JP3970128B2 - レーザ受信器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はレーザ送信器に関し、特に複数のレーザ送信器と複数のレーザ受信器間で、レーザビームを用いてデータの送受信を行なう通信システムに用いるレーザ受信器に関するものである。
【0002】
レーザビームを用いた通信の利点は、空間におけるデータ伝達の直進性(レーザ送信器の光軸をレーザ受信器に対して直線的に調整することで送受信器間で1対1の通信を行うこと)が存在するため、例えば、射撃の模擬訓練システムなどに用いられて来ている。
【0003】
【従来の技術】
図8には、一般的なレーザ送信器の構成例が示されており、筐体11の中に、送信部12を有し、この送信部12の中には駆動回路13が設けられている。この駆動回路13がレーザダイオード14を駆動することにより光学レンズ15を経由してレーザビーム16が発射されるようになっている。なお、このレーザビームのパターンは、レーザダイオード14と光学レンズ15の種類、レーザダイオード14と光学レンズ15の距離、並びに送信電力などにより決まるものである。
【0004】
図9には、このようなレーザ送信器から発射されたレーザビームのパターンの一例が示されている。図中、横軸はレーザ送信器からの距離を示し、縦軸はデータの受信範囲を示している。
このようなレーザビームは、図示の如く、一定の広がり角を持った円錐形のパターンを呈しており、レーザ受信器の受光感度(受信データを有効と判定する基準の受光レベル)を一意に決めた場合、レーザ送信器からの距離が離れるほど受信範囲が広がり、データ伝達の直進性が成立しないことを示している。
【0005】
すなわち、図示の例において、レーザ受信器の受光感度を0.3mVとした場合、レーザ送信器に近い断面Aの位置(距離2km)では、レーザ受信器においてデータを受信する範囲が半径0.75mの円となるのに対し、レーザ送信器から遠ざかるにつれて、断面Bの位置(同4km)では、半径1.3mの円となり、断面Cの位置(同6km)では半径1.8mの円となり、同じ0.3mVの受光感度であっても、レーザ送信器から離れるに従ってその受信範囲が広がり、レーザビームの直進性が保たれなくなることが示されている。
【0006】
また、このようなレーザビームのパターンは、雨や霧などでレベルの減衰が生じるため、天候に応じてデータの伝達性が異なるという特長もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、レーザ送信器から発射されたレーザビームのパターンは一定の広がり角を有し、以ってレーザ送信器とレーザ受信器との距離によってはデータ伝達の直進性が成立しないという特性があることから、レーザ受信器の受光感度を一意に決めた場合、レーザ送信器から近い位置ではレーザ受信器でデータを受信する範囲が狭く光軸上になるのに対し、レーザ送信器から遠い位置ではレーザ受信器でデータを受信する範囲が広く、光軸上以外でもデータを受信してしまうという問題がある。
【0008】
以下、これについて図10及び図11を用いて説明する。
今、図10に示すようにレーザビームを使用した通信システムを考えた場合、レーザ送信器31から発射されたレーザビームは、レーザ受信器32及び33においてはレーザ送信器31からの距離が短いため、ビームパターンが狭いことに因り光軸を綿密に調整することで的確に1対1の送受信が可能となるが、レーザ送信器31から数キロメートル離れた地点P付近に位置するレーザ受信器34でデータを受信するときには、ビームパターンが広くなっているため、その近くに位置するレーザ受信器35も同じデータを受信してしまうことになる。
【0009】
このような通信システムを模擬射撃訓練システムに適用した場合のイメージ例が図11に示されている。
すなわち、戦車41に、射撃に伴い実弾を模擬したレーザビームを送信するレーザ送信器31を搭載し、戦車42〜45にそれぞれレーザ受信器32〜35を搭載している。そして、戦車41のレーザ送信器31から戦車42〜45にそれぞれ搭載したレーザ受信器32〜35に対して、実弾を模擬したレーザビームを発射することにより、各レーザ受信器32〜35において一定の受光レベルを上回るか否かで射撃の命中又は非命中(レーザビームの受信の有効又は無効)をそれぞれ判定するシステムになっている。
【0010】
