, the effect of addition is poor. On the other hand, even if Si is contained exceeding 1.50%, the above effect is saturated and the cost is increased. Moreover, the hot workability of steel is reduced. Therefore, the Si content is set to 0.05 to 1.50%. The Si content is preferably 0.15 to 0.90%.
[0041]
Mn: 0.30 to 2.00%
Mn has a deoxidizing action of steel and has an action of improving hardenability and improving the strength of steel. In order to obtain these effects, the Mn content needs to be 0.30% or more. However, if the Mn content exceeds 2.00%, the hot workability of the steel decreases. Further, the hardenability becomes too high to form a bainite structure, resulting in a decrease in cracking properties and machinability. Therefore, the content of Mn is set to 0.30 to 2.00%. The Mn content is preferably 0.30 to 1.40%, and more preferably 0.60 to 1.20%.
[0042]
S: 0.040 to 0.130%
S has the effect of enhancing the machinability of steel by forming a sulfide together with Mn and Ti. In order to obtain this effect, the S content needs to be 0.040% or more. However, if the S content exceeds 0.130%, the hot workability of the steel may be reduced. Therefore, the content of S is set to 0.040 to 0.130%. In addition, since the non-tempered steel according to the present invention may have low machinability due to its high strength, in order to ensure sufficient hot workability and stably and reliably obtain good machinability. , S content is preferably more than 0.100% and up to 0.130%.
[0043]
V: 0.10 to 0.50%
V is an important element in the present invention. That is, V precipitates as a carbonitride in ferrite and has the effect of improving strength, and also has the effect of increasing cracking properties by adding it in combination with Ti described later. In order to obtain these effects, the V content needs to be 0.10% or more. However, even if V is contained in excess of 0.50%, the above-described effect is hardly increased, and the cost is extremely increased. Therefore, the content of V is set to 0.10 to 0.50%. The V content is preferably 0.10 to 0.35%, more preferably 0.15 to 0.35%.
[0044]
Ti: Over 0.10% to 0.50%
Ti is an important element in the present invention. That is, Ti, like V, precipitates as a carbonitride in the ferrite to increase the strength, and further has a function of significantly strengthening the ferrite when added in combination with V. This strengthening of ferrite reduces the difference between the total hardness and the hardness of ferrite in the ferrite-pearlite structure, so that good cracking properties can be secured, and further, the strengthening of ferrite leads to the suppression of fatigue cracking, resulting in high fatigue strength Can also be secured. Ti also has the effect of improving the machinability by forming sulfides. In order to obtain the above-described effects remarkably, it is necessary to contain Ti exceeding 0.10%. However, when the Ti content exceeds 0.50%, the hot workability is reduced. Therefore, the Ti content is more than 0.10% and up to 0.50%. The Ti content is preferably more than 0.10% and up to 0.30%.
[0045]
Al: 0.002 to 0.100%
Al is an element effective as a deoxidizer for steel. One of the features of the present invention is the combined addition of Ti and V as described above, but Ti forms an oxide because of its strong deoxidizing power, and the ratio of forming carbonitride is relatively reduced. End up. Therefore, the effect | action which Ti strengthens a ferrite with V reduces. In addition, there is a concern that the yield of Ti may be reduced to increase the manufacturing cost. The reason for adding Al is to deoxidize the steel with Al to stabilize the deoxidation, and at the same time, to secure Ti that strengthens the ferrite by forming carbonitrides and to prevent a decrease in the yield of Ti. Also serves. The Al content necessary for that is 0.002% or more, but the effect is saturated at 0.100%. Therefore, the Al content is set to 0.002 to 0.100%. The Al content is preferably 0.002 to 0.050%.
[0046]
In addition, in order to stabilize the deoxidation by deoxidizing the steel with the above-mentioned Al, while ensuring the action of Ti strengthening the ferrite together with V, and to prevent the decrease in the yield of Ti, for example, with Al Ti should be added after sufficient deoxidation, that is, the order of addition should be Al and Ti.
[0047]
N: 0.002 to 0.020%
N contributes to strengthening of steel by forming carbonitride with V and Ti. In order to acquire this effect, N needs to contain 0.002% or more. However, the above effect is saturated even if N is contained in excess of 0.020%. Therefore, the N content is set to 0.002 to 0.020%.
