JP3984290B2 - 広い熱加工ウインドーを有する高活性触媒から製造されるポリプロピレンポリマー樹脂とそれから製造される物品 - Google Patents
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Description
この出願は、1995年9月29日出願の米国暫定出願第60/004,561号と、1996年9月4日出願の米国暫定出願第60/023,748号との、35USC119(e)下での利益を主張し、これらの両方とも本明細書に援用される。
発明の背景
本発明は例えばフィルム及び繊維のような、広い熱加工ウインドー(thermal processing window)を必要とするプロピレンポリマーからの物品の形成に関し、さらに詳しくは、高活性触媒と特定のシラン調節剤(modifier)化合物とを用いて製造されたポリマーから形成された延伸ポリプロピレン(“OPP”)フィルムと繊維に関する。
プロピレンポリマー樹脂の用途の一部は優れた性能のために慣用的な樹脂よりも大きいな熱加工ウインドーを必要とする。例えばハロゲン化マグネシウム担持チタン含有触媒成分の使用のような、触媒テクノロジーの最近の進歩は活性と立体特異性との強化を実証しているが、得られる生成物は典型的に、以前の触媒系から製造されたポリマー生成物よりも規則的かつ結晶質である。規則性かつタクチシティのこのような強化はより鋭敏な融点と狭い熱加工ウインドーとを有する生成物を生じる。プロピレンポリマーの多くの用途は広い加工ウインドーを必要としないが、幾つかの重要な用途はこのような広いウインドーから利益を得る。
OPPフィルム(時には、二軸延伸(BOPP)フィルムと呼ばれる)はパッケージング用途に広範囲に用いられる。OPPフィルムの形成では、ポリプロピレンポリマー樹脂を押出成形して、装置(長軸)方向に延伸し、同時に横断(水平)方向に延伸して、二軸配向を形成する。最適の二次加工性能(fabrication performance)のために、プロピレンポリマー樹脂は広い加工ウインドーを生じるように特定のタクチシティにおいて抽出可能物成分と可溶物成分との特定の組合せ(13C核磁気共鳴(NMR)方法によって測定)を有するべきである。抽出可能物/可溶物とポリマー樹脂のタクチシティとを制御することができることは、OPPフィルム製造に用いるために適した樹脂の製造に非常に重要である。
四塩化チタンとアルミニウムアルキルとに基づく第1世代(first generation)触媒系は、OPPフィルム樹脂にとって望ましい特定のポリマー性質を生じるために非常に好ましい。しかし、ハロゲン化マグネシウム担持チタン含有高活性触媒(“HAC”)の広範囲な使用は、OPPフィルム樹脂にとって有利ではない生成ポリマーの性質への変化を生じている。これらの変化は高いタクチシティと低い抽出可能物及び可溶物とを、タクチシティ・ミステーク(tacticity mistake)のブロッキーな(blockier)分析と共に包含する。抽出可能物/可溶物をNMRタクチシティ関係の関数としてHAC触媒によって制御することができることは、改良されたOPPフィルム樹脂の製造に非常に有益であると考えられる。
固体の遷移金属に基づく、HAC、オレフィン重合触媒成分の使用は、例えば、広く述べられているマグネシウム含有ハロゲン化チタンに基づく触媒成分のような、金属酸化物、ハロゲン化物又は他の塩に担持されたこのような固体成分を包含して、技術上周知である。
改良された担持付き(supported)マグネシウム含有、チタン含有、電子ドナー含有オレフィン重合又は共重合触媒を製造するための非常に多くの個々のプロセス又はプロセス工程が開示されている。例えば、本明細書に援用される、Arzoumanidis等の米国特許第4,866,022号は、得られる触媒又は触媒成分が特別に高い活性と立体特異性とを非常に良好な形態と組み合わせて有するように、特定の順序の特定の個々のプロセス工程を包含する、有利なα−オレフィン重合又は共重合触媒又は触媒成分の形成方法を開示している。
プロピレンポリマーの製造に用いられる重合触媒系は、固体のマグネシウム含有、チタン含有HAC触媒成分の他に、例えばトリエチルアルミニウムのような、アルミニウムアルキル成分と、例えば、本明細書に援用される米国特許第4,829,038号に述べられているシラン化合物のような、典型的な外部調節剤(external modifier)成分とを用いる。
プロピレン重合触媒系に外部シラン調節剤を用いることは広く述べられている。アルキル若しくはアリールメトキシシラン、特にジアルキルジメトキシシランの使用が述べられている。本発明はタクチシティの抽出可能物/可溶物に対する関係を調節することによって、広い熱加工ウインドーを有し、特に有益なOPPフィルムの製造に有用である樹脂を製造するために、外部調節剤として特定のシラン組成物を用いることを開示する。このようなシラン類(family of such silanes)は分枝C4−C5アルキルメチルジメトキシシラン、特にイソブチルメチルジメトキシシラン(“IBMDMS”)を含む。
プロピレンポリマーの製造に有用な調節剤としてのIBMDMSの使用は米国特許第4,829,038号と公開ヨーロッパ出願EP0361371とに述べられている;しかし、これらの参考文献のいずれもIBMDMSを用いて実際に製造されるプロピレンポリマーの特定を性質を教示若しくは示唆していないし、延伸ポリプロピレンフィルムの製造にこのような調節剤を用いることに関する可能な利点も述べていない。
米国特許第5,484,824号は、結晶質ポリプロピレンとエチレン−ブテンコポリマーゴムとを含む自動車バンパーに有用な熱可塑性樹脂組成物を述べている。IBMDMSが結晶質ポリプロピレンの製造に用いられる可能な調節剤として挙げられているが、IBMDMSによって実際に製造されるポリマーの特定の性質は述べられていない。さらに、フィルム又は繊維の形成にこのようなポリマーを用いることは示唆されていない。
ヨーロッパ特許出願EP0657476は、例えばn−アルキルメチルジメトキシシランのような、種々のシラン外部調節剤を用いて製造されるOPPフィルムに有用なα−オレフィンポリマーに関する。出願人は、生成物の性質と触媒収率とのバランスが予測されない点で、本発明の生成物がこの参考文献に述べられたものよりも優れていることを発見している。
ヨーロッパ特許出願EP0657477は、例えばn−アルキルメチルジメトキシシランのような、少なくとも2種類のシラン外部調節剤を用いて製造されるOPPフィルムに有用なα−オレフィンポリマーに関する。
上述したように、例えばOPPフィルムのような製品の製造に有用な、広い熱加工ウインドーを有する、優れたHAC製造(HAC-produced)プロピレンポリマーが望まれている。本発明は有利なフィルム製品、特にOPPフィルムの形成に有用であるプロピレンポリマー樹脂を述べる。
発明の概要
1態様において、本発明は下記成分:
(a)高活性ハロゲン化マグネシウム担持チタン含有固体成分と;
(b)アルミニウムアルキルと;
