JP3986596B2 - 硬化性コーティング組成物 - Google Patents
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Description
発明の分野
本発明は、硬化性コーティング組成物、特に組成物成分の1つとしてカルバメートまたは尿素官能性化合物を利用する、硬化性組成物に関するものである。
【0002】
発明の背景
硬化性コーティング組成物、例えば熱硬化性塗料、は塗料業界で広く使用されている。これらは自動車業界および工業用塗料業界においてトップコートとしてしばしば使用される。カラー・プラス・クリア複合塗料は、特にすぐれた光沢、色の深み、イメージの鮮明度、または特殊な金属効果を希望する場合のトップコート(仕上げ塗り)としてとりわけ有用である。自動車業界ではこれらの塗料を自動車ボディーパネル用として広く使用している。しかしながらカラー・プラス・クリア複合塗料は、所望の目視効果を達成するためには、そのクリアコート(透明塗料)の透明性が著しく高いことが要求される。高光沢(ハイグロス)塗料も、所望の目視効果、例えばイメージの高鮮明度(DOI)、を達成するには、塗膜面における目視収差の度合が低いことも要求される。
【0003】
これらの塗膜は環境腐食として知られる現象にはとりわけ敏感である。環境腐食自体は最終塗膜上または最終塗膜内のスポットまたはマークとして現れ、ぬぐいとることができない場合が多い。
【0004】
カルバメートまたは尿素官能性を有する硬化性成分をベースにする硬化性コーティング組成物は、腐食抵抗性塗料を提供するものとして、例えば米国特許第5,356,669号およびWO94/10211号各明細書中に提案されている。
【0005】
環境腐食抵抗に加えて、他の多数の特性が望まれる。例えば、柔軟性の高い塗膜の提供が望まれている。このことは、塗装すべき基質自体がプラスチック、皮革、または織布基質のように柔軟性である場合は特に有利である。
【0006】
コーティング組成物中に必要な揮発性有機物含量(VOC)低減させることも望ましく、そのことは環境に良好である。
【0007】
最後に、諸性質、例えば耐久性、硬度、および柔軟性、ならびに引っ掻き、擦傷、溶剤および酸に対する抵抗性、の優れた組み合わせを有する塗膜を提供するために、異なったタイプのカルバメートまたは尿素官能性物質のオプションを提供することもしばしば望まれる。
【0008】
発明の要約
本発明によれば、下記のものを含んでなる塗料組成物が提供される。
(A)下記(1)および(2)からなる混合物の反応生成物である、カルバメートもしくは尿素官能性化合物、
(1)下記(a)と(b)との反応生成物である、カルバメート基もしくは尿素基(またはカルバメートもしくは尿素基に転換し得る基)およびヒドロキシ
ル官能基を有する化合物、
(a)カルバメート基もしくは尿素基(またはカルバメート基もしくは尿素基に転換し得る基)、およびラクトンもしくはヒドロキシカルボン酸と反応し得る活性水素基を含む化合物と、
(b)ラクトンもしくはヒドロキシカルボン酸、
および、
(2)化合物(A)(1)の複数の分子上のヒドロキシル基とは反応するが、化合物(A)(1)上のカルバメートもしくは尿素基とは反応しない化合物、
(B)化合物(A)(1)上のカルバメートもしくは尿素と反応する複数の基を含んでなる化合物。
【0009】
本発明によれば、諸性質、例えば耐久性、硬度、引っ掻き、擦傷、または溶剤および酸に対する抵抗性、の良好な組み合わせを有する塗膜が提供される。また本発明のコーティング組成物は、VOCレベルが低く、かつ柔軟性基質上にも使用できる良好な柔軟性を示す塗膜の調製に使用することができる。
【0010】
好ましい態様の説明
本発明によれば、化合物(A)は、カルバメートもしくは尿素官能性を有し、かつカルバメートもしくは尿素基(またはカルバメートもしくは尿素基に転換し得る基)およびヒドロキシル基を有する化合物(A)(1)を、化合物(A)(2)と反応させて形成させる。化合物(A)(1)は、少なくとも1つのカルバメートもしくは尿素基(またはカルバメートもしくは尿素基に転換し得る基)および活性水素基を有する化合物(A)(1)(a)と、ラクトンもしくはヒドロキシカルボン酸(A)(1)(b)との反応生成物である。
【0011】
カルバメート基は次の一般式により一般的に表される。
[式中、RはHもしくはアルキル、好ましくは炭素数1〜4のもの、である]
好ましくは、RはHまたはメチル、さらに好ましくはRはH、である。尿素基は次の一般式により一般的に特徴付けられる。
[式中、R′およびR″はそれぞれ独立にHもしくはアルキル、好ましくは炭素数1〜4のもの、を示し、またはR′およびR″が共に複素環構造を形成していてもよい(例えばR′およびR″がエチレンブリッジを形成)]
【0012】
化合物(A)(1)はラクトンもしくはヒドロキシカルボン酸と、ヒドロキシカルボン酸の酸基と縮合反応またはラクトン開環反応を行い得る活性水素基(例えばヒドロキシル、第一アミン、酸)、およびカルバメートもしくは尿素基(またはカルバメートもしくは尿素基へ変換できる基)を有する化合物とを反応させることにより形成させることができる。
【0013】
カルバメートもしくは尿素に転換し得る基および活性水素基を有する化合物をラクトンもしくはヒドロキシカルボン酸と反応させる場合、カルバメートもしくは尿素への転換は開環反応中または開環反応後に遂行できる。
【0014】