[0048]
Ceq value: 0.80 or more
In general, the value of Ceq (that is, the value of C equivalent) represented by the above equation (1) has a correlation with TS (tensile strength), and when the value of Ceq is large, TS becomes large and large σw (Fatigue strength) is obtained, and the cracking property is improved as the strength is increased. In particular, the cracking property is good when the value of Ceq is 0.80 or more. Therefore, the value of Ceq represented by the formula (1) is set to 0.80 or more. Although it depends on the strength required for the connecting rod, the upper limit value of Ceq is about 1.30 from the viewpoint of ensuring good machinability.
[0049]
The non-heat treated steel according to the invention of (1) is composed of the above elements C to N, the balance being Fe and impurities, and the value of Ceq represented by the above formula (1) is 0.80 or more. Steel with chemical composition.
[0050]
The non-tempered steel according to the invention of (2) contains P: 0.150% or less in place of part of Fe of the steel of the invention of (1) for the purpose of further improving cracking properties. Steel having a controlled chemical composition.
[0051]
The above-mentioned P segregates at the grain boundaries, embrittles the steel, and has a function of further improving cracking properties, so it may be contained within the range described below.
[0052]
P: 0.150% or less
When P is added, it segregates at the grain boundaries and embrittles the steel, so it is effective for making the fracture surface during cracking of the connecting rod a smooth brittle fracture surface. In order to reliably obtain this effect, it is desirable that the P content is 0.04% or more. However, when P is added excessively, the hot workability of the steel is lowered. In particular, when the content exceeds 0.150%, the hot workability is significantly lowered. Therefore, when adding P, the content is preferably 0.150% or less. Note that the P content is more preferably 0.100% or less.
[0053]
The non-heat treated steel according to the invention of (3) contains Cr: 0.50% or less in place of part of Fe of the steel of the invention of (1) for the purpose of increasing strength. Steel with chemical composition.
[0054]
Since the above Cr has the effect of improving the hardenability of the steel and increasing the strength, it may be contained within the range described below.
[0055]
Cr: 0.50% or less
When added, Cr has the effect of improving the hardenability of the steel and increasing the strength. In order to reliably obtain this effect, the Cr content is desirably 0.02% or more. However, when the content exceeds 0.50%, a bainite structure is formed, and cracking properties and machinability are deteriorated. Therefore, when adding Cr, the content is preferably 0.50% or less. More preferably, the Cr content is 0.30% or less.
[0056]
The non-heat treated steel according to the invention of (4) is replaced with a part of Fe of the steel of the invention of (1) for the purpose of further improving machinability, and Pb: 0.30% or less, Steel having a chemical composition containing at least one selected from Te: 0.30% or less, Ca: 0.010% or less, and Bi: 0.30% or less.
[0057]
Since any of the elements from Pb to Bi has an effect of enhancing the machinability of the steel, the elements from Pb to Bi may be contained alone or in the range described below. The above may be combined and contained.
[0058]
Pb: 0.30% or less
Pb has the effect | action which improves the machinability of steel. In order to reliably obtain this effect, the Pb content is preferably 0.02% or more. However, when the content exceeds 0.30%, the hot workability is lowered. Therefore, when Pb is added, the content is preferably 0.30% or less.
[0059]
Te: 0.30% or less
Te has the effect | action which improves the machinability of steel. In order to reliably obtain this effect, Te is preferably contained in a content of 0.002% or more. However, when the content exceeds 0.30%, the hot workability is lowered. Therefore, the Te content when added is preferably 0.30% or less.
[0060]
Ca: 0.010% or less
Ca has the effect | action which improves the machinability of steel. In order to reliably obtain this effect, the Ca content is preferably 0.0005% or more. However, when the content exceeds 0.010%, the hot workability is lowered. Therefore, when adding Ca, the content is preferably 0.010% or less.
[0061]
Bi: 0.30% or less
Bi has the effect | action which improves the machinability of steel. In order to reliably obtain this effect, it is preferable that Bi is contained in an amount of 0.03% or more. However, when the content exceeds 0.30%, the hot workability is lowered. Therefore, the Bi content when added is preferably 0.30% or less.
[0062]
The non-heat treated steel according to the invention of (5) is replaced with P: 0 instead of a part of Fe of the steel of the invention of (1) for the purpose of further improving cracking property and strength. Steel having a chemical composition containing 150% or less and Cr: 0.50% or less.
