JP3984134B2 - 移動軌跡データ検索用インデックス生成装置及びその方法と、移動軌跡データ検索装置及びその方法と、移動軌跡データ検索用インデックス生成プログラム及びそのプログラムを記録した記録媒体と、移動軌跡データ検索プログラム及びそのプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

移動軌跡データ検索用インデックス生成装置及びその方法と、移動軌跡データ検索装置及びその方法と、移動軌跡データ検索用インデックス生成プログラム及びそのプログラムを記録した記録媒体と、移動軌跡データ検索プログラム及びそのプログラムを記録した記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、データベースに格納される移動軌跡データの検索に用いられるインデックスを生成する移動軌跡データ検索用インデックス生成装置及びその方法と、そのインデックスを用いて、データベースに格納される移動軌跡データの中から、検索要求で指定される移動軌跡データに類似するものを検索する移動軌跡データ検索装置及びその方法と、その移動軌跡データ検索用インデックス生成装置の実現に用いられる移動軌跡データ検索用インデックス生成プログラム及びそのプログラムを記録した記録媒体と、その移動軌跡データ検索装置の実現に用いられる移動軌跡データ検索プログラム及びそのプログラムを記録した記録媒体とに関する。
【0002】
ナビゲーションシステムや、人物の位置を管理するシステムや、人物の移動軌跡から嗜好情報を読み取るシステムなどといったような様々なシステムで、移動物体の移動軌跡データを検索することが要求されている。その他にも、様々なシステムで、時間軸に沿って値の変化するデータ(広義の移動軌跡データ)を検索することが要求されている。
【0003】
これから、このような移動軌跡データの検索を実現する技術を構築していく必要がある。
【0004】
【従来の技術】
本発明に関連する先行技術として、時系列データベースシステム、時空間データベースシステム、ナビゲーションシステムがある。
【0005】
〔1〕時系列データベースシステム(例えば、特許文献1参照)
株価や為替に類する経済的指標値、降水量や気温、湿度に類する気候に関する測定値、人口や就業率、出生率に類する社会的指標値といったような、時間軸に沿って変化する可能性のある値を、一定周期あるいは不定期に計測したデータを一般に時系列データという。
【0006】
時系列データから周期性、規則性を発見し、未来の値の変化を予測する技術の開発がこれまでに行われている。この技術開発の中で、時系列データを蓄積し、条件に合致する時系列データを検索する機能を持つ時系列データベースシステムが開発されている。
【0007】
従来の時系列データベースシステムは、時間変化に伴うデータの値の増減変化の特徴を検索条件として与えて、その検索条件に合致するデータを検索する機能を有する。
【0008】
移動するユーザについて記述する移動軌跡データは、各時刻に対応するユーザの座標情報を記録したものであるから、時系列データの一種である。
【0009】
しかし、移動軌跡データは空間上の線分としての性質を持つことから、時間軸に対する値の増減変化だけではなく、幾何学的な線分の形状を条件に指定し、データを取得する機能が必要である。
【0010】
例えば、自らが移動した軌跡と形状がよく似た軌跡で移動した他のユーザを探すケースでは、軌跡の形状の類似度をもとに検索を行う必要がある。
【0011】
しかしながら、既存の時系列データベースシステムは、この機能を有していない。
【0012】
〔2〕時空間データベースシステム(例えば、特許文献2参照)
空間上の図形を、図形間の関係や図形の形状を条件として与えることで検索することができる機能を有するデータベースシステムとして、空間データベースシステムと時空間データベースシステムとがある。これらのデータベースシステムは、GIS(Geographic Information System)の基盤技術としても用いられている。
【0013】
蓄積するデータとしては、標高や河川や道路や建築物などに類する静的な地理学的なデータと、人口分布や職業分布や植生や降雨量などに類する場所に依存した動的に変動するデータとがある。
【0014】
静的なデータと動的なデータとを組み合わせて分析することで、特定の地域にのみ見られる特有のデータパターンを発見したり、複数の分布図間に存在する図形的な関連性を発見することが可能である。
【0015】
例えば、植生分布、降雨量、崖崩れの発生区域の3つの分布図について、図形上での比較を行うことで、崖崩れが頻出する地点の近傍では年間降雨量が平均より多く、なおかつ植生分布図では樹木のない区域にある、などといった関係を発見するケースがこれにあたる。
【0016】
従来の時空間データベースシステムでは、図形として面積あるいは体積を持つ図形間の関係を計算することができる。
【0017】
しかし、面積あるいは体積を持つ図形間の関係計算は、一般に極めて膨大なコストを要する。このため、時空間データベースシステムで扱われるデータは、関係の演算に時間を要しても影響がない程度にデータの更新が少ない、いわゆる静的なデータである必要があった。
【0018】
これに対して、移動軌跡データはセンサ情報の一種であり、リアルタイムにデータが追加される性質を持つ。したがって、移動軌跡データベースは、動的に増加するデータに対しても十分に高速にデータを検索できる能力が必要である。
【0019】
しかしながら、既存の時空間データベースシステムは、この機能を有していない。
【0020】
また、従来の時空間データベースシステムでは、線分間の近似度は、線分間の最短距離、つまり二つの線分が最も接近している場所の距離を使って定義されていた。このため、ある線分に対してその線分の「すぐそばを通過した」別の線分を探すことはできるが、線分の形状に着目して「似た形状をもつ」別の線分を探す機能を有していない。
