JP3978996B2 - 撮像装置及び撮像処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮像装置に関し、特に、撮影時の構図調整などに用いられる小型の表示デバイスを備えた撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、ディジタルカメラやディジタルビデオカメラに代表される撮像装置が普及している。これら撮像装置の多くは、カラーのイメージセンサを備えており、イメージセンサで撮像された静止画又は動画像をディジタル画像信号に変換して、フラッシュメモリや磁気テープデバイス等の記録媒体に記録保持させたり、その記録データをパーソナルコンピュータ等の画像処理装置に取り込んだりして、画像の閲覧や画像の加工などを自在に行うことができることから、銀塩カメラにない高い利便性と可用性を持っている。
【0003】
ところで、こうした撮像装置は、一部の廉価製品を除き、小型の表示デバイスを備えており、この表示デバイスを用いて撮影時の構図調整や撮影済み画像の確認を行えるようになっている。たとえば、カメラボディに小型(1.5型や2型程度)の液晶ディスプレイを装備したディジタルカメラの場合、撮影中のスルー画像を液晶ディスプレイに表示させて、その画像表示をファインダー代わりに使用することにより、構図調整を行うことができるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような小型の表示デバイスを備えた撮像装置にあっては、その表示デバイスの表示パラメータ(輝度レベルやコントラストレベル及びカラーレベルなど)が、小型の画像表示に適したもっぱら見栄え重視の設定に固定されているため、たとえば、その表示画像を見ながら、露出やホワイトバランスなどを手動で調節しようとした場合、実際に目に見える被写体像との違いが大きすぎるために、誤った調節を行ってしまうという問題点があった。
【0005】
なお、見栄え重視の設定にする理由は、次のとおりである。すなわち、小型の表示デバイスの場合、その表示面積の小ささより、仮に、実際に目に見える被写体像に近い再現性のよい表示パラメータに設定したとしても、人間の目には階調や色の違いを判別しにくいために、むしろ画質が悪いと感じられる傾向があるからであり、意図的に階調や発色を強調しなければ、ユーザに画質の良さを訴えかけることができないからである。したがって、多くの撮像装置メーカでは、自社製品の市場での優位性を確保するために、そして、店頭などでの表示デバイスの画質比較に耐え得るようにするために、階調や発色を意図的に強調し、見た目重視の設定にせざるを得ないからである。
【0006】
そこで、本発明は、小型の表示デバイスを備えた撮像装置において、店頭などにおける表示デバイスの画質比較に十分に耐え得るようにするとともに、且つ、実際に目に見える被写体像に近い再現性のよい画像表示も可能とし、以て、再現性のよい画像表示を用いることにより、露出やホワイトバランスなどの手動調節を適正に行えるようにした撮像装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、被写体の画像信号を生成するイメージセンサ及び該画像信号を表示する表示デバイスを備えた撮像装置において、前記表示デバイスに表示する画像の画質を変化させるパラメータを撮影モードに応じて切り替えるパラメータ切り替え手段を有し、該パラメータ切り替え手段は、少なくとも、前記表示デバイスに表示する画像の見栄え重視の第1パラメータと、当該画像の再現性重視の第2パラメータとに切り替え可能に構成されているとともに、当該撮像装置の撮影条件を手動調節する際には、前記第2パラメータに切り替えることを特徴とする。
本発明では、表示デバイスに表示する画像の画質を左右するパラメータが、少なくとも、見栄え重視または再現性重視のいずれかに切り替えられる。そして、前記パラメータ切り替え手段は、前記撮像装置の撮影条件を手動調節する際に、前記第2パラメータに切り替える。
この態様では、露出やホワイトバランスなどの手動調節を行う際に、その確認に適した再現性のよい画像が表示デバイスに表示される。
又は、本発明の好ましい態様は、前記パラメータ切り替え手段は、ストロボの発光を伴う撮影モードの際に、前記第1パラメータに切り替え、ストロボの発光を伴わない撮影モードの際に、前記第2パラメータに切り替えることを特徴とする。