このようなシステムにおいて、レーザ送信器31から戦車42及び43にそれぞれ搭載されたレーザ受信器32及び33にレーザビームを照射する際には、ビームパターンが狭いため、実弾の命中範囲に則した命中判定が可能となる。
しかしながら、レーザ送信器31から数キロメートル離れた地点Pに位置する戦車44に対して模擬射撃する際は、ビームパターンが広くなっているため、例えば実弾では命中しない筈の戦車45においてもレーザ受信器35でレーザビームを受信してしまい、命中と判定されてしまうという問題があった。
【0011】
さらに、戦車弾、ロケット弾、小銃の弾というような弾種毎の命中範囲や射程距離を模擬するためには、銃器の種類毎に違ったビームパターンを形成するレーザビームを送信するレーザ送信器が必要になるという問題もあった。
従って本発明は、レーザ送信器からのレーザビームの受信を行うレーザ受信器において、レーザビームの直進性を図ることを目的とする。好ましくは、レーザ送信器から送信されるレーザビームのパターンの広がりに関わらず、レーザ送信器からの距離を考慮してレーザビームの受信範囲の適性化を図ることを目的とする。
【0012】
また、レーザビームは雨や霧等でそのレベルが減衰するため、天候に応じてデータの伝達性が異なることに鑑み、天候を考慮してレーザビームの受信範囲の適性化を図ることを目的としている。
更には、このようなレーザ受信器が、模擬射撃訓練に使用できることを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を解決するため、本発明に係るレーザ受信器は、該レーザビームの受光レベルを検出するレベル検出手段と、該レーザ送信器との間の距離を検出する距離検出手段と、レーザ送信器とレーザ受信器との間の距離毎に予め設定した受光レベルの閾値を該検出した受光レベルが越えているとき、該レーザビームの受信データを有効と判定する判定手段と、を備えたことを特徴としている。
【0014】
すなわち、本発明では、レベル検出手段でレーザ送信器からのレーザビームの受光レベルを検出する。
そして判定手段は、距離検出手段によって検出された距離と受光レベルを参照して、該レーザビームの受信判定を行う。なお、このとき、受光感度(該データを有効と判定する受光レベル)はレーザ送信器とレーザ受信器の距離毎に予め設定しておく。
【0015】
このようにして、本発明のレーザ受信器では、レーザ送信器からの距離に影響されない一定のデータ受信範囲を得ることが可能となる。
上記の本発明において、さらに天候情報(データ)を取得する手段を設けておき、該判定手段は、上記の距離と受光レベルに加えて、その天候情報をも参照し、レーザビームの受信判定を行う。
【0016】
これにより、天候情報毎にレーザ送信器とレーザ受信器の距離毎の受光感度を予め設定しておくことで、天候にも影響されない一定のデータ受信範囲が得ることができる。
また、上記の本発明を模擬射撃訓練システムにおいて使用する場合、該受信判定として、模擬射撃の命中、非命中を判定することができる。
【0017】
これにより、模擬射撃訓練システムにおいて、実弾の命中範囲に則した命中判定を行うことができる。
そして上記の本発明において、レーザビームが弾種情報を含んでいる場合、レーザ送信器とレーザ受信器の距離と受光レベルに加えて該弾種情報も参照して模擬射撃の命中及び非命中の判定を行う。
【0018】
これにより、弾種毎にレーザ送信器とレーザ受信器の距離毎の受光レベルを設定(レーザ受信器に記憶)しておくことで、弾種毎に違ったレーザビームを送信するレーザ送信器を必要とすることなく、弾種に応じた命中範囲や射程距離を模擬することが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係るレーザ受信器の実施例を示したもので、この実施例では、受光素子1とレベル検出回路2と制御器3とで構成されている。
この内、レベル検出回路2は、受光素子1と共にレベル検出手段を構成し、受光素子1の電気出力信号を100倍に増幅するアンプ20と、このアンプ20の出力信号をそれぞれリファレンス(基準)電圧VR1,VR2,VR3,VR4,及びVR5と比較し、その大小判定を行うコンパレータ21,22,23,24,及び25とで構成されている。そして、制御器3は、これらのコンパレータ21〜25の各出力信号210,220,230,240,及び250を入力してデータの有効又は無効を判定するものであり、位置標定器30を内蔵している。位置標定器30は、レーザ受信器自身の位置標定を行うものである。
【0020】