【0021】
〔3〕ナビゲーションシステム(例えば、特許文献3参照)
地図上の複数の点を指定し、指定した順序で通過する経路を検索できるシステムとして、カーナビゲーションシステム、パーソナルナビゲーションシステムがある。
【0022】
ナビゲーションシステムではデータとして、道路の形状、長さ、接続情報を保有し、カーナビゲーションシステムではさらに渋滞、工事、通行規制に関する情報を保有しており、複数のデータを複合的に用いてユーザの条件を満たす最適な経路を探す。
【0023】
しかしながら、ナビゲーションシステムの検索対象は二点間を結ぶ経路としての静的な道路データであり、形状が不定でリアルタイムにデータが追加される移動軌跡データを検索対象とすることはできない。
【0024】
【特許文献1】
特開平6−96234号公報
【特許文献2】
特開平7−93338号公報
【特許文献3】
特開平9−178499号公報
【非特許文献1】
E.J.Keogh,K.Chakrabarti,M.J.Pazzani and S.Mehrotra: Dimensio
nality Reduction for Fast Similarity Search in Large Time Se
ries Databases,Knowledge and Information Systems 3(3): pp.26
3-286(2001)
【非特許文献2】
O.Guttman: R-Trees: a Dynamic Index Structure for Spatial Se
arching,In Proc.of Intl.Conf.on SIGMOD84,pp.47-57(1984)
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、従来の技術では、サンプルとして与えた移動軌跡データと空間上での形状が似ている移動軌跡データを、データベース内から検索することができないという問題がある。
【0026】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、データベースに格納される複雑な形状を持つ線分である移動軌跡データを検索対象として、サンプルとして与えた移動軌跡データと空間上での形状が似ている移動軌跡データを高速に検索できるようにする新たな移動軌跡データ検索技術の提供を目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明では、(i)データベースに格納される移動軌跡データの検索に用いられるインデックスを生成してメモリ域(半導体メモリやハードディスクなどのようなメモリ域)に保持させる移動軌跡データ検索用インデックス生成装置と、(ii)そのメモリ域に保持されるインデックスを用いて、データベースに格納される移動軌跡データの中から検索要求の移動軌跡データに類似するものを検索する移動軌跡データ検索装置とを用意する。
【0028】
〔1〕本発明の移動軌跡データ検索用インデックス生成装置の構成
本発明の移動軌跡データ検索用インデックス生成装置は、データベースに格納される移動軌跡データの検索に用いられるインデックスを生成する処理を行うものであって、(1)移動軌跡データから連続する規定個数の移動軌跡点の組を順次抽出する抽出手段と、(2)抽出手段の抽出した移動軌跡点の組ごとに、それらの移動軌跡点の重心を求めて、それらの移動軌跡点の座標値を、その重心を原点とし、それらの移動軌跡点の中に含まれる所定の移動軌跡点を角度基準とする極座標系の座標値に変換して、その変換した各座標値の平均値を算出する算出手段と、(3)算出手段の算出した平均値を極座標系の空間上にプロットするプロット手段と、(4)プロット手段のプロットした点の分布に基づいて、極座標系の空間を分割することでインデックスを生成する生成手段とを備えるように構成する。
【0029】
このように構成されるときにあって、算出手段は、座標値を構成する極座標系原点からの距離として、特定の移動軌跡点の極座標系原点からの距離を規定の値に正規化した相対的なものを用いることがある。
【0030】
以上の各処理手段はコンピュータプログラムで実現できるものであり、このコンピュータプログラムは、半導体メモリなどの記録媒体に記録して提供することができる。
【0031】
〔2〕本発明の移動軌跡データ検索装置の構成
本発明の移動軌跡データ検索装置は、データベースに格納される移動軌跡データを検索する処理を行うものであって、(1)検索対象となる移動軌跡データの持つ移動軌跡点の各座標値の平均値の分布に基づいて生成されたインデックスであって、その平均値の算出対象となる移動軌跡点の重心を原点とし、それらの移動軌跡点の中に含まれる所定の移動軌跡点を角度基準とする極座標系の座標平均値の分布に基づいて生成されたインデックスを保持する保持手段と、(2)保持手段からインデックスを読み出す読出手段と、(3)極座標系に従って、検索要求の移動軌跡データの持つ移動軌跡点の各座標値の平均値を算出する算出手段と、(4)算出手段の算出した平均値と読出手段の読み出したインデックスとに基づいて、平均値の差分値が規定値以下となる移動軌跡データを特定することで、検索要求の移動軌跡データに類似する移動軌跡データを特定する特定手段と、(5)特定手段の特定した移動軌跡データと検索要求の移動軌跡データとの類似度を評価することで、特定手段の特定した移動軌跡データの中から、検索要求の移動軌跡データに類似するものを検索する検索手段とを備えるように構成する。
【0033】
このように構成されるときにあって、保持手段は、特定の移動軌跡点の極座標系原点からの距離を規定の値に正規化することで算出される極座標系原点からの距離の平均値の分布に基づいて生成されたインデックスを保持することがあり、これを受けて、算出手段は、そのインデックスに合わせる形態で、移動軌跡点の各座標値の平均値を算出することがある。