又は、本発明の好ましい態様は、前記パラメータ切り替え手段は、前記表示デバイスの動作パラメータを切り替えることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、ディジタルカメラを例にして、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明における様々な細部の特定ないし実例および数値や文字列その他の記号の例示は、本発明の思想を明瞭にするための、あくまでも参考であって、それらのすべてまたは一部によって本発明の思想が限定されないことは明らかである。また、周知の手法、周知の手順、周知のアーキテクチャおよび周知の回路構成等(以下「周知事項」)についてはその細部にわたる説明を避けるが、これも説明を簡潔にするためであって、これら周知事項のすべてまたは一部を意図的に排除するものではない。かかる周知事項は本発明の出願時点で当業者の知り得るところであるので、以下の説明に当然含まれている。
【0009】
図1は、ディジタルカメラ1(発明の要旨に記載の撮像装置に相当)の背面斜視図である。図示のディジタルカメラ1は、特に限定しないが、本体部2と、この本体部2に回動可能に取り付けられたカメラ部3とに分かれている。カメラ部3の前面(図面の裏面側)には図示を略した写真レンズが装着されており、写真レンズの後ろにはカメラ部3の内に隠れたイメージセンサ(CCD)が取り付けられている。このイメージセンサは、後述の記録モードの際に、写真レンズから取り込まれた被写体像を映像信号に変換し、画素数に応じた高解像度の周期的な画像信号(フレーム画像信号)を出力するものである。
【0010】
本体部2の裏面には、画像(構図調整のためのスルー画像や記録済みのキャプチャー画像)を表示するためのタッチパネル付小型平面表示装置4が取り付けられているほか、その上面に、半押しで露出固定、全押しで画像のキャプチャを行うシャッターキー5を始めとする各種の操作キー、例えば、プラス方向への選択操作を行うためのプラスキー6、マイナス方向への選択操作を行うためのマイナスキー7、各種システム設定を行うためのメニューキー8、ディジタルカメラ1の電源をオンオフするための電源スイッチ9、タッチパネル付小型平面表示装置4に様々な情報をオーバラップ表示させるためのディスプレイキー10、通常撮影やパノラマ撮影などの記録モードを選択するための記録モードキー11、セルフタイマー機能をオンオフするためのセルフタイマーキー12、ストロボ機能のオンオフや強制発光及び赤目防止機能のオンオフを行うためのストロボモードキー13などが設けられ、さらに、本体部2の裏面に記録モードと再生モードを切替えるためのREC/PLAYキー14が設けられ、且つ、本体部2の側面等の任意位置に外部インターフェース用のコネクタ15が設けられている。
【0011】
図2は、ディジタルカメラ1のブロック図である。図示のディジタルカメラ1は、その機能から、被写体の画像信号を生成する画像生成系16、画像信号を一時的に保存して再生処理やその他の加工処理などに便宜を図る一時保存記憶系17、キャプチャ画像を長期保存する長期保存記憶系18、撮影時の構図確認や再生画像を表示したりする画像表示系19、一時保存記憶系17又は長期保存記憶系18に記憶した画像信号をコネクタ15を介して外部に出力したり外部から取り込んだりする通信系20、長期保存記憶系18に保存する際に画像信号を圧縮処理したり長期保存記憶系18から読み出された画像信号を伸張処理したりする圧縮・伸張処理系21、ディジタルカメラ1の動作全体を制御する制御系22、及び、データ転送系23などに分けることができ、以下、それぞれの系毎に構成を説明する。
【0012】
画像生成系16は、被写体像をイメージセンサで電気信号に変換し、この電気信号から所定周期の画像信号を生成して出力するもので、本実施の形態ではカラーの画像信号を生成しているが、モノクロの画像信号であっても構わない。画像生成系16は、写真レンズや絞り機構を含む光学系28、光学系28を通過した被写体からの光を電気信号に変換して所定周期のフレーム画像信号を出力するイメージセンサ(以下CCD)29、CCD29を駆動するためのドライバ30、CCD29の撮像時間(電子的なシャッタ時間)を制御する信号などの各種タイミング信号を発生するタイミング発生器31、CCD29から出力されたフレーム画像信号をングしてノイズを除去するサンプルホールド回路32、ノイズ除去後のフレーム画像信号をディジタル信号に変換するアナログディジタル変換器33を含み、さらに、アナログディジタル変換器33からの出力を用いて輝度・色差合成信号(以下「YUV信号」ということもある)、すなわち、カラーの画像信号を生成するカラープロセス回路34、及び、このカラープロセス回路34の動作パラメータ(輝度レベルやコントラストレベル及びカラーレベルなど)を設定するパラメータ設定回路35などを含む。カラープロセス回路34及びパラメータ設定回路35は、後述のCPU40とともに、発明の要旨に記載のパラメータ切り替え手段を構成する。
