JP3985988B2 - 電池パックおよび電動工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器に収納した複数の単電池の温度上昇と電池温度のばらつきを抑えて電池性能を十分に発揮させることができ、またその電極リード端子を外部衝撃等から保護するようにした構造の電池パックと、この電池パックを駆動源として装着した電動工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、電気自動車や電動アシスト自転車、更には電動工具の駆動源として、ニッケル・水素電池等の二次電池が用いられている。この種の駆動源として用いられる電池は、一般的に複数の単電池を直列に接続した組電池を、例えばポリカーボネートやABS樹脂からなる容器に収容した電池パックとして提供される。
【0003】
ところで従来の電池パックにあっては、専ら、複数の単電池を容器内に最密充填状態で収容することでその容積効率を高め、全体形状のコンパクト化が図られている。ちなみに円柱形状をなす複数の単電池を容器に収容して電池パックを構成する場合、一般的にはその収容容積が最小となるように、例えば図6に示すように12個の単電池1を、その周面を互いに接触させながら3列に俵積み状に配列し、これを四角形状の容器2に収容するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのような構造の電池パックにおいては、容器2の壁面に沿って配列された単電池1と、その中央部に配列された単電池1との間に温度のバラツキが生じ易いと言う問題がある。即ち、容器2の壁面に沿って配列された単電池1の熱は該容器2の壁面を介して放出され易いが、中央部に配列された単電池1の熱はその内部に蓄熱される傾向にある。このような電池温度のバラツキは、個々の単電池1の電池特性(電池容量)のバラツキの要因となる。しかもこのような状態で電池パックを使用すると、電池容量の小さい単電池1から順に寿命が尽きていくので、例えば寿命が尽きた単電池1に転極が生じたり、その再充電が不可能になる等の事態を招く。この結果、電池パックとしての性能を著しく低下させ、そのサイクル寿命特性が劣化すると言う不具合が生じる。
【0005】
また単電池1がニッケル・水素電池等の二次電池である場合、その充電時に大きな発熱が生じ、とりわけ大電流で短時間に充電する場合、その発熱現象が顕著である。しかもニッケル・水素二次電池は、電池温度が高くなると充電効率が低下し、その電池容量が低下する。更には温度上昇に伴って、その負極を構成する水素吸蔵合金が電解液で腐食され易くなり、水素吸蔵合金の水素吸蔵・放出能力が劣化するという問題が発生する。従って容器2に収容した単電池(ニッケル・水素二次電池)1の、特に充電時における温度上昇を防ぐことが重要となる。
【0006】
また電動工具の駆動源として用いられる電池パックにあっては、一般的に電動工具自体の取り扱いが荒いので、特に落下等の外部衝撃に対して堅牢な構造を有することが要求される。更には電池パックの電極端子は、一般的には電動工具への装着部に突出させて設けられるが、電動工具等から電池パックを取り外した場合、該電池パックの落下により電極端子が破損したり、或いは金属製の工具等が電極端子に接触する虞がある等の問題がある。
【0007】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、容器内に収納した複数の単電池の温度上昇を防ぐと共に、個々の単電池の温度のバラツキを抑えてその電池性能を十分に発揮させることができ、しかもその電極端子の損傷等を未然に防ぐことのできる簡易な構造の電池パックを提供することにある。
また本発明は、堅牢で簡易な構造の電池パックを備えた電動工具を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するべく本発明に係る電池パックは、ループをなす一対の内壁部および外壁部と、これらの各壁部の下端部を連結する底部とにより回廊形状をなして形成した有底樋状の容器であって、上記内壁部と外壁部との間(電池収納空間)に組電池をなす複数の単電池を横並びにし、その周面を互いに接触させて1列にループ状に配列して収容すると共に、前記内壁部に囲まれた内側空間をその上下に貫通する空洞部とした樋状容器と、この樋状容器の上記空洞部に連通する開口を備え、前記樋状容器における前記電池収納空間の上端開口部を閉塞して設けられる蓋体とを具備し、前記複数の単電池の前記内壁部および外壁部を介する放熱効率を高めたものであって、更に前記組電池の電極リードを外部接続可能に導出する電極リード端子を前記蓋体の前記開口の形成部位に前記空洞部に面して設けることで、外部衝撃から電極リード端子を保護すると共に、外部から電極リード端子に接触し難い構造としたことを特徴としている。