なお、レベル検出回路2におけるリファレンス電圧VR1〜VR5は、後述する例(図3)に則してそれぞれ、5.0V,2.1V,1.5V,0.3V,及び0.03Vに設定されており、これらのリファレンス電圧VR1〜VR5を閾値として、コンパレータ21〜25がそれぞれON/OFF出力信号210〜250を制御器3に与えることにより、レーザビームの受信判定として、受信データの有効/無効判定を行う。
【0021】
図2は、図1に示した、距離算出手段と判定手段の各機能を備えた制御器3の動作例(1)を示したものである。以下、この動作例(1)に沿って図1に示した実施例の動作を説明する。
まず制御器3は、コンパレータ25からの出力信号250を受信したか否かを判定する(ステップS1)。ここで、信号250を受信している場合には、受光素子1からアンプ20を経由した受光レベルが、最も低い閾値であるリファレンス電圧VR5=0.03Vを越えていることを示しているので、以下のステップに進む。なお、この信号250は、レーザ送信器からのデータ信号としても制御器3に与えられることとなる。
【0022】
次に、制御器3は、信号250よりレーザ送信器の位置情報を復調する(ステップS2)。この例では、レーザ送信器は、その位置情報でレーザビームを変調しているものとする。
このようなレーザ送信器における位置情報の変調について、以下に簡潔に説明する。
【0023】
レーザ送信器には、位置標定機能を与える位置標定器が設けられており、この位置標定器としては例えばGPS(Global Positioning System)受信機を用いており、実際には、高速移動する状態においても対応できるようにするため、位置標定間隔が短い、例えば1秒当たり20回程度測位が可能なGPS受信機を用いる。
【0024】
そして、GPS受信機の出力データから必要なデータを抜き出して、GPS受信機のデータ出力間隔でメモリ内容を更新して記録し、常に最新の位置情報と時刻情報を保持するようにしている。
この場合のGPS受信機の出力フォーマットの内、時刻情報であるGPS Timeと位置情報であるUTM座標と高度のみを抜き出す。
【0025】
GPS受信機の位置情報出力データ形式は、局地平面座標形であるUTM座標形式となるように予めGPS受信機を設定しておく。
GPS時間は日本時刻の0:00が0秒で与えられ、以降、一日周期で繰り返すように予め受信機を設定しておく。高度は所定地域の基準面を定め、その高度を0mとして出力するように予めGPS受信機を設定しておく。
【0026】
このように、レーザビームのデータ内容とデータの一例を下記の表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
時刻は、自装置のメモリに記録されているGPS時刻とし、位置情報はメモリに記録されているUTM座標による最新の位置情報としている。このような位置情報がレーザビーム上のデータに含まれた形でレーザ送信器からレーザ受信器に送信されることとなる。
【0029】
制御器3は、ステップS2で得たレーザ送信器の位置情報と位置標定器30より得られる自身の位置情報から、レーザ送信器とレーザ受信器との距離を検出する(ステップS3)。すなわち、ステップS2で求めたレーザ送信器の位置情報とレーザ受信器の制御器3に設けられている位置標定器30から得られる自分自身の位置情報とにより、レーザ送信器とレーザ受信器との距離を算出することができる。
【0030】
なお、距離測定の手法としては、レーザ送信器の位置を別途無線で、レーザ受信器が受信し、自己の位置を参照して求める等、種々の手法がある。
この後、制御器3は、設定記憶された天候情報を参照し、この天候情報が晴れを示しているか否かを判定する(ステップS4)。天候情報が晴れを示している場合(YES)には以下のステップに進むが、その他の天候情報の場合(NO)には天候情報毎のフローに沿って判定を行うこととなる(ステップS40)。
【0031】
なお、レーザ受信器において天候情報を設定記憶する方法としては、レーザ受信器における操作ボタンによる入力によって行う場合、外部から別途受信した無線信号又は受信レーザビームから抽出する場合がある。
天候情報としては、晴れ、雨、霧、豪雨等を設ける。雨、霧の際はレーザビームが空中で乱反射し、レベルが減衰するため、晴れの場合に比べて受光レベルがより低いレーザビームの受信判定として受信データを有効とする。すなわち、有効と判定する基準のレベルを下げる。
【0032】