カルバメートもしくは尿素基および活性水素基を有する化合物は公知である。例えば、ヒドロキシプロピルカルバメートおよびヒドロキシエチルエチレン尿素は公知であり、市販されている。アミノカルバメートは米国特許第2,842,523号明細書に記載がある。ヒドロキシル尿素もオキサゾリドンをアンモニウムもしくは第一アミンと反応させることにより、またはエチレンオキシドをアンモニウムと反応させてアミノアルコールを形成後、上記化合物のアミン基もしくは他のアミノアルコールの全てを塩酸と反応させ、次いで尿素と反応させてヒドロキシ尿素を形成させることにより調製することもできる。アミノ尿素は例えば反応から保護(例えば立体障害により)された1つのアミン基を有するジアミンとケトンとを反応させ、次いでHNCO(すなわち、尿素の熱分解生成物)および引き続いて水と反応させることにより調製することができる。別法としてこれらの化合物は、次に記載のような、カルバメートもしくは尿素に転換可能な基と活性水素とを有する化合物を出発物質とし、次いでラクトンまたはヒドロキシカルボン酸との反応開始に先立って上記基をカルバメートもしくは尿素に転換するこよにより調製できる。
【0015】
カルバメートへ転換可能な基の例中には、環状カーボネート基、エポキシ基、および不飽和結合が包含される。環状カーボネート基はアンモニウムもしくは第一アミンと反応させると環状カーボネートが開環してβ−ヒドロキシカルバメートを形成してカルバメート基に転換できる。エポキシ基はCO2 との反応で環状カーボネート基に先ず転換させることによりカルバメート基へ転換させることができる。この反応は常圧から超臨界CO2 圧に至る、いかなる圧力下でも実施できるが、加圧下(例えば60〜150psi)で実施するのが好ましい。好ましい反応温度は60〜150℃である。有用な触媒の例中には、第三アミンもしくは第四塩(例えば、テトラメチルアンモニウムブロマイド)、錯化有機錫ハロゲン化物とアルキルホスホニウムハロゲン化物との組み合わせ[例えば、(CH3 )3 SnI、Bu4 SnI、Bu4 PI、および(CH3 )4 PI]、カリウム塩(例えば、K2 CO3 、KI、好ましくはクラウンエーテルとの組み合わせ)、オクタン酸錫、オクトン酸カルシウム等のオキシラン環を活性化し得る触媒はいずれも包含される。次いで環状カーボネート基は上記のようにカルバメート基に転換させることができる。不飽和結合はいずれもペルオキシドと反応させて先ずエポキシ基に転換し、次いでCO2 と反応させて環状カーボネートとし、さらにアンモニウムもしくは第一アミンと反応させてカルバメートを形成させる。
【0016】
他の基、例えばヒドロキシル基もしくはイソシアネート基、もカルバメート基に転換させて化合物(A)(1)(a)を形成させることができる。しかしながら、もしかかる基を化合物(A)(1)(a)上に存在させ、次いでラクトンによる開環反応後にカルバメートに転換させなければならない場合には、これらの基はブロックしてラクトンと反応させないか、またはラクトン開環反応に関与する上記活性水素基と反応させないようにする必要がある。これらの基のブロッキングが好ましくない場合には、カルバメートもしくは尿素への転換はラクトン開環反応に先立って完結させておく必要がある。ヒドロキシル基は、モノイソシアネート(例えば、メチルイソシアネート)との反応により第二カルバメートを形成させ、またはシアン酸(このものは尿素の熱分解によりその場で形成させることができる)との反応により第一カルバメート基(すなわち、非置換カルバメート)を形成させてカルバメート基に転換させることができる。この反応は公知触媒の存在下で実施するのが好ましい。ヒドロキシル基はまた、ホスゲンおよび引き続くアンモニウムとの反応で第一カルバメート基(類)を有する化合物を形成させ、またはヒドロキシルをホスゲンおよび引き続く第一アミンと反応させて第二カルバメート基を有する化合物を形成させることができる。他の方法はイソシアネートをヒドロキシアルキルカルバメート等の化合物と反応させてカルバメートキヤップドイソシアネート誘導体を形成させる経路である。例えば、トルエンジイソシアネート上の1つのイソシアネート基はヒドロキシプロピルカルバメートと反応させ、次いで他のイソシアネートを過剰のポリオールと反応させてヒドロキシカルバメートを形成させることができる。最後に、カルバメートは、ヒドロキシル基をアルキルカルバメート(例えば、メチルカルバメート、エチルカルバメート、ブチルカルバメート)と反応させるエステル交換反応により第一カルバメート基含有化合物を形成させることにより調製できる。この反応は加熱下、好ましくは例えばジブチル錫ジラウレート等の有機金属触媒の存在下、で実施するのが好ましい。カルバメート調製の他の方法は公知であり、例えばアダムスら(P.Adams & F.Baron)の“Esters of Carbamic Acid”,Chemical Reviw、65巻(1965)に記載がある。
【0017】
オキサゾリドン等の基も上記ラクトンとの開環反応後に尿素に転換させることができる。例えば、ヒドロキシエチルオキサゾリドンはラクトンとの開環反応の開始用に使用でき、次いでオキサゾリドンとアンモニウムもしくは第一アミンとの反応により尿素官能基を形成させる。
【0018】