[0063]
The non-heat treated steel according to the invention of (6) is replaced with a part of Fe of the steel of the invention of (1) described above for the purpose of further improving the cracking property and further improving the machinability, In addition to P: 0.150% or less, Pb: 0.30% or less, Te: 0.30% or less, Ca: 0.010% or less, and Bi: 0.30% or less are included. Steel having a different chemical composition.
[0064]
The non-heat treated steel according to the invention of (7) is Cr instead of a part of Fe of the steel of the invention of (1) described above for the purpose of increasing strength and further improving machinability. : 0.50% or less, Pb: 0.30% or less, Te: 0.30% or less, Ca: 0.010% or less, and Bi: 0.30% or less are included. Steel with chemical composition.
[0065]
The non-heat treated steel according to the invention of (8) is one of Fe of the steel of the invention of (1) described above for the purpose of further improving cracking property, enhancing strength and further improving machinability. Instead of P: 0.150% or less and Cr: 0.50% or less, Pb: 0.30% or less, Te: 0.30% or less, Ca: 0.010% or less, and Bi: 0.00. It is a steel having a chemical composition containing one or more selected from 30% or less.
(B) Non-tempered steel structure
The structure of the non-heat treated steel according to the present invention needs to be a ferrite pearlite structure having a ferrite ratio of 40% or more.
[0066]
First, the ferrite / pearlite structure is used to improve both cracking and machinability. The cracking property of the structure containing martensite, bainite and austenite is low, and in addition, the machinability is inferior to that of the ferrite / pearlite structure. Here, as already described, the “ferrite / pearlite structure” refers to a mixed structure of ferrite and pearlite.
[0067]
In the ferrite-pearlite structure, by setting the ratio of ferrite strengthened by solid solution and / or precipitation to 40% or more, a good “fatigue strength-machinability” balance can be ensured.
[0068]
Therefore, in the non-heat treated steel according to the present invention, the structure is a ferrite pearlite structure having a ferrite ratio of 40% or more. The upper limit of the ferrite ratio in the ferrite / pearlite structure is about 90%.
[0069]
Here, it is known that the volume ratio of a certain phase is equal to the area ratio. Therefore, the ratio of the ferrite to the structure is, for example, a normal two-dimensional evaluation method, that is, an optical microscope or an electron microscope. What is necessary is just to determine from the ratio of the ferrite calculated | required by observation using.
(C) Ferrite hardness and the ratio of ferrite hardness to total hardness
Regarding the hardness of the non-heat treated steel according to the present invention, the hardness of the ferrite must be 250 or more in terms of Vickers hardness, and the ratio of the hardness of the ferrite to the total hardness must be 0.80 or more.
[0070]
That is, the hardness of ferrite in the ferrite-pearlite structure affects cracking properties, machinability and fatigue resistance, and it is preferable that the hardness of ferrite is Hv 250 or more. Cracking properties, machinability and fatigue resistance properties It is a condition to ensure. Further, the difference between the total hardness and the hardness of the ferrite in the ferrite-pearlite structure should be reduced, in other words, the ratio of the hardness of the ferrite to the total hardness should be increased. In particular, the above ratio should be increased to 0.80 or more. By doing so, it is possible to ensure excellent cracking property, good fatigue resistance and excellent machinability.
[0071]
Therefore, in the non-heat treated steel according to the present invention, the ferrite hardness in the ferrite / pearlite structure is 250 or more in terms of Vickers hardness, and the ratio of the ferrite hardness to the total hardness is 0.80 or more.
[0072]
Here, the Vickers hardness as the hardness of the ferrite means a value measured with a test force of 0.09807N, and the Vickers hardness as a total hardness means a value measured with a test force of 98.07N. Moreover, as already stated, it indicates the average value when the total hardness is measured at four points at random.
[0073]
Here, as already described, the ferrite in the present invention does not contain ferrite that forms pearlite together with cementite.
