JP3974931B2 - 部品種決定装置、および部品種決定方法 - Google Patents

部品種決定装置、および部品種決定方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子回路に用いられる部品を決定する際に適用する部品種決定装置、および部品種決定方法に関するものであり、特に部品の要求仕様を満たし、且つ使用される品種が最少となる部品の選択に関する。
電子回路を構成する部品には、電気的特性および部品サイズなど様々な仕様項目が規定されており、電子回路を設計する際には、それら構成部品の各々の仕様項目も考慮して設計が行われる。加えて、市場競争の激しい近年においては、コストの安い部品の選択が求められており、部品コストを安くするには、部品の購入コストだけでなく、その部品を管理するために必要な部品管理コストの削減も大きく影響する。一般的には、汎用部品の使用や使用部品種の削減等を行い、管理する部品の品種数を削減することで、部品管理コストが安くなり、また、多品種を個別に購入するよりも同一品種をまとめて購入することで部品の購入コストも安くなることが知られている。そのため、使用部品の品種を出来るだけ少なくなるように電子回路を設計することが、部品コストを安くするために重要になる。
これまでにも、部品の品種を少なくするための技術として、例えば特許文献1に記載のように、信号波形シミュレーションを用いて、回路に用いられている各ダンピング抵抗の抵抗値の許容範囲をテーブル化し、その結果から抵抗値の種類が最少となる抵抗値の組み合わせを決定する装置および方法がある。
特開2004−227246号公報
しかしながら、上記従来の技術においては、部品の品種を抵抗値の比較により最少とする組み合わせ決定方法だけにとどまっており、回路から要求される部品の各仕様項目の値やそのマージン(余裕)の確保、部品コストの最小化方法にまで至っていない。
本発明の目的は、部品の品種の決定時に、選択する部品の仕様値を電子回路において要求される仕様値と比較したマージン値と、部品の購入や管理のコストも合わせて考慮した部品選択を行う部品種決定装置および方法を提供することにある。
本発明の部品種決定装置は、調達可能な部品に対応した、部品ID、コスト情報および仕様項目毎の仕様値が格納された調達部品データベースと、電子回路を構成する部品に要求される仕様項目毎の要求仕様値が格納された部品仕様要求データベースと、前記部品仕様要求データベースに格納された前記各要求仕様値の最大値および最小値が、前記調達部品データベースに格納されている前記仕様値を包含する全ての部品データの部品IDを調達部品データベースから抽出する要求仕様内部品抽出手段と、前記要求仕様内部品抽出手段により抽出された部品IDの集合である各部品IDリストの中から、組み合わせる部品IDを選択する部品種組合せ手段と、前記調達部品データベースに格納されたコスト情報から、組み合わせ選択された部品ID毎のコストを算出するコスト算出手段と、前記部品仕様要求データベースに格納された部品データ毎に一つ以上の仕様項目を持ち、それぞれの仕様項目毎に最大仕様要求値および最小仕様要求値を格納し、組み合わせ選択された各部品IDの仕様項目毎の要求仕様値の最大値および最小値、各部品IDの仕様値に基づき、部品ID毎、仕様項目毎のマージンを算出するマージン算出手段と、前記コスト算出手段により算出された部品ID毎のコストと、マージン算出手段により算出された部品ID毎、仕様項目毎のマージン値に基づいて、組み合わせ選択された部品ID毎に部品価値を算出し、部品価値の高くなる部品種の組み合わせを選択する部品種決定手段とを含み、前記マージン算出手段は、マージン値をM、部品仕様要求データベースの要求仕様値の最大値をMAX、部品仕様要求データベースの要求仕様値の最小値をMIN、組み合わせ選択された部品IDの仕様値をSとすると、前記マージン値Mを、M=(|(MAX+MIN)/2−S|/((MAX−MIN)/2))によって算出し、前記部品種決定手段は、前記マージン算出手段によって算出された仕様項目毎のマージン値Mの中で最大のマージン値をMP、部品コストをC、最大マージン値MPと部品コストCとの比率の調整係数をw、部品価値をVとしたとき、前記部品価値Vを、V=MP+w×Cによって算出することを備えている。この構成によれば、選択する部品の仕様値と電子回路を構成する部品に要求される各仕様項目の仕様値を比較したマージン値と、部品の購入や管理のコストも合わせて品種を少なくした部品の選択が可能となる。