(c)分枝C4−C8アルキルメチルジメトキシシラン、好ましくはイソブチルメチルジメトキシシランを含む外部調節剤と
を含む触媒系を用いてプロピレンを重合することによって製造されるプロピレンポリマーから製造される延伸ポリプロピレンフィルムである。
他の態様では、本発明は下記工程:
(a)次の成分:
(i)高活性ハロゲン化マグネシウム担持チタン含有固体成分と;
(ii)アルミニウムアルキル、好ましくはトリエチルアルミニウムと;
(iii)C4−C8分枝アルキルメチルジメトキシシラン、好ましくはイソブチルメチルジメトキシシランを含む外部調節剤と
を含む触媒系を用いる重合条件下でのプロピレンの重合によって製造したプロピレンポリマーを押出成形することによってフィルムを形成する工程と;
(b)得られたフィルムを装置方向と横断方向とにおいて延伸して、二軸延伸フィルムを形成する工程と
を含む二軸延伸ポリプロピレンフィルムの形成方法である。
図面の説明
図1は、第1世代触媒製造(first generation catalyst produced)OPPフィルム等級ポリプロピレンと本発明の実施例とに関するデータ点と共に示す、慣用的なHAC製造ポリプロピレンに関する、デカリン可溶物のNMRタクチシティ指数(NMR Tacticity Index)に対するプロットである。
図2は、表IIIに列挙したような、選択されたシラン外部調節剤を用いたポリプロピレン樹脂の製造に用いられたSi/Ti比に対するデカリン可溶物のプロットである。
図3は、選択されたシラン外部調節剤を用いて製造されたポリプロピレン樹脂に関するデカリン可溶物に対するNMRmmrrペンタアドのプロットである。
図4は、サンプルBとして同定されるポリプロピレン樹脂に関する温度(℃)に対するG’(mPa)のプロットである。
図5は、サンプルA〜Eとして同定されるポリプロピレン樹脂に関する温度(℃)に対する加熱モード(heating mode)G’(mPa)のプロットである。
図6は、サンプルA〜Eとして同定されるポリプロピレン樹脂に関する温度(℃)に対する冷却モード(cooling mode)G’(mPa)のプロットである。
発明の簡単な説明
典型的に、プロピレンポリマーは例えば押出成形、射出成形、吹き込み成形又は紡糸のような熱処理工程を通して有用な物品に形成される。幾つかの使用は、望ましい性質を得るために、より広い熱加工ウインドーを必要とする。本発明は、広い熱加工ウインドーを必要とし、HAC製造ポリプロピレンポリマーから製造される物品及びこのような物品の製造方法に関する。
本発明の物品の形成に有用なプロピレンポリマーは、プロピレンモノマーを適当なHAC触媒系に重合条件下で接触させて、通常は固体の主として結晶質ポリマーを形成することによって製造される。以下に述べるように、このような重合は気相、スラリー相又はバルク(bulk)相においておこなうことができる。このような重合では、触媒系は(a)典型的な内部電子ドナー調節剤化合物を含有するマグネシウム含有、チタン含有固体成分と、(b)アルミニウムアルキル化合物と、(c)外部シラン調節剤化合物とを含む。本発明の生成物は選択されたシラン外部調節剤化合物を用いる。
本発明に有用なプロピレンポリマー生成物は、今までHAC製造樹脂に認められなかった性質を示す。このような性質の一つは触媒系のシラン/チタン比と、得られた樹脂の測定された抽出可能物/可溶物との間の関係の制御である。
上述したように、プロピレンポリマーの立体規則性を測定する方法は13C NMRを用いるものであり、ポリプロピレンのポリマーバックボーン上の隣接メチル基の相対的位置を確認できることに基づく。2個の隣接プロピレンモノマー単位(−CH(CH3)−CH2−)のメチル基がポリマー鎖の同じ側に存在する場合には、このような2個のメチル基はメソ(“m”)ダイアド(dyad)を形成する。これらのメソ ダイアドの相対的パーセントは%mとして表現される。隣接モノマー単位の2個のメチル基がポリマー鎖の反対側に存在する場合には、このような2個のメチル基はラセミ(“r”)ダイアドを形成し、これらのラセミ ダイアドの相対的パーセントは%rとして表現される。13C NMR法の進歩は、それぞれ、トリアド(triad)、テトラド(tetrad)及びペンタアド(pentad)と呼ばれる、3個、4個及び5個の連続メチル基の相対的位置の測定を可能にする。
現在のNMR機器はポリマーサンプル中のペンタアドの比分布(specific distribution)を定量することができる。プロピレンポリマー中には10種類の固有ペンタアドが存在する:
m m m mペンタアドのボールとスティック表示は次の通りである:
可能なペンタアドの2種類はNMRによって分離することができず(mmrmとrmmr)、一緒に報告される。10種類のペンタアドの中の2種類(mmrrとmrrm)はアイソタクチック配列のポリマー鎖の反対側の単一メチル基の変位(displacement)から生じる。mmmm(m4)ペンタアドは完全なアイソタクチック立体規則性構造を表すので、このペンタアドの測定(%m4として)はアイソタクチシティと可能な結晶化度とを反映する。本明細書で用いるかぎり、NMRタクチシティ指数なる用語は13C NMRによって測定されるm4のパーセント(%m4)である。したがって、プロピレンポリマー中の13C NMRによって測定されるペンタアドの96%がm4であるならば、NMRタクチシティ指数は96である。
デカリン可溶物(“DS”)はプロピレンポリマー中に含有される、例えばアタクチック、非晶質及びオリゴマー要素のような、炭化水素可溶物及び抽出可能物の尺度であり、例えば加工ウインドーのような、望ましい樹脂性質に特定の樹脂を相関させることに有用である。DSはポリマーの2.0gサンプルを100mlのIrganox1076安定化(0.020g/l)デカリン(デカヒドロナフタレン)中に、このスラリーを165℃に加熱し、このスラリーを2時間撹拌することによって完全に溶解することによって測定される。ポリマーがひと度溶解したならば、溶液を一晩(少なくとも16時間)冷却させる。この冷却期間後に、沈殿したポリマーから溶液を濾別する。測定した溶液部分を取り出し、デカリン溶媒を除去した後に、得られたサンプルを120℃真空オーブン中で完全に乾燥させる。最終の乾燥サンプルを秤量して、デカリン可溶性ポリマーの量を決定する。結果はデカリン中に溶解した状態で留まるポリマーの重量%として報告する。
例えば気相プロセスにおけるような、典型的な重合プロセスでは、ポリマー中の抽出可能物/可溶物の量をHAC触媒によって制御するモードは反応器中のSi/Ti比の調節によっておこなわれる。低いシラン含量では、ポリマーのタクチシティは低下し、抽出可能物/可溶物の量は増加する。ポリマー性質の調節にも拘わらず、HAC触媒からの樹脂は第1世代触媒からのポリマー性質に一致しない。このことはポリマーサンプル中のデカリン可溶物(DS)の重量%に対してポリマーのNMRタクチシティ指数(m4%)をプロットする図1において示される。点と線は米国特許第4,866,022号、第4,988,656号及び第5,013,702号(全て本明細書に援用される)の教示に従って製造されたHAC触媒と、助触媒としてのトリエチルアルミニウムと、外部調節剤としてのジイソブチルジメトキシシラン(DIBDMS)とによって製造されたポリマーを表す。第1世代型触媒によって製造された生成物も図1に示すが、これは優れたOPP樹脂性質を有した。観察されるように、HAC生成物は一定のDSレベルにおいて高いNMRタクチシティを有する。タクチシティと可溶物とのバランスが第1世代触媒物質のOPP用途において良好であるならば、この目的は一定DSレベルにおけるHAC製造ポリマーのタクチシティを低下させることである。図1には、表IIに列挙する本発明の生成物を表すデータ点をも示す。