[0074]
The steel having the chemical composition described in the above item (A) is intended to stabilize the deoxidation by deoxidizing the steel with Al, and at the same time, ensure that Ti strengthens ferrite together with V. In order to prevent a decrease in yield, for example, Ti is added after sufficient deoxidation with Al, that is, the ingot is made into an ingot or steel piece after melting in the order of Al and Ti. Then, after the steel ingots and steel slabs are left, or after being subjected to hot rolling and / or forging by a usual method, for example, the heating temperature for forging is 1200 to 1350 ° C., forging An integrated body in which the connecting rod body 2 and the connecting rod cap 3 are connected by hot forging and cooling with a finishing temperature exceeding 800 ° C. to 1300 ° C. and a cooling rate at 800 to 600 ° C. after forging at 100 to 150 ° C./min. Then, after the bolt hole processing, the connecting rod body 2 and the connecting rod cap 3 are cracked at the large end portion 5. Next, the divided connecting rod body 2 and connecting rod cap 3 are assembled by being connected to the crankshaft by bolts 4.
[0075]
In addition, the temperature and cooling rate in the above-mentioned hot forging conditions are values on the surface of the steel slab or the integral molded material, and cooling after cooling the temperature range of 800 to 600 ° C. as described above is particularly limited. It is not a thing.
[0076]
Hereinafter, the present invention will be described in more detail with reference to examples.
[0077]
【Example】
Steel having the chemical composition shown in Table 1 and Table 2 was melted using a vacuum melting furnace to form a steel ingot. Steels 1 to 18 were sufficiently deoxidized with Al and then added with Ti (that is, Al and Ti were added in the order of Al and Ti) to be melted and then cast. On the other hand, for steel 19, Al was added at the end of the component adjustment (that is, the order of addition was Ti and Al), and was cast immediately thereafter. In Tables 1 and 2, Steels 1 to 11 and Steels 17 to 19 are steels according to the present invention within the range defined by the present invention in chemical composition, and Steels 12 to 16, Steel 20 and Steel 21 are any of the components. Is a steel of a comparative example that deviates from the content range defined in the present invention. Of the comparative steels, Steel 20 and Steel 21 are steel corresponding to JIS S48C and steel corresponding to cracking connecting rod steel disclosed in Patent Document 1 and already put into practical use in Europe.
[0078]
[Table 1]
Figure 0003988663
[0079]
[Table 2]
Figure 0003988663
[0080]
Then, after making the steel of these examples of the present invention and the steel of the comparative example into a steel slab by a usual method, the heating temperature for forging is 1250 ° C. and the forging finishing temperature is 1050 ° C. As described above, hot forging was performed on a round bar having a diameter of 20 mm, and after completion of forging, cooling was performed at a cooling rate of 800 to 600 ° C. at 110 ° C./min, and a temperature range below 600 ° C. was allowed to cool in the normal atmosphere.
[0081]
On the other hand, for steel 17 and steel 18, the heating temperature for forging is 1300 ° C., the forging finishing temperature is 1200 ° C., and hot forging is performed on a round bar having a diameter of 20 mm. Cooling was performed at a rate of ° C./min, and the temperature range below 600 ° C. was allowed to cool in the normal atmosphere. Steel 19 was hot forged into a round bar with a diameter of 20 mm at a heating temperature for forging of 1150 ° C. and a forging finishing temperature of 1000 ° C. After the forging was completed, the cooling rate at 800 to 600 ° C. was 110 ° C./min. The temperature range below 600 ° C. was set as normal air cooling.
[0082]
Of the comparative steels, steel 20 corresponding to JIS S48C was heated to 1100 ° C. on a round bar with a diameter of 20 mm obtained by heating to 1250 ° C. and hot forging by a normal method. After the oil quenching, a tempering treatment was performed by tempering at 500 ° C.
[0083]
Various test pieces were collected from the round bar having a diameter of 20 mm thus obtained, and the microstructure, Vickers hardness (hereinafter referred to as Hv hardness), tensile characteristics, fatigue resistance characteristics, impact characteristics, and machinability. investigated.
[0084]
That is, from each of the round bars described above, a micro test piece having a surface perpendicular to the forging axis as an observation surface was cut out, mirror-polished and subjected to night corrosion, and then observed with an optical microscope having a magnification of 400 times. Judgment was made.
[0085]
The structure observed as described above was ferrite / pearlite, and image analysis was further performed by a usual method to measure the ratio of ferrite in the ferrite / pearlite structure. In the case where the structure was ferrite pearlite, the Hv hardness (αHv) of the ferrite was measured with a test force of 0.09807N.
[0086]
Moreover, after cutting out the test piece which made a surface perpendicular | vertical to a forge axis | shaft a test surface from each round bar and carrying out mirror surface polishing, Hv hardness (THv) as a total hardness was measured with the test force of 98.07N.