【0009】
即ち、本発明に係る電池パックは、複数の単電池を収容する容器が、その内側に空洞部を形成したリング状の樋状体からなることに着目し、該容器の内周側の上記空洞部に面する部位に電極リード端子を設けることで、該電極リード端子に外部衝撃等が直接加わることがないようにし、また金属製の工具等が該電極リード端子に不本意に接触することがないようにした簡易な構造を実現したことを特徴としている。
【0010】
本発明の好ましい態様は、円柱形状をなす複数の単電池を、その周面を互いに接触させて横並びにループをなして配列して収容し、その内壁部および外壁部を前記単電池の高さに相当する高さを有するものとして前記樋状容器を構成することで、堅牢な構造の容器を実現する(請求項2)。また組電池の電極リードに接続された正負一対の電極端子および該組電池の充電時に用いられる補助端子からなる前記電極リード端子を、前記蓋体の前記空洞部に面する内周部に沿ってコの字状に配置することを特徴としている(請求項3)。
【0011】
また本発明の電池パックは、前記単電池としてニッケル・水素二次電池を用いて構成される(請求項4)。そして更に本発明は、上記構造の電池パックを、その駆動源として装着した電動工具を提供するものである(請求項5)。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る電池パックについて、例えば12個の円柱状のニッケル・水素二次電池(単電池1)を直列に接続して容器2に収容した電池パックを例に説明する。
図1はこの実施形態に係る電池パックの全体的な構造を示す分解斜視図で、1は単電池としての12個の円柱状のニッケル・水素二次電池、2はこれらのニッケル・水素二次電池(単電池)1を並べて収容する容器である。また3はニッケル・水素電池1の上部に設けられる端子台であって、4は端子台3を覆って前記容器2の上部開口部を閉塞する蓋体である。
【0013】
また図2(a)(b)(c)は、図1に示す電池パックの上面構造、側面構造、およびその縦断面構造をそれぞれ示しており、図3は図2(a)の矢視A-Aに沿う断面構造を示している。
容器2は、例えばポリカーボネート樹脂やABS樹脂を射出成型して構成されるもので、一対の平行部とその両端部間を曲部にて結んだ、いわゆる小判型にループした一対の内壁部21と外壁部22を備え、内壁部21と外壁部22との間を底部23にて連結して回廊形状の電池収納空間を形成した有底の樋状体(樋状容器)からなる。このようにループした回廊形状の電池収納空間を形成した樋状体の内側部、即ち、内壁部21により囲まれる容器1の中央部は、その上部から底部に掛けて貫通する空洞部29をなす。
【0014】
また上記電池収納空間を形成する内壁部21および外壁部22の高さ(電池収納空間をなす樋の深さ)は、円柱状の単電池1の高さ(長さ)よりも僅かに高く設定されており、また底部23の幅は円柱状の単電池1の径よりも僅かに広く設定されている。また前記内壁部21および外壁部22は、その上端部をそれぞれその外側に向けて0.5〜5°程度傾斜させて設けられ、その射出成型(モールド成型)時における形抜きの容易化が図られている。同時に内壁部21の傾斜により、該内壁部21により囲まれて形成される空洞部29の開口断面積がその上端側に向けて徐々に狭くなるように設定されている。尚、円柱状の単電池1は、例えば4/5Aサイズのものであって、直径17mm、高さ43mmの外径寸法を有する。
【0015】
しかして容器2は、内壁部21、外壁部22、および底部23からなる樋状の電池収納空間に、12個の単電池1をその周面を互いに接触させて1列にループ状に横並びに配列して収納する。具体的には長手方向に5個の単電池1を横並びに配列した2列の単電池列の端部間に、その外側に若干偏心させてそれぞれ1個の単電池1を配列することで円弧状の短辺部をなし、計12個の単電池1を小判型にループ配列するように、上記樋状の電池収納空間が設定されている。そして容器2内に収納された各単電池1の周面と前記内壁部21および外壁部22との間には、適宜、シリコーン等の熱伝導材が充填され、各単電池1と容器2との熱的結合が高められている。
【0016】
尚、外壁部22の長手方向の壁面をなす部位には、後述するストッパ5を嵌め込む為の切欠き24が設けられている。また樋状の電池収納空間の内側には、外壁部22に沿って4本のネジ止め用ボス25が立設されている。これらのネジ止め用ボス25は、その周面を互いに接触させて収納される円柱状の単電池1の側部に形成される空間を利用して設けられ、ボス25の存在によって単電池1の収納を妨げることがないようになっている。むしろこれらのボス25により単電池1の収納位置が規定されて、そのガタツキが防止されるようになっている。