本発明において実証されるように、外部シラン調節剤の物質を変えることによって、タクチシティとタクチシティ間違い分布とを制御することができる。さらに、この制御を、固体から溶融物の遷移状態の剪断動的機械的分析(shear dynamic mechanical analysis)(“SDMA”)からの結果をフィルム製造の操作ウインドーのサイズに関連づける試験によって測定されるように、OPPフィルム加工の利点に変えることができる。NMRタクチシティ 対 抽出可能物/可溶物(“デカリン可溶物”)関係を制御することによって、SDMA結果は大きいフィルム操作ウインドーが得られることを実証する。
OPPフィルムと同様なプロセスでは、ポリプロピレンシートが固体状態で加工される。このプロセス中に、ポリマーは延伸又は熱成形のために融点近くでかつ融点より低い温度にまで加熱される。それ故、動的機械的性質(モジュラス)がこのプロセスのために重要である。
これらの遷移状態のポリプロピレン樹脂の機械的性質に関する情報を与えるために有用な試験は剪断動的機械的分析(SDMA)である。この試験では、サンプルを振動剪断力下で試験する。SDMA試験は固体状態から溶融状態へ又は溶融状態から固体状態へ変化する樹脂の動的機械的性質を測定することができる。固体から溶融への遷移状態における動的機械的性質はフィルムと熱成形プロセスにとって重要である。溶融から固体への遷移状態における情報は繊維と射出成形プロセスにとって重要である。SDMAの他の固有の特徴は、それがポリマーの分子構造と樹脂の加工性とに関連する歪み誘導結晶化温度を測定することができることである。歪み誘導結晶化は繊維紡糸と射出成形プロセスにとっても重要である。SDMA結果を用いて、フィルムと熱成形用途のための加工温度ウインドーと、繊維紡糸と射出プロセスのための加工可能性とを関連づけることができる。
本発明によると、HAC触媒成分と、アルミニウムアルキルと、選択されたシランとを重合条件下で用いて、適当なプロピレンポリマー樹脂を製造する。有用なシランは例えば脂肪族C3−C12アルキルメチルジメトキシシランのような非類似の(dissimilar)脂肪族アルキルシランから選択される。本発明において選択されるシランは分枝脂肪族C4−C8アルキルジメトキシシランから、より好ましくは脂肪族C4−C6アルキルジメトキシシランからである。本発明において選択されるシランはC4−C8、好ましくは脂肪族C4−C6分枝アルキルメチルジメトキシシランである。適当な分枝アルキル基はイソブチル、s−ブチル、イソペンチル(イソアミルとしても知られる)、ネオペンチル、ネオヘキシル、イソオクチル等を包含する。最も好ましいシランは分枝C4−C5アルキルメチルジメトキシシランから選択される。好ましいシランはイソブチルメチルジメトキシシラン、イソアミルメチルジメトキシシラン、及びネオペンチルメチルジメトキシシランである。最も好ましいシランは得られるポリプロピレンの物理的性質のバランスと触媒系の活性の維持とに基づいてイソブチルメチルジメトキシシランである。
以下でさらに述べるように、本発明における使用に適した樹脂は、HAC重合触媒系中に選択されたシランを、Si/Ti比が一般に約1〜約10の範囲、好ましくは約2〜約4の範囲であるようなレベルで、混入することによって製造される。外部調節剤としてのシランの使用は米国特許第4,829,038号と第4,990,478号とに述べられており、両特許は本明細書に援用される。
本発明に有用なプロピレンポリマー樹脂は広い熱加工ウインドーを有する。典型的に有用な樹脂は10℃を越える、最も好ましくは約13℃を越える△T(以下で説明するSDMA試験によって測定)を有する。
本発明に有用な、好ましい樹脂は約5重量%を越えるデカリン可溶物を有する樹脂に関しては約3%を越えるmmrrNMRペンタアド含量を有し、さらに好ましい樹脂は約6重量%を越えるデカリン可溶物を有する樹脂に関しては約3.5%のNMRmmrrペンタアド含量を有する。
本発明に有用なHACチタン含有成分は一般に、電子ドナー化合物と組み合わせた炭化水素不溶性マグネシウム含有化合物に担持される。このような担体付きチタン含有オレフィン重合触媒成分は典型的に、ハロゲン化チタン(IV)と、有機電子ドナー化合物と、マグネシウム含有化合物とを反応させることによって形成される。任意に、このような担体付きチタン含有反応生成物を付加的な電子ドナー又はルイス酸種を加えて微粉砕する又はさらに化学処理することによってさらに処理する又は修飾することができる。
適当なマグネシウム含有化合物はハロゲン化マグネシウム;例えば塩化マグネシウム若しくは臭化マグネシウムのようなハロゲン化マグネシウムと例えばアルコール若しくは有機酸エステルのような有機化合物又はI〜III族金属の有機金属化合物との反応生成物;マグネシウムアルコラート;又はマグネシウムアルキルを包含する。
米国特許第4,227,370号に述べられている、1種類の可能なマグネシウム含有化合物は例えば、硫黄の無機酸(mineral acid)若しくは無水物、硫化水素の有機金属、カルコゲニド誘導体、及び有機酸とそのエステルのような、少なくとも1種類の調節剤によって前処理することができる、少なくとも1種類のマグネシウムアルコラートに基づく。このようなマグネシウム含有化合物は、少なくとも1種類のマグネシウムアルコラートと、少なくとも1種類のII族若しくはIIIA族金属アルキルと、任意に、例えば無機酸若しくは無水物、硫黄、硫化水素の有機金属スルコゲニド誘導体、有機酸と有機酸誘導体のような、少なくとも1種類の調節剤との前処理生成物であることができる。固体マグネシウムアルコキシドは粉砕してからさらに処理することができる。他の触媒成分では、マグネシウムエトキシドを例えばフェニルベンゾエートのような芳香族エステルと反応させてから、ルイス酸によってさらに処理することができる。
他の可能な触媒成分は、本明細書に援用される、共通の譲受け人に譲渡された米国特許第4,581,342号に述べられている。これに述べられている触媒成分は、マグネシウムアルキル組成物を例えばエチル 2,6−ジメチルベンゾエートのような特定の種類のヒンダード(hindered)芳香族エステルと錯形成反応させた(complexing)後に、適当な有機希釈剤中の有機電子ドナー化合物と組み合わせた、例えば四塩化ケイ素のような相容性沈殿剤及び適当なチタン(IV)化合物と反応させることによって製造される。