【0013】
一時保存記憶系17は、書き換え可能な記憶媒体(例えば、DRAMやSRAMなどの半導体メモリ)で構成された所定記憶容量のバッファメモリ37を含み、このバッファメモリ37は、少なくとも、データ転送系23を介して画像生成系16から取り込まれた画像信号、又は、データ転送系23を介して通信系20から取り込まれた画像信号、若しくは、データ転送系23を介して長期保存記憶系18から取り込まれた画像信号を展開できる充分な大きさ(記憶容量)のバッファ領域を備える。このバッファ領域は、少なくとも1枚の静止画を一時保存できる程度の大きさを持つが、動画の撮影や再生が可能な場合は、その動画を構成する複数の画像を一時保存できる程度の大きさを持つ。静止画用のバッファ領域と動画用のバッファ領域は一部が重複していても各々が独立していても構わない。
【0014】
長期保存記憶系18は、書き換え可能な不揮発性記憶媒体、例えば、フラッシュメモリ39で構成されており、このフラッシュメモリ39は、圧縮・伸張処理系21で圧縮処理された所定形式の画像ファイル(一般に静止画の場合はJPEG形式の圧縮画像ファイル)を数十ないし数百個記憶できる容量を持つ。なお、フラッシュメモリ39は取り外し可能な形状(例えば、カード型)になっていてもよい。
【0015】
画像表示系19は、画像生成系16から所定周期で出力される画像信号を構図確認のために再生表示(いわゆるスルー画像表示)したり、フラッシュメモリ39に記録済みの画像や通信系20を介して外部から取り込まれた画像を再生表示したりするもので、再生画像の大きさを表示サイズに変換したりするディジタルビデオエンコーダ42、ディジタルビデオエンコーダ42からの出力を画面上に表示するカラーの液晶ディスプレイ43(発明の要旨に記載の表示デバイスに相当)、液晶ディスプレイ43の表示画面上のタッチ座標を検出するタッチパネル44、タッチパネル44の出力信号を所定の形式に変換して制御系22に出力するタッチパネルI/F(インターフェース)45などを含み、液晶ディスプレイ43とタッチパネル44は、図1のタッチパネル付小型平面表示装置4を構成する。
【0016】
通信系20は、外部の画像処理機器(たとえば、パーソナルコンピュータなど)との間で光学通信、無線通信又は有線通信によるデータの授受を行うための通信部46を含む。通信部46の構成はその通信方式に依存し、例えば、公衆電話回線を介して外部の情報処理端末などに接続する場合は、モデムを備えた電話端末相当の構成を有する。
【0017】
圧縮・伸張処理系21は、バッファメモリ37に保存された画像信号を所定のフォーマットで圧縮処理し、また、フラッシュメモリ39に保存された圧縮画像ファイルを同フォーマットで伸張処理する。ちなみに、静止画の場合の圧縮・伸長フォーマット標準はJPEG(Joint Photographic Experts Group)である。
【0018】
制御系22は、所定の制御プログラムを実行してディジタルカメラ1の動作全体を制御するCPU40、及び、シャッターキー5をはじめとする各種キー(図1の符号5〜14参照)の操作に応答して所要のキー操作信号を発生し、そのキー操作信号をCPU40に出力するキー入力部41を含む。
【0019】
データ転送系23は、各系間のデータの流れを調停するビデオトランスファー回路36、及び、各系間を接続するバス(データバス、アドレスバス及びコントロールラインの総称)47を含む。
【0020】