【0017】
また内壁部21の上端部には、樋状の電池収納空間から外側向けて、つまり容器2の中央部に形成された空洞部29側に向けて張り出したフランジ26が設けられている。このフランジ26は、その上部にて端子台3を支持する役割を担うと共に、後述するように蓋体4の中央部と嵌合して該蓋体4の中央部をその下方から支持する役割を担う。
【0018】
一方、上述した容器2の樋状の電池収納空間に収納される複数の単電池1は、該収納空間に沿って前述したように小判型にループをなして配列され、図示しないリード体により直列に接続される。そして小判型にループ状に配列された単電池列の上端部は、例えば絶縁性の素材からなるカバー体11により覆われて、その配列形状が安定に保持されるようになっている。
【0019】
また単電池列の上部に設けられる端子台3は、絶縁性の素材からなる概略コの字状のブロック体形状を有し、小判型に配列された単電池列の長手方向に沿う両側辺内側部に正負一対の電極リード端子31,32を設け、これらの両側辺部を連結する短手方向に沿った曲辺内側部に3個の補助端子33,34,35を設けた構造を有する。即ち、これらの端子31,32,〜35は容器2の内側である前述した空洞部29に面して内側に向けて配列されている。
【0020】
ちなみに前記正負一対の電極リード端子31,32には、直列に接続された複数の単電池1からなる組電池の電極リードがそれぞれ接続される。また3個の補助端子33,34,35は、単電池の1の充電時に用いられるものであって、これらの補助端子33,34,35には、端子台3の内側に組み込まれた抵抗や、ループ状に配列された単電池1の周面に配設されたサーミスタやサーモスタットを介して前記組電池の電極リードに接続される。これらの補助端子33,34,35の機能については、後で図4を参照して説明する。
【0021】
さて容器2に収容された単電池列、およびその上部に設けられた端子台3を覆い、容器2の上部開口部を閉塞する蓋体4は、容器2の内壁部21と外壁部22の上端部に嵌合する概略平板状の主体部41と、この主体部41の端子台3に対向する部位を部分的に盛り上げて、その裏側に該端子台3の収容空間を形成した突出部42とを有する形状をなす。この突出部42のコの字状をなす側壁部の内側面には前述した電極リード端子31,32および3個の補助端子33,34,35を、それぞれ外部接続可能に空洞部29側に向けて露出させる5個の矩形状の開孔部43(43a,43b,〜43e)が設けられている。また主体部41の中央部には、突出部42の側方に位置して容器2の空洞部29に連通する開口44が設けられている。
【0022】
更に主体部41の長手方向の辺部には、前述した容器2の外壁部22に設けられた切欠き24と協働して、ストッパ5を嵌め込む為の概略四角形状の開口を形成する立ち下がり壁45が設けられている。この立ち下がり壁45は、容器2の上端開口部に蓋体4を被せたとき、切欠き24の上部に嵌合して該切欠き24との間に上記開口を形成する。
【0023】
尚、単電池1を収容した容器2に対する蓋体4の固定は、主体部41に設けられた貫通孔47を通して蓋体4の上方から挿通させたネジ49を、前記ボス25の頂部に螺合させることによって行われる。また容器2の内壁部21および外壁部22の上端部と蓋体4との間には、適宜、パッキング部材(図示せず)が介装されて、電池収納空間が密閉状態に閉塞される。
【0024】
ここで上記切欠き24と立ち下がり壁45との間に形成される開口に設けられるストッパ5について説明すると、このストッパ5は概略四角形状の突出部を形成してなる押圧部51と、この押圧部51の辺部から延出されたアーム部52とからなり、アーム部52の先端に鈎型のフック53を形成した形状を有する。このストッパ5は、図3に示すように蓋体4に設けられたフック孔46から上記フック53を突出させて上記開口にその裏面側から嵌め込まれる。そしてその裏面に設けられた板ばね55により容器2の外方に向けて付勢偏倚されて支持され、指等により押圧することにより内側に偏倚して上記フック53をフック孔46内に、埋没可能に設けられる。
【0025】
このフック53は、電池パックが装着される電動工具の筐体70に設けられた係合突起に係合して該電池パックの電動工具への装着を実現するものである。即ち、この電池パックは、その上部である蓋体4側を電動工具の筐体70の下部への装着部としており、フック53を係合突起に当接させながら内側に弾性偏倚させることで、いわゆるワンタッチで電動工具に対する装着を行い得るように構成されている。そしてその取り外し時には、押圧部51を内側に向けて押すことによりフック53を強制的に偏倚させ、電動工具の筐体70に設けられた係合突起とフック53との係合を解除することで、該筐体70の下側に向けて電池パックを取り外し得るようになっている。