豪雨の際は雨や霧以上にレーザビームが空中で乱反射し、レベルが減衰するため、更に受光レベルの低いレーザビームの受信判定として受信データも有効とする。
このように、ステップS4及びS40においては、レーザ送信器とレーザ受信器との距離と、レーザ受信器における受光レベルに加えて天候情報を参照してレーザビームの受信判定として、例えば、受信データの有効/無効を判定することで、天候を考慮した受信範囲を得ることが可能となる。
【0033】
以下の各ステップは天候情報が晴れを示している場合に実行されるものである。なお、天候を考慮せずステップS4をスキップしステップS3からS5に移行することもできる。
まずステップS3で求めた距離が6km以上であるか否かを判定する(ステップS5)。この結果、距離が6km以上であることが分かった場合(YES)には、受信判定として受信データを無効と判定する(ステップS12)が、そうでない場合(NO)にはステップS6に進む。
【0034】
ここで、このステップS5における判定を説明するために、図3において、レーザ送信器と受信器の距離と受光レベルとを参照した際のデータ受信範囲について説明する。
図1に示したリファレンス電圧VR1〜VR5(データを有効とするアンプ20の出力に対する閾値)が、上記のように値を設定した場合、図9に示したパターンを有するレーザビームを受光したとき、データの有効/無効判定を行うと、レーザ送信器とレーザ受信器の距離毎のデータ受信範囲は図3に示すような値となる。
【0035】
言い換えると、図9のレーザビームパターンにおいて、距離が「2km」、「3km」、「4km」、及び「6km」のとき、データ受信範囲を共通の半径0.75mとすると、距離毎の受光感度はそれぞれ“0.03V”,“0.3V”,“0.5V”,及び“0.1V”となることが分かるので、リファレンス電圧VPI〜VR5は、これに対応させたものである。
【0036】
なお、図9の場合には図1においてアンプ20で100倍してあるので、受信レベルは100分の1に換算して目盛ってある。
このように、ステップS5において、距離が6km以上であれば信号210〜250の如何に関わらずレーザビームのパターンの広がり角が大きすぎて受信したレーザビームの信頼性が低いために、無効判定する。
【0037】
距離が6km未満であることが分かったとき(NO)には、今度は図3に対応して4km以上であるか否かを判定する(ステップS6)。この結果、距離が4km以上である場合(YES)には、図3に示すように距離が4km以上で6km未満であることが分かるで、受光レベルは2.1V以上なければならないことになり、制御器3は次にコンパレータ22からの出力信号220を受信したか否かを判定する(ステップS7)。
【0038】
この結果、信号220を受信しているとき(YES)、すなわちアンプ20の出力電圧がリファレンス電圧VR2=2.1Vを越えていることを示しているので、受信判定としてデータは有効と判定されるが(ステップS13)、そうでない場合(NO)には受信判定としてデータを無効と判定する(ステップS12)。
【0039】
ステップS6において距離が4km未満であることが分かった場合(NO)には、今度は3km以上であるか否を判定する(ステップS8)。
この結果、距離が3km以上で4km未満であれば(YES)、図3に示すように受信レベルは1.5V必要であるので、これに対応する信号230が受信されているか否かを判定する(ステップS9)。
【0040】
この結果、信号230を受信しているとき(YES)には、アンプ20の出力電圧はリファレンス電圧VR3=1.5Vを越えていることになるので、受信判定としてデータを有効と判定とする(ステップS13)が、そうでない場合(NO)には受信判定としてデータを無効と判定する(ステップS12)。
【0041】
ステップS8において距離が3km未満であることが分かったとき(NO)には今度は距離が2km以上であるか否かを判定する(ステップS10)。
この結果、距離が2km以上で3km未満であることが分かったとき(YES)には、図3に示すように受信レベルは0.3V必要であるので、コンパレータ24の出力信号240が受信されたか否かを判定し(ステップS11)、信号240が受信されている場合(YES)には必要なレベルが確保されているので受信判定としてデータを有効と判定する(ステップS13)が、そうでない場合(NO)には受信判定としてデータを無効と判定する(ステップS12)。
【0042】
ステップS10において距離が2km未満であることが分かった場合(NO)には、受信判定としてデータは有効と判定する(ステップS13)。
