JP3977203B2 - 光変調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の高速なディジタル電気信号を時分割多重して光信号を変調するデュオバイナリ変調方式を用いた光変調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
以下の文献1,文献2に開示された技術内容を参考に、デュオバイナリ変調方式を用いた従来の光変調装置について以下に説明する。
【0003】
<文献1>
“The doubinery technique for high−speed data transmission”
IEEE Transaction on Communication & Electronics,Vol.82,1963
【0004】
<文献2>
“Characteristics of Optical Duobinary Signals in Terabit/s Capacity, High−Spectral Efficiency WDM Systems”
IEEE Journal of Lightwave Technology,Vol.16,No5,1998
【0005】
文献1,文献2に詳しく解説されている通り、デュオバイナリ方式は、無線のベースバンド変調方式・パーシャルレスポンス方式として1960年代に検討され、1990年代に入ってからは光変調スペクトルの狭窄化の目的で利用されている。この方式では、2値信号[0/1]を3値信号[0/1/2]に変換することで周波数帯域を圧縮し、受信側の復号器では[0,2]を[0]へ変換し、[1]を[1]へ変換することで、元の2値信号[0/1]を再生する。
【0006】
図7は従来の光変調装置の構成を示す図である。また、図8は従来の光変調装置の動作タイミングを説明するための図である。図7(a)において、101は多重回路、102はプリコーダ、103は符号器、104は増幅器、105は光源、106は光変調器、107は受信側の復号器、108はクロックである。従来の光変調装置は、多重回路101,プリコーダ102,符号器103,増幅器104,光源105および光変調器106から構成されている。
【0007】
次に動作について説明する。
多重回路101は、入力されるデータ速度B/N[bit/sec]のN並列の低速信号(図7(b))をB[bit/sec]の2値信号(図7(c))に多重化する。続いて、ビット間の符号間干渉を低減するための処理をプリコーダ102が2値信号に施すと、符号器103が2値信号を3値信号(図7(d))に変換する。この3値信号は増幅器104で増幅され、増幅器104からの3値信号に応じて光源105の出力光を光変調器106が変調し、受信側へ送信する。受信側では、復号器107が光信号から2値信号を復号する。
【0008】
プリコーダ102を光変調装置に設けているので、後段の符号器103は、[0]を[0]または[2]へ、[1]を[1]へ変換できる。プリコーダ102は、図7(a)に示す通り、EXORゲート102Aと、EXORゲート102Aの出力信号をT(=1/B)[sec]だけ遅延させてEXORゲート102の入力へ再度接続する遅延回路102Bとから構成される。符号器103は、入力信号を2分岐し、2つの信号の遅延時間にT[sec]の差を遅延回路103Aで与えた後、加算回路103Bでアナログ的に加算することで2値信号を3値信号に変換する。符号器103の実際の構成としては、次の2つの構成1,構成2が一般的に行われている。
【0009】
<構成1>
2つのフリップフロップ(DFF)103C,103Dによるシフトレジスタと、加算回路103Bとから構成する方法(図7(e))。
【0010】
<構成2>
1つのフリップフロップ(DFF)103Eの出力にカットオフ周波数B/4[Hz]のローパスフィルタ(LPF)103Fをおいて構成する方法(図7(f))。
【0011】
