JP3983595B2 - 燃焼装置用送風路の整流構造 - Google Patents

燃焼装置用送風路の整流構造 Download PDF

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は燃焼装置用送風路の整流構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃焼量が大きいボイラの燃焼装置等では、燃焼用空気を供給する送風機を設けておき、燃焼用空気をバーナへ押し込みながら燃焼を行う。バーナと送風機の間は送風路で接続しておき、送風機からの燃焼用空気は送風路を通してバーナへ送る。燃焼量を増減する燃焼装置の場合、燃料供給量を調節するとともに燃焼用空気の供給量も調節する必要があり、送風路の途中に回転ダンパを設けておき、ダンパの開度を変更することで燃焼用空気供給量の調節を行っている。
【0003】
送風路内のダンパは、燃焼用空気流に対して斜めに配置している回転羽根と回転羽根を回転させる回転軸からなる。回転軸の回転によって回転羽根の角度を変更することで、回転羽根先端と送風路壁面の間にできる開口部の面積を変化させて、開口部を通過する燃焼用空気量を調節する。ダンパは、回転羽根の中心に回転軸を設け、回転軸は送風路の中心に設けることで送風路の中心に設けておき、回転羽根先端と送風路壁面の間にできるダンパ開口部の面積を左右で等しくしている。しかし、燃焼用空気流は回転羽根の表面に沿って流れるため、先端が下流側となる回転羽根の開口部に多くの燃焼用空気が流れ、先端が上流側となる回転羽根の開口部を通る燃焼用空気量は少なくなり、ダンパの下流側では偏流が発生する。
【0004】
図4は送風路1を通して燃焼用空気の供給を行い、送風路1内のダンパ2で燃焼用空気供給量の調節を行っているボイラであり、図5は図4のB−B断面図である。図5に記載しているように、ダンパ2部分を通過する燃焼用空気は、回転羽根3の表面に沿って流れるため、燃焼用空気の多くが流れ方向に対して右側の開口部を通過し、送風路1内のダンパ2の下流で燃焼用空気流に偏流が発生する。送風路1の先端は、下向きに延びる円筒形の燃焼筒7と直角に接続しているため、燃焼用空気は燃焼筒7内に入って下向きの流れとなる。この時、図5に記載のように、燃焼筒7内へ入る燃焼用空気流に偏流が発生していると、流れ方向に対して右側の流速が速い燃焼用空気流は燃焼筒7の内周に沿って回転するため、燃焼筒7内で燃焼用空気流は左旋回することになる。送風路1から燃焼筒7内に入る燃焼用空気流の上下で偏流が発生していても、燃焼用空気流が直角に折れ曲がることで燃焼用空気流の上下における偏流は小さくなるが、燃焼用空気流の左右で偏流が発生していた場合には、燃焼筒7内で旋回流となり、旋回流は燃焼筒7の先端まで達するため、偏流が残っている燃焼用空気で燃焼を行うことになる。
【0005】
偏流が発生している燃焼用空気で燃焼を行うと、火炎内に空気の過不足が生じ、火炎のはくり、振動燃焼の発生、CO発生量の増大、ススの発生などの不具合が発生することがある。そのため、バーナの手前にウインドボックスを設けておき、ウインドボックスで燃焼用空気を整流することで燃焼用空気の偏流による不具合を防止している。しかし大容量のウインドボックスがあると、燃焼装置を小型化することができないため、ウインドボックスを使用せずに燃焼用空気流の偏流を防止することが望まれていった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、ダンパ下流側に発生する燃焼用空気流の偏流を小さなスペースで整流することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、火炎の燃焼を行うバーナ、バーナへ供給する燃焼用空気を加圧する送風機、送風機とバーナの間をつなぐ送風路を持った燃焼装置であって、送風路内に回転軸と回転羽根からなるダンパを設けておき、回転羽根の角度を変更することで回転羽根先端と送風路壁面の間にできるダンパ開口部の面積を変更し、バーナへ送る燃焼用空気供給量を調節している燃焼装置において、ダンパよりも下流側の送風路内に、送風路の流路断面積をダンパ回転軸の長さ方向で縮小する流路制限部材を設け、流路制限部材は送風路内の流路断面積を送風路の下流側へ向かって先細りにする傾斜面を有する略三角柱形状であって、流路制限部材の送風路下流側傾斜面の傾斜角よりも送風路上流側傾斜面の傾斜角を小さくしていることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明を実施しているボイラの概要図、図2は図1のA−A断面図、図3は流路制限部材部分における燃焼用空気流の説明図である。