図3は、カラープロセス回路34の構成図、図4は、パラメータ設定回路35の構成図である。図3において、カラープロセス回路34は、アナログディジタル変換器33によってディジタル信号に変換されたカラービデオ信号の輝度成分(Y)と色成分(C)の分離を行うY/C分離部34aと、輝度成分の高周波成分を補って輪郭強調などの画質調整を行う画質調整部34bと、輝度信号の振幅を調整するとともにその輝度信号に応じたコントラスト調整を行うコントラスト調整部34cと、容量結合等によって失われた輝度信号のペデスタル成分(DC成分)を補うペデスタル・クランプ・ブライト調整部34dと、色信号の基準信号(バースト信号)のレベル変化に応じて色信号の利得調整(Auto Color Control)を行うACC部34eと、RGBの色信号バランスを補正するカラーコントロール部34fと、色信号復調キャリア信号の位相を制御するAPC(Auto Phase Control)部34gと、色信号復調キャリア信号を発生するVCO(電圧制御発振器)部34hと、色信号の鮮やかさを調整するティント部34iと、色復調キャリアを用いて色差信号(R−Y,B−Y)やI,Q信号を復調する色復調部34jと、色差信号に輝度信号(Y)を加算してR.G.B信号を発生するRGBマトリクス部34kとを備える。
【0021】
ここで、図示のカラープロセス回路34は、特に限定しないが、ICチップ化された実装部品であり、回路内部の動作パラメータのいくつかを、外部から設定できるようになっている。たとえば、図中に示す“Va”、“Vb”及び“Vc”は、外部パラメータ設定値であり、それぞれ、輝度レベル設定値(Va)、コントラストレベル設定値(Vb)、カラーレベル設定値(Vc)である。
【0022】
図4に示すパラメータ設定回路35は、これらの設定値(Va〜Vc)を生成するための回路である。すなわち、パラメータ設定回路35は、上記設定値ごとのRC積分回路を備えており、固定抵抗35aと容量35bからなる第1の積分回路は、CPU40から出力される輝度レベル制御用周期信号Daの周期長Taに応じた積分電圧を容量35bに蓄積し、その積分電圧を輝度レベル設定値(Va)としてカラープロセス回路34に出力する。また、同様に、固定抵抗35cと容量35dからなる第2の積分回路は、CPU40から出力されるコントラストレベル制御用周期信号Dbの周期長Tbに応じた積分電圧を容量35dに蓄積し、その積分電圧をコントラストレベル設定値(Vb)としてカラープロセス回路34に出力する。さらに、同様に、固定抵抗35eと容量35fからなる第3の積分回路は、CPU40から出力されるカラーレベル制御用周期信号Dcの周期長Tcに応じた積分電圧を容量35fに蓄積し、その積分電圧をカラーレベル設定値(Vc)としてカラープロセス回路34に出力する。
【0023】
このような構成のパラメータ設定回路35によれば、CPU40から出力される各制御用周期信号の周期長を変えることにより、各制御用周期信号の振幅(図では+3V)に近い大きな電圧から、ほぼ0V相当の小さな電圧までの間で積分電圧を無段階に可変設定することができ、カラープロセス回路34の輝度レベル、コントラストレベル及びカラーレベルの各々のパラメータを個別にコントロールすることができる。
【0024】
次に、作用を説明する。
図5は、制御系22で実行される制御プログラムの全体的な概略を示すフローチャートである。このプログラムは、電源を投入したとき(図1の電源スイッチ9をオンにしたとき)に実行を開始し、まず、ステップS1で動作チェックなどの初期設定を行った後、ステップS2でREC/PLAYキー14の設定動作モード(記録モードや再生モード)を判定し、その判定結果に応じた分岐処理(ステップS3の記録モード処理やステップS4の再生モード処理)を実行するという動作を繰り返す。なお、システム設定モードなど他の動作モードもあるが、説明の簡単化のために、ここでは省略する。
【0025】
図6は、記録モード処理プログラムのフローチャートを示す図である。
このフローチャートを開始すると、まず、ステップS11でCCD画像、すなわち、画像生成系16からの画像信号を読み込み、次に、ステップS12で撮影モードがマニュアル撮影モードになっているか否かを判定する。
【0026】
ここで、マニュアル撮影モードとは、露出やホワイトバランスなどをユーザの好みに合わせて手動で調節できるモードである。マニュアル撮影モードに設定されている場合は、ステップS12の判定結果は“YES”となり、そうでない場合、すなわち、露出やホワイトバランスなどを自動で設定するオート撮影モードになっている場合はステップS12の判定結果は“NO”となる。次に、このステップS12の判定結果に応じて、液晶ディスプレイ43に表示するスルー画像の見え方に関する設定値変更を行う。具体的には、オート撮影モードになっている場合は、ステップS13で、スルー画像を表示中の液晶ディスプレイ43の画面(以下「モニタ画面」という。)について、その表示条件(上記の“スルー画像の見え方に関する設定値”のこと。)を“見栄え重視”にする一方、マニュアル撮影モードになっている場合は、ステップS14で、モニタ画面の表示条件を“再現性重視”に設定する。