上記(1),(2)いずれの方法も機能的に同等であり、あるタイミングの入力信号に対して出力信号“1”を2クロックの間引き延ばして“11”とし、入力信号“0”に対して出力信号を2クロックの間“00”とする。符号器103で生成された電気3値信号は、増幅器104,光源105および光変調器106からなるE/O変換部において、光電界強度(位相)が[1(0),1(π),0(位相無)]の3値を持った光の3値信号に変換される。受信側の復号器107では、O/E変換器107Aによって光の3値信号が電気の2値信号に変換される。
【0012】
図8の波形図から分かるように、従来の光変調装置では、プリコーダ102出力信号(図8(b))、符号器103内部のシフトレジスタの出力信号(図8(c))は、いずれも送信信号(図8(a))のデータ速度B[bit/sec]で変化する必要がある。また、光変調器106を駆動するためには符号器103の出力を増幅する必要があり、このことは、電気の3値信号に対する増幅器104を必要とすることである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従来の光変調装置は以上のように構成されているので、多重信号のデータ速度B[bit/sec]で動作可能な高速フリップフロップが必須になってしまうという課題があった。
【0014】
また、従来の光変調装置は、符号器出力を増幅するために、電気の3値信号の増幅器が必須になってしまうという課題があった。
【0015】
特にネットワークの基幹回路を構成する光伝送路では、光伝送速度をできるだけ高速化することがコストメリットにつながるため、前者の課題は、フリップフロップなどの電子デバイスの動作速度が制約となってしまうことを示している。
【0016】
また、後者の課題は、高速・高出力の3値電気信号を増幅する必要があるが、リニアリティを保つことが難しく、光変調装置実現の制約となっている。
【0017】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、フリップフロップなどの電子デバイスの動作速度による制約を受けず、低コストかつ小型化を実現することが可能な光変調装置を提供することを目的とする。
【0018】
また、この発明は、リニアリティを保つことが難しい電気の3値信号用の増幅器を不要とすることが可能な光変調装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る光変調装置は、データ速度B/NのN並列のディジタル信号をそれぞれ多重化し、データ速度B/2の第1の2値信号および第2の2値信号をそれぞれ生成する2系統の2値信号生成手段と、一方の2値信号生成手段で生成された第1の2値信号に対して、他方の2値信号生成手段で生成された第2の2値信号を時間1/Bだけ遅延させるとともに、第2の2値信号のDCレベルをオフセットして、第1の2値信号および第2の2値信号を出力する符号手段と、符号手段から出力された第1の2値信号および第2の2値信号に応じて入力光を変調する光変調手段とを備え、符号手段は、2値信号生成手段で生成された第1の2値信号を時間周期B/2だけ保持する第1のフリップフロップと、2値信号生成手段で生成された第2の2値信号を時間周期B/2だけ保持する第2のフリップフロップと、第1のフリップフロップで保持された第1の2値信号に対して、第2のフリップフロップで保持された第2の2値信号を時間1/Bだけ遅延させる遅延回路と、遅延回路で遅延された第2の2値信号にDCオフセットを与えるDCオフセット回路とから構成され、符号手段から出力された第1の2値信号および第2の2値信号を増幅して光変調手段へ与える第1の増幅器および第2の増幅器を備えるようにしたものである。
【0020】