【0026】
ここで前述した端子台3に組み込まれるサーミスタや抵抗、およびサーモスタットについて説明すると、これらの機能素子は電池パックの充電時における安全性を確保するべく設けられる。
即ち、図4に電池パックの電気的な構成を示すように、複数の単電池1は直列に接続されて、その両端の正負一対の電極リードを電極リード端子31,32にそれぞれ接続される。そしてこれらの電極リード端子(+,−)31,32を介して電動工具の電動機等の負荷に接続される。しかして容器2に収容されたサーミスタ81は、単電池1の表面温度を計測する感温素子であり、補助端子(Th)33と電極リード端子32との間に介装される。電池パックの充電時には、このサーミスタ81の抵抗値をモニタすることで、単電池1の温度が監視される。尚、このサーミスタ81は、予め指定された単電池1の周面に貼付される。
【0027】
また補助端子(ID)34と電極リード端子32との間に介装された抵抗82は、電池パックの仕様に応じた抵抗値を有するもので、電池パックの充電時等にこの抵抗81の抵抗値を計測することで、例えば単電池1の直列接続された本数や、その電流容量等がID情報として求められるようになっている。このID情報に従って電池パックの充電を制御することで、その過充電等が未然に防止される。即ち、電池パックの外観形状が同じであっても、収容した単電池1の本数やその電池電圧等、その内部構成が異なる場合であっても、上記ID情報から電池仕様が求められて、最適な状態でその充電を行い得るようになっている。
【0028】
更に補助端子35は、電池パックの充電時に前記電極リード端子32に代えて用いられるもので、電極リード端子31と補助端子35との間に充電電流を供給することで、その充電が行われる。しかして補助端子35と電極リード端子31との間には、電池温度に感応して電池パックに対する充電路を、電池パック自身において遮断する温度保護素子、具体的には2個のサーモスタット83,84が単電池1を介して直列に介装されている。これらのサーモスタット83,84は、ループ状に配列された複数の単電池1の配列方向に沿って、例えば前述した2つの円弧状の短辺部をなす単電池1の周面にそれぞれ貼付されて設けられる。そして単電池1がループ状をなして設けられているが故に、仮に電池温度に差が生じた場合であっても、いずれかの単電池1の温度の上昇に伴ってサーモスタット83,84を作動させ、その充電路を自ら遮断する機能を呈する。
【0029】
端子台3に接続されて電池パックを充電する充電装置は、このような補助端子33,34,35から単電池1(電池パック)の充電状態を監視しながら、その充電電流や充電時間等を制御することで、該電池パックを安定に効率良く充電する。そして前述したサーモスタット83,84は、このような充電制御の下で電池パックを充電しているにも拘わらず、その電池温度が上昇した場合、自らその充電路を遮断することで、単電池(電池パック)を保護するものとなっている。
【0030】
かくしてこのように構成された電池パックによれば、ループ状の回廊形状をなす容器2の内壁部21と外壁部22との間に複数の単電池1がループ状に横並びに配列されて収容されるので、各単電池1に生じる熱は内壁部21と外壁部22とをそれぞれ介して効率的に放出される。しかも容器2の中央部の内壁部21の外側が、該容器2を上下に貫通する空洞部29となっているので、この空洞部29を介する単電池1の大きな放熱効果を期待することができる。特に空洞部29の開口断面積が上端側に向けて徐々に狭くように設定されているので、空洞部29の下部から導入されて上昇する空気流の速度が上端側になる程速くなり、その冷却効率を高めることが可能となる。
【0031】
また複数の単電池1をループ状に1列に配列した構造であるので、図5に示した従来一般的な単電池の配列構造に比較して、各単電池1に対する放熱効果を略一定に揃えることができる。従って複数の単電池1の温度上昇を効果的に防止しながら、各単電池1の温度のバラツキを抑えることが可能となり、以て、各単電池1が有する電池性能をそれぞれ十分に発揮させて電池パックとしての電池性能を高めることが可能となる。
【0032】
また容器2内にループ状に配列されて収容される単電池1の上部に端子台3が設けられてその電極リードが導出されるので、複数の単電池1をループ状に配列したことと相俟って一対の電極リードの長さを揃えることができる。しかも直列に接続された単電池1の組電池としての両端部の上方位置に端子台3を設けることで、電極リードの長さ自体を短くすることができる。従って電極リードを介する抵抗損失を最小限に抑えることも可能となる等の効果が奏せられる。