【0034】
そして、検索手段は、検索要求で時刻条件や距離条件が指定される場合には、検索要求を充足するものとして検索した移動軌跡データの中から、その指定される時刻条件や距離条件を充足するものを検索する。
【0035】
以上の各処理手段(但し、保持手段は除く)はコンピュータプログラムで実現できるものであり、このコンピュータプログラムは、半導体メモリなどの記録媒体に記録して提供することができる。
【0036】
〔3〕本発明により実現される移動軌跡データの検索処理
本発明は、次元圧縮手法PAA(Piecewise Aggregate Approximation) を拡張した手法を使って、データベースに格納される移動軌跡データの中から、検索要求の移動軌跡データと空間上での形状が似ている移動軌跡データを高速に検索することを実現する。
【0037】
次元圧縮手法PAA(例えば、非特許文献1参照)によれば、ある時系列データcとの距離がθ以下の時系列データを検索するには、先ず最初に、その時系列データcの平均値との差がθ以下になるような時系列データ群を検索し、続いて、その検索した時系列データ群の中から、実際に距離がθ以下となる時系列データを検索すればよいことが知られている。
【0038】
そこで、本発明では、この次元圧縮手法PAAをR−Tree(例えば、非特許文献2参照)などのような多次元空間図形に対するインデックスと組み合わせることで、従来の多次元図形に対するインデックスを単体で使用する場合に比べて、データベースに格納される移動軌跡データの中から、検索要求の移動軌跡データに類似するものを高速に検索することを実現する。
【0039】
すなわち、本発明では、先ず最初に、本発明の移動軌跡データ検索用インデックス生成装置が動作して、データベースに格納される移動軌跡データ(これから格納される移動軌跡データのこともある)から、連続する規定個数の移動軌跡点の組を、例えば移動軌跡点を1つずつずらしながら抽出する。
【0040】
そして、抽出した移動軌跡点の組ごとに、それらの移動軌跡点の各座標値の平均値を算出して空間上にプロットし、そのプロットした点の分布に基づいて、例えばR−Tree などの手法により空間を分割することでインデックスを生成する。
この座標平均値の算出にあたって、抽出した移動軌跡点の組ごとに、それらの移動軌跡点の重心を求めて、それらの移動軌跡点の座標値を、その重心を原点とし、それらの移動軌跡点の中に含まれる所定の移動軌跡点を角度基準とする極座標系の座標値に変換して、その変換した各座標値の平均値を算出するようにしている。
【0041】
このインデックスの生成を受けて、移動軌跡データを指定して、その移動軌跡データに類似する移動軌跡データの検索要求が発行されると、本発明の移動軌跡データ検索装置が動作して、インデックスに合わせる形態で、極座標系に従ってその検索要求の移動軌跡データの持つ移動軌跡点の各座標値の平均値を算出する。
【0042】
そして、その算出した平均値と本発明の移動軌跡データ検索用インデックス生成装置により生成されたインデックスとに基づいて、平均値の差分値が規定値以下となる移動軌跡データを特定することで、検索要求の移動軌跡データに類似する移動軌跡データを特定し、続いて、その特定した移動軌跡データと検索要求の移動軌跡データとの類似度を評価することで、その特定した移動軌跡データの中から、検索要求の移動軌跡データに類似するものを検索する。
【0043】
このようにして、本発明によれば、検索要求の移動軌跡データと空間上での形状が似ている移動軌跡データを高速に検索できるようになる。
【0044】
この構成を採るときにあって、本発明では、座標系として、平均値の算出対象となる移動軌跡点の重心を原点とし、それらの移動軌跡点の中に含まれる所定の移動軌跡点を角度基準とする極座標系(円座標系や球座標系など)を用いることで、移動軌跡データが回転されているような場合にあっても、検索要求の移動軌跡データと空間上での形状が似ている移動軌跡データを高速に検索できるようになる。
【0045】
そして、このような極座標系を用いるときに、極座標系原点からの距離として、特定の移動軌跡点の極座標系原点からの距離を規定の値に正規化した相対的なものを用いることで、移動軌跡データが引き伸ばされたり縮小されるような場合にあっても、検索要求の移動軌跡データと空間上での形状が似ている移動軌跡データを高速に検索できるようになる。
【0046】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0047】
図1に、本発明を具備するデータベースシステム1の全体構成を図示する。
【0048】
この図に示すように、本発明のデータベースシステム1は、入力部10と、データ管理部11と、検索部12と、蓄積部13とから構成される。
【0049】
入力部10は、外部から受け取ったテキスト情報が移動軌跡データであるのか問い合わせ記述であるのかを判断して、移動軌跡データであった場合には、データを整形してデータ管理部11へ送信し、問い合わせ記述であった場合には、問い合わせ内容を解析して検索部12へその解析結果を送信する。
【0050】
データ管理部11は、入力部10から受け取ったデータに対してインデックスを作成する。インデックスはデータ管理部11で保持され、移動軌跡データは蓄積部13に送信される。
【0051】
蓄積部13は、外部から受信した移動軌跡データをハードディスク等の物理記憶デバイスに記録し、外部から要求のあった移動軌跡データを物理記憶デバイスから読み出して要求元に送信し、外部から指示された移動軌跡データの削除またはデータの置き換えを行う機能を有する。
【0052】