上記に列挙した可能な固体触媒成分は、本発明に有用な、技術上知られた、多くの可能な固体マグネシウム含有ハロゲン化チタンに基づく炭化水素不溶性触媒成分の具体例に過ぎない。本発明は特定の担体付き触媒成分に限定されない。
典型的に、プロピレン以上の高級オレフィンを重合させるため並びにプロピレン以上の高級オレフィンと、微量のエチレンとを重合させるために有用なHAC担体付き触媒成分は内部調節剤としての電子ドナー成分を含有する。このような内部調節剤は、アルミニウムアルキル成分と共に触媒系を構成する外部電子ドナー成分とは区別される固体の担体付き成分の一体成分である。外部調節剤とアルミニウムアルキルとは、組合せをオレフィンモノマーと接触させる直前に、固体の担体付き成分と組み合わせることができるが、典型的に例えばヘキサンのような液体希釈剤中に含有される成分を別々に反応器に供給することもできる。
一般に有機電子ドナーは、酸素、窒素、硫黄及び/又はリンを含有する有機化合物を包含する立体特異性担体付き触媒成分の製造に有用であるとして述べられている。このような化合物は有機物、有機酸無水物、有機酸エステル、アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、アミン、アミンオキシド、アミド、チオール、種々なリン酸エステルとアミド等を包含する。有機電子ドナーの混合物も担体付き触媒成分に混入されるために有用であると述べらている。
電子ドナー系の例は、米国特許第4,971,937号、第5,068,213号、第5,095,153号及び第5,106,807号並びに公開ヨーロッパ出願EP0452156に述べられている電子ドナー系を包含する。これらの参考文献は電子ドナー成分として有用な、数種類のジエーテルを一般的に述べている。他の電子ドナーは米国特許第3,642,746号、第4,186,107号、第4,473,660号、第4,522,930号、第4,565,798号、第4,693,990号、第4,814,312号、第4,829,034号及び第4,904,628号に述べられている。これらの特許の全てが本明細書に援用される。
内部電子ドナー物質は固体の担体付き触媒成分にこのような成分の製造中に混入される。典型的に、このような電子ドナー物質はチタン(IV)化合物による固体マグネシウム含有物質の処理と共に、又はこの処理とは別の工程で、又はこの処理中に加えられる。最も典型的には、四塩化チタンと電子ドナー調節剤物質との溶液をマグネシウム含有物質と接触させる。このようなマグネシウム含有物質は典型的に個別粒子の形状であり、例えば遷移金属及び有機化合物のような、他の物質を含有することができる。
本発明の触媒又は触媒成分の製造に有用なチタン(IV)化合物は、チタンのハロゲン化物と、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、ヘキソキシ、フェノキシ、デコキシ、ナフトキシ、ドデコキシ及びオイコソキシのようなアルコラート基当たり炭素原子1〜20個を有するハロアルコラートである。必要な場合には、チタン化合物の混合物を用いることもできる。好ましいチタン化合物はハロゲン化物と、アルコラート基当たり炭素原子1〜8個を有するハロアルコラートである。このような化合物の例はTiCl4、TiBr4、Ti(OCH3)Cl3、Ti(OC2H5)Cl3、Ti(OC4H9)Cl3、Ti(OC6H5)Cl3、Ti(OC6H13)Br3、Ti(OC8H17)Cl3、Ti(OCH3)2Br2、Ti(OC2H5)2Cl2、Ti(OC6H13)2Cl2、Ti(OC8H17)2Br2、Ti(OCH3)3Br、Ti(OC2H5)3Cl、Ti(OC4H9)3Cl、Ti(OC6H13)3Br及びTi(OC8H17)3Clを包含する。四ハロゲン化チタン、特にTiCl4が最大の活性と立体特異性に達する見地から最も好ましい。
本発明に有用な、マグネシウム含有物質、ハロゲン化チタン成分と電子ドナー成分とを約−10℃〜約170℃の範囲である温度において一般に数分間から数時間までの期間にわたって反応させ、反応混合物中のチタンのマグネシウムに対する原子比(マグネシウム含有種を形成するマグネシウム化合物中のマグネシウムとして算出)が少なくとも約0.5:1であるような量で接触させる。好ましくは、この比は約0.5:1から約20:1までの範囲である。これより多い量のチタンを触媒成分性能に不利な影響を与えることなく用いることができるが、通常は、約20:1のチタンのマグネシウムに対する比を越える必要はない。触媒成分が、製造に用いられるチタン化合物を無駄にすることなく、良好な活性を示すために充分なチタンを含有することを保証するために、チタンのマグネシウムに対する比が約2:1から約15:1までの範囲であることがより好ましい。電子ドナー成分はチタン化合物中のチタンのグラム原子当たり約1.0モルまで、好ましくはチタン化合物中のチタンのグラム原子当たり約0.001モルから約0.6モルまでの範囲である総量で用いられる。この比がチタンのグラム原子当たり約0.01モルから約0.3モルまでの範囲である場合に最も良い結果が得られる。
好ましくは、前記電子ドナー化合物とチタン化合物とを不活性炭化水素希釈剤の存在下で沈殿した固体粒子と接触させるが、他の適当な方法を用いることもできる。適当な希釈剤は用いる成分に対して実質的に不活性であり、用いる温度及び圧力において液体である。
前記工程のいずれにおいても使用可能である適当な希釈剤は用いる反応物に対して実質的に不活性であるべきであり、好ましくは、用いる温度及び圧力において液体である。低沸点希釈剤を高温において用いることができるように、特定の工程を高圧においておこなうことができる。希釈剤は例えば脂肪族、置換脂肪族、芳香族又は置換芳香族液体のような炭化水素に基づく液体であることができる。例えばトルエンのような、芳香族炭素水素と置換芳香族化合物が有用であるが、芳香族含有廃棄物流を最少にすることが望ましい場合には、例えばヘキサン及びヘプタンのようなアルカン希釈剤が望ましい。例えばトルエンのような芳香族炭化水素は、このような物質が製造プロセスにおいて再循環可能であるならば、有用であると考えられる。例えばケロセンのような高沸点脂肪族液体も有用である。希釈剤の混合物も使用可能である。1種類の有用な希釈剤成分はIsoparG(登録商標)であり、これは156〜176℃において沸騰するC10平均イソパラフィン炭化水素である。有用な希釈剤の例は、例えばヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、等のようなアルカン;例えば1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、四塩化炭素等のようなハロアルカン;例えばベンゼン、トルエン、キシレン類及びエチルベンゼンのような芳香族化合物;及び例えばクロロベンゼンとo−ジ−クロロベンゼンのような、ハロゲン化及び水素化芳香族化合物を包含する。