【0033】
特に電極リード端子31,32および3個の補助端子33,34,35が、蓋体4の開口縁部をなす内周部に沿って設けられた開孔部43(43a,43b,〜43e)をそれぞれ介して空洞部29側に向けて露出させて配列されているので、仮に蓋体4の突出部42に外部衝撃が加わったとしても上記端子31,32,〜35にその影響が直接及ぶことがなく、これらの端子31,32,〜35を効果的に保護することができる。しかも端子31,32,〜35が容器2の外側に向けて設けられていないので、仮に金属製の工具等が電池パックに接触しても、該工具が端子31,32,〜35に直接的に接触することがない。換言すれば意図的に工具等を空洞部29に挿入しない限り、端子31,32,〜35に異物(工具等)が接触することがない。従って端子31,32,〜35を効果的に保護することができると共に、端子31,32,〜35間の不慮の短絡事故等を未然に防ぐことが可能とになる等の効果が奏せられる。また組電池と上記端子31,32,〜35との接続をなす電極リードを内壁部21に沿って配設するようにすれば、容器2に加わる外部衝撃等から電極リードを効果的に保護することが可能となるので、機械的・構造的安定性も十分に高めることが可能となる。
【0034】
しかもこの電池パックによれば、前述した如くサーミスタ81や抵抗82、更にはサーモスタット83,84を介して接続された補助端子33,34,35を備えているので、これらの補助端子33,34,35を介して電池パックの仕様を認識し、また電池温度を監視しながらその充電を制御することができるので、電池温度の上昇を防ぎながら安全にその充電を行うことができる。更には電池温度の上昇時に充電制御が間に合わない場合であっても、ループ状に配列された単電池1に沿って複数箇所に設けられたサーモスタット83,84のいづれかが、その電池温度に感応して充電路を遮断するので、二重の安全対策を講じることができる。
【0035】
また上述した構造の電池パックによれば、蓋体4側を電動工具等の筐体70に装着する構造であり、容器2は蓋体4を挟んで筐体70に装着される。従って筐体70から電池パックを取り外さない限り容器2に対する蓋体4の取り外しが不可能である。従って電動工具の使用中に蓋体4が不本意に外れるような不具合が全くない。更には、その裏側に端子台3の収容空間を形成して突出する蓋体4の突出部42は、筐体70に装着された状態で該筐体70にて覆われるので、その使用状態において電池パックは、いわゆる出っ張りのない外観形状をなす。従って容器2の外周面、特に外壁部22のコーナ部や底部23との境界部等をそれぞれ曲面加工しておけば、蓋部4における突出部42の存在に拘わらず全体的な形状を滑らかなものとし、その取り扱い性の向上を図ることが可能となる。
【0036】
更には突出部42としては、端子台3をその裏側に収容し、その側壁面の内側に電極リード端子31,32や補助端子33,34,35をそれぞれ外部接続可能に露出させれば良いものであるから、その高さをさほど高くする必要はない。従って蓋体4における突出部42の突出高さを低く抑えることも容易であり、全体形状のコンパクト化を図ることができる。また外部衝撃に対して強い構造とすることが可能となる。更には電極リード端子31,32や補助端子33,34,35がコの字状の端子台3の内側に設けられているので、電池パックが単体で取り扱われる場合であっても、上記電極リード端子31,32等に工具等の別部品が不本意に接触する虞がない。従って電池パックの不本意な短絡事故を未然に防ぐことができると共に、電極リード端子31,32等の破損等も効果的に防ぐことができる等の利点がある。
【0037】
またこのような構造の電池パックを装着した電動工具においては、例えばその電動機の回転力を利用して内蔵ファンを駆動し、容器の空洞部29を介して電動機の内部に空気を通流するよう構成することで、この空気流によって電池パック自体を冷却しながら、電動工具の電動機を冷却することも可能となり、その冷却効果を更に高めることが可能となる等の効果も奏し得る。更には容器1自体が全体的に丸みを帯びた外観形状を有するので、電動工具を用いた作業時にそのコーナ部等が衣服等に引掛かり難く、その取り扱い性が良い。しかも角部がないので、その落下等による衝撃が加わった場合でも局部的な応力集中を少なくすることができ、堅牢な構造とすることができる。
【0038】
更には容器2としては、例えば図2(c)および図3にそれぞれ示すように、その内壁部21と外壁部22とをその上端開口部に向けて間口が広くなるように所定のテーパを付けた形状としているので、その射出成型時における型抜きが容易であり、単電池1の高さに相当した深さの樋状体をなす容器2を容易に実現することができる。しかもボス25等により樋状体内に収容した単電池1をそれぞれ位置規制するので、各単電池1のガタツキを効果的に抑えることができ、簡易な構造でありながら単電池1の収容状態を安定に維持することができ、強度的にも優れたものとすることができる。