検索部12は、入力部10から受け取った問い合わせに対し、データ管理部11に問い合わせてインデックスを利用して問い合わせの条件を満たすデータの候補を選び、次に蓄積部13から候補となるデータを取得し、その中から実際に条件を満たすデータだけを選んで外部に検索結果として送信する機能を有する。
【0053】
〔1〕本発明で扱う移動軌跡データ
次に、本発明のデータベースシステム1で扱う移動軌跡データについて述べる。
【0054】
空間上を移動する物体の移動軌跡を、物体の識別子と時刻とユークリッド空間上の座標値(点データ)との組として記録したものを移動軌跡データと呼ぶ。ここで、座標系としては直交座標系を用いることを想定する。
【0055】
移動軌跡データは、一般には連続でない時系列に沿った離散的な点データ列である。移動軌跡データに含まれる点データ列を点データの時刻順に結んだものは、空間上では有限の長さを持ち向きがある線分になる。
【0056】
図2に、移動軌跡データの一例を図示する。この図に示すように、移動軌跡データの各点は、時刻tと、座標ベクトル<v>=(x,y)と、個々の移動軌跡データに対してシステムが割り振る識別子uとの組で表される。
【0057】
以下では、ベクトルに相当する記号については「<..>」で表記することにする。また、以下では、共通する識別子uを持つ移動軌跡データ全体を〔λ〕で表記することにする。なお、後述する数式中では、〔λ〕のことをλの上に「・」を付記したもので表記することにする。
【0058】
移動軌跡データの点列データは、センサから得られた状態ではサンプリングレートが一定していないことから、一定時間間隔Δtで再サンプリングした時間正規化済み移動軌跡データ〔λ{Δt}〕と、一定の距離ごとに再サンプリングした距離正規化済み移動軌跡データ〔λ{δ}〕とを作成し、これらについても同時に蓄積部13で蓄積する。
【0059】
先ず最初に、時間正規化済み移動軌跡データ〔λ{Δt}〕と、距離正規化済み移動軌跡データ〔λ{δ}〕の計算方法(例えば、データ管理部11が計算する)について述べる。
【0060】
時間や距離の正規化済み移動軌跡データを作成する前に、離散状態の移動軌跡データから連続な線分である移動軌跡『λ』を作成する。なお、後述する数式中では、『λ』のことをλの上に「〜」を付記したもので表記することにする。
【0061】
この『λ』は、〔λ〕から次の〔数1〕式を用いて計算する。但し、<T>は、〔λ〕の各座標データが観測された各時刻t1,t2,...,tn の集合であり、〔λ(t)〕は、時刻tにサンプリングされた座標データ<v>を返す関数である。
【0062】
【数1】
Figure 0003984134
【0063】
『λ』は、直観的には、〔λ〕の各座標の間を線形補完して得た連続な線分である。
【0064】
すなわち、図3に示すように、観測時刻<0,1,4,8,10,12>で移動軌跡点v1〜v6が観測された場合に、時刻「t' =2」に対応する移動軌跡点v' は、
a:b=(t3-t')/(t3-t2):(t'-t2)/(t3-t2)
となるように線上から選ばれることになる。
【0065】
時間正規化済み移動軌跡データ〔λ{Δt}〕は、図4に示すように、『λ』を、各点のサンプリング時間間隔が一定時刻Δtになるように再サンプリングした座標データ列である。このように再サンプリングすると末尾部分に余りが生じる場合があるが、その場合には、余り部分を切り捨てる方法と、末尾の点の時刻を書き換えて余りが生じないように修正する方法とがある。
【0066】
一方、距離正規化済み移動軌跡データ〔λ{δ}〕は、図5に示すように、『λ』を、各点の『λ』に沿った距離が一定距離δになるように再サンプリングした座標データ列である。余りが生じるケースについては、〔λ{Δt}〕を作成する場合と同様に処理を行う。
【0067】
なお、正規化した移動軌跡データを蓄積部13に蓄積しておくのではなくて、正規化前の移動軌跡データを蓄積部13に蓄積しておいて、検索入力に応答して、その正規化を行うようにするという構成を用いることも可能である。
【0068】
〔2〕検索部12で扱うことのできる条件記述式
次に、検索部12で扱うことのできる条件記述式について述べる。
【0069】
条件式は、クエリとして与える移動軌跡データλq
λq =〈<vq1>,<vq2>,....... ,<vqn> 〉
と、近似値の上限値θ(正の実数)あるいは類似度が高い順にデータを取得する場合の個数ρ(正の整数)と、時間条件Sや距離条件Pとを用い、例えば、
<L>=Q(λq1,θ=1.0,(S1∧S2∧P1∧P2))
のように記述する。
【0070】
この記述により、変数<L>にQを満たす移動軌跡データの集合が代入され、答えとして返される。SおよびPは複数の条件を指定でき、ANDを意味する∧と、ORを意味する∨とを用いて条件指定できる。
【0071】
この時間条件Sと距離条件Pとは具体的に次のように記述される。
【0072】
(イ)時間指定(時間条件)S
答えとなる移動軌跡データが満たすべき時区間や時刻に関する条件を指定する。tS をデータの先頭の時刻、tE をデータの終端の時刻、tA をデータ中の任意の点のいずれかの時刻、tI をデータの先頭と終端を除く任意の点のいずれかの時刻とし、例えば、「tE −tS <100」や「tI =AM9:00」のように記述する。この「tE −tS <100」は、移動軌跡データ全体の時区間の長さが100(秒)以下であるという条件を示す。また、「tI =AM9:00」は、移動軌跡データのいずれかがAM9:00であるという条件を表す。
【0073】
(ロ)距離指定(距離条件)P
答えとなる移動軌跡データが満たすべき距離に関する条件を指定する。vS をデータの先頭の座標、<vE >をデータの終端の座標、<vA >をデータの中の任意の点のいずれかの座標、<vI >をデータの先頭と終端を除く任意の点のいずれかの座標とし、例えば、「D(<vS >, <vE >)<100」のように記述する。この「D(<vS >, <vE >)<100」は、移動軌跡データ全体の長さが100(単位距離)以下であるという条件を表す。