また、本発明の前記コスト算出手段は、前記調達部品データベースに格納された部品データ毎の購入コストと、前記調達部品データベースのコスト情報から取得した使用数量に応じて算出される管理コストから部品毎に部品コストを算出する手段を含む。この構成によれば、購入コストだけでなく部品毎の管理コストも考慮した部品コストの算出が可能となる。
さらに、本発明の部品種決定手段は、部品種の組み合わせ選択のために算出される部品価値、前記コスト算出手段と前記マージン算出手段との両方あるいはいずれか一方の算出結果に基づいて算出し、コスト算出手段によって算出される部品コストと、マージン算出手段によって算出されるマージンとの比率を調整可能である。この構成によれば、部品種数の削減に加え、部品コストと仕様値のマージンの影響比率も考慮した部品の選択が可能となる。
さらに、本発明の部品種決定装置は、前記部品種決定手段により決定された部品種組み合わせを一覧表示する部品種表示手段を備える。この部品種表示手段に表示された部品種一覧の中から任意の部品種を選択し、さらに選択された部品種がもつ仕様項目のうち任意の仕様項目を選択することにより、該部品種における該仕様項目がもつ仕様値が一致する他部品種リストを表示する代替部品検索手段を備える。さらに前記代替部品検索手段により検索された他部品種リストから部品種を選択することにより、前記部品種表示手段で選択中の部品種と変更する部品種変更手段を備える。この構成により、前記部品種決定手段により決定された部品種組み合わせを、本発明の部品種決定装置で判断しえない設計条件により部品種の変更が必要になった際に、設計条件に合致した部品種組み合わせに、必要に応じて変更することが可能となる。
また、本発明の部品種決定方法では、調達可能な部品に対応した、部品ID、コスト情報および仕様項目毎の仕様値が格納された調達部品データベースと、電子回路を構成する部品に要求される仕様項目毎の要求仕様値が格納された部品仕様要求データベースと、を備え、前記部品仕様要求データベースに格納された前記各要求仕様値の最大値および最小値が、前記調達部品データベースに格納されている前記仕様値を包含する全ての部品データの部品IDを調達部品データベースから抽出する要求仕様内部品抽出ステップと、前記要求仕様内部品抽出ステップにより抽出された部品IDの集合である各部品IDリストの中から、組み合わせる部品IDを選択する部品種組合せステップと、前記調達部品データベースに格納されたコスト情報から、組み合わせ選択された部品ID毎のコストを算出するコスト算出ステップと、前記部品仕様要求データベースに格納された部品データ毎に一つ以上の仕様項目を持ち、それぞれの仕様項目毎に最大仕様要求値および最小仕様要求値を格納し、組み合わせ選択された各部品IDの仕様項目毎の要求仕様値の最大値および最小値、各部品IDの仕様値に基づき、部品ID毎、仕様項目毎のマージンを算出するマージン算出ステップと、前記コスト算出ステップにより算出された部品ID毎のコストと、マージン算出ステップにより算出された部品ID毎、仕様項目毎のマージン値に基づいて、組み合わせ選択された部品ID毎に部品価値を算出し、組み合わせ単位で部品価値を集計し、比較することで最も部品価値の高くなる部品種の組み合わせを選択する部品種決定ステップと、前記部品種決定ステップにより選択された部品種組み合わせの中から任意の部品種を選択し、さらに選択した部品種がもつ仕様項目のうち任意の仕様項目を選択することで、該部品種における該仕様項目がもつ仕様値が一致する他部品種リストを前記調達部品データベースの中から検索する代替部品検索ステップと、検索された他部品種リストの中から部品種を選択することで該部品種を変更する部品種変更ステップとを含み、前記マージン算出ステップでは、マージン値をM、部品仕様要求データベースの要求仕様値の最大値をMAX、部品仕様要求データベースの要求仕様値の最小値をMIN、組み合わせ選択された部品IDの仕様値をSとすると、前記マージン値Mを、M=(|(MAX+MIN)/2−S|/((MAX−MIN)/2))によって算出し、前記部品種決定ステップでは、前記マージン算出手段によって算出された仕様項目毎のマージン値Mの中で最大のマージン値をMP、部品コストをC、最大マージン値MPと部品コストCとの比率の調整係数をw、部品価値をVとしたとき、前記部品価値Vを、V=MP+w×Cによって算出することを有する。