【0027】
上記の用語(見栄え重視と再現性重視)について、以下のとおり定義する。まず、見栄え重視とは、小さな表示面積の液晶ディスプレイ43に画像を表示したときに、その表示面積の小ささからもたらされる見た目の画質(輝度レベルやコントラストレベル及びカラーレベルなど)の悪さを回避するために、意図的に輝度レベルやコントラストレベル及びカラーレベルなどを強調することをいい、要するに、他のディジタルカメラとの比較に耐えうる良好な画像を得られるような所要の加工を施すことをいう。そのためには、たとえば、多数の被験者から見て良好な画質であると認められるような設定を試行錯誤的に見い出して、それを“見栄え重視”の設定値とすればよい。これに対して、再現性重視とは、実際に目に見える被写体像、たとえば、直視的被写体像や光学的ファインダーを通して見える被写体像にもっとも近い画像のことをいい、上記と同様に、たとえば、多数の被験者から見て実際の被写体像に近い画質であると認められるような設定を試行錯誤的に見い出して、それを“再現性重視”の設定値とすればよい。
【0028】
このように、モニタ画面の表示条件を設定すると、次に、ステップS15で、画像生成系16から読み込んだ画像信号を画像表示系19に表示する。この表示画像はスルー画像であり、且つ、その表示条件は、オート撮影モードであれば “見栄え重視”、マニュアル撮影モードであれば“再現性重視”である。ユーザは、このスルー画像を見ながら構図を調節し、又は、マニュアル撮影モードに設定されている場合は、その“再現性重視”のスルー画像を用いて露出やホワイトバランスなどを調節する。
【0029】
しかる後、ステップS16でシャッターキー5の半押しを検出すると、ステップS17でそのときの被写体の明るさに応じた露出で光学系28の絞り開度を固定し(オート撮影モードの場合である。マニュアル撮影モードの場合はユーザ設定値で固定する。)、ステップS18でシャッターキー5の全押しを検出すると、ステップS19でそのときのCCD画像を圧縮処理してフラッシュメモリ39に記録(キャプチャ)する。
【0030】
上記のとおり、ステップS15で、液晶ディスプレイ43に表示されるスルー画像は、オート撮影モードの場合は“見栄え重視”、マニュアル撮影モードの場合は“再現性重視”であるが、このような表示条件の設定は、以下のようにして行われる。
【0031】
まず、CPU40は、上記のステップS12の判定結果に応じてステップS13又はステップS14のいずれか一方を実行する。ステップS13を実行した場合、CPU40は、パラメータ設定回路35に与える各種制御用周期信号(Da〜Dc)の周期長(Ta〜Tc)の設定値を“見栄え重視”の値(発明の要旨に記載の第1パラメータに相当)にセットする。あるいは、ステップS14を実行した場合、CPU40は、パラメータ設定回路35に与える各種制御用周期信号(Da〜Dc)の周期長(Ta〜Tc)の設定値を“再現性重視”の値(発明の要旨に記載の第2パラメータに相当)にセットする。
【0032】
パラメータ設定回路35は、見栄え重視又は再現性重視にセットされた各種制御用周期信号(Da〜Dc)を受け取り、各信号の周期長(Ta〜Tc)に対応した電位を持つ輝度レベル設定値(Va)、コントラストレベル設定値(Vb)及びカラーレベル設定値(Vc)を生成し、カラープロセス回路34の各部、すなわち、ペデスタル・クランプ・ブライト調整部34d、コントラスト調整部34c及びカラー・コントロール部34fに出力することにより、カラープロセス回路34から取り出されるYUV信号(R・G・B画像信号)の画質を“見栄え重視”又は“再現性重視”に設定する。
【0033】
したがって、以上説明した実施の形態によれば、オート撮影モードの場合には、液晶ディスプレイ43に表示されるスルー画像を“見栄え重視”にすることができ、その表示面積の小ささに関わらず、見た目に良好な画質のスルー画像を表示させて、市場での優位性を確保でき、且つ、店頭などでの他製品との画質比較に耐えうる技術を提供することができるとともに、さらに、マニュアル撮影モードの場合には、液晶ディスプレイ43に表示されるスルー画像を“再現性重視”にすることができるから、露出やホワイトバランスの調節を正確に行うこともできるという従来技術にない特有の効果を得ることができる。もちろんパラメータの設定を“見栄え重視”、“再現性重視”としたがこれに限らず複数の設定されたパラメータ(第3パラメータ、第4パラメータ…というように)を切り換えるようにしても良いことは言うまでもない。