図4は、上述したレーザ送信器とレーザ受信器との距離毎の受光感度(データを有効とするアンプ20の出力レベル)を表にまとめて示したものであり、これを予め制御器3に設定(例えば記憶)しておけばよい。
【0043】
なお、図1におけるレベル検出回路2については、5つのコンパレータ21〜25を用いて示したが、コンパレータの数を増やすか、或いはA/D変換回路などを用いることにより、一層細かい距離毎に受光感度(受信判定としてデータを有効とする受光レベル)を設定することが可能である。
【0044】
このように、レーザビームを受光した際、レーザ受信器における受光レベルに加えてレーザ送信器とレーザ受信器との距離を参照し、受光したレーザビームに変調されたデータが有効か無効かを判定することで、レーザ送信器が送信するレーザビームの広がりに関わらず、受信範囲の適性化を図ること(データ伝達の直進性を図ること)が可能となる。
【0045】
図5は、図1に示した制御器3の動作例(2)を示したものである。この動作例(2)と図2に示した動作例(1)との違いは、レーザ送信器及びレーザ受信器を図11に示したような模擬射撃訓練システムに適用したことである。
具体的には、動作例(1)におけるステップS2の代わりに、レーザ送信器の位置情報と弾種情報を復調するステップS21を用いていること、及びステップS3とステップS4との間にステップS22を設け、ステップS21で復調した弾種情報がロケット砲であるか否かを判定し、ロケット砲でない場合にはステップS220に進むが、ロケット砲である場合には動作例(1)と同様にステップS4以下のプロセスを実行することである。
【0046】
すなわち、図1の実施例のようにリファレンス電圧VR1〜VR5を一例として設定し、図9に示すパターンを有するレーザビームを受光したとき、この図5のフローチャートに従って命中判定を行うと、ロケット砲による命中範囲は図3に示したものと同様となる。従って、ステップS22で弾種がロケット砲であることが分かれば、図2に示した動作例(1)と同様にステップS4以降を実行すれば良い。(なお、弾種情報は、上記の表1に示す如く、位置情報と同様にレーザ送信器からのレーザビームから抽出した情報から得られる。)
これにより、レーザ送信器からの距離に依存せずに、ロケット砲の命中範囲約半径0.75mの円、射程距離約6kmを満たすことになる。
【0047】
一方、ステップS22において弾種情報がロケット砲でないことが分かった場合には、図6に示したルーチン(ステップS220)を実行する。
すなわち、まず上記の弾種がロケット砲でなく、戦車弾であるか否かを判定する(ステップS221)。この結果、弾種情報が戦車弾であることを示していれば(YES)、天候情報が晴れを示しているか否かを判定し(ステップS220)、天候情報が晴れであることを示していれば(YES)、コンパレータ21からの出力信号210が受信されているか否かを判定する(ステップS223)。
【0048】
ステップS223において出力信号210が受信された場合は(YES)、模擬射撃の命中と判定し(ステップS225)、そうでない場合(NO)には非命中と判定する(ステップS224)。
これは、図7にも戦車弾による模擬射撃命中範囲を示しているように(図9においても点線で示されているように)、戦車弾による模擬射撃の命中範囲(データ受信範囲)はロケット砲に比べて狭いため、データを有効とするアンプ20の出力レベルは最高の5V以上を必要としていることが示されているので、コンパレータ21の出力信号210が受信できて始めて、制御器3は戦車弾が模擬射撃命中したものと判定できるからである。
【0049】
これにより、レーザ送信器からの距離に依存せずに、戦車弾の命中範囲約0.125m、射程距離約3.5kmを満たすことになる。
一方、ステップS221において、弾種が戦車弾でない場合には弾種毎のフローに沿った判定を実行する(ステップS2210)。
【0050】
さらに、ステップS222において、天候情報が晴れではないことを示している場合には、図2と同様に天候情報毎のフローに沿って判定を行う(ステップS2220)。