前記調製工程(preparative steps)の各々は、水、酸素、一酸化炭素及び、本発明の触媒又は触媒成分の性能に不利に影響する可能性のある他の外来物質の実質的な不存在下でおこなわれる。このような物質は例えば窒素若しくはアルゴンのような不活性ガスの存在下で操作をおこなうことによって、又は他の適当な手段によって便利に除去されることができる。任意に、プロセスの全て又は一部を、ガス形で調製系に導入した場合に触媒毒を排除するのに役立つことができる1種以上のα−オレフィンの存在下でおこなうことができる。1種以上のα−オレフィンの存在は立体特異性の改良をもたらすこともできる。有用なα−オレフィンはエチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、及びこれらの混合物を包含する。もちろん、用いる如何なるα−オレフィンも比較的高純度、例えば重合等級以上であるべきである。外来毒の排除を容易にする他の予防措置は使用前に例えば分子ふるい及び/又はシリカゲルを通してのパーコレーションによるような、用いるべき希釈剤の精製、乾燥及び/又は他の試薬の乾燥を包含する。
上記調製工程の結果として、触媒又は触媒成分としての使用に適した固体反応生成物が得られた。このような使用前に、不完全に反応した出発物質を固体反応生成物から除去することが望ましい。これは調製用希釈剤からの分離後の固体を例えば液体炭化水素又はクロロカーボンのような適当な溶剤によって、好ましくは調製反応の完成後の短時間内に洗浄することによって達成される、というのは、触媒成分と未反応出発物質との長時間の接触は触媒成分の性能に不利に影響する可能性があるからである。ハロゲン化廃棄物流を最少にするために、例えばヘキサン又はヘプタンのような液体炭化水素の使用が好ましい。
必要ではないが、得られた最終の固体反応生成物を、重合の前に、少なくとも1種類のルイス酸と接触させることができる。本発明によって有用な、このようなルイス酸は、処理温度において液体であるか又は液体希釈剤に可溶であり、例えば未反応出発物質及び不充分に貼布された(poorly affixed)化合物のような不純物を固体反応生成物の表面から除去するために充分に高いルイス酸度を有する物質である。好ましくはルイス酸は約170℃までの温度において液体状態であるIII〜IV族金属のハロゲン化物を包含する。このような物質の特定の例はBCl3、AlBr3、TiCl4、TiBr4、SiCl4、GeCl4、SnCl4、PCl3及びSbCl5を包含する。好ましいルイス酸はTiCl4とSiCl4である。必要な場合には、ルイス酸の混合物も使用可能である。このようなルイス酸は相容性希釈剤中で使用可能である。
必要ではないが、最終の固体反応生成物を、ルイス酸と接触させる前に、不活性な液体炭化水素又はハロゲン化炭化水素によって洗浄することができる。このような洗浄をおこなう場合には、洗浄済み固体をルイス酸と接触させる前に、不活性液体を実質的に除去することが好ましい。有利な方法では、沈殿した粒子を四塩化チタンによって処理してから、次に1種以上の電子ドナーの存在下で四塩化チタンによって処理する。より好ましくは、生成物を例えばヘキサン、ヘプタン又はトルエンのような液体炭化水素によって1回以上処理し、最後に四塩化チタンによって再び処理する。
電子ドナーは典型的にC5−C10アルキル酸又は芳香族酸のC2−C6アルキルエステルであり、好ましくは、各アルキル基が同じ若しくは異なるものであることができ、炭素原子3〜5個を含有するジアルキルフタレートである。好ましくは、第2電子ドナーはo−ジアルキルフタレートである。第2電子ドナーは好ましくはジブチルフタレートであり、より好ましくは、ジ−n−ブチルフタレート又はジ−i−ブチルフタレートである。
本発明の触媒又は触媒成分の化学構造は正確には知られていないが、成分は一般に約1〜約6重量%のチタンと、約10〜約25重量%のマグネシウムと、約45〜約65重量%のハロゲンとを含む。好ましくは、本発明の触媒成分は約2.0〜約4重量%のチタンと、約15〜約21重量%のマグネシウムと、約55〜約65重量%の塩素とを含む。
本発明の方法によって製造された本発明の固体触媒成分では、マグネシウムのチタンに対する原子比は少なくとも約0.3:1であり、好ましくは約0.4:1から約20:1までであり、より好ましくは約3:1から約15:1までである。
α−オレフィンの重合又は共重合に用いる前に、本発明の触媒又は触媒成分の予備重合又はカプセル化をおこなうこともできる。特に有用な予備重合方法は米国特許第4,579,836号に述べられており、この特許は本明細書に援用される。
典型的に、本発明の触媒又は触媒成分はII又はIII族金属アルキルを包含する助触媒と、典型的に1種以上の調節剤化合物と結合して用いられる。有用なII又はIIIA族金属アルキルは式 MRmの化合物であり、式中、MはII又はIIIA族金属であり、各Rは独立的に炭素数1から約20までのアルキルラジカルであり、mはMの原子価に相当する。有用な金属Mの例はマグネシウム、カルシウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、及びガリウムを包含する。適当なアルキルラジカル、Rの例はメチル、エチル、ブチル、ヘキシル、デシル、テトラデシル及びエコシルを包含する。触媒成分の性能の見地から、好ましいII又はIIIA族金属アルキルはアルキルラジカルが炭素数1から約12までであるマグネシウム、亜鉛及びアルミニウムの金属アルキルである。このような化合物の特定の例はMg(CH3)2、Mg(C2H5)2、Mg(C2H5)(C4H9)、Mg(C4H9)2、Mg(C6H13)2、Mg(C12H25)2、Zn(CH3)2、Zn(C2H5)2、Zn(C4H9)2、Zn(C4H9)(C8H17)、Zn(C6H13)2、Zn(C6H13)3及びAl(C12H25)3を包含する。アルキルラジカル当たり炭素原子1から約6個までを含有するマグネシウムアルキル、亜鉛アルキル又はアルミニウムアルキルを用いることができる。アルミニウムアルキルが好ましく、特にトリエチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウム又はこれらの組合せが用いられる。
必要な場合には、例えばエチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド等のような、1個以上のハロゲン又はヒドリド基を有する金属アルキルを用いることができる。
α−オレフィンの重合又は共重合のための典型的な触媒系は、本発明の担体付きチタン含有触媒又は触媒成分と助触媒としてのアルキルアルミニウム化合物とを、典型的には電子ドナーであり、好ましくはシランである少なくとも1種類の外部調節剤と共に組み合わせることによって形成される。典型的に、このような触媒系における有用なアルミニウム−対−チタン原子比は約10〜約500であり、好ましくは約30〜約300である。このような触媒系における典型的なアルミニウム−対−電子ドナーのモル比は約20〜約60である。このような触媒系における典型的なアルミニウム−対−シランのモル比は約3〜約50である。