【0074】
ここで、D(<v>,<v’>)は、<v>と<v’>とが同じ移動軌跡データ上に存在する場合には、線形補完により得られる移動軌跡データを近似する線に沿って、<v>から<v’>まで進んだときの距離とする。なお、<v>と<v’>とが同じ移動軌跡データ上に存在しない場合の定義については後述する。
【0075】
〔3〕検索部12で検索処理に用いる類似度
次に、検索部12で検索処理に用いる類似度について述べる。
【0076】
時系列データベースでは、m個の要素を持つ2つの数列
<c> =〈w1 , w2 , ...., wm
<c’>=〈w1', w2', ...., wm ' 〉
の間の類似度として、下記の〔数2〕式で定義されるm次元空間上でのユークリッド距離が用いられることが多い。
【0077】
【数2】
Figure 0003984134
【0078】
これを拡張して、時系列データの各要素wi を二次元空間R2 上のベクトル<vi >に置き換えると、離散的な移動軌跡データ間の類似度を定義できる。
【0079】
すなわち、〔λ〕と〔λ' 〕との間の類似度D(〔λ〕,〔λ' 〕)は、R2 上の2つのベクトル<v>,<v’>の距離D(<v>,<v’>)
D(<v>,<v’>)=((x−x')2 +(y−y')2 1/2
を用いて、下記の〔数3〕式で定義することができる。
【0080】
【数3】
Figure 0003984134
【0081】
本発明では、この〔数3〕式の値を移動軌跡データ間の類似度として用いる。類似度は0に近いほど「類似度が高い」ことを表し、0であるときは二つの移動軌跡データは「一致している」とみなす。
【0082】
〔4〕データ管理部11でのインデックス生成処理
次に、この類似度に基づいて、サンプルとして与えられた移動軌跡データに類似する移動軌跡データを探すためのインデックスの作成方式について述べる。
【0083】
先ず最初に、本発明で用いるインデックス作成方式の基礎となる時系列データベースのための次元圧縮方式について述べる。
【0084】
ある時系列データ<c>=〈w1 , w2 , ...., wm 〉について、データベースに蓄積されているすべての時系列データの中から、<c>と最も類似度の高いデータ<c’>を探す場合、すべてのデータについて上述した距離D(<c>,<c’>)を計算する必要がある。
【0085】
<c>の要素数がmで、移動軌跡データの数がnである場合、この計算量はO(nm)となり、mやnが大きな場合、その計算量は膨大なものとなる。
【0086】
ここで、次元圧縮手法PAAによれば、<c>の各要素の平均wと、<c’>の各要素の平均w’とに関して、
D(<c>,<c’>)>|w−w’|
となることが証明されている。
【0087】
この事実を利用すると、ある時系列データ<c>との距離がθ以下のデータを探すには、先ず最初に、その時系列データ<c>の平均値との差がθ以下になるような時系列データ群を探し、続いて、その探し出した時系列データ群の中から実際に距離がθ以下となる時系列データを探せばよいことになる。つまり、平均値を用いることで探索するデータ数を絞ることができる。
【0088】
図6及び図7に従って、この次元圧縮手法PAAによる検索処理について具体的に説明するならば、例えば、図6に示すように、
<c>=〈12,10,5,7,6,3,13〉
という時系列データ<c>がある場合には、この時系列データ<c>から、例えば1つずつずらしながら3個連続する時系列データの部分列を抽出し、それらのそれぞれについて平均値を算出して、例えば平均値の小さい順に並べることでインデックスを生成する。
【0089】
ここで、後述することから分かるように、この部分列の時系列データが検索対象となることになる。
【0090】
インデックスを作成した後に、例えば、図7に示すように、
<cq>=〈4,6,5〉
というクエリが与えられると、その平均値を算出して、先ず最初に、インデックスを参照しつつ、その平均値との差がθ(閾値)以下となる検索対象の時系列データを検索し、続いて、その探し出した時系列データ群の中から、実際に距離がθ以下となる時系列データを検索するのである。
【0091】
このようにして、次元圧縮手法PAAによれば、平均値を用いることで探索するデータ数を絞ることができるのである。
【0092】
本発明では、さらにこの技術を拡張したND−PAA(N-Dimensional PAA) とも呼ぶべき技術を使って、移動軌跡データ〔λ〕の類似度検索を実現するという構成を採っている。
【0093】
次に、移動軌跡データがX−Y平面の直交座標系で表される場合を具体例にして、このND−PAAについて説明する。
すなわち、ND−PAAでは、図8に示すように、先ず最初に、移動軌跡データをX、Yそれぞれの平面上に射影し、その平面上で時間軸に沿ってm個ずつのデータの平均値を計算する。続いて、これを再度XY平面上にプロットして、各点に対してR−Tree を作成する。
【0094】
あるクエリλq との距離(類似度)が上限値θ以下のデータを探すときは、まずλq の各要素についてm個単位で平均値を計算しておき、インデックス(R−Tree )を用いて差がθ以下になるような点群を探し出す。その後に、それらの点群に対応する移動軌跡データとλq とについて正確な距離計算を行って、距離がθ以下のデータを見つけ出せばよい。
【0095】
R−Tree は、点の数がθ以下になるように作成した矩形(これをMBRと呼ぶ。MBR:Minimum Bounding Region) を階層化し、図8の下図のように構成したものである。R−Tree の最下層以外のノードはすべて矩形であり、ノードには矩形の位置とサイズ、および上下層の矩形へのリンクが保持されている。
【0096】