アミノ基またはイソシアネート基等の他の基も尿素基へと転換させて化合物(A)(1)(a)を形成させることができる。しかし、もしこれらの基が化合物(A)(1)(a)上に存在し、ラクトンとの開環反応後に尿素に転換しなければならない場合には、これらの基をブロックしてラクトンと反応させないか、またはラトクトンの開環に関与する活性水素基と反応させないようにする必要がある。これらの基のブロッキングが好ましくない場合には、カルバメートまたは尿素への転換は、ラクトン開環反応に先立って完結しておく必要がある。アミノ基は、モノイソシアネート(例えばメチルイソシアネート)との反応により第二尿素基を、またはシアン酸との反応により第一尿素基を形成させることにより尿素基へ転換させることができる。シアン酸は尿素の熱分解によりその場で形成させることができる。公知のように上記反応は触媒の存在下で行うのが好ましい。アミノ基も、ホスゲンおよび次いでアンモニウムと反応させて第一尿素基を有する化合物を、またはアミノ基をホスゲンおよび次いで第一アミンと反応させて第二尿素基を有する化合物を形成させることができる。他の経路はイソシアネートをヒドロキシ尿素化合物と反応させて尿素キヤップドイソシアネート誘導体を形成させる反応である。例えばトルエンジイソシアネート上の1つのイソシアネート基はヒドロキシエチルエチレン尿素と反応させ、次いで他のイソシアネート基を過剰のポリオールと反応させてヒドロキシカルバメートを形成させる経路がある。
【0019】
カルバメートに転換できる基および活性水素基を有する化合物の好ましい1クラスはヒドロキシアルキル環状カーボネートである。ヒドロキシアルキル環状カーボネートの合成方法は多数ある。3−ヒドロキシプロピルカーボネート(すなわちグリセリンカーボネート)等のある種のヒドロキシアルキル環状カーボネートは市販品されている。環状カーボネートは種々異なった経路で合成できる。1つの経路は、エポキシ基含有化合物をCO2 と上記のような条件および触媒の存在下で反応させる方法が包含される。かかる触媒の存在下でエポキシドもβ−ブチロラクトンと反応させることができる。他の経路は、グリコール、例えばグリセリン、を少なくとも80℃でジエチルカーボネートと触媒(例えばカリウムカーボネート)の存在下で反応させてヒドロキシアルキルカーボネートを形成させる反応である。別法として、次の構造:
【化1】
を有する1,2−ジオールのケタールを含む官能化合物を水で、好ましくは痕跡量の酸を用いて、開環して1,2−グリコールを形成させ、これをさらにジエチルカーボネートと反応させて環状カーボネトを形成させることができる。
【0020】
環状カーボネートは典型的に5〜6員環を有することは公知である。合成の容易さおよび市販品が入手しやすいとの理由で5員環が好ましい。6員環はホスゲンを1,3−プロパジオールを用いて環状カーボネートを形成させる条件下で反応させることにより合成できる。好ましいヒドロキシアルキル環状カーボネートは次式にて表される。
【化2】
[式中、R(またはnが1以上の場合にはそれぞれのRについて)は炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜6、一層好ましくは炭素数1〜3、の直鎖もしく分岐ヒドロキシアルキル基であって、このものはヒドロキシル(それ自体は第一、第二、または第三)以外にもブロックドアミンもしくは不飽和基等の1つまたはそれより多い他の置換基により置換されていてもよく、かつnは1もしくは2である]
より好ましくは、Rは−Cm H2mOH[式中、ヒドロキシルは第一もしくは第二であり、mは1〜8]、さらにより好ましくはRは−(CH2 )p −OH[式中、ヒドロキシルは第一であり、pは1〜2]である。
【0021】
活性水素で開環し得るラクトンは公知である。これらの例中には、ε−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、β−ブチロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−ノナンラクトン、γ−オクタンラクトン、およびペントラクトンが包含される。好ましい1実施態様では、上記ラクトンはε−カプロラクトンである。また、本発明において好ましいラクトンは次式により特徴付けされる。
【化3】
[式中、nは1〜7の正整数、Rは1つもしくはそれよりH原子、またはRは炭素数1〜7の置換もしくは非置換アルキル基を示す]
【0022】
ラクトンの開環反応は典型的には昇温(例えば80〜150℃)の下で実施される。反応体は通常は液体なので溶剤は不必要である。しかし溶剤は反応成分が液体であってさえ、反応に対する好条件を促進するので有用である。任意の非反応性溶剤を使用することができ、極性および非極性溶剤を包含する。有用な溶剤の例中には、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が包含される。好ましくは触媒を存在させる。有用な触媒の例中には、プロトン酸(例えば、オクタン酸)、AmberlystR 15(Rohm & Haas社)、および錫触媒(例えばオクタン酸第一錫)が包含される。また、この反応は、ラクトン環と反応させるために分子上のヒドロキシル基のナトリウム塩を形成させることが開始することができる。
【0023】
もし充分量のラクトンが存在するなら、上記ラクトン開環反応により分子の連鎖延長ができる。カルバメートもしくは尿素化合物(A)(1)(a)とラクトン(A)(1)(b)との相対量を変化させて連鎖延長の程度を制御できる。ラクトン環を、ヒドロキシルもしくはアミン基で開環すると、エステルもしくはアミドならびにOH基が形成される。次いでこのOH基を、供給可能な他のラクトン環と反応させて連鎖延長させる。開始剤化合物(A)(1)(a)の量に対して、反応混合物中のラクトンの割合を変えて反応を制御する。本発明の実施に際しては、(A)(1)(a)上の活性水素基の当量に対する、(A)(1)(b)からのラクトンの当量比率は0.1:1〜10:1が好ましく、一層好ましくは1:1〜5:1である。酸によるラクトンの開環後、酸基を有する生成化合物は、次いでエチレンオキシドとの反応等の公知技術によりヒドロキシル基に転換させることができる。