この触媒系の活性と立体特異性とを最適化するために、1種以上の調節剤、典型的には電子ドナーを、例えばシラン、無機酸、硫化水素の有機金属カルコゲニド誘導体、有機酸、有機酸エステル及びこれらの混合物のような化合物を含めて、用いることが好ましい。
上記助触媒系に外部調節剤として有用な有機電子ドナーは酸素、ケイ素、窒素、硫黄及び/又はリンを含有する有機化合物である。このような化合物は有機酸、有機酸無水物、有機酸エステル、アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、シラン、アミン、アミンオキシド、アミド、チオール、種々なリン酸エステルとアミド等を包含する。有機電子ドナーの混合物も使用可能である。
特定の有機酸とエステルは安息香酸、ハロ安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びこれらの、アルキル基が炭素数1〜6であるアルキルエステル、例えばメチルクロロベンゾエート、ブチルベンゾエート、イソブチルベンゾエート、メチルアニセート、エチルアニセート、メチルp−トルエート、ヘキシルベンゾエート及びシクロヘキシルベンゾエート並びにジイソブチルフタレートであり、これらは活性と立体特異性に関して良好な結果を与え、使用するのに便利である。
前記助触媒系は有利にかつ好ましくは、本発明において開示する脂肪族シラン外部調節剤を含有する。
本発明の触媒又は触媒成分は炭素数3以上のα−オレフィン、例えばプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1及びヘキセン−1並びにこれらの混合物及びエチレンとのこれらの混合物の立体特異性重合又は共重合に有用である。本発明の触媒又は触媒成分はプロピレン又はプロピレンと約30モル%までのエチレン若しくはそれより高級のα−オレフィンとの混合物の立体特異性重合又は共重合に特に効果的である。本発明によると、高度に結晶質のポリα−オレフィンのホモポリマー又はコポリマーが、少なくとも1種類のα−オレフィンを本発明の上記触媒又は触媒成分と重合又は共重合条件下で接触させることによって製造される。このような条件は重合又は共重合の温度と時間、モノマー(単数又は複数種類)の圧力(単数又は複数種類)、触媒の汚染の回避、スラリープロセスにおける重合又は共重合の媒質の選択、ホモポリマー又はコポリマーの分子量を制御するための添加剤の使用、及び当業者に周知の他の条件を包含する。本発明では、スラリー、塊状及び気相重合又は共重合プロセスが考えられる。
本発明の触媒又は触媒成分は典型的に、製造されるポリマー又はコポリマーの1gに対して約0.2〜0.01(好ましくは0.1〜0.02)mgの範囲の量で用いられる。
用いる重合プロセス又は共重合プロセスに関係なく、重合又は共重合は、妥当な重合または共重合速度を保証し、不当に長い反応器滞留時間を避けるために充分に高い、但し、過度に迅速な重合又は共重合速度による不当に高レベルのステレオランダム(stereorandom)生成物の生成を生じるほど高くない温度において実施すべきである。一般に、温度は約0℃から約120℃までの範囲であり、約20℃から約95℃までの範囲が良好な触媒性能と高い製造速度とを得るという見地から好ましい。本発明による重合を約50℃〜約80℃の範囲の温度においておこなうことがより好ましい。
本発明によるα−オレフィンの重合又は共重合はほぼ大気圧又はそれ以上のモノマー圧力においておこなわれる。一般に、モノマー圧力は約20〜約600psiの範囲であるが、気相重合又は共重合ではモノマー圧力は重合又は共重合されるべきα−オレフィンの重合又は共重合温度における蒸気圧未満であるべきではない。
重合又は共重合時間は一般に回分プロセスでは約1/2時間から数時間までの範囲であり、連続プロセスでは一致する平均滞留時間である。オートクレーブ型反応では約1時間から約4時間までの範囲の重合又は共重合時間が典型的である。スラリープロセスでは、重合又は共重合時間は必要に応じて調節することができる。連続スラリープロセスでは、約1/2時間から数時間までの範囲の重合又は共重合時間が一般に充分である。
スラリー重合又は共重合プロセスに用いるために適した希釈剤は例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン及びメチルシクロヘキサンのようなアルカン及びシクロアルカン;例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、エチルトルエン、n−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン並びにモノー及びジーアルキルナフタレンのようなアルキル芳香族化合物;例えばクロロベンゼン、クロロナフタレン、オルト−ジクロロベンゼン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレンのようなハロゲン化及び水素化芳香族炭化水素;高分子量液体パラフィン又はこれらの混合物、並びに他の周知の希釈剤を包含する。重合又は共重合媒質を使用前に、例えば蒸留、モレキュラーシーブを通してのパーコレーション、痕跡量不純物を除去することができる例えばアルキルアルミニウム化合物のような化合物との接触、又は他の適当な手段によって精製することがしばしば望ましい。
本発明の触媒又は触媒成分が有用である気相重合又は共重合プロセスの例は撹拌床反応器系と流動床反応器系の両方を包含し、米国特許第3,957,448号;第3,965,083号;第3,971,786号;第3,970,611号;第4,129,701号;第4,101,289号;第3,652,527号;及び第4,003,712号に述べられており、これらの特許は本明細書に援用される。典型的な気相オレフィン重合又は共重合反応器系は、オレフィンモノマーと触媒成分と加えることができ、ポリマー粒子を形成する撹拌床を含有する少なくとも1個の反応器容器を含む。典型的に、触媒成分は一緒に又は別々に単一反応器容器又は第1反応器容器の1個以上の弁制御口(valve-controlledport)を通して加えられる。オレフィンモノマーは典型的に、再循環ガス系を通して反応器に供給され、再循環ガス系ではオフガスとして除去される未反応モノマーと新鮮な供給モノマーとが混合され、反応器容器に注入される。インパクトコポリマー(impact copolymers)を製造するためには、第1反応器においてだい1モノマーから形成されたホモポリマーを第2反応器において第2モノマーと反応させる。温度を制御するために、重合又は共重合するオレフィンに液体モノマーであることができる急冷液体(quench liquid)を再循環ガス系を通して加えることができる。
重合方法又は共重合方法のいずれであるかに関係なく、重合又は共重合は触媒毒として作用する酸素、水及び他の物質を排除する条件下でおこなわれる。また、本発明によると、重合又は共重合はポリマー又はコポリマーの分子量を制御するための添加剤の存在下でおこなうことができる。この目的のために、水素が典型的に、当業者に周知のやり方で用いられる。通常は必要ではないが、重合又は共重合の完成時に、又は重合若しくは共重合を停止される又は少なくとも一時的に本発明の触媒若しくは触媒成分を奪活させることが望ましい場合には、触媒を水、アルコール、アセトン又は他の適当な触媒奪活剤と当業者に公知のやり方で接触させる。