このような構成によって選択する部品の仕様値と電子回路を構成する部品に要求される各仕様項目の仕様値を比較したマージン値と、部品の購入や管理のコストも合わせて考慮した部品の選択が可能となる。
さらに、本発明の部品種決定方法では、前記部品種決定ステップにより選択された部品種組み合わせの中から任意の部品種を選択し、さらに選択した部品種がもつ仕様項目のうち任意の仕様項目を選択することで、該部品種における該仕様項目がもつ仕様値が一致する他部品種リストを前記調達部品データベースの中から検索し、検索された他部品種リストから部品種を選択することで、部品種を変更する部品種変更ステップも有することで、前記部品種決定ステップで決定された部品種を柔軟に変更することができ、その他設計条件に対応した部品種リストを作成することが可能となる。
本発明によれば、電子回路を構成する部品の品種を、部品の要求仕様値を満たしつつ、部品の購入や管理のコストも考慮して部品を選択することで、回路を誤動作させることなく、安価な部品の選択を行うことが可能となる。
以下、図面を用いて本発明の実施の一形態について説明する。図1は、本実施形態の部品種決定装置のシステム構成図である。本実施形態の部品種決定装置は、調達部品データベース1、部品仕様要求データベース2、要求仕様内部品抽出手段3、部品種組合せ手段4、マージン算出手段5、コスト算出手段6、部品種決定手段7、部品種表示手段8、代替部品検索手段9および部品変更手段10を含む。このような部品種決定装置はコンピュータによって実現され、本発明の部品種決定方法を実行する。
本実施形態では、調達部品データベース1に、部品調達が可能な全ての部品に対応する部品IDと、仕様項目毎の仕様値、および調達に関連する情報として基本コスト、過去の実績値を基にした購入および管理コスト情報が、随時更新され格納されている。
部品仕様要求データベース2は、回路設計に必要な部品全てについて、回路が要求する部品の仕様項目毎の要求仕様値が格納され、図2の例に示すように各部品について、一つ以上の仕様項目が格納可能となっている。仕様項目は、必要に応じて要求仕様値の最大値および最小値が格納でき、各要求仕様値の最大値と最小値が等しい場合は、その要求仕様値に対して、ただ一つの値が要求仕様値として要求されていることを、また最大値もしくは最小値のどちらか一方のみが入力されている場合は、その要求仕様値の上限値もしくは下限値のみが要求されていることを、また最大値および最小値とも入力されていない場合は、その仕様項目に対しては仕様要求がなされていないことを表す。例えば図2における“部品1”に対して、仕様項目Aはa1〜a2の範囲、仕様項目Bはb1、仕様項目Cはc1以下が要求仕様値として要求されており、仕様項目Dについては仕様要求が無いことを示している。
要求仕様内部品抽出手段3は、部品仕様要求データベース2に格納されている部品毎に、要求仕様値を満たす部品IDを前記調達部品データベース1から抽出する。調達部品データベース1は図3に示すように、部品調達が可能な全ての部品に対して、部品IDと仕様項目毎の仕様値が格納されているため、要求仕様内部品抽出手段3により、調達部品データベース1から要求仕様値を満たす部品IDを抽出する際、調達部品データベース1に要求仕様値を満たす部品IDが複数存在した場合には、該当する部品IDを全て抽出する。
図4はその抽出結果例を表しており、部品仕様要求データベース2の部品1〜部品6について、該当する全ての部品IDが調達部品データベース1から抽出され、装置上に一時的に記憶される(以降、図4における各部品、例えば部品1について抽出された部品IDである1002、1005、1007の集合を部品IDリスト、各部品IDリストの集合を部品IDリスト群と呼ぶ)。
ここで、部品仕様要求データベース2で指定された部品データの要求仕様値を満たす部品IDが調達部品データベース1に存在しなかった場合は、回路設計者あるいは基板設計者により、回路の設計変更による使用部品の変更や部品の定数変更等を行うことにより要求仕様値を変更、あるいは、調達部品データベース1に存在する部品データに対し、新規部品の追加拡張により、仕様を満たす部品IDを調達部品データベース1に追加することで、要求仕様値を満たす部品IDが抽出されるようにする等の対応が行われる。
部品種組合せ手段4は、要求仕様内部品抽出手段3により抽出された図4に示すような部品IDリスト群の中から、回路設計に必要な部品の品種の全ての組み合わせを順次自動的に選択する。