ボイラは中央に燃焼室を設けており、燃焼室上部に下向きの火炎を発生するバーナ6を設ける。バーナ6へ燃焼用空気を送る送風機(図示せず)を設け、送風機とバーナ6の間を送風路1と燃焼筒7でつなぐ。送風路1は上下左右の4壁面からなる流路断面が四角形の通路であり、垂直に設置している円筒形の燃焼筒7と直角に接続している。
【0012】
送風路1内には、回転羽根3と回転軸4を持つダンパ2を設ける。回転軸4は回転羽根3の中心に設け、回転軸4は送風路1の中心に設けることで、回転羽根3の中心が送風路1の中心になるように配置する。送風路1の上側壁面外側にダンパモータ9を設置し、回転軸4は送風路1の上側壁面を貫通させてダンパモータ9と接続する。送風路1内であって、ダンパ2の下流側に、三角柱形状の流路制限部材5を設ける。流路制限部材5は、峰の部分が送風路1の下側壁面と平行になるように、送風路下側壁面上に配置しており、流路制限部材5の長さは送風路左右壁面間の距離とほぼ同じ長さであって、送風路1の流路下方をふさぐものである。送風路1内の流路を流路制限部材5によってふさぐことで、横長な長方形の流路縮小開口部10ができ、燃焼用空気は流路縮小開口部10に集合して通過するようになる。流路制限部材5の峰部分から送風路下側壁面に向けて延びる2枚の傾斜面は、送風路下流側面の面よりも送風路上流側面の傾斜面の方が傾斜角が小さくなるようにしておく。
【0013】
バーナ6には燃焼筒7と燃焼筒7の中心に配置したガス配管8を設けており、バーナ6は、ガス配管8を通して供給した燃料ガスと燃焼筒7を通して供給した燃焼用空気を混合して燃焼を行う。バーナ6の燃焼量は、バーナ6へ供給する燃料ガス量と燃焼用空気量を変更することで調節する。ダンパ2は燃焼用空気供給量を調節するためのものであり、バーナ6の燃焼量に合わせてダンパーモータ9の作動を行い、ダンパーモータ9が回転軸4を回転させることで回転羽根3の開度を変更する。燃焼量が大きな場合には、回転羽根3の先端と送風路左右壁面との間にできる縦長のダンパ開口部が大きくなるように回転羽根3を動かし、燃焼量が小さな場合には、ダンパ開口部が小さくなるように回転羽根3を動かす。ダンパ開口部を大きくすると、ダンパ2部分を通過する燃焼用空気量が多くなり、ダンパ開度部を小さくすると、ダンパ2部分を通過する燃焼用空気量が少なくなる。
【0014】
回転羽根3を燃焼用空気に対して斜めにしている状態で、送風路1内に燃焼用空気を送ると、燃焼用空気は回転羽根3に沿って流れるため、送風路1の上流側に位置している回転羽根3先端と送風路左側壁面の間にできる開口部を通過する空気量よりも、送風路1の下流側に位置している回転羽根3先端と送風路右側壁面の間にできる開口部を通過する空気量の方が多くなる。この場合、ダンパ左右の開口部面積は同じであって、燃焼用空気の通過量は流れ方向に対して右側の開口部の方が多いため、燃焼用空気の流速は右側の方が速くなる。
【0015】
送風路1内に流路制限部材5を設けておくと、流路制限部材5部分に達した燃焼用空気は、流路制限部材5に沿って流れて流路縮小開口部10へ向かう。ダンパ2から流路制限部材5までの間は、流れ方向に対して右側部分に燃焼用空気が多く流れていたが、縦長のダンパ開口部を通過した縦長の燃焼用空気流を、横長の流路縮小開口部10を通過させることで横長の燃焼用空気流に再構成することにより、流れ方向の左右で発生していた燃焼用空気流の偏流はなくなる。
【0016】