ある点<v>から距離θ以下の点を探すには、まずR−Tree の頂点ノードの矩形の直下にある矩形群と<v>とを比較し、<v>を中心とする半径θの円(あるいは球)が完全に含まれる矩形を持つノードを探す。これを再帰的に繰り返し、この円(あるいは球)を含む最小の矩形を見つけ出したら、その矩形を含むノード以下にあるすべての点と<v>との距離を直接比較する。この過程により、<v>の近傍θにある点を探すコストを大幅に削減できる。なお、MBRは矩形に限られるものではなく、球形あるいは予め決められた形状の図形を用いることができる。
【0097】
このR−Tree により上述のインデックスが作成されると、クエリλq の平均値と許容される差分値とから指定されることになる平均値を持つ移動軌跡データの検索要求(クエリλq に類似する移動軌跡データの検索要求)が発行されるときに、それをキーにして、このインデックスを索引することで、その類似する移動軌跡データを直ちに検索できることになる。
【0098】
なお、インデックスが作成されなくても、1つ1つ移動軌跡データをチェックしていくことで、クエリλq との距離(類似度)が上限値θ以下に入る移動軌跡データを検索することが可能であることは言うまでもない。
【0099】
図9に、データ管理部11により実行されることになる以上に説明したインデックス作成処理の処理フローを図示する。
【0100】
この処理フローでは詳細に説明していないが、データ管理部11は、蓄積部13に蓄積されている時間正規化済み移動軌跡データ〔λ{Δt}〕と距離正規化済み移動軌跡データ〔λ{δ}〕とについて、それぞれ別々にインデックスを作成することになる。
〔5〕検索部12での移動軌跡データ検索処理
データ管理部11によりインデックスが作成された後、m個の長さを持つクエリλq を指定して、そのクエリλq に類似する移動軌跡データの検索要求が発行されると、検索部12は、上述したように、先ず最初に、そのクエリλq の平均値を計算して、その計算した平均値と検索要求で指定される閾値θとインデックス(R−Tree )とを用いて、平均値の差がθ以下になる移動軌跡データ(m個の長さを持つ)を検索する。
【0101】
続いて、それらの検索した移動軌跡データとクエリλq とについて正確な距離計算を行って、距離がθ以下の移動軌跡データを検索することで、クエリλq に類似する移動軌跡データを検索することになる。
【0102】
図10に、検索部12により実行されることになる以上に説明した移動軌跡データの検索処理の処理フローを図示する。
【0103】
この処理フローに示すように、検索部12は、実際には、クエリλq に類似する移動軌跡データを検索した後、その検索した移動軌跡データの中から、検索要求で指定される時刻条件及び距離条件を充足するものを検索することになる。
【0104】
この処理フローでは詳細に説明していないが、検索要求で、時間正規化済み移動軌跡データ〔λ{Δt}〕について検索するのか、距離正規化済み移動軌跡データ〔λ{δ}〕について検索するのか指定されることになるので、それに応じて、クエリλq についても正規化して処理に入ることになる。
【0105】
また、この処理フローでは、m個の長さを持つクエリλq を指定して検索要求が発行されることを想定したが、それよりも長いクエリλq を指定して検索要求が発行される場合には、インデックスを作成する場合と同様にして、その長いクエリλq から例えば移動軌跡点を1つずつずらしながらm個の長さを持つクエリλq 部分を抽出していく処理を行うことになる。
【0106】
検索要求では、閾値θが指定される代わりに、類似度が高い順にρ個検索しろという指定が発行される場合がある。
【0107】
このような場合には、検索部12は、まず適当な定数αを決めておき、インデックス上で類似度がα以下の移動軌跡データを探す。このとき見つかった移動軌跡データの個数がρ個以上の場合には、見つかった移動軌跡データについてそれぞれ距離を計算し、最も距離が小さいものからρ個を答えとして返す。
【0108】
一方、見つかった移動軌跡データがρ個よりも少ない場合には、上限値を2×αとして再度インデックス上で検索する。そして、見つかる移動軌跡データの個数がρ個を越えるまでこの操作を繰り返すことで、類似度が高い順に移動軌跡データをρ個検索することになる。
【0109】
以上に説明したND−PAAの具体例では、座標系として直交座標系を想定したが、本発明を実現するND−PAAでは、極座標系(球座標系や円座標系)を用いるようにしており、極座標系を用いると、移動軌跡データが回転されているケースであっても類似度を計算することができるようになる。
【0110】
座標系として球(円)座標系を用いる場合には、例えば、図11に示すように、m個の移動軌跡点から構成される移動軌跡データについて、先頭の移動軌跡点からの相対的な回転角度rと重心からの距離dとを使って直交座標系から球(円)座標系へ変換してから、上述の手法に従ってインデックスを作成することになる。そして、それに合わせて、クエリλq についても、先頭の移動軌跡点からの相対的な回転角度rと重心からの距離dとを使って直交座標系から球(円)座標系へ変換することになる。
【0111】
このようにして、球(円)座標系へ変換するようにすると、直交座標系を用いた類似度計算では「形状が近い」ことを検出できないケースでも、形状が近いことを検索できるようになる。
【0112】
例えば、図12(a)に示すように、
C1=〈(1,1),(2,2),(3,3)〉
C2=〈(8,6),(9,7),(10,6)〉
という2つの移動軌跡データは直交座標系では全く異なるものとして判断されることになるが、先頭の移動軌跡点からの相対的な回転角度rと重心からの距離dとを使って直交座標系から円座標系へ変換すると、C1,C2とも、図12(b)に示すように同じものとして表現されることになるので、直交座標系を用いた類似度計算では「形状が近い」ことを検出できないケースでも、形状が近いことを検索できるようになるのである。