マージン算出手段5は選択された部品が、部品仕様要求データベース2の要求仕様値に対して、調達部品データベース1の仕様値にどれくらいのマージンがあるのか、各部品IDの仕様項目毎にそれぞれマージンを算出する。
コスト算出手段6は、調達部品データベース1に登録された基本コストと、過去の実績値を基にした購入および管理コスト情報を用いて、部品の組み合わせにより決まる使用数量に応じた部品コスト(C)を算出する。なお、購入および管理コスト情報は、部品毎の使用量変化により、コストの増減比率を過去の実績値を基に定義されているデータである。
部品種決定手段7は、部品種組合せ手段4により選択された部品IDに対して、マージン算出手段5により算出されたマージン値と、コスト算出手段6により算出されたコストから部品価値を算出し、算出した暫定解と新しい組み合わせの部品価値を比較して、部品価値の優れている部品種の組み合わせを新しい暫定解とし、次の組み合わせを選択するため部品種組合せ手段4に戻る。なお、部品種組合せ手段4で他の組み合わせが無く、全ての組み合わせによる確認を終了した場合は、暫定解を最終の部品の組み合わせとして決定する。
部品種表示手段8は、部品種決定手段7が決定した部品種組合せを部品IDリストとして、表示および出力する。
代替部品検索手段9は、まず部品種表示手段8が表示している部品IDリスト内の部品を選択することで、選択された部品(代替部品検索対象部品)がもつ仕様項目リストを調達部品データベース1から取得する。次に、取得された仕様項目リストのうち、任意の仕様項目を指定することで、代替部品検索対象部品の指定仕様項目がもつ各仕様値と一致する仕様値をもつ部品IDを調達部品データベース1から検索抽出する。なお、検索結果である部品IDは複数抽出される場合もある。
部品変更手段10は、代替部品検索手段9の検索結果から部品IDを選択することで、部品表示手段8で表示されている部品IDリストのうち、代替部品検索対象部品の部品IDを、部品変更手段10で選択された部品IDに変更する。
以下、具体的な処理手順例として、図5のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS101で、要求仕様内部品抽出手段3は、調達部品データベース1に格納されている部品調達が可能な全ての部品に対応する仕様項目毎の仕様値と、部品仕様要求データベース2に格納されている回路設計に必要な部品全ての仕様項目毎の要求仕様値に基づき、部品仕様要求データベース2に格納されている部品毎に、要求仕様値を満たす部品IDを前記調達部品データベース1から抽出する。
ステップS102では、要求仕様内部品抽出手段3で調達部品データベース1から抽出された、図4に示すような部品IDリスト群の中から、部品種組合せ手段4により、回路設計に必要な部品の品種の組み合わせを選択する。例えば、図4のように抽出された部品IDリスト群が対象の場合、各部品IDリストの最初の要素で構成された組み合わせを暫定解として選択し、それぞれの部品IDリストの最初の要素(1002、1001、1006、1001、1002、1005)の組み合わせにより、部品種は4種類(1001、1002、1005、1006)となる。
ステップS103では、組み合わせとして選択された部品IDの要求仕様値に対して、調達部品データベース1の仕様値にどれくらいのマージンがあるのかを、マージン算出手段5により、各部品IDの仕様項目毎に算出する。各マージン(M)は、部品仕様要求データベース2の要求仕様値の最大値(MAX)、最小値(MIN)、選択された部品IDの仕様値(S)とすると、
M=(|(MAX+MIN)/2−S|/((MAX−MIN)/2))
で算出(0<=M<=1)され、算出された仕様項目毎のマージン(M)の中で最大の値を、その部品IDの最大マージン(MP)とする。但し、部品仕様要求データベース2にて、要求仕様値の最大値および最小値のどちらか一方、もしくは両方共指定されていない部品データについては、算出対象から除外する。マージン(M)は、値が大きいほど余裕が無くなり、最大マージン(MP)はその部品IDの中で最も余裕の無いものが選ばれる。
ステップS104では、コスト算出手段6により、調達部品データベース1に登録された基本コストと、過去の実績値を基に定義される購入および管理コスト情報より、部品毎の使用量変化に対応した部品コスト(C)を算出する。なお、購入および管理コスト情報は、部品毎の使用量変化に対応するコストの増減比率を過去の実績値を基に定義したものである。