【0024】
ヒドロキシル活性水素を有する化合物(A)(1)もヒドロキシカルボン酸と反応させてカルバメート官能または尿素官能化合物(A)を形成させることができる。有用なヒドロキシカルボン酸の例中には、ジメチルヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシステアリン酸、酒石酸、乳酸、2−ヒドロキシエチル安息香酸、およびN−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミントリ酢酸が包含される。この反応は例えば室温〜150℃において、オクタン酸カルシウム、金属ヒドロキシド(例えば、KOH)、第IもしくはII族金属(例えば、Na、Li)、金属炭酸塩(例えば、K2 CO3 )(このものはクラウンエーテルとの併用で強化できる)、金属オキシド(例えば、ジブチル錫オキシド)、金属アルコシド(例えば、NaOCH3 、Al(CH3 H7 )3 ))、金属エステル(例えば、オクタン酸第一錫)、オクタン酸カルシウム、またはプロトン酸(例えば、硫酸)、MgCO3 、またはPh4 SbI等のエステル交換触媒の存在下、典型的エステル交換反応条件下で実施できる。この反応はまた、R.AnandによるSynthetic Communications,24(19)、2743−47(1994)に記載されているように、室温でポリマー支持触媒、例えばAmberlyst−15R(Rohm & Haas)、を用いて実施できる(この開示を引例として本明細書中に含める)。
【0025】
化合物(A)は、化合物(A)(1)を化合物(A)(2)と反応させて形成させる。化合物(A)(2)は化合物(A)(1)の複数の分子上のヒドロキシル基と反応性であるが、化合物(A)(1)上のカルバメートまたは尿素基とは反応しない。したがって最終生成物における化合物(A)(2)の残基は、化合物(A)(1)の複数のカルバメート官能もしくは尿素官能残基が結合しているコアであると記載することができる。少なくとも1つのヒドロキシル基プラスカルバメート基もしくは尿素基を有する他の化合物(例えばヒドロキシプロピルカルバメート)を、化合物(A)(2)との反応に先立って、化合物(A)(1)と混合してもよい。この場合、生じた反応生成物混合体は、かかる他の化合物に対する化合物(A)(1)の化学量論的比を表す。
【0026】
(A)(2)として有用な化合物の例中には、ポリイソシアネート、ジアルキルカーボネート、環状カーボネート、CO2 ,アセタール、ホスゲン、環状もしくは直鎖ホスファゼン、置換もしくは非置換環状シロキサンもしくはシラン、または置換もしくは非置換直鎖シロキサンもしくはシラン[このものはSiXm Rn に表される、式中Xはハロゲン化物、アルコキシ、ヒドリド、またはアセテート等のプロトンと反応する基であり、Rはアルキル、シラン、またはシロキサン等のプロトンと反応しない基を示し、m=2−4、およびm+n=4である]、SO2 源、例えばSO2 Cl2 、POCl3 、POCl2 R(式中、Rはアルキルまたはアリール)が包含される。ある種の化合物(A)(2)と一緒に、ジオールを(A)(1)および(A)(2)からなる反応混合物中に添加してカルバメートもしくは尿素末端基を有する連鎖延長をすることもできる。この反応は、例えばホスゲンを用いて実施でき、ホスゲン/ジオール反応では連鎖延長が生起し、ホスゲンと化合物(A)(1)との反応ではカルバメートもしくは尿素基を含む鎖末端が生起する。
【0027】
ポリイソシアネートは、脂環式ポリイソシアネートまたは芳香族ポリイソシアネートを包含する脂肪族ポリイソシアネートであってもよい。有用な脂肪族ポリイソシアネートの例中には、脂肪族ジイソシアネート、例えばエチレンジイソシアネート、1,2−ジイソシアネートプロパン、1,3−ジイソシアネートプロパン、1,6−ジイソシアネートヘキサン、1,4−ブチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、1,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)およびイソホロンジイソシアネート、が包含される。有用な芳香族ジイソシアネートおよびアラリファテイック(araliphatic)ジイソシアネ−トの例には、トルエンジイソシアネ−トの各種異性体、メタキシレンジイソシアネ−ト、およびパラキシレンジイソシアネ−トが包含され、また4−クロロ−1,3−フエニレンジイソシアネ−ト、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジベンジルジイソシアネ−トおよび1,2,4−ベンゼントリイソシアネートも使用できる。加えて、α,α,α’,α’−テトラメチルキシレンジイソシアネ−トの各種異性体も使用できる。過剰の単量体状ポリイソシアネートをポリオールと反応させて調製したポリイソシアネートオリゴマーまたはポリイソシアネート重合体も使用可能である。また、イソホロンジイソシアネ−トのイソシアヌレートまたはヘキサメチレンジイソシアネ−トのイソシアヌレート等のイソシアヌレートも使用できる。イソシアヌレートのビウレット、例えばDESMODURR N100(Mobay社)、も有用である。