本発明の方法によって製造される生成物は通常は固体の主としてアイソタクチックポリα−オレフィンである。ホモポリマー又はコポリマーの収率は、有用な生成物を触媒残渣を分離せずに得ることができるほど、触媒使用量に関して充分に高い。さらに、ステレオランダム副生成物のレベルは、有用な生成物をそれを分離せずに得ることができるほど、充分に低い。本発明の触媒の存在下で製造される重合又は共重合生成物は押出成形、射出成形及び他の一般的な方法によって有用な物品に二次加工することができる。
本発明を以下の実施例によって非限定的に説明する。
実施例
本発明の物品に形成するために適したプロピレンポリマー樹脂を製造するために、一連の実施例と比較ランとを実施した。これらの試験では、種々な外部シラン調節剤を用いて、本発明の適用可能性を説明した。用いる特定のシランは表Iにおいて確認される。シランの全てはHuls America社から入手可能であり、受容したままで使用した。
実施例I〜IVと比較ラン1〜13
本発明の実施例を実証し、比較ランをおこなうために、実験室気相反応器において米国特許第4,886,022号に従って製造した担体付きHAC触媒成分を用いてプロピレン重合をおこなった。トリエチルアルミニウムを6のAl/Mg比において助触媒として用いた。重合においてシラン調節剤の量Si/Ti比が1〜9の範囲内になり、ポリマーのターゲット溶融流量(MFR)が2.5〜3になるように制御した。これらのプロピレン重合は、米国特許第3,965,083号に述べられている反応器に基づいて、直径10cm、長さ30cmの1ガロン(3.8リットル)連続横型円筒形気相反応器においておこなった。反応器には反応器ガスを冷却管に通して再循環させ、再循環ラインに通して反応器の再循環ノズルに戻すためにオフガス口を備える。重合中に反応器において発生した熱の除去を容易にするための急冷液体として、プロピレン液体を用いた。操作中にポリプロピレン粉末が反応器床中に生じ、せき(weir)を越えて、窒素で覆われた第2閉鎖容器中に粉末放出系を通して放出された。約50rpmで回転する反応器内の長軸に取り付けたパドルによって、ポリマー床を撹拌した。反応器の温度と圧力とは、それぞれ、160°F(71℃)と300psig(2100kPa)に維持した。液体プロピレンによってフラッシュされた触媒添加口からチタン含有触媒を反応器中にヘキサン中1.5重量%スラリーとして導入した。シラン調節剤とヘキサン中20%トリエチルアルミニウムとの6のAl/Mg及び表IIに示したSi/Tiモル比における混合物を別に反応器に液体プロピレンによってフラッシュした助触媒添加ノズルに通して供給した。2.5〜3g/10分の粉末溶融流量を維持するために水素を反応器に供給した。IBMDMS実施例における水素必要量はDIBDMSランに必要な量の1/2であった。製造速度は約0.8 lb/時(225g/時)であった。
製造からのデータを表IIに要約する。他の外部調節剤の全てに関する触媒収率は基準物質DIBDMSよりも低かった。GPCからMw/Mnによって算出される分子量分布(MWD)は広いポリマーMWDと狭いポリマーMWDの両方を示す。表IIのデータから、種々なシラン外部調節剤は同じDS対Si/Ti関係を示さない。この観察を実証するために、図2はDSの変化をこの研究における調節剤の各々に関するSi/Tiの変化と共にプロットする。このプロットは、各シランがSi/Tiのばらつきの変化に対する特徴的なDS反応を有することを実証する。このプロットからの第2の予想外の観察はDS対Si/Tiラインの傾斜を特徴とする2つのカテゴリーにおけるシランの低下である。4種類のシラン、DIBDMS、DCHDMS、DIBDES及びPMDESは第1群に含まれる。これらのシランはDS対Si/Ti関係のより急激な傾斜を特徴とする。第2群のシラン、IBMDMS、CPMDMS及びCHMDMSはDS対Si/Ti関係の比較的急激でない傾斜を特徴とする。
表IIIのデータはこの研究からの選択されたポリマーサンプル並びにDIBDMSによって製造された幾つかの基準サンプルに関するNMRペンタアド分布の要約を示す。上述したように、2種類のペンタアド(mmrrとmrrm)はアイソタクチック配列の単離タクチシティ・ミステークに由来する。これらの単離タクチシティ・ミステークの高い割合はポリマー内のタクチシティ欠陥のより大きくランダムな分布ということになる。
mmrrペンタアドに関する表IIIのデータを図3にmmrrペンタアドの%対デカリン可溶物のプロットとして要約する。これは、シラン外部調節剤の2種類の異なる群を用いて製造した樹脂は異なるNMRタクチシティ対DS関係を示すことを説明する。DS対Si/Ti関係で急激な傾斜を特徴とするシラン群は、あまり急激ではない傾斜を有するシラン群と比較したときに、一定のDSに関する単離タクチシティ・ミステークの低い%を有する。
上述したタクチシティ欠陥制御は直接、ポリマー加工の利益になることができる。SDMA試験は特に、固体〜溶融物転移に関連したポリマー性質を調べる。この転移近くのポリマー性質は例えばOPPフィルム製造のような用途におけるポリマーの加工性を決定する。SDMA結果は、タクチシティ欠陥のより大きくランダムな分布を有するポリマーサンプルが、例えばDIBDMSのような典型的なシランよりも大きい、OPPに関する加工ウインドー温度範囲を示すことを実証する。この大きな加工ウインドーは直接、OPP製造者にとって加工がより容易である樹脂を意味することになる。
図4は、IBMDMS OPP樹脂(サンプルBとして同定)の貯蔵剪断弾性率(G’)スペクトルを示す。加熱G’スペクトルは固体状態から出発して、溶融状態に及び、溶融状態のプラトー領域を有する。冷却G’スペクトルは溶融状態プラトーにおいて始まり、固体状態に延び、この時点からG’は急激に増加する。G’スペクトルから3種類の温度Tf、T5及びTICが決定される(図4)。TfとT5は加熱G’スペクトルから決定され、TICは冷却スペクトルから決定される。
Tfはサンプルが完全に溶融され、流動し始める流動温度である。T5は、G’が100xG’(Tfにおける)に等しく、おこなわれたランにおいて5mPaであった温度である。温度差(△T=Tf−T5)はサンプルが固体から溶融物へ弾性率(G’)の同じ変化を示しながら転移する温度範囲である。低いタクチシティを有するサンプルでは△Tが増加することが観察される。フィルム及び熱成形プロセスでは、ポリマーはそれらの融点に近いがそれらの融点未満ではない温度領域又は加工ウインドーにおいて加工されなければならない。この温度領域において、ポリマーは軟化して、容易な加工のために部分的に溶融する。△Tを用いて、実際の加工温度ウインドーと関連づけることができる。