【0034】
また、例えば、ステップS12の判定でストロボ撮影か否かの判定結果を行い、ストロボ撮影(ストロボ発光)なら“YES”となり、ステップS14でモニタ画面を“見栄え重視”の明るい設定にし、ストロボ撮影で無い(ストロボ発光しない)なら“NO”となり、ステップS13でモニタ画面を実際の被写体像に近いような“再現性重視”に設定する。以上のようにすることで、通常ストロボを発光して撮影する場合に暗かったりして被写体が見えにくく構図を決めにくかったが、“見栄え重視”に設定することで被写体が明るく見やすくなり構図を決めることが容易にできる。
さらに、上記実施の形態で、ステップS13で“見栄え重視”やステップS14で“再現性重視”とモニタ画面の表示条件を設定しているが、ステップS15でのスルー表示になった時に、ユーザーが今、どのような表示条件になっているのか一目でわかるようにスルー表示に重ねて文字やマーク、記号などで現在の表示条件を重ねて表示することで使い勝手を向上することができる。
【0035】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、その技術思想の範囲内において、様々な変形例を含むことはもちろんである。
たとえば、設定モードで、スルー画像の画質(見栄え重視/再現性重視)を自由に変更できるようにしておいてもよい。
図7(a)は、設定モード処理プログラムの要部フローチャートを示す図である。この設定モード処理では、ディジタルカメラ1の動作に関する様々な設定値変更、たとえば、記録画像の精細度、オートフォーカスのオンオフ、動画撮影の撮影時間など、そのディジタルカメラ1の仕様に応じた様々な設定値変更を行うが、この変形例では、特に、図中のステップS6に示すように、液晶ディスプレイ43に表示するスルー画像の見え方に関する設定値変更を行うルーチンを有する点に特徴がある。
【0036】
すなわち、このステップS6では、まず、スルー画像を表示中の液晶ディスプレイ43の画面(モニタ画面)について、その表示条件(上記の“スルー画像の見え方に関する設定値”のこと。)の設定変更を行うか否かを判定する(ステップS6a)。この判定は、たとえば、メニューキー8などの押し下げ操作を検出して行ってもよい。この場合、メニューキー8などの押し下げ操作が検出されなければ(判定結果が“NO”)他の設定処理を行うが、メニューキー8などの押し下げ操作が検出されれば(判定結果が“YES”)、所定の設定画面を液晶ディスプレイ43に表示して(ステップS6b)ユーザ選択を待ち、ユーザによって選択された表示条件を保持する(ステップS6c)という流れになる。ここでユーザによって選択される表示条件はもちろん複数可能であり複数保持できる。
【0037】
図7(b)は、ステップS6bで液晶ディスプレイ43に表示する設定画面50の一例である。設定画面50は、所定の操作案内文字列(図では“モニタ画面の表示条件を選択してください”)の表示エリア50aを有するとともに、二つの選択可能なオブジェクト50b、50cを有する。それぞれのオブジェクト50b、50cには、設定可能な表示条件を適切に表したタイトル文字列が与えられており、具体的には、第1のオブジェクト50bには“見栄え重視”というタイトル文字列が、また、第2のオブジェクト50cには“再現性重視”というタイトル文字列が与えられている。
【0038】
ユーザは、液晶ディスプレイ43に表示するスルー画像の見え方について、見栄え重視を希望する場合は、第1のオブジェクト50bを選択(タッチパネル44へのタッチ動作)し、一方、再現性重視を希望する場合は、第2のオブジェクト50cを選択する。CPU40は、第1のオブジェクト50bの選択動作に応答して、パラメータ設定回路35に与える各種制御用周期信号(Da〜Dc)の周期長(Ta〜Tc)の設定値を見栄え重視の値にして保持し、また、第2のオブジェクト50cの選択動作に応答して、パラメータ設定回路35に与える各種制御用周期信号(Da〜Dc)の周期長(Ta〜Tc)の設定値を再現性重視の値にして保持する。
【0039】