【0028】
カーボネート結合基を経由して2つの化合物(A)(1)を反応させ、リンクさせる化合物(A)(2)としては、ジアルキルカーボネート、環状カーボネート、CO2 、ジフエニルカーボネート、またはホスゲンが使用される。ホスゲンを使用する場合、(A)(1)2モル[または(A)(1)2モル+ヒドロキシプロピルカルバメート等の他のヒロキシカルバメートもしくは尿素化合物]に対してホスゲン約1モルのモル比で化合物(A)(1)溶液中に添加する。反応は7℃未満の温度、またはホスゲンを液状に維持できる加圧下で実施する。別法として上記反応系を通じてガス状ホスゲンをバブルさせてもよい。塩析用塩基(例えばNaOH)を用いて反応を促進してもよい。この反応は−20℃〜80℃、大気圧〜40psi、の範囲で、事実上いかなる非プロトン性溶剤中でも実施できる。
【0029】
環状カーボネートまたはジアルキルカーボネートは、その適切なモル混合物[(A)(1)2モル+他のヒドロキシカルバメートもしくは尿素ならびに環状カーボネートもしくはジアルキルカーボネート1モル]を、オクタン酸カルシウム等のエステル交換触媒と共に例えば80〜200℃に加熱して化合物(A)(1)と反応させるための化合物(A)(2)として使用できる。有用なジアルキルカーボネートの例中には、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジフエニルカーボネート、およびジブチルカ−ボネートが包含される。有用な環状カーボネートの例中には、プロピレンカーボネート、グリセリンカーボネート、およびジメチルエチレンカーボネートが包含される。環状カーボネートは、不飽和結合とペルオキシドとの反応によりオキシラン環を形成させ、次いでCO2 と反応させて環状カ−ボネートを形成させることにより、全ての不飽和結合から形成できる。有用な触媒の例中には、金属ヒドロキシド(例えばKOH)、第IまたはII族金属(例えば、Na、Li)、金属炭酸塩(例えばK2 CO3 )(このものはクラウンエーテルと併用すると強化される)、金属酸化物(例えば、ジブチル錫酸化物)、金属アルコキシド(例えば、NaOCH3 、Al(OCH3 H7 )3 ]、金属エステル(例えば、オクタン酸第一錫、オクタン酸カルシウム)、またはプロトン酸(例えば、硫酸)、MgCO3 、またはPh4 SbIが包含される。使用する溶剤はエステル交換に対して不活性な溶剤であるべきである。この触媒および/または反応条件は、化合物(A)(1)のエステル交換を最小限に抑制するのに必要である。CO2 も、類似触媒の存在下、類似条件で(A)(2)化合物として用いられ、使用圧力は1〜40気圧である。
【0030】
無機反応基を有する化合物も、化合物(A)(1)のヒドロキシル基と反応させるのに使用される。これらの例中には、燐化合物、例えばPOCl3 、またはヘキサクロロシクロトリホスファゼン、SO2 源、例えばSO3 もしくはSO2 Cl2 、または置換もしくは非置換環状シロキサンもしくはシラン、または式SiXm Rn [式中、Xはハロゲン化物、アルコキシ、ハイドライド、またはアセテート等のプロトンと反応する基であり、Rはアルキル、シラン、またはシロキサン等の、プロトンと反応しない基であり、m=2−4、ならびにm+n=4である]にて表される置換もしくは非置換直鎖シロキサンもしくはシラン等のシラン系システムが包含される。
【0031】
ホスファゼン系化合物(例えばヘキサクロロシクロトリホスファゼン)またはPOCl3 等の燐含有化合物も、(A)(1)と反応させる化合物(A)(2)として使用される。典型的な1反応では、燐反応剤1当量(塩素含量基準)をテトロヒドロフランのジエチルエーテル等の乾燥エーテル溶剤中に溶解して、約50%溶液を調製する。ナトリウムハイドライド1.5当量を添加し、次いで化合物(A)(1)1当量[または化合物(A)(1)+他のヒドロキシカルバメートもしくは尿素化合物]を添加する。この混合物が自己発熱により溶剤の還流温度に達するようにし、この間は化合物(A)(1)の添加速度の調整によって反応温度を制御する。化合物(A)(1)の添加完了後、上記反応混合物を還流温度まで加熱し、この温度で2〜3時間維持する。次いでこの混合物を冷却、濾過してNaClおよび全ての未反応ナトリウムハイドライドを除き、同時に減圧下で溶剤を除く。
【0032】
シラン系化合物も化合物(A)(2)として使用される。かかる化合物は一般式SiXm Rn [式中、Xはプロトンと反応する基、例えばハロゲン化物、アルコキシ、ハイドライド、またはアセテート、であり、Rはプロトンと反応しない基、例えばアルキル、シラン、またはシロキサン、であり、m=2−4、ならびにm+n=4]にて表される。これらの化合物は全ての乾燥非プロトン溶剤(例えば、テトラヒドロフラン)中、公知条件下で(A)(1)と反応できる。上記公知反応条件はX基の性質に依存する。Xがハイドライドの場合、反応は錫触媒等の触媒の存在下、不活性雰囲気中、冷却反応体(例えば0℃)を用いて好ましく開始できる。物質の添加完了後、乾燥メタノールの添加により遊離残留Si−Hボンドの全てを反応させる。Xがハロゲン化物である場合には、この反応は室温、不活性雰囲気下で好ましく開始する。次いで上記混合物を還流させて反応を完結させる。HClが副生する。Xがアルコキシの場合には、反応は室温、不活性雰囲気中で開始し、反応中は室温に維持する。形成する副生アルコールを吸着するためにモレキュラーシーブを使用してもよい。この反応は僅かの塩基性もしくは酸性により促進されるが、同時にSi−O−Si結合の形成も促進される。