ステップS105では、マージン算出手段5により算出されたマージン値と、コスト算出手段6により算出された部品コストに基づき、部品種組合せ手段4により選択された部品IDの部品価値を算出する。例えば、暫定解、および現在の解としてあげられた部品データに対して、最大マージン(MP)、部品コスト(C)に基づく部品価値(V)は、
V=MP+w×C
で算出される。なお、wは、最大マージンMPと部品コストCの比率の調整係数であり、設計者が任意に値を設定できる(デフォルト値:w=1)。最大マージン(MP)、部品コスト(C)の比率を調整する係数wを設計者が任意に指定可能とすることで、最大マージン(MP)と部品コスト(C)の影響する度合いを調整することが可能となる。
ステップS106では、算出した暫定解における各部品の部品価値(V)の和と、現在の解における各部品の部品価値(V)の和とを比較し、暫定解に比べて現在の解の方が優れていると判断した場合は、ステップS107に移り、部品種決定手段7により現在の解を新しく暫定解として記憶する。
ステップS108では、各部品IDリストの要素で構成できる他の組み合わせが有るかを判断し、他の組み合わせが有る場合は、ステップS109に移り組み合わせを変更した後、ステップS103に移って新しい組み合わせによる算出を行う。また、ステップS108で各部品IDリストの要素で構成できる他の組み合わせが無い場合、つまり、全ての組み合わせによる確認を終了した場合は、ステップS110に移り、暫定解を最終解として部品の組み合わせを決定し、部品IDリストを出力する。
次に、部品の組み合わせを変更することによる、部品価値(V)の変化について説明する。部品の管理コストは、管理する部品個々に必要となるコストと別に、種類毎に必要となるコストも含まれ、同一部品の使用数量が多くなれば、部品1個当たりの管理コストは使用数量で分割されるため相対的に安くなる。暫定解として選択された部品の場合でも同様に種類毎に必要な管理コストが部品コストに影響するため、使用する予定の部品種が暫定的に決められた時点毎に管理コストの算出が必要になる。例えば、図4の抽出結果例において、各部品IDリストの最初の要素で組み合わされた4種類(1001、1002、1005、1006)で構成された暫定解に対し、最後の部品である“部品6”の部品IDリストの選択要素を最初の要素である1005から2番目の要素1006に変更した組み合わせ(1002、1001、1006、1001、1002、1006)とすることで、部品種は3種類(1001、1002、1006)となる。その場合、種類数が変化することにより、部品の管理コストが変わり、種類数の減少に対して管理コストも減少する。新しい組合せによる該当部品の仕様マージンとコスト値により算出される部品価値(V)を暫定解と比較し、例えば、新しい組み合わせの部品価値(V)の方が優れている場合は、新しい組み合わせ(1002、1001、1006、1001、1002、1006)が暫定解として置き換えられる事となる。
このように、全ての部品IDリストの要素を1つずつ変更し、全ての組み合わせと暫定解と比較することで部品価値が最も良い組み合わせを決定する。なお、計算量を少なくして処理時間を短縮する方法として、汎用部品など部品の購入単価の差が小さい場合などにおいて、図4の例で(1002、1001、1006、1001、1002、1006)で部品種数が“3”であるという暫定解が記憶されている場合、部品種数が“3”を超える組み合わせ(1002、1001、1006、1005、*、*)など、種類の増加に伴い管理コストの増加が予測される場合は、*部分の組み合わせ計算を行なわず、暫定解との比較を省略することで、計算量を少なくして処理時間の短縮等が行われる。
次に、ステップS110で出力された部品IDリストを手動で変更する手順について、図3の調達部品データベース例を用いながら説明する。まず、ステップS110で出力された部品IDリストのうち、任意の部品IDを選択する。例えば部品IDリスト(1001、1002、1006)の中から部品ID“1001”を選択する。ステップS112で調達部品データベースから“1001”部品がもつ仕様項目(仕様項目A、仕様項目B、・・・、仕様項目N)がリストアップされ、リストアップされた仕様項目から、例えば仕様項目Aを選択すると、“1001”部品の仕様項目Aがもつ仕様値“A1”が一致する他の部品“1002”部品が抽出される。さらにステップS113で、抽出された“1002”部品を選択することで、ステップS110で選択した“1001”部品と変更され、その結果部品IDリストは(1002、1002、1006)に変更される。以上、手動による部品IDリストの変更は、本発明の部品種決定装置および部品種決定方法で判断しえない特殊な設計条件が加わった場合のみ、必要に応じて行われることになる。