TICは歪み誘導結晶化温度であり、この温度ではG’はサンプルの歪み誘導結晶化のために上昇する。したがって、TICはサンプルが凝固し始める温度である。この情報は繊維紡糸と射出成形にとって重要である。TICは樹脂のタクチシティにも関係する。高タクチシティサンプルは低タクチシティサンプルよりも迅速に結晶化する。したがって、高タクチシティサンプルは高いTICを有する。
図5と6は種々なプロピレンポリマー樹脂の加熱及び冷却G’スペクトルを示す。これらの図に示すように、G’は、サンプルのタクチシティを調節する外部触媒調節剤によって変化する。低いタクチシティを有するサンプルは低いG’と高い△Tとを有する(図5と表V)。低タクチシティサンプルでは流動温度Tfも低い(図5)。歪み誘導結晶化温度(TIC)もサンプルタクチシティと共に低下した(図6と表V)。SDMA結果は、△TとTICの測定が加工性測定値として利用されうることを示す。それ故、異なる調節剤によって製造されたポリプロピレン樹脂の分子構造を可能な商業的有用性(OPPフィルムのための強化された加工ウインドーと、熱成形、繊維紡糸及び射出成形の可能性)に関連づけることができる。
剪断モードDMA結果(Tf、T5及びTIC)をDSC結果と比較する。表Vでは、TCOは開始結晶化温度であり、Tcはピーク結晶化温度であり、Tmはピーク溶融温度である。一般に、Tf、T5、TIC及びTmは良好に相互に関連する。
実施例V−比較ラン14〜24
一連のポリマーサンプルをSDMAを用いて分析した。実施例Iで用いたものと同様なHAC触媒成分を助触媒としてのトリエチルアルミニウムと共に用いて気相パイロットプラントにおいて、ポリプロピレンを製造した。種々な外部シラン調節剤を用いた。結果は表VIに示す。
これらの結果は予想外であり、OPPフィルムの製造に特に適したポリプロピレン樹脂を製造するための外部調節剤としてのIBMDMSの使用に固有の性質を実証する。
実施例VI−OPPフィルム試験
本発明に従って製造されたポリプロピレンがOPPフィルムの製造に優れていることを立証するために、フィルム製造の標準条件を用いて1メートルフィルム・ライン上で試験をおこなった。この試験は、横断方向(TD)延伸のための予熱温度がTD延伸中にフィルムが破断するまで徐々に低下するように、ランした。このラインは標準TD予熱に合わせて調節した後に、張り替えた。TD延伸中にフィルムが破断するまでTD予熱の低下を繰り返し、これを用いて、最低TD予熱温度を決定した。各試験の第2工程は予熱温度を高めて温度上限を見い出すことであった。TD延伸では破断を惹起することができなかったが、フィルムは温度上昇につれて非常に濁り(hazy)、製品を望ましくないものにした。
各試験における次の工程は、延伸比を変えて、標準TD予熱においてより大きい延伸度が可能であるかどうかを判定することであった。TD延伸比の調節を全ての試験に関して9:1に維持した。試験に用いた標準装置方向(MD)延伸は4.3:1であった。標準TD予熱において、TD延伸中にフィルムが破断するまで0.2の増分でMD延伸を高めた。MD延伸中の延伸が大きければ大きいほど、大きな見込みでTDにおける破断が生じた。試験を3種類のポリプロピレンサンプルを用いて実施した。ラン25のポリマーは外部シラン調節剤としてのDIBDMSと共にHAC/TEAを用いて製造した慣用的スラリー相ポリプロピレンであった。ラン26のポリマーは外部シラン調節剤としてのDIBDMSと共にHAC/TEAを用いて製造した慣用的気相ポリプロピレンであった。実施例VIのポリマーは、上述したように、外部シラン調節剤としてのIBMDMSと共にHAC/TEAを用いて製造した実験的気相ポリプロピレンであった。このポリマーは大規模であること以外は実施例Iで述べた装置と同様なパイロットプラントで製造した。実施例VIのポリプロピレンは2.9dg/分のMFR、28.1 lb/ft3のかさ密度、1.89重量%のヘキサン抽出可能物、5.32重量%のデカリン抽出可能物、85.5のNMR%m4、及び5.18のMw/Mnを有した。フィルム試験の結果は表VIIに示す。
データは、ポリマー26がポリマー25製品よりもやや広い加工ウインドーを有したことを示す。しかし、実施例VI製品はポリマー25樹脂又はポリマー26樹脂のいずれよりも有意に広い加工ウインドーを有した。さらに、実施例VI製品は他の2種類の製品のいずれよりも有意に大きい程度に延伸することができる。
Claims (11)
- 下記成分:
(a)ハロゲン化マグネシウム担持チタン含有高活性触媒と;
(b)アルミニウムアルキルと;
(c)イソブチルメチルジメトキシシランである外部調節剤と
を含む触媒系(Si/Ti比は1〜4であり、Al/Ti比は10〜500である)を用いて、気相、バルク又はスラリー中でプロピレンを重合することによって製造されるプロピレンポリマー(3%を越えるNMR mmrrペンタアド含量及び5wt%を超えるデカリン可溶物を有する)から製造される延伸ポリプロピレンフィルム。 - NMR mmrrペンタアド含量は3.5%よりも大きく、デカリン可溶物は6wt%を越える、請求項1に記載の延伸ポリプロピレンフィルム。
- アルミニウムアルキルがトリエチルアルミニウムを含む、請求項1又は請求項2に記載の延伸ポリプロピレンフィルム。
- ポリプロピレンは気相中で重合される、請求項1に記載の延伸ポリプロピレンフィルム。
- プロピレンポリマーが10℃を越える、剪断動的機械的分析(SDMA試験)により測定された流動温度(Tf)と貯蔵剪断弾性率(G′)が5mPaであるときの温度(T5)と差(△T)を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の延伸ポリプロピレンフィルム。
- 下記工程:
(a)(i)ハロゲン化マグネシウム担持チタン含有高活性触媒と;
(ii)アルミニウムアルキルと;
(iii)イソブチルメチルジメトキシシランである外部調節剤と
を含む触媒系(Si/Ti比は1〜4であり、Al/Ti比は10〜500である)を用いて、気相、バルク又はスラリー中で重合条件下でのプロピレンの重合によって製造したプロピレンポリマーを押出成形することによってフィルムを形成する工程と;
(b)得られたフィルムを装置方向と横断方向とにおいて延伸して、二軸延伸フィルムを形成する工程と
を含む二軸延伸ポリプロピレンフィルムの形成方法。 - ポリプロピレンのNMR mmrrペンタアド含量は3.5%よりも大きく、デカリン可溶物は6wt%を越える、請求項6に記載の方法。
- ポリプロピレンは気相中で重合される、請求項6に記載の方法。
- アルミニウムアルキルがトリエチルアルミニウムを含む、請求項6に記載の方法。
- プロピレンポリマーが10℃を越える、剪断動的機械的分析(SDMA試験)により測定された流動温度(Tf)と貯蔵剪断弾性率が5mPaであるときの温度(T5)との差(△T)を有する、請求項6に記載の方法。
- プロピレンポリマーが13℃を越える、剪断動的機械的分析(SDMA試験)により測定された流動温度(Tf)と貯蔵剪断弾性率(G′)が5mPaであるときの温度(T5)との差(△T)を有する、請求項6に記載の方法。
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