この発明に係る光変調装置は、データ速度B/NのN並列のディジタル信号をそれぞれ多重化し、データ速度B/2の第1の2値信号および第2の2値信号をそれぞれ生成する2系統の2値信号生成手段と、一方の2値信号生成手段で生成された第1の2値信号に対して、他方の2値信号生成手段で生成された第2の2値信号を時間1/Bだけ遅延させるとともに、第2の2値信号のDCレベルをオフセットして、第1の2値信号および第2の2値信号を出力する符号手段と、符号手段から出力された第1の2値信号および第2の2値信号に応じて入力光を変調する光変調手段とを備え、符号手段は、2値信号生成手段で生成された第1の2値信号を時間周期B/2だけ保持する第1のフリップフロップと、第1のフリップフロップで保持された第1の2値信号に対して、2値信号生成手段で生成された第2の2値信号を時間1/Bだけ遅延させる遅延回路と、遅延回路で遅延された第2の2値信号を時間周期B/2だけ保持する第2のフリップフロップと、第1のフリップフロップに供給するクロックに対して、第2のフリップフロップに供給するクロックをπだけ移相させる位相回路と、第2のフリップフロップで保持された第2の2値信号にDCオフセットを与えるDCオフセット回路とから構成され、符号手段から出力された第1の2値信号および第2の2値信号を増幅して光変調手段へ与える第1の増幅器および第2の増幅器を備えるようにしたものである。
【0021】
この発明に係る光変調装置は、第1の光信号と第2の光信号とに入力光を分岐する光分岐部と、第1の2値信号および第2の2値信号がともに0を示すときに、第1の光信号と第2の光信号とが位相差πを有するように設定されるとともに、第1の2値信号が1を示すときには、第1の光信号、第2の光信号をそれぞれ+π/2,−π/2だけ移相し、第2の2値信号が−1を示すときには、第1の光信号、第2の光信号をそれぞれ−π/2,+π/2だけ移相する位相変調部と、位相変調部からの第1の光信号と第2の光信号とを合流する光合流部とから光変調手段が構成されるようにしたものである。
【0022】
この発明に係る光変調装置は、第1の増幅器および第2の増幅器において、その利得に飽和特性を有するようにしたものである。
【0023】
この発明に係る光変調装置は、第1の増幅器および第2の増幅器において、第1の2値信号および第2の2値信号の振幅レベルをほぼ等しくする自動利得制御機能を有するようにしたものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による光変調装置の構成を示す図である。また、図2は図1中の各部位における信号波形を示す図である。さらに、図3〜図5は2つの制御信号入力端子をもつマッハ=ツェンダ型(以下、MZ型と略す)の光変調器の動作を説明するための図である。図1において、1A,1Bは多重回路(2値信号生成手段)、2はプリコーダ(2値信号生成手段)、3は符号器(符号手段)、4A,4Bは増幅器、5は光源、6はMZ型の光変調器(光変調手段)、8はクロックである。
【0025】
次に動作について説明する。
図1(a)の左側から入力されたN並列の低速信号は、多重回路1A,1Bによって(N/2):1多重され、データ速度B/2[bit/sec]の2系統の信号(第1の2値信号、第2の2値信号)に多重化される。この2系統の信号は、プリコーダ2を構成する第1のEXORゲート(2値信号生成手段)2Aおよび第2のEXORゲート(2値信号生成手段)2Bへ入力され、2系統のB/2[bit/sec]の信号に変換される。
【0026】
プリコーダ2から出力された2系統の2値信号は、後段の符号器3における第1のフリップフロップ3Aおよび第2のフリップフロップ3Bで時間周期B/2[Hz]だけそれぞれ保持され、波形整形される。そして、第1のフリップフロップ3Aから出力された第1の2値信号はそのまま符号器3の外部へ出力され、一方、第2のフリップフロップ3Bから出力された第2の2値信号は、遅延回路3Cにより、第1のフリップフロップ3Aからの信号よりもT(=1/B)[sec]だけ遅延され、さらにDCオフセット回路3Dにより、[1]は[0]に、[0]は[−1]となるようにDCレベルがオフセットされ、符号器3の外部へ出力される。
【0027】
符号器3からの出力は、後段の第1の増幅器4Aおよび第2の増幅器4Bで必要な振幅レベルに増幅される。これらの増幅器4A,4Bの利得に飽和特性を持たせるようにすれば、波形の擾乱を吸収し、最終的な出力波形を整形できる。また、増幅する振幅レベルをほぼ等しくする自動利得制御(Auto Gain Control)機能を増幅器4A,4Bに持たせるようにしても良く、やはり、波形擾乱の吸収、最終出力波形の整形が可能になる。第1の増幅器4Aおよび第2の増幅器4Bで増幅されたこれら2系統の信号は、光源5からの出力光を変調するための変調信号として光変調器6で使用される。このように、電気の2値信号によって光変調器6を駆動するため、リニアリティを保つことが難しい電気の3値信号用の増幅器が不要となり、光変調装置の実現を容易にすることができる。