【0039】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えばここでは12個の単電池1を収納して構成される電池パックについて説明したが、その本数は仕様に応じて定めれば良いものである。また複数の単電池1を適宜並列に接続して電流容量を増やした電池パックとして実現することも勿論可能である。また温度保護素子(サーモスタット)を、ループ状に配列された単電池1に沿って更に多く設けるようにしても良い。
【0040】
また図5に示すように容器2を略矩形状に形成しても良く、また蓋体4の上面を略フラットに形成して端子台3を単電池列の内側上部に設けるようにしても良い。この場合、内壁部21の上端部に空洞部29側に向けて張り出して設けたフランジ26に段差部26aを形成し、この段差部26aにて端子台3をその上面から奥まった位置に支持するように構成することが望ましい。更には内壁部21や外壁部22の内側面を単電池1の周面に沿った波形面として実現し、単電池1の周面との密着性を高めるように構成することも可能である。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、複数の単電池を構造的に安定に収容しながら、各単電池の温度上昇、および温度のバラツキを抑えてその電池性能を十分に発揮することの電池パックを提供することができる。しかもループ状の樋状体からなり、その内側に空洞部を有する容器の構造を有効に活用して、電極リード端子を空洞部に面する内側に設けているので、電極リード端子を外部衝撃等から効果的に保護することができ、またその不本意な接触事故等を未然に防ぐことができる等の効果が奏せられる。更には複数の単電池を安定に保持し得るので、外部衝撃等に対して強度的に優れた構造の電池パックを実現することができ、使い勝手の良い電動工具を提供することができる等の効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電池パックの全体構造を示す分解斜視図。
【図2】図1に示す電池パックの上面構造、側面構造、およびその縦断面構造をそれぞれ示す図。
【図3】図1に示す電池パックの図2(a)の矢視A-Aに沿う断面構造を示す図。
【図4】図1に示す電池パックの電気的な構成を示す図。
【図5】本発明の別の実施形態に係る電池パックの全体構造を示す分解斜視図。
【図6】従来の一般的な電池パックにおける単電池の配列構造を示す図。
【符号の説明】
1 単電池
2 容器(樋状容器)
3 端子台
4 蓋体
5 ストッパ体
21 内壁部
22 外壁部
23 底部
29 空洞部
31,32 電極リード端子
33,34,35 補助端子
41 主体部
42 突出部
43 開孔部
44 開口
70 電動工具の筐体
Claims (5)
- ループをなす一対の内壁部および外壁部と、これらの各壁部の下端部を連結する底部とにより回廊形状をなして形成した有底樋状の電池収納空間に組電池をなす複数の単電池を横並びにし、その周面を互いに接触させて1列にループ状に配列して収容すると共に、前記内壁部に囲まれた内側空間をその上下に貫通する空洞部とした樋状容器と、
この樋状容器の上記空洞部に連通する開口を備え、前記樋状容器における前記電池収納空間の上端開口部を閉塞して設けられる蓋体と、
この蓋体の前記開口の形成部位に前記空洞部に面して設けられて前記組電池の電極リードを外部接続可能に導出した電極リード端子と
を具備したことを特徴とする電池パック。 - 前記樋状容器は、円柱形状をなす複数の単電池を、その周面を互いに接触させて横並びにループをなして配列して収容するものであって、
前記樋状体の内壁部および外壁部は、前記単電池の高さに相当する高さを有する請求項1に記載の電池パック。 - 前記電極リード端子は、組電池の電極リードに接続された正負一対の電極端子および該組電池の充電時に用いられる補助端子からなり、前記蓋体の前記空洞部に面する内周部に沿ってコの字状に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の電池パック。
- 前記単電池は、ニッケル・水素二次電池である請求項1〜3のいずれかに記載の電池パック。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の電池パックを、その駆動源として装着してなる電動工具。
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