【0113】
座標系として球(円)座標系を用いる場合にあって、上述した構成では、角度rを各m個の移動軌跡データの先頭のデータからの相対的な角度として表すことで、回転すると一致するような形状の移動軌跡データを検索できるようにするという構成を採ったが、さらに、重心から先頭データまでの距離d0を1として、各点までの重心からの距離を相対的な距離で表すようにすると、引き伸ばされた線分や縮小された線分についても、類似しているかどうかをチェックすることができるようになる。
【0114】
図示実施形態例に従って本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0115】
例えば、実施形態例では、移動軌跡データとして2次元平面上のデータを扱っているが、本発明では、3次元空間上あるいはそれ以上の多次元空間内の移動軌跡データに対してもそのまま適用できるものである。この場合、移動軌跡データの各ポイントの座標を表すデータの個数がn次元空間内のデータである場合にはn個になる。
【0116】
また、実施形態例では、移動物体の移動軌跡データを想定したが、本発明の取り扱う移動軌跡データは、移動する物体の移動軌跡データに限られるものではなく、複数のパラメータが連動して時間軸に沿って変化するような移動軌跡データに対してもそのまま適用できるものである。例えば、学生の身長、体重、胸囲、座高の4パラメータを各年に測定したケースでは、これらの4パラメータを軸とする四次元空間内の移動軌跡データとして扱うことができる。
【0117】
また、実施形態例では、移動軌跡データを時間や距離で正規化したもの処理対象としているが、そのような正規化を行わずに、10個なら10個という移動軌跡点で構成される移動軌跡データを処理対象とすることでもよい。
【0118】
【発明の効果】
空間上を移動する物体の移動軌跡などを、物体の識別子と時刻と空間上の座標(点データ)との組として記録したものを移動軌跡データと呼ぶ。
【0119】
移動軌跡データは、一般には連続でない時系列に沿った離散的な点データ列である。移動軌跡データに含まれる点データ列を点データの時刻順に結んだものは、空間上では有限の長さを持ち向きがある線分になる。このような移動軌跡データを蓄積し検索する機能を有するデータベースシステムを、移動軌跡データベースシステムと呼ぶ。
【0120】
本発明では、このような移動軌跡データベースシステムに対してクエリとなる移動軌跡データを与えると、移動軌跡データベースシステムがR−Tree などで生成されたインデックスおよび次元圧縮方式を用いた圧縮方式を利用することで形状を比較すべき移動軌跡データの総数を削減しつつ、指定されたクエリと空間上での形状が似ている移動軌跡データを少ない比較回数で検索することを実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具備するデータベースシステムの全体構成図である。
【図2】移動軌跡データの一例を示す図である。
【図3】連続な線分である移動軌跡データの作成方法の説明図である。
【図4】時間正規化済み移動軌跡データの説明図である。
【図5】距離正規化済み移動軌跡データの説明図である。
【図6】次元圧縮手法PAAによる検索処理の説明図である。
【図7】次元圧縮手法PAAによる検索処理の説明図である。
【図8】本発明によるインデックスの作成方法の説明図である。
【図9】データ管理部により実行されるインデックス作成処理の処理フローである。
【図10】検索部により実行される移動軌跡データの検索処理の処理フローである。
【図11】座標系として極座標系を用いる場合の説明図である。
【図12】座標系として極座標系を用いる場合の説明図である。
【符号の説明】
1 データベースシステム
10 入力部
11 データ管理部
12 検索部
13 蓄積部

Claims (11)

  1. データベースに格納される移動軌跡データの検索に用いられるインデックスを生成する移動軌跡データ検索用インデックス生成装置であって、
    移動軌跡データから連続する規定個数の移動軌跡点の組を順次抽出する手段と、
    上記抽出した移動軌跡点の組ごとに、それらの移動軌跡点の重心を求めて、それらの移動軌跡点の座標値を、その重心を原点とし、それらの移動軌跡点の中に含まれる所定の移動軌跡点を角度基準とする極座標系の座標値に変換して、その変換した各座標値の平均値を算出する手段と、
    上記算出した平均値を上記極座標系の空間上にプロットする手段と、
    上記プロットした点の分布に基づいて、上記極座標系の空間を分割することでインデックスを生成する手段とを備えることを、
    特徴とする移動軌跡データ検索用インデックス生成装置。
  2. 請求項1に記載の移動軌跡データ検索用インデックス生成装置において、
    上記算出する手段は、上記座標値を構成する極座標系原点からの距離として、特定の移動軌跡点の極座標系原点からの距離を規定の値に正規化した相対的なものを用いることを、
    特徴とする移動軌跡データ検索用インデックス生成装置。
  3. データベースに格納される移動軌跡データを検索する移動軌跡データ検索装置であって、
    検索対象となる移動軌跡データの持つ移動軌跡点の各座標値の平均値の分布に基づいて生成されたインデックスであって、その平均値の算出対象となる移動軌跡点の重心を原点とし、それらの移動軌跡点の中に含まれる所定の移動軌跡点を角度基準とする極座標系の座標平均値の分布に基づいて生成されたインデックスを保持する手段と、
    上記極座標系に従って、検索要求の移動軌跡データの持つ移動軌跡点の各座標値の平均値を算出する手段と、