【0028】
光変調器6は、光源5からの出力光を光分岐部6Aで2つに分岐し、2分岐された光の位相を2系統の信号により位相変調部6B,6Cで変化させた後に、光合流部6Dで光の電界を加算する。光合流部6Dへ入射する2つの光の位相が一致していれば、光変調器6の出力光強度は増大し、2つの光の位相がπ[rad]だけズレていれば、光変調器6の出力光強度がなくなる。つまり、位相変調部6B,6Cでの位相量が0[rad]であれば出力光強度が強く、位相量がπになると弱まり、位相量が2π[rad]になると出力強度が再び強く、位相量がπ[rad]になると弱まり、位相量が2π[rad]になると出力光強度が再び強まる特性が得られる。以下に説明するように、この特性を適用することで、光強度を2値に変調することができる。
【0029】
第1の増幅器4A,第2の増幅器4Bの各出力を[α,β]とすると、この実施の形態1では、α=0または1,β=0または−1となるので(図2参照)、[α,β]の組み合わせは全部で次の4パターンが得られる。
【0030】
[α,β]=[0,0],[1,0],[1,−1],[0,−1]
【0031】
ここで、光変調器6の位相変調部6B,6Cを以下のように設定する。
【0032】
<設定1>
第1の増幅器4Aからの第1の2値信号および第2の増幅器4Bからの第2の2値信号がともに[0]のとき([α,β]=[0,0])、第1の光信号(MZ型の光変調器6の一方のアームを通過する光信号)と第2の光信号(MZ型の光変調器6の他方のアームを通過する光信号)との位相がπ[rad]だけズレるように、つまり第1の光信号の位相がΘ[rad],第2の光信号の位相がΘ+π[rad]となるように調整する。
【0033】
<設定2>
第1の増幅器4Aからα=1の信号が光変調器6へ入力されると、第1の光信号の位相が+π/2[rad]だけ移相し、第2の光信号の位相が−π/2[rad]だけ移相するように調整する。
【0034】
<設定3>
第2の増幅器4Bからβ=−1の信号が光変調器6へ入力されると、第1の光信号の位相が−π/2[rad]だけ移相し、第2の光信号の位相が+π/2[rad]だけ移相するように調整する。
【0035】
上記の設定1〜設定3によって、第1の光信号と第2の光信号との位相差ΔΘ[rad]は以下に示すようになり、高速フリップフロップを要することなく、2値信号を使って、従来と同様の光変調が可能になる。このように、受動部品である光合流部6Dを用いて信号を多重化しているので、高速動作するフリップフロップを不要とすることができる。
【0036】
[α,β]=[0,0]の場合
ΔΘ=(Θ+π)−Θ=π
∴逆相なので光信号の強度0(図3参照)
【0037】
[α,β]=[1,0]の場合
ΔΘ=(Θ+π−π/2)−(Θ+π/2)=0
∴同相なので光信号の強度−Max(ただしMax>0,図4参照)
【0038】
[α,β]=[1,−1]の場合
ΔΘ=(Θ+π−π/2+π/2)−(Θ+π/2−π/2)=π
∴逆相なので光信号の強度0(図3参照)
【0039】
[α,β]=[0,−1]の場合
ΔΘ=(Θ+π+π/2)−(Θ−π/2)=2π
∴同相なので光信号の強度+Max(ただしMax>0,図5参照)
【0040】
図2を用いて、フリップフロップの動作速度がB/2[bit/sec]で十分となる説明を行う。
図2(a)に示した送信信号は、光変調装置が送信すべきデータ速度B[bit/sec]の多重信号を1/0の2値で示したものである。従来の光変調装置(図7)では、この送信信号をプリコーダ102で処理し(図2(b))、B[bit/sec]の信号に変換したのち、2ビットのシフトレジスタへ入力していた。つまり、プリコーダ102およびシフトレジスタはB[bit/sec]での動作が必要となることが分かる。しかしながら、図2中の信号を示すブロック矢印を見れば分かるとおり、プリコーダ102から入力された1クロック幅の信号は、第1のフリップフロップおよび第2のフリップフロップによって2クロックに相当する時間引き伸ばされ、後で加算されていることが理解できる。