[0087]
As for the tensile properties, a JIS No. 14A tensile test piece having a parallel part diameter of 7 mm was cut out from each round bar, a tensile test was performed at room temperature by a normal method, and TS (tensile strength) was measured.
[0088]
For fatigue resistance, an Ono-type rotating bending fatigue test piece having a parallel part diameter of 8 mm was cut out from each round bar, a rotating bending fatigue test was performed at room temperature by a normal method, and σw (fatigue strength) was measured. In addition, when σw larger than σw of test number 20 subjected to the tempering treatment of “1100 ° C. oil quenching−500 ° C. tempering” is obtained on steel 20 which is JIS S48C equivalent steel, that is, 490 MPa or more. When σw was obtained, the fatigue resistance was judged to be good.
[0089]
For impact characteristics, a V-notch test piece having a width of 10 mm described in JIS Z 2202 (1998) was cut out from each round bar, and a Charpy impact test was performed at room temperature by an ordinary method to measure the impact value. Charpy impact value (vE) at room temperature using a V-notch specimen having a width of 10 mm. RT ) Can be one index for evaluating the cracking property, and the smaller the value, the better the cracking property. For this reason, the impact value of test number 21 using steel 21, which is a steel corresponding to cracking connecting rod steel already put to practical use in Europe, is 7.0 J / cm. 2 ”As the standard performance, and impact values lower than this were obtained, the impact characteristics were low, and therefore the cracking properties were judged to be good.
[0090]
The machinability is determined by cutting a plate-shaped test piece having a cross section of 10 mm × 10 mm from a round bar, drilling a through hole with a depth of 10 mm with a drill, and drilling 100 corners of the drill after drilling 100 holes. The amount of wear on the outer periphery was measured and evaluated. Note that the corner wear amount in the case of test number 21 in which a drilling test was performed using steel 21, which is a steel equivalent to cracking connecting rod steel that has already been put to practical use in Europe, was used as the standard performance, and corner wear of less than 50% In the case of quantity, it was judged that machinability was good.
[0091]
The drilling test conditions are as follows.
[0092]
Drill: SKH51 straight shank drill with a diameter of 8 mm,
Rotation speed: 754 rpm,
Feed: 0.15mm / rev,
Lubrication: Water-soluble lubricant.
[0093]
In addition, the machinability test was not performed on the round bar of steel 20 which was tempered JIS S48C equivalent steel.
[0094]
Table 3 summarizes the above test results. ΑHv and THv in Table 3 represent the hardness and total hardness of the ferrite at Vickers hardness, respectively, and vE RT Represents a Charpy impact value at room temperature using a V-notch specimen having a width of 10 mm, as already described. “◎”, “○”, “△”, and “×” in the machinability column indicate that the corner wear amount is less than 25% of the corner wear amount when the steel 21 is subjected to a piercing test, and is 25% or more and less than 50%. , 50-100% and exceeding 100%.
[0095]
In Test No. 13, since the ferrite area ratio was small, the hardness of the ferrite alone could not be measured with the indenter applied to the pearlite with the test force of 0.09807N.
[0096]
[Table 3]
Figure 0003988663
[0097]
As is clear from Table 3, in the case of test numbers 1 to 11 having the chemical composition, structure, hardness of ferrite and ratio of ferrite hardness to total hardness defined in the present invention, all of the target machinability Cracking properties and fatigue resistance properties are obtained. That is, the corner wear amount of the drill is less than 50% of the wear amount in the case of test No. 21 drilled using steel 21 (marked “21” or “◯”), and the machinability is good. . VE can be an index to evaluate cracking RT Is the vE in the case of test number 21 using the same steel 21 RT 7.0 J / cm 2 Therefore, the cracking property is good. Furthermore, (sigma) w is 500-525 MPa exceeding 490 MPa, and a fatigue resistance characteristic is also favorable.
[0098]
Among the above test numbers, it is clear that the machinability of test numbers 4 and 6 to 11 is much better.
[0099]
On the other hand, in the case of test numbers 12 to 16, since the chemical composition is at least out of the conditions defined in the present invention, the target is reached in any one or more of machinability, cracking properties and fatigue resistance properties. Not.
[0100]
In the case of test number 20 in which steel 20 that is JIS S48C equivalent steel is tempered, RT Is the test number 21 using steel 21 RT 7.0 J / cm 2 And at least inferior in cracking properties.