【0033】
SO2 源の場合、SO3 は、化合物(A)(1)が液状であればSO3 をバブルさせることにより、または(A)(1)を溶剤中に溶解し、次いで溶剤中にSO3 をバブルさせることにより、(A)(1)と反応させ得る。SO2 Cl2 と化合物(A)(1)との反応は、化合物(A)(1)をNaもしくはNaOR(Rは有機基を示す)と予備反応させることにより支援できる。
【0034】
本発明の組成物はカルバメートまたは尿素官能性化合物(A)を、成分(A)上のカルバメート官能または尿素官能基と反応する複数の官能基を有する化合物である成分(B)成分と反応させることにより硬化し得る。かかる反応性基の例中には、アミノプラスト架橋剤上またはフエノール/ホルムアルデヒド付加物、シロキサンもしくはシラン基、および酸無水物基等の他の化合物上の活性メチロール基またはメチルアルコキシ基が包含される。化合物(B)の例中には、メラミンホルムアルデヒド樹脂(単量体状もしくは重合体状メラミン樹脂および部分もしくは完全アルキル化メラミン樹脂を包含する)、尿素樹脂(例えば、尿素ホルムアルデヒド樹脂等のメチロール尿素、ブチル化尿素ホルムアルデヒド樹脂等のアルコキシ尿素)、N−メチロールアクリルアミドエマルジョン、イソブトキシメチルアクリルアミドエマルジョン、ポリ酸無水物(例えば、ポリこはく酸無水物)、およびシロキサンもしくはシラン(例えば、ジメチルジメトキシシラン)が包含される。メラミンホルムアルデヒド樹脂または尿素ホムアルデヒド樹脂等のアミノプラスト樹脂が特に好ましい。アミノ窒素の1つまたはそれより多いがカルバメート基で置換されたアミノプラスト樹脂もまた、米国特許第5,300,328号明細書に記載されているように、硬化温度が150℃以下の方法に好ましく使用される。
【0035】
本発明の実施に際して用いるコーティング組成物中には必要に応じて溶剤を利用できる。本発明によるコーティング組成物は、特に成分(A)の連鎖延長の程度が制約されている場合には、溶剤なしでも塗装できる。しかし多くの場合、コーティング組成物中に溶剤を使用することが望ましい。この溶剤は、カルバメート官能または尿素官能化合物(A)および成分(B)の両方に関して溶剤として作用すべきである。一般に、溶剤としては成分(A)および(B)の溶解特性に応じて有機溶剤および/または水のいずれも使用できる。好ましい実施態様における上記溶剤は極性有機溶剤である。一層好ましくは極性脂肪族溶剤または極性芳香族溶剤である。さらに一層好ましい溶剤として、ケトン、エステル、アセテート、非プロトン性アミド、非プロトン性スルホキシド、または非プロトン性アミンが挙げられる。有用な溶剤の例中には、メチルエルケトン、メチルイソブチルケトン、アミルアセテート、エチレングリコールブチルエーテル−アセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、キシレン、N−メチルピロリドン、または芳香族炭化水素混合物が包含される。他の実施態様における上記溶剤は、水または水と補助溶剤との混合物である。本発明の実施に用いるコーティング組成物中には、硬化反応を増強させるための触媒を含有している。例えばアミノプラスト化合物、特に単量体状メラミン、を成分(B)として使用する場合は、強力な触媒を用いて硬化反応を強化させる。かかる触媒は公知であり、例えば、p−トルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、フェニル酸ホスフェート、モノブチルマレート、ブチルホスフェート、およびヒドロキシホスフェートエステルが挙げられる。本発明の組成物に使用して有用な他の触媒中には、ルイス酸、亜鉛塩、および錫塩が包含される。
【0036】
本発明のコーティング組成物に使用する溶剤は約0.01〜約99重量%の範囲で使用できるが、好ましい使用量は35重量%未満、一層好ましくは25量%未満、最も好ましくは15重量%未満、である。このコーティング組成物のVOC(ASTM D3960に準拠するVOCとして)は3.5lbs/ガロン未満が好ましく、一層好ましくは2.5lbs/ガロン未満、最も好ましくは1.5lbs/ガロン未満、である。
【0037】
このコーティング組成物は多数公知のいずれの手法を用いても物品上に塗装できる。これらの例中には、スプレー塗装、ディップ塗装、ロール塗り、カーテン塗装およびその他、が包含される。自動車ボディーパネルに対してはスプレー塗装が好ましい。本発明のコーティング組成物を使用して得られる利点としては高度の柔軟性を有する塗膜が調製できる点にある。したがって好ましい実施態様における塗装基質は、柔軟性基質、例えばプラスチック、皮革、または織布基質、である。
【0038】
上記コーティング組成物中には、追加の添加剤、例えば界面活性剤、フィラー、安定剤、湿潤剤、分散剤、接着促進剤、UV吸収剤、HALSおよびその他、のいずれも添加できる。これらの添加剤は公知であり、使用量は塗料特性に逆効果を与えないように制御しなければならない。
【0039】
好ましい実施態様では、本発明の組成物を高光沢(ハイグロス)塗料中に、および/または複合カラー・プラス・クリア塗料のクリアコート(透明塗料)として使用する。ここに記載のハイグロス塗膜とは、20度グロス(ASTM D523−89準拠)またはDOI(ASTM E430−91準拠)が少なくとも80を示す塗膜である。他の好ましい実施態様では、上記コーティング組成物をハイグロスまたはロウグロスプライマーまたはエナメル塗料の調製用に利用する。