【0041】
一方、この実施の形態1による光変調装置のプリコーダ2出力は、もとより2クロック長の時間間隔でトグルされる2系統の信号であり、それを保持するフリップフロップもB/2[bit/sec]で動作することで、従来の技術と同様に、各信号を2クロック幅に引き伸ばすことができる。
【0042】
以上のように、この実施の形態1によれば、データ速度B/NのN並列のディジタル信号をそれぞれ多重化し、データ速度B/2の第1の2値信号および第2の2値信号をそれぞれ生成する2系統の多重回路1A・EXORゲート2Aおよび多重回路1B・EXORゲート2Bと、多重回路1A・EXORゲート2Aで生成された第1の2値信号に対して、多重回路1B・EXORゲート2Bで生成された第2の2値信号を時間T(=1/B)だけ遅延させるとともに、第2の2値信号のDCレベルをオフセットして、第1の2値信号および第2の2値信号を出力する符号器3と、符号器3から出力された第1の2値信号および第2の2値信号に応じて光源5からの入力光を変調する光変調器6とを備えるようにしたので、フリップフロップなどの電子デバイスの動作速度による制約を受けず、低コストかつ小型化を実現できるという効果が得られ、また、リニアリティを保つことが難しい電気の3値信号用の増幅器を用いずに構成できるという効果が得られる。
【0043】
また、この実施の形態1によれば、第1の光信号と第2の光信号とに入力光を分岐する光分岐部6Aと、第1の2値信号および第2の2値信号がともに0を示すときに、第1の光信号と第2の光信号とが位相差πを有するように設定されるとともに、第1の2値信号が1を示すときには、第1の光信号、第2の光信号をそれぞれ+π/2,−π/2だけ移相し、第2の2値信号が−1を示すときには、第1の光信号、第2の光信号をそれぞれ−π/2,+π/2だけ移相する位相変調部6B,6Cと、位相変調部6B,6Cからの第1の光信号と第2の光信号とを合流する光合流部6Dとから光変調器6が構成されるようにしたので、フリップフロップなどの電子デバイスの動作速度による制約を受けず、低コストかつ小型化を実現できるという効果が得られ、また、リニアリティを保つことが難しい電気の3値信号用の増幅器を用いずに構成できるという効果が得られる。
【0044】
さらに、この実施の形態1によれば、第1の2値信号を時間周期B/2だけ保持する第1のフリップフロップ3Aと、第2の2値信号を時間周期B/2だけ保持する第2のフリップフロップ3Bと、第1のフリップフロップ3Aで保持された第1の2値信号に対して、第2のフリップフロップ3Bで保持された第2の2値信号を時間1/Bだけ遅延させる遅延回路3Cと、遅延回路3Cで遅延された第2の2値信号にDCオフセットを与えるDCオフセット回路3Dとから符号器3が構成されるようにしたので、フリップフロップなどの電子デバイスの動作速度による制約を受けず、低コストかつ小型化を実現できるという効果が得られ、また、リニアリティを保つことが難しい電気の3値信号用の増幅器を用いずに構成できるという効果が得られる。
【0045】
さらに、この実施の形態1によれば、符号器3から出力された第1の2値信号および第2の2値信号を増幅して光変調器6へ与える第1の増幅器4Aおよび第2の増幅器4Bを備え、第1の増幅器4Aおよび第2の増幅器4Bは、その利得に飽和特性を有するようにしたので、波形の擾乱を吸収し、最終的な出力波形を整形できるという効果が得られる。
【0046】
さらに、この実施の形態1によれば、符号器3から出力された第1の2値信号および第2の2値信号を増幅して光変調器6へ与える第1の増幅器4Aおよび第2の増幅器4Bを備え、第1の増幅器4Aおよび第2の増幅器4Bは、第1の2値信号および第2の2値信号の振幅レベルをほぼ等しくする自動利得制御機能を有するようにしたので、波形の擾乱を吸収し、最終的な出力波形を整形できるという効果が得られる。
【0047】
実施の形態2.