[0101]
In the case of test number 21 using steel 21, which is a steel corresponding to cracking connecting rod steel that has already been put to practical use in Europe, σw is less than 490 MPa, and the fatigue resistance does not reach the target.
[0102]
On the other hand, in the case of the test number 17 and the test number 18, although the steel 17 and the steel 18 have the chemical composition defined by the present invention, the structure is out of the conditions defined by the present invention. For this reason, the test number 17 is inferior in machinability, and the test number 18 is inferior in cracking property and machinability.
[0103]
In the case of the test number 19, although the steel 19 has the chemical composition defined in the present invention, the ferrite is not sufficiently strengthened by Ti and V, and the ferrite hardness (αHv) at the Vickers hardness and the hardness of the ferrite are not obtained. And the total hardness ratio (αHv / THv) deviate from the conditions defined in the present invention. For this reason, vE RT Is 7.0 J / cm 2 The cracking property is inferior and the σw is as low as 445 MPa, and the fatigue resistance does not reach the target.
[0104]
【The invention's effect】
Since the non-heat treated steel of the present invention is excellent in machinability, fracture splitting property (cracking property) and fatigue resistance, it can be used as a material for cracking connecting rods such as automobile engines.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a view showing details of a connecting rod.
[Explanation of symbols]
1: Connecting rod,
2: Connecting rod body,
3: Connecting rod cap,
4: Bolt,
5: Large end

Claims (8)

質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%及びN:0.002〜0.020%を含み、残部はFe及び不純物からなり、下記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80以上の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上であることを特徴とする非調質鋼。
Ceq=C+(Si/10)+(Mn/5)+(5Cr/22)+1.65V−(5S/7)・・・・・▲1▼
ここで、▲1▼式中の元素記号は、その元素の質量%での鋼中含有量を表す。
In mass%, C: 0.20 to 0.40%, Si: 0.05 to 1.50%, Mn: 0.30 to 2.00%, S: 0.040 to 0.130%, V: 0.10 to 0.50%, Ti: more than 0.10% to 0.50%, Al: 0.002 to 0.100% and N: 0.002 to 0.020%, the balance being A ferrite / pearlite structure comprising Fe and impurities, having a chemical composition with a Ceq value of 0.80 or more represented by the following formula (1) and a ratio of ferrite of 40% or more. A non-tempered steel characterized by a Vickers hardness of 250 or more and a ratio of ferrite hardness to total hardness of 0.80 or more.
Ceq = C + (Si / 10) + (Mn / 5) + (5Cr / 22) + 1.65V− (5S / 7) (1)
Here, the element symbol in the formula (1) represents the content in steel in mass% of the element.
質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%、N:0.002〜0.020%及びP:0.150%以下を含有し、残部はFe及び不純物からなり、下記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80以上の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上であることを特徴とする非調質鋼。
Ceq=C+(Si/10)+(Mn/5)+(5Cr/22)+1.65V−(5S/7)・・・・・▲1▼
ここで、▲1▼式中の元素記号は、その元素の質量%での鋼中含有量を表す。
In mass%, C: 0.20 to 0.40%, Si: 0.05 to 1.50%, Mn: 0.30 to 2.00%, S: 0.040 to 0.130%, V: 0.10 to 0.50%, Ti: more than 0.10% to 0.50%, Al: 0.002 to 0.100%, N: 0.002 to 0.020% and P: 0.00. 150% or less, the balance being Fe and impurities, the chemical composition having a Ceq value of 0.80 or more represented by the following formula (1), and the structure having a ferrite ratio of 40% or more. A non-tempered steel having a pearlite structure and further having a ferrite hardness of 250 or more in terms of Vickers hardness and a ratio of ferrite hardness to total hardness of 0.80 or more.
Ceq = C + (Si / 10) + (Mn / 5) + (5Cr / 22) + 1.65V− (5S / 7) (1)
Here, the element symbol in the formula (1) represents the content in steel in mass% of the element.