したがって、この変形例によれば、設定モードで第1のオブジェクト50bを選択した場合は、それ以降、液晶ディスプレイ43に表示されるスルー画像を“見栄え重視”にすることができ、その表示面積の小ささに関わらず、見た目に良好な画質のスルー画像を表示させて、市場での優位性を確保でき、且つ、店頭などでの他製品との画質比較に耐えうる技術を提供することができる一方、設定モードで第2のオブジェクト50cを選択した場合は、それ以降、液晶ディスプレイ43に表示されるスルー画像を“再現性重視”にすることができ、実際に目に見える被写体像との違いを少なくして違和感をなくすことができるというメリットが得られる。
【0040】
なお、以上の説明では、カラープロセス回路34の動作パラメータを制御することにより、液晶ディスプレイ43に表示するスルー画像の画質を見栄え重視と再現性重視とに切り替えているが、この実施態様に限定されない。要は、最終的にスルー画像の画質が変化すればよく、たとえば、画像表示系19の各部、すなわち、ディジタルビデオエンコーダ42の動作パラメータを変更したり、あるいは、液晶ディスプレイ43の動作パラメータを直接操作したりしてもよい。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、表示デバイスに表示する画像の画質を変化させるパラメータが、少なくとも、見栄え重視または再現性重視のいずれかに切り替えられる。したがって、見栄え重視にした場合は、表示デバイスの店頭などにおける画質比較に十分に耐え得ることができ、また、再現性重視にした場合は、実際に目に見える被写体像に近い画像表示にして、露出やホワイトバランスなどの手動調節を適正に行うことができる。
また、露出やホワイトバランスなどの手動調節を行う際に、その確認に適した再現性のよい画像が表示デバイスに表示される。したがって、再現性の画像を確認しながら、露出やホワイトバランスなどを手動調節することができ、不適切な調節を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディジタルカメラ1の背面斜視図である。
【図2】ディジタルカメラ1のブロック図である。
【図3】カラープロセス回路34の構成図である。
【図4】パラメータ設定回路35の構成図である。
【図5】制御系22で実行される制御プログラムの全体的な概略を示すフローチャートである。
【図6】記録モード処理プログラムのフローチャートを示す図である。
【図7】設定モード処理プログラムの要部フローチャート及び設定画面50の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 ディジタルカメラ(撮像装置)
29 CCD(イメージセンサ)
34 カラープロセス回路(パラメータ切り替え手段)
35 パラメータ設定回路(パラメータ切り替え手段)
40 CPU(パラメータ切り替え手段)
43 液晶ディスプレイ(表示デバイス)
Claims (4)
- 被写体の画像信号を生成するイメージセンサ及び該画像信号を表示する表示デバイスを備えた撮像装置において、
前記表示デバイスに表示する画像の画質を変化させるパラメータを撮影モードに応じて切り替えるパラメータ切り替え手段を有し、
該パラメータ切り替え手段は、少なくとも、前記表示デバイスに表示する画像の見栄え重視の第1パラメータと、当該画像の再現性重視の第2パラメータとに切り替え可能に構成されているとともに、当該撮像装置の撮影条件を手動調節する際には、前記第2パラメータに切り替えることを特徴とする撮像装置。 - 前記パラメータ切り替え手段は、ストロボの発光を伴う撮影モードの際に、前記第1パラメータに切り替え、ストロボの発光を伴わない撮影モードの際に、前記第2パラメータに切り替えることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
- 前記パラメータ切り替え手段は、前記表示デバイスの動作パラメータを切り替えることを特徴とする請求項1または2の何れかに記載の撮像装置。
- 被写体の画像信号を生成するイメージセンサ及び該画像信号を表示する表示デバイスを備えた撮像装置に用いられる撮像処理方法において、
前記表示デバイスに表示する画像の画質を変化させるパラメータを撮影モードに応じて切り替えるパラメータ切り替えステップを有し、
該パラメータ切り替えステップは、少なくとも、前記表示デバイスに表示する画像の見栄え重視の第1パラメータと、当該画像の再現性重視の第2パラメータとに切り替え可能に構成されているとともに、当該撮像装置の撮影条件を手動調節する際には、前記第2パラメータに切り替えることを特徴とする撮像処理方法。
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