図6はこの発明の実施の形態2による光変調装置の構成を示す図である。図6では、特に符号器3の構成を中心に表しており、多重回路1A,1B,プリコーダ2の図示を省略している。図1と同一符号は相当する構成を示している。図6において、3Eは遅延回路、3Fは位相回路である。
【0048】
図6では、符号器3から出力される2つの信号をT[sec](=1/B)だけ遅延させるため、第2のフリップフロップ3Bへの入力データを遅延回路3EでT[sec]遅延させ、同時に、クロック8の位相をπ[rad]だけ移相する(クロックタイミングを180度変化させる)ための位相回路3Fを設けた構成になっている。この図6の構成によれば、第1のフリップフロップ3A,第2のフリップフロップ3B,DCオフセット回路3Dを同一ICに集積化する場合、IC内部において遅延回路3Eで遅延させる必要がなくなるため、ICの構成を簡略化できる。
【0049】
以上のように、この実施の形態2によれば、符号器3は、プリコーダ2の第2のEXORゲート2BからのデータをT[sec]遅延させて第2のフリップフロップ3Bへ与える遅延回路3Eと、第2のフリップフロップ3Bに対するクロック8の位相をπ[rad]だけ移相する位相回路3Fとを備えるようにしたので、第1のフリップフロップ3A,第2のフリップフロップ3B,DCオフセット回路3Dを同一ICに集積化する場合、ICの構成を簡略化できるという効果が得られる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、データ速度B/NのN並列のディジタル信号をそれぞれ多重化し、データ速度B/2の第1の2値信号および第2の2値信号をそれぞれ生成する2系統の2値信号生成手段と、一方の2値信号生成手段で生成された第1の2値信号に対して、他方の2値信号生成手段で生成された第2の2値信号を時間1/Bだけ遅延させるとともに、第2の2値信号のDCレベルをオフセットして、第1の2値信号および第2の2値信号を出力する符号手段と、符号手段から出力された第1の2値信号および第2の2値信号に応じて入力光を変調する光変調手段とを備えるようにしたので、フリップフロップなどの電子デバイスの動作速度による制約を受けず、低コストかつ小型化を実現できるという効果が得られ、また、リニアリティを保つことが難しい電気の3値信号用の増幅器を用いずに構成できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による光変調装置の構成を示す図である。
【図2】 図1中の各部位における信号波形を示す図である。
【図3】 2つの制御信号入力端子をもつマッハ=ツェンダ型の光変調器の動作を説明するための図である。
【図4】 2つの制御信号入力端子をもつマッハ=ツェンダ型の光変調器の動作を説明するための図である。
【図5】 2つの制御信号入力端子をもつマッハ=ツェンダ型の光変調器の動作を説明するための図である。
【図6】 この発明の実施の形態2による光変調装置の構成を示す図である。
【図7】 従来の光変調装置の構成を示す図である。
【図8】 従来の光変調装置の動作タイミングを説明するための図である。
【符号の説明】
1A,1B 多重回路(2値信号生成手段)、2 プリコーダ(2値信号生成手段)、2A 第1のEXORゲート(2値信号生成手段)、2B 第2のEXORゲート(2値信号生成手段)、2C 遅延回路、3 符号器(符号手段)、3A 第1のフリップフロップ、3B 第2のフリップフロップ、3C 遅延回路、3D DCオフセット回路、3E 遅延回路、3F 位相回路、4A 第1の増幅器、4B 第2の増幅器、5 光源、6 光変調器(光変調手段)、6A 光分岐部、6B,6C 位相変調部、6D 光合流部、8 クロック。
Claims (5)
- データ速度B/NのN並列のディジタル信号をそれぞれ多重化し、データ速度B/2の第1の2値信号および第2の2値信号をそれぞれ生成する2系統の2値信号生成手段と、