以上により、部品の品種が最少となるような部品種の組み合わせを決定することに加え、部品の要求仕様値のマージン確保と、部品コストが少なくなる部品を選択することができる。
また、実際の製品の電子回路設計においては、製品を構成する機能部単位(例えばテレビにおいては映像処理部や放送電波受信部など)で、製品の要求仕様をもとに、設計される電子回路の中心となるIC(集積回路)部品が決定され、決定されたIC部品を中心とした周辺部品の決定が行われることが多い。よって、本発明の部品種決定装置および部品種決定方法は、製品を構成する全部品に対して適用するほかに、設計の基幹IC部品を除く周辺部品へ適用するというように、設計者が指定した任意の範囲の部品リストに適用することも考えられる。
本発明の部品種決定装置の一実施形態を表すシステム構成図である。 本発明の部品種決定装置の一実施形態における部品仕様要求データベース例を表す図である。 本発明の部品種決定装置の一実施形態における調達部品データベース例を表す図である。 本発明の部品種決定装置の一実施形態における要求仕様内部品抽出手段の抽出結果例を表す図である。 本発明の部品種決定装置の一実施形態を表すフローチャートである。
符号の説明
1 調達部品データベース
2 部品仕様要求データベース
3 要求仕様内部品抽出手段
4 部品種組合せ手段
5 マージン算出手段
6 コスト算出手段
7 部品種決定手段
8 部品種表示手段
9 代替部品検索手段
10 部品種変更手段

Claims (7)

  1. 調達可能な部品に対応した、部品ID、コスト情報および仕様項目毎の仕様値が格納された調達部品データベースと、
    電子回路を構成する部品に要求される仕様項目毎の要求仕様値が格納された部品仕様要求データベースと、
    前記部品仕様要求データベースに格納された前記各要求仕様値の最大値および最小値が、前記調達部品データベースに格納されている前記仕様値を包含する全ての部品データの部品IDを調達部品データベースから抽出する要求仕様内部品抽出手段と、
    前記要求仕様内部品抽出手段により抽出された部品IDの集合である各部品IDリストの中から、組み合わせる部品IDを選択する部品種組合せ手段と、
    前記調達部品データベースに格納されたコスト情報から、組み合わせ選択された部品ID毎のコストを算出するコスト算出手段と、
    前記部品仕様要求データベースに格納された部品データ毎に一つ以上の仕様項目を持ち、それぞれの仕様項目毎に最大仕様要求値および最小仕様要求値を格納し、組み合わせ選択された各部品IDの仕様項目毎の要求仕様値の最大値および最小値、各部品IDの仕様値に基づき、部品ID毎、仕様項目毎のマージンを算出するマージン算出手段と、
    前記コスト算出手段により算出された部品ID毎のコストと、マージン算出手段により算出された部品ID毎、仕様項目毎のマージン値に基づいて、組み合わせ選択された部品ID毎に部品価値を算出し、部品価値の高くなる部品種の組み合わせを選択する部品種決定手段とを含み、
    前記マージン算出手段は、マージン値をM、部品仕様要求データベースの要求仕様値の最大値をMAX、部品仕様要求データベースの要求仕様値の最小値をMIN、組み合わせ選択された部品IDの仕様値をSとすると、前記マージン値Mを、
    M=(|(MAX+MIN)/2−S|/((MAX−MIN)/2))
    によって算出し、
    前記部品種決定手段は、前記マージン算出手段によって算出された仕様項目毎のマージン値Mの中で最大のマージン値をMP、部品コストをC、最大マージン値MPと部品コストCとの比率の調整係数をw、部品価値をVとしたとき、前記部品価値Vを、
    V=MP+w×C
    によって算出することを特徴とする部品種決定装置。