質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%、N:0.002〜0.020%及びCr:0.50%以下を含有し、残部はFe及び不純物からなり、下記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80以上の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上であることを特徴とする非調質鋼。
Ceq=C+(Si/10)+(Mn/5)+(5Cr/22)+1.65V−(5S/7)・・・・・▲1▼
ここで、▲1▼式中の元素記号は、その元素の質量%での鋼中含有量を表す。
In mass%, C: 0.20 to 0.40%, Si: 0.05 to 1.50%, Mn: 0.30 to 2.00%, S: 0.040 to 0.130%, V: 0.10 to 0.50%, Ti: more than 0.10% to 0.50%, Al: 0.002 to 0.100%, N: 0.002 to 0.020% and Cr: 0.00. 50% or less, the balance consisting of Fe and impurities, a chemical composition having a Ceq value of 0.80 or more represented by the following formula (1), and a structure in which the ratio of ferrite is 40% or more A non-tempered steel having a pearlite structure and further having a ferrite hardness of 250 or more in terms of Vickers hardness and a ratio of ferrite hardness to total hardness of 0.80 or more.
Ceq = C + (Si / 10) + (Mn / 5) + (5Cr / 22) + 1.65V− (5S / 7) (1)
Here, the element symbol in the formula (1) represents the content in steel in mass% of the element.
質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%及びN:0.002〜0.020%を含むとともに、Pb:0.30%以下、Te:0.30%以下、Ca:0.010%以下及びBi:0.30%以下から選択される1種以上を含有し、残部はFe及び不純物からなり、下記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80以上の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上であることを特徴とする非調質鋼。
Ceq=C+(Si/10)+(Mn/5)+(5Cr/22)+1.65V−(5S/7)・・・・・▲1▼
ここで、▲1▼式中の元素記号は、その元素の質量%での鋼中含有量を表す。
In mass%, C: 0.20 to 0.40%, Si: 0.05 to 1.50%, Mn: 0.30 to 2.00%, S: 0.040 to 0.130%, V: 0.10 to 0.50%, Ti: more than 0.10% to 0.50%, Al: 0.002 to 0.100% and N: 0.002 to 0.020%, and Pb : 0.30% or less, Te: 0.30% or less, Ca: 0.010% or less, and Bi: 0.30% or less, containing the balance of Fe and impurities. (1) The chemical composition having a Ceq value of 0.80 or more represented by the formula (1), the structure is a ferrite / pearlite structure in which the ratio of ferrite is 40% or more, and the hardness of the ferrite is 250 Vickers hardness. In addition, the ratio between the hardness and the total hardness of the ferrite is 0.80 or more. Non-heat treated steel.
Ceq = C + (Si / 10) + (Mn / 5) + (5Cr / 22) + 1.65V− (5S / 7) (1)
Here, the element symbol in the formula (1) represents the content in steel in mass% of the element.
質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%、N:0.002〜0.020%、P:0.150%以下及びCr:0.50%以下を含有し、残部はFe及び不純物からなり、下記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80以上の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上であることを特徴とする非調質鋼。
Ceq=C+(Si/10)+(Mn/5)+(5Cr/22)+1.65V−(5S/7)・・・・・▲1▼
ここで、▲1▼式中の元素記号は、その元素の質量%での鋼中含有量を表す。
In mass%, C: 0.20 to 0.40%, Si: 0.05 to 1.50%, Mn: 0.30 to 2.00%, S: 0.040 to 0.130%, V: 0.10 to 0.50%, Ti: more than 0.10% to 0.50%, Al: 0.002 to 0.100%, N: 0.002 to 0.020%, P: 0.00. 150% or less and Cr: 0.50% or less, with the balance being Fe and impurities, with a chemical composition having a Ceq value of 0.80 or more represented by the following formula (1), and the ratio of ferrite Is a ferrite-pearlite structure having a hardness of 40% or more, a ferrite hardness of 250 or more in terms of Vickers hardness, and a ratio of the hardness of the ferrite to the total hardness of 0.80 or more. Tempered steel.
Ceq = C + (Si / 10) + (Mn / 5) + (5Cr / 22) + 1.65V− (5S / 7) (1)
Here, the element symbol in the formula (1) represents the content in steel in mass% of the element.