上記一方の2値信号生成手段で生成された上記第1の2値信号に対して、上記他方の2値信号生成手段で生成された上記第2の2値信号を時間1/Bだけ遅延させるとともに、上記第2の2値信号のDCレベルをオフセットして、上記第1の2値信号および上記第2の2値信号を出力する符号手段と、
上記符号手段から出力された上記第1の2値信号および上記第2の2値信号に応じて入力光を変調する光変調手段とを備え、
上記符号手段は、
上記2値信号生成手段で生成された上記第1の2値信号を時間周期B/2だけ保持する第1のフリップフロップと、
上記2値信号生成手段で生成された上記第2の2値信号を時間周期B/2だけ保持する第2のフリップフロップと、
上記第1のフリップフロップで保持された上記第1の2値信号に対して、上記第2のフリップフロップで保持された上記第2の2値信号を時間1/Bだけ遅延させる遅延回路と、
上記遅延回路で遅延された上記第2の2値信号にDCオフセットを与えるDCオフセット回路とから構成され、
上記符号手段から出力された上記第1の2値信号および上記第2の2値信号を増幅して上記光変調手段へ与える第1の増幅器および第2の増幅器を備えることを特徴とする光変調装置。 - データ速度B/NのN並列のディジタル信号をそれぞれ多重化し、データ速度B/2の第1の2値信号および第2の2値信号をそれぞれ生成する2系統の2値信号生成手段と、
上記一方の2値信号生成手段で生成された上記第1の2値信号に対して、上記他方の2値信号生成手段で生成された上記第2の2値信号を時間1/Bだけ遅延させるとともに、上記第2の2値信号のDCレベルをオフセットして、上記第1の2値信号および上記第2の2値信号を出力する符号手段と、
上記符号手段から出力された上記第1の2値信号および上記第2の2値信号に応じて入力光を変調する光変調手段とを備え、
上記符号手段は、
上記2値信号生成手段で生成された第1の2値信号を時間周期B/2だけ保持する第1のフリップフロップと、
上記第1のフリップフロップで保持された上記第1の2値信号に対して、上記2値信号生成手段で生成された上記第2の2値信号を時間1/Bだけ遅延させる遅延回路と、
上記遅延回路で遅延された上記第2の2値信号を時間周期B/2だけ保持する第2のフリップフロップと、
上記第1のフリップフロップに供給するクロックに対して、上記第2のフリップフロップに供給するクロックをπだけ移相させる位相回路と、
上記第2のフリップフロップで保持された上記第2の2値信号にDCオフセットを与えるDCオフセット回路とから構成され、
上記符号手段から出力された上記第1の2値信号および上記第2の2値信号を増幅して上記光変調手段へ与える第1の増幅器および第2の増幅器を備えることを特徴とする光変調装置。 - 光変調手段は、
第1の光信号と第2の光信号とに入力光を分岐する光分岐部と、
第1の2値信号および第2の2値信号がともに0を示すときに、上記第1の光信号と上記第2の光信号とが位相差πを有するように設定されるとともに、上記第1の2値信号が1を示すときには、上記第1の光信号、上記第2の光信号をそれぞれ+π/2,−π/2だけ移相し、上記第2の2値信号が−1を示すときには、上記第1の光信号、上記第2の光信号をそれぞれ−π/2,+π/2だけ移相する位相変調部と、
上記位相変調部からの上記第1の光信号と上記第2の光信号とを合流する光合流部とから構成されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の光変調装置。 - 第1の増幅器および第2の増幅器は、
その利得に飽和特性を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の光変調装置。 - 第1の増幅器および第2の増幅器は、
第1の2値信号および第2の2値信号の振幅レベルをほぼ等しくする自動利得制御機能を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の光変調装置。
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