【0040】
本発明のコーティング組成物を顔料入りハイグロスペイント塗料として使用する場合の顔料としては、有機もしくは無機化合物または着色物質、フィラー、金属もしくは他の無機フレーク物質、例えばマイカもしくはアルミニウムフレーク、および業界でピグメントと呼称する他の物質が使用される。顔料の使用量は通常成分(A)および(B)の全重量%(溶剤は除く)基準で2〜350%(すなわち、P:B比が0.02〜3.5)である。
【0041】
本発明のコーティング組成物を複合カラ−・プラス・クリア塗膜のクリアコートに使用する場合、顔料入りベースコート(下塗り)組成物は公知のいずれのタイプでもよく、ここでは詳細は記載しない。ベースコート組成物に有用な公知ポリマーとしては、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエステル、アルキッド、およびシロキサンが挙げられる。好ましいポリマーの例中には、アクリル樹脂およびポリウレタンが包含される。本発明の好ましい実施態様において、上記ベースコート組成物もカルバメート官能性アクリルポリマーを利用する。ベースコートポリマーは架橋可能であることが好ましく、したがって1種もしくはそれより多いタイプの架橋性基を含んでいる。かかる基の例としては、ヒドロキシ、イソシアネート、アミン、エポキシ、アクリレート、ビニル、シラン、およびアセトアセテート基が挙げられる。これらの基はマスクもしくはブロックすることができ、一般に高温からなる所望硬化条件下ではブロックが解除されて、これらの基が架橋反応用に提供される。有用な架橋性官能基の例としては、ヒドロキシ、エポキシ、酸、酸無水物、シラン、およびアセトアセテート基が挙げられる。好ましい架橋性基の例中には、ヒドロキシ官能基およびアミノ官能基が包含される。
【0042】
ベースコートポリマーは自己架橋性でもよく、またはポリマーの官能基と反応する別途の架橋剤を必要としても差し支えない。このポリマーがヒドロキシ官能基を含む場合の架橋剤としては、例えばアミノプラスト樹脂、イソシアネートおよびブロックドイソシアネート(イソシアヌレートも包含)、ならびに酸または酸無水物官能架橋剤があげられる。
【0043】
ここに記載したコーティング組成物は、塗膜を硬化させるような条件下に処するのが好ましい。各種の硬化法が使用できるが、熱硬化が好ましい。一般的に熱硬化は放射加熱源に主として由来する昇温下に物品を曝すと有効である。硬化温度は架橋剤中に用いた特定ブロッキング剤の種類により変動するが、一般には93℃〜177℃である。本発明のコーティング組成物は比較的低い硬化温度でも硬化する。したがって、好ましい実施態様では、ブロックド酸触媒系の場合、硬化温度は115℃と150℃の間、好ましくは115℃と138℃との間である。非ブロックド酸触媒系の場合、好ましい硬化温度は82℃と99℃との間、である。硬化時間は、使用する特定成分、および塗膜の厚さ等の物理的パラメーターにより変わるが、典型的ブロックド酸触媒系の場合で、15分〜60分、好ましくは15分〜25分、非ブロックド酸触媒系の場合で10分〜20分、である。
【0044】
【実施例】
以下の例は本発明をさらに詳細に説明するためのものである。
【0045】
調製例1
清浄な三ッ口丸底フラスコ(12リットル)に撹拌機、凝縮器、熱電対、および窒素ラインを具備させた。この装置中に、ε−カプロラクトン6033g、ヒドロキシプロピルカルバメート2516g、トルエン450g、およびオクタン酸第一錫15gを仕込んだ。この混合物を窒素雰囲気下で撹拌し、130℃に加熱した。この温度に6時間維持して反応を完結させ、次いで冷却した。
【0046】
調製例2
調製例1で調製した成分2092g、および1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート412gを窒素雰囲気下、5リットル容三ッ口丸底フラスコ中に仕込んだ。このフラスコには撹拌機、凝縮器、熱電対および窒素ラインを装備した。この混合物を徐々に60℃に加熱し、この時点で混合物は発熱した。混合物を冷却し、これにより最高発熱温度が99℃に到達したら、以後はバッチ温度を86℃で4.25時間維持した。この混合物を冷却し、n−ブチルアセテト286.7gで希釈した。
【0047】
例1
調製例2で調製した物質166g、単量体状完全メチル化メラミン33.7g、ブロックドドデシルベンゼンスルホン酸溶液(25%活性)5.22g、TinuvinR 1130 5.22g、ポリアクリレート添加剤溶液0.87g、表面変性用添加剤溶液1.45g、n−ブチルアセテート4.25g、およびエチレングリコールブチルエーテルアセテート42.5gを混合してクリアコートを調製した。
【0048】
上記コーティング組成物を、公知空気噴霧サイホンガンを用いて各種の基質上にスプレー塗装した。硬質基質および柔軟性基質の両方を塗装した。パネルの1部は公知ハイソリッドベースコート上に重ねてウエット・オン・ウエットで塗装した。これらの系の場合、上記ベースコート(工業標準ハイソリッドOHアクリル/メラミン系)を塗装後、93℃で10分間フラッシュした。冷却後、上記塗料混合物をこのベースコート上に直接塗装した。さらに室温で15分間フラッシュ後、このパネルを121℃で30分間焼き付けた。
この例のコーティング組成物では、堅く硬化した透明な連続被膜が得られた。このクリアコートのVOCは3.07lbs/ガロンと測定された。
【0049】