質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%、N:0.002〜0.020%及びP:0.150%以下を含むとともに、Pb:0.30%以下、Te:0.30%以下、Ca:0.010%以下及びBi:0.30%以下から選択される1種以上を含有し、残部はFe及び不純物からなり、下記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80以上の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上であることを特徴とする非調質鋼。
Ceq=C+(Si/10)+(Mn/5)+(5Cr/22)+1.65V−(5S/7)・・・・・▲1▼
ここで、▲1▼式中の元素記号は、その元素の質量%での鋼中含有量を表す。
In mass%, C: 0.20 to 0.40%, Si: 0.05 to 1.50%, Mn: 0.30 to 2.00%, S: 0.040 to 0.130%, V: 0.10 to 0.50%, Ti: more than 0.10% to 0.50%, Al: 0.002 to 0.100%, N: 0.002 to 0.020% and P: 0.00. Including 150% or less, Pb: 0.30% or less, Te: 0.30% or less, Ca: 0.010% or less and Bi: 0.30% or less Is composed of Fe and impurities, and has a chemical composition with a Ceq value of 0.80 or more represented by the following formula (1), and the structure is a ferrite / pearlite structure in which the ratio of ferrite is 40% or more. The hardness is 250 or more in terms of Vickers hardness and the ratio of ferrite hardness to total hardness is 0.80 or more. Microalloyed steels, characterized in that it.
Ceq = C + (Si / 10) + (Mn / 5) + (5Cr / 22) + 1.65V− (5S / 7) (1)
Here, the element symbol in the formula (1) represents the content in steel in mass% of the element.
質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%、N:0.002〜0.020%及びCr:50%以下を含むとともに、Pb:0.30%以下、Te:0.30%以下、Ca:0.010%以下及びBi:0.30%以下から選択される1種以上を含有し、残部はFe及び不純物からなり、下記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80以上の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上であることを特徴とする非調質鋼。
Ceq=C+(Si/10)+(Mn/5)+(5Cr/22)+1.65V−(5S/7)・・・・・▲1▼
ここで、▲1▼式中の元素記号は、その元素の質量%での鋼中含有量を表す。
In mass%, C: 0.20 to 0.40%, Si: 0.05 to 1.50%, Mn: 0.30 to 2.00%, S: 0.040 to 0.130%, V: 0.10 to 0.50%, Ti: more than 0.10% to 0.50%, Al: 0.002 to 0.100%, N: 0.002 to 0.020% and Cr: 50% And at least one selected from Pb: 0.30% or less, Te: 0.30% or less, Ca: 0.010% or less, and Bi: 0.30% or less, with the balance being Fe And a ferrite / pearlite structure having a chemical composition with a Ceq value of 0.80 or more represented by the following formula (1) and a ratio of ferrite of 40% or more, and the hardness of the ferrite: Is Vickers hardness of 250 or more, and the ratio of ferrite hardness to total hardness is 0.80 or more. Non-heat treated steel characterized by Rukoto.
Ceq = C + (Si / 10) + (Mn / 5) + (5Cr / 22) + 1.65V− (5S / 7) (1)
Here, the element symbol in the formula (1) represents the content in steel in mass% of the element.
質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%、N:0.002〜0.020%、P:0.150%以下及びCr:0.50%以下を含むとともに、Pb:0.30%以下、Te:0.30%以下、Ca:0.010%以下及びBi:0.30%以下から選択される1種以上を含有し、残部はFe及び不純物からなり、下記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80以上の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上であることを特徴とする非調質鋼。Ceq=C+(Si/10)+(Mn/5)+(5Cr/22)+1.65V−(5S/7)・・・・・▲1▼
ここで、▲1▼式中の元素記号は、その元素の質量%での鋼中含有量を表す。
In mass%, C: 0.20 to 0.40%, Si: 0.05 to 1.50%, Mn: 0.30 to 2.00%, S: 0.040 to 0.130%, V: 0.10 to 0.50%, Ti: more than 0.10% to 0.50%, Al: 0.002 to 0.100%, N: 0.002 to 0.020%, P: 0.00. 150% or less and Cr: 0.50% or less, Pb: 0.30% or less, Te: 0.30% or less, Ca: 0.010% or less, and Bi: 0.30% or less Ferrite with at least one kind, the balance consisting of Fe and impurities, with a chemical composition with a Ceq value of 0.80 or more represented by the following formula (1), and a ratio of ferrite of 40% or more With a pearlite structure, the hardness of the ferrite is more than 250 in terms of Vickers hardness, Microalloyed steel ratio of hardness, characterized in that at least 0.80. Ceq = C + (Si / 10) + (Mn / 5) + (5Cr / 22) + 1.65V− (5S / 7) (1)
Here, the element symbol in the formula (1) represents the content in steel in mass% of the element.
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