    上記算出した平均値と上記インデックスとに基づいて、平均値の差分値が規定値以下となる移動軌跡データを特定することで、検索要求の移動軌跡データに類似する移動軌跡データを特定する手段と、
    上記特定した移動軌跡データと検索要求の移動軌跡データとの類似度を評価することで、上記特定した移動軌跡データの中から、検索要求の移動軌跡データに類似するものを検索する手段とを備えることを、
    特徴とする移動軌跡データ検索装置。
  4. 請求項3に記載の移動軌跡データ検索装置において、
    上記保持する手段は、特定の移動軌跡点の極座標系原点からの距離を規定の値に正規化することで算出される極座標系原点からの距離の平均値の分布に基づいて生成されたインデックスを保持することを、
    特徴とする移動軌跡データ検索装置。
  5. 請求項3又は4に記載の移動軌跡データ検索装置において、
    上記検索する手段は、検索要求で時刻条件及び/又は距離条件が指定される場合には、検索要求の移動軌跡データに類似するものとして検索した移動軌跡データの中から、その指定される条件を充足するものを検索することを、
    特徴とする移動軌跡データ検索装置。
  6. 抽出手段と算出手段とプロット手段と生成手段とを備えて、データベースに格納される移動軌跡データの検索に用いられるインデックスを生成してメモリ域に保持させるという処理を行う移動軌跡データ検索用インデックス生成装置で実行される移動軌跡データ検索用インデックス生成方法であって、
    上記抽出手段が、移動軌跡データから連続する規定個数の移動軌跡点の組を順次抽出し、
    上記算出手段が、上記抽出した移動軌跡点の組ごとに、それらの移動軌跡点の重心を求 めて、それらの移動軌跡点の座標値を、その重心を原点とし、それらの移動軌跡点の中に含まれる所定の移動軌跡点を角度基準とする極座標系の座標値に変換して、その変換した各座標値の平均値を算出し、
    上記プロット手段が、上記算出した平均値を上記極座標系の空間上にプロットし、
    上記生成手段が、上記プロットした点の分布に基づいて、上記極座標系の空間を分割することでインデックスを生成することを、
    特徴とする移動軌跡データ検索用インデックス生成方法。
  7. 読出手段と算出手段と特定手段と検索手段とを備えて、データベースに格納される移動軌跡データを検索するという処理を行う移動軌跡データ検索装置で実行される移動軌跡データ検索方法であって、
    上記読出手段が、検索対象となる移動軌跡データの持つ移動軌跡点の各座標値の平均値の分布に基づいて生成されたインデックスであって、その平均値の算出対象となる移動軌跡点の重心を原点とし、それらの移動軌跡点の中に含まれる所定の移動軌跡点を角度基準とする極座標系の座標平均値の分布に基づいて生成されたインデックスを保持する手段から、そのインデックスを読み出し、
    上記算出手段が、上記極座標系に従って、検索要求の移動軌跡データの持つ移動軌跡点の各座標値の平均値を算出し、
    上記特定手段が、上記算出した平均値と上記読み出したインデックスとに基づいて、平均値の差分値が規定値以下となる移動軌跡データを特定することで、検索要求の移動軌跡データに類似する移動軌跡データを特定し、
    上記検索手段が、上記特定した移動軌跡データと検索要求の移動軌跡データとの類似度を評価することで、上記特定した移動軌跡データの中から、検索要求の移動軌跡データに類似するものを検索することを、
    特徴とする移動軌跡データ検索方法。
  8. データベースに格納される移動軌跡データの検索に用いられるインデックスを生成する移動軌跡データ検索用インデックス生成装置の実現に用いられる移動軌跡データ検索用インデックス生成プログラムであって、
    移動軌跡データから連続する規定個数の移動軌跡点の組を順次抽出する手段と、
    上記抽出した移動軌跡点の組ごとに、それらの移動軌跡点の重心を求めて、それらの移動軌跡点の座標値を、その重心を原点とし、それらの移動軌跡点の中に含まれる所定の移動軌跡点を角度基準とする極座標系の座標値に変換して、その変換した各座標値の平均値を算出する手段と、
    上記算出した平均値を上記極座標系の空間上にプロットする手段と、
    上記プロットした点の分布に基づいて、上記極座標系の空間を分割することでインデックスを生成する手段として、コンピュータを機能させるための移動軌跡データ検索用インデックス生成プログラム。
  9. データベースに格納される移動軌跡データを検索する移動軌跡データ検索装置の実現に用いられる移動軌跡データ検索プログラムであって、
    検索対象となる移動軌跡データの持つ移動軌跡点の各座標値の平均値の分布に基づいて生成されたインデックスであって、その平均値の算出対象となる移動軌跡点の重心を原点とし、それらの移動軌跡点の中に含まれる所定の移動軌跡点を角度基準とする極座標系の座標平均値の分布に基づいて生成されたインデックスを保持する手段から、インデックスを読み出す手段と、
    上記極座標系に従って、検索要求の移動軌跡データの持つ移動軌跡点の各座標値の平均値を算出する手段と、
    上記算出した平均値と上記読み出したインデックスとに基づいて、平均値の差分値が規定値以下となる移動軌跡データを特定することで、検索要求の移動軌跡データに類似する移動軌跡データを特定する手段と、
    上記特定した移動軌跡データと検索要求の移動軌跡データとの類似度を評価することで、上記特定した移動軌跡データの中から、検索要求の移動軌跡データに類似するものを検索する手段として、コンピュータを機能させるための移動軌跡データ検索プログラム。
  10. 請求項8に記載の移動軌跡データ検索用インデックス生成プログラムを記録した記録媒体。
  11. 請求項9に記載の移動軌跡データ検索プログラムを記録した記録媒体。
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