  2. 前記コスト算出手段は、前記調達部品データベースに格納された部品データ毎の購入コストと、前記調達部品データベースのコスト情報から取得した使用数量に応じて算出される管理コストから部品毎に部品コストを算出する手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の部品種決定装置。
  3. 部品種決定手段は、部品種の組み合わせ選択のために算出される部品価値を、前記コスト算出手段と前記マージン算出手段との両方あるいはいずれか一方の算出結果に基づいて算出し、コスト算出手段によって算出される部品コストと、マージン算出手段によって算出されるマージンとの比率を調整可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の部品種決定装置。
  4. 前記部品種決定手段で決定された部品種の一覧を表示する部品種表示手段を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の部品種決定装置。
  5. 前記部品種表示手段に表示された部品種一覧の中から任意の部品種を選択し、さらに選択された部品種がもつ仕様項目を選択することにより、仕様値が一致する仕様値をもつ部品IDを調達部品データベースから検索して抽出する代替部品検索手段を含むことを特徴とする請求項に記載の部品種決定装置。
  6. 前記代替部品検索手段により表示された部品種一覧から部品種を選択することにより、選択された部品種と、前記部品種表示手段で選択中の部品種とを変更する部品種変更手段を含むことを特徴とする請求項に記載の部品種決定装置。
  7. 調達可能な部品に対応した、部品ID、コスト情報および仕様項目毎の仕様値が格納された調達部品データベースと、
    電子回路を構成する部品に要求される仕様項目毎の要求仕様値が格納された部品仕様要.求データベースと、を備え、
    前記部品仕様要求データベースに格納された前記各要求仕様値の最大値および最小値が、前記調達部品データベースに格納されている前記仕様値を包含する全ての部品データの部品IDを調達部品データベースから抽出する要求仕様内部品抽出ステップと、
    前記要求仕様内部品抽出ステップにより抽出された部品IDの集合である各部品IDリストの中から、組み合わせる部品IDを選択する部品種組合せステップと、
    前記調達部品データベースに格納されたコスト情報から、組み合わせ選択された部品ID毎のコストを算出するコスト算出ステップと、
    前記部品仕様要求データベースに格納された部品データ毎に一つ以上の仕様項目を持ち、それぞれの仕様項目毎に最大仕様要求値および最小仕様要求値を格納し、組み合わせ選択された各部品IDの仕様項目毎の要求仕様値の最大値および最小値と、各部品IDの仕様値に基づき、部品ID毎、仕様項目毎のマージンを算出するマージン算出ステップと、
    前記コスト算出ステップにより算出された部品ID毎のコストと、マージン算出ステップにより算出された部品ID毎、仕様項目毎のマージン値に基づいて、組み合わせ選択された部品ID毎に部品価値を算出し、組み合わせ単位で部品価値を集計し、比較することで最も部品価値の高くなる部品種の組み合わせを選択する部品種決定ステップと、
    前記部品種決定ステップにより選択された部品種組み合わせの中から任意の部品種を選択し、さらに選択した部品種がもつ仕様項目のうち任意の仕様項目を選択することで、該部品種における該仕様項目がもつ仕様値が一致する他部品種リストを前記調達部品データベースの中から検索する代替部品検索ステップと、
    検索された他部品種リストの中から部品種を選択することで該部品種を変更する部品種変更ステップとを含み、
    前記マージン算出ステップでは、マージン値をM、部品仕様要求データベースの要求仕様値の最大値をMAX、部品仕様要求データベースの要求仕様値の最小値をMIN、組み合わせ選択された部品IDの仕様値をSとすると、前記マージン値Mを、
    M=(|(MAX+MIN)/2−S|/((MAX−MIN)/2))
    によって算出し、
    前記部品種決定ステップでは、前記マージン算出手段によって算出された仕様項目毎のマージン値Mの中で最大のマージン値をMP、部品コストをC、最大マージン値MPと部品コストCとの比率の調整係数をw、部品価値をVとしたとき、前記部品価値Vを、
    V=MP+w×C
    によって算出することを特徴とする部品種決定方法
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