このようにして、レーザ送信器とレーザ受信器との距離、及びレーザ受信器における受光レベルに加えて更に弾種情報を参照した模擬射撃命中判定を行うことで、弾種毎の命中範囲や射程距離を模擬した命中判定を行うことが可能となる。このため、銃器毎の命中範囲や射程距離を模擬するために、銃器の種類毎に異なるレーザ送信器を用意する必要がなくなる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るレーザ受信器によれば、レーザビームを受信した際、予め求めたレーザ送信器とレーザ受信器の距離と受光レベルとの関係に基づき、該距離に加えてレーザ受信器における受光レベルを参照して、レーザビームの受信判定として受信したデータが有効か又は無効かを判定するように構成したので、レーザ送信器が送信するレーザビームのパターンの広がりに関わらずレーザ送信器からの距離に依存しない一定のデータ受信範囲を得ること(データ伝達の直進性を得ること)が可能となる。
【0052】
同様に、レーザビームを受光した際、上記の距離と受光レベルに加えて、天候情報を参照して受光したレーザビームを受信判定することにより、天候によらない一定のデータ受信範囲が得られる。
更にこのようなレーザ送信器及び受信器を模擬射撃訓練システムに用いるような場合、上記の距離に加えて受光レベルを参照して命中判定を行うことで、実弾の命中範囲に則した命中判定を行うことが可能となる。
【0053】
同様にレーザ送信器とレーザ受信器の距離とレーザ受信器における受光レベルに加えて弾種情報を参照して命中判定を行うことで、発射した弾種の命中範囲と射程距離に則した命中判定を行うことが可能となる。これにより、銃器毎の射撃距離・命中範囲を模擬するために銃器の種類毎に違ったビームパターンを有するレーザ送信器を用意する必要がなくなるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るレーザ受信器の実施例を示した回路ブロック図である。
【図2】本発明に係るレーザ受信器に用いられる制御器の動作例(1)を示したフローチャート図である。
【図3】レーザ送信器とレーザ受信器の距離と受光レベルとを参照した際のデータ受信範囲を示した図である。
【図4】図3におけるレーザ送信器とレーザ受信器の距離毎に設定したデータを有効とするアンプ20の出力レベルの一例を示した図である。
【図5】本発明に係るレーザ受信器に用いられる制御器の動作例(2)を示したフローチャート図である。
【図6】本発明に係るレーザ受信器に用いられる制御器の動作例(3)を示したフローチャート図である。
【図7】小銃弾においてレーザ送信器とレーザ受信器の距離と受光レベルとを参照した際の命中範囲(データ受信範囲)を示した図である。
【図8】レーザ送信器の一般的な構成例を示したブロック図である。
【図9】レーザ送信器から発射されるレーザビームのパターン例を示した図である。
【図10】レーザビームを使用した通信システム例を示した図である。
【図11】図10の通信システムを模擬射撃訓練システムに適用したときのイメージ例を示した図である。
【符号の説明】
1 受光素子
2 レベル検出回路
20 アンプ
21〜25 コンパレータ
3 制御器
30 位置標定器
VR1〜VR5 リファレンス電圧
210〜250 出力信号
図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
Claims (4)
- レーザ送信器からのレーザビームを受信するレーザ受信器において、
該レーザビームの受光レベルを検出するレベル検出手段と、
該レーザ送信器との間の距離を検出する距離検出手段と、
レーザ送信器とレーザ受信器との間の距離毎に予め設定した受光レベルの閾値を該検出した受光レベルが越えているとき、該レーザビームの受信データを有効と判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とするレーザ受信器。 - 請求項1において、
該判定手段が、該検出した距離と受光レベルに加えて、設定された天候情報に基づいて、該受信判定を行うことを特徴としたレーザ受信器。 - 請求項1において、
該レーザ受信器が人や車両に取り付けられており、該レーザ送信器が、銃器を模擬したもの、又は銃器に取り付けたものであり、該判定手段は、該受信判定として、模擬射撃の命中、非命中を判定することを特徴とするレーザ受信器。 - 請求項1において、
該レーザビームは弾種情報を含んでおり、該受信レーザビームから弾種情報を抽出する抽出手段を更に備え、該判定手段は、該受信判定として、該距離と該受光レベルに加えて該弾種情報を参照して、模擬射撃の命中、非命中を判定することを特徴としたレーザ受信器。
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