調製例3
1リットル容の三ッ口フラスコに撹拌器、熱電対、凝縮器、および窒素ラインを具備させた。このフラスコ中にヒドロキシプロピルカルバメート59.5部、ε−カプロラクトン171.2部、キシレン98.9部、およびオクタン酸第一錫0.4部を窒素雰囲気下で仕込んだ。この混合物を130℃で10時間加熱し、この時点でオクタン酸第一錫0.2部を追加した。この混合物を145℃で1時間加熱し、次いで冷却した。
【0050】
調製例4
三ッ口丸底フラスコ(1リットル)のセンターネックに撹拌機、凝縮器、熱電対を、他の1ネックに窒素ラインを、第3ネックにドライアイス/イソプロパノール混合物で揮発物を凝縮・捕集するためのトラップを具備させた。このフラスコ中に調製例1で得た生成物125.0部、ジエチルカーボネート11.2部、およびジブチル錫ジメトキシド4.0部を窒素雰囲気下で仕込んだ。約100℃を維持するように3時間加熱し、この間、揮発物をトラップ中に捕集した。トラップ中に蒸留した回収エタノールおよびジエチルカーボネートをガスクロマトグラフでモニターした。フラスコ中には定期的にジエチルカーボネートを添加しトラップへのロス分を補給した。この混合物を、さらに10.5時間90℃〜132℃で加熱し、引き続いて回収エタノールをモニターし、必要に応じてジエチルカーボネートを補給した。生成樹脂を、アミルアセテート29.8部で希釈した。
【0051】
例2
調製例4の生成物10部、ResimeneR 747 2部、SolvessoR Aromatic 100 溶剤混合物1.8部、およびドデシルベンゼンスルホン酸0.48部を併合することによりクリアコートを調製した。均一になったら、この混合物をガラス板上に引き伸ばし、121℃で30分間硬化させた。堅く、柔軟で、耐溶剤性の塗膜が得られた。
【0052】
以上、本発明を好ましい実施態様に従って説明した。しかし、本発明の精神および範囲以内で種々の修正、修飾がなし得ることは自明であろう。
Claims (14)
- 下記(A)および(B)を含んでなる硬化性塗料組成物。
(A)下記(1)および(2)を含んでなる混合物の反応生成物である、第一カルバメートもしくは尿素官能性化合物、
(1)下記(a)および(b)の反応生成物である、カルバメート基もしくは尿素基(またはカルバメートもしくは尿素基に転換し得る基)およびヒドロキシル官能基を有する化合物
(a)カルバメート基もしくは尿素基(またはカルバメート基もしくは尿素基に転換し得る基)、およびラクトンもしくはヒドロキシカルボン酸と反応し得る、ヒドロキシル基またはアミノ基からなる群から選択される活性水素基を含む化合物、
(b)ε−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、β−ブチロラクトン、β−プロプリオラクトン、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−ノナン酸ラクトン、γ−オクタン酸ラクトン、およびペントラクトンからなる群から選択されるラクトンもしくはジメチルヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシステアリン酸、酒石酸、乳酸、2−ヒドロキシエチル安息香酸、およびN−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸からなる群から選択されるヒドロキシカルボン酸、
および、
(2)化合物(A)(1)の複数の分子上のヒドロキシル基とは反応するが、化合物(A)(1)上のカルバメートもしくは尿素基とは反応しない化合物、
(B)複数の、カルバメートもしくは尿素と反応する基を有する化合物。 - 上記化合物(A)(1)(a)がヒドロキシアルキルカルバメートまたはヒドロキシアルキル環状カーボネートである、請求項1のコーティング組成物。
- 化合物(A)(1)が環状カーボネート開環生成物のβ−ヒドロキシカルバメートである、請求項1のコーティング組成物。
- 上記化合物(A)(1)(b)がラクトンであり、かつ(A)(1)(b)からのラクトンの当量/(A)(1)(a)上の活性水素基の当量の比が0.1:1〜10:1である、請求項1ないし3のいずかのコーティング組成物。
- (A)(1)(b)からのラクトンの当量/(A)(1)(a)上の活性水素基の当量の比が1:1ないし5:1である、請求項4のコーティング組成物。
- 化合物(B)がアミノプラストである、請求項1ないし5のいずれかのコーティング組成物。
- 上記アミノプラストがメラミン樹脂である、請求項6のコーティング組成物。
- 300kg/m3より低いVOCを有する、請求項1ないし7のいずれかのコーティング組成物。
- 液体であって25重量%より少ない非反応性有機溶剤を含んでなる、請求項1ないし8のいずれかのコーティング組成物。
- クリアコートコーティング組成物である、請求項1ないし9のいずれかのコーティング組成物。
- 顔料をさらに含む、請求項1ないし10のいずれかのコーティング組成物。
- 上記化合物(A)(2)がポリイソシアネート、ジアルキルカーボネート、CO2、多官能有機チタネート、有機アルミニウム、または有機錫化合物である、請求項1ないし11のいずれかのコーティング組成物。
- 請求項1ないし12のいずれかのコーティング組成物から得られた塗膜を有する基質からなる物品。
- 上記基質が柔軟性基質である、請求項13の物品。
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