流路制限部材5は、送風路上流側の下側壁面から流路縮小開口部10部分へ向けて緩やかな傾斜を設けているため、流路縮小開口部10における圧力損失は低く抑えることができる。流路縮小開口部10を通過した燃焼用空気流は、送風路1の先に接続している燃焼筒7内へ入り、燃焼筒7内で下向きの流れとなる。燃焼用空気流が燃焼筒7内に入る際、送風路1内の左右で流速が大きく異なっていると、燃焼用空気流は燃焼筒7内で旋回することになっていたが、左右の流速差を小さくしておくと、燃焼筒7内では左右両側の燃焼用空気流で旋回する力を互いに打ち消し合うため、旋回せずに下向きの流れとなる。燃焼筒7での燃焼用空気の旋回がなくなると、燃焼筒7の先端から吹き出す燃焼用空気流の偏流がなくなるため、燃焼用空気流の偏流によって発生していた燃焼の不具合はなくなる。
【0017】
この時、送風路1から燃焼筒7に入る燃焼用空気流の内周側となる送風路壁面に流路制限部材5を設けておくと、燃焼用空気流は大回りしながら燃焼筒7内に入るため、燃焼筒7内の偏流をより少なくすることができる。本実施例の場合、燃焼用空気は燃焼筒7内を下向きに流れるため、送風路1の下側壁面が燃焼用空気流の内周側となる。本実施例では、流路制限部材5は送風路下側壁面に設けているが、燃焼用空気流内周側に流路制限部材5を設けなくても燃焼筒7内に偏流が発生しない場合には、流路制限部材5の設置位置を送風路下側壁面に定める理由がなくなる。流路制限部材5は、送風路1内において、ダンパ2の回転軸4の長さ方向で縮小した流路縮小開口部10を設けることが目的であるため、流路制限部材5の位置は自由に決めることができ、送風路上側壁面のみに流路制限部材5を設けたり、送風路上下の2壁面に流路制限部材5を設けるようにしてもよい。
【0018】
流路縮小開口部10の面積が同じであれば、流路制限部材5を上側壁面または下側壁面の一方に設ける場合より、上下の2壁面に流路制限部材5を設けて流路縮小開口部10を送風路1の中央部に設けた方が、各流路制限部材5の高さを短くすることができる。流路制限部材5を分散して各流路制限部材5の高さを低くすれば、流路縮小開口部10における圧力損失を少なくすることができる。なお、流路制限部材5の分散によって、圧力損失が十分に低くすることができているのであれば、流路制限部材5の傾斜は不要となる。
【0019】
また、流路制限部材5はバーナ6に発生した燃焼振動等の圧力変動が拡大することを防止する効果を得ることもできる。バーナ6で圧力変動が発生した場合、圧力変動は燃焼用空気流と逆方向に波及していくが、送風路1に流路制限部材5を設けておくと、流路制限部材5によって圧力の波及をとめることができる。なお、流路制限部材5の下流側壁面は、垂直または大きな傾斜角にしておく方が圧力の波及をくい止める効果が大きくなるため、流路制限部材5は下流側壁面は上流側壁面より傾斜角を大きくしておく方がよい。
【0020】
【発明の効果】
本発明を実施することで、ダンパ下流に発生する燃焼用空気流の偏流による燃焼の不具合をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施しているボイラの概要図
【図2】 図1のA−A断面図
【図3】 流路制限部材部分における燃焼用空気流の説明図
【図4】 従来のボイラの概要図
【図5】 図4のB−B断面図
【符号の説明】
1 送風路
2 ダンパ
3 回転羽根
4 回転軸
5 流路制限部材
6 バーナ
7 燃焼筒
8 ガス配管
9 ダンパーモータ
10 流路縮小開口部

Claims (1)

  1. 火炎の燃焼を行うバーナ、バーナへ供給する燃焼用空気を加圧する送風機、送風機とバーナの間をつなぐ送風路を持った燃焼装置であって、送風路内に回転軸と回転羽根からなるダンパを設けておき、回転羽根の角度を変更することで回転羽根先端と送風路壁面の間にできるダンパ開口部の面積を変更し、バーナへ送る燃焼用空気供給量を調節している燃焼装置において、ダンパよりも下流側の送風路内に、送風路の流路断面積をダンパ回転軸の長さ方向で縮小する流路制限部材を設け、流路制限部材は送風路内の流路断面積を送風路の下流側へ向かって先細りにする傾斜面を有する略三角柱形状であって、流路制限部材の送風路下流側傾斜面の傾斜角よりも送風路上流側傾斜面の傾斜角を小さくしていることを特徴とする燃焼装置用送